説明

ヘタリールアミノナフチリジン

新規の式(I)のヘタリールアミノナフチリジン誘導体(式中、X、R1、R2、R3、R4、W1、W2、W3、W5およびW6は、請求項1に記載の意味を有する)は、ATPを消費するタンパク質の阻害剤であり、とりわけ、腫瘍の処置のために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キナーゼのようなATPを消費するタンパク質によるシグナル伝達の阻害、調節および/または修飾に影響を及ぼす化合物ならびに化合物の使用、特にTGF−β受容体キナーゼの阻害剤に関する。これらの化合物を含む医薬組成物、およびキナーゼ誘導性の疾患の処置のための該化合物の使用も、本発明の目的である。
【背景技術】
【0002】
ATPに結合し、そのエネルギーを利用してコンホメーションを変えて、基質をリン酸化し、シグナリングカスケードを開始する、キナーゼ、ホスファターゼ、シャペロンまたはイソメラーゼのような多くの種類のタンパク質が知られている。特定のツールおよび技術により、ATP結合タンパク質を富化することができる。
【0003】
タンパク質キナーゼの大きいファミリーをチロシンキナーゼとセリントレオニンキナーゼのサブファミリーに分けると、その部分的なリストには、cAbl、Akt、ALK、ALK1ならびにALK1およびALK5のようなそのファミリーメンバー、Axl、Aurora AおよびB、Btk、Dyrk2、EGFR、Erk、EphA2のようなエフリン受容体、FAK、FGFR3のようなFGF受容体、インスリン受容体IRおよびインスリン様成長因子受容体IGF1R、IKK2、Jak2、JNK3、cKit、LimK、VEGF受容体1、2、および3、Mek1、Met、P70s6K、PDGFR、PDK1、PI3K、Plk1、PKD1、bRaf、RSK1、Srcおよびそのファミリーメンバー、TAK1、Trk A、B、C、Zap70が含まれる。様々な各キナーゼは、当業者に周知の複数の異名で表現することができ、Kinwebのようなデータベースで、代替名、分類、遺伝子アノテーション、配列および遺伝子構造、ならびにpdb 3D構造情報へのリンクを含む遺伝子ならびにタンパク質の報告書を見つけやすい。同様に、プロテオミクスサーバーにより、遺伝子およびキナーゼを含めたタンパク質の大量の情報ならびに分析および予測ツールが利用できるであろう。
【0004】
がんの特徴の機構的部分として、Ser/Thrキナーゼおよび受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞シグナリングに必須の酵素をリン酸化する。細胞周期、生存、増殖および細胞死は細胞過程であり、組織が成長すること、再生することおよびホメオスタシスとなること、または退行することが可能となるように細胞シグナリングにより調節される。したがって、一部のキナーゼは、哺乳類の治療の最高の標的である。
【0005】
キナーゼの様々なファミリーのうち、ヒトカイノームの一部である受容体チロシンキナーゼKDR(VEGF受容体2とも呼ばれる)は、VEGFにより細胞外でリガンド結合した(ligated)場合、内皮細胞の生存および増殖を刺激することができる。次いで、リガンド結合により、細胞内リン酸化事象、シグナリングカスケードおよび最終的には増殖が生じ得る。このKDRシグナリングの阻害は様々な治療で試みられている。
【0006】
内皮細胞の機能にとって重要な他のキナーゼおよびリガンドは、TIE2キナーゼおよびアンジオポエチン、PDGF受容体およびPDGFならびにPIGFである。エフリン受容体キナーゼおよびエフリン、特にEphB4およびエフリン−B2。さらに、リガンドTGFβおよびその受容体TGFβR、すなわちAlk1/Alk5は、血管統合性の維持において重要な役割を果たす。TGFβは、TGFβタイプII受容体への結合により、EC挙動に対する逆の効果によって、内皮細胞内の2種の異なるタイプI受容体、すなわち、ECに限定して発現するALK1および広範に発現するALK5を活性化することができる。ALK1は、Smad1/5転写因子を介してECの増殖および遊走を刺激し、ALK5は、Smad2/3転写因子を介してそれらの機能を阻害する。ECの増殖およびシート状配列を促進するAlk5キナーゼ阻害剤の一例はSB−431542である。リガンド結合の阻害は、血管新生においてもTGFβ受容体シグナリングを修飾するためのさらなるアプローチとなる可能性がある。このことは、2種のペプチドにより示され、さらには可溶性TGFβ受容体TβR−Fcに関連して論じられた。抗TGFβ抗体、さらにはTGFβトラップの使用は、TGFβシグナリングを阻害するための別の戦略となるであろう。
【0007】
TGFβタンパク質は、偏在的に発現し不活性形態で分泌される、分子量が約25kDaの二量体の保存タンパク質のファミリーを含む。適切な刺激に応じた局所的なタンパク質分解により、活性なTGFβリガンドが生じる。TGFβシグナリングは、がん、心血管、骨、CNS、PNSの炎症性および神経変性障害を含めた、多数の状態および疾患に関与する。
【0008】
上皮細胞において、TGFβは細胞増殖を阻害する。正常な上皮細胞の癌細胞への転換は、TGFβに対する成長阻害応答のダウンレギュレーションを伴い、これにより、細胞がTGFβシグナリングのオートクライン腫瘍抑制因子活性を回避することが可能となる。癌細胞によるTGFβ産生量の増大は、がん細胞の侵襲性および転移性挙動の一因となる。TGFβは、細胞が侵襲性および遊走性となることを可能にする上皮間葉転換(EMT)を誘導することができる。さらに、TGFβ産生量の増大は、間質および免疫細胞に対して効果を及ぼして、がんの進行に好都合な微環境を提供する。TGFβタンパク質は、TβR−I/II受容体キナーゼおよびそれらのSmad基質を介してシグナルを伝達するが、ERK MAPキナーゼ、PI3キナーゼ、Rho様GTPアーゼ、タンパク質ホスファターゼ2A、およびPar6などのように、Smadとは無関係にシグナルを伝達することもできる。活性化タイプI TβRキナーゼにより、細胞の生存が強化され、病理学的な細胞の進行が加速する恐れがある。
【0009】
TGFβ受容体のタイプIおよびタイプII(TβR I、TβR II)は、細胞外リガンド(TGFβ)結合受容体を提示する一回膜貫通型細胞内セリン/トレオニンキナーゼ(single-pass transmembrane-spanning intracellular serine/threonine kinase)である。細胞内のシグナリングは、自己リン酸化、トランスリン酸化および基質リン酸化を介して進行し、これにより、標的遺伝子発現の修飾が生じる。TβRタンパク質のクローニングおよびゲノム構成はよく知られている。TβR配列は、受入番号P36897のヒトTGFR1、および受入番号P37173のヒトTGFβR2としてwww.uniprot.orgに寄託されている。タンパク質レベルでは、タイプI TβRは、受容体キナーゼドメインの前(preceeding)に、GlyおよびSerが豊富な領域(GSドメイン)を含有すると説明される。TβR IIは、その自己/リン酸化状態では構成的に活性なキナーゼであり、タイプI受容体に結合し、GSドメインでこれをリン酸化する。
【0010】
Tβ受容体(2個のTβR Iと2個のTβR IIの単位の、リガンドTGFβが結合した(活性化)四量体複合体)は、基質としての各Smad(Smad2およびSmad3)をそれらのC末端SSXSモチーフ内でリン酸化する能力を有し、次に、それらがSmad4に結合して/Smad4により結合されて細胞核に転座し、そこで、それらがTGFβ応答性遺伝子を修飾する。タイプIおよびタイプII TβRの中でホモマーおよびヘテロマー複合体形成を調節する様々なドメインが知られている。TβR IのGSドメインにおける変異は、構成的に活性化することができる。タイプIに関してはK232Rで、タイプII TβRに関してはK277Rでキナーゼ不活性化突然変異が見られた。タイプIおよびタイプII TβR遺伝子の突然変異の不活性化または減衰は様々ながんにおいて見られる。さらに、TβRのシグナリングは、リン酸化および脱リン酸化機構、ユビキチン化(ubiquitinylation)およびSUMO化、ならびにエンドサイトーシスおよびタイプIのTACE媒介性外部ドメインシェディング(TACE−mediated ectodomain shedding)により調節されるが、ADAM−17としても知られているタイプII受容体TACE(サイトカイン、GF受容体、および付着性タンパク質のシェディングを媒介し、がんにおいて高度に発現する)によって調節されることはない。
【0011】
TβR IおよびFKBP12のX線共結晶構造が説明されてきており、キナーゼ活性化プロセスが論じられた。同時に、複数の結晶構造:1B6C、1IAS、1PY5、1RW8、1VJY、2PJY、およびモデル1TBIがPDBデータベースに存在する。TβR IIに関しては、細胞外リガンド結合ドメイン:1KTZ、1M9Z、および1PLO(NMR)のX線研究のみが一般に知られているが、キナーゼドメインのものは知られていない。
【0012】
TGFβシグナル伝達は、Smadを必要とし、これは、TβRタイプI受容体キナーゼの唯一の基質である。ヒトゲノムは、3種のサブファミリー(R−、Co−、l−Smad)の8種のSmadをコードし、これらは、発達の間および成体組織に偏在的に発現する。Smadは、タイプI TGFβ受容体キナーゼによりリン酸化されるだけではなく、オリゴマー化、ユビキチン化および分解、ならびに核質のシャトル輸送(nucleoplasmatic shuttling)によっても調節される。
【0013】
VEGF放出がALK1およびALK5により調節される一方、VEGFの発現はTGFβにより増強され、BMP−9により抑制されることが示された。
【0014】
切断型ALK4アイソフォームを用いた研究により、下垂体腫瘍の成長および発達に対する、アクチビンシグナリングのドミナントネガティブ阻害によるこのタイプIキナーゼの関与が示唆された。成体におけるALK4の役割は、胚発生、中胚葉誘導の調節、原条形成、原腸形成、主軸形成(primary axis formation)および左右軸決定におけるALK4の役割の時空間的空白(spatiotemporal window)の研究によって依然として明確にされていない。大規模なヒト候補のスクリーン(candidate screen)において、ドミナントネガティブALK2対立遺伝子が、不適当な房室(atrioventrikular)中隔の発達のような先天性心臓疾患に関連することが見出された。
【0015】
ALK1はTβR−IIおよびエンドグリン/CD105/TβR−IIIに結合し、SMAD−1および−5をリン酸化する。エンドグリンの役割、特に2種の変異型、L−およびS−エンドグリンによるTGFβシグナリングの差動修飾が示されてきた。ALK1は、血管リモデリングにおいて機能し、炎症性組織、創傷および腫瘍において内皮の活性化状態のバランスをとる際にALK5と共に存在する。ALK1は、肺、胎盤、およびその他の非常に血管新生化した組織内に発現し、ECに選択的に存在していた。さらに、ALK1はニューロンで検出された。
【0016】
タイプII TβRの発現の低下は、ヒトの乳癌における高い腫瘍悪性度と相関し、乳がん(beast cancer)の進行への寄与を示している。腫瘍成長は、突然変異または他の遺伝子変化によるRTKシグナリングの摂動が原因の、調節解除された、すなわち、自律的な細胞成長を特徴とすることができる。シグナル伝達に関与している32000種のヒトコード化遺伝子のうち、520種超のタンパク質キナーゼおよび130種のタンパク質ホスファターゼは、タンパク質リン酸化に対して厳格で可逆的な制御を発揮する。チロシンおよびセリン/トレオニンリン酸化に対する選択性が存在する。ヒトゲノムには90種超の既知のPTK遺伝子が存在し、そのうちの50種超は、20種のサブファミリーに分布している膜貫通RPTKをコードし、32種は、10種のサブファミリーの細胞質の非受容体PTKをコードする。例えば、Trk Aは、甲状腺癌および神経芽細胞腫において重要な役割を果たしており、EphB2およびB4は、癌において過剰発現し、AxlおよびLckは、白血病において過剰発現する。
【0017】
がんの処置のためのTGFβ阻害剤を概説した。血管新生抑制、血管の形成、安定化、維持および退行を介したさらなる徴候および病態、間接標的化がん(indirect targeting cancer)、創傷治癒および炎症が存在する。
【0018】
がんの処置のためのTGFβ阻害剤を概説した。血管新生抑制、血管の形成、安定化、維持および退行を介したさらなる徴候および病態、間接標的化がん(indirect targeting cancer)、創傷治癒および炎症が存在する。
【0019】
血管新生(既存の血管からの新しい血管の発達)は、胚形成、器官形成、および創傷治癒における血管発達において重大である。それらの生理学的プロセスに加えて、血管新生は、乳房、子宮頸部、子宮体部(子宮内膜)、卵巣、肺、気管支、肝臓、腎臓、皮膚、口腔および咽頭、前立腺、膵臓、膀胱、血球、結腸、直腸、骨、脳、中枢および末梢神経系の腫瘍、例えば、乳がん、結腸直腸がん、グリオーマ、リンパ腫等、ならびにリウマチ様関節炎および乾癬のような炎症性疾患、または黄斑変性(Macula degeneration)および糖尿病網膜症のような眼の疾患のような疾患につながる腫瘍成長、転移ならびに炎症にとって重要である。血管形成の分子機構および腫瘍形成における血管新生スイッチについて最近論じられた。血管パターン形成(vascular patterning)は、Eph受容体チロシンキナーゼおよびエフリンリガンド、例えばEphB4およびEph B1を介したエフリン−B2シグナリングにより調節される。EphB4は、生後血管新生の間の血管形態形成を制御する。血管新生または血管形成により形成された新生脈管構造の成熟は、壁細胞(周皮細胞、平滑筋細胞)、細胞外マトリックスの発生および構造的支持用の血管壁の特定化および血管機能の調節を必要とする。それらのプロセスの調節および内皮細胞とその壁細胞との相互作用は、VEGF/VEGFR1、VEGFR2、エフリンB2/EphB4、PDGFR/PDGFRβ、アンジオポエチン/TIE2、TGFβ/TGFβR−ALK1/ALK5のような複数のリガンドキナーゼ対を必要とする。血管アセンブリ(vessel assembly)、毛細管の形成、出芽、安定化および不安定化、さらには退行は、これらのキナーゼおよびリガンドの機能的平衡により調節される。リンパ脈管新生は、VEGF受容体3ならびにそのリガンドVEGF C、およびD、ならびにTIE2およびそのリガンドアンジオポエチン1、2を介して調節される。VEGFR3および/またはTIE2シグナリングの阻害、したがってリンパ管の形成の阻害は、腫瘍細胞の転移を阻止する手段とすることができる。病理学的な血管新生反応についての情報全体が、がんおよびその他の障害の処置の見込みある戦略である血管新生の阻害に関する仮定につながる。
【0020】
血管新生プロセスに対するTGFβ受容体の重要性は、いずれも血管欠損が原因の胚致死表現型を示すAlk1、エンドグリン、Alk5およびTβRII KOマウスにより示される。さらに、ECにおいて、TGFβリガンドは、2種の経路を刺激する能力を有し、Alk1の下流でSmad1/5/8をリン酸化し、Alk5の下流でSmad2/3をリン酸化する。両方の経路は、互いにクロストークする。L45ループの突然変異を有するAlk5ノックインマウスは、不完全なSmad活性化を示す。TGFβ/Alk5シグナリングは、ECにおいてALK1により拮抗される。
【0021】
TGFβは、TGFaと無関係な少なくとも5種のアイソフォーム(TGFβ1〜5)で存在し、TGFβ1が一般的な形態である。TGFβは遍在性であり、増殖、分化、遊走、細胞生存、血管新生および免疫監視を含めた細胞および生理学的プロセスの必須の調節因子である。がん細胞は、腫瘍特異性抗原を発現させるので、通常、免疫系により認識され、破壊される。がん細胞は、腫瘍形成の間に、複数の機構によりこの免疫監視を逃れる能力を獲得する。主要な機構は、TGFβ(強力な免疫抑制サイトカイン)の分泌によるがん細胞性免疫抑制(cancer cell mediated immunosuppression)である。TGFβは、腫瘍抑制因子から腫瘍促進因子および転移促進因子(prometastatic factor)に切り替わる潜在力を有する。がん細胞は、腫瘍特異性抗原を発現させるので、通常、免疫系により認識され、破壊される。がん細胞は、腫瘍形成の間に、複数の機構によりこの免疫監視を逃れる能力を獲得する。主要な機構は、TGFβ(強力な免疫抑制サイトカイン)の分泌によるがん細胞性免疫抑制(cancer cell mediated immunosuppression)である。TGFβは、腫瘍抑制因子から腫瘍促進因子および転移促進因子prometastatic factor)に切り替わる潜在力を有する。
【0022】
TGFβの機能は、四量体受容体複合体により伝達され、これは、タイプIおよびタイプII受容体と呼ばれる膜貫通セリン−トレオニンキナーゼ受容体の2種の群からなり、TGFβスーパーファミリー(2種の群、TGFβ/アクチビンとBMP/GDFブランチに分けられる)のメンバーのリガンドの関与後に活性化される。TGFβ1、2、および3は、リガンドのTGFβ/アクチビンブランチに属する。これらの結合事象により、異なる細胞型で差動的に調節される下流応答が特定される。
【0023】
創傷修復の間の皮膚の間葉−上皮相互作用における線維芽細胞の重要性は、皮膚線維芽細胞におけるTGFβ RIIの誘導性の生後欠損(inducible postnatal deletion)で説明された。創傷修復の間、リガンドTGFβならびにその受容体タイプRIおよびRIIの発現は、時間的および空間的に調節される。CD109(CD34+急性骨髄性白血病株化細胞、EC、活性化血小板およびT−細胞により発現されるGPI連結細胞表面抗原)は、ヒトケラチノサイトにおけるTβR系の一部である。毛包のバルジ領域内の卵胞幹細胞(FSC)は、毛周期および創傷治癒の間に複数の系列を発生させることができる。Smad4(TGFβシグナリングの一般的伝達物質)は、FSC維持の一部である。マウス皮膚におけるSmad4 KO研究は、毛包欠損および扁平上皮癌形成を示した。TGFβの潜在的な抑制により、毛包における退行期の進行が遅延した。退行期相の間のケラチノサイトアポトーシスにおける、TGFβの詳しく説明されている役割は、成長期特異的な毛包成分を伴うと考えられ、また、共存するTβRIおよびTβRIIと関与すると考えられる。
【0024】
皮膚、腎臓、心臓および肝臓などの複数の器官の線維症におけるTGFβの異常な活性は、線維性疾患におけるTβR阻害剤の使用にとって合理的なもの(rational)であることが知られている。全身性硬化症(強皮症)、皮膚および内臓の線維症をもたらす結合組織の複合障害は、TGFβ/受容体RI依存性であることが示された。末梢動脈平滑筋細胞の異常な増殖は活性化TGFβ受容体により駆動されるので、肺動脈高血圧症(PAH)は、ALK5阻害剤で潜在的に処置できる状態である。ラットにおける処置は、SB525334で成功した。ラットにおける有益性は、IN−1233でも示された。腎線維症は糖尿病につながる恐れがある。
【0025】
TβRキナーゼ阻害剤誘導体の有益な副作用およびTGFβシグナリングとC型肝炎ウイルス(HCV)複製の間の関係が知られている。TGFβシグナリングは、転移性乳がんにおける新たな幹細胞標的として論じられている。TGFβ1、2、3およびそれらの受容体は、ニューロン、アストロサイトおよびミクログリアに発現する。TGFβシグナリング修飾因子による病理学的転帰の改善を期待することができる。アテローム性動脈硬化、心筋虚血および心臓リモデリングのような心血管疾患におけるTGFβスーパーファミリーは、心血管研究の問題の焦点である。
【0026】
TGFβの生化学に関するさらなる詳細は、その全体を参照により本発明の開示に組み込むWO2009/004753に開示されている。
【0027】
複数のTGF−β受容体キナーゼ阻害剤(TβR阻害剤)および化合物シリーズが非臨床研究から一般に説明されており、複数の阻害剤がパブリックドメインのコードにより知られている。特に、複数の新しい化学成分が特許文献から知られており、その中で、それらはTGFβ受容体キナーゼの阻害剤であると主張されている。WO2009/133070(特許文献1)は、イミダゾピリジンについて記載し、WO2009/124653は、チエノピリミジンを教示し、WO2009/087225は、ピロロピリジン/ピリミジンに関し、WO2009/049743は、チエノピリジンに関する。各参考文献はいずれも、以下に記載の式(I)の化合物の合成および使用を対象としていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】国際公開第2009/133070号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明は、価値のある特性、特に医薬の調製に使用することができる特性を有する新規の化合物の発見を目的としていた。
【発明を実施するための形態】
【0030】
驚くべきことに、本発明の化合物およびその塩が、良好な耐容性を示しながら非常に貴重な薬理学的特性を有することが分かった。特に、それらは、TGF−β受容体Iキナーゼ阻害性を示す。本発明は、式(I)
【0031】
【化1】

