説明

ヘアーアイロン

【課題】所定の風量を得ながらも送風機構を小型化することのできるヘアーアイロンを提供する。
【解決手段】第1の毛髪挟持面22aを有する第1の挟持部2bと第2の毛髪挟持面32aを有する第2の挟持部3bとを有し、第1の毛髪挟持面22aと第2の毛髪挟持面32aとで毛髪を挟持するヘアーアイロン1であって、第1の挟持部2bの外郭をなす外郭ハウジング52が略弧状に形成され、第1の挟持部2bにおける第1の毛髪挟持面22aの背面側に送風機構53が設けられ、送風機構53を第1の挟持部2bの長手方向からみた場合の断面形状が外郭の頂部側に向かってすぼんだ略台形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアーアイロンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘアーアイロンとして様々なものが提案されている。例えば、特許文献1に記載の髪処理装置では、加熱ブロックに隣接する揺動軸側にファンユニットを膨出形式で配置することでグリップ部の厚みを薄くしている。その結果、全体の厚みを薄くすることができ、髪処理装置の使用時に持ち重りがしない。また、大形の送風ファンで空気を送給するようにしているため、より低速で送風ファンを回転駆動して所定量の空気を送給し、使用中の運転騒音を低減することができる。さらに、髪処理中には、大量の空気とともにマイナスイオンを髪に作用させて、髪のくせ伸ばしや直毛の縮れ処理などの髪処理を効果的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4485118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の髪処理装置では、揺動側に大形の送風ファンを搭載するため、全体の重さが重くなるとともに風送出部への通風抵抗が大きくなる。そのため、低速による低騒音を得ようとするとモータも大型化する。また、揺動側に大形の送風ファンが配置されることで、送出に対する吸気をさらに把持側に構成する必要があり、吸気効果を髪作用に転換する効果は期待できない。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、所定の風量を得ながらも送風機構を小型化することのできるヘアーアイロンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の毛髪挟持面を有する第1の挟持部と第2の毛髪挟持面を有する第2の挟持部とを有し、前記第1の毛髪挟持面と第2の毛髪挟持面とで毛髪を挟持するヘアーアイロンであって、前記第1の挟持部の外郭をなす外郭ハウジングが略弧状に形成され、前記第1の挟持部における前記第1の毛髪挟持面の背面側に送風機構が設けられ、前記送風機構を前記第1の挟持部の長手方向からみた場合の断面形状が前記外郭の頂部側に向かってすぼんだ略台形状であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明において、前記送風機構の外枠を前記第1の挟持部の長手方向からみた場合の断面形状が前記外郭の頂部側に向かってすぼんだ略台形状であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、送風機構の断面形状を略台形状にしているので、所定の風量を得ながらも送風機構を小型化することのできるヘアーアイロンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかるヘアーアイロンの側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかるヘアーアイロンの平面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかるヘアーアイロンの断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかるヘアーアイロンの横断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかるヘアーアイロンの拡大断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかるヘアーアイロンの拡大断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる送風機構の外枠の説明図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にかかる送風機構の外枠の説明図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態にかかる送風機構の外枠の説明図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態にかかる送風機構の外枠の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、第1の毛髪挟持面と第2の毛髪挟持面とを当接させるとともに第2の毛髪挟持面が上を向いた状態におけるヘアーアイロンを基準として上下方向を規定する。また、ヘアーアイロンの挟持部側を前方、把持部側を後方として説明する。
