説明

プローブ情報処理サーバ、プローブ情報処理方法およびプローブ情報処理システム

【課題】処理に大きな負荷がかかることもなく、比較的規模の小さな施設へのユーザの入退場についても正確に把握できるようにする。
【解決手段】入退場更新部107は、順次に受信するプローブ情報が、GPS機能を用いて測位された現在位置情報を有しないものに変化したときには、送信元の携帯通信端末が、既に受信したプローブ情報の現在位置情報と地図情報とにより特定される施設に入場したと判別し、順次に受信するプローブ情報が、GPS機能を用いて測位された現在位置情報を有するものに変化したときには、当該携帯通信端末が、入場していた施設から退場したと判別する。これらの入退場の判別結果を施設別集計ファイル110に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報通信分野に属し、例えば、携帯電話端末などの携帯通信端末から送信されてくる現在位置情報を含むプローブ情報を受信して処理する装置、方法、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度に整備された地図データが、インターネットを通じて手軽に利用できるようになってきている。これにより、例えば、目的とする施設への経路検索等が簡単かつ迅速に行うことができるようになっている。ここで、「施設」と言う文言は、広義には人々が社会生活を営む際に利用する構造物、建築物やその他の設備を意味するが、この明細書では、人々が出入りする主に建築物を意味する。より具体的には、種々の店舗、病院、医院、学校、公共機関などといった様々なものの建築物(建物)が、ここでいう「施設」に該当する。
【0003】
そして、ユーザは、目的とする施設の所在場所を知るだけでなく、その施設に関する情報、例えば、人気のある施設か否か、今現在混雑しているか否か等についても知りたいとする要求がある。店舗などについては、いわゆる口コミサイトや商用紹介サイトなどにより、利用者の評価等を知ることができる。しかし、口コミサイトや商用紹介サイトで知ることができるのは、利用者の主観的な意見であり、客観的に確実な情報として、目的とする施設が、人気があるか否か(繁盛しているか否か)を知ることはできない。
【0004】
また、入場者数や観客動員数などが公表されている施設はわずかである。例えば、アウトレットモールなどを含め、注目しているリテール(小売店等)にどれだけの集客力があるかは、その場にいる人によって、単に混んでいる、空いている程度の感覚でしか掴めないのが現状である。また、POS(Point Of Sales)システムを導入している店舗では、商品の販売状況をリアルタイムに知ることはできるが、主に商品の売れ筋、死に筋を把握することに主眼が置かれている。また、POSシステムで集約された情報が、一般ユーザに提供されることは通常ない。
【0005】
そこで、後に記す特許文献1には、ユーザが用いる携帯通信端末からのプローブ情報に含まれる現在位置情報と地図データとを付き合せることにより、目的とする施設への入退場を把握できるようにする技術が開示されている。ここで、プローブ(probe)情報は、ユーザが携帯している携帯通信端末から送信される情報であって、当該携帯通信端末の現在位置情報や現在時刻情報を含むものである。
【0006】
特許文献1に記載の技術の場合には、プローブ情報の現在位置情報が示す位置が、地図データにより把握される施設の敷地や家枠内に外部から入ってきたときには、当該施設への入場と判別する。逆に、プローブ情報の現在位置情報が示す位置が、地図データにより把握される施設の敷地や家枠内から出て行ったときには、当該施設からの退場と判別する。これにより、ユーザの施設への入退場を客観的に把握することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−238004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術の場合、常時、全てのプローブ情報の現在位置情報と地図データとのマッチングを行い、施設への入退場を検出するようにしなければならない。このため、施設への入退場の検出処理にかかる負荷が大きい。また、上述した特許文献1に記載の技術の場合、遊園地や商店街などといった比較的敷地の広い施設や区域についての入退場を精度良く把握することができる。しかし、特許文献1に記載の技術の場合、プローブ情報の現在位置情報と地図情報のマッチングの結果に応じて施設への入退場を検出しているために、比較的規模の小さな飲食店などへの入退場については、精度良く把握することができない場合がある。
【0009】
例えば、ユーザの携帯通信端末がGPS(Global Positioning System)受信機を備え、人工衛星からの信号を受信して演算処理することにより現在位置を測位するものであるとする。この場合、GPS受信機を有する携帯通信端末が屋内に入ってしまうと、人工衛星からの信号を受信することができなくなり、現在位置の測位ができなくなる。この場合、目的とする敷地内や家枠内に位置していることが検出できなくなり、当該施設への入退場を正確に検出することができなくなるのである。
【0010】
以上のことに鑑み、この発明は、処理に大きな負荷がかかることもなく、比較的規模の小さな施設の屋内へのユーザの入退場についても正確に把握でき、かつ、施設毎にユーザの入退場に基づく種々の情報を得ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のプローブ情報処理サーバは、
人工衛星からの信号を用いて自機の現在位置を測位する機能を備え、所定のタイミング毎に、少なくとも測位して得た現在位置情報を含むようにしたプローブ情報を送信する携帯通信端末からの前記プローブ情報を処理するプローブ情報処理サーバであって、
前記携帯通信端末からの前記プローブ情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で順次に受信される前記プローブ情報が、前記現在位置情報を有するものから有しないものに変化した場合に、前記携帯通信端末が、受信したプローブ情報に含まれる情報と地図情報とにより特定される施設に入場したと判別する入場判別手段と、
前記受信手段で順次に受信される前記プローブ情報が、前記現在位置情報を有しないものから有するものに変化した場合に、前記携帯通信端末が、入場していた施設から退場したと判別する退場判別手段と、
前記入場判別手段での判別結果と前記退場判別手段での判別結果とを、前記施設毎に記憶する判別結果保持手段と
を備えることを特徴とする。
【0012】
この請求項1に記載の発明のプローブ情報処理サーバによれば、携帯通信端末から所定のタイミング毎に送信される情報であって、人工衛星からの信号を用いて測位した現在位置情報を含むプローブ情報が、受信手段によって順次に受信される。なお、プローブ情報の現在位置情報は、例えば、携帯通信端末を持ったユーザが屋内に入るなどして、人工衛星からの信号が受信できなくなり、現在位置が測位できない場合には、空白となるように処理されるなど、有効な現在位置情報は存在しないようになる。
【0013】
そして、受信手段で順次に受信されるプローブ情報が、測位された現在位置情報を有するものから有しないものに変化した場合には、入場判別手段により、当該携帯通信端末が、既に受信したプローブ情報に含まれる情報と地図情報とにより特定される施設に入場したと判別される。逆に、受信手段で順次に受信される前記プローブ情報が、測位された現在位置情報を有しないものから有するものに変化した場合には、退場判別手段により、当該携帯通信端末が、それまでに入場していた施設から退場したと判別される。そして、これらの入退場の判別結果は、施設毎に判別結果保持手段により記憶される。
【0014】
これにより、プローブ情報の現在位置情報の消失と復活に基づいて、施設への入退場を把握するので、処理に大きな負荷がかかることもなく、また、携帯通信端末を持つユーザの比較的規模の小さな施設の屋内への入退場についても正確に把握できるようになる。そして、把握した施設毎のユーザの入退場に基づく種々の情報を得ることもできるようになる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、処理に大きな負荷がかかることもなく、プローブ情報を送信する携帯通信端末を持つユーザの比較的規模の小さな施設の屋内への入退場についても正確に把握することができる。そして、施設毎にユーザの入退場に基づく種々の情報を得て、種々の分析を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態のプローブ情報処理システムの概略構成を説明するための図である。
【図2】実施の形態の携帯通信端末4の構成例を説明するためのブロック図である。
【図3】実施の形態のサーバ装置1の構成例を説明するためのブロック図である。
【図4】プローブ情報ファイル103に格納される格納データ(プローブ情報)の例を説明するための図である。
【図5】ユーザDB105の登録データの例を説明するための図である。
【図6】施設DB106の施設データの例について説明するための図である。
【図7】施設別集計ファイル110で管理される施設別集計データを説明するための図である。