【0032】
の化合物
(式中、
W1、W5、W6は、互いに独立してNまたはCHを示し、
W2は、NまたはCR6を示し、
W3は、NまたはCR5を示し、
但し、W1、W2、W3、W5およびW6の少なくとも1つはNを示し、
Xは、NR1、Alk、O、SまたはC=R1を示し、
R1は、H、AまたはCycを示し、
R5は、H、A、Hal、OY、CN、−Alk−OY、COOY、−CO−NYY、SA、SOA、NYY、−OAlk−OY、−OAlk−NYY、−OAlk−NY−COOY、−OAlk−Het、NO、−NH−Alk−COOY、−NH−CO−Alk−OY、−NH−CO−Alk−OCOY、−NH−CO−Alk−NYY、−NH−CO−NYY、−NH−CO−Het、−NY−COOY、−NY−SOY、−NH−SO−NYY、−NH−Het、−NH−R2、−NY−CO−R2、−NY−CO−NY−R2、−NY−COO−R2、−NY−SO−R2、−NY−SO−NY−R2、−OAr、−NY−Ar、−OHet、NY−Het、−CO−NYY−NYY、−CO−Hetまたは−CO−NH−Alk−Hetを示し、
R1、R5は、また、一緒になって、−CH=CH−、−C(Y)=N−、−N=C(Y)−、−C(COY)=N−、−C(CO−R2)=N−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SO−NH−、−NH−SO−、=CH−NH−CO−、−CH−N(Alk−Het)−CO−、−CH=C(NO)−または−CH=C(Hal)−を示し、
R6は、H、A、Hal、OY、CN、−Alk−OY、COOY、−CO−NYY、NYY、−NY−COOY、−NH−Alk−NYY、−NH−COA、−NH−CO−Alk−NYY、−NH−Het、Het、−OAr、−NY−Ar、−OHet、NY−Het、Het、−NH−SOY、−NH−Cyc、−NH−Het、−NH−Alk−Het、−NH−Alk−OY、−NH−CO−NYY、−NH−CO−Het、−CO−NH−Het、−NH−CO−Alk−OY、−NH−CO−Alk−Het、−CO−NH−Alk−Het、−NH−CO−Alk−NH−COOYまたは−CO−NH−Alk−NYYを示し、
R2は、5〜8個のC原子を有する単環式カルボアリールあるいは2〜7個のC原子ならびに1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式ヘテロアリールを示し、
これらはそれぞれ、A、Hal、CN、NYY、OY、=Oの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
R3、R4は、互いに独立して、H、A、Hal、CN、NYY、OY、−OAlk−NYY、−OAlk−OYを示し、
Yは、HまたはAを示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分岐または分枝鎖アルキルを示し、
その中の1〜7個のH原子は、Halにより置き換えられていてもよく、
Cycは、3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを示し、
その中の1〜4個のH原子は、互いに独立して、A、Halおよび/またはOYにより置き換えられていてもよく、
Alkは、1〜6個のC原子を有するアルキレンを示し、
その中の1〜4個のH原子は、互いに独立して、Halおよび/またはCNにより置き換えられていてもよく、
Arは、6〜10個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族の単環式または二環式炭素環を示し、
これは、Het、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、−Alk−Het、−OAlk−Het、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
Hetは、2〜7個のC原子ならびに1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式ヘテロアリールを示し、
これは、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
Hetは、2〜9個のC原子および1〜4個のN原子を有する二環式ヘテロアリールを示し、
これは、R2、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
Hetは、2〜7個のC原子ならびに1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する飽和単環式複素環を示し、
これは、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す)
および/または生理学的に許容されるその塩に関する。
【0033】
明確にするために、R1、R5、R6、一緒になったR1とR5は、(i)R1およびR5が示した意味を有する場合は、一緒になったR1とR5は存在せず、ならびに(ii)R1とR5とが一緒になって示した意味を有する場合は、R1およびR5は存在しないという条件下で、示した意味を有する。
【0034】
本発明の意味においては、該化合物は、あらゆる比のそれらの混合物を含めた、医薬として使用可能なその誘導体、溶媒和物、プロドラッグ、互変異性体、エナンチオマー、ラセミ化合物および立体異性体を含むように定義される。
【0035】
「医薬として使用可能な誘導体」という用語は、例えば本発明の化合物の塩、さらにはいわゆるプロドラッグ化合物を意味するものと解釈する。化合物の「溶媒和物」という用語は、それらの相互引力が原因で形成される不活性溶媒の分子の化合物への内転(adduction)を意味するものと解釈する。溶媒和物は、例えば、一水和物または二水和物あるいはアルコキシドである。本発明は、本発明の化合物の塩の溶媒和物も含む。「プロドラッグ」という用語は、例えば、アルキルまたはアシル基、糖またはオリゴペプチドにより修飾されており、効果的な本発明の化合物を形成するように生体内で急速に開裂する本発明の化合物を意味するものと解釈する。これらとしては、例えば、Int.J.Pharm.115、61〜67(1995)に記載されている本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体も含まれる。本発明の化合物は、例えば、エステル、カーボネート、カルバメート、尿素、アミドまたはホスフェートなどの、任意の所望のプロドラッグの形態とすることも同様に可能であり、その場合、実際に生物活性な形態は、代謝を介してのみ放出される。in−vivoで転換して生理活性剤(すなわち本発明の化合物)を生じることができる全ての化合物が本発明の範囲および精神の範囲内のプロドラッグである。様々な形態のプロドラッグが当技術分野においてよく知られており、記載されている(例えば、Wermuth CGら、第31章:671〜696、The Practice of Medicinal Chemistry、Academic Press 1996;Bundgaard H、Design of Prodrugs、Elsevier 1985;Bundgaard H、第5章:131〜191、A Textbook of Drug Design and Development、Harwood Academic Publishers 1991)。前記参考文献は、参照により本明細書に組み込むものとする。化学物質が体内で代謝産物に転換されることがさらに知られており、この代謝産物は、必要に応じて所望の生物学的効果を、状況次第ではさらにより明白な形態で同様に誘導する。いずれかの本発明の化合物から代謝によりin−vivoで転換された任意の生物活性化合物は、本発明の範囲および精神の範囲内の代謝産物である。
【0036】
本発明の化合物は、それらの二重結合異性体の形態で「純粋な」EまたはZ異性体として、あるいはこれらの二重結合異性体の混合物の形態で存在し得る。可能であれば、本発明の化合物は、ケト・エノール互変異性体などの互変異性体の形態とすることができる。混合物あるいは純粋または実質的に純粋な形態での本発明の化合物の全ての立体異性体を企図している。本発明の化合物は、炭素原子のいずれかで不斉中心を有することができる。したがって、本発明の化合物は、そのラセミ化合物の形態、純粋なエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの形態、あるいはこれらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物の形態で存在することができる。混合物は、任意の所望の混合比の立体異性体を有し得る。したがって、例えば、1または複数個のキラリティーの中心を有し、ラセミ化合物またはジアステレオマー混合物として発生する本発明の化合物は、それ自体が既知の方法により分画し、それらの光学純粋な異性体、すなわち、エナンチオマーまたはジアステレオマーとすることができる。本発明の化合物の分離は、キラルまたは非キラル相でのカラム分離により、あるいは場合により、光学活性な溶媒からの再結晶により、あるいは光学活性な酸または塩基の使用により、あるいは、例えば、光学活性なアルコールなどの光学活性な試薬による誘導体化、およびその後のラジカルの排除により行うことができる。
【0037】
本発明は、本発明の化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比の混合物の使用にも関する。これらは立体異性体化合物の混合物であることが特に好ましい。
【0038】
化合物、特に本発明の化合物を定義するために本明細書において使用する命名法は、一般に、化合物、特に有機化合物に関するIUPACの機関の規定に基づいている。本発明の上記化合物の説明のために示した用語は、常に、別段の定めのない限り、明細書または特許請求の範囲において、以下の意味を有する。
【0039】
「非置換」という用語は、対応するラジカル、基または部分が置換基を有さないことを意味する。「置換」という用語は、対応するラジカル、基または部分が1個または複数の置換基を有することを意味する。ラジカルが複数の置換基を有し、様々な置換基の選択が指定されている場合、各置換基は互いに独立して選択され、同一である必要はない。ラジカルが複数の具体的に命名された置換基(例えばYY)を有する場合でも、そのような置換基の表現は互いに異なっていてもよい(例えばメチルおよびエチル)。したがって、本発明の任意のラジカルの複数の置換が同一または異なるラジカルを伴ってもよいことを理解されたい。それ故、個々のラジカルが化合物内に何度も発生する場合、各ラジカルは、互いに独立して、示した意味を採用する(例えば式(II)のR3)。
【0040】
「アルキル」または「A」という用語は、非環式飽和または不飽和炭化水素ラジカルを指し、これは、分岐鎖でも直鎖でもよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有することが好ましく、すなわち、C〜C10−アルカニルである。好適なアルキルラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、neo−ペンチル、tert−ペンチル、1−、2−、3−または−メチル−ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−イコサニル、n−ドコサニルである。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、「A」は、1〜10個のC原子を有する非分岐または分枝鎖アルキルを示し、その中の1〜7個のH原子は、Halにより置き換えられていてもよく、ならびに/あるいは、その中の1個または2個の隣接するCH基は、互いに独立して、O、S、SO、SO、−CY=CY−基および/または−C≡C−基により置き換えられていてもよい。より好ましい「A」は、1〜4個のC原子を有する非分岐または分枝鎖アルキルを示し、その中の1〜5個の原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよい。C1〜4−アルキルラジカルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチルまたはブロモメチル、特にメチル、エチル、プロピルまたはトリフルオロメチルである。最も好ましいのはC1〜3−アルキルである。「A」のそれぞれの記号がラジカルR5、YおよびHetにおいて互いに独立していることを理解されたい。より好ましい「A」は、1〜4個のC原子を有する非分岐または分枝鎖アルキルを示し、その中の1〜5個の原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよい。最も好ましいのはC1〜4−アルキルである。C1〜4−アルキルラジカルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチルまたはブロモメチル、特にメチル、エチル、プロピルまたはトリフルオロメチルである。「A」がメチルを示すことは、本発明の非常に好ましい実施形態である。「A」のそれぞれの記号がラジカルR1〜R6、Y、Cyc、Ar、Het、HetおよびHetにおいて互いに独立していることを理解されたい。
【0042】
「シクロアルキル」または「cyc」という用語は、本発明の目的のために、1〜3個の環を有し、3〜20、好ましくは3〜12、より好ましくは3〜9個の炭素原子を含有する飽和および部分的に不飽和の非芳香族環式炭化水素基/ラジカルを指す。シクロアルキルラジカルは、二環式または多環式系の一部とすることもでき、その場合、例えば、シクロアルキルラジカルは、任意の適切な所望の環員(複数可)により、本明細書に定義のアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルラジカルに縮合する。一般式(I)の化合物への結合は、シクロアルキルラジカルの任意の適切な環員を介して実施することができる。好適なシクロアルキルラジカルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロヘキセニル、シクロペンテニルおよびシクロオクタジエニルである。
【0043】
本発明の好ましい実施形態において、「Cyc」は、3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを示し、その中の1〜4個のH原子は、互いに独立して、A、Halおよび/またはOYにより置き換えられていてもよい。より好ましいのはC〜C−シクロアルキルであり、その中の1個のH原子は、A、Hal、OHまたはOAにより置き換えられていてもよい。非常に好ましいC〜C−シクロアルキルラジカルは、非置換、すなわち、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。さらに、「A」の定義は、シクロアルキルも含むものとし、これは、必要な変更を加えて「Cyc」にも当てはまる。
【0044】
「Alk」という用語は、1、2、3、4、5または6個のC原子を有する非分岐または分枝鎖アルキレン、アルケニルまたはアルキニル、すなわち、C〜C−アルキレン、C〜C−アルケニルおよびC〜C−アルキニルを指す。アルケニルは、少なくとも1個のC−C二重結合を有し、アルキニルは、少なくとも1個のC−C三重結合を有する。アルキニルは、少なくとも1個のC−C二重結合もさらに有し得る。アルキレンラジカルの好適な例は、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、イソプロピレン、イソブチレン、sec−ブチレン、1−2−または3−メチルブチレン、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピレン、1−エチルプロピレン、1−、2−、3−または4−メチルペンチレン、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチル−ブチレン、1−または2−エチルブチレン、1−エチル−1−メチルプロピレン、1−エチル−2−メチルプロピレン、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピレンである。アルケニルの好適な例は、アリル、ビニル、プロペニル(−CHCH=CH;−CH=CH−CH;−C(=CH)−CH)、1−、2−または3−ブテニル、イソブテニル、2−メチル−1−または2−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、2−メチル−1,3−ブタジエニル、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエニル、1−、2−、3−または4−ペンテニルおよびヘキセニルである。アルキニルの好適な例は、エチニル、プロピニル(−CH−C≡CH;−C=C−CH)、1−、2−または3−ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルおよびまたはペンタ−3−エン−1−イン−イル、特にプロピニルである。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、「Alk」は、1〜6個のC原子を有する非分岐または分枝鎖アルキレンを示し、その中の1〜4個のH原子は、互いに独立して、Halおよび/またはCNにより代替されていてもよい。より好ましい「Alk」は、1〜6個のC原子を有する非分岐アルキレン、すなわち、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンまたはヘキシレンを示し、その中の1〜2個のH原子は、Fおよび/またはClにより代替されていてもよい。最も好ましいのはC1〜3−アルキレンであり、その具体的な例は、メチレン、エチレンおよびプロピレンである。「Alk」がメチレンまたはエチレンを示すことは、本発明の非常に好ましい実施形態である。「Alk」のそれぞれの記号がラジカルR3〜R6、Ar、Het、HetおよびHetにおいて互いに独立していることを理解されたい。
【0046】
「アリール」または「カルボアリール」という用語は、本発明の目的のために、3〜14、好ましくは4〜10、より好ましくは5〜8個の炭素原子を有する単環式または多環式芳香族炭化水素系を指し、これは、場合により置換されていてもよい。「アリール」という用語は、芳香族環がアリールラジカルの任意の所望の適切な環員を介して本明細書に定義の「アリール」、「シクロアルキル」、「ヘテロアリール」または「ヘテロシクリル」基に縮合している場合などの、その芳香族環が二環式または多環式の飽和、部分的に不飽和および/または芳香族系の一部である系も含む。一般式(I)の化合物への結合は、アリールラジカルの任意の適切な環員を介して実施することができる。好適な「アリール」ラジカルの例は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチルおよびアントラセニルであるが、イン−ダニル(in‐danyl)、インデニルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフチルも同様である。
【0047】
本発明の好ましい「カルボアリール」は、場合により置換されたフェニル、ナフチルおよびビフェニルであり、5〜8個のC原子を有する場合により置換された単環式カルボアリールであることがより好ましく、場合により置換されたフェニルが最も好ましく、R2ラジカルに関して定義する場合は、場合により置換されたフェニルが非常に好ましい。本発明の好ましいカルボアリールは、A、Hal、CN、NYY、OY、=Oの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい。
【0048】
「ヘテロアリール」という用語は、本発明の目的のために、2〜15、好ましくは2〜9、最も好ましくは5−、6−または7員の単環式または多環式芳香族炭化水素ラジカルを指し、これは、少なくとも1個、さらには必要に応じて2、3、4または5個のヘテロ原子、好ましくは窒素、酸素および/または硫黄を含み、各ヘテロ原子は同一でも異なっていてもよい。窒素原子の数は、好ましくは0、1、2、3または4であり、酸素および硫黄原子の数は、独立して0または1である。「ヘテロアリール」という用語は、芳香族環がヘテロアリールラジカルの任意の所望の適切な環員を介して本明細書に定義の「アリール」、「シクロアルキル」、「ヘテロアリール」または「ヘテロシクリル」基に縮合している場合などの、その芳香族環が二環式または多環式の飽和、部分的に不飽和および/または芳香族系の一部である系も含む。一般式(I)の化合物への結合は、ヘテロアリールラジカルの任意の適切な環員を介して実施することができる。好適な「ヘテロアリール」の例は、ピロリル、チエニル、フリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、フタラジニル、インダゾリル、インドリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、プテリジニル、カルバゾリル、フェナジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニルおよびアクリジニルである。
【0049】
R2ラジカルの範囲の「ヘテロアリール」は、2〜7個のC原子ならびに1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式ヘテロアリールを表すことが好ましく、これは、A、Hal、CN、NYY、OY、=Oの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい。また、R2ラジカルの範囲の「カルボアリール」は、5〜8個のC原子を有する単環式カルボアリールを表すことが好ましく、これは、A、Hal、CN、NYY、OY、=Oの群から選択される少なくとも1個の置換基により一置換されていてもよい。それ故、前述のヘテロアリールおよびカルボアリールは、ラジカルR2の好ましいMarkush群を表すことになる。
【0050】
本発明のより好ましい実施形態において、R2ラジカルは、フェニルまたは1〜3個のN原子を有する単環式の5〜6員ヘテロアリールを示し、これらはそれぞれ、Hal、A、NAA、CN、OAの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい。本明細書において、ヘテロアリールチオフェニル(heteroaryls thiophenyl)、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニルまたはピラゾリルを特に優先し、これらは、それぞれ、上で定義したように置換されていてもよい。他の置換次第であるが、R2は、フェニル、ピリジン−2−、3−、4−もしくは5−イルまたはピラゾリルを示すことが最も好ましく、これらはそれぞれ、F、Cl、Br、CH、CF、CN、OCH、OCFの群から選択される少なくとも1個の置換基により一置換、二置換または三置換されていてもよい。R2がフェニル、ピリジン−2−イル、2−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−5−フルオロ−フェニル、2,4,5−トリフルオロ−フェニル、2−フルオロ−5−クロロ−フェニル、2−フルオロ−5−ブロモ−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメトキシ−フェニル、3−クロロ−フェニル、3−トリフルオロメチル−フェニル、6−メチル−ピリジン−2−イル、ピラゾール−4−イル、1−メチル−ピラゾール−3−イル、3−メチル−ピラゾール−1−イルであることが非常に好ましい。
【0051】
「R2」のそれぞれの記号がラジカルHet、R5および一緒になったR1とR5において互いに独立していることを理解されたい。
【0052】
「Het」の範囲の「ヘテロアリール」は、2〜7個のC原子ならびに1〜4個のN、Sおよび/またはO原子を有する単環式ヘテロアリールを表すことが好ましく、これは、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい。本発明のより好ましい実施形態において、Hetは、2〜7個のC原子および1〜4個のN原子を有する単環式ヘテロアリールを示し、これは、−NH−Het、Aおよび/またはHalにより置換されていてもよい。「Het」のそれぞれの記号がラジカルR5およびR6において互いに独立していることを理解されたい。
【0053】
「Het」の範囲の「ヘテロアリール」は、2〜9個のC原子および1〜4個のN原子を有する二環式ヘテロアリールを表すことが好ましく、これは、R2、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい。本発明のより好ましい実施形態において、Hetは、2〜9個のC原子および1〜4個のN原子を有する二環式ヘテロアリールを示し、これは、R2、Aおよび/またはHalにより置換されていてもよい。本発明の最も好ましい実施形態において、Hetは、1,8−ナフチリジンを示し、これは、R2により一置換されている。Hetラジカルの非常に好ましい実施形態は、2−(2−フルオロ−5−クロロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イルである。「Het」のそれぞれの記号がラジカルR5およびR6において互いに独立していることを理解されたい。
【0054】
「複素環」または「ヘテロシクリル」という用語は、本発明の目的のために、3〜20個の環原子、好ましくは3〜14個の環原子、より好ましくは3〜10個の環原子の、炭素原子ならびに同一または異なる1、2、3、4または5個のヘテロ原子、特に窒素、酸素および/または硫黄を含む単環式または多環式系を指す。この環式系は、飽和または一不飽和または多価不飽和でもよい。少なくとも2個の環からなる環式系の場合、各環は縮合またはスピロまたは他の手段で結合していてもよい。そのような「ヘテロシクリル」ラジカルは、任意の環員を介して連結することができる。「ヘテロシクリル」という用語は、複素環がヘテロシクリルラジカルの任意の所望の適切な環員を介して本明細書に定義の「アリール」、「シクロアルキル」、「ヘテロアリール」または「ヘテロシクリル」基に縮合している場合などの、その複素環が二環式または多環式飽和、部分的に不飽和および/または芳香族系の一部である系も含む。一般式(I)の化合物への結合は、ヘテロシクリルラジカルの任意の適切な環員を介して実施することができる。好適な「ヘテロシクリル」ラジカルの例は、ピロリジニル、チアピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサピペラジニル、オキサピペリジニル、オキサジアゾリル、テトラヒドロフリル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロピラニルである。
【0055】
本発明の一態様において、「Het」は、2〜7個のC原子ならびに1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する飽和単環式複素環を示し、これは、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい。本発明の好ましい実施形態において、Hetは、2〜7個のC原子ならびに1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する飽和単環式複素環を示し、これは、A、Hal、COOYおよび/またはNYYにより置換されていてもよい。本発明のより好ましい実施形態において、Hetは、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ピペリドン、モルホリノンまたはピロリドンを示し、これは、A、Hal、COOYまたはNYYにより一置換されていてもよい。本発明の最も好ましい実施形態において、Hetは、ピペラジンまたはモルホリンを示し、これらは、それぞれ、Aにより一置換されていてもよい。Hetラジカルの非常に好ましい実施形態は、Aにより一置換されているピペラジン、および非置換モルホリンである。本明細書において、「A」は、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピルまたはトリフルオロメチルであり、Halは、特に、F、ClまたはBrである。「Het」のそれぞれの記号がラジカルR5、R6およびArにおいて互いに独立していることを理解されたい。
【0056】
本発明の別の実施形態において、カルボアリールが挙げられるがこれに限定されない「炭素環」は、「Ar」と定義され、これは、3〜10個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族の単環式または二環式炭素環を示し、Het、A、Hal、COOY、OY、−Alk−OY、−Alk−SO、−Alk−Het1/2/3、−OAlk−Het1/2/3、NYY、−CO−NYY、−SO−NYY、CN、−Alk−NYYの群から選択される少なくとも1個の置換基により一置換、二置換または三置換されていてもよい。好適な「Ar」ラジカルの例は、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−フルオロ−フェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−スルホンアミドフェニル、o−、m−またはp−(N−メチル−スルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチル−スルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(N−エチル−N−メチル−スルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジエチル−スルホンアミド)−フェニル、特に2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−または3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルである。
【0057】
本発明の別の好ましい実施形態において、「Ar」ラジカルは、6〜10個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族の単環式または二環式炭素環を示し、これは、Het、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい。本発明のより好ましい実施形態において、Arは、5〜8個のC原子を有する単環式カルボアリールを示し、これは、Halにより置換されていてもよい。本発明の最も好ましい実施形態において、Arはフェニルを示し、これは、Halにより一置換されていてもよい。「Ar」のそれぞれの記号がラジカルR5およびR6において互いに独立していることを理解されたい。
【0058】
本発明の目的のために、「アルキルシクロアルキル」、「シクロアルキルアルキル」、「アルキルヘテロシクリル」、「ヘテロシクリルアルキル」、「アルキルアリール」、「アリールアルキル」、「アルキルヘテロアリール」および「ヘテロアリールアルキル」という用語は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクル(heterocycl)、アリールおよびヘテロアリールがそれぞれ上で定義した通りであり、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールラジカルがアルキルラジカル、好ましくはC〜C−アルキルラジカル、より好ましくはC〜C−アルキルラジカルを介して一般式(I)の化合物に結合していることを意味する。
【0059】
「アルキルオキシ」または「アルコキシ」という用語は、本発明の目的のために、酸素原子に付着した上記定義のアルキルラジカルを指す。一般式(I)の化合物への付着は、酸素原子を介している。その例は、メトキシ、エトキシおよびn−プロピルオキシ、プロポキシおよびイソプロポキシである。好ましいのは、示した数の炭素原子を有する「C〜C−アルキルオキシ」である。
【0060】
「シクロアルキルオキシ」または「シクロアルコキシ」という用語は、本発明の目的のために、酸素原子に付着した上記定義のシクロアルキルラジカルを指す。一般式(I)の化合物への付着は、酸素原子を介している。その例は、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシおよびシクロヘプチルオキシである。好ましいのは、示した数の炭素原子を有する「C〜C−シクロアルキルオキシ」である。
【0061】
「ヘテロシクリルオキシ」という用語は、本発明の目的のために、酸素原子に付着した上記定義のヘテロシクリルラジカルを指す。一般式(I)の化合物への付着は、酸素原子を介している。その例は、ピロリジニルオキシ、チアピロリジニルオキシ、ピペリジニルオキシおよびピペラジニルオキシである。
【0062】
「アリールオキシ」という用語は、本発明の目的のために、酸素原子に付着した上記定義のアリールラジカルを指す。一般式(I)の化合物への付着は、酸素原子を介している。その例は、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ、1−ナフチルオキシ、ビフェニルオキシおよびインダニルオキシである。好ましいのは、フェニルオキシである。
【0063】
「ヘテロアリールオキシ」という用語は、本発明の目的のために、酸素原子に付着した上記定義のヘテロアリールラジカルを指す。一般式(I)の化合物への付着は、酸素原子を介している。その例は、ピロリルオキシ、チエニルオキシ、フリルオキシ、イミダゾリルオキシおよびチアゾリルオキシである。
【0064】
「アシル」という用語は、本発明の目的のために、酸からヒドロキシル基を開裂させることにより形成されるラジカルを指す。一般式(I)の化合物への付着は、カルボニルC原子を介している。好ましい例は、−CO−A、−SO−Aおよび−PO(OA)、より好ましくは−SOAである。
【0065】
「ハロゲン」、「ハロゲン原子」、「ハロゲン置換基」または「Hal」という用語は、本発明の目的のために、1個、または必要に応じて複数のフッ素(F、フルオロ)、臭素(Br、ブロモ)、塩素(Cl、クロロ)またはヨウ素(I、ヨード)原子を指す。「ジハロゲン」、「トリハロゲン」および「ペルハロゲン」という名称は、それぞれ、2個、3個および4個の置換基を指し、各置換基は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から独立して選択することができる。「ハロゲン」は、フッ素、塩素または臭素原子を意味することが好ましい。各ハロゲンがアルキル(ハロアルキル)またはアルコキシ基(例えばCFおよびCFO)で置換されている場合、フッ素および塩素がより好ましい。
【0066】
ヘテロアリール部分構造
【0067】
【化2】

