説明

プローブ情報送信装置、コンピュータプログラム、及び処理サーバ

【課題】頻繁にアップロードを行わなくても、適切なタイミングでプローブ情報をアップロードできるようにする。
【解決手段】車両のプローブ情報を、プローブ情報の処理サーバに対してアップロードするプローブ情報送信装置1であって、プローブ情報をアップロードするタイミングを制御する制御部3を備えている。制御部3は、車両の停止があったときに、プローブ情報をアップロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ情報送信装置、コンピュータプログラム、及び処理サーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムなどの車載機が収集したプローブ情報を処理サーバにアップロードし、処理サーバでプローブ情報を用いたサービスを提供するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
なお、アップロードされるプローブ情報としては、所定の収集周期毎の車両の位置(緯度・経度)、車両速度、車両方位などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−34431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載機が、プローブ情報をアップロードするタイミングとしては、以下のものが考えられる。
(1)一定の送信周期(例えば、5分毎)
(2)車載機へのユーザ操作により通信が発生した場合
(3)処理サーバからアップロード要求があった場合
【0005】
このようなタイミングでプローブ情報をアップロードすれば、各車載機からの通信頻度や処理サーバの負荷変動を抑え易い。上記(2)の場合、いずれにしろ通信が発生し、上記(3)の場合、処理サーバが通信の発生を管理することができる。しかし、上記(1)〜(3)では、交通状況の変化をプローブ情報により処理サーバに通知するのが本来必要とする時間よりも遅れてしまう可能性がある。
【0006】
例えばプローブ情報をアップロードした直後に車両が渋滞に進入すると、ほぼ送信周期の時間だけプローブ情報のアップロードが遅れてしまうことになる。その間、そのプローブ情報をもとに他の車両に渋滞を迂回させることができず、その分、渋滞がのびてしまうかもしれない。この場合にユーザ操作がされるとは限らない。しかも、処理サーバ側も渋滞発生がわからない状況では、車載機に対してアップロード要求をかけることもできない。渋滞発生のような交通状況の変化はできるだけ早期にプローブ情報を処理サーバにアップロードすることが望まれる。
【0007】
そこで、交通状況の変化に応じたリアルタイムなプローブ情報を処理サーバに通知するため、送信周期を短くして、頻繁にアップロードすることが考えられる。しかし、頻繁にアップロードを行うと処理サーバの負荷が大きくなり、処理サーバ運用者のコストが過度に増大する。渋滞発生のような特定の交通状況に対処するために送信周期を短くするのには限界がある。
【0008】
本発明は、頻繁にアップロードを行わなくても、適切なタイミングでプローブ情報を処理サーバに通知できるようにすること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、車両のプローブ情報を、プローブ情報の処理サーバに対してアップロードするプローブ情報送信装置であって、前記プローブ情報をアップロードするタイミングを制御する制御部を備え、前記制御部は、車両の停止があったときに、前記プローブ情報をアップロードすることを特徴とするプローブ情報送信装置である。
本発明は、車両が渋滞に進入すれば車両が停止することを利用したものである。すなわち、上記本発明によれば、車両の停止を渋滞の進入とみなして、車両の停止があったときにプローブ情報がアップロードされる。したがって、プローブ情報送信装置は、頻繁にアップロードを行う必要がなく、処理サーバは、適切なタイミングでプローブ情報をアップロードできる。
【0010】
なお、本発明において「車両の停止」とは、車両が完全に停止している必要はなく、停止とみなせるほど低速である場合をも含む。例えば、車両停止とみなす速度を設定しておき、その速度を下回った場合に車両停止であると判断することができる。また、「車両の停止」とは、車両が停止したとプローブ情報送信装置が判定した場合である、と言うこともできる。
【0011】