【0011】
本実施形態にかかるヘアーアイロン1は、図1の側面図および図2の平面図に示すように、回動連結部4を介して略V字状に拡開可能に連結された上側アーム部2および下側アーム部3を備えている。そして、上側アーム部2と下側アーム部3とを回動連結部4を介して相対回動させることで、上側アーム部2および下側アーム部3の先端同士を接離できるようにしている。すなわち、本実施形態では、上側アーム部2と下側アーム部3との相対回動に伴って、後述する上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとが接離されるようにしている。
【0012】
また、本実施形態では、図3に示すように、上側アーム部2の回動連結部4近傍に、下方に開口した筒部2cが設けられているとともに、下側アーム部3の回動連結部4近傍に、上方に開口して、筒部2c内に挿入可能な筒部3cが設けられている。そして、この筒部2cと筒部3cとで形成された空間部には、コイルスプリング5が収容されており、このコイルスプリング5によって、上側アーム部2と下側アーム部3とを互いに拡開するように付勢している。また、筒部3cを筒部2c内に挿入させることで、ヘアーアイロン1を閉じる際に、上側アーム部2と下側アーム部3とが幅方向にずれてしまうのを抑制している。なお、本実施形態では、図示せぬストッパによって、上側アーム部2と下側アーム部3の拡開方向への回動が規制されている。
【0013】
また、上側アーム部2および下側アーム部3の回動連結部4側(ヘアーアイロン1の後側)には、上側把持部(第1の把持部)2aおよび下側把持部(第2の把持部)3aがそれぞれ設けられている。そして、先端側には、上側挟持部(第1の挟持部)2bおよび下側挟持部(第2の挟持部)3bがそれぞれ設けられている。
【0014】
また、上側挟持部2bおよび下側挟持部3bは、それぞれ、上側アーム部2および下側アーム部3を閉じるように回動させた際に当接可能な上側毛髪挟持面(第1の毛髪挟持面)22aおよび下側毛髪挟持面(第2の毛髪挟持面)32aを有している。
【0015】
そして、挟持部の外表面(本実施形態では、上側挟持部2bおよび下側挟持部3bのそれぞれの外表面)には、図4に示すように、毛髪をカールさせるためのカール部2d,3dが設けられている。なお、本実施形態では、上側挟持部2bおよび下側挟持部3bの外表面とは、上側挟持部2bおよび下側挟持部3bの外面のうち、上側毛髪挟持面22aおよび下側毛髪挟持面32aの背面側に存在する面のことをいう。すなわち、図4において、上側挟持部2bの外面のうち下面以外の面、下側挟持部3bの外面のうち上面以外の面が、それぞれ上側挟持部2bの外表面、下側挟持部3bの外表面に相当する。
【0016】
さらに、本実施形態では、上側挟持部2bおよび下側挟持部3bには、図4に示すように、発熱部としてのヒータ23およびヒータ33が設けられている。
【0017】
そして、上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとで毛髪を挟み込み、ヒータ23およびヒータ33で発生させた熱を上側毛髪挟持面22aおよび下側毛髪挟持面32aを介して毛髪に加えることで、毛髪にカール状やストレート状の癖付けを施している。
【0018】
例えば、毛髪へのカール状の癖付けは、以下のようにして行われる。まず、加熱した上側挟持部2bおよび下側挟持部3bを互いに対向させる。そして、上側挟持部2bと下側挟持部3bとの間に、上側挟持部2bおよび下側挟持部3bの幅方向に延在するように毛髪を配置した状態で、上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとで毛髪を挟み込む。次に、毛髪を挟み込んだ状態でヘアーアイロン1を回転させて、上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとで挟み込まれていない根元側の毛髪をカール部2dまたはカール部3dに押し当てる。そして、毛髪をカール部2dまたはカール部3dに押し当てた状態で、ヘアーアイロン1を、毛髪に沿って滑らせながら毛先に向けて引き下ろすことで、毛髪にカール状の癖付けが施される。なお、毛髪へのストレート状の癖付けは、上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとで毛髪を挟み込んだヘアーアイロン1を回転させずに、毛髪に沿って滑らせながら毛先に向けて引き下ろすことで行われる。
