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プローブ顕微鏡及び物性測定方法
説明

プローブ顕微鏡及び物性測定方法

【課題】 測定系の特性の影響を低減すると共に測定に要する時間の短縮化が図れ、より高精度に試料の物性を測定すること。
【解決手段】 試料を載置する載置面を有するステージ3と、このステージ3を支持するとともに試料表面に垂直な方向に振動自在に構成された支持手段5と、支持装置5を所定の振動用周波数及び振動用振幅で振動させる加振手段7と、支持装置5における垂直方向の移動を制御する移動制御手段6と、先端が試料表面に接触するように配置されたプローブ10と、プローブ先端が試料表面2aに接触した状態でそのプローブ10の振動状態を測定する第1の振動状態測定手段11と、加振手段7を動作させた時に、載置面3aの振動状態を測定する第2の振動状態測定手段13と、第2の振動状態測定手段13によって測定した振動状態の波形と、第1の振動状態測定手段11によって測定した振動状態の波形とを比較することで試料の物性を測定する測定処理手段12とを備えてなるプローブ顕微鏡を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探針を試料表面上に接触させた状態で、試料を(試料表面に)垂直な方向に振動させ、探針の振動状態を測定することで、弾性、粘性等の試料に係る物性を測定するプローブ顕微鏡及び物性測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、金属、半導体、セラミック、樹脂、高分子、絶縁物等の試料を微小領域にて測定し、試料の弾性、粘性等の物性や、試料の表面形状等の性状を観察する装置として、走査型プローブ顕微鏡が知られている。
【0003】
この種の走査型プローブ顕微鏡は、様々なものが提供されているが、その1つとして、試料とプローブとを相対的に振動させ、振動の振幅変化から試料の弾性を測定すると共に、振動の位相変化から試料の粘性の測定を行うことが可能な走査型プローブ顕微鏡が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この種の走査型プローブ顕微鏡は、一般的に、試料を水平に載置するステージと、該ステージをZ方向に、例えば、ピエゾ素子等により所定の周波数で微小振動させる振動手段と、試料表面に接触可能な探針を有するカンチレバー等のプローブ及び該プローブの変位を測定する変位検出部とを備えている。
【0005】
この走査型プローブ顕微鏡により試料の物性を測定する場合には、プローブを試料表面に接触させた状態(コンタクトモード)で振動手段に入力信号を与え、ステージをZ方向に所定周波数で微小振動させる(モジュレーション)。この振動は、試料を介してプローブに伝達し、該プローブも同様にZ方向に微小振動する。このプローブの変位は、変位検出部により出力波形を持った出力信号として測定される。
【0006】
ここで、試料が粘性を有している場合には、粘性の影響によりプローブに遅れが生じる。これは、入力信号(入力波形)に対する出力信号(出力波形)の遅れとなる。つまり、粘性の影響は、プローブの振動の位相変化となって現れる。従って、この位相変化を測定することで、試料の粘性を測定することができる。また、試料が弾性を有している場合には、弾性の影響によりプローブの振幅が変化する。つまり、弾性の影響は、プローブの振動の振幅変化となって現れる。従って、この振幅変化を測定することで、試料の弾性を測定することができる。
【0007】
このように、プローブの振動の位相変化、振幅変化を測定することで、試料の粘弾性等の物性を測定することができる。
【0008】
また、試料の性状を測定する場合には、上述した物性測定の際、プローブを試料表面に対して走査させることで、試料の粘弾性分布等の測定も行うことも可能であるし、出力波形の振幅の中心を常に同じレベルになるように走査させることで、試料の表面形状の測定も行うことができる。
【0009】
更に、コンタクトモードではなく、上記特許文献1に記載の走査型プローブ顕微鏡のように、プローブ先端を該プローブの共振周波数又はその付近で振動させた状態で、試料表面を繰り返し叩きながら走査させる振動モードにより測定を行う場合には、特に、柔らかく、変形し易い試料を測定する際に好適である。この場合の基本原理は、上記と同様である。
【0010】
また、上記振動モードの場合には、試料表面の凹凸に応じてプローブの振動振幅が変化するが、この振動振幅変化が一定となるように走査を行うことで、同様に試料の表面形状の測定を行うことができ、また、粘弾性分布等の測定も行うことができる。
【特許文献1】特開2000−346784号公報(図1及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記従来の走査型プローブ顕微鏡では、コンタクトモードにより試料を微小振動させる際、ステージをピエゾ素子等の振動手段によりZ方向に微小振動させることで、ステージの上面に載置されている試料を微小振動させているが、通常、試料に対してステージは重量(質量)があるので、振動手段の振動に追従できず、遅れ(慣性力による遅れ)が生じてしまう。即ち、図7に示すように、振動手段に入力信号を与えて微小振動させる波形(モジュレーション波形、振幅A)に対し、ステージ等の測定系の波形(測定系の波形、振幅B)は、振幅が変化(例えば、振幅が小さくなる、又は、共振等により大きくなる)すると共に、時間的遅れにより位相遅れが生じた状態となってしまう。このように、振幅差及び位相差に影響を与えるものであった。
【0012】
つまり、測定したプローブの振動状態(位相変化及び振幅変化)、即ち、試料表面の波形(振幅C)は、試料本来の物性に加え、上述したステージ等の測定系の特性(誤差)を含んでしまうので、正確な試料の物性のみを測定することが困難であった。
【0013】
特に、振動手段としてピエゾ素子を利用している場合には、電荷の蓄積による遅れが測定系の誤差にさらに含まれるため、物性を測定する際、精度低下の要因となっていた。
【0014】
図7に示されるように、測定したい試料表面の波形は、測定系の波形に対して、更に、振幅が小さく、位相が遅れた状態であることがわかる。
【0015】
上述した測定系の誤差の影響をできるだけ小さくするために、通常、試料の測定を行う前に測定系の誤差を予め測定する初期設定を行う。これは、本来測定する試料に代えて、シリコンウエハ等の硬さを有する校正試料をセットして測定を行うものであり、この測定により、測定系の誤差を事前に知ることができる。その後、校正試料に代えて、本来測定したい試料をセットし、測定を行う。そして、測定結果から事前に測定した測定系の特性(誤差)を考慮することで、測定系の誤差の影響を小さくした状態で、試料の測定を行うことができる。
【0016】
ところが、この方法では、測定系の誤差を測定した後に、校正試料を取り外すと共に本来測定する試料をセットするという交換作業が必要であるため、それぞれの測定を別々に行うことになる。そのため、それぞれの測定結果を比較するにはばらつきが大きいことから、測定誤差を正確に校正できるものではなかった。よって、依然として物性を正確に測定することが困難であった。しかも、測定を数回に分けて行う必要があるので、測定に時間がかかるという不都合もあった。
【0017】
更に、振動モードにて測定を行った場合には、上述した問題に加え、プローブの探針が試料表面から離間する毎に試料表面の吸着水層に捕獲されるという不都合があった。つまり、吸着水層の吸着、親水特性がさらに測定精度に影響してしまうので、このことも試料物性測定を正確に行えない原因となっていた。