また、本発明のプローブ情報送信装置は、車両に常に搭載されている装置である必要はなく、車両に搭載可能な、または車上で利用可能な装置であればよい。すなわち、当該車両の移動にともなって付随的に移動する装置であればよい。例えば、本発明のプローブ情報送信装置は、車両に常に搭載されている車載機(カーナビゲーションシステムなど)、ナビゲーション目的またはその他の目的で車両に持ち込まれる携帯電話、スマートフォン、携帯型の情報端末装置、携帯型のナビゲーションシステム等の携帯装置に具備させることができる。携帯装置は、処理サーバに接続できれば、車両に固定されたシステムに有線または無線で接続される必要はない。
【0012】
(2)前記制御部は、前記プローブ情報を所定の送信周期でアップロードするとともに、車両の停止があった場合に前記プローブ情報をアップロードするのが好ましい。この場合、所定の送信周期でアップロードを行いつつも、車両の停止があった場合にもアップロードが行われるため、送信周期を短くしなくても、渋滞への進入の可能性がある場合にリアルタイムにアップロード可能である。
【0013】
(3)前記制御部は、第1周期毎のプローブ情報を、所定の送信周期でアップロードするとともに、前記第1周期よりも短い第2周期毎のプローブ情報を、車両の停止があった場合にアップロードするのが好ましい。この場合、車両の停止があった場合、処理サーバは、より短い周期で車両の挙動を示すプローブ情報が得られるため、車両の停止前の挙動を解析し易くなる。
【0014】
(4)前記制御部は、車両の停止を契機として前記プローブ情報をアップロードすると、その後、下記の条件1)〜3)のいずれか1つに該当するまでは、車両が再度停止しても前記プローブ情報のアップロードを行わないのが好ましい。
条件1)アップロードしてから所定時間が経過するまで。
条件2)車両がアップロード位置から所定距離移動するまで。
条件3)アップロードしてから所定時間が経過し且つ車両がアップロード位置から所定距離移動するまで。
この場合、車両が停止・発進を繰り返すことにより、頻繁にアップロードが行われることを防止することができる。
【0015】
(5)車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報に含まれる情報は、所定の送信周期でアップロードされる前記プローブ情報に含まれる情報とは形式が異なっているのが好ましい。
【0016】
(6)所定の送信周期でアップロードされる前記プローブ情報には、車両軌跡を示す複数の位置情報が含まれ、車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報には、少なくとも車両の停止位置又は当該停止位置付近の位置情報を含み、車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報に含まれる位置情報の数は、所定の送信周期でアップロードされる前記プローブ情報に含まれる前記位置情報の数よりも少ないのが好ましい。
【0017】
車両軌跡を示す複数の位置情報は、緯度・経度で表されるため、情報量が多くなるが、処理サーバが車両軌跡を把握するには必要な情報である。したがって、所定の送信周期でアップロードされる前記プローブ情報には十分な数の位置情報が必要である。一方、車両の停止があった場合に、車両軌跡を厳密に把握することは必ずしも重要でなく、車両軌跡を把握するのにも処理サーバに負荷がかかる。処理サーバとしては、車両が停止したおおよその位置(渋滞の最後尾位置)を把握できればよい。
そこで、車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報には、少なくとも車両の停止位置又は当該停止位置付近の位置情報を含ませることで、処理サーバは、最低限必要な情報が得られる。
そして、車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報に含まれる位置情報の数を、所定の送信周期でアップロードされる前記プローブ情報に含まれる前記位置情報の数よりも少なくすることで、車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報の情報量を抑えつつ、その場合に必要な情報を提供することができる。
【0018】
(7)車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報には、所定の送信周期でアップロードされる前記プローブ情報に含まれる情報とは異なる種別の情報を有しているのが好ましい。
【0019】
(8)車両の停止があった場合にアップロードされるプローブ情報は、車両の挙動を、位置情報よりも直接的に表現できる情報の方が好ましい。かかる観点からは、前記異なる情報は、車両の加減速情報であるのが好ましい。
【0020】