【0019】
このように、本実施形態にかかるヘアーアイロン1は、毛髪に熱による癖付けを施すことで整髪を行うものである。
【0020】
上述した上側アーム部2および下側アーム部3は、主に外壁をなすケース20およびケース30を備えており、ケース20およびケース30の内部には空洞が形成されており、この空洞内に各種電気部品が収容されている。
【0021】
本実施形態では、図4に示すように、下方に開口した上部ケース20aの下端に設けた凹部20cに、上方に開口した下部ケース20bの上端に設けた突部20dを係合させ、溶着や接着、またはネジ等により上部ケース20aおよび下部ケース20bを一体化させている。こうして、内部に空洞が形成されたケース20を形成している。
【0022】
また、図4に示すように、上方に開口した下部ケース30bの上端側部に設けた溝部30cに、下方に開口した上部ケース30aの下端側部に設けた突部30dを嵌合させ、溶着や接着、またはネジ等により上部ケース30aおよび下部ケース30bを一体化させている。こうして、内部に空洞が形成されたケース30を形成している。
【0023】
また、本実施形態では、ケース(挟持部本体)20およびケース(挟持部本体)30に、上側毛髪挟持面22aを有する毛髪挟持部材21および下側毛髪挟持面32aを有する毛髪挟持部材31を支持させている。このように、ケース20およびケース30に、毛髪挟持部材21および毛髪挟持部材31を支持させることで、上側挟持部(第1の挟持部)2bおよび下側挟持部(第2の挟持部)3bを形成している。
【0024】
具体的には、毛髪挟持部材21および毛髪挟持部材31は、略板状のプレート部22およびプレート部32を備えており、このプレート部22およびプレート部32の表面に、略平坦状の上側毛髪挟持面22aおよび下側毛髪挟持面32aが形成されている。本実施形態では、上側毛髪挟持面22aおよび下側毛髪挟持面32aは、平面視で、ケース20の長手方向に細長い略長方形状に形成されている。
【0025】
さらに、プレート部22およびプレート部32は、幅方向(第1の挟持部および第2の挟持部の幅方向と同一の方向)両端部が、ケース20およびケース30の内側に向けて屈曲している。そして、上側毛髪挟持面22aおよび下側毛髪挟持面32aの幅方向両端には、図4に示すように、幅方向断面視で、斜め外側に向けて凸となる湾曲面22dおよび湾曲面32dがそれぞれ形成されている。
【0026】
そして、プレート部22およびプレート部32の上側毛髪挟持面22aおよび下側毛髪挟持面32aの背面側には、ヒータ23およびヒータ33を収容する収容部24および収容部34が形成されている。本実施形態では、プレート部22,32は、毛髪挟持面側プレート22b,32bおよび背面側プレート22c,32cで構成されており、毛髪挟持面側プレート22b,32bと背面側プレート22c,32cとで形成された空間が収容部24,34になっている。そして、収容部24および収容部34に収容したヒータ23およびヒータ33が、それぞれプレート部22およびプレート部32の内面に当接するようにしている。
【0027】
このプレート部22およびプレート部32は、例えば、銅やアルミニウムなど熱伝導性の高い材料で形成し、毛髪に熱を伝えやすくするのが好ましい。
【0028】
また、本実施形態では、ヒータ23およびヒータ33としてPTCヒータ(Positive Temperature Coefficient ヒータ)を用いており、これにより連続的な温度制御が可能となる。なお、本実施形態では、ヒータ23およびヒータ33としてPTCヒータを用いたものを例示したが、これに限らず、ニクロム線ヒータやその他の加熱手段を用いるようにしてもよい。また、ヒータ(発熱部)は、上側挟持部(第1の挟持部)2bおよび下側挟持部(第2の挟持部)3bのいずれか一方のみに設けられるようにしてもよい。
【0029】
また、ケース30の挟持部(第2の挟持部3b)側の内部には、イオン発生装置10が複数設けられている。本実施形態では、第2の挟持部3bの幅方向両端部に、長手方向に沿って4つのイオン発生装置10がそれぞれ設けられている。このイオン発生装置10としては、ミストを生成するミスト発生装置や金属微粒子を生成する金属微粒子発生装置を用いることができる。そして、このイオン発生装置(ミスト発生装置や金属微粒子発生装置)10で生成されたイオン(ミストや金属微粒子)が、それぞれ、下部ケース30bの上端部に外方かつ斜め上方に開口した放出口30eから放出されるようにしている。このように、放出口30eからイオン(ミストや金属微粒子)を放出させることで、上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとで挟み込んだ毛髪に効率よくイオン(ミストや金属微粒子)を供給できるようにしている。