【図8】入退場更新部107で行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】ユーザ情報更新部108で行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】入退場集計部109の処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照しながらこの発明の装置、方法、システムの一実施の形態について説明する。
【0018】
[システムの全体構成]
図1は、この実施の形態のプローブ情報処理システムの概略構成を説明するための図である。図1に示すように、この実施の形態のプローブ情報処理システムの基本的な構成は、サーバ装置1と携帯通信端末4(1)、4(2)、…とが、ネットワーク2を介して接続されたものである。さらに、ネットワーク2に接続される位置管理サーバ6が提供する情報が利用可能な構成になっている。
【0019】
サーバ装置1は、種々の携帯通信端末から送信されてくるプローブ情報を受信して処理することにより、プローブ情報を送信してきた携帯通信端末を持つユーザの種々の施設への入退場を把握するプローブ情報処理サーバとしての機能を実現する。すなわち、サーバ装置1は、この発明の装置、方法が適用されて実現されたものである。
【0020】
ネットワーク2は、種々の広域通信ネットワークを含むものである。ネットワーク2は、IP(Internet Protocol)網、公衆交換電話網(PSTN(Public Switched Telephone Network))、デジタル回線網(ISDN(Integrated Services Digital Network))などを含むものである。また、ネットワーク2は、図1に示すように、多数の基地局3(1)、3(2)、3IN(1)、…を含む携帯電話網や、wifiなどと呼ばれる無線LAN(Local Area Network)、wimaxなどと呼ばれる高速無線通信規格に準じた無線通信網などをも含むものである。
【0021】
携帯通信端末4(1)、4(2)、…としては、例えば、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistants)、タブレット端末あるいはパッド型端末などと呼ばれる情報端末など、通信機能を備えた種々のものが提供されている。この実施の形態において、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、種々の携帯通信端末の中でも普及率の高い携帯電話端末であるものとして説明する。
【0022】
携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、GPS機能を備え、少なくとも3個以上の人工衛星からの信号を受信して演算処理を行うことにより、自機の現在位置を測位することができるものである。また、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれのGPS機能は、いわゆるディファレンシャルGPSと呼ばれる技術を用い、高精度に自機の現在位置を測位することができるものである。
【0023】
なお、ディファレンシャルGPSは、位置の分かっている携帯電話端末網の基地局において、GPSによる測位を行い、当該基地局の実際の位置とGPSを用いて測位した位置とのずれを示す信号を生成して送信する。この基地局からの信号を各携帯通信端末4(1)、4(2)、…が受信し、各携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれにおいて、GPS機能により測位した自機の現在位置を補正することにより、より正確に自機の現在位置を測位できるようにするものである。
【0024】
そして、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、所定のタイミング毎に、プローブ情報を生成し、これをサーバ装置1に送信する機能を備える。当該プローブ情報は、少なくとも、自機を使用するユーザを識別することが可能な識別情報であるユーザIDと、現在時刻情報と、GPS機能を用いて測位して得た現在位置情報とを含むものである。
【0025】
なお、ユーザIDは、例えば、携帯通信端末4(1)、4(2)、…等の購入時などにおいて設定されるものを用いることができる。この他、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれに割り当てられている電話番号やSIMカード(Subscriber Identity Module Card)の固有IDを用いたりするなどのことが可能である。すなわち、ユーザIDは、携帯通信端末4(1)、4(2)、…等のそれぞれを利用するユーザを一意に特定することができる情報であればよい。
【0026】
そして、プローブ情報は、集計して統計情報として用いたり、端末を所持する個々人または団体、企業への位置情報提供サービスなどに用いられるものである。しかし、この実施の形態のプローブ情報処理システムにおいては、携帯通信端末4(1)、4(2)、…等のユーザの種々の施設への入退場を把握するために用いられる。
【0027】
なお、図1において、GPS衛星5(1)、5(2)、…は、地球周回軌道上に配備され、現在位置測位のためのいわゆるGPS信号を送信する約30基の人工衛星のうちの一部を示したものである。また、図1において、基地局3(1)、3(2)、…のそれぞれは、屋外に設置された携帯電話網の基地局である。また、屋外の基地局からの電波の届き難い屋内においても携帯電話端末の利用を可能にするため、例えば店舗などの種々の施設の屋内にも、図1において、基地局3IN(1)が示すように、携帯電話網に接続された小規模な基地局が設置されている場合もある。
【0028】
また、位置管理サーバ6は、電話会社側に設けられ、各基地局の番号、各基地局の設置位置の緯度および経度などを管理すると共に、基地局から送られてくる携帯電話端末の端末識別情報や当該携帯電話端末からの電波の受信電界強度の情報から、携帯電話端末の位置を三角測量の手法を用いて算出して管理する機能を備える。また、位置管理サーバ6は、算出した携帯電話端末の位置情報を当該携帯電話端末に送るなどの機能をも備える。
【0029】
これにより、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、GPS機能による現在位置の測位ができない場合であっても、位置管理サーバ6の機能により、自機の現在位置を把握することもできる。また、サーバ装置1が、位置管理サーバ6からの情報の提供を受けることによって、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれの現在位置を特定することもできる。
【0030】
そして、この実施の形態のプローブ情報処理システムにおいては、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、所定のタイミング毎に、プローブ情報を生成し、これをサーバ装置1に対して送信する。この実施の形態において、プローブ情報は、上述もしたように、少なくとも、携帯通信端末のユーザを識別することが可能な識別情報と、現在時刻情報と、GPS機能を用いて測位して得た現在位置情報とを含むものである。
【0031】
しかし、携帯通信端末4(1)、4(2)、…等を持ったユーザが、例えば店舗などの施設の屋内(屋根、壁によって屋外と隔てられた空間)に入ると、GPS衛星からのGPS信号を受信できなくなくなるために、GPS機能を用いた現在位置の測位ができない。この場合、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれでは、GPS機能により測位した現在位置情報を例えば空白としたプローブ情報を形成してサーバ装置1に送信する。
【0032】
そこで、サーバ装置1では、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれ毎に、プローブ情報がGPS機能により測位した現在位置情報を有する(存在する)状態から有しない(消失した)状態に変化した場合に、ユーザは施設の屋内に入場したと判別する。逆に、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれ毎に、プローブ情報がGPS機能により測位した現在位置情報を有しない(消失した)状態から有する(復活した)状態に変化した場合に、ユーザは施設の屋内から退場したと判別する。
【0033】
そして、何処の施設に入場したかは、例えば現在位置情報の消失直前のGPS機能により測位した現在位置情報を用いて、地図情報を参照することにより特定することができる。そこで、サーバ装置1において、施設毎に、携帯通信端末4(1)、4(2)、…を持つユーザの入退場を把握し、必要に応じてこれを利用することができるようにしている。これにより、比較的小規模な店舗へのユーザの入退場をほぼリアルタイムに把握することができるようになる。
【0034】
なお、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、電話会社側の位置管理サーバ6の機能により、GPS衛星5(1)、5(2)、…等からのGPS信号が受信できない場合であっても、自機の現在位置をほぼ正確に把握することができる。このため、GPS機能により測位される現在位置情報の消失/復活に基づいて、施設への入退場を把握し、位置管理サーバ6からの自機の現在位置情報に基づいて、自機のユーザが入場した、あるいは、退場した施設が何処かを正確に特定することもできる。