【0018】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、測定系の特性の影響を低減させてより高精度に試料の物性を測定することができ、しかも測定に要する時間の短縮化が図れるプローブ顕微鏡及び物性測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0020】
本発明のプローブ顕微鏡は、試料を載置する載置面を有するステージと、ステージに載置された試料をその表面と直交する方向に振動させるべく、ステージを支持するとともに垂直方向に振動自在に構成された支持手段と、支持手段を所定の振動用周波数及び振動用振幅で振動させる加振手段と、前記支持手段における垂直方向の移動を制御する移動制御手段と、先端が試料表面に接触するように配置されたプローブと、プローブ先端が試料表面に接触した状態でそのプローブ先端の振動状態を測定する第1の振動状態測定手段と、加振手段を動作させた時に、載置面の振動状態を測定する第2の振動状態測定手段と、第2の振動状態測定手段によって測定した振動状態の波形と、第1の振動状態測定手段によって測定した振動状態の波形とを比較することで試料の物性を測定する測定処理手段とを備えてなるプローブ顕微鏡である。
【0021】
また、本発明の物性測定方法は、ステージの載置面に載置された試料表面にプローブ先端を接触させた状態で、ステージに載置された試料をその表面と直交する方向に振動させるべくステージを垂直方向(Z方向)に振動させ、プローブ先端の振動状態を測定することで試料の物性を測定する物性測定方法であって、試料表面にプローブ先端が接触している状態で、ステージを所定の振動用周波数及び振動用振幅で振動させ、プローブ先端の振動状態を測定すると同時に載置面の振動状態を測定し、測定された載置面の振動状態の波形と、測定されたプローブ先端の振動状態の波形とを比較することで試料の物性を測定する物性測定方法である。
【0022】
この発明に係るプローブ顕微鏡及び物性測定方法においては、試料をステージの載置面に載置した後、例えば、移動制御手段により支持手段をZ方向に移動させ試料表面とプローブ先端の探針とを接触させる。そして、加振手段により、支持手段を振動用周波数及び振動用振幅からなるモジュレーション入力波形で振動(モジュレーション)させる。
【0023】
この振動は、支持手段、ステージ及び試料に伝達し、これらをZ方向に振動させる。また、試料表面に接触しているプローブ先端としての探針も同様にZ方向に振動する。この探針の振動は、第1の振動状態測定手段によって測定され、その測定結果に基づいて、試料の粘性や弾性等の物性が測定される。
【0024】
つまり、試料が粘性を有している場合には、この粘性の影響によりプローブ(探針)に遅れが生じ、入力信号、即ち、上記モジュレーション入力波形に対する出力信号、即ち、試料表面の出力波形の遅れとなるので、プローブの振動の位相変化となって現れる。従って、この位相変化を測定することで、試料の粘性を測定することができる。また、試料が弾性を有している場合には、弾性の影響によりプローブの振幅が変化する。従って、プローブの振幅変化を測定することで、試料の弾性を測定することができる。このように、探針の振動状態を測定することで、試料の粘弾性等の物性を測定することができる。ここまでは従来の測定方法と同様である。
【0025】
本発明では、第2の振動状態測定手段を備え、ステージの載置面の振動状態を測定するようにしているため、従来では初期設定の際に、別途測定していたステージ等の測定系の特性(誤差)を、上述した探針の振動状態の測定と同時に測定することが可能である。つまり、第2の振動状態測定手段は、載置面の振動状態を測定することで、ステージの重量(質量)等に起因するステージを含む測定系の遅れ、即ち、測定系の波形を、探針の振動状態測定とは別でありながら、それと同時に測定することが可能である。
【0026】
そして、測定処理手段は、第2の振動状態測定手段で測定された載置面の振動状態の波形と、第1の振動状態測定手段で測定されたプローブ振動状態の波形とを比較するため、測定系の特性(誤差)をなくした、試料の物性に起因する試料表面の波形のみを忠実に再現することができる。従って、測定系の影響が低減された(測定系の誤差のない)より高精度の試料の物性を測定することができる。
【0027】
また、試料表面の波形と測定系の特性とを同時に測定することができるので、従来のように、校正試料等をセットして予め測定系の誤差を測定しておく必要がない。つまり、試料の交換作業を行う必要がないことから、交換作業によるばらつき発生の問題が解消され、高精度に物性を測定することができる。更に、測定にかける時間を短縮することもできる。
【0028】
本発明における物性測定とは、弾性、粘性等のように物質の示す機械的性質の測定に加え、試料の表面形状等の性状測定も含むものである。
【0029】
また、本発明のプローブ顕微鏡において、プローブ先端の裏面に反射部を有し、第1の振動状態測定手段として、反射部に光を照射するプローブ用光照射部と、反射部で反射した反射光を検出するプローブ用光検出部とを備えれば、プローブ用光検出部は、反射光の入射位置の変動に基づいてプローブの振動状態を測定するように構成することができる。
【0030】
上記プローブ用光照射部から照射された光は、プローブの振動状態に応じて、異なる角度で反射されてプローブ用光検出部に入射され、プローブ用光検出部は、その反射光の入射位置の変動に基づいてプローブの振動状態を検出する。このように、光の反射を利用するので、プローブの振動状態が微小であったとしても、正確に振動状態の検出を行うことができる、従って、試料物性の信頼性を向上させることができる。
【0031】
また、本発明のプローブ顕微鏡において、第2の振動状態測定手段として、載置面の表面に光を照射する載置面用光照射部と、載置面で反射した反射光を検出する載置面用光検出部とを備えれば、載置面用光検出部は、載置面反射光の入射位置の変動に基づいて載置面の振動状態を測定することができる。
【0032】
上記載置面用光照射部から照射された光は、載置面のZ方向における振動状態に応じて、反射位置がZ方向に向けて変化するので、載置面用光検出部への入射位置が変化する。つまり、反射光のZ方向における平行移動量が変化する。そして、載置面用光検出部は、反射光の入射位置の変動に基づいて載置面の振動状態を検出する。このように、光の反射を利用するので、載置面の振動状態が微小であったとしても、正確に振動状態の検出を行うことができる。従って、測定系の特性を正確に測定でき、試料物性の信頼性に繋がる。
【0033】
また、本発明のプローブ顕微鏡において、第2の振動状態測定手段として、載置面に載置可能な校正用試料と、その校正用試料表面に接触するように配置された校正用プローブと、この校正用プローブ先端の裏面に設けられた反射部に対し光を照射する校正用光照射部と、反射部で反射した反射光を検出する校正用光検出部とを備えれば、校正用光検出部は、反射光の入射位置の変動に基づき校正用プローブ先端及び前記校正用試料を介して載置面の振動状態を測定することができる。
【0034】
上記校正用光照射部から照射された光は、校正用試料表面に接触するように配置された校正用プローブの探針の裏面に向かい、校正用プローブの探針の振動状態に応じて、異なる角度で反射されて校正用光検出部に入射する。校正用光検出部は、反射光の入射位置の変動に基づいて校正用プローブの探針及び校正用試料を介して載置面の振動状態を検出する。このように、光の反射を利用するため、載置面の振動状態が微小であったとしても、正確に振動状態を検出することができる。従って、測定系の特性を正確に測定することができ、試料物性の信頼性に繋がる。
【0035】