【0030】
なお、ミスト発生装置としては、高電圧発生回路からグランド電極12を基準として放電極11に高電圧を印加して放電(コロナ放電等)を生じさせ、放電作用によって結露水を微粒化する装置を用いることができる。この装置を用い、放電作用によって結露水を微粒化することで、ナノメータサイズの非常に細かいミスト(マイナスイオンを含むマイナスに帯電されたミスト)を生成することができる。
【0031】
そして、結露水を生じさせるものとしては、ペルチェ素子および熱伝導性を有する部材(例えば金属部材等)からなる冷却板と、冷却板を冷却する際に発生する熱量を放熱する放熱フィンとを備える公知のものを用いることができる。
【0032】
また、金属微粒子発生装置としては、高電圧発生回路からグランド電極12を基準として放電極11に高電圧を印加して放電(コロナ放電等)を生じさせるものを用いることができる。この装置を用い、放電(コロナ放電等)を生じさせることで、放電極やグランド電極等から金属微粒子(金属の分子やイオン等)を放出させることができる。
【0033】
このような金属微粒子発生装置としても公知のものを用いることができる。例えば、金属微粒子発生装置の放電極11を、遷移金属(例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、チタン、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)の単体、合金、あるいは遷移金属をメッキ処理した部材等で構成することが可能である。
【0034】
ここで、放電部で生成され放出された金属の微粒子に、金や、銀、銅、亜鉛等が含まれている場合には、当該金属の微粒子によって抗菌作用を生じさせることができる。また、金属の微粒子に、白金、亜鉛、チタン等が含まれている場合には、当該金属の微粒子によって抗酸化作用を生じさせることができる。なお、白金の微粒子は、抗酸化作用が極めて高いことが判明している。また、金属微粒子の放出をさせない部分(例えばグランド電極等)は、ステンレススチールや、タングステン等を用いて構成することができる。
【0035】
また、放電部は、放電作用によってイオン(例えばマイナスイオン、例えばNO2−、NO3−等)を生じさせ、このイオンを、放電極や、グランド電極、他の金属材料や金属成分を含む部材等に衝突させることで、金属微粒子を生成するものであってもよい。すなわち、グランド電極や上記他の部材を、上記遷移金属を含む材料によって構成し、これらから金属微粒子を放出させるようにしてもよい。
【0036】
さらに、ケース30の内部には、ヒータ23およびヒータ33の温度等を制御する制御回路6aが収容されており、この制御回路6aにヒータ23およびヒータ33がリード線8を介して接続されている。また、本実施形態では、上側毛髪挟持面22aおよび下側毛髪挟持面32aの温度を段階的に設定できるようにしている。また、ヘアーアイロン1の後端部1aからは、図示せぬ電源コードが引き出されている。
【0037】
そして、ケース30の下側把持部3a側には、操作スイッチ7が設けられており、この操作スイッチ7を操作することで、ヒータ23およびヒータ33に対する通電のオン・オフを切り換えることができるようになっている。この操作スイッチ7の操作によってヒータ23およびヒータ33を通電させると当該ヒータ23およびヒータ33が発熱する。そして、この発熱したヒータ23およびヒータ33からプレート部22およびプレート部32に熱が伝達されることで、プレート部22およびプレート部32が加熱される。
【0038】
さらに、本実施形態では、図3に示すように、プレート部22およびプレート部32の背面22e,32eにサーミスタ73が取り付けられており、ヒータ23,33の温度変化に伴って変化するサーミスタ73の抵抗値を利用して、ヒータ23およびヒータ33の温度を制御している。なお、符号74はヒューズであり、このヒューズ74を設けることで、制御回路6aの破損等により上側毛髪挟持面22aや下側毛髪挟持面32aの温度が所定の温度を超えてしまった場合に、ヒータ23およびヒータ33への通電が遮断されるようにしている。
【0039】
また、ケース30の下側把持部3a側には、温度調節スイッチ7aが設けられており、この温度調節スイッチ7aを操作することで、上側毛髪挟持面22aおよび下側毛髪挟持面32aの設定温度を切り換えることができるようになっている。本実施形態では、設定温度を5段階に切り換えることができるようにしたものを例示している。そして、ケース30には、図示せぬLEDランプによって点灯する点灯部71が5つ設けられており、例えば、各段階に対応した点灯部71を点灯させることで、現在の設定温度を認識できるようにしている。