(9) 前記制御部は、車両の停止が渋滞以外の他の要因によるものであるか否かを判定し、車両の停止が渋滞以外の他の要因によるものであると判定すると、車両の停止があっても前記プローブ情報のアップロードを行わないのが好ましい。渋滞とは関係ない要因による車両停止時のアップロードを避けることで、無駄な通信発生を防止できる。
【0021】
(10)他の観点からみた本発明は、車両のプローブ情報を、プローブ情報の処理サーバに対してアップロードするタイミングを制御する処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、前記処理は、車両の停止を判定する処理と、車両の停止が判定されると、前記プローブ情報のアップロードを実行する処理と、を含むことを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0022】
(11)他の観点からみた本発明は、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のプローブ情報送信装置からアップロードされたプローブ情報を処理する処理サーバである。
【0023】
(12)前記処理サーバは、車両の停止を契機としてアップロードされた前記プローブ情報に基づいて、当該車両の停止が渋滞以外の他の要因によるものであるか否かを判定する判定部を備えているのが好ましい。
【0024】
(13)前記処理サーバは、前記判定部による判定結果に基づいて、処理対象となる前記プローブ情報を決定するのが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、頻繁にアップロードを行わなくても、適切なタイミングでプローブ情報を処理サーバにアップロードできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】プローブ情報送信装置のブロック図である。
【図2】処理サーバのブロック図である。
【図3】アップロードタイミング制御手順を示すフローチャートである。
【図4】停止判定の説明図である。
【図5】停止判定の説明図である。
【図6】停止判定の説明図である。
【図7】(a)は通常のプローブ情報ファイルを示すファイル構造図であり、(b)はプローブ情報が収集された地点の説明図である。
【図8】(a)は停止時のプローブ情報ファイルを示すファイル構造図であり、(b)はプローブ情報が収集された地点の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、プローブ情報送信装置1の構成を示している。プローブ情報送信装置1は、例えば、カーナビゲーションシステムなどの車載機に設けられる。なお、プローブ情報送信装置1が搭載された車両を「プローブ車両」という。
【0028】
プローブ情報送信装置1は、電波又は光による無線通信を行う通信部2を備えており、路側無線通信機又は光ビーコンなどの路側通信機との間で通信可能である。プローブ情報送信装置1が送信(アップロード)したプローブ情報は、路側通信機及びネットワークを介して、交通管制センター等に設置された処理サーバ10に与えられる。なお、プローブ情報送信装置1は、交通システム用の路側通信機を介して、処理サーバ10に接続する必要はなく、携帯電話用等の公衆または広域通信網を介して、処理サーバ10に接続してもよい。
【0029】
処理サーバ10は、道路を走行中の多数のプローブ車両からプローブ情報を取得して、それらのプローブ情報を解析して、車両(車載機1)に提供される道路交通情報を生成したり、交通信号機の制御を行ったりする。
車両に提供される道路交通情報としては、例えば、渋滞の発生地点の情報、渋滞を回避するための迂回路情報などがある。
【0030】
処理サーバ10は、図2に示すように、処理部11と記憶部12を備えている。プローブ車両から取得したプローブ情報は、記憶部12に保存される。処理部11は、記憶部12に蓄積されたプローブ情報を解析して、車両(車載機1)に提供される道路交通情報を生成するなどの処理を行う。
なお、処理部11は、コンピュータによって構成されている。処理部11の機能は、記憶部12に記憶されたコンピュータプログラムがコンピュータによって実行されることにより発揮される。
【0031】
図1に戻り、プローブ情報送信装置1は、制御部3、記憶部4、GPS処理部5、方位センサ部6、情報取得部7を備えている。
制御部3は、プローブ情報を生成する処理、プローブ情報をアップロードする処理などを行う。
【0032】
制御部3は、コンピュータによって構成されている。制御部3の機能は、コンピュータプログラムがコンピュータによって実行されることにより発揮される。