また、本発明のプローブ顕微鏡において、第2の振動状態測定手段として、載置面に載置可能な校正用試料と、その校正用試料表面に接触するように配置された校正用プローブと、この校正用プローブの撓みを測定する撓み測定手段とを備えれば、撓み測定手段は、測定した校正用プローブの撓みの変化に基づき校正用プローブ先端及び校正用試料を介して載置面の振動状態を測定することができる。
【0036】
上記撓み測定手段は、校正用プローブの撓み変化を直接的に測定するので、載置面の振動状態が微小であったとしても、正確に振動状態の検出を行うことができる。従って、測定系の特性を正確に測定でき、試料物性の信頼性に繋がる。
【0037】
なお、上記した各構成では、試料表面と探針とを接触させたコンタクトモードにて測定を行うため、吸着水層による吸着、親水特性の影響に起因する位相遅れや振幅変化の誤差を除去でき、より高精度に試料の物性情報を測定することができる。
【0038】
また、本発明のプローブ顕微鏡において、第2の振動状態測定手段として、載置面に載置可能な校正用試料と、その校正用試料に近接した状態で配置されその校正用試料表面との距離を測定する近接センサとを備えれば、近接センサは、測定した校正用試料表面との距離の変動に基づき校正用試料を介して載置面の振動状態を測定することができる。
【0039】
上記近接センサを用いると、校正用試料との距離の変化を測定することで、載置面の振動状態を測定できる。つまり、載置面がZ方向に振動すると、近接センサとして例えば静電容量式センサを用いた場合、近接センサと校正用試料との距離(間隔)が変化するので、両者の間に働く静電容量が変化する。よって、この静電容量を測定することで、両者の距離の変化を高精度に測定でき、その結果、載置面の振動状態が微小であったとしても、正確に振動状態の検出を行うことができる。従って、測定系の特性を正確に測定でき、試料物性の信頼性に繋がる。
【0040】
また、本発明のプローブ顕微鏡において、プローブ先端が試料表面を走査するようにプローブ先端と試料とを相対的に移動させる走査手段を備え、この走査手段の動作を移動制御手段が制御するように構成することができる。
【0041】
また、本発明の物性測定方法においては、物性を測定する際に、プローブ先端が試料表面を走査するようにプローブ先端と試料とを例えば試料表面と平行なX、Y方向に向け相対的に移動させることができる。
【0042】
上記プローブ顕微鏡及び物性測定方法に従えば、試料の物性を測定する際に、試料とプローブ先端とをXY方向に向けて相対的に移動させるため、試料の所定領域内における弾性分布や粘性分布等の物性情報分布を測定することができる。更に、試料の性状としての表面形状についても測定することができる。
【0043】
また、本発明のプローブ顕微鏡において、加振手段は、振動用周波数を変化させながら支持手段を振動させるように構成することができる。また、本発明の物性測定方法では、物性を測定する際に、ステージの振動用周波数を変化させる。
【0044】
上記プローブ顕微鏡及び物性測定方法に従えば、物性を測定する際に、振動用周波数を変化させるので、試料の弾性、粘性等の物性において周波数依存性を測定することができる。それにより、試料の物性を多角的に観察することができる。
【0045】
また、本発明のプローブ顕微鏡において、少なくとも試料を密閉可能に収納する収納容器と、収納容器内の圧力を、所望の圧力に調整又は変化させる圧力調整手段とを備えることができる。また、本発明の物性測定方法では、物性を測定する際に、試料の周囲の圧力を、所望の圧力に調整又は変化させる。
【0046】
上記プローブ顕微鏡及び物性測定方法に従えば、密閉された収納容器内の圧力を、所定の圧力、例えば、真空状態に調整したり、圧力変化させるため、試料の弾性、粘性等の物性をより多角的に観察することができる。特に、一旦、真空状態とし物性を測定する場合には、試料表面の酸化を防ぎながら物性を測定することができるので、酸化し易い試料、例えば、高分子材料からなる試料に好適である。
【0047】
また、本発明のプローブ顕微鏡において、収納容器内の環境を、任意の環境条件に調整又は環境条件を変化させる環境調整手段を備えることができる。また、本発明の物性測定方法では、物性を測定する際に、試料の周囲の環境条件を、所望の環境条件に調整又は変化させる。
【0048】
上記プローブ顕微鏡及び物性測定方法に従えば、試料の物性を測定する際に、収納容器内の環境条件、即ち、試料の周囲の環境条件を調整したり変化させるため、様々な環境条件に対する弾性、粘性等の物性の依存性を測定することができる。従って、試料の物性をより多角的に観察することができる。
【0049】
また、本発明のプローブ顕微鏡において、前記環境条件として、温度又は湿度の少なくともいずれか一方を含むことができる。また、本発明の物性測定方法では、物性を測定する際に、試料の周囲の環境条件を、所望の環境条件に調整又は変化させる。
【0050】
上記プローブ顕微鏡及び物性測定方法に従えば、温度又は湿度の少なくともいずれか一方を調整又は変化させることで、弾性や粘性の物性の湿度依存性や温度依存性、或いはこれらを組み合わせた依存性を測定することができ、試料の物性をさらに多角的に観察することができる。
【発明の効果】
【0051】
この発明に係るプローブ顕微鏡及び物性測定方法によれば、第2の振動状態測定手段で測定した試料載置面の振動状態と、第1の振動状態測定手段で測定したプローブの振動状態とを比較するので、測定系の特性(誤差)を排除することができ、それにより、試料の物性に起因する試料表面の波形のみを得ることができる。従って、試料の物性をより高精度に測定することができる。
【0052】
また、試料表面の波形と測定系の特性とを同時に測定することができるので、従来行っていた試料交換作業において測定結果がばらつくという問題を解消することができる。また、試料の交換作業が不要となるため、測定時間の短縮化を図ることができる。
【0053】
更に、試料表面とプローブ先端とを接触させたコンタクトモードにて測定を行うので、吸着水層の影響を低減させることができ、測定された物性の信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の物性測定方法に使用するプローブ顕微鏡の第1実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
【0055】
本実施形態のプローブ顕微鏡1は、図1に示すように、試料2を載置する載置面3aを有する試料台(ステージ)3と、試料2をその表面2aと直交する方向に振動させるべく試料台3を垂直なZ方向に移動可能とするZステージ4を有すると共に同方向に振動可能に支持する試料移動部(支持手段)5と、試料移動部5のZ方向への移動、即ち、Zステージ4を制御する移動制御部(移動制御手段)6と、上記試料移動部5を支持すると共に試料移動部5を所定の振動用周波数及び振動用振幅、即ち、図2に示すモジュレーション入力波形(振幅A)で振動させるピエゾ素子(加振手段)7を有するベース8と、先端に探針9を有しその探針9が試料表面2aに接触可能な状態で配されたカンチレバー(プローブ)10と、探針(プローブ先端)9が試料表面2aに接触した状態で探針9の振動状態を測定する第1の測定部(第1の振動状態測定手段)11と、第1の測定部11による測定結果に基づいて、試料2の物性を測定する測定処理部(測定処理手段)12と、ピエゾ素子7を動作させたときに上記載置面3aの振動状態を測定する第2の測定部(第二の振動状態測定手段)13とを備えている。
【0056】
また、本実施形態のプローブ顕微鏡1は、上記試料2と上記探針9とを、試料表面2aに平行なXY方向に向けて相対的に移動可能なXYステージ(走査手段)15と、少なくとも試料2を密閉可能に内部に収納する真空容器(収納容器)16と、真空容器16内の圧力を任意の圧力に調整又は変化させる真空ポンプ(圧力調整手段)17と、真空容器16内の環境、即ち、試料2の周囲の環境を、所望の環境条件に調整又は変化させる環境調整部18とを備えている。