【0068】
が、ピリジル、ピリミジニル、トリアジニル、ピリダジニルまたはピラジルを示し、これらはそれぞれ、R5および/またはR6により置換されていてもよいことは、本発明の好ましい実施形態である。当業者は、他のN−ヘテロアリール環もまた、本発明の意味において活性であることを知っている。W3がNを示す場合、R5は存在しないことは言うまでもない。明確にするために、W1がCHである場合、Hは位置1の置換基であり、W2がCR6である場合、R6は位置2の置換基であり、W3がCR5である場合、R5は位置3の置換基であり、W5がCHである場合、Hは位置5の置換基であり、W6がCHである場合、Hは位置6の置換基である。
【0069】
W1、W2、W3、W5およびW6という記号は、当業者により、本発明の意味の各N−ヘテロアリールに容易に割り当てることができる。本発明の特定の実施形態において、例えば、W1およびW5は、互いに独立してNまたはCHであり、W2はCR6であり、W3はNまたはCR5であり、W6はCHである。本発明の別の特定の実施形態において、W1はNであり、W2はCR6であり、W3はCR5であり、W5およびW6はCHであり、これは、位置1にN原子を有するピリジン−4−イルに相当し、これは、場合により、位置2でR6および/または位置3でR5により置換されていてもよい。より具体的には、1−ピリジン−4−イルは、位置2でR6または位置3でR5により一置換されていてもよい。
【0070】
本発明の別の特定の実施形態において、W3またはW5はNであり、W6はCHであるという条件下で、W1はNであり、W2はCR6であり、W3はNまたはCR5であり、W5はNまたはCHであり、これは、1,3−ピリミジン−4−イルまたは1,5−ピリミジン−4−イルに相当し、これは、場合により、位置2でR6により置換されていてもよい。より具体的には、1,5−ピリミジン−4−イルが提供され、これは、位置2でR6により一置換されていてもよい。これは、位置6で一置換されていてもよい1,3−ピリミジン−4−イルと同一と見なされる。
【0071】
本発明のさらに別の特定の実施形態において、W1はNであり、W2はCR6であり、W3およびW5はNであり、W6はCHであり、これは、1,3,5−トリアジン−4−イルに相当し、これは、位置2でR6により一置換されていてもよい。
【0072】
より好ましくは、1−ピリジン−4−イル、1,5−ピリミジン−4−イル、1,3,5−トリアジン−4−イルは、位置2でR6および/または位置3でR5により一置換されていてもよい。本発明の非常に好ましい実施形態において、1−ピリジン−4−イルは、位置2でR6または位置3でR5により一置換されていてもよい。
【0073】
R1ラジカルがY、より好ましくはHまたはA、最も好ましくはHであることは本発明の好ましい実施形態である。
【0074】
R5ラジカルがH、A、OA、CN、−Alk−OY、COOY、−CO−NYY、NYY、−OAlk−OY、−OAlk−NYY、−OAlk−Het、−NH−CO−Alk−NYY、Hal、−CO−NYY−NYYまたは−CO−NH−Alk−Hetであることは本発明の好ましい実施形態である。R5は、H、OA、CN、−Alk−OH、COOA、−CO−NHA、NH、−OAlk−OY、−OAlk−NAA、−OAlk−Het、−NH−CO−Alk−NAA、Cl、−CO−NHA−NAAまたは−CO−NH−Alk−Hetを示すことがより好ましい。
【0075】
R1およびR5が、また、一緒になって、−CH=CH−、−CO−NH−、−SO−NH−、−N=C(Y)−、−CH=C(NO)−または−CH=C(Hal)−を示すことは本発明の好ましい実施形態である。R1およびR5は、一緒になって、−CH=CH−、−N=C(H)−または−CH=C(Br)−を示すことがより好ましい。
【0076】
R6ラジカルがH、A、OA、NH、−NH−COA、−CO−NHA、Hal、NAA、−NH−CO−Alk−NYY、−NH−Alk−Het、−NH−CO−NH、−NH−CO−Het、−CO−NH−Het、−NH−CO−Alk−OHまたは−NH−CO−Alk−NH−COOAであることは、本発明の好ましい実施形態である。
【0077】
R3ラジカルがHであることは、本発明の好ましい実施形態である。
【0078】
R4ラジカルがHであることは、本発明の好ましい実施形態である。
【0079】
XラジカルがNR1、CH、OまたはS、より好ましくはNR1、CHまたはS、最も好ましくはNR1またはS、非常に好ましくはNR1であることは、本発明の好ましい実施形態である。
【0080】
したがって、本発明の主題は、式(I)の化合物に関し、式中、前述のラジカルの少なくとも1つは、上記の通り、任意の意味を有し、特に任意の好ましい実施形態を実現する。式(I)の任意の実施形態に関して明示的に指定していないラジカル、その部分式またはそれに対する他のラジカルは、本発明の問題を解決するために、以下で開示する通り、式(I)の任意のそれぞれの記号を表すものと解釈されたい。すなわち、前述のラジカルは、登場する文脈に関係なく、任意の好ましい実施形態が挙げられるがこれに限定されない、本明細書で既にまたはこれから説明する全ての示した意味を採用し得る。特に、特定のラジカルの任意の実施形態を1個または複数の他のラジカルの任意の実施形態と組み合わせることができることを理解されたい。
【0081】
本発明の別の好ましい実施形態において、式(II)
【0082】
【化3】