【0035】
また、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれからのプローブ情報には、経由してきた基地局の基地局IDが付加されている。このため、当該基地局IDにより例えば位置管理サーバ6により特定される基地局が、図1に示した屋内基地局3IN(1)などである場合には、当該プローブ情報を送信してきた携帯通信端末は、当該屋内基地局3IN(1)が設置された施設内に位置していると特定することもできる。基地局IDに基づく基地局の位置の問い合わせは、サーバ装置1から位置管理サーバ6に対して行うことができる。
【0036】
なお、この実施の形態において、携帯通信端末4(1)、4(2)、…のそれぞれは、基本的な構成は同じである。このため、以下においては特に区別して示す場合を除き、携帯通信端末4(1)、4(2)、…を総称して、携帯通信端末4という。また、以下においては、基地局3(1)、3(2)、…を総称して基地局3という。また、施設の屋内に設置される基地局3IN(1)、…を総称して、屋内基地局3INという。そして、以下では、まず、プローブ情報を生成してサーバ装置1に送信する携帯通信端末4の構成例を説明した後に、サーバ装置1の構成例とサーバ装置1において行われる処理の詳細について説明する。
【0037】
[携帯通信端末4の構成例]
まず、この実施の形態のプローブ情報処理システムで用いられる携帯通信端末4の構成例について説明する。図2は、この実施の形態の携帯通信端末4の構成例を説明するためのブロック図である。上述もしたように、この実施の形態のプローブ情報処理システムで用いられる携帯通信端末4は携帯電話端末として構成されたものである。
【0038】
図2に示すように、この実施の形態の携帯通信端末4は、ネットワーク2を通じて通信を行う部分として、送受信アンテナ401、送受信処理部402、受話器(スピーカ)403、送話器(マイクロホン)404を備えている。また、ユーザインターフェースを提供する部分として、キー操作部411、表示制御部412、表示部413、音声処理部414、スピーカ415を備えている。
【0039】
表示部413は、例えば、有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display)やLCD(Liquid Crystal Display)等のいわゆる薄型の表示素子が用いられている。また、音声処理部414とスピーカ415とは、着信音や警告音、その他の音声メッセージ等を出力するものである。また、図示しないが、携帯通信端末4は、バイブレータを備え、例えば、着信時に振動を発生させ、着信をユーザに通知するなどのこともできるようになっている。
【0040】
また、携帯通信端末4は、各部を制御する制御部420を備えている。制御部420は、CPU(Central Processing Unit)421、ROM(Read Only Memory)422、RAM(Random Access Memory)423、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)424が、CPUバス425を通じて接続されて形成されたコンピュータ装置である。CPU421は、ROM422やEEPROM424に記憶されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成して、これを各部に供給したり、各部から送信されてくるデータを受け付けて、これに応じた処理を実行したりする。ROM422は、CPU421において実行されるプログラムや処理に必要になる種々のデータが予め記録されたものである。
【0041】
また、RAM423は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、EEPROM424は、いわゆる不揮発性メモリであり、携帯通信端末4の電源を落としても保持しておくべきデータ等が記憶保持される。EEPROM424には、例えば、機能追加のための新たなプログラム、種々の設定パラメータ、電話帳データ、アプリケーションプログラムや機能アップのための追加プログラムなどが記憶保持される。
【0042】
さらに、携帯通信端末4は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供する時計回路431を備えると共に、外部入出力端子432、外部インターフェース(以下、外部I/Fと略称する。)433を備えている。また、携帯通信端末4は、GPS部434とGPSアンテナ435とを備えている。これらGPS部434とGPSアンテナ435とにより、上述もしたように、複数の人工衛星からのGPS信号(測位情報)を受信して演算処理することにより、自機の現在位置を正確に検出(測位)することができるようになっている。
【0043】
そして、携帯通信端末4は、プローブ情報生成部436を備えている。この実施の形態において、プローブ情報生成部436は、所定のタイミング毎に、時計回路431からの現在時刻情報、GPS部434からの現在位置情報、上述した位置管理サーバ6から提供される現在位置情報を含むプローブ情報を生成する。現在時刻情報は、現在年月日及び現在時刻からなるものである。また、現在位置情報は、緯度、経度からなるものである。プローブ情報生成部436で生成されたプローブ情報は、後述する制御部420及び送受信処理部402、送受信アンテナ401を通じてネットワーク2に送出され、サーバ装置1に送信される。
【0044】
このような構成を有する携帯通信端末4は、制御部420の制御により、送受信処理部402、送受信アンテナ401を通じて、ネットワーク2に情報を送出したり、ネットワーク2を通じて送信されてくる自機宛の情報を受信したりすることにより、種々の通信処理を行うことができるようになっている。
【0045】
また、携帯通信端末4は、実行可能な種々のアプリケーションプログラムなどを登録するようにしたメニューを備えている。当該メニューは、例えば、キー操作部411に設けられているメニューキーを押下操作するなどの所定の操作を行うことにより、制御部420が表示制御部412を通じて表示部413の表示画面に表示することができる。そして、制御部420は、キー操作部411を通じてユーザからの当該メニューに含まれる項目の選択入力を受け付け、ユーザによって選択された項目に対応するプログラムを実行することができるようになっている。
【0046】
また、携帯通信端末4において実行可能な種々のアプリケーションプログラムなどを登録するようにした当該メニューには、プローブ情報の送信を実行するための項目も設けられている。したがって、当該メニューのプローブ情報の送信を実行するための項目を選択することによって、携帯通信端末4のユーザは、所定のタイミング毎にプローブ情報を生成して送信する処理を開始させることができる。
【0047】
なお、プローブ情報の生成及び送信のタイミングは、例えば、30秒毎、1分毎、…のように、適宜のタイミングで行うことが可能である。しかし、後述もするように、施設への入退場を適切に把握するためには、あまり長い間隔のタイミングであることは好ましくない。そこで、この実施の形態の携帯通信端末4においては、例えば、1分毎などのタイミングでプローブ情報の生成及び送信を行うようにする。
【0048】
[サーバ装置1の構成例]
次に、この実施の形態のサーバ装置1の構成例について説明する。この実施の形態のサーバ装置1は、上述した携帯通信端末4からのプローブ情報を受信して処理するプローブ情報処理サーバとしての機能を実現するものである。図3は、この実施の形態のサーバ装置1の構成例を説明するためのブロック図である。
【0049】
図3に示すように、サーバ装置1は、ネットワーク2への接続端子101、通信I/F102、プローブ情報ファイル103を備える。また、サーバ装置1は、地図データベース(以下、地図DBと略称する。)104と、ユーザデータベース(以下、ユーザDBと略称する。)105と、施設データベース(以下、施設DBと略称する。)106とを備える。さらに、サーバ装置1は、入退場更新部107、ユーザ情報更新部108、入退場集計部109を備えると共に、施設別集計ファイル110と、施設別履歴ファイル111と、制御部120と、ハードディスクドライブ(以下、HDDと略称する。)130とを備える。
【0050】
制御部120は、サーバ装置1の各部を制御するものであり、図3に示すように、CPU121、ROM122、RAM123、EEPROM124が、CPUバス125を通じて接続されて構成されたコンピュータ装置である。CPU121は、ROM122やEEPROM124に記憶されているBIOS(Basic Input/Output System)などのいわゆるファームウェアや後述するHDD130に記憶されているアプリケーションソフトウェアを読み出して実行する。そして、CPU121は、各部への制御信号を形成し、これを関係する各部に供給したり、また、各部からのデータを受信してこれを処理したりする。
【0051】
ROM122は、CPU121によって実行される種々のファームウェアや処理に必要となるデータを予め記憶したものである。RAM123は、各種の処理において、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。EEPROM124は、書き換え可能ないわゆる不揮発性メモリであり、電源が落とされても保持しておくべきデータを記憶保持する。具体的に、EEPROM124は、BIOS等のファームウェア、各種設定パラメータなど、種々の情報を記憶保持するものである。