【0040】
また、本実施形態では、ヘアーアイロン1は、上側挟持部2bの下側挟持部3b側への相対移動を規制する規制部材を備えている。
【0041】
具体的には、ケース30の下側把持部3a側下部に、上方に向けて突出するストッパ突起40を設けるとともに、ケース20の下部ケース20bにストッパ溝部41を設け、ストッパ突起40の先端をストッパ溝部41の底面に当接させるようにしている。このように、ストッパ突起40の先端をストッパ溝部41の底面に当接させることで、上側アーム部2と下側アーム部3との閉じる方向への回動が規制される。
【0042】
また、毛髪挟持部材21,31の少なくともいずれか一方を、ケース(挟持部本体)20,30に対して上下方向(毛髪挟持面の法線方向)に相対的に往復移動可能に支持するのが好ましい。
【0043】
例えば、毛髪挟持部材21,31のうち少なくともいずれか一方の4隅を、ケース20またはケース30内に配置された4個のフロートばねにて支持することで、毛髪挟持部材21,31をケース20,30に対して上下移動できるようにするのが好ましい。
【0044】
こうすれば、上側毛髪挟持面(第1の毛髪挟持面)22aと下側毛髪挟持面(第2の毛髪挟持面)32aとの間に挟み込まれた毛髪に過度の負荷がかかってしまうのが抑制され、毛髪へのダメージを抑制することができるようになる。
【0045】
ここで、本実施形態では、上側挟持部(第1の挟持部)2bにおける上側毛髪挟持面22aの上方(第1の毛髪挟持面の背面側)に、送風部50を設けている。
【0046】
具体的には、上側挟持部(第1の挟持部)2bは、上側毛髪挟持面(第1の毛髪挟持面)22aを有する毛髪挟持ユニット25を備えている。そして、毛髪挟持ユニット25の上部(毛髪挟持ユニットにおける第1の毛髪挟持面とは反対側)に、送風部50を有する送風ユニット51が設けられている。
【0047】
さらに、本実施形態では、上側毛髪挟持面(第1の毛髪挟持面)22aと送風部50との間に断熱部を介在させている。
【0048】
具体的には、毛髪挟持ユニット25の天壁部25a、すなわち、上部ケース20aの上側挟持部(第1の挟持部)2b側をポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリフェニレンスルファイド(PPS)などの耐熱性樹脂で形成している。なお、フェルトなどの断熱素材を上側毛髪挟持面(第1の毛髪挟持面)22aと送風部50との間に介在させることで、断熱部を形成するようにしてもよい。
【0049】
また、上部ケース20aは、図3に示すように、上側把持部2aの後部に略水平の平坦部20eが、当該平坦部20eの前端には前方かつ上方に傾斜する傾斜部20fが形成されている。そして、傾斜部20fの前端から下方にクランク状に屈曲させることで、上部ケース20aの前端部に毛髪挟持ユニット25の天壁部25aを形成している。
【0050】
このとき、毛髪挟持ユニット25の天壁部は、平坦部20eよりも下方に位置するように形成されている。すなわち、毛髪挟持ユニット25は、上下方向の厚さが薄くなるように形成されている。このように、毛髪挟持ユニット25を厚さが薄くなるように形成することで、上側挟持部(第1の挟持部)2b全体の厚さが増大してしまうのを抑制しつつ、送風空間を極力確保できるようにしている。
【0051】
送風ユニット51は、送風部50と、当該送風部50の上方を覆うとともに上側挟持部(第1の挟持部)2bの外郭をなす外郭ハウジング52と、を備えている。
【0052】
送風部50は、送風機構(回転により送風を行う送風機構)53を備えている。本実施形態では、ファン55を図示せぬモータのモータ軸に接続することで送風機構53を形成している。また、ファン55は、回転駆動部を内部に持つ軸部55aと、軸部55aの側面に形成される複数枚の羽根部55bとで構成されている。送風機構53の構成については後に詳しく説明する。
【0053】
この送風機構53としては、軸流ファン、シロッコファン、ターボファン、クロスフローファンなどを用いることができる。送風機構53は、図5に示すように、上側挟持部(第1の挟持部)2bの長手方向に1つだけ設けてもよいし、あるいは、図6に示すように、上側挟持部(第1の挟持部)2bの長手方向に2つ並設してもよい。
【0054】
外郭ハウジング52は、正面視で、幅方向両端に下方かつ外方に延在する側壁部52aが形成され、幅方向中央部に、毛髪が巻き付けられるカール部(毛髪巻き付け部)52bが形成されており、上方に凸状の湾曲面を有する形状をしている。すなわち、本実施形態では、上側挟持部(第1の挟持部)2bにおける上側毛髪挟持面(第1の毛髪挟持面)22aの背面側(図4の上側)にカール部52bが形成されており、当該カール部52bが上側挟持部2bのカール部2dに相当している。