なお、コンピュータを本実施形態の制御部3として機能させるためのコンピュータプログラムは、適宜のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶させることもできる。また、コンピュータを本実施形態の制御部3として機能させるためのコンピュータプログラムを、アプリケーション提供サーバに保存しておき、当該アプリケーション提供サーバから、プローブ情報送信装置1として機能させるための情報端末装置へダウンロードさせることもできる。
【0033】
記憶部4には、制御部3が、プローブ情報送信装置1自体が有する検出器5,6から取得した情報(アップロードされるプローブ情報の元になる生情報)、車両から取得した情報(アップロードされるプローブ情報の元になる生情報)、及び/又は、制御部3が生成した情報を記憶することができる。
図1に示すように、プローブ情報送信装置1がGPS処理部5及び方位センサ6を備えている場合には、当該GPS処理部5から車両の位置(座標;緯度・経度)を取得でき、方位センサ6から車両方位を取得できる。
また、制御部3は、車両と通信するための情報取得部7から、ブレーキ操作の有無/アクセル操作の有無を示すブレーキ/アクセル情報などの情報を車両から取得することができる。さらに、車両の位置、車両方位、車速も、車両から取得してもよい。
また、制御部3の車速演算部3aは、車両の位置の時間的変化に基づいて、車速を演算して取得することができる。さらに、制御部3の加減速度演算部3bは、車速の時間的変化又は車両の位置の時間的変化に基づいて、車両の加減速度を演算して取得することができる。
【0034】
このような各種の情報の取得は、所定の蓄積周期毎(例えば、1[s]毎)に行われ、記憶部4に蓄積される。つまり、プローブ車両の走行中の記憶部4には、所定の蓄積周期毎の車両位置情報(座標)、車両方位、ブレーキアクセル情報などが、逐次、蓄積される。
【0035】
制御部3では、プローブ情報のアップロードタイミングになると、記憶部4に蓄積されている情報及び/又は蓄積されている情報に基づいて生成された情報を、処理サーバ10に対してアップロードする。
【0036】
制御部3は、プローブ情報を処理サーバ10に対してアップロードするタイミングを制御する処理を実行する。図3は、その処理手順を示している。アップロードのタイミングは、基本的に、所定の送信周期毎(例えば、5分毎)であるが、プローブ車両が停止した場合には、所定の送信周期に基づくアップロードタイミング以外のタイミングであっても、アップロードを行う。
【0037】
図3に示すように、制御部3は、図示しないタイマーに基づき、所定の送信周期に基づくアップロードタイミング(通常アップロードタイミング)であるか否かを判定する(ステップS1)。通常アップロードタイミングである場合には、プローブ情報のアップロードを実行する(ステップS2)。
【0038】
通常アップロードタイミングではない場合であっても、制御部3の停止判定部3cによって車両の停止判定の処理を実行し(ステップS3)、車両停止と判定されると、プローブ情報のアップロードを実行する(ステップS6)。車両の停止は、車両が渋滞末尾に進入したためである可能性があるため、車両停止のタイミングでアップロードすることで、処理サーバ10は、車両が渋滞末尾に進入したおそれのあるタイミングでプローブ情報を取得できるため、渋滞発生の判定を迅速に行うことができる。
【0039】
ただし、ステップS3において、車両停止と判定された場合であっても、アップロード禁止状態である場合には、ステップS6のアップロードは実行しない(ステップS4)。
アップロード禁止状態は、車両停止であると判定されて一旦プローブ情報をアップロードした後、所定時間(例えば、1分)が経過するまで、及び/又は、車両が所定距離(例えば、100[m])移動するまでの間である。
【0040】
車両停止であると判定されてアップロードが行われると制御部3は、所定時間及び/又は所定距離移動するまでの間を、アップロード禁止状態に設定するため、車両の停止後、渋滞に伴うノロノロ運転による再度の停止では、プローブ情報のアップロードが行われず、頻繁にアップロードがなされるのを防止できる。なお、車両停止(アップロード)後、所定時間経過後及び/又は所定距離移動後には、アップロード禁止状態が解除され、当該解除後に、車両停止であると判定されると、プローブ情報のアップロードが行われる。
【0041】
また、非渋滞判定部3dによって、車両の停止が渋滞とは関係ない他の要因(例えば、路上駐車、駐車場への駐車、赤信号による停車)によるものであると判定された場合には、ステップS6のアップロードは実行しない(ステップS5)。
渋滞とは明らかに関係ない車両停止の場合には、アップロードを行わないことで、無駄はアップロードを省略できる。
【0042】