【0083】
のヘタリールアミノナフチリジン誘導体であって、
式中、
W1、W5は、互いに独立してNまたはCHを示し、
W3は、NまたはCR5を示し、
但し、W1、W3およびW5のうちの少なくとも1つはNを示し、
R1、R3、R4は、互いに独立してHまたはAを示し、
R5は、H、A、OA、CN、−Alk−OY、COOY、−CO−NYY、NYY、−OAlk−OY、−OAlk−NYY、−OAlk−Het、−NH−CO−Alk−NYY、Hal、−CO−NYY−NYYまたは−CO−NH−Alk−Hetを示し、
R1、R5は、また、一緒になって、−CH=CH−、−CO−NH−、−SO−NH−、−N=C(Y)−、−CH=C(NO)−または−CH=C(Hal)−を示し、
R6は、H、A、OA、NH、−NH−COA、−CO−NHA、Hal、NAA、−NH−CO−Alk−NYY、−NH−Alk−Het、−NH−CO−NH、−NH−CO−Het、−CO−NH−Het、−NH−CO−Alk−OHまたは−NH−CO−Alk−NH−COOAを示し、
R2は、フェニル、ピリジル、ピラゾリルまたはピラジニルを示し、これらは、それぞれ、F、Cl、Br、CH、CF、CN、OCH、OCFの群から選択される少なくとも1個の置換基により一置換、二置換または三置換されていてもよく、
Yは、HまたはAを示し、
Aは、1〜4個のC原子を有する非分岐または分枝鎖アルキルを示し、その中の1〜5個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
Alkは、1〜3個のC原子を有するアルキレンを示し、
Hetは、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ピペリドン、モルホリノンまたはピロリドンを示し、これは、A、Hal、COOYまたはNYYにより一置換されていてもよく、
Halは、F、ClまたはBrを示す
誘導体;
および/または生理学的に許容されるその塩を提供する。
【0084】
明確にするために、式(IA)内の以下の下部構造
【0085】
【化4】

【0086】
は、足場がピリジル、ピリミジニルまたはトリアジニルであり、これらは、それぞれ、場合により、上述の通り置換されていてもよいという条件で、W1、W3およびW5の任意の組合せを含み得る。特に、前記下部構造は、部分式(II)の好ましい実施形態内の以下の足場を示す。
【0087】
【化5】

【0088】
本発明のより好ましい実施形態において、部分式(III)
【0089】
【化6】

【0090】
のヘタリールアミノナフチリジン誘導体であって、
式中、
W3は、NまたはCR5を示し、
W5は、NまたはCHを示し、
R1は、Hを示し、
R5は、H、OA、CN、−Alk−OH、COOA、−CO−NHA、NH、−OAlk−OY、−OAlk−NAA、−OAlk−Het;−NH−CO−Alk−NAA、Clまたは−CO−NHA−NAAを示し、
R1、R5は、また、一緒になって、−CH=CH−、−N=C(H)−または−CH=C(Br)−を示し、
R6は、H、A、OA、NH、−NH−COA;−CO−NHA、Cl、NAA、−NH−CO−Alk−NH、−NH−Alk−Het、−NH−CO−NH、−NH−CO−Het、−CO−NH−Het、−NH−CO−Alk−OHまたは−NH−CO−Alk−NH−COOAを示し、
R2は、フェニル、ピリジン−2−イル、2−フルオロ−フェニル、4−フルオロ−フェニル、2−フルオロ−5−フルオロ−フェニル、2,4,5−トリフルオロ−フェニル、2−フルオロ−5−クロロ−フェニル、2−フルオロ−5−ブロモ−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル、2−フルオロ−5−トリフルオロメトキシ−フェニル、3−クロロ−フェニル、3−トリフルオロメチル−フェニル、6−メチル−ピリジン−2−イル、ピラゾール−4−イル、1−メチル−ピラゾール−3−イル、3−メチル−ピラゾール−1−イルを示し、
Yは、HまたはAを示し、
Aは、メチル、エチル、プロピルまたはトリフルオロメチルを示し、
Alkは、1〜3個のC原子を有するアルキレンを示し、
Hetは、ピペラジンまたはモルホリンを示し、これは、Aにより一置換されていてもよい
誘導体;
および/または生理学的に許容されるその塩を提供する。
【0091】
本発明の別のより好ましい実施形態において、式(IA)
R1’−T−R2 (IA)
のヘタリールアミノナフチリジン誘導体であって、
式中、
Tは、1,8−ナフチリジンを示し、
R1’は、
【0092】
【化7】

【0093】
を示し、
R2は、
【0094】
【化8】

【0095】
を示す
誘導体、
および/または生理学的に許容されるその塩を提供する。
【0096】
最も好ましい実施形態は、表1に列挙する式(I)、(II)、(III)および(IA)の化合物である。
【0097】
【表1−1】

【0098】
【表1−2】

【0099】
【表1−3】

【0100】
【表1−4】

【0101】
【表1−5】

【0102】
【表1−6】

【0103】
【表1−7】

【0104】
【表1−8】

【0105】
【表1−9】

【0106】
【表1−10】

【0107】
【表1−11】

【0108】
【表1−12】

【0109】
【表1−13】

【0110】
【表1−14】

【0111】
【表1−15】

【0112】
【表1−16】

【0113】
【表1−17】

【0114】
【表1−18】

【0115】
【表1−19】

【0116】
【表1−20】

【0117】
【表1−21】

【0118】
【表1−22】

【0119】
【表1−23】

【0120】
【表1−24】

【0121】
【表1−25】

【0122】
【表1−26】

【0123】
非常に好ましい実施形態は、番号1、2、3、5、6、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、21、22、23、25、26、28、29、30、32、33、34、37、38、40、41、42、43、44、47、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、62、63、65、67、70、71、72、73、77、78、80、81、82、85、86、87、88、89、90、91、92、94、95、98、99、100、104、105、106、107、109、110、111、112、113、114、115、117、121、125、129、130、131、133、135、139、140、141、143、144の式(I)および/または(II)の化合物である。
【0124】
式(I)のナフチリジン誘導体およびその調製のための出発原料は、それぞれ、文献(例えばHouben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[有機化学の手法]、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgartなどの権威のある文献(standard work))に記載のそれ自体が既知の方法により、すなわち、知られていて前記反応に適した反応条件下で製造される。
【0125】
複数の参考文献が、[1,8]ナフチリジンの合成に関連している。2−アミノニコチン酸が2−アルキル/アリール−3−アルコキシカルボニル−[1,8]ナフチリジン−4−オンの出発点であった(Zografos、J.Org.Chem.66(12):4413〜4415(2001))。2,4−ジヒドロキシ−[1,8]ナフチリジン(またはその互変異性体)の出発原料は、ピリジンとすることができ、これは、2−アミノピリジンを生じるChichibabin反応のように、位置2でのアミノ化により変換される(McGill、Adv.Heterocycl.Chem.44:2〜79(1988))。中間体も、2−アミノニコチン酸、そのエステル、そのアミドまたはそのニトリルまたはトリハロメチル誘導体とすることができる。さらに、2−ハロニコチン酸誘導体を生じるハロゲン化のような位置2でのニコチン酸誘導体の変換により、例えば、当業者は、適切な中間体を得る。中間体は、位置2で修飾されたアミノ基を有するか、またはその次の中間体は、3−カルボン酸官能基当量(3‐carboxylic function equivalent)の反応生成物とすることができる。2−アミノピリジンから出発する複数の方法において、2−アルキル[1,8]ナフチリジン−4−オンの合成が説明されている(Naik、BioChemistry(India)1(3):126〜132(2007);Naik、Organic Chemistry(India)3(3):125〜129(2007);Barlin、Australian J.Chem.37(5):1065〜1073(1984))。[1,8]ナフチリジンの合成は、最初に、Koller、Chem.Ber.60B:407〜410(1927)により、2−アミノメチルニコチネートおよびマロン酸ジエチルの使用、ならびにその後の強アルカリ性の塩基および熱を用いた処理により製造されるメチル−2,4−ジヒドロキシ−3−カルボキシレートを介して説明された。同時に他の[1,8]ナフチリジンを得る研究がSeide、Chem.Ber.59:2465〜2473(1926))により実施された。4−ヒドロキシ−[1,8]ナフチリジン−2−オンは、主に4−ヒドロキシ−ピリド[1,2−a]ピリミジン−2−オンを生じる2−アミノピリジンとマロンジエステルとの反応の副産物として説明されている(Abass、Heteroatom Chem.18(1):19〜27(2007))。4−ヒドロキシ−ピリドピリミジン−2−オン反応生成物は、[1,8]ナフチリジンへの転位に使用することができるか、またはin situで転位することができる(Schober、J.Heterocyclic Chem.25(4):1231〜1236(1988))。新規の誘導体のための4−ヒドロキシ−[1,8]ナフチリジン−2−オン(またはその互変異性体)の使用およびその合成も説明されている(Mohamed、J.Serb.Chem.Soc.58(12):1003〜1009(1993))。
【0126】
それ自体が既知の変異型も使用することができるが、本明細書ではその詳細には触れない。所望であれば、出発原料は、それを粗反応混合物中に単離されていない状態で放置することによりin−situで形成することもできるが、直ちにさらに転換して本発明の化合物とする。一方、この反応は段階的に実施することが可能である。
【0127】
各反応は、塩基性条件下で実施することが好ましい。好適な塩基は、金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、アルカリ金属水酸化物(とりわけ、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウム)、アルカリ土類金属水酸化物(とりわけ、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム)、アルカリ金属アルコレート(とりわけ、カリウムエタノレートおよびナトリウムプロパノレート)ならびに複数の有機塩基(とりわけ、ピペリジンまたはジエタノールアミン)である。
【0128】
反応は、一般に、不活性溶媒中で実施する。好適な不活性溶媒は、例えば、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素;トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムまたはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)などのグリコールエーテル;アセトンまたはブタノンなどのケトン;アセトアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド;二硫化炭素;ギ酸または酢酸などのカルボン酸;ニトロメタンまたはニトロベンゼンなどのニトロ化合物;酢酸エチルなどのエステル、あるいは前記溶媒の混合物である。水、THF、tert.ブタノール、tert.アミルアルコール、NMP、トリエチルアミンおよび/またはジオキサンを特に優先する。
【0129】
使用条件に応じて、反応時間は数分と14日間との間であり、反応温度は約−30℃と140℃との間、通常−10℃と130℃との間、特に好ましくは30℃〜125℃との間である。
【0130】
本発明は、
(a)式(IV)
【0131】
【化9】

【0132】
の化合物
(式中、R7は、Hal、OYまたはNYYを示し、
R2、R3、R4、HalおよびYは、上で定義した意味を有する)
を、式(V)
【0133】
【化10】

【0134】
の化合物
(式中、一緒になったR1とR5は除外されるという条件下で、X、R1、W1、W2、W3、W5およびW6は、上で定義した意味を有する)
と反応させて、式(I)
【0135】
【化11】

【0136】
の化合物
(式中、一緒になったR1とR5は除外されるという条件下で、X、R1、R2、R3、R4、W1、W2、W3、W5およびW6は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
場合により
(b)式(I)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む式(I)の化合物の製造方法にも関する。
【0137】
式(I)のナフチリジン誘導体は、上記経路を介して入手可能である。式(IV)および(V)の化合物を含めた出発原料は、通常、当業者に知られているか、またはそれらは、既知の方法により容易に調製することができる。
【0138】
好ましい出発原料は、式(IV−A)
【0139】
【化12】

【0140】
の化合物
(式中、R2、R3、R4およびHalは、上で定義した意味を有する)
である。
【0141】
別の好ましい出発原料は、式(IV)の化合物、特に式(IV−A)の化合物であり、式中、R2は、フェニルまたはピリジルを示し、これらはそれぞれ、A、Hal、CN、NYY、OY、=Oの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、R3、R4、R7、HalおよびYは、上で定義した意味を有する。
【0142】
特に、式(IV−A)の化合物は、2種の異なる経路を介して入手可能である。合成経路の第1の実施形態において、式(IV−A)の化合物は、
(a)式(VI)
【0143】
【化13】

【0144】
の化合物
(式中、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を、アルカリ性の環境において式(VII)
【0145】
【化14】

【0146】
の化合物
(式中、R2は、上で定義した意味を有する)
の化合物と反応させて、式(VIII)
【0147】
【化15】

【0148】
の化合物
(式中、R2、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
(b)式(VIII)の化合物をアルカリ性の環境において反応させて、式(IX)
【0149】
【化16】

【0150】
の化合物
(式中、R2、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
(c)式(IX)の化合物をハロゲン化剤と反応させて、式(IV−A)
【0151】
【化17】

【0152】
の化合物
(式中、R2、R3、R4およびHalは、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
場合により
(d)式(IV−A)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む方法(A)により調製することができる。
【0153】
より具体的には、式(VI)の2−アミノ−3−アセチルピリジンから、6−メチルピリジン−2−カルボン酸クロリドのような式(VII)の安息香酸アリール/ヘタリール誘導体とのアセチル化反応によって出発することにより、6−メチル−ピリジン−2−カルボン酸−(3−アセチル−ピリジン−2−イル)−アミドのような式(VIII)の2−アロイルアミド−3−アセチルピリジンが得られ、これを強塩基、好ましくはKOButによる処置下で環化して、2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−[1,8]ナフチリジン−4−オンのような式(IX)の2−アリール/ヘタリール−[1,8]ナフチリジン−4−オンを生じる。SOHal、SOHal、POHalおよび/またはPHalによるハロゲン化(Halは上で定義した意味を有し、好ましくはClまたはBr、より好ましくはPOClである)によって、式(IV−A)の反応中間体が生じる。最後のものは、[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−(6−メチル−ピリミジン−4−イル)−アミンのようなタイプ(I)の最終化合物を得るための、Buchwald−Hartwig反応のような、式(V)のアニリンまたはヘタリールアミン、特にアミノ−ピリジン、4,6−ジアミノピリミジンのようなアミノ−ピリミジン、またはアミノ−トリアジンの強塩基触媒、好ましくはKOBut触媒、および/またはPd0触媒カップリングに使用する。
【0154】
合成経路の第2の実施形態において、式(IV−A)の化合物は、
(a)ハロゲン化剤を式(X)
【0155】
【化18】

【0156】
の化合物
(式中、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
と反応させて、式(XI)
【0157】
【化19】

【0158】
の化合物
(式中、R3、R4およびHalは、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
(b)式(XI)の化合物を、ボロン酸、ボロン酸エステル、スズ有機およびボロントリフレートの群から選択される化合物(それらは、それぞれ、上で定義した意味を有するR2により置換されている)と反応させて、式(IV−A)
【0159】
【化20】