【0057】
上記真空容器16は、金属材料等を用いて箱状に形成されており、内部に上述したベース8、試料移動部5、試料台3、試料2及びカンチレバー10を密閉状態で収納している。また、真空容器16の外側には、その真空容器16に隣接して真空ポンプ17が設けられており、真空容器16の内部圧力を所望の圧力(真空度)に調整又は変化させることができるようになっている。また、真空容器16の上部には図示しない開口が形成されており、透明蓋20がその開口を密閉するように取り付けられている。
【0058】
上記ベース8は、真空容器16の底部から立設するよう設けられており、内部に上記ピエゾ素子7を有している。このピエゾ素子7は、例えば、10Hz〜10KHzの振動用周波数で試料移動部5を振動させるようになっている。また、ピエゾ素子7の振動用周波数は任意の周波数に自在に変化させることができるようになっており、振動用周波数は、上述した周波数に限られるものではない。
【0059】
上記試料移動部5は、上記XYステージ15を有していると共に、該XYステージ15上に上記Zステージ4を有している。これにより、試料台3をZ方向及びXY方向に向けて移動させることができるようになっている。また、試料移動部5は、上記ピエゾ素子7によって全体的にZ方向に振動可能とされている。
【0060】
上記移動制御部6は、上記Zステージ4に加え、XYステージ15の作動についても制御を行うようになっている。また、移動制御部6は、XYステージ15を作動させて試料表面2aの走査を行う際に、第1の測定部11の測定結果に基づいてZステージ4を制御できるようにもなっている。これについては、後で詳細に説明する。
【0061】
上記試料台3は、試料移動部5のZステージ4に支持されており、その上面が載置面3aとなっている。また、試料台3は、内部に加熱冷却機構21を有しており、載置面3aに載置された試料2及び該試料2の周囲の温度、即ち、環境条件を任意に調整又は変化させることができるようになっている。つまり、この加熱冷却機構21は、上記環境調整手段18の一部を構成している。
【0062】
上記試料2は、金属、半導体、セラミック、樹脂、絶縁体や高分子材料等からなるものを適用することが可能である。高分子材料としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリエステル、ポリスチレン、酢酸ビニール、PETやゴム等が挙げられる。なお、試料2は、これらのものに限定されるものではない。
【0063】
上記カンチレバー10は、シリコンや窒化珪素等の材料からなり、基端側が真空容器16内の図示しない取付架台に固定された固定ベース22に取付けられている。また、カンチレバー10の先端には、上記探針9が設けられており、探針9の裏面には金やアルミ等でコーティングされたレーザ光の図示しない反射面が形成されている。
【0064】
上記第1の測定部11は、探針9の裏面に形成された上記反射面にレーザ光(光)Lを照射する探針用レーザ光源(プローブ用光照射部)25と、反射面で反射したレーザ光L(反射光)を検出する探針用フォトダイオード(プローブ用光検出部)26とを備えている。これら、探針用レーザ光源25及び探針用フォトダイオード26は、真空容器16の外部であって透明蓋20の上方に配されており、その透明蓋20を通してレーザ光Lが入射及び出射するようになっている。
【0065】
また、探針用フォトダイオード26は、反射面で反射したレーザ光Lの入射位置に応じて、探針9の振動状態を検出するようになっている。つまり、探針用フォトダイオード26は、探針9の振動状態を入射位置に応じた波形(図2に示す試料表面の波形、振幅C)として上記測定処理部12に送るようになっている。
【0066】
上記第2の測定部13は、載置面3aにレーザ光Lを照射する載置面用レーザ光源(載置面用光照射部)27と、載置面3aで反射したレーザ光Lを検出する載置面用フォトダイオード(載置面用光検出部)28とを備えている。これら、載置面用レーザ光源27及び載置面用フォトダイオード28は、上記第1の測定部11と同様に、真空容器16の外部であって透明蓋20の上方に配されており、その透明蓋20を通してレーザ光Lが入射及び出射するようになっている。
【0067】
また、本実施形態の第2の測定部13は、傾斜面29を有する反射部30を試料2に隣接した状態で有しており、この反射部30は載置面3aに載置されている。
【0068】
上記反射部30は、例えば、シリコン等の硬さを有する材料からなり、カンチレバー10が試料表面2aに接触したときの水平面に対する角度(例えば、13度)と略同一の角度を持った上記傾斜面29が上部に形成されている。なお、傾斜面29は、シリコンを研磨したり、アルミ等の金属を蒸着やコーティングした反射面として機能する。つまり、レーザ光Lが、この反射部30の傾斜面29で反射することは、載置面3aで反射したと同じ作用を生じさせるものである。
【0069】
また、載置面用フォトダイオード28は、試料台3の載置面3aで反射した、即ち、反射部30の傾斜面29で反射したレーザ光L(反射光)の入射位置に応じて、載置面3aの振動状態を検出するようになっている。つまり、載置面用フォトダイオード28は、載置面3aの振動状態を、入射位置に応じた波形(図2に示す測定系の波形、振幅B)として上記測定処理部12に送るようになっている。
【0070】
上記測定処理部12はマイクロコンピュータで構成されており、第2の測定部13で測定した振動状態、即ち、上記載置面用フォトダイオード28から送られた測定系の波形(図2に示す測定系の波形、振幅B)と、第1の測定部11で測定された振動状態、即ち、上記探針用フォトダイオード26から送られた波形(図2に示す試料表面の波形、振幅C)とを比較することで、試料2の粘性や弾性等の物性を測定するようになっている。これについては、後に詳細に説明する。
【0071】
また、本実施形態のプローブ顕微鏡1は、真空容器16の側面に設けられたガス導入管31と、該ガス導入管31から所定の湿度を持った空気を真空容器16内に供給する湿度供給部32とを有するガス導入手段33を備えている。
【0072】
湿度供給部32は、ドライエアーに所定の湿度を持った水蒸気を混合させた空気を真空容器16内に供給し、真空容器16内、即ち、試料2の周囲の湿度を、例えば、湿度60%や80%、又はある範囲内で変化させることができるようになっている。つまり、ドライエアーと水蒸気との混合比率を変化させることで、湿度を任意に設定することができる。このガス導入手段33は、上記環境調整手段18の一部を構成している。
【0073】
このように構成されたプローブ顕微鏡1により、試料2の物性を測定する場合について以下に説明する。なお、本実施形態においては、試料2の物性として弾性及び粘性を測定するものとする。また、真空容器16内の圧力を大気圧、温度を室温と略同じ25℃に設定した状態で物性の測定を行う。
【0074】
本実施形態の物性測定方法は、ステージの載置面3aに載置された試料表面2aにカンチレバー10の先端の探針9を接触させた状態で、試料台3を試料表面2aに垂直なZ方向に振動させ、探針9の振動状態を測定することで試料2の物性あるいは性状を測定する方法である。以下に詳細に説明する。
【0075】
まず、試料表面2aと探針9とを接触させる初期設定を行う。載置面3aに試料2を載置した後、移動制御部6は、試料移動部5のZステージ4を探針9に向かうZ方向にゆっくりと移動させる。また、この際、探針用レーザ光源25からカンチレバー10の反射面にレーザ光Lを照射させ、反射光を探針用フォトダイオード26で検出しておく。この状態でZステージ4の移動により、試料表面2aと探針9とが接触すると、試料2に探針9が押されてカンチレバー10が若干上向きに反った状態で撓む。