【0055】
そして、毛髪挟持ユニット25の天壁部25aの4隅に設けられた支柱28で外郭ハウジング52を支持することにより、毛髪挟持ユニット25と送風ユニット51とを有する上側挟持部(第1の挟持部)2bが形成される。
【0056】
また、本実施形態では、この外郭ハウジング52は、毛髪挟持ユニット25よりも若干幅広に形成されている。具体的には、外郭ハウジング52の幅方向両端52cが毛髪挟持ユニット25の天壁部25aよりも下方かつ外方に突出するようにしている。
【0057】
このように、外郭ハウジング52の幅方向両端52cを毛髪挟持ユニット25の天壁部25aよりも下方かつ外方に突出させることで、外郭ハウジング52と毛髪挟持ユニット25との間に隙間が形成され、当該隙間を送風口60としている。送風機構53から送風口に送られた風は、この送風口60から外部に放出される。このとき、送風機構53から送られた風は下方かつ外方に向けて放出されることとなり、上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとで挟み込んだ毛髪に、より効率的に風(冷却風)を供給できるようになる。外郭ハウジング52の外面形状を維持するように、外郭ハウジング52の幅方向両端52cを毛髪挟時ユニット25の天壁部25aよりも下方に延設させて毛髪挟時ユニット25に内装する場合もある。
【0058】
本実施形態では、上側挟持部(第1の挟持部)2b外面のうち上側毛髪挟持面(第1の毛髪挟持面)22a以外の部位、すなわち、上側挟持部2bの外表面に、外気を導入する吸気口52dを形成している。この吸気口52dは、送風ユニット51の送風効率を向上させるためのものである。
【0059】
本実施形態では、外郭ハウジング52の幅方向中央部に形成されたカール部(毛髪巻き付け部)52bに、外気を送風ユニット51内に導入する吸気口52dを形成している。このように、外郭ハウジング52の幅方向中央部に形成されたカール部52bに吸気口52dを形成することで、吸気口52d、送風機構53および送風口60が、上下方向(上側挟持部の厚さ方向)に、この順に配置されるようにしている。そして、送風機構53を駆動(後述するエイジングも含む)させると、吸気口52d近傍の外気が吸気口52dから上側挟持部2b内に導入され、送風機構53によって送風口60に送られて送風口60から外部に放出されるという一連の風の流れが形成される。
【0060】
さらに、本実施形態では、ケース20の内部に、ファン(送風機構53)55の回転等を制御する制御回路6bが収容されており、この制御回路6bにリード線8を介して送風機構53が接続されている。
【0061】
そして、ケース20の傾斜部20fに冷却ボタン75が設けられており、この冷却ボタン75を操作することで、ファン(送風機構53)55の回転数を切り換えることができるようになっている。すなわち、冷却ボタン75を操作することで、送風機構53を通常運転状態とその他の状態(送風機構53が停止している状態もしくは後述するエイジングしている状態)とを切り換えることができるようになっている。
【0062】
ところで、上側挟持部2bおよび下側挟持部3bを加熱すると、熱が発生し、上側挟持部2bおよび下側挟持部3bのケース20,30やその内部では、対流伝熱、輻射伝熱、伝導伝熱等により温度が上昇する。
【0063】
このように、上側挟持部2bおよび下側挟持部3bの周辺や内部の温度が上昇すると、使用者が肌接触などにより火傷してしまったり、使用者が使用中に熱さを感じてしまうことが生じる。また、送風口60から送出される風の温度が上昇するため、毛髪に温度差を与えることができず、毛髪自体の冷却効果、ひいては整髪効率が低下してしまうという問題があった。
【0064】
そこで、本実施形態では、上述したサーミスタ73を検知子として用い、サーミスタ73がヒータ23およびヒータ33の温度が所定の温度以上になったことを検知した場合に、制御回路6bがファン55を回転させてエイジングを行うようにしている。
【0065】
すなわち、ヘアーアイロン1が、ヒータ23およびヒータ33(発熱部)の温度を検知するサーミスタ(検知子)73と、検知したヒータ23およびヒータ33の温度に基づいて送風部50のエイジングを行う制御回路(制御部)6bと、を有するようにした。
【0066】
なお、所定温度の検知は温度そのものを検知するサーミスター形式でなくてもよい。例えば、熱源として設置しているヒータ23およびヒータ33の負荷電流値を検知したり、所定温度と時間の相関性を求め、当該相関性から求められた時間を検知することで、所定温度を検知するようにしてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、ヒータ23およびヒータ33の温度が100℃を超えた場合に、送風部50のエイジングを行うようにしている。本実施形態にかかるヘアーアイロン1では、送風部50のエイジングを行わない場合、ヒータ23およびヒータ33の温度が100℃を超えると、送風部50内の温度が40℃を超えてしまう。そのため、ヒータ23およびヒータ33の温度が100℃を超えた場合に、送風部50のエイジングを行って所定の送風量を確保し、送風部50内の温度が40℃以下の状態(外気温に近い温度状態)を保てるようにしている。