【0160】
の化合物
(式中、R2、R3、R4およびHalは、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
場合により
(c)式(IV−A)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む別の方法(B)により調製することができる。
【0161】
より具体的には、式(X)の4−ヒドロキシ−[1,8]ナフチリジノン、その互変異性体を、1種または複数のハロゲン化剤、好ましくはPOClまたはPOBrおよび/または対応するPHalによる処理(Halは、上で定義した意味を有する)により、式(XI)の2,4−ハロ−[1,8]ナフチリジンに移動させる(transferred)。ボロン酸もしくはボロン酸エステルタイプ(i)、またはスズ有機物タイプ(ii)による同様の化学作用、あるいはボロントリフレートタイプ(iii)と共にPd0触媒を使用して式(X)の2,4−ジハロ−[1,8]ナフチリジンを処理することにより、式(IV−A)の2−アリール/ヘタリール−4−ハロ−[1,8]ナフチリジンが生じる。最後のものを式(V)のアニリン/ヘタリールアミンと反応させて、2−(2−フルオロ、5−クロロフェニル)−4−(3−メトキシ−ピリジル)−4−アミノ−[1,8]ナフチリジンのような2−アリール/ヘタリール−4−ヘタリールアミノ−[1,8]ナフチリジンを得ることができる。
【0162】
式(X)の化合物を含めた方法(B)の出発原料は、通常、当業者に知られているか、またはそれらは、既知の方法により容易に調製することができる。特に、式(X)の化合物は、異なる経路を介して入手可能である。合成経路の第1の実施形態において、式(X)の化合物は、
(a)アセチル化剤を式(XII)
【0163】
【化21】

【0164】
の化合物
(式中、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
と反応させて、式(XIII)
【0165】
【化22】

【0166】
の化合物
(式中、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
(b)式(XIII)の化合物を塩基性条件下で反応させて、式(X)の化合物または式(X−A)
【0167】
【化23】

【0168】
の互変異性体
(式中、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
場合により
(c)式(X−A)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む方法(C)により調製することができる。
【0169】
より具体的には、ニコチン酸からエステル化により調製される式(XII)のニコチンエステルから、カップリング(脱水)条件下で、アセチル化剤、好ましくはAcOEt、AcCl、AcO、Ac−イミダゾール、アセチルモルホリン、Ac−CNまたは酢酸との反応により出発すると、式(XIII)のアセトアミドニコチンエステル誘導体が得られ、これを、例えば、THFおよび/またはトルエンのような溶媒中でのKN(SiMeの使用により塩基性条件下で環化して、式(X)のテトラヒドロ−[1,8]ナフチリジン−2,4−ジオン、または式(X−A)の互変異性型を得ることができ、これを、方法Bのようにさらに処理する。
【0170】
式(XII)のエステルは、酸からホスゲン化技術により生成することができる式(XXIII)
【0171】
【化24】

【0172】
の化合物
(式中、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
のアルコール分解を介して製造することができる。
【0173】
合成経路の第2の実施形態において、式(X)の化合物は、
(a)式(XII)
【0174】
【化25】

【0175】
の化合物
(式中、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を式(XIV)
【0176】
【化26】

【0177】
の化合物
(式中、Eは、OYまたはNYYを示し、Yは、上で定義した意味を有する)
と反応させて、式(XV)
【0178】
【化27】

【0179】
の化合物
(式中、Eは、OYまたはNYYを示し、
Y、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
(b)式(XV)の化合物を溶媒中、アルカリ性条件下で反応させて、式(XVI)
【0180】
【化28】

【0181】
の化合物
(式中、Eは、OYまたはNYYを示し、
Y、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
(c)式(XVI)の化合物を酸性またはアルカリ性条件下で反応させて、式(X)の化合物または式(X−B)
【0182】
【化29】

【0183】
の互変異性体
(式中、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
場合により
(c)式(X−B)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む方法(D)により調製することができる。
【0184】
より具体的には、式(XII)のニコチン酸エステル、ならびに溶媒および塩基の存在下での式(XIV)のマロン酸誘導体との反応から出発すると、式(XV)のアシルマロン酸誘導体が形成され、これを、溶媒中、塩基性条件下で環化して、式(XVI)のテトラヒドロ−[1,8]ナフチリジン−2,4−ジオン−3−カルボン酸誘導体またはその互変異性型を形成することができる。酸性またはアルカリ性の加水分解/鹸化および脱カルボキシル化後、式(X−B)の2−ヒドロキシ−[1,8]ナフチリジン−4−オン、またはその互変異性体が形成され、これは、方法Bのようにさらに処理することができる。あるいは、式(X)、(X−A)および(X−B)のナフチリジン−オンは、対応するピリジン−4−イル−アミンとマロン酸エステルクロリド(すなわち、MeOCOCHCOCl)またはマロン酸ジエチル(すなわちCH(COOEt))との反応、その後の、例えばNaOHによる鹸化、およびポリリン酸(PPA)により媒介される環化から得ることができる。
【0185】
式(I)のナフチリジン誘導体の製造の別の態様において、式(V)の下の化合物は、以下の経路を介して入手可能である。合成経路の第1の実施形態において、式(V)の下の2−置換4−アミノピリジンは、
(a)2−ブロモ−4−ニトロ−ピリジン−N−オキシドを式H−R6(式中、R6は、上で定義した意味を有する)の化合物と反応させて、式(XVII)
【0186】
【化30】

【0187】
の化合物
(式中、R6は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
(b)式(XVII)の化合物を還元条件下で反応させて、式(V−A)
【0188】
【化31】

【0189】
の化合物
(式中、R6は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
場合により
(c)式(V−A)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む方法(E)により調製することができる。
【0190】
より具体的には、2−置換4−アミノピリジンの合成は、例えば、市販の2−ブロモ−4−ニトロ−ピリジン−N−オキシドから出発し、これを、アルコール、フェノール、アミンまたはアニリンと塩基性条件下で反応させて、エーテルまたはアミンのような式(XVII)の化合物を得、これを還元して、対応する式(V−A)の4−アミノピリジン誘導体を得ることができる。
【0191】
合成経路の第2の実施形態において、式(V)の下の3−置換4−アミノ−ピリジンは、
(a)3−フルオロ−4−ニトロ−ピリジン−N−オキシドまたは対応する3−ブロモ誘導体を式H−R5(式中、R5は、上で定義した意味を有する)の化合物と反応させて、式(XVII)
【0192】
【化32】

【0193】
の化合物
(式中、R5は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
(b)式(XVIII)の化合物を還元条件下で反応させて、式(V−B)
【0194】
【化33】

【0195】
の化合物
(式中、R5は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
場合により
(c)式(V−B)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む方法(F)により調製することができる。
【0196】
より具体的には、3−置換4−アミノピリジンの合成は、例えば、市販の3−フルオロ4−ニトロ−ピリジン−N−オキシドまたは対応する3−ブロモ誘導体から出発し、これを、アルコール、フェノール、アミンまたはアニリンと塩基性条件下で反応させて、エーテルまたはアミンのような式(XVIII)の中間体を得、これを還元して、対応する式(V−B)の3−置換4−アミノピリジン誘導体を得ることができる。
【0197】
したがって、式(IV)〜(XVIII)の任意の化合物を精製し、中間生成物として提供し、式(I)の化合物の調製のための出発原料として使用することができる。しかし、式(IV)、(V)、(IX)、(X)および/または(XI)、あるいはそれらの部分式の化合物を中間生成物として提供し、式(I)の化合物、より好ましくは式(IV)、(V)、(IX)および/または(XI)、あるいはそれらの部分式、最も好ましくは式(IV)および/または(V)、あるいはそれらの部分式の化合物の調製のための出発原料として使用することが好ましい。式(I)の化合物の製造に非常に好ましい鋳型中間体は、
【0198】
【化34】

【0199】
、好ましくは、
【0200】
【化35】

【0201】
の群から選択される。
【0202】
本発明は、式(IV)の中間化合物にも関し、式中、(i)R7がOYである場合、非置換フェニルは除外され、(ii)R7がNYYである場合、非置換ピリジルは除外されるという条件下で、R2は、フェニルまたはピリジルを示し、これらはそれぞれ、A、Hal、CN、NYY、OY、=Oの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、R3、R4、R7、HalおよびYは、上で定義した意味を有する。前記式(IV)の化合物は、
(a)ボロン酸、ボロン酸エステル、有機スズおよびボロントリフレートの群から選択される化合物(これらは、それぞれ、上で定義した意味を有するR2により置換されている)を、式(XI−A)
【0203】
【化36】

【0204】
の化合物
(式中、R3、R4;R7およびHalは、上で定義した意味を有する)
と反応させて、式(IV)
【0205】
【化37】

【0206】
の化合物
(式中、(i)R7がOYである場合、非置換フェニルは除外され、(ii)R7がNYYである場合、非置換ピリジルは除外されるという条件下で、R2は、フェニルまたはピリジルを示し、これらはそれぞれ、A、Hal、CN、NYY、OY、=Oの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、R3、R4、R7、HalおよびYは、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
場合により
(c)式(IV)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む別の方法(Β’)により調製することができる。
【0207】
式(IV)の化合物と式(V)の化合物との反応により、式(I)の化合物への付加が生じる。より具体的には、Buchwald−Hartwig反応のように、強塩基、好ましくはKOBut、またはPd0の化学作用を使用して式(IV)の化合物を式(V)の化合物と反応させて、式(I)の化合物を製造することができる。式(V)の下のアニリンを反応させて、2−R2−4−Het−アミノ−[1,8]ナフチリジン(式中、R2およびHetは上で定義した意味を有する)の最終的な親化合物を製造することが好ましい。
【0208】
式(I)の化合物は、水素化または金属還元のように修飾して、塩素を除去するか、または置換反応を実施するか、ならびに/あるいは酸または塩基、好ましくは強酸により塩に変換することができる。有機化学の化学的戦略および戦術、合成経路、中間体の保護、開裂および精製手順、単離および特性決定に関する多数の論文および方法が当業者にとって入手可能および有用である。一般的な化学的修飾は当業者に知られている。アリールのハロゲン化、またはハロゲンによる酸、アルコール、フェノール、およびそれらの互変異性体構造のヒドロキシ置換は、好ましくは、POCl、またはSOCl、PCl、SOClの使用により実施することができる。場合により塩化オキサリルも有用である。温度は、ピリドン構造またはカルボン酸またはスルホン酸(sufonic acid)をハロゲン化するタスクに応じて0℃から還流まで変えることができる。時間も数分から数時間まで、またはさらには終夜に調整する。同様に、アルキル化、エーテル形成、エステル形成、アミド形成は、当業者に知られている。アリールボロン酸によるアリール化は、Pd触媒、適切なリガンドおよび塩基、好ましくはナトリウム、カリウムまたはセシウムの炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩の存在下で実施することができる。EtN、DIPEAまたはより塩基性のDBUのような有機塩基も使用することができる。溶媒も、トルエン、ジオキサン、THF、ジグリム、モノグリム、アルコール、DMF、DMA、NMP、アセトニトリルと様々であり、水の場合さえあり、その他の溶媒の場合もある。Pd(PPh)、またはPd(OAc)、Pd0触媒のPdClタイプ前駆体のような一般に使用される触媒は、より効率的なリガンドを有するより複雑なものに進歩してきた。C−Cアリール化において、ボロン酸およびエステル(Stilleカップリング)の代わりに、アリール−トリフルオロボレートカリウム塩(Suzuki−Miyauraカップリング)、オルガノシラン(Hiyamaカップリング)、Grignard試薬(Kumada)、亜鉛オルガニル(organyles)(Negishiカップリング)およびスズオルガニル(Stilleカップリング)が有用である。この経験は、N−およびO−アリール化に転用することができる。N−アリール化、さらには電子不足アニリン(Biscoeら、JACS 130:6686(2008))に関して、ならびに塩化アリールおよびアニリン(Forsら、JACS 130:13552(2008)について、ならびにCu触媒およびPd触媒を使用するO−アリール化に関して、多数の論文および方法が当業者にとって入手可能および有用である。
【0209】
3−置換4−アミノN−ヘテロアリール−[1,8]ナフチリジンへの合成アプローチにおいて、式(I)の下の修飾化合物は、
(a)式(XIX)
【0210】
【化38】

【0211】
の化合物
(式中、W1、W2、W5、W6、R1、R2、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を還元条件下で反応させて、式(XX)
【0212】
【化39】

【0213】
の化合物
(式中、W1、W2、W5、W6、R1、R2、R3およびR4は、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
(b)式(XX)の化合物をアシル化条件下で反応させて、式(XXI)
【0214】
【化40】

【0215】
の化合物
(式中、Qは、−CO−、−SO−、−NY−CO−、−CO−NY−、−OCO−、NY−SOまたは結合を示し、R51は、Y、−Alk−NYY、−Alk−OY、Het、−CO−R2または−CO−Hetを示し、W1、W2、W5、W6、R1、R2、R3、R4、Y、Alk、HetおよびHetは、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
(c)式(XXI)の化合物をアシル化条件下、その後、酸性条件下で反応させて、式(XXII)
【0216】
【化41】

【0217】
の化合物
(式中、R51は、Y、−Alk−NYY、−Alk−OY、Het、−CO−R2または−CO−Hetを示し、W1、W2、W5、W6、R2、R3、R4、Y、Alk、HetおよびHetは、上で定義した意味を有する)
を得るステップと、
場合により
(d)式(XXII)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む方法(G)により調製することができる。
【0218】
より具体的には、3−ニトロ−ピリジン−4−イル−アミンおよび同様の誘導体を使用して、4−クロロ−2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジンのような式(IV)の適切な中間体から、KOButを用いるような塩基性条件下、またはPd0触媒下で、[2−(2−フルオロ−5−トリフルオロ−メチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−(3−ニトロ−ピリジン−4−イル)−アミンのような式(XIX)の2−R2−4−(3−ニトロ−ピリジル−4−アミノ)−ナフチリジンを合成することができる。3−ニトロ官能基の還元後、3−アミノ化合物は、3−および4−アミノ基の両方を利用する閉環により、アルキル化、カルバミン化(carbaminated)、スルファミド化、スルファモイル化、またはアシル化および連続的なベンズイミダゾイル化(benzimidazoylated)のように修飾することができる。特に、式(XX)の化合物は、アシル化条件下で、活性化カルボン酸誘導体、特に塩化物、無水物、活性エステル、活性化スルホン酸誘導体、カーボネートまたはイソシアネートと反応させる。その後、得られた式(XXI)の化合物をアシル化条件下で活性化カルボン酸誘導体と反応させ、その後、酸処理して、最初に形成したアミドを環化して対応するイミダゾールとする。
【0219】
あるいは、炭酸誘導体、好ましくはカルボニルジイミダゾールとの閉環反応は、
(a)式(XX)の化合物を炭酸誘導体と反応させて、式(XXII−A)
【0220】
【化42】