【0052】
また、HDD130は、記録媒体としてハードディスクを備え、制御部120の制御に応じて、当該ハードディスクに対して、書き込み/読み出しを行う。HDD130のハードディスクは、例えば、種々のアプリケーションプログラムや種々の処理により得られたデータ等を記憶保持する。
【0053】
接続端子101は、ネットワーク2との接続端部を形成するものである。この接続端子101に対して、ネットワーク2からの通信線路が接続される。通信I/F102は、ネットワーク2を通じて送信されてくる自機宛の種々の情報を受信し、これを自機において処理可能な形式の情報に変換して制御部120に供給する。また、通信I/F102は、制御部120を通じて供給される送信用の種々の情報を、ネットワーク2に送出する形式の信号に変換して、これをネットワーク2に送出する。
【0054】
プローブ情報ファイル103は、接続端子101及び通信I/F102を通じて受信した、多数のユーザの携帯通信端末4からのプローブ情報を蓄積するものである。図4は、プローブ情報ファイル103に格納される格納データ(プローブ情報)の例を説明するための図である。
【0055】
図4に示すように、この実施の形態のプローブ情報ファイル103は、ユーザID毎(ユーザ別)に、日時情報、測位位置情報、提供位置情報からなるプローブ情報を蓄積する構成になっている。ユーザIDは、送信されてくるプローブ情報に含まれるものと同じものであり、上述もしたように、携帯通信端末4を利用するユーザを一意に特定することができる情報である。また、日時情報、測位位置情報、提供位置情報のそれぞれは、プローブ情報に含まれる情報であるが、この内、測位位置情報は、携帯通信端末4のGPS機能により測位された現在位置情報であり、提供位置情報は、上述した位置管理サーバ6から携帯電話端末4が提供を受けた現在位置情報である。
【0056】
そして、図4に示したプローブ情報ファイルの蓄積データの例は、ユーザIDが「00001」であるユーザについての例である。この例の場合、ユーザIDが「00001」であるユーザが2011年6月10日の14時10分20秒にいた位置(緯度、経度)は、測位位置情報では(X11、Y11)であり、提供位置情報では(X21、Y21)であることが示されている。
【0057】
また、ユーザIDが「00001」であるユーザが2011年6月10日の14時11分20秒にいた位置(緯度、経度)は、測位位置情報では把握されず、提供位置情報では(X22、Y22)であることが示されている。同様に、ユーザIDが「00001」であるユーザが2011年6月10日の15時20分20秒にいた位置(緯度、経度)は、測位位置情報では把握されず、提供位置情報では(X22、Y22)であることが示されている。
【0058】
したがって、ユーザIDが「00001」であるユーザは、2011年6月10日の14時10分20秒の時点では屋外に位置していたが、少なくとも、2011年6月10日の14時11分20秒以降の時点においては、GPS機能により現在位置が測位できない位置、すなわち、何らかの施設の屋内に入った(入場した)と判別(認識)することができる。
【0059】
逆に、送信されてくるプローブ情報が、測位位置情報が存在しない状態から、測位位置情報が存在する(復活した)状態に変わった場合には、当該ユーザは、入場していた施設から出た(退場した)と判別(認識)することができる。このように、ユーザ毎に、プローブ情報を蓄積していき、測位位置情報の有無の変化を検出することにより、施設への入退場を判別することができる。
【0060】
なお、測位位置情報が示す位置と、提供位置情報とが示す位置とは、通常はほぼ同じ位置となるが、完全に同じではなく、若干の誤差を含む場合もある。このように、プローブ情報ファイル103は、携帯電話端末4のユーザ毎に、携帯通信端末4から送信されてくるプローブ情報をプローブ情報に含まれる現在時刻情報に応じた時系列順に蓄積するものである。
【0061】
地図DB104は、この実施の形態においては、日本国内の詳細な地図情報を記憶保持するものである。当該地図情報は、山、川、街、道路、鉄道路線、各種店舗、病院、医院、学校、警察署、消防署、神社仏閣、行政界などの種々のランドマーク、施設、行政区域などの位置や大きさなどを正確に表すことができるようにされたものである。そして、地図DB104は、日本全国の地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータ等の地図データ(地図用の描画データ)を緯度・経度情報に対応付けて記憶保持する。また、地図DB104は、地図上に表示する注記データについても、緯度・経度情報に対応付けて記憶保持する。
【0062】
ユーザDB105は、当該サーバ装置1に対してプローブ情報を送信する携帯通信端末4のユーザについての種々の情報を記憶保持するものである。図5は、ユーザDB105の登録データの例を説明するための図である。図5に示すように、この実施の形態において、ユーザDB105には、ユーザID、氏名、性別、生年月日、電話番号、電子メールアドレス、現住所、家族構成、職業等、勤務地等、収入、趣味、立ち寄り先、その他からなるデータが登録される。
【0063】
ユーザIDは、図4のプローブ情報ファイル103で用いられるユーザIDと同じものである。その他の情報は、基本的には、携帯通信端末4の購入時などにおいて、ユーザによって登録される。そして、氏名、性別、生年月日、電話番号、電子メールアドレスは、基本的には変わることのない固定情報である。しかし、電話番号や電子メールアドレスは、ユーザの希望に応じて変更可能であり、その場合にはユーザからの要求等に応じて変更することができるようにする。
【0064】
また、現住所、家族構成、職業等、勤務地等、収入、趣味、立ち寄り先、その他の各情報もまた、最初はユーザによって登録することができるようにする。しかし、その後においては、携帯通信端末4から送信されるプローブ情報を所定期間分収集して解析することにより、更新することもできる。このような、ユーザDB105のユーザ情報を更新する機能もまた、この実施の形態のサーバ装置1の機能として実現される。
【0065】
施設DB106は、携帯通信端末4を持つ種々のユーザの入退場の状態を把握したい店舗、病院、医院、学校、公共機関などといった種々の施設についての情報を予め記憶保持するものである。図6は、この実施の形態の施設DB106で管理される施設データの例について説明するための図である。図5に示すように、この実施の形態おいて、施設DB106には、施設ID、施設名、所在地、営業時間、定休日、業種、その他からなる施設データが登録される。
【0066】
この実施の形態において、施設DB106の施設データは、地図DB104の地図情報やインターネット上のサーバに開示されているWebページ等の情報に基づいて、自動的に生成することができる。すなわち、施設IDは、施設データの登録時に自動的に付与される。施設名、所在地(住所や緯度、経度)は、地図DB104の地図情報から取得することができる。また、営業時間、定休日、業種は、例えば、施設名や住所によって特定されるインターネット上のサーバに開示されているWebページ等の情報から取得することができる。
【0067】
なお、施設DB106へは、サーバ装置1の管理者が、図示しないキー操作部を通じて手動で入力することにより、登録することも可能である。このように、手動で入力できるようにしておくことにより、新しく開設された施設についての情報を、地図DB104への反映よりも先に登録することができ、また、インターネット上のWebページ等から必要な情報が取得できなかった時にも必要な情報の入力が行える。
【0068】
施設別集計ファイル110は、プローブ情報ファイル103に蓄積されるプローブ情報と、地図DB104の情報と、施設DB106の情報とに基づいて、施設別に携帯通信端末4を持ったユーザの入退場の状況を管理するデータを保持する。図7は、この実施の形態の施設別集計ファイル110で管理される施設別集計データを説明するための図である。この図7に示す施設別集計ファイル110により、1日分の施設別の入退場の状況を管理することができる。
【0069】
図7に示すように、この実施の形態の施設別集計ファイル110の施設別集計データは、各施設を特定することができる情報として、施設ID、施設名、所在地のそれぞれを示す情報を有する。そして、施設毎であって、時間帯別に、ユーザの入場(IN)、退場(OUT)、滞留(滞在)のそれぞれを、総数で把握することができると共に、ユーザIDによってユーザ毎にも把握することができるようにしている。
【0070】
この実施の形態のサーバ装置1においては、1時間毎の時間帯別に、ユーザの入場者数と入場したユーザのユーザID、ユーザの退場者数と退場したユーザのユーザID、ユーザの滞留者数と滞留しているユーザのユーザIDを把握できるようにしている。そして、入場者数や退場者数は、後述もするが、プローブ情報に基づいて直接に数えることができる。これに対して、滞留者数は計算により求められる。すなわち、直前の時間帯の滞留者数に当該時間帯の入場者数を加算し、ここから当該時間帯の退場者数を減算したものが、当該時間帯の滞留者数となる。