【0076】
これにより、反射面で反射するレーザ光Lの角度が変化して、探針用フォトダイオード26に入射するレーザ光Lの入射位置が変化する。従って、試料表面2aと探針9とが接触したことを確実に判断することができる。また、移動制御部6は、探針用フォトダイオード26で検出されるレーザ光Lの入射位置が所定位置に達するまで、Zステージ4を移動させ、所定位置に達した時点でZステージ4を停止させる。これにより、試料表面2aと探針9との接触をより確実なものにすることができる。なお、図2における各種波形の振幅中心線Dが、上述した所定位置、即ち、探針9の初期設定位置である。
【0077】
また、この初期設定の際、探針用フォトダイオード26が測定する振動波形と、載置面用フォトダイオード28が測定する振動波形との振幅のピークを合わせる較正作業を予め行う。つまり、探針用レーザ光源25から照射されたレーザ光は、カンチレバー10の撓みに応じてそのカンチレバー10の反射面で異なる角度で反射された後、探針用フォトダイオード26に入射する。
【0078】
一方、載置面用レーザ光源27から照射されたレーザ光は、反射部30のZ方向における振動に応じてZ方向における反射位置が異なり、各位置で反射した後、載置面用フォトダイオード28に入射する。この際、反射光は、どの位置で反射しようと反射角度は同じであり、Z方向に平行移動した量が異なっている状態である。
【0079】
このように、一方の反射光L1は角度が異なった状態で反射され、他方の反射光L2はZ方向における平行移動量が異なる状態で反射されるので、両フォトダイオード26、28が測定する振動波形の感度が異なり、単純に比較をすることができない。
【0080】
これを解消するために、一方の振動波形の振幅ピークを他方の振動波形の振幅ピークに合わせる上記較正作業を行う。具体的には、例えば、試料2に替えて所定の硬さを有する校正用試料をセットした後に、両フォトダイオード26、28で反射光を測定し、測定した両振動波形の相関関係を調べ、それに応じて両者の振動波形の振幅ピークを合わせる較正を行う。
【0081】
次に、真空容器16内の圧力を大気圧に設定する。即ち、真空ポンプ17を作動させ、一旦真空容器16内の圧力を減圧した後、真空ポンプ17を停止すると共に図示しないリークバルブ等を操作することにより負圧になった真空容器16内の圧力を大気圧に解放する調整を行う。なお、真空ポンプ17は、Zステージ4を作動させる前に作動させても構わないし、Zステージ4と共に作動させても構わない。更に、加熱冷却機構21により、試料2を加熱し試料2の温度を25℃に設定する。
【0082】
上述した初期設定の終了後、試料台3を支持している試料移動部5を、所定の振動用周波数及び振動用振幅でZ方向にむけて振動させ加振を行う。即ち、ピエゾ素子7に電圧を印加して、図2に示すように、モジュレーション入力波形でZ方向に微小振動させる。なお、このモジュレーション入力波形は、測定処理部12に送られている。
【0083】
この振動は、Zステージ4及びXYステージ15を有する試料移動部5の全体、試料台3及び試料2に伝達し、これらをZ方向に微小振動させる。また、同様に試料表面2aに接触している探針9も同様にZ方向に微小振動する。
【0084】
探針9が微小振動した後、その探針9の振動状態を測定する探針測定を行う。即ち、探針9の裏面に形成されたカンチレバー10の反射面で反射するレーザ光L1は、探針9の振動状態に応じて反射角度が変わるので、探針用フォトダイオード26への入射位置が変化する。つまり、カンチレバー10の撓み角が変化するので、入射位置が変化する。そして、探針用フォトダイオード26は、この入射位置に応じた振動波形を測定結果として測定処理部12に送る。
【0085】
そして、測定処理部12は、上記探針測定結果に基づいて試料2の物性として粘弾性を測定する。ここで、試料2が粘性を有している場合には、この粘性の影響により探針9の応答性が悪くなり動きに遅れが生じる。つまり、図2に示すように、ピエゾ素子7のモジュレーション入力波形に対する時間的な遅れとなり、これが振動の位相変化となって現れる。また、試料2が弾性を有している場合には、探針9の振幅変化となって現れる。従って、測定処理部12は、探針用フォトダイオード26から送られた振動波形とモジュレーション入力波形との位相変化を見ることで、試料2の粘性を検出することができ、また、振幅変化を見ることで同時に試料2の弾性を検出することができる。
【0086】
ここで、測定処理部12は、上記物性を測定する際に、載置面3aの振動状態を測定する載置面測定を行い、その載置面測定で測定された振動状態(図2に示す測定系の波形、振幅B)と、上記探針測定で測定された振動状態(図2に示す試料表面の波形、振幅C)とを比較することで、物性の測定を行う。
【0087】
つまり、探針測定の際に、探針用フォトダイオード26から測定処理部12に送られてくる上記振動波形(図2に示す測定系、振幅C)は、測定系の波形と試料表面2aの波形とが混在している状態である。このうち、測定系の波形は、試料台3の重量(質量)等に大きく起因する試料台3を含む測定系の特性(誤差)であり、また、試料表面2aの波形は、測定したい試料2の物性に起因する波形である。
【0088】
例えば、図2において、試料2の弾性の度合いGは、測定系の波形のピーク部の高さを振幅Bとし、試料表面2aの波形のピーク部の高さを振幅Cとすれば、弾性の度合いGは次の式で表される。
G=C/B
弾性の度合いGの値は、1に近いほど試料が硬く、0に近いほど試料2が軟らかいことを示す。
【0089】
また、同じく、試料2のみの粘性を表す位相(時間遅れ)は、測定系の波形のピーク部とモジュレーション波形のピーク部との横軸方向の差、つまり、位相差をP1とし、試料表面2aの波形のピーク部とモジュレーション波形のピーク部との位相差をP2とすれば、P1は測定系の位相遅れ分であり、P2は測定系の位相遅れ分と試料2のみの位相遅れ分との合計であり、試料2のみの位相遅れPは、次の式で表される。
P=P2−P1
【0090】
このように、測定処理部12は、探針用フォトダイオード26から送られてくる振動波形とモジュレーション入力波形とを比較するのではなく、探針用フォトダイオード26で測定された振動波形と、載置面用フォトダイオード28で測定された振動波形とを比較することで、高精度に物性を得ることができる。
【0091】
ここで、上記載置面測定は、上述した探針測定と同時に行われる。つまり、探針9の振動状態を測定する一方で、載置面用レーザ光源27は、反射部30の傾斜面29に向けてレーザ光Lの照射を行う。照射されたレーザ光Lは、載置面3aの振動状態に応じて反射位置がZ方向に向けて微小に変わるので、載置面用フォトダイオード28への入射位置が変化する。つまり、傾斜面29のZ方向における高さが変化するので、入射位置が変化する(反射光のZ方向における平行移動量が変化する)。なお、水平面に対する傾斜面29の角度は、カンチレバー10と略同一であるので、傾斜面29で反射するレーザ光L2は、カンチレバー10の反射面で反射するレーザ光Lと略同一の角度を持って載置面用フォトダイオード28に向かう。
【0092】
そして、載置面用フォトダイオード28は、この入射位置に応じた振動波形、即ち、図2に示す測定系の波形を測定処理部12に送る。
【0093】