【0221】
の化合物を得るステップと、
場合により
(b)式(XXII−A)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む、1−[2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オンの合成のような環状尿素合成に使用することができる。
【0222】
上記方法の最終ステップにおいて、式(I)〜(XXII)、好ましくは式(I)の化合物の塩が場合により生じる。前記本発明の化合物は、それらの最終的な塩ではない形態で使用することができる。一方、本発明は、それらの医薬として許容される塩の形態でのこれらの化合物の使用も包含し、この形態は、当技術分野において既知の手順により、様々な有機および無機酸および塩基から生じる。本発明の化合物の医薬として許容される塩形態は、その大部分を従来の方法により調製する。本発明の化合物がカルボキシル基を含有する場合、その好適な塩の1つは、該化合物を好適な塩基と反応させて、対応する塩基付加塩を生成することにより形成することができる。そのような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含めたアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびにピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンなどの様々な有機塩基である。本発明の化合物のアルミニウム塩は同様に含まれる。特定の本発明の化合物の場合、酸付加塩は、これらの化合物を、医薬として許容される有機および無機酸、例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素などのハロゲン化水素、他の鉱酸および硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩などの対応するその塩、ならびに、エタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩などのアルキル−およびモノアリールスルホン酸塩、ならびに、他の有機酸および酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などの対応するその塩で処理することにより形成することができる。したがって、本発明の化合物の医薬として許容される酸付加塩としては、以下のもの:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、臭化物、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、(粘液酸からの)ガラクタル酸塩(galacterate)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、ヒドロクロリド、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0223】
上述したことに関して、本明細書において互換的に使用する「医薬として許容される塩」および「生理学的に許容される塩」という表現は、本発明の文脈において、特に、以前に使用していた活性成分の遊離形態または活性成分の任意の他の塩形態と比較してこの塩形態が活性成分に対して改善された薬物動態特性を付与する場合、その塩の1種の形態の本発明の化合物を含む活性成分を意味するものと解釈されることが分かる。活性成分の医薬として許容される塩形態は、この活性成分に初めて、以前は有していなかった所望の薬物動態性質を付与することもでき、この活性成分の体内での治療効力に関して、薬力学に対して好ましい影響を及ぼすことさえできる。
【0224】
本発明の目的は、また、ATPを消費するタンパク質、特にキナーゼを阻害するための化合物式(I)および/または生理学的に許容されるその塩の使用である。「阻害」という用語は、任意のキナーゼ活性の低減を示し、これは、認識、結合およびブロッキングを可能にするような方法で標的キナーゼと相互作用することができる、本発明の化合物の特定の作用に基づいている。該化合物は、少なくとも1種のキナーゼに対する、キナーゼ活性の信頼性がある結合、好ましくは完全なブロッキングが確実となるような高親和性を特徴とする。より好ましくは、この物質は、選択した単一のキナーゼ標的による排他的および直接的な認識を保証するために単一特異性である。本発明の文脈においては、「認識」という用語は、これに限定するものではないが、特定の物質と標的との間の任意のタイプの相互作用、特に、共有結合、疎水性/親水性相互作用、van der Waals力、イオン対、水素結合、リガンド−受容体相互作用などの共有または非共有結合または会合に関する。そのような会合は、ペプチド、タンパク質またはヌクレオチド配列などの他の分子の存在も包含し得る。本受容体/リガンド−相互作用は、処置される対象に対する不健康で有害な影響を排除するような、他の標的分子に対する高親和性、高選択性および最小の交差反応性または交差反応性の欠如を特徴とする。
【0225】
本発明の一実施形態において、各キナーゼは、チロシンキナーゼおよびセリン/トレオニンキナーゼの群に属する。本発明の好ましい実施形態において、各キナーゼは、TGF−β、PDK1、Met、PKD1、MINK1、SAPK2−α、SAPK2−β、MKK1、GCK、HER4、ALK1、ALK2、ALK4、ALK5およびTbRタイプIIの群から選択される。セリン/トレオニンキナーゼを阻害することがより好ましい。阻害することが最も好ましいキナーゼは、TGF−β受容体キナーゼである。
【0226】
該キナーゼは、特に、該化合物の濃度が10μΜ未満、好ましくは1μΜ未満、より好ましくは0.1μΜ未満になる場合、半分阻害される。そのような濃度は、IC50とも呼ばれる。
【0227】
本発明の化合物は、有益な生物活性を示すことが好ましく、これは、酵素ベースのアッセイ、例えば本明細書に記載のアッセイにおいて容易に証明される。そのような酵素ベースのアッセイにおいて、本発明の化合物は、通常、好適な範囲、好ましくはミクロモルの範囲、より好ましくはナノモルの範囲のIC50値で記述される阻害効果を示し、引き起こすことが好ましい。
【0228】
本明細書において論じている通り、これらのシグナリング経路は、様々な疾患に関連する。したがって、本発明の化合物は、前記シグナリング経路の1種または複数との相互作用により前記シグナリング経路に依存する疾患の予防および/または処置において有用である。本発明は、したがって、本明細書に記載のシグナリング経路、特にTGF−βシグナリング経路の促進剤または阻害剤、好ましくは阻害剤としての本発明の化合物に関する。
【0229】
宿主または患者は、任意の哺乳類種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含めた齧歯類;ウサギ;ウマ、カウ、イヌ、ネコ等に属するものとすることができる。動物モデルは、実験調査の対象であり、ヒト疾患の処置のためのモデルを提供する。
【0230】
本発明の化合物による処置に対する特定の細胞の感受性は、in vitro試験により決定することができる。一般に、活性薬剤による細胞死の誘導または遊走の阻害を可能にするのに十分な期間、通常、約1時間と1週間の間、細胞の培養物を様々な濃度の本発明の化合物と合わせる。in vitro試験は、生検試料から培養された細胞を使用して実施することができる。次いで、処置後に残っている生細胞を数える。
【0231】
シグナル伝達経路の識別および様々なシグナル伝達経路間の相互作用の検出のために、様々な科学者らは、好適なモデルまたはモデル系、例えば細胞培養モデル(例えばKhwajaら、EMBO、1997、16、2783〜93)およびトランスジェニック動物のモデル(例えばWhiteら、Oncogene、2001、20、7064〜7072)を開発してきた。シグナル伝達カスケードにおける特定の段階の決定のために、シグナルを修飾するために相互作用する化合物を利用することができる(例えばStephensら、Biochemical J.、2000、351、95〜105)。本発明の化合物は、動物および/または細胞培養モデルあるいは本出願において述べる臨床的疾患におけるキナーゼ依存性シグナル伝達経路を試験するための試薬としても使用することができる。
【0232】
キナーゼ活性の測定は、当業者に周知の技術である。基質、例えばヒストン(例えばAlessiら、FEBS Lett.1996、399、3、333〜338頁)または塩基性のミエリンタンパク質を使用する、キナーゼ活性の決定のための汎用試験系は、文献(例えばCampos−Gonzalez,R.およびGlenney,Jr.,J.R.1992、J.Biol.Chem.267、14535頁)に記載されている。
【0233】
キナーゼ阻害剤の識別のために、様々なアッセイ系が利用可能である。シンチレーション近接アッセイ(Sorgら、J.of.Biomolecular Screening、2002、7、11〜19)およびフラッシュ−プレートアッセイにおいては、基質としてのタンパク質またはペプチドのγΑΤΡによる放射性リン酸化が測定される。阻害性化合物の存在下で、放射性シグナルが低下したこと、または全く存在しないことが検出可能である。さらに、均一な時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)および蛍光偏光(FP)技術がアッセイ法として適している(Sillsら、J.of Biomolecular Screening、2002、191〜214)。他の非放射性ELISAアッセイ法においては、特定のホスホ抗体(phospho−antibody)(ホスホAB)が使用される。ホスホABは、リン酸化した基質のみに結合する。この結合は、ペルオキシダーゼ−共役抗ヒツジ二次抗体を使用して化学発光により検出することができる。
【0234】
本明細書の前段に記載の使用は、in−vitroまたはin−vivoモデルで実施し得る。その阻害は、本明細書においてこれまでに記載した技術によりモニターすることができる。in−vitroでの使用は、がん、腫瘍成長、転移成長、線維症、再狭窄、HIV感染、神経変性障害、例えばアルツハイマー病、アテローム性動脈硬化、炎症、創傷治癒、血管新生、心血管系、骨、CNSおよび/またはPNSの障害に苦しむヒトの試料に適用することが好ましい。複数の特定の化合物および/またはその誘導体の試験により、ヒト対象の処置に最適な活性成分の選択が可能となる。選択した誘導体のin−vivo用量速度は、in−vitroデータに関して、それぞれの対象のキナーゼ感受性および/または疾患の重症度に予め調整する(preadjusted to)ことが有益である。したがって、治療効力が著しく増強される。さらに、予防的または治療的処置および/またはモニタリング用の薬剤の製造のための式(I)の化合物およびその誘導体の使用に関する本明細書の後の教示は、妥当であり、好都合であるならば、キナーゼ活性の阻害のための該化合物の使用に限定することなく適用可能であると見なされる。
【0235】
本発明は、さらに、あらゆる比のそれらの混合物を含めた、少なくとも1種の本発明の化合物および/または医薬として使用可能なその誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体、ならびに場合により賦形剤および/またはアジュバントを含む薬剤に関する。
【0236】
本発明の意味においては、「アジュバント」は、同時に、同時期にまたは順次投与した場合に本発明の活性成分に対する特定の応答を可能にする、増強する、または修飾する全ての物質を示す。注射液用の既知のアジュバントは、例えば、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム組成物、QS21などのサポニン、ムラミルジペプチドまたはムラミルトリペプチド、ガンマ−インターフェロンまたはTNF、M59などのタンパク質、スクアレンまたはポリオールである。
【0237】
したがって、本発明は、医薬として許容されるアジュバントと共に、活性成分として有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物および/または生理学的に許容されるその塩を含む医薬組成物にも関する。
【0238】
本発明の意味においては、「薬剤」、「医薬組成物」または「医薬製剤」は、医学の分野の任意の試剤であり、1種または複数の式(I)の化合物またはその調製物を含み、キナーゼ活性に関連する疾患に苦しむ患者の予防、治療、経過観察またはアフターケアにおいて、それらの全体の状態または生体の特定の領域の状態の病状変更(pathogenic modification)を少なくとも一時的に実現できるような方法で使用することができる。
【0239】
さらに、活性成分は、単独で、または他の処置と組み合わせて投与することができる。相乗効果は、医薬組成物中に2種以上の化合物を使用することにより達成することができ、すなわち、式(I)の化合物を、別の式(I)の化合物でも異なる構造的足場の化合物でもよい少なくとももう1つの活性成分としての試剤と合わせる。活性成分は、同時にまたは順次使用することができる。
【0240】
本化合物は、既知の抗がん剤との併用に適している。これらの既知の抗がん剤としては、以下のものが挙げられる。(1)エストロゲン受容体修飾剤、(2)アンドロゲン受容体修飾剤、(3)レチノイド受容体修飾剤、(4)細胞毒性剤、(5)抗増殖剤、(6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、(7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(8)HIVプロテアーゼ阻害剤、(9)リバーストランスクリプターゼ阻害剤および(10)さらなる血管新生阻害剤。本化合物は、特に、放射線療法との同時投与に適している。VEGF阻害と放射線療法との併用による相乗効果は、当技術分野で説明されてきた(WO00/61186を参照)。
【0241】
本発明は、あらゆる比のそれらの混合物を含めた、有効量の本発明の化合物および/または医薬として許容されるその塩、誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびに有効量のさらなる薬剤活性成分の別個のパックからなるセット(キット)にも関する。該セットは、箱、個別のビン、袋またはアンプルなどの好適な容器を含む。該セットは、例えば、あらゆる比のそれらの混合物を含めた、有効量の本発明の化合物および/または医薬として許容されるその塩、誘導体、溶媒和物および立体異性体、ならびに有効量のさらなる薬剤活性成分を溶解または冷凍乾燥形態でそれぞれが含有する別個のアンプルを含み得る。
【0242】
医薬製剤は、任意の所望の好適な方法、例えば経口(頬側または舌下を含む)、直腸、経鼻、局所(頬側、舌下または経皮を含む)、腟内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)の方法を介した投与に適応させることができる。そのような製剤は、医薬分野において既知の全ての方法を使用して、例えば、活性成分を賦形剤(複数可)またはアジュバント(複数可)と組み合わせることにより調製することができる。
【0243】
本発明の医薬組成物は、一般的な固体もしくは液体担体、希釈剤および/または添加剤ならびに医薬工学において通例のアジュバントを適切な投薬量で使用する既知の方法で製造する。単一剤形を製造するために活性成分と合わせる賦形剤材料の量は、処置される宿主および投与の特定のモードに応じて変える。好適な賦形剤としては、経腸(例えば経口)、非経口または局所適用などの様々な投与経路に適し、式(I)の化合物またはその塩と反応しない有機または無機物質が挙げられる。好適な賦形剤の例は、水、植物油、ベンジルアルコール、アルキレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールトリアセテート、ゼラチン、ラクトースまたはデンプンなどの炭水化物、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、および石油ゼリーである。
【0244】
経口投与に適した医薬製剤は、例えば、カプセルまたは錠剤;粉末または顆粒;水性または非水液体中の溶液または懸濁液;食用泡(edible foam)または泡状食品(foam food);あるいは水中油液体エマルジョンまたは油中水液体エマルジョンなどの別個の単位として投与することができる。
【0245】
非経口投与に適した医薬製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌性および溶質(これにより、処置されるレシピエントの血液と製剤が等張となる);ならびに懸濁媒体および増粘剤を含み得る水性および非水滅菌懸濁液を含む。該製剤は、単回用量または多回用量容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアルで投与することができ、使用の直前に滅菌担体液、例えば注射用の水の添加のみが必要となるように凍結乾燥(冷凍乾燥)状態で貯蔵することができる。この処方に従って調製される注射液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0246】
該製剤は、上で具体的に述べた成分に加えて、特定のタイプの製剤に関して当技術分野において通例の他の試剤も含み得ることは言うまでもない。したがって、例えば、経口投与に適した製剤は、香料を含み得る。
【0247】
本発明の好ましい実施形態において、医薬組成物は、経口または非経口、より好ましくは経口投与する。特に、活性成分は、医薬として許容される塩(酸および塩基付加塩の両方を含むことを意図したものである)などの水溶性の形態で提供する。さらに、式(I)の化合物およびその塩は冷凍乾燥させることができ、得られた冷凍乾燥物は、例えば、注射用の調製物を製造するために使用する。示した調製物は滅菌することができ、ならびに/あるいは担体タンパク質(例えば血清アルブミン)、潤滑剤、保存剤、安定剤、充填剤、キレート化剤、抗酸化剤、溶媒、結合剤、懸濁剤、湿潤剤、乳化剤、(浸透圧に影響を及ぼすための)塩、緩衝物質、着色剤、香味料などの助剤、ならびに1種または複数のさらなる活性物質、例えば1種または複数のビタミンを含み得る。添加剤は、当技術分野においてよく知られており、様々な製剤において使用されている。
【0248】
「有効量」または「有効用量」または「用量」という用語は、本明細書において互換的に使用しており、疾患または病理学的状態に対して予防または治療上関連する効果を有し、すなわち、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば、研究者または医師により探求または所望されている生物学的または医学的応答を引き起こす医薬化合物の量を示す。「予防効果」により、疾患を発現する込みが低減するか、または、さらに疾患の発症が予防される。「治療上関連する効果」により、1もしくは複数の疾患の症状がある程度軽減するか、あるいは、疾患もしくは病理学的状態に関連するか、または疾患もしくは病理学的状態を引き起こす、1または複数の生理学的または生化学的パラメーターが部分的もまたは完全に正常に戻る。さらに、「治療有効量」という表現は、この量を受けていない対応する対象と比較して、以下の結果をもたらす量を示す。疾患、症候群、状態、愁訴、障害または副作用の処置、治癒、予防または排除の改善、あるいは、また、疾患、愁訴または障害の進行の低減。「治療有効量」という表現は、正常な生理学的機能を高めるために効果的な量も包含する。
【0249】
本発明の医薬組成物を投与するためのそれぞれの用量または投薬量範囲は、前述の疾患、がんおよび/または線維性疾患の症状を低減する所望の予防または治療効果を達成するために十分に高いものとする。任意の特定のヒトに対する投与の特定の用量レベル、頻度および期間は、採用する特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の時間および経路、排出の速度、薬物の組合せ、ならびに特定の治療法を適用する特定の疾患の重症度を含めた様々な因子次第であることが理解されよう。当業者は、周知の手段および方法を使用して、日常的な実験の問題として正確な用量を決定することができる。本明細書の先の教示は、妥当であり、好都合であるならば、式(I)の化合物を含む医薬組成物に限定することなく適用可能である。
【0250】
医薬製剤は、投薬量単位当たり所定の量の活性成分を含む投薬量単位の形態で投与することができる。該製剤中の予防的または治療的に活性な成分の濃度は、約0.1から100wt%まで変動し得る。好ましくは、式(I)の化合物または医薬として許容されるその塩は、用量単位当たり約0.5〜1000mg、より好ましくは1と700mgの間、最も好ましくは5と100mgの間の用量で投与される。一般に、そのような用量範囲は、1日の総取込量として適切である。換言すると、1日用量は、約0.02と100mg/kg体重の間であることが好ましい。しかし、各患者の特定の用量は、既に本明細書に記載の多種多様な因子次第である(例えば、処置される状態、投与の方法ならびに患者の年齢、重量および状態次第である)。好ましい投薬量単位製剤は、上述の1日用量または部分用量、あるいは活性成分の対応する画分を含むものである。さらに、このタイプの医薬製剤は、医薬分野において一般に既知の方法を使用して調製することができる。
【0251】
本発明の化合物の治療有効量は、最終的には、多数の因子(例えば、動物の年齢および重量、処置を必要とする正確な状態、状態の重症度、製剤の性質および投与の方法)を考慮することにより、処置をする医師または獣医師が決定しなければならないが、新生物成長、例えば結腸または乳癌の処置に関する本発明の化合物の有効量は、一般に、レシピエント(哺乳動物)の体重1kg当たり、1日当たり0.1〜100mgの範囲であり、特に具体的には、1日当たり1〜10mg/kg体重の範囲である。したがって、70kgの成体の哺乳動物の1日当たりの実際の量は、通常、70と700mgの間であり、この量は、1日当たりの単一用量として、または、通常、合計の1日用量が同じとなるような1日当たりの一連の部分用量(例えば、2、3、4、5または6など)で投与することができる。塩または溶媒和物の有効量、あるいはその生理的機能性誘導体の有効量は、本発明の化合物それ自体の有効量の画分として決定することができる。同様の用量が上述の他の状態の処置に適していると推測することができる。
【0252】
本発明の医薬組成物は、ヒトおよび獣医学において薬剤として採用することができる。本発明において、式(I)の化合物および/または生理学的に許容されるその塩は、キナーゼ活性により引き起こされる、媒介されるおよび/または伝播される疾患の予防的または治療的処置および/またはモニタリングに適している。疾患は、がん、腫瘍成長、転移成長、線維症、再狭窄、HIV感染、神経変性障害、アテローム性動脈硬化、炎症、創傷治癒、血管新生、心血管系、骨、CNSおよび/またはPNSの障害の群から選択されることが特に好ましい。本発明の保護の範囲に該化合物のホストが含まれることを理解されたい。
【0253】
腫瘍および/またはがん疾患の処置および/またはモニタリングを特に優先する。腫瘍は、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭部、頸部、食道、子宮頸部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、泌尿生殖器官、リンパ系、咽頭および/または肺の腫瘍の群から選択することが好ましい。
【0254】
腫瘍は、肺腺癌、小細胞肺癌、膵がん、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群から選択することがさらに好ましい。さらに、血液および免疫系の腫瘍の処置および/またはモニタリング、より好ましくは急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択される腫瘍の処置および/またはモニタリングを優先する。そのような腫瘍は、本発明の意味においてがんと呼ぶこともできる。
【0255】
本発明のより好ましい実施形態において、前述の腫瘍は固形腫瘍である。
【0256】
本発明の別の好ましい実施形態において、式(I)の化合物を、レトロウイルス疾患の予防的または治療的処置および/またはモニタリング、あるいは、レトロウイルス疾患の予防的または治療的処置および/またはモニタリング用の薬剤の製造に適用し、それぞれ、レトロウイルス免疫疾患、より好ましくはHIV感染を対象としていることが好ましい。該試剤は、哺乳動物のレトロウイルスへの感染の見込みを低減するため、または感染および疾患の発症を予防するため、あるいは感染性病原体により引き起こされた疾患を処置するために投与することができる。特に、ウイルス内部移行の後期段階を短縮および/または予防することができる。予防接種は、代表的な単一のウイルスの、例えば創傷への浸潤後、その後のウイルスの伝播が厳密に減少するか、またはさらには完全に不活性化するように、レトロウイルスへの感染の見込みを低減すること、あるいは感染を予防することを意図したものである。患者が既に感染している場合、体内に存在するレトロウイルスを不活性化するため、またはその伝播を阻止するために治療投与を実施する。本発明の化合物を適用することにより多数のレトロウイルス疾患、特にHIVにより引き起こされるAIDSを首尾よく抑制することができる。
【0257】
本発明のナフチリジン化合物は、心血管疾患、腎疾患、肝疾患、肺線維症に関連する症候群、膠原血管障害、眼疾患、真皮における過剰な瘢痕形成または肥厚性瘢痕形成、胃腸管の障害、腹膜の慢性瘢痕化、神経学的状態、関節の疾患、肺機能の改善により利益を享受する疾患および炎症誘発性応答(proinflammation response)、線維増殖性応答またはその両方による疾患の群から選択される疾患に対しても有用である。
【0258】
本発明は、キナーゼ活性により引き起こされる、媒介されるおよび/または伝播される疾患の予防的または治療的処置および/またはモニタリングのための、式(I)の化合物および/または生理学的に許容されるその塩の使用にも関する。さらに、本発明は、キナーゼ活性により引き起こされる、媒介されるおよび/または伝播される疾患の予防的または治療的処置および/またはモニタリング用の薬剤の製造のための、式(I)の化合物および/または生理学的に許容されるその塩の使用に関する。式(I)の化合物および/または生理学的に許容されるその塩は、さらに、さらなる薬剤活性成分の調製用の中間体として採用することができる。該薬剤は、非化学的方法で、例えば活性成分を少なくとも1種の固体、流体および/または半流動体の担体または賦形剤と合わせることにより、および場合により適切な剤形の1または2種以上の他の活性物質と共に調製することが好ましい。
【0259】
本発明の別の実施形態において、式(I)の化合物および/または生理学的に許容されるその塩を、固形腫瘍の予防的または治療的処置および/またはモニタリング用の組合せ製剤の製造に使用し、この組合せ製剤は、(1)エストロゲン受容体修飾剤、(2)アンドロゲン受容体修飾剤、(3)レチノイド受容体修飾剤、(4)細胞毒性剤、(5)抗増殖剤、(6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、(7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(8)HIVプロテアーゼ阻害剤、(9)リバーストランスクリプターゼ阻害剤および(10)さらなる血管新生阻害剤の群から選択される有効量の活性成分を含む。
【0260】
本発明の式(I)の化合物は、疾患の発症の前または後に1回または複数回投与することができ、治療として作用する。前述の本発明の用途の医薬品は、特に治療的な処置のために使用する。治療上関連する効果により、自己免疫疾患の1種または複数の症状がある程度軽減するか、あるいは、該疾患もしくは病理学的状態に関連するか、または該疾患もしくは病理学的状態を引き起こす、1種または複数の生理学的または生化学的パラメーターが部分的または完全に正常に戻る。例えば、応答を高め(booster)、病原体および/または疾患の症状を完全に根絶するために該化合物を異なる間隔で投与する場合は、モニタリングを一種の処置と見なす。同一の化合物または異なる化合物を適用することができる。該薬剤は、ある疾患が発現する見込みを低減するため、または、さらに、キナーゼ活性の増大に関連する疾患の開始を前もって予防するため、あるいは既に生じていて継続している症状を処置するためにも使用することができる。本発明が関係している疾患は、がんおよび/または線維性疾患であることが好ましい。本発明の意味においては、予防処置は、対象が家族性の素因、遺伝的欠損、または先に経験した疾患などの前述の生理学的または病理学的状態の任意の前駆状態(precondition)を有する場合に得策である。医薬組成物に関する本明細書の先の教示は、妥当であり、前記疾患の予防および治療用の薬剤および/または組合せ製剤の製造のための式(I)の化合物およびそれらの塩の使用に限定することなく適用可能である。
【0261】
本発明の別の目的は、キナーゼ活性により引き起こされる、媒介されるおよび/または伝播される疾患を処置する方法を提供することであり、該方法は、そのような処置を必要としている哺乳動物に、有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物および/または生理学的に許容されるその塩を投与する。好ましい処置は、経口または非経口投与である。がん、腫瘍成長、転移成長、線維症、再狭窄、HIV感染、神経変性障害、アテローム性動脈硬化、炎症、創傷治癒、血管新生、心血管系、骨、CNSおよび/またはPNSの障害を有する患者、あるいは既存の前駆状態に基づいてそのような疾患または障害を発現するリスクを有する人々の、式(I)の化合物による処置により、全身の健康状態が改善し、これらの個体における症状が回復する。本発明の方法は、特に固形腫瘍の処置に適している。該方法の好ましい実施形態において、本化合物による処置を放射線療法と併用する。治療有効量の式(I)の化合物を、放射線療法および上で定義した群(1)〜(10)の別の化合物と組み合わせて投与することがさらにより好ましい。VEGF阻害と放射線療法との併用による相乗効果は、既に説明されてきた。本発明の先の教示およびその実施形態は、妥当であり、好都合であるならば、該処置方法に限定することなく適用可能である。
【0262】
本発明の範囲において、式(I)の新規のヘタリールアミノナフチリジン化合物を初めて提供する。本発明の化合物は、キナーゼ、特にTGF−β受容体キナーゼのようなATPを消費するタンパク質を強くおよび/または選択的に標的化する。式(I)の化合物およびその誘導体は、高い特異性および安定性;低い生産費および簡便な取扱いを特徴とする。これらの特色により、再現性のある作用(交差反応性の欠如を含む)、および対応する標的構造との信頼性があって安全な相互作用の基礎が形成される。本発明は、シグナルカスケードキナーゼ、特にTGF−β受容体キナーゼの阻害、調節および/または修飾における本ヘタリールアミノナフチリジン誘導体の使用も含み、これは、有益なことに、研究および/または診断ツールとして適用することができる。
【0263】
さらに、前記化合物を含有する薬剤および医薬組成物ならびにキナーゼが媒介する状態を処置するための前記化合物の使用は、広範囲の治療用の見込みがある新規のアプローチであり、これにより、ヒトおよび動物における症状の直接および即時の低減が引き起こされる。この影響は、単独で、または他の抗がん処置、抗炎症処置または抗線維症処置と併用して、がん、炎症および/または線維性疾患などの重篤な疾患を効率的に抑制するために特別に有益なものである。前述の臨床像に加えて、式(I)の化合物、それらの塩、異性体、互変異性体、エナンチオマー形態、ジアステレオマー、ラセミ化合物、誘導体、プロドラッグおよび/または代謝産物は、TGF−βキナーゼシグナリングから生じる任意の疾病、特に、阻害されるべき細胞増殖および細胞遊走に関連する任意の疾病の診断および処置にも有用である。低分子量阻害剤は、単独でおよび/または任意の処置方法(外科手術、免疫療法、放射線療法および/または化学療法など)の有効性の診断用の物理的測定法と併用して適用する(化学療法とは、任意のNME(すなわち、NCEおよび/またはNBE)を用いる単独療法および/またはオンターゲット/オフターゲット併用療法(mono− and/or on−target/off−target combination therapy)としての標的療法を意味する)。
【0264】
本発明の化合物は、リン酸基をATPからタンパク質へ転移させることにより細胞過程を調節するその驚くほど強いおよび/または選択的な酵素の阻害により、有益なことに、他のそれほど強力または選択的ではない先行技術の阻害剤と比較して低い用量で投与することができるが、同等以上の優れた所望の生物学的効果を依然として達成する。さらに、そのような用量の低減は、有益なことに、医薬品の有害作用の低下、またはさらには消失につながり得る。さらに、本発明の化合物の高い阻害選択性は、適用する用量に関わらず、好ましくない副作用の自然な減少を引き起こし得る。
【0265】
本明細書において列挙する全ての参考文献は、参照により本発明の開示に組み込むものとする。
【0266】
本明細書に記載の特定の化合物、医薬組成物、用途および方法は、当然のことながら変動し得るため、本発明はこれらに限定するものではないことが理解されよう。本明細書において使用する用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、添付の特許請求の範囲により定義する本発明の範囲を限定することを意図したものではないことも理解されよう。添付の特許請求の範囲を含めた本発明において使用する場合、「a」、「an」、および「the」などの単数形の単語は、文脈上明白な別段の指示がない限り、それらの対応する複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ある化合物(a compound)」への言及は、単一の化合物または複数の異なる化合物を含み、「ある方法(a method)」への言及は、当業者に既知の同等のステップおよび方法への言及を含む。別段の定義のない限り、本明細書において使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0267】
本発明において必須の技術は、本明細書において詳細に説明している。詳細に説明していない他の技術は、当業者によく知られている既知の標準的方法と一致しているか、あるいは、該技術は、列挙した参考文献、特許出願または権威のある文献でより詳細に説明されている。本発明の実施または試験において、本明細書に記載のものと同様または同等の方法および材料を使用することができるが、好適な例は以下に記載している。以下の例は、例示のために示すものであり、限定するためのもではない。各例において、(実用する場合は必ず)汚染活性(contaminating activity)を含まない標準的試薬および緩衝剤を使用する。例は、具体的には、明示的に証明された特色の組合せに限定されるものではないが、本発明の技術的問題が解決されたならば、例証された特色を制限なく再び組み合わせることができるものと解釈されたい。
【実施例】
【0268】
以下の例において、「従来の後処理」は、必要に応じて水を添加し、必要に応じて、最終生成物の構成に応じてpHを2と10の間の値に調整し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロ−メタンで抽出し、各相を分離し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させ、シリカゲル上でのクロマトグラフィーおよび/または結晶化により生成物を精製したことを意味する。R値は、シリカゲルで決定した。溶離液は、酢酸エチル/メタノール9:1であった。
【0269】
LC−MS方法A/LC−システム2
質量スペクトル:MH+;Agilent計測シリーズ1100;エレクトロスプレーポジティブモード;走査85〜1000m/z;電圧可変(voltage variable)によるフラグメンテーション;ガス温度300℃;溶媒はMerck KGaAのLichrosolv品質
LCカラム:Chromolith Speed ROD RP−18e、50×4.6mm
溶離液A:0.1%の水中のトリフルオロ酢酸
溶離液B:0.1%のアセトニトリル中のトリフルオロ酢酸
勾配:2.6分間で4%〜100%溶媒B
流量:2.4ml/min
UV検出:220nm。
【0270】
LC−MS方法B/LC−システム1
質量スペクトル:MH+;Agilent計測シリーズ1100;エレクトロスプレーポジティブモード;走査85〜1000m/z;電圧可変によるフラグメンテーション;ガス温度300℃;溶媒はMerck KGaAのLichrosolv品質
LCカラム:Chromolith Speed ROD RP−18e、50×4.6mm
溶離液A:0.05%の水中のギ酸
溶離液B:0.04%のアセトニトリル中のギ酸
勾配:2.8分間で4%〜100%溶媒B+100%Bで洗浄後0.5min
流量:2.4ml/min
UV検出:220nm。
【0271】
例1:4−クロロ−2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジンの合成
【0272】
【化43】