例えば、非渋滞判定部3dは、ハザードランプ点灯情報及び/又はエンジンOFF情報などの車両停止又は駐車を示す情報を、車両側から取得した場合には、車両停止であると判定された場合であっても、路上駐車などの駐車による停止であると判定(非渋滞判定)することができる。
【0043】
また、非渋滞判定部3dは、車両の位置情報に基づいて、車両が道路から外れている場合には、車両停止であると判定された場合であっても、駐車場への駐車による停止であると判定(非渋滞判定)することができる。
さらに、非渋滞判定部3dは、車両の方位が道路方位と異なる場合には、車両停止であると判定された場合であっても、駐車場への駐車による停止であると判定(非渋滞判定)することができる。
【0044】
さらに、非渋滞判定部3dは、車両停止直前の動作が道路に沿った動きでない場合(駐車場に入るために道路方向とは無関係に右折・左折・後進などが行われている場合)には、車両停止であると判定された場合であっても、駐車場への駐車による停止であると判定(非渋滞判定)することができる。なお、車両停止直前の動作は、車両の位置・方位に基づいて判定することができる。
さらに、非渋滞判定部3dは、車両の位置が信号機付近(交差点付近)の場合には、車両停止であると判定された場合であっても、赤信号による停止であると判定(非渋滞判定)することができる。
【0045】
図7及び図8は、処理サーバにアップロードされるプローブ情報(複数のプローブ情報からなるプローブ情報ファイル)を示している。図7及び図8に示すプローブ情報ファイルは、記憶部4に記憶されている情報に基づいて、制御部3が生成する。
【0046】
図7(a)は、所定の送信周期(例えば、5分)に基づく通常アップロードタイミングで送信される通常のプローブ情報ファイルである。
図7(a)に示す通常のプローブ情報ファイルには、管理部のデータと、複数の地点のプローブ情報からなるデータ本体とが格納されている。管理部には、プローブ情報送信装置(車載機)のIDと、ファイル種別が含まれている。なお、ファイル種別は、当該ファイルが、図7(a)に示す通常のプローブ情報ファイルであるか、図8(a)に示す停止時のプローブ情報ファイルであるかを区別するためのデータであり、ここでは、通常のプローブ情報ファイルを示す情報が格納されている。
【0047】
データ本体に含まれる複数のプローブ情報は、直前のアップロード以降において、所定の第1収集周期(例えば、5[s])毎に収集されたプローブ情報である。各プローブ情報には、図7(b)に示すように第1収集周期毎の各地点a,b,c,d,・・・・における車両の位置(座標;緯度・経度)、車両方位、車速、時刻(情報取得時の時刻)が含まれる。
つまり、データ本体には、直前のアップロード以降における所定の収集周期(例えば,5[s])毎の車両の位置情報が含まれる。このような複数の車両位置情報は、直前のアップロード以降における車両の軌跡(走行軌跡)を示す情報である。処理サーバ10では、このような車両の軌跡に基づいて、様々な交通状況を推定することができる。
【0048】
なお、記憶部4への情報の蓄積は、前述のように、所定の蓄積周期毎(例えば、1[s]毎)に行われ、前記第1収集周期(例えば、5[s])よりも短い周期である。したがって、制御部3は、記憶部4に記憶されている情報のうち、前記第1収集周期(例えば、5[s])毎の情報だけを抽出して、前記通常のプローブ情報ファイルを生成する。
【0049】
図8(a)は、車両停止を契機とて送信される停止時プローブ情報ファイルである。
図8(a)に示す車両停止時のプローブ情報ファイルにも、管理部のデータと、複数の地点のプローブ情報からなるデータ本体とが格納されている。管理部には、プローブ情報送信装置(車載機)のIDと、ファイル種別と、車両の位置(座標;緯度・経度)と、収集周期と、が含まれている。図7,8から明らかなように、車両停止時のプローブ情報ファイルは、通常のプローブ情報ファイルとは形式が異なっている。
【0050】
ファイル種別には、図8(a)に示す停止時のプローブ情報ファイルであるかことを示す情報が格納される。
車両の位置としては、車両の停止位置、又は当該停止位置付近の位置情報が格納される。
【0051】
停止時のプローブ情報ファイルの場合、通常のプローブ情報ファイルの場合とは異なり、データ本体には、前記第1収集周期(例えば、5[s])よりも短い第2収集周期(例えば、1[s])毎のプローブ情報が格納される。これは、処理サーバ10にて車両停止直前の車両挙動を解析し易くするために、車両停止直前の車両挙動を短時間毎に詳細に示すためである。
管理部の収集周期には、当該第2収集周期(例えば、1[s])が格納される。
【0052】
データ本体には、停止時点から所定の収集期間(例えば、10[s])ほど遡った期間における、第2収集周期(例えば、1[s])毎の各地点A、B,C,D,E・・・Gにおけるプローブ情報である。各プローブ情報は、車両の加減速情報、車両方位、ブレーキ/アクセル情報が含まれる。