このように、測定処理部12は、カンチレバー10の振動状態とは別に単独で、且つ、同時に載置面3aの振動状態を測定する載置面測定を行うことで、上述したように、探針用フォトダイオード26から送られてくる振動波形から、測定系の特性(誤差)を排除した波形、即ち、測定したい試料2の物性に起因する試料表面2aの波形のみを得ることができ、この波形の位相変化から試料2の粘性率を測定することができると共に、振幅変化から試料2の弾性率を測定することができる。
【0094】
このように、本実施形態のプローブ顕微鏡1によれば、測定系の影響が低減された(測定系の誤差のない)、より高精度の粘弾性を試料2の物性として測定することができる。
【0095】
また、試料表面2aの波形と測定系の波形とを同時に測定できるので、従来のように、校正試料等をセットして予め測定系の誤差を測定する必要がない。つまり、試料の交換作業を行う必要がないことによって交換作業によるばらつきの問題がなくなり、試料の物性を高精度に測定することができる。
【0096】
更に、試料の交換作業が不要であるので、測定にかける時間の短縮化を図ることができる。また、試料表面2aと探針9とを接触させたコンタクトモードにて測定を行うので、吸着水層の影響を低減させることができ、物性情報の正確性を向上させることができる。
【0097】
また、第1の測定部11及び第2の測定部13は、レーザ光を利用するので、僅かな振動であっても高精度に振動状態を測定することができる。
【0098】
また、上述した物性測定の際に、試料2と探針9とをXY方向に相対的に移動させる走査を行っても構わない。
【0099】
即ち、物性を測定する際に、移動制御部6は、XYステージ15を作動させることで、試料2と探針9とをXY方向に相対的に移動させて試料表面2aの走査が行える。これにより、試料表面2aの微小領域、例えば、20μm×20μmの範囲において、粘性分布や弾性分布等の物性分布を測定することが可能になる。
【0100】
また、移動制御部6は、第1の測定部11からの測定結果に基づいた試料表面の波形の振幅が同じになるように、Zステージ4を制御しながら走査を行うことで、試料2の表面形状、すなわち試料2の性状についても同時に測定することができる。
【0101】
更に、上述した各測定の際に、ピエゾ素子7の振動用周波数を変化させる加振工程を行っても構わない。こうすることで、試料2の物性において周波数依存性を測定することができ、試料2の物性を多角的に観察することができる。特に、ある特定の周波数を吸収する特性を有するゴム等の試料2を測定する場合に好適である。
【0102】
更に、上述した各測定は、試料2の温度を室温と略同じ25℃に設定して行ったが、25℃ではなく、所定の温度に設定した状態で測定を行うことで、温度に対する依存性を測定することもできる。
【0103】
特に、試料2の温度を変化させながら測定を行うことで、温度依存性を正確に測定することができる。この場合について、図3を参照して説明する。なお、高分子材料からなる試料2を例にして説明する。
【0104】
高分子の物性は、一般に温度や湿度によって大きく変化することが知られており、その温度・湿度依存性を明らかにすることは重要である。
【0105】
図3に示すように、加熱冷却機構21により、試料2の温度及びその周囲温度を−100℃から200℃又は350℃の範囲内(この温度範囲に限られるものではない)で変化させた場合、図3(a)に示すように、探針用フォトダイオード26で測定された振動波形S1(図2に示す試料表面の波形と測定系の波形とを含む)の振幅信号のピークは、試料2の温度が上昇するにつれて低下する。これは、試料2の温度が上昇すると柔らかくなるので、弾性が変化し振幅が小さくなることを示している。なお、載置面用フォトダイオード28で測定された振動波形S2の振幅信号のピークも同様に、温度が上昇するにつれて小さくなる。
【0106】
また、図3(b)に示すように、探針用フォトダイオード26で測定された振動波形S1(図2に示す試料表面の波形と測定系の波形とを含む)の位相信号は、試料2の温度が上昇するにつれてある温度(ガラス転移温度)で高くなった後に低下する。これは、試料2の温度が上昇すると試料2の分子間の結びつき状態が変化し易くなり位相が遅れて位相信号が高くなるが、ガラス転移温度を超えると、例えば、試料2内の分子の結びつきがゴム状態等の別の状態に変化して、徐々に位相信号が小さくなることを示している。なお、このガラス転移温度での状態を転移状態という。また、ガラス転移温度は、試料2の材料によって変化するものであり、例えば、ポリカーボネートやアクリルでは約150℃、PETでは約100〜120℃の範囲である。なお、転移状態を超えると、試料2は、ゴム状態、結晶化等を経て融点に達する。
【0107】
また、上記図3(a)及び図3(b)において、探針用フォトダイオード26で測定された振動波形S1(図2に示す試料表面の波形と測定系の波形とを含む)から載置面用フォトダイオード28で測定された振動波形S2を校正した波形、即ち、試料表面の波形での振幅信号及び位相信号を図3(c)に示している。
【0108】
上述したように、温度変化させながら物性を測定することで、試料2が何℃で転移状態に達するのか等の温度依存について測定を行うことができ、より多角的に試料2の観察を行うことができる。
【0109】
更に、上述した各測定は、真空容器16内の圧力を大気圧に設定した状態で行ったが、大気圧に限らず、所望の圧力状態の下で測定を行っても構わない。特に、温度依存性を測定する際に、真空容器16内を一旦、真空状態にしてから温度を変化させることで、試料表面2aの酸化を防止することができるので、より正確な温度依存性を測定することができる。
【0110】
更に、上述した各測定の際に、真空容器16内にガス導入手段33により、水蒸気とドライエアーを混合させた空気を導入し、試料2の周囲の湿度を所定の湿度に調整又は変化させながら測定を行っても構わない。こうすることで、試料の物性における湿度依存性を測定することができる。このように、湿度や上述した温度に代表されるように、試料2の周囲の環境条件を変化させることで、様々な環境条件における依存性を観察することができる。なお、環境条件は、温度や湿度に限られるものではない。
【0111】
次に、本発明に係るプローブ顕微鏡1の第2実施形態について図4を参照して説明する。なお、同図において図1と同じ構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0112】
第2実施形態と第1実施形態の構成上、異なる点は、第1実施形態では、第2の測定部13から、反射部30の傾斜面29に対してレーザ光Lを照射することで載置面3aの振動状態を測定したが、第2実施形態の第2の測定部40は、校正用カンチレバー41を利用して載置面3aの振動状態を測定する点である。
【0113】
即ち、本実施形態の第2の測定部40は、図4に示すように、載置面3aに載置可能な校正用試料42と、先端に探針9を有してその探針9が校正用試料表面42aに接触可能に配された上記校正用カンチレバー41(校正用プローブ)と、探針9の裏面に形成された図示しない反射面にレーザ光Lを照射する校正用レーザ光源43(校正用光照射部)と、反射面で反射したレーザ光L3(反射光)を検出する校正用フォトダイオード44(校正用光検出部)とを備えている。
【0114】
上記校正用試料42は、所定の硬さを有する材料、例えば、シリコンや、アルミナ等のセラミックからなり、試料2に隣接して載置面3a上に載置されている。この校正用試料42は、所定の硬さを有しているので、校正用試料表面42aの振動状態は、試料台3の載置面3aでの振動状態と同じである。
【0115】
また、校正用カンチレバー41は、カンチレバー10と同様の材質からなると共に同様の反射面がカンチレバー裏面に形成されており、真空容器16内の図示しない取付架台に固定された固定ベース45に取付けられている。