【0273】
9.95g(50.0mmol)の2,4−ジクロロ−[1,8]ナフチリジン(Koller、Chemische Berichte 60:407(1927)に記載)、8.72g(50.0mmol)の5−クロロ−2−フルオロフェニルボロン酸と(und)5.04g(60.0mmol)の炭酸水素ナトリウムの100mlのDMFと50mlの水の溶液を窒素下で80℃まで加熱した。701mg(1.0mmol)のビス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリドを添加し、混合物を80℃で16時間撹拌した。反応混合物に水を添加し、沈殿物を濾過して取り出し、真空中で乾燥させ、2−プロパノールから再結晶化させた。これにより、4−クロロ−2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジンが黄色がかった結晶として生じた;HPLC−MS:2.49min、[M+H]293。
【0274】
【表2】

【0275】
以下の化合物を同様に製造した
4−クロロ−2−(2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン;HPLC−MS:2.30min、[M+H]259
4−クロロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン;HPLC−MS:2.29min、[M+H]259
4−クロロ−2−(3−クロロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン;HPLC−MS:2.44min、[M+H]275
4−クロロ−2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン;HPLC−MS:2.49min、[M+H]309
4−クロロ−2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン;HPLC−MS:2.52min、[M+H]327
4−クロロ−2−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン;HPLC−MS:2.45min、[M+H]295
4−クロロ−2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメトキシ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン;HPLC−MS:2.63min、[M+H]343
4−クロロ−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン;HPLC−MS:2.32min、[M+H]277。
【0276】
例2:4−クロロ−2−(6−メチルピリジン−2−イル)−[1,8]ナフチリジンの合成
【0277】
【化44】

【0278】
窒素下の1.69g(8.47mmol)の2,4−ジクロロ−[1,8]ナフチリジンと3.24g(8.47mmol)の6−メチル−2−(トリブチルスタニル)−ピリジンの8.5mlのトルエン溶液を80℃まで加熱した。次いで、178mg(0.254mmol)のビス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリドを添加した。混合物を80℃で16時間加熱し、次いで、氷浴中で0℃まで冷却した。沈殿物を濾過して取り出し、氷冷のトルエンおよび石油エーテルで洗浄し、真空中で乾燥させる。これにより、4−クロロ−2−(6−メチルピリジン−2−イル)−[1,8]ナフチリジンが灰色のフェルト状の針(felted needle)として生じた;HPLC−MS:2.25min、[M+H]256。
【0279】
【表3】

【0280】
以下の化合物を同様に製造した
4−クロロ−2−ピラジン−2−イル−[1,8]ナフチリジン;HPLC−MS:1.99min、[M+H]243;
4−クロロ−2−ピリジン−2−イル−[1,8]ナフチリジン;HPLC−MS:2.06min、[M+H]242。
【0281】
例3:2−(6−メチルピリジン−2−イル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン(03番)の合成
【0282】
【化45】

【0283】
80℃で維持した189mg(0.739mmol)の4−クロロ−2−(6−メチルピリジン−2−イル)−[1,8]ナフチリジンと76.5mg(0.813mmol)の4−アミノピリジンの2mlのジオキサン溶液に、174mg(1.55mmol)のカリウムtert.−ブチレートを添加し、この温度でさらに30分間撹拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、水を添加した。沈殿物を濾過して取り出し、水で洗浄し、水/アセトントリル(acetonitrile)中での分取HPLCにより精製した。これにより、[2−(6−メチルピリジン−2−イル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミンが黄色がかった結晶として生じた;HPLC−MS:[M+H]314。
【0284】
【表4】

【0285】
2−プロパノールに溶解したこの材料を2−プロパノール中の過剰な0.1N HClに滴下して、ジヒドロクロリド(dihydrochlorid):黄色の結晶を得た。HPLC−MS[M+H]314。
【0286】
以下の化合物を同様に製造した
(2−ピラジン−2−イル−[1,8]ナフチリジン−4−イル)−ピリジン−4−イル−アミン(24番)。
【0287】
【表5】

【0288】
ピリジン−4−イル−(2−ピリジン−2−イル−[1,8]ナフチリジン−4−イル)−アミン(25番)。
【0289】
【表6】

【0290】
例4:[2−(2−フルオロフェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン(10番)の合成
【0291】
【化46】