【0071】
また、ユーザIDについても、同様にして把握することができる。すなわち、入場者IDや退場者IDは、プローブ情報に基づいて直接に特定することができる。そして、滞留者IDは、直前の時間帯の滞留者IDと当該時間帯の入場者IDとの中から、当該時間帯の退場者IDを消去すると、当該時間帯の滞留者IDが残ることになる。
【0072】
また、この実施の形態のサーバ装置1においては、プローブ情報に基づいて、施設に入場したと判別されたユーザについては、そのユーザが当該施設にどのような移動手段を用いて到達したかについても把握するようにしている。簡単には、当該ユーザのプローブ情報に基づいて、当該ユーザの移動経路や移動状況を把握すると共に、例えば、当該施設にいたる直前の所定距離における移動時間に基づいて、当該ユーザの移動速度を求める。そして、当該ユーザについての把握した移動経路や移動状況と、求めた移動速度とに応じて、当該ユーザの移動手段を特定する。
【0073】
ここで、移動手段は、徒歩(Walk)、自転車(Bicycle)、自動車(Car)、バス(Bus)、電車(Train)などである。そして、所定距離における移動速度が、例えば、時速5km未満であれば移動手段は徒歩であり、時速5km以上かつ時速30km未満であれば移動手段は自転車であると判別することができる。また、移動速度が時速30km以上であって、把握した移動経路が鉄道軌道上を通ることもなく、把握した移動状態がバス停で停止することもない場合には、移動手段は自動車であると判別することができる。
【0074】
また、移動速度が時速30km以上であって、把握した移動経路が鉄道軌道上を通っている場合には、移動手段は電車であると判別することができる。また、移動速度が時速30km以上であって、把握した移動状態がバス停で停止する態様(パターン)になっている場合には、移動手段はバスであると判別することができる。また、プローブ情報を考慮する期間を長くした場合であって、複数の移動手段を用いた場合には、そのそれぞれを把握することもできる。
【0075】
そして、図7に示した例は、施設IDが「123456」である施設についての入退場の状況を管理するデータの例を示している。この例の場合、午前9時台に、4名の入場者があり、その内訳は、ユーザIDが、001、019、032、041であるユーザであることが把握されている。なお、図7においては、説明を簡単にするため、ユーザIDは3桁で示している。しかし、ユーザIDは、例えば、図4、図5に示したように、5桁あるいはそれ以上の桁数となる場合もある。
【0076】
また、午前9時台の入場者の内、ユーザIDが001のユーザの移動手段は徒歩(W)であり、ユーザIDが019のユーザの移動手段は自動車(C)であると判別されている。また、ユーザIDが032のユーザの移動手段は自転車(B)であり、ユーザIDが041のユーザの移動手段はバス(Bus)であると判別されている。
【0077】
また、図7に示した例の場合、午前9時台の退場者数は1名であり、その内訳は、ユーザIDが001のユーザであることが把握されている。したがって、午前9時台の滞留者数は3名であり、その内訳は、ユーザIDが、019、032、041であるユーザであることが把握されている。
【0078】
同様に、図6に示した例の場合、午前10時台に、3名の入場者があり、その内訳は、ユーザIDが、003、005、123であるユーザであることが把握されている。この場合、ユーザIDが003のユーザの移動手段は電車(T)であり、ユーザIDが005のユーザの移動手段は徒歩(W)であり、ユーザIDが123のユーザの移動手段は自動車(C)であると判別されている。
【0079】
そして、図6に示した例の場合、午前10時台の退場者数は2名であり、その内訳は、ユーザIDが019と032のユーザであることが把握されている。したがって、午前10時台の滞留者数は前の時間帯からの滞留者を含め4名であり、その内訳は、ユーザIDが、041、003、005、123であるユーザであることが把握されている。
【0080】
このように、施設別集計ファイル110では、当日1日分の各施設の時間帯別に、入場者、退場者、滞留者についての、数とユーザの別とを把握するようにできる。なお、ここでは、1時間毎の時間帯別に、ユーザの入退場を管理するものとして説明したが、これに限るものではない。時間帯を、2時間毎、3時間毎、4時間毎、…というように、適宜の長さの時間帯とすることができる。すなわち、目的に応じた時間帯とすることが可能である。
【0081】
そして、施設別履歴ファイル111は、図7を用いて説明した1日分の施設別の入退場の状況を管理する施設別集計ファイル110のデータを、施設別であって、日にち別に蓄積するものである。この施設別履歴ファイル111に蓄積されたデータに基づいて、詳しくは後述もするが、曜日別、天候別、季節別といった種々の区分(計数属性条件)に応じて、施設毎の入退場の状況を集計するなどのことができるようになる。
【0082】
そして、入退場更新部107、ユーザ情報更新部108、入退場集計部109の各部が、施設毎のユーザの入退場を把握して、分析することを可能にするための部分である。以下、各部について説明する。
【0083】
入退場更新部107は、受信したプローブ情報のプローブ情報ファイル103への蓄積処理や施設別集計ファイル110や施設別履歴ファイル111の更新処理を行う。図8は、入退場更新部107で行われる処理を説明するためのフローチャートである。ここでは、図8のフローチャートを参照しながら、入退場更新部107で行われる処理について説明する。
【0084】
図8に示すフローチャートの処理は、サーバ装置1が可動中においては、制御部120の制御に応じて、入退場更新部107において常時実行するようにされている。そして、まず、入退場更新部107においては、サーバ装置1の図示しない時計回路が提供する現在時刻に基づいて、日付が変わったか否かを判別する(ステップS101)。このステップS101の判別処理は、1日分の各施設への入退場を管理する施設別集計ファイル103への当該1日分の集計が終了したか否かを判別する処理である。
【0085】
ステップS101の判別処理において、日付が変わったと判別したときには、入退場更新部107は、施設別履歴ファイル111と施設別集計ファイル110の更新処理を実行する(ステップS102)。ステップS102では、施設別集計ファイル110の施設別集計データが、施設別履歴ファイル111に施設別、日にち別のデータとして移し替えられた後に、施設別集計ファイル110のデータがクリアされる。
【0086】
そして、ステップS102の処理の後、または、ステップS101において、日付は変わっていないと判別したときには、ステップS103の処理に進む。そして、入退場更新部107は、自機がプローブ情報を受信したか否かを判別し(ステップS103)、受信していないと判別したときには、ステップS101からの処理を繰り返し、プローブ情報の受信待ちとなる。
【0087】
ステップS103において、自機がプローブ情報を受信したと判別したときには、入退場更新部107は、受信したプローブ情報を制御部120を通じてプローブ情報ファイル103に格納する(ステップS104)。プローブ情報ファイル103は、図4を用いて説明したように、ユーザ毎であって、日時情報に応じた時系列順にプローブ情報をプローブ情報ファイル103に格納する。
【0088】
そして、入退場更新部107は、プローブ情報ファイル103の同じユーザのプローブ情報に基づいて、それまでのプローブ情報は測位位置情報を有しているのに、新たに受信したプローブ情報では測位位置情報が消失したか否かを判別する(ステップS105)。すなわち、ステップS105では、同じユーザのプローブ情報について、測位位置情報(GPS機能を用いて測位した現在位置情報)を有する状態から有しない状態に遷移したか否かを判別する。
【0089】
ステップS105の判別処理において、測位位置情報が消失した状態に遷移したと判別したときには、入退場更新部107は、受信したプローブ情報を送信してきた携帯通信端末4のユーザの移動手段を判別する(ステップS106)。ステップS106では、上述したように、プローブ情報ファイル103に蓄積されている当該ユーザの所定期間分のプローブ情報に基づいて、当該ユーザの移動軌跡と移動状況を把握すると共に、移動速度を求め、これらに応じて当該ユーザの移動手段を特定する。
【0090】
次に、入退場更新部107は、今回受信したプローブ情報の直前のプローブ情報の測位位置情報と地図DB104の地図データとに基づいて、ユーザが入場した施設の位置を特定し、その位置に応じて施設DB106を参照し、当該施設の施設IDをも特定する(ステップS107)。なお、ここでは、今回受信したプローブ情報の直前のプローブ情報の測位位置情報を用いるものとして説明したが、これに限るものではない。今回受信したプローブ情報の提供位置情報(位置管理サーバ6から提供された現在位置情報)を用いて、入場した施設を特定するようにしてもよい。
【0091】
そして、入退場更新部107は、施設集計ファイル110に格納されている対応する施設(今回入場した施設)の施設集計データの対応する時間帯の入場情報(IN情報)と滞留情報の欄を更新する処理を行う(ステップS108)。なお、時間帯は、最新に受信したプローブ情報の日時情報により、あるいは、サーバ装置1において、最新のプローブ情報の受信時刻に基づいて特定することができる。プローブ情報の受信時刻は、図示しないが、サーバ装置1が有する時計回路が提供する現在時刻を用いることができる。この後、ステップS101からの処理が繰り返される。