また、校正用レーザ光源43及び校正用フォトダイオード44は、第1の測定手段11と同様に、真空容器16の外部であって透明蓋20の上方に配されており、その透明蓋20を通してレーザ光Lが入射及び出射するようになっている。
【0116】
校正用フォトダイオード44は、試料台3の載置面3aで反射した、即ち、校正用試料表面42aで反射したレーザ光L3の入射位置に応じて、校正用カンチレバー41の探針9及び校正用試料42を介して載置面3aの振動状態を検出し、入射位置に応じた測定系の波形として測定処理部12に送るようになっている。
【0117】
このように構成された第2の測定部40によって載置面3aの振動状態を測定する場合においては、第1実施形態では傾斜面29のZ方向における高さが変わることによる入射位置変化、即ち、反射光の平行移動量の変化を測定していたのに対し、第2の測定部40では第1の測定部11と同様に、校正用カンチレバー41の撓み角変化による入射位置変化を測定するので、第1実施形態に比べて感度が良く載置面3aの振動状態をより正確に測定することができる。
【0118】
従って、試料2の物性測定の信頼性を高めることができる。また、試料表面2aと探針9とを接触させたコンタクトモードにて測定を行うことで、吸着水層による吸着、親水特性の影響に起因する位相遅れや振幅変化の誤差を除去できるので、より高精度に試料2の物性を測定することができる。
【0119】
また、上記第1実施形態では、初期設定の際に、探針用フォトダイオード26が測定する振動波形と、載置面用フォトダイオード28が測定する振動波形との振幅のピークを合わせる較正作業を予め行ったが、第2の実施形態においては、第2測定部40がカンチレバー10と同様な較正用カンチレバー41を用いるので、このような較正作業を行う必要がない。よってより容易に物性を測定することができる。
【0120】
次に、本発明に係るプローブ顕微鏡1の第3実施形態について図5を参照して説明する。なお、同図において図4と同じ構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0121】
第3実施形態と第2実施形態の構成上、異なる点は、第2実施形態では、校正用カンチレバー41の反射面にレーザ光Lを照射することで、載置面3aの振動状態を測定していたのに対し、第3実施形態の第2の測定部50は、校正用カンチレバー41の撓みを直接的に測定することで、載置面3aの振動状態を測定している点である。
【0122】
即ち、第3の実施形態における第2の測定部50は、校正用試料42、校正用カンチレバー41及びその校正用カンチレバー41の撓みを測定する歪ゲージ(撓み測定手段)51を備えている。この歪ゲージ51は、校正用カンチレバー41の基端側にパターン作成または貼着により配置されており、抵抗の変化を出力するようになっている。その抵抗変化から校正用カンチレバー41の探針9及び校正用試料42を介して載置面3aの振動状態を検出し、測定系の波形として測定処理部12に送るようになっている。
【0123】
このように構成された第2の測定部50は、第2の実施形態に比べ、校正用レーザ光源43及び校正用フォトダイオード44が不要であるので、構成の容易化が図れると共に装置の低コスト化を図ることができる。
【0124】
次に、本発明に係るプローブ顕微鏡1の第4実施形態について図6を参照して説明する。
なお、同図において図5と同じ構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0125】
第4実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、第2の測定部50が校正用カンチレバー41を利用したものであるのに対し、第4実施形態における第2の測定部60は、静電容量式の近接センサ61を利用して載置面3aの振動状態を測定している点である。
【0126】
即ち、第4の実施形態における第2の測定部60は、校正用試料42及びその校正用試料42の表面から所定間隔離間して配されると共に校正用試料42との距離を測定する近接センサ61を備えている。この近接センサ61は、校正用試料42との距離に応じた静電容量の変化に基づいて、校正用試料42を介して載置面3aの振動状態を検出し、静電容量の変化に応じた測定系の波形として測定処理部12に送るようになっている。
【0127】
なお、本実施形態においては、湿度や温度によって形状が変化しない校正用試料42を採用することが好ましい。
【0128】
第4の実施形態においては、載置面3aが振動すると、校正用試料42と近接センサ61との距離(間隔)が変化するので、この距離に応じて両者の間に働く静電容量が変化する。これを静電センサ61が測定することで、高精度に載置面3aの振動状態を測定できる。よって、測定系の波形を正確に測定でき、試料2の物性情報の信頼性を向上することができる。
【0129】
なお、本実施形態においては、第1実施形態と同様に、初期設定の際に、探針用フォトダイオード26が測定する振動波形と、近接センサ61が測定する振動波形との振幅のピークを合わせる較正作業を予め行う必要がある。
【0130】
また、近接センサとしては、上記静電容量式に限らず、磁気式あるいは渦電流式のものを使用することもできる。
【0131】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0132】
例えば、上記実施形態において、試料台を加振する加振手段としてピエゾ素子を採用したが、ピエゾ素子に限られるものではない。
【0133】
第1の測定部は、カンチレバーに光を照射することで、探針の振動状態を検出したが、第3実施形態の第2の測定部と同様に歪ゲージを用いて構成し、試料表面の振動状態を測定しても構わない。
【0134】
また、第1実施形態において、第2の測定部は傾斜面を有する反射部を備えていたが、傾斜面ではなく平面に形成し、その平面に対してレーザ光を斜めに照射してレーザ光の反射を測定しても構わない。また、反射部をなくし、直接、載置面にレーザ光を照射して載置面の振動状態を測定しても構わない。
【0135】
また、各実施形態において、XYステージにより、試料と探針とをXY方向に相対的に移動させたが、これに限らず、探針側をXY方向に移動するよう移動手段を構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプローブ顕微鏡の構成図である。
【図2】図1に示すプローブ顕微鏡における、ピエゾ素子(モジュレーション入力波形)、載置面(測定系の波形)及び試料表面(試料表面の波形)の振動状態の一例を示す図である。
【図3】図1に示すプローブ顕微鏡により、試料の温度を変化させながら試料の物性を測定する場合の載置面及び試料表面の振動状態の一例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るプローブ顕微鏡の構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るプローブ顕微鏡の構成図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るプローブ顕微鏡の構成図である。
【図7】従来のプローブ顕微鏡における、ピエゾ素子(モジュレーション入力波形)、載置面(測定系の波形)及び試料表面(試料表面の波形)の振動状態の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0137】
L レーザ光(光)
1 プローブ顕微鏡
2 試料
2a 試料表面
3 試料台(ステージ)
3a 載置面
5 試料移動部(支持手段)
6 移動制御部(移動制御手段)
7 ピエゾ素子(加振手段)
9 探針
10 カンチレバー(プローブ)