処理サーバ10は、停止直前の車両挙動を取得できれば、渋滞による停止であるか否かを判定できるため、停止時点から所定の収集期間(例えば、10[s])ほど遡った期間におけるプローブ情報があれば足りるが、直前のアップロードまで遡ったプローブ情報をデータ本体に格納してもよい。
【0053】
停止時のプローブ情報ファイルでは、プローブ情報に含まれる情報の種別が、通常のプローブ情報ファイルとは異なっている。例えば、停止時のプローブ情報ファイルでは、車両の位置情報(緯度・経度)が、停止時の位置又はその近辺を示すもの1つだけであるが、通常のプローブ情報ファイルでは、第1収集周期毎の多数の車両位置情報(緯度・経度)が含まれている。多数の車両位置(緯度・経度)は、車両の軌跡、ひいては車両の挙動などを把握する上で必要であるが、緯度・経度情報は情報量が多い。
【0054】
これに対し、停止時には、どの位置で停止したかがわかればよいため、停止時のプローブ情報ファイルでは、車両の位置(緯度・経度)として、停止時の位置又はその近辺を示すもの1つだけとしている。また、停止時には、停止位置が推測できる最低限度の情報とその停止が渋滞の進入によるものであるか否かを判定するための車両の挙動がわかる情報があればよく、道路の走行時間を測定するためのある程度あつまった走行軌跡は不要である。そこで、停止時のプローブ情報ファイルでは、第2収集周期毎のプローブ情報として、車両位置に代えて、車両の加減速情報が格納されている。また、停止時のプローブ情報ファイルでは、車速も省略されている。
【0055】
このように、停止時のプローブ情報ファイルでは、加減速情報という、通常のプローブ情報ファイルにない種別の情報を付加することで、データサイズを押さえつつ、車両の停止の原因を解析しやすくなっている。また、処理サーバ10では、停止直前の車両の挙動を示す加減速情報を算出する必要がなくなり、処理負荷が軽減される。
【0056】
また、図8(a)に示すように、停止時のプローブ情報ファイルでは、通常のプローブ情報ファイルにない付加情報として、ブレーキ/アクセル情報が含まれる。したがって、処理サーバ10では、ブレーキ/アクセル情報などの付加情報をも考慮して、停止の原因を解析することが可能である。
なお、図8(a)中にも示すように、停止時のプローブ情報ファイルの各プローブ情報は、通常のプローブ情報ファイルのプローブ情報と同様に、座標、車両方位、車速、時刻からなるものであってもよい。この場合、処理サーバ10が、車両の位置(座標)から、停止直前の車両挙動を推定することになる。
【0057】
なお、図8(a)のプローブ情報ファイルでは、直前のアップロード以降の期間であって、所定の収集期間よりも前の期間のプローブ情報(図8(b)の地点a,b,c,d,e,fのプローブ情報)が含まれていないが、含めても良い。この場合、所定の収集期間よりも前の期間のプローブ情報は、第1収集周期毎の情報で足りる。
また、所定の収集期間よりも前の期間のプローブ情報は、図7(a)に示す通常のプローブ情報ファイルの形式で、停止時のプローブ情報ファイルとは別に、停止時アップロードの際又は次回の送信周期の際に送信してもよい。
【0058】
以上のように、本実施形態のプローブ情報送信装置1では、プローブ情報を、車両停止時のタイミングでリアルタイムにアップロードするため、処理サーバ10側では、リアルタイムに、渋滞検出を行うことができる。
なお、図2に示すように、処理サーバ10は、プローブ情報送信装置1における非渋滞判定部3dと同様の非渋滞判定部11aを設けることができる。この場合、処理サーバ10でも、独自に、プローブ情報が、渋滞以外の要因による車両停止でアップロードされたものであるか否かの判定(非渋滞判定)が行える。そして、処理部11は、判定部11aによる判定結果に基づいて、その後の処理対象となるプローブ情報を決定することができる。例えば、処理部11は、渋滞以外の要因による車両停止でアップロードされたプローブ情報については、記憶部12から消去して破棄することで、その後の処理対象外にすることができ、意味のない情報の蓄積を防止できる。なお、渋滞以外の要因による車両停止でアップロードされたプローブ情報を記憶部12から消去する必要はなく、記憶部12に保持したまま、単に処理対象外としてもよい。
【0059】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
1 プローブ情報送信装置
2 通信部
3 制御部
3a 車速演算部
3b 加減速演算部
3c 停止判定部
3d 非渋滞判定部
4 記憶部
5 処理部
6 方位センサ部
7 情報取得部
10 処理サーバ
11 処理部
11a 非渋滞判定部