【0092】
また、ステップS105の判別処理において、測位位置情報が消失した状態に遷移していないと判別したときには、入退場更新部107は、ステップS109の判別処理を行う。すなわち、入退場更新部107は、プローブ情報ファイル103の同じユーザのプローブ情報に基づいて、それまでのプローブ情報は測位位置情報を有していないのに、今回受信したプローブ情報では測位位置情報が復活したか否かを判別する(ステップS109)。換言すれば、ステップS109の処理は、同じユーザのプローブ情報について、測位位置情報が消失した状態から測位位置情報が復活(復帰)した状態に遷移したか否かを判別する処理である。
【0093】
ステップS109の判別処理において、測位位置情報が復活した状態に遷移したと判別したときには、入退場更新部107は、それまで入場していた施設がどこかを確認する(ステップS110)。具体的に、入退場更新部107は、今回受信したプローブ情報の測位位置情報と地図DB104の地図データとに基づいて、ユーザが入場していた施設の位置を確認し、その位置に応じて施設DB106を参照し、当該施設の施設IDをも特定する(ステップS110)。なお、直前まで測位位置情報が消失していたプローブ情報の提供位置情報(位置管理サーバ6から提供された現在位置情報)を用いて、入場していた施設を確認し、特定するようにしてもよい。
【0094】
そして、入退場更新部107は、施設集計ファイル110に格納されている対応する施設(今回退場した施設)の施設集計データの対応する時間帯の退場情報(OUT情報)と滞留情報の欄を更新する処理を行う(ステップS111)。ここで、時間帯は、ステップS108の処理の場合と同様に、最新に受信したプローブ情報の日時情報により、あるいは、サーバ装置1において、最新のプローブ情報を受信した時刻に基づいて特定することができる。ステップS111の処理の後においては、ステップS101からの処理が繰り返される。
【0095】
また、ステップS109の判別処理において、測位位置情報が復活した状態に遷移していないと判別したときには、ステップS105、ステップS109の判別処理を通じて、プローブ情報の測位位置情報は消失も復活もしていないことが分かる。すなわち、プローブ情報の測位位置情報は継続して存在していることになる。この場合、入退場更新部107は、施設別集計ファイル110への更新処理等は行わず、ステップS101からの処理が繰り返される。
【0096】
このように、入退場更新部107は、受信したプローブ情報に基づいて、プローブ情報ファイル103、施設別集計ファイル110、施設別履歴ファイル111のそれぞれに対して、それぞれのファイルに応じたデータの更新処理を行う。また、入退場更新部107は、施設に入場したユーザの移動手段を特定する特定手段としての機能をも実現している。
【0097】
ユーザ情報更新部108は、プローブ情報ファイル103に蓄積されるユーザ毎のプローブ情報に基づいて、図5を用いて説明したユーザDB105の情報に変化が生じたことを検出した場合に、当該情報を更新する処理を行う。図9は、ユーザ情報更新部108で行われる処理を説明するためのフローチャートである。ここでは、図9フローチャートを参照しながら、ユーザ情報更新部108で行われる処理について説明する。
【0098】
ユーザ情報更新部108は、例えば、1ヶ月毎などの所定のタイミングで、図9に示す処理を実行する。そして、ユーザ情報更新部108は、まず、ユーザ別に、所定の期間分(例えば、直近の過去1ヶ月分)のプローブ情報を抽出する(ステップS201)。そして、ユーザ情報更新部108は、抽出したプローブ情報に基づいて、分析対象のユーザのユーザIDを特定する(ステップS202)。
【0099】
そして、ユーザIDを特定したユーザの所定期間分のプローブ情報と地図DB104の地図情報とをマッチングさせ、当該所定期間における当該ユーザの移動経路(行動パターン)を特定する(ステップS203)。この後、ユーザ情報更新部108は、ステップS203の特定結果に基づいて、当該ユーザの立寄り場所、立寄り時刻、当該立寄り場所についての滞在時間、各立寄り場所への立寄り周期等を把握し、これに基づき、現住所、職業等、勤務地等、収入、趣味、子供有無等を把握する(ステップS204)。
【0100】
すなわち、引越しにより現住所が変わった場合や就職や転職、進学等により職業等や勤務地等が変わった場合には、プローブ情報に応じてユーザの行動軌跡を解析することにより、それらの変化後の状態を検出することができる。このため、上述したように、所定期間分のプローブ情報を、地図上に展開することにより、立寄り場所、立寄り時刻、当該立寄り場所についての滞在時間、各立寄り場所への立寄り周期等を把握し、これに基づいて、現住所、職業等、勤務地等を把握することができる。
【0101】
また、特定した立寄り先に基づいて、勤務先やアルバイト先を特定すると共に、ユーザの年齢や勤務時間(滞在時間)、インターネット上に開示されている当該勤務先やアルバイト先の賃金情報、一般的な賃金相場の情報等に基づいて、大まかにユーザの収入を予想することも出来る。また、特定した立寄り先や休日の外出先に基づいて、趣味を特定することもできるし、特定した立寄り先に基づいて、保育園や幼稚園などに毎日ほぼ決まった時間に立ち寄っている場合には、子供がいることが分かるなど、種々の解析が可能となる。
【0102】
さらに、ユーザ情報更新部108は、ステップS204において、現住所として特定した場所を立寄り先とする他のユーザの有無を確認し、同居の家族を把握する(ステップS205)すなわち、特定した現住所に、長時間にわたって立寄る他のユーザが存在する場合には、当該他のユーザはステップS202で特定したユーザIDのユーザの家族であると判別することができる。
【0103】
そして、ユーザ情報更新部108は、ステップS202で特定したユーザIDに基づいて、ユーザDBの登録情報を参照し、ステップS204、ステップS205で把握した情報に基づいて、未登録情報や変更情報を更新する(ステップS206)。すなわち、ステップS206では、ステップS204、ステップS205で把握した情報と、ユーザDB105の登録情報とで異なっている場合には、その異なっている情報を最新に把握した情報に変更する。
【0104】
この後、ユーザ情報更新部108は、抽出したプローブ情報をユーザ毎にすべて処理したか否かを判別する(ステップS207)。ステップS207の判別処理において、抽出したプローブ情報をユーザ毎にすべて処理していないと判別したときには、ステップS202からの処理を繰り返し、次のユーザについてのプローブ情報の分析処理とユーザDB105の更新処理とを行う。ステップS207の判別処理において、抽出したプローブ情報をユーザ毎にすべて処理したと判別したときには、この図9に示す処理を終了する。
【0105】
このように、ユーザ情報更新部108は、プローブ情報を解析することにより、ユーザDB105に登録されている登録情報に変化が生じたことを検出した場合に、ユーザDB105の登録データを変化後の情報に自動的に修正することができる。したがって、ユーザDB105の登録データに変化が生じても、ユーザが変更処理を一々行うことなく、自動的に正しいデータに更新することができる。
【0106】
入退場集計部109は、施設別集計ファイル110の施設別集計データと施設別履歴ファイル111の施設別履歴データとの一方または両方を集計処理することにより、施設別の種々の集計値を算出する処理を行う。ここで集計された情報は、携帯通信端末4を通じてユーザに提供することができる。また、当該集計された情報を各施設の運営者に資料として提供することもできる。
【0107】
図10は、入退場集計部109の処理を説明するための図である。図10に示すように、入退場集計部109は、施設別集計ファイル110と施設別履歴ファイル111とをインプットファイルとし、ユーザDB105、施設DB106、気象履歴DB130を参照ファイルとして用いて施設別の種々の集計値を算出する。
【0108】
気象履歴DB130は、少なくとも地域別の過去の天気、気温、湿度、降水量、降雪量、風向、風速などの情報を記憶保持するものである。ここで、地域別は、例えば、地方別、都道府県別、市町村別、特別区別などのいわゆる行政界によって区分けされる区域別や、日本全国を1辺が5km程度の矩形領域(メッシュ)に分割した場合の領域別などである。そして、気象履歴DB130は、この実施の形態のサーバ装置1が備える構成とすることも可能であるが、例えば、気象予報会社などによって、ネットワーク2上に設けられたものを、サーバ装置1がアクセスして必要な情報を得るようにすることもできる。
【0109】
そして、入退場集計部109は、施設別集計ファイル110の集計データを用いることによって、(1)当日の施設別、時間帯別の混雑具合を示す情報を形成することができる。また、入退場集計部109は、施設別履歴ファイル111の履歴データを用いることによって、(2)施設別、日にち別、時間帯別の混雑具合を示す情報を形成することができる。また、入退場集計部109は、施設別集計ファイル110の集計データと施設別履歴ファイル111の履歴データを用いることによって、(3)施設別であって、曜日別あるいは天候別あるいは季節別などの所定の区分毎の混雑具合を示す情報を形成することができる。