【0068】
ここで、上記構成のヘアーアイロン1を用いた場合の作用の一例を説明する。
【0069】
まず、操作スイッチ7を操作することで、ヒータ23およびヒータ33に対する通電をオンにし、上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとを所定温度(例えば、170℃)となるように加熱する。
【0070】
そして、上側毛髪挟持面22aおよび下側毛髪挟持面32aの温度の上昇に伴い、サーミスタ73が検知するヒータ23およびヒータ33の温度が100℃を超えると、制御回路6bがファン55を回転させてエイジングを行うようになる。
【0071】
そして、上側毛髪挟持面22aおよび下側毛髪挟持面32aが所定温度(例えば、170℃)に達すると、冷却ボタン75を操作してファン55の回転数を上げ、送風機構53を通常運転状態にする。このとき、ファン55を回転させてエイジングを行うことで送風部50内の温度上昇が抑制されるため、送風口60から外部に送風される冷却風の温度上昇が抑制され、冷却風の温度をより外気温に近づけることができる。
【0072】
そして、加熱された上側挟持部2bと下側挟持部3bとの間に、上側挟持部2bおよび下側挟持部3bの幅方向に延在するように毛髪を配置した状態で、上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとで毛髪を挟み込む。このように、加熱された上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとで毛髪を挟み込むことで、毛髪繊維同士の水素結合が切断される。
【0073】
そして、毛髪を挟み込んだ状態でヘアーアイロン1を半回転させて、上側毛髪挟持面22aと下側毛髪挟持面32aとで挟み込まれていない根元側の毛髪をカール部(毛髪巻き付け部)52bに巻き付ける。
【0074】
そして、毛髪をカール部(毛髪巻き付け部)52bに押し当てた状態で、ヘアーアイロン1を、毛髪に沿って滑らせながら毛先に向けて引き下ろすことで、毛髪にカール状の癖付けが施される。
【0075】
上記一連の動作を行う際には、熱により毛髪繊維同士の水素結合が切断された状態の毛髪をカール部(毛髪巻き付け部)52bに巻き付けている。そのため、容易に毛髪をカール状に癖付けすることができる。さらに、熱により毛髪繊維同士の水素結合が切断された状態で所望形状に整えた毛髪を、加熱部近傍から送風される冷却風によって冷却するようにしているため、所望形状に整えた状態で毛髪繊維同士をより迅速に水素結合させることができるようになる。そのため、毛髪のカール保持力をより一層高めることができるようになる。
【0076】
以下、送風機構53の構成をさらに詳しく説明する。
【0077】
昨今要求されるスリークデザインでは、外郭を略弧状に形成することが一般的である。本実施形態におけるヘアーアイロン1でも外郭ハウジング52を略弧状に形成しているため、上側挟持部2bの内部に構成される送風機構53用のスペースが非常に狭くなる傾向にある。
【0078】
そこで、本実施形態では、送風機構53の外形を上側挟持部2bの内部スペースの形状に合わせている。具体的には、図4に示すように、送風機構53を上側挟持部2bの長手方向からみた場合、その断面形状を外郭の頂部側(図面上で上側)に向かってすぼんだ略台形状としている。このような略台形状は、軸部55aの側面から複数枚の羽根部55bを下方に突き出すことで実現される。羽根部55bの形状は、その外形投影図が台形に近い形であればよい。これにより、略弧状のスペース内に大きな羽根部55bをもつことができ、効果的に送風量を得ることができるため、スペースの有効利用かつ省スペース設計が可能となる。また、一般的にファンモータに付設されている外枠を削除しているため、さらに風量アップ効果を得ることができる。送出風の送出ベクトルも軸部55aに対して平行方向から放射方向へ変化するので、従来の軸流ファン圧損対策として必要とした下流側の遮蔽物との間の隙間量や整流翼が不要となり、さらに厚み方向の小型化を図ることが可能となる。
【0079】