12 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のプローブ情報を、プローブ情報の処理サーバに対してアップロードするプローブ情報送信装置であって、
前記プローブ情報をアップロードするタイミングを制御する制御部を備え、
前記制御部は、車両の停止があったときに、前記プローブ情報をアップロードする
ことを特徴とするプローブ情報送信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記プローブ情報を所定の送信周期でアップロードするとともに、車両の停止があった場合に前記プローブ情報をアップロードする
請求項1記載のプローブ情報送信装置。
【請求項3】
前記制御部は、第1周期毎のプローブ情報を、所定の送信周期でアップロードするとともに、前記第1周期よりも短い第2周期毎のプローブ情報を、車両の停止があった場合にアップロードする
請求項1又は2に記載のプローブ情報送信装置。
【請求項4】
前記制御部は、車両の停止を契機として前記プローブ情報をアップロードすると、その後、下記の条件1)〜3)のいずれか1つに該当するまでは、車両が再度停止しても前記プローブ情報のアップロードを行わない
請求項1〜3のいずれか1項に記載のプローブ情報送信装置。
条件1)アップロードしてから所定時間が経過するまで。
条件2)車両がアップロード位置から所定距離移動するまで。
条件3)アップロードしてから所定時間が経過し且つ車両がアップロード位置から所定距離移動するまで。
【請求項5】
車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報に含まれる情報は、所定の送信周期でアップロードされる前記プローブ情報に含まれる情報とは形式が異なっている
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプローブ情報送信装置。
【請求項6】
所定の送信周期でアップロードされる前記プローブ情報には、車両軌跡を示す複数の位置情報が含まれ、
車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報には、少なくとも車両の停止位置又は当該停止位置付近の位置情報を含み、車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報に含まれる位置情報の数は、所定の送信周期でアップロードされる前記プローブ情報に含まれる前記位置情報の数よりも少ない
請求項1〜5のいずれか1項に記載のプローブ情報送信装置。
【請求項7】
車両の停止があった場合にアップロードされる前記プローブ情報には、所定の送信周期でアップロードされる前記プローブ情報に含まれる情報とは異なる種別の情報を有している
請求項1〜6のいずれか1項に記載のプローブ情報送信装置。
【請求項8】
前記異なる情報は、車両の加減速情報である請求項7記載のプローブ情報送信装置。
【請求項9】
前記制御部は、車両の停止が渋滞以外の他の要因によるものであるか否かを判定し、車両の停止が渋滞以外の他の要因によるものであると判定すると、車両の停止があっても前記プローブ情報のアップロードを行わない
請求項1〜8のいずれか1項に記載のプローブ情報送信装置。
【請求項10】
車両のプローブ情報を、プローブ情報の処理サーバに対してアップロードするタイミングを制御する処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記処理は、
車両の停止を判定する処理と、
車両の停止が判定されると、前記プローブ情報のアップロードを実行する処理と、
を含む
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項1記載のプローブ情報送信装置からアップロードされたプローブ情報を処理する処理サーバ。
【請求項12】
車両の停止を契機としてアップロードされた前記プローブ情報に基づいて、当該車両の停止が渋滞以外の他の要因によるものであるか否かを判定する判定部を備えている
請求項11記載の処理サーバ。
【請求項13】
前記判定部による判定結果に基づいて、処理対象となる前記プローブ情報を決定する
請求項12記載の処理サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−248107(P2012−248107A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120902(P2011−120902)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【Fターム(参考)】