【0110】
また、入退場集計部109は、施設別集計ファイル110の集計データと施設別履歴ファイル111の履歴データを用いることによって、(4)施設別に入場者の移動手段毎の集計値を把握したり、ユーザDBの登録情報をも考慮することによって、(5)施設別に入場者の個人属性の集計値を把握したりすることもできる。ここで、個人属性は、例えば、性別、年齢、職業、収入、趣味等である。これにより、例えば、男性の入場者の多い施設、女性の入場者の多い施設を把握したり、施設毎に、入場の多いユーザの、性別、年齢、職業、収入、趣味等を把握したりすることも可能となる。また、施設DB106の登録情報である営業時間や定休日を考慮するなどのことも可能である。
【0111】
もちろん、図10において、(1)〜(5)に示した情報や集計値は一例であり、その他の種々の集計を行うことももちろん可能である。例えば、施設別であって、時間帯別の入場者の移動手段の集計や、施設別であって、時間帯別の入場者の個人属性の集計などを行うこともできる。すなわち、少なくとも、上記(1)〜(5)を種々に組み合わせた集計値などを算出することが可能である。また、施設毎といった縛りを外し、総合計を算出することももちろん可能である。
【0112】
すなわち、入退場集計部109は、時間帯別、日にち別、曜日別、天候別、季節別、あるいはこれらの組み合わせといった種々の計数属性条件にしたがって種々の集計処理を行うことができるものである。また、ユーザDB105の登録情報をも考慮することによって、ユーザの個人属性をも用いた集計処理を行こともできる。
【0113】
そして、入退場集計部109は、上述もしたように、例えば、携帯通信端末4を通じてのエンドユーザからの要求に応じて、目的とする1以上の施設の現在の混雑状況や、過去の混雑状況などを提供することができる。また、各施設の運営者が、パーソナルコンピュータなどを通じてサーバ装置1にアクセスし、自分が運営する施設の上述したような種々の情報の提供を受けるようにすることもできる。
【0114】
このように、サーバ装置1は、各携帯通信端末4からのプローブ情報を受け付けて、施設毎のユーザの入退場を正確に把握し、これを用いて施設毎に混雑具合等を多方面から把握、分析することができるようにしている。
【0115】
[実施の形態の効果]
このように、この実施の形態のサーバ装置1においては、携帯通信端末4からのプローブ情報に含まれる測位位置情報(GPS機能を用いて測位された現在位置情報)の消失と復活に基づいて、施設毎に入場と退場とを正確に検出し、これを把握することができる。特に、施設の屋内への入場、退場について正確に検出することができる。
【0116】
また、サーバ装置1では、施設への入場、退場が検出された場合に、当該施設を特定すればよい。したがって、GPS機能を用いて測位される現在位置情報と地図情報とを常時マッチングさせることも無いため、携帯通信端末4やサーバ装置1における処理の軽減を図ることができる。
【0117】
[変形例]
また、上述した実施の形態においては、携帯通信端末4が、位置管理サーバ6から現在位置情報(提供位置情報)の提供を受けて、これをもプローブ情報に含めてサーバ装置1に送信するものとして説明した。しかし、これに限るものではない。GPS機能により測位された現在位置情報である測位位置情報が存在しないプローブ情報を送信してきた携帯通信端末4を、当該プローブ情報のユーザIDにより特定する。そして、この特定した携帯通信端末4の提供位置情報を、サーバ装置1から位置管理サーバ6に要求し、サーバ装置1が位置管理サーバ6から直接に提供を受けるようにしてもよい。これにより、サーバ装置1が独自にプローブ情報を送信してきた携帯通信端末4の現在位置を、当該携帯通信端末4からのプローブ情報に頼ることなく特定することができる。
【0118】
また、店舗などの施設内には、図1に示したように屋内基地局(施設内ローカル基地局)3INが設けられている場合もある。そして、各携帯通信端末4から送信されたプローブ情報などの送信情報には、経由してきた基地局の基地局IDも含まれる。そこで、サーバ装置1では、携帯通信端末4からのプローブ情報に測位位置情報が含まれていない場合には、そのプローブ情報に含まれる経由してきた基地局IDに基づいて、位置管理サーバ6に問い合わせを行うことにより、当該携帯通信端末4が入場している施設を特定することもできる。
【0119】
このように、サーバ装置1は、携帯通信端末4からのプローブ情報(通信情報)が屋内基地局を経由した情報となることを利用して、携帯通信端末4の入場した施設を特定することができる。もちろん、消失直前の測位位置情報や提供位置情報をも共に考慮する構成としてももちろんよい。
【0120】
また、上述した実施の形態においては、プローブ情報の測位位置情報が有る状態から消失した状態に遷移した場合に、サーバ装置1は当該携帯通信端末4を持つユーザが施設に入場したと判別するようにした。同様に、プローブ情報の測位位置情報が消失した状態から復活した状態に遷移した場合に、サーバ装置1は当該携帯通信端末4を持つユーザが施設から退場したと判別するようにした。しかし、これに限るものではない。
【0121】
測位位置情報が有る状態から2回以上の所定回、測位位置情報が消失したプローブ情報を送信してきた場合に、当該携帯通信端末4を持つユーザが施設に入場したと判別するようにしてもよい。また、測位位置情報が消失した状態から2回以上の所定回、測位位置情報が復活したプローブ情報を送信してきた場合に、当該携帯通信端末4を持つユーザが施設から退場したと判別するようにしてもよい。
【0122】
この場合、簡単には、図8に示した処理のステップS105の処理で、測位位置情報が消失したプローブ情報を所定回受信したことを確認した場合に、ステップS106の処理に進み、所定回未満回場合には、ステップS101からの処理を繰り返すようにすればよい。また、図8に示した処理のステップS109の処理で、測位位置情報が復活したプローブ情報を所定回受信したことを確認した場合に、ステップS110の処理に進み、所定回未満回場合には、ステップS101からの処理を繰り返すようにすればよい。この場合の、測位位置情報が消失したプローブ情報の受信回数や測位位置情報が復活したプローブ情報の受信回数は、プローブ情報の送信間隔等に応じて、適宜の回数とすることができる。
【0123】
また、携帯通信端末4から送信されてくるプローブ情報の測位位置情報や提供位置情報と地図情報とから、店舗などの施設内に携帯通信端末4が在り、その施設内への滞留時間(滞在時間)を加味して、施設への入場を検出するようにすることもできる。すなわち、測位位置情報の消失、復活に応じて施設への入場、退場を検出するようにした場合であって、入場してすぐに退場したことが検出された場合には、入退場の実績を正確にカウントできない場合があると考えられる。例えば、実際には施設に入場していなかったのに、建物の庇や樹木等の影響により、1回だけGPS機能を用いた現在位置の測位ができなかったような場合が発生する可能性もある。
【0124】
そこで、上述したように、プローブ情報の測位位置情報の消失と復活とに基づいて、施設への入場、退場を検出するが、入場から退場までの滞留時間が、予め決められた時間以上である場合に、当該施設への入場/退場が発生したと判別するようにしてもよい。これにより、精度良く施設への入退場を検出することができる。なお、滞留時間は、例えば、3分以上、5分以上、10分以上などというように、入退場検出の目的に応じて適宜の値とすることができる。
【0125】
また、上述した実施の形態においては、サーバ装置1は、携帯通信端末4から送信されてくるプローブ情報をリアルタイムに処理するものとして説明した。しかし、これに限るものではない。携帯通信端末4からのプローブ情報を蓄積しておき、所定のタイミングで蓄積したプローブ情報に基づき施設別集計ファイル110や施設別履歴ファイル111を更新するようにしてもよい。すなわち、蓄積したプローブ情報をバッチ処理することも可能である。
【0126】
また、上述した実施の形態においては、携帯通信端末4は、単に所定のタイミング毎に、プローブ情報を生成して送信する機能を有するものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、携帯通信端末4からのプローブ情報を、施設への入退場の検出のみに使用することが前提の場合には、携帯通信端末4において、施設への入退場を検出し、これをサーバ装置1に通知するようにしてもよい。
【0127】
すなわち、携帯通信端末4において、測位位置情報が測位可能な状態から測位不能な状態になったことを検出したとする。この場合、当該携帯通信端末4は、ユーザIDと、施設に入場したことを示す情報と、最新に測位された測位位置情報と、現在時刻とを含む入場情報を形成してサーバ装置1に送信する。これにより、サーバ装置1では、当該入場情報の測位位置情報に基づいて地図情報を参照することにより、入場した施設を特定することができると共に、その施設についての対応する時間帯の入場情報を更新することができる。
【0128】
また、携帯通信端末4において、測位位置情報が測位不能な状態から測位可能な状態になったことを検出したとする。この場合、当該携帯通信端末4は、ユーザIDと、施設から退場したことを示す情報と、最新に測位された測位位置情報と、現在時刻とを含む退場情報を形成してサーバ装置1に送信する。これにより、サーバ装置1では、当該退場情報の測位位置情報に基づいて地図情報を参照することにより、退場した施設を確認することができると共に、その施設についての対応する時間帯の退場情報を更新することができる。