また、本実施形態では、髪狭持部2bの長手方向両端のみならず短手方向両端あるいは髪狭持部2bの中心部に風送出部を設けている。これにより、髪狭持部2bの側部の任意の位置から送出風を送出することができる。さらに、髪狭持部2bを避けた任意の位置に空孔(吸気口52d)を設けているので、送出風を効率よく確保することができる。空孔の形状や配列は任意に設定すればよい。送風機構53による送出風効果でハウジング内部の温度上昇が低減され、施術の際の髪自体の冷却効果が発揮される。また、吸気によりハウジング内部の温度上昇が低減され、外気を取り込むことで効率を上げることができる。さらには、髪自体の冷却効果、ハウジング外郭の温度上昇の低減効果をも上昇させ、ユーザーの肌接触などによる熱さ感の発生を低減することが可能である。髪狭持部2bの裏面側に送風機構53を設け、その近傍に吸気口52dを設置したことで、通気抵抗を効果的に低下させることができる。そのため、効果のレベルは格段に上昇し、送風機構53の小型効率化を図ることが可能である。
【0080】
ここでは、送風機構53の外枠を削除した構成を例示しているが、必要に応じて外枠を設けてもよい。この場合、外枠の外形も上側挟持部2bの内部スペースの形状に合わせるのが妥当である。たとえば、図7に示すように、外枠80を上側挟持部2bの長手方向からみた場合、その断面形状を外郭の頂部側に向かってすぼんだ略台形状とするのが好ましい。このような外枠80を設ければ、略弧状のスペースを有効利用しながら、吸気する側と送出する側の境界付けをすることができる。外枠80の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、送風機構53の下半分程度を覆う外枠80を設けてもよい。すなわち、境界付けに貢献するのは下半分程度であるため、さほど貢献していない上側の部分を削除している。また、図9に示すように、外枠80の断面形状は矩形にしてもよい。外枠80の側面を傾斜させず垂直に形成しても、吸気する側と送出する側の境界付けをすることができる。もちろん、外枠80の高さは適宜変更することが可能である。たとえば、図10に示すように、送風機構53の4分の1程度を外枠80で覆うだけでも境界付けをするという点で一定の効果を得ることができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態では、所定の風量を得ながらも送風機構を小型化することができる。すなわち、送風機構53を上側挟持部2bの長手方向からみた場合、その断面形状を外郭の頂部側に向かってすぼんだ略台形状としている。これにより、所定の風量を得るために必要なサイズ制約を格段に改善することができ、薄型化を図ることが可能である。
【0082】
また、本実施形態では、送風機構53の外枠を上側挟持部2bの長手方向からみた場合、その断面形状を外郭の頂部側に向かってすぼんだ略台形状としている。これにより、略弧状のスペースを有効利用しながら、吸気する側と送出する側の境界付けをすることができる。
【0083】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、送風機構53や外枠80を略台形状に形成することとしているが、その傾斜角は図示した角度に限定されるものではない。すなわち、上側挟持部2bの内部スペースの形状に応じた適切な角度に設定することができる。その他、送風機構53や外枠80のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 ヘアーアイロン
2b 上側挟持部(第1の挟持部)
3b 下側挟持部(第2の挟持部)
22a 上側毛髪挟持面(第1の毛髪挟持面)
32a 下側毛髪挟持面(第2の毛髪挟持面)
52 外郭ハウジング
53 送風機構
80 送風機構の外枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の毛髪挟持面を有する第1の挟持部と第2の毛髪挟持面を有する第2の挟持部とを有し、前記第1の毛髪挟持面と第2の毛髪挟持面とで毛髪を挟持するヘアーアイロンであって、
前記第1の挟持部の外郭をなす外郭ハウジングが略弧状に形成され、前記第1の挟持部における前記第1の毛髪挟持面の背面側に送風機構が設けられ、前記送風機構を前記第1の挟持部の長手方向からみた場合の断面形状が前記外郭の頂部側に向かってすぼんだ略台形状であることを特徴とするヘアーアイロン。
【請求項2】
前記送風機構の外枠を前記第1の挟持部の長手方向からみた場合の断面形状が前記外郭の頂部側に向かってすぼんだ略台形状であることを特徴とする請求項1記載のヘアーアイロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−56021(P2013−56021A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195836(P2011−195836)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)