11 第1の測定部
12 測定処理部(測定処理手段)
13、40、50、60 第2の測定部
15 XYステージ(走査手段)
16 真空容器(収納容器)
17 真空ポンプ(圧力調整手段)
18 環境調整手段
25 探針用レーザ光源(探針用光照射部)
26 探針用フォトダイオード(探針用光受光部)
27 載置面用レーザ光源(載置面用光照射部)
28 載置面用フォトダイオード(載置面用光検出部)
41 校正用カンチレバー(校正用プローブ)
42 校正用試料
42a 校正用試料表面
43 校正用レーザ光源(校正用光照射部)
44 校正用フォトダイオード(校正用光検出部)
51 歪ゲージ(撓み測定手段)
61 近接センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を載置する載置面を有するステージと、
前記ステージに載置された試料をその表面と直交する方向に振動させるべく、前記ステージを支持するとともに垂直方向に振動自在に構成された支持手段と、
前記支持手段を所定の振動用周波数及び振動用振幅で振動させる加振手段と、
前記支持手段における垂直方向の移動を制御する移動制御手段と、
先端が前記試料表面に接触するように配置されたプローブと、
プローブ先端が前記試料表面に接触した状態でそのプローブの振動状態を測定する第1の振動状態測定手段と、
前記加振手段を動作させた時に、前記載置面の振動状態を測定する第2の振動状態測定手段と、
前記第2の振動状態測定手段によって測定した振動状態の波形と、前記第1の振動状態測定手段によって測定した振動状態の波形とを比較することで前記試料の物性を測定する測定処理手段とを備えてなることを特徴とするプローブ顕微鏡。
【請求項2】
上記プローブ先端の裏面に反射部を有し、前記第1の振動状態測定手段として、前記反射部に光を照射するプローブ用光照射部と、前記反射部で反射した反射光を検出するプローブ用光検出部とを備え、前記プローブ用光検出部は、反射光の入射位置の変動に基づいて前記プローブの振動状態を測定するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のプローブ顕微鏡。
【請求項3】
前記第2の振動状態測定手段として、前記載置面の表面に光を照射する載置面用光照射部と、載置面で反射した反射光を検出する載置面用光検出部とを備え、この載置面用光検出部は、載置面反射光の入射位置の変動に基づいて前記載置面の振動状態を測定するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のプローブ顕微鏡。
【請求項4】
前記第2の振動状態測定手段として、前記載置面に載置可能な校正用試料と、その校正用試料表面に接触するように配置された校正用プローブと、この校正用プローブ先端の裏面に設けられた反射部に対し光を照射する校正用光照射部と、前記反射部で反射した反射光を検出する校正用光検出部とを備え、前記校正用光検出部は、反射光の入射位置の変動に基づき前記校正用プローブ先端及び前記校正用試料を介して前記載置面の振動状態を測定するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のプローブ顕微鏡。
【請求項5】
前記第2の振動状態測定手段として、前記載置面に載置可能な校正用試料と、その校正用試料表面に接触するように配置された校正用プローブと、この校正用プローブの撓みを測定する撓み測定手段とを備え、前記撓み測定手段は、測定した前記校正用プローブの撓みの変化に基づき前記校正用プローブ先端及び前記校正用試料を介して前記載置面の振動状態を測定するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のプローブ顕微鏡。
【請求項6】
前記第2の振動状態測定手段として、前記載置面に載置可能な校正用試料と、その校正用試料に近接した状態で配置されその校正用試料表面との距離を測定する近接センサとを備え、前記近接センサは、測定した前記校正用試料表面との距離の変動に基づき前記校正用試料を介して前記載置面の振動状態を測定することを特徴とする請求項1又は2記載のプローブ顕微鏡。
【請求項7】
前記プローブ先端が前記試料表面を走査するように前記プローブ先端と前記試料とを相対的に移動させる走査手段を備え、この走査手段の動作を前記移動制御手段が制御するように構成してなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のプローブ顕微鏡。
【請求項8】
前記加振手段は、振動用周波数を変化させながら前記支持手段を振動させるように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のプローブ顕微鏡。
【請求項9】
少なくとも前記試料を密閉可能に収納する収納容器と、前記収納容器内の圧力を、所望の圧力に調整又は変化させる圧力調整手段とを備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のプローブ顕微鏡。
【請求項10】
前記収納容器内の環境を、所望の環境条件に調整又は変化させる環境調整手段を備えていることを特徴とする請求項9記載のプローブ顕微鏡。
【請求項11】
前記環境条件として、温度又は湿度の少なくともいずれか一方を含む請求項10記載のプローブ顕微鏡。
【請求項12】
ステージの載置面に載置された試料表面にプローブ先端を接触させた状態で、前記ステージに載置された試料をその表面と直交する方向に振動させるべく前記ステージを垂直方向に振動させ、前記プローブ先端の振動状態を測定することで試料の物性を測定する物性測定方法であって、
前記試料表面に前記プローブ先端が接触している状態で、前記ステージを所定の振動用周波数及び振動用振幅で振動させ、
前記プローブの振動状態を測定すると同時に前記載置面の振動状態を測定し、測定された載置面の振動状態の波形と、測定された前記プローブの振動状態の波形とを比較することで試料の物性を測定することを特徴とする物性測定方法。
【請求項13】
前記物性を測定する際に、前記プローブ先端が前記試料表面を走査するように前記プローブ先端と前記試料とを相対的に移動させることを特徴とする請求項12記載の物性測定方法。
【請求項14】
前記物性を測定する際に、前記ステージの振動用周波数を変化させることを特徴とする請求項12または13に記載の物性測定方法。
【請求項15】
前記物性を測定する際に、前記試料の周囲の圧力を、所望の圧力に調整又は変化させることを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の物性測定方法。
【請求項16】
前記物性を測定する際に、前記試料の周囲の環境条件を、所望の環境条件に調整又は変化させることを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の物性測定方法。
【請求項17】
前記環境条件を調整または変化させる際に、温度又は湿度の少なくともいずれか一方を調整又は変化させることを特徴とする請求項16記載の物性測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−284363(P2006−284363A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104605(P2005−104605)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度新エネルギー・産業技術総合開発機構精密高分子技術プロジェクト委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】