【0129】
このように、携帯通信端末4側で施設への入退場を検出するようにした場合であっても、上述したように、位置管理サーバ6からの提供位置情報を利用したり、通信情報である入場情報や退場情報に含まれる、当該通信情報が経由してきた基地局の基地局IDによって、入場したり、退場したりした施設を特定することもできる。
【0130】
このように、携帯通信端末4側で施設への入退場を検出するようにした場合には、入退場の検出時においてのみ、入場情報や退場情報を形成して送信すればよいので、携帯通信端末4とサーバ装置1との間の通信量を低減することができる。しかし、携帯通信端末4からのプローブ情報は、通常は歩行者ナビゲーションサービスやいわゆるコンシェルジェサービスなどで利用されている。このため、既に利用されている携帯通信端末4からのプローブ情報をそのまま用いることにより、携帯通信端末4側は何も変更することなく、施設毎の入退場を適切に把握できるようにするサーバ装置、方法、システムを実現できる。
【0131】
[その他]
なお、上述した実施の形態においては、サーバ装置1の接続端子101、通信I/F102が主に受信手段としての機能を実現し、入退場更新部107が、入場判別手段、退場判別手段としての機能を実現している。そして、サーバ装置1の施設別集計ファイル110、施設別履歴ファイル111が、判別結果保持手段としての機能を実現している。
【0132】
また、サーバ装置1の入退場集計部109が、第1、第2、第3の集計手段としての機能を実現している。また、サーバ装置1の接続端子101、通信I/F102、制御部120が気象情報取得手段としての機能を実現し、プローブ情報ファイル103が蓄積手段としての機能を実現している。また、サーバ装置1の入退場更新部107が、ユーザの移動手段を特定する特定手段としての機能をも実現している。
【符号の説明】
【0133】
1…サーバ装置、101…接続端子、102…通信I/F、103…プローブ情報ファイル、104…地図DB、105…ユーザDB、106…施設DB、107…入退場更新部、108…ユーザ情報更新部、109…入退場集計部、110…施設別集計ファイル、111…施設別履歴ファイル、120…制御部、2…ネットワーク、3…基地局、4…携帯通信端末、401…送受信アンテナ、402…送受信処理部、403…受話器(スピーカ)、404…送話器(マイクロホン)、411…キー操作部、412…表示制御、413…表示部、414…音声処理部、415…スピーカ、420…制御部、421…CPU、422…ROM、423…RAM、424…EEPROM、425…CPUバス、431…時計回路、432…外部入出力端子、433…外部I/F、434…GPS部、435…GPSアンテナ、5…GPS衛星、6…位置管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工衛星からの信号を用いて自機の現在位置を測位する機能を備え、所定のタイミング毎に、少なくとも測位して得た現在位置情報を含むようにしたプローブ情報を送信する携帯通信端末からの前記プローブ情報を処理するプローブ情報処理サーバであって、
前記携帯通信端末からの前記プローブ情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で順次に受信される前記プローブ情報が、前記現在位置情報を有するものから有しないものに変化した場合に、前記携帯通信端末が、受信したプローブ情報に含まれる情報と地図情報とにより特定される施設に入場したと判別する入場判別手段と、
前記受信手段で順次に受信される前記プローブ情報が、前記現在位置情報を有しないものから有するものに変化した場合に、前記携帯通信端末が、入場していた施設から退場したと判別する退場判別手段と、
前記入場判別手段での判別結果と前記退場判別手段での判別結果とを、前記施設毎に記憶する判別結果保持手段と
を備えることを特徴とするプローブ情報処理サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のプローブ情報処理サーバであって、
前記判別結果保持手段は、日にち別であって時間帯別に判別結果を保持することができるものであり、
前記判別結果保持手段に保持されている情報を、所定の計数属性条件にしたがって、入退場を集計する第1の集計手段を備えることを特徴とするプローブ情報処理サーバ。
【請求項3】
請求項2に記載のプローブ情報処理サーバであって、
過去の気象に関する情報を取得する気象情報取得手段と、
前記判別結果保持手段に保持されている情報を、前記気象情報取得手段により取得される過去の気象情報をも考慮して入退場を集計する第2の集計手段を備えることを特徴とするプローブ情報処理サーバ。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3に記載のプローブ情報処理サーバであって、
前記受信手段で受信された前記プローブ情報を蓄積する蓄積手段と、
前記入場判別手段により施設に入場したと判別された場合に、前記蓄積手段に蓄積されている前記携帯通信端末の前記プローブ情報と地図情報とに基づいて、前記携帯通信端末を持つユーザの移動手段を特定する特定手段と
を備えることを特徴とするプローブ情報処理サーバ。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載のプローブ情報処理サーバであって、
前記判別結果保持手段は、前記携帯通信端末のユーザを識別可能にする情報をも含む判別結果を保持するものであり、
前記携帯通信端末を用いるユーザの個人属性を用いた集計を行う第3の集計手段を備えることを特徴とするプローブ情報処理サーバ。
【請求項6】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載のプローブ情報処理サーバであって、
前記携帯通信端末は、自機が通信可能な基地局の情報に応じて電話会社側のサーバ装置において特定される自機の特定現在位置情報を受信し、当該特定現在位置情報を含めた前記プローブ情報を生成して送信することができるものであり、
前記入場判別手段と前記退場判別手段との一方あるいは両方は、前記プローブ情報に含まれる前記特定現在位置情報をも考慮して判別処理を行うことを特徴とするプローブ情報処理サーバ。
【請求項7】
人工衛星からの信号を用いて自機の現在位置を測位する機能を備え、所定のタイミング毎に、少なくとも測位して得た現在位置情報を含むようにしたプローブ情報を送信する携帯通信端末からの前記プローブ情報を処理するプローブ情報処理サーバで用いられるプローブ情報処理方法あって、
前記携帯通信端末からの前記プローブ情報を、受信手段を通じて受信する受信工程と、
前記受信工程において順次に受信する前記プローブ情報が、現在位置情報を有するものから有しないものに変化した場合に、入場判別手段により、前記携帯通信端末が、既に受信したプローブ情報に含まれる情報と地図情報とにより特定される施設に入場したと判別する入場判別工程と、
前記受信工程において順次に受信する前記プローブ情報が、現在位置情報を有しないものから有するものに変化した場合に、退場判別手段により、前記携帯通信端末が、入場していた施設から退場したと判別する退場判別工程と、
前記入場判別工程での判別結果と、前記退場判別工程での判別結果とを、前記施設毎に、判別結果保持手段に記録する判別結果保持工程と
を有することを特徴とするプローブ情報処理方法。
【請求項8】
プローブ情報を送信する携帯通信端末と、プローブ情報を受信するサーバ装置とがネットワークを通じて接続されて構成されるプローブ情報処理システムであって、
前記携帯通信端末は、
人工衛星からの信号を受信して演算処理することにより、自機の現在位置を測位する測位手段と、
所定のタイミング毎に、少なくとも前記測位手段で測位された現在位置情報を含むようにしたプローブ情報を生成する生成手段と、
前記生成手段で生成された前記プローブ情報を、所定のサーバ装置に送信する送信手段と
を備え、
前記サーバ装置は、
前記携帯通信端末からの前記プローブ情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で順次に受信される前記プローブ情報が、前記測位手段で測位された現在位置情報を有するものから有しないものに変化した場合に、前記携帯通信端末が、既に受信したプローブ情報に含まれる情報と地図情報とにより特定される施設に入場したと判別する入場判別手段と、
前記受信手段で順次に受信される前記プローブ情報が、前記測位手段で測位された現在位置情報を有しないものから有するものに変化した場合に、前記携帯通信端末が、入場していた施設から退場したと判別する退場判別手段と、
前記入場判別手段での判別結果と前記退場判別手段での判別結果とを、前記施設毎に記憶する判別結果保持手段と
を備えることを特徴とするプローブ情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−61829(P2013−61829A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200216(P2011−200216)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】