【0292】
259mg(1.00mmol)の4−クロロ−2−(2−フルオロフェニル)−[1,8]ナフチリジンと104mg(1.10mmol)の4−アミノピリジンの5mlのジオキサン懸濁液に236mg(2.10mmol)のカリウムtert.−ブチレートを添加し、混合物を80℃まで加熱し、この温度で1時間維持した。周囲温度への冷却後、水を反応混合物に添加した。形成した沈殿物を濾過して取り出し、水で洗浄し、真空中で乾燥させた。これにより、[2−(2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミンがベージュの結晶として生じた;HPLC−MS:[M+H]317。
【0293】
【表7】

【0294】
以下の化合物を同様に製造した
[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリミジン−4−イル−アミン(05番)
【0295】
【表8】

【0296】
[2−(4−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン(6番)
[2−(3−クロロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン(11番)
ピリジン−4−イル−[2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−アミン(12番)
[2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン(13番)。
【0297】
【表9】

【0298】
[2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン(16番)
【0299】
【表10】

【0300】
[2−(2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリミジン−4−イル−アミン(17番)
[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリダジン−4−イル−アミン。
【0301】
【化47】

【0302】
[2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメトキシ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン(38番)
【0303】
【表11】

【0304】
ピリジン−4−イル−[2−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−アミン(43番)
【0305】
【表12】

【0306】
例5:2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−[3−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−ピリジン−4−イル]−アミン(34番)の合成
【0307】
【化48】

【0308】
790mg(5.00mmol)の3−フルオロ−4−ニトロピリジン−1−オキシドと762mgの4−(3−ヒドロキシプロピル)−モルホリンの10mlのジオキサンスラリーに、673mg(6.00mmol)のカリウムtert.−ブチレートを添加し、周囲温度で16hrs撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、濾過し、濾液を蒸発させた。ジクロロメタン/メタノールを用いて残渣をシリカカラムでクロマトグラフした。これにより、4−[3−(4−ニトロ−1−オキシピリジン−3−イルオキシ)−プロピル]−モルホリンが褐色を帯びた油として生じた。HPLC−MS:[M+H]284。
【0309】
460mg(1.63mmol)の4−[3−(4−ニトロ−1−オキシピリジン−3−イルオキシ)−プロピル]−モルホリンの30mlのエタノール溶液を、周囲温度および常圧で、ラネーニッケル触媒上で水素化させた。触媒を濾過して取り出し、濾液を蒸発乾固させた。これにより、3−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−ピリジン−4−イルアミンがオレンジ色の油として生じた。HPLC−MS:[M+H]238。
【0310】
147mg(0.50mmol)の4−クロロ−2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−[1,8]ナフチリジンと131mg(0.55mmol)の3−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−ピリジン−4−イルアミンの2.5mlのジオキサンスラリーを窒素下で80℃まで加熱した。118mg(1.05mmol)のカリウムtert.−ブチレートの添加後、反応混合物を80℃で1hr撹拌した。周囲温度への冷却後、水を混合物に添加した。反応混合物を濾過し、濾液を蒸発させた。ジクロロメタン/メタノールを用いて残渣をシリカカラムでクロマトグラフした。これにより、2−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−[3−(3−モルホリン−4−イル−プロポキシ)−ピリジン−4−イル]−アミンが生じた。HPLC−MS:1.20min、[M+H]494。
【0311】
【表13】

【0312】
以下の化合物を同様に製造した
[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−ピリジン−4−イル]−アミン(4番)
【0313】
【表14】

【0314】
例6:[2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリミジン−4−イル−アミン(21番)の合成
【0315】
【化49】

【0316】
307mg(0.94mmol)の4−クロロ−2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジンの10mlのジオキサン溶液に、窒素下で、89mg(0.94mmol)の4−アミノピリミジン、612mg(1.88mmol)の炭酸セシウム、54mg(0.093mmol)の9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテンおよび34mg(0.038mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(O)を添加し、マイクロ波装置で140℃まで30分間加熱した。反応混合物をジクロロメタンと水に分配した。有機相を乾燥させ、ジクロロメタン/メタノールを用いて生成物をシリカゲルカラム上でクロマトグラフした。これにより、[2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリミジン−4−イル−アミンがベージュの結晶として生じた。HPLC−MS:1.72min、[M+H]386。
【0317】
【表15】

【0318】
以下の化合物を同様に製造した
[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−[1,3,5]トリアジン−2−イル−アミン(18番)
【0319】
【表16】

【0320】
[2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−[1,3,5]トリアジン−2−イル−アミン(44番)
【0321】
【表17】

【0322】
[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリミジン−4−イル−アミン(49番);HPLC−MS:1.18min、[M+H]315;
ピリミジン−4−イル−[2−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−アミン(50番);HPLC−MS:1.56min、[M+H]354。
【0323】
例7:得られた[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン(35番)および[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン(36番)の合成
【0324】
【化50】

【0325】
10.6g(54.7mmol)の3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールの100mlのアセトニトリル溶液に、17.8g(54.7mmol)の炭酸セシウムを添加し、混合物を周囲温度で70hrs撹拌した。反応混合物を濾過し、残渣をアセトニトリルで洗浄した。合わせた濾液を蒸発させ、tert.ブチルメチルエーテルに入れた。溶解していない材料を濾過して取り出し、濾液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させた。1−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールと1−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールの混合物を無色のゆっくりと結晶化する油として得た。
【0326】
2.99g(15.0mmol)の2,4−ジクロロ−[1,8]ナフチリジン、3.12g(15.0mmol)のステップ1からの生成混合物と1.51g(18.0mmol)の炭酸水素ナトリウムの30mlのDMFと15mlの水の溶液を窒素下で80℃まで加熱した。次いで、526mg(0.75mmol)のビス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)−クロリドを添加し、混合物を80℃で16hrs撹拌した。反応混合物をジクロロメタンと水に分配した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ジクロロメタン/メタノール中で生成物をシリカカラムでクロマトグラフした。2種の異性体を得た。
【0327】
淡黄色の粉末としての4−クロロ−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−[1,8]ナフチリジン(HPLC−MS:[M+H]245)
【0328】
【表18】

【0329】
淡黄色の粉末としての4−クロロ−2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−[1,8]ナフチリジン(HPLC−MS:[M+H]245)。
【0330】
【表19】

【0331】
122mg(0.50mmol)の4−クロロ−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−[1,8]ナフチリジンと52mg(0.55mmol)の4−アミノピリジンの2.5mlのジオキサンスラリーを窒素下で80℃まで加熱した。次いで、118mg(1.05mmol)のカリウムtert.−ブチレートを添加し、混合物を80℃で18時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンと水に分配した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させ、生成物をtert.ブチルメチルエーテルから結晶化させた。[2−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミンを無色の結晶として得た。HPLC−MS:[M+H]303。
【0332】
【表20】

【0333】
以下の化合物を同様に製造した。
【0334】
無色の結晶としての[2−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン;HPLC−MS:[M+H]303。
【0335】
【表21】

【0336】
例8a:{4−[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イルアミノ]−ピリミジン−2−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(51番)の合成
【0337】
【化51】

【0338】
40mlのtert.−ブタノール中で、3.48mlのDIPEAの存在下、周囲温度で6hrs、1gの市販の2,4−ジアミノピリミジンを1.5gのBOC2Oで処理した。蒸発後、生成物を水から酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。石油エーテル:エーテル3:1(体積)による温浸および乾燥後、849mgの(4−アミノ−ピリミジン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを白色の粉末として得、そのRは約1.08minであり、M+Hの正確な質量は約211であった。
【0339】
【化52】

【0340】
444mgのCsCO、13mgのPd(dba)および16mgのxantphosを含有する8mlのジオキサン中の200mgの4−クロロ−2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン(例1を参照)と143mgの(4−アミノ−ピリミジン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを、アルゴンガス下、80℃で16hrsインキュベートした。蒸発乾固後、DCM中のMeOH勾配を用いて粗試料をSiOでフラッシュした。プールした画分を完全に乾燥させ、エーテルで温浸して、88mgの生成物{4−[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イルアミノ]−ピリミジン−2−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルを白色の粉末として得、そのRtは約1.80分であり、正確な質量の実測値M+Hは約467であった。
【0341】
例8b:N4−[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリミジン−2,4−ジアミン(52番)の合成
【0342】
【化53】

【0343】
88mgの{4−[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イルアミノ]−ピリミジン−2−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(例8aを参照)を、周囲温度で4時間、6mlのジオキサン中4m HClで処理した。蒸発後、生成物をエーテルで温浸(digerated)し、濾過により単離して、57mgのN4−[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリミジン−2,4−ジアミンを塩酸塩として得、そのRは約1.36minであり、正確な質量の実測値M+Hは約367であった。
【0344】
例9:N−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリミジン−4,6−ジアミン(55番)の合成
【0345】
【化54】

【0346】
例8と同様に、174mgの4−クロロ−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−[1,8]ナフチリジンおよび143mg(6−アミノ−ピリミジン−4−イル)−カルバミン酸tert.−ブチルエステルから標的化合物を合成して、粗生成物を得、これを水性TFAで処理して、BOCを脱保護し、(0.3%TFA中のアセトニトリル勾配によるGemini RP18カラム上での逆相クロマトグラフィー後)単離生成物N−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリミジン−4,6−ジアミンを得、そのRは約1.18分であり、正確な質量の実測値M+Hは約330であった。
【0347】
(6−アミノ−ピリミジン−4−イル)−カルバミン酸tert.−ブチルエステルの代わりに4,6−ジアミノピリミジンを使用することにより、保護戦略なしで同じ化合物を得ることができる。
【0348】
例10:4−[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イルアミノ]−N−メチル−ニコチンアミドの合成
444mgのCsCO、13mgのPd(dba)および16mgのxantphosを含有する8mlのジオキサン中の、200mgの4−クロロ−2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジンと104mgのメチル4−アミノニコチネートを、アルゴンガス下、90℃で8時間、インキュベートした。蒸発乾固後、DCM中のMeOH勾配を用いて粗試料をSiOでフラッシュした。プールした画分を蒸発させて、28mgの生成物4−[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イルアミノ]−ニコチン酸メチルエステルを得、そのRは約1.60minであり、正確な質量の実測値M+Hは約409であった。
【0349】
14.4mgの4−[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イルアミノ]−ニコチン酸メチルエステルを、40℃で5min、次いで、周囲温度で16時間、250μlのエタノール中の33%メチルアミンで処理した。蒸発後、生成物をエーテルで温浸し、乾燥させて、15.7mgの4−[2−(5−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イルアミノ]−N−メチル−ニコチンアミドを黄色がかった粉末として得、そのRは約1.47minであり、正確な質量はM+Hは約408であった。
【0350】
例11:{4−[2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−メタノールの合成
299mgのCsCO、8mgのPd(dba)および10mgのxantphosを含有する6mlのジオキサン中の150mgの4−クロロ−2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジンと57mgの4−アミノ−3−ヒドロキシメチルピリジンを、アルゴンガス下、90℃で18時間インキュベートした。蒸発乾固後、DCM中のMeOH勾配を用いて粗試料をSiOでフラッシュした。プールした画分を蒸発させて、59mgの生成物{4−[2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−メタノールを得、そのRは約1.48minであり、正確な質量の実測値M+Hは約415であった。
【0351】
例12:1−[2−(2−フルオロ−5−クロロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オンおよび/または[2−(2−フルオロ−フェニル)−[1,8]ナフチリジン−4−イル]−ピリジン−4−イル−アミン(10番)の合成
先の例を参照しながら、以下のスキームに従って前記化合物を類似の方法で得た。
【0352】
【化55】

【0353】
任意の例1〜12に従って類似の方法で得ることができるさらなる化合物は、上記表1に示している。
【0354】
例13:TGF−β受容体Iキナーゼ阻害剤を試験するための細胞アッセイ
一例として、TGF−β媒介成長阻害を排除する該阻害剤の能力を試験した。肺上皮細胞系MvlLuの細胞を規定の細胞密度で96ウェルマイクロタイタープレートに播種し、標準的条件下で終夜培養した。翌日、該媒体を、0.5%のFCSおよび1ng/mLのTGF−βを含む媒体と取り替え、一般に5倍ステップの希釈系列の形態で規定の濃度の試験物質を添加した。溶媒DMSOの濃度は0.5%で一定であった。さらに2日後、細胞のクリスタルバイオレット染色法を実施した。固定細胞からのクリスタルバイオレットの抽出後、550nmで分光光度計により吸収量を測定した。これは、存在している付着細胞、したがって培養の間の細胞増殖の定量的尺度として使用することができた。
【0355】
例14:TGF−βが媒介する効果の阻害剤による阻害効力を決定するためのin−vitro(酵素)アッセイ
該キナーゼアッセイは、384ウェルフラッシュプレートアッセイとして実施した。31.2nMのGST−ALK5、439nMのGST−SMAD2および3mMのATP(0.3μCiの33P−ATP/ウェル)を、合計で35μlの体積(20mMのHEPES、10mMのMgCl、5mMのMnCl、1mMのDTT、0.1%のBSA、pH7.4)とし、試験物質を含まない状態または試験物質(5〜10濃度)を含む状態で、30℃で45minインキュベートした。25μlの200mM EDTA溶液を使用して反応を停止し、30min後に室温で吸引により濾過し、各ウェルを100μlの0.9%のNaCl溶液で3回洗浄した。放射活性をTopCountで測定した。RS1を使用してIC50値を算出した。結果は表1に示す。上下において、全ての温度は、℃単位で示した。
【0356】
例15:医薬調製物
(A)注射用バイアル:100gの本発明の活性成分と5gのリン酸水素二ナトリウムの3lの再蒸留水溶液を、2N塩酸を使用して調整してpH6.5とし、滅菌濾過し、注射バイアルに移し、無菌条件下で冷凍乾燥させ、無菌条件下で密封した。各注射用バイアルは、5mgの活性成分を含有していた。
【0357】
(B)坐剤:20gの本発明の活性成分の混合物を100gのダイズレシチンおよび1400gのカカオバターと共に溶解し、型に注入し、冷却させた。各坐剤は、20mgの活性成分を含有していた。
【0358】
(C)溶液:940mLの再蒸留水中で、1gの本発明の活性成分、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから溶液を調製した。pHを調整して6.8とし、溶液を調製して1lとし、照射により滅菌した。この溶液は、点眼薬の形態で使用することができる。
【0359】
(D)軟膏:500mgの本発明の活性成分を無菌条件下で99.5gのワセリンと混合した。
【0360】
(E)錠剤:1kgの本発明の活性成分、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクと0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、各錠剤が10mgの活性成分を含有するように従来の方法で圧縮して錠剤とした。
【0361】
(F)コーティング錠:錠剤を例Eと類似の方法で圧縮し、その後、従来の方法でスクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料のコーティングでコーティングした。
【0362】
(G)カプセル:2kgの本発明の活性成分を、各カプセルが20mgの活性成分を含有するように従来の方法で硬質のゼラチンカプセルに導入した。
【0363】
(H)アンプル:1kgの本発明の活性成分の60lの再蒸留水溶液を滅菌濾過し、アンプルに移し、無菌条件下で冷凍乾燥させ、無菌条件下で密封した。各アンプルは10mgの活性成分を含有していた。
【0364】
(I)吸入スプレー:14gの本発明の活性成分を10lの等張NaCl溶液に溶解し、該溶液を市販のスプレー容器にポンプ機構で移した。該溶液は、口または鼻にスプレーすることができた。1回のスプレーショット(約0.1ml)は、約0.14mgの用量に相当した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物
(式中、
W1、W5、W6は、互いに独立してNまたはCHを示し、
W2は、NをまたはCR6示し、
W3は、NまたはCR5を示し、
但し、W1、W2、W3、W5およびW6のうちの少なくとも1つはNを示し、
Xは、NR1、Alk、O、SまたはC=R1を示し、
R1は、H、AまたはCycを示し、
R5は、H、A、Hal、OY、CN、−Alk−OY、COOY、−CO−NYY、SA、SOA、NYY、−OAlk−OY、−OAlk−NYY、−OAlk−NY−COOY、−OAlk−Het、NO、−NH−Alk−COOY、−NH−CO−Alk−OY、−NH−CO−Alk−OCOY、−NH−CO−Alk−NYY、−NH−CO−NYY、−NH−CO−Het、−NY−COOY、−NY−SOY、−NH−SO−NYY、−NH−Het、−NH−R2、−NY−CO−R2、−NY−CO−NY−R2、−NY−COO−R2、−NY−SO−R2、−NY−SO−NY−R2、−OAr、−NY−Ar、−OHet、NY−Het、−CO−NYY−NYY、−CO−Hetまたは−CO−NH−Alk−Hetを示し、
R1、R5は、また、一緒になって、−CH=CH−、−C(Y)=N−、−N=C(Y)−、−C(COY)=N−、−C(CO−R2)=N−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SO−NH−、−NH−SO−、=CH−NH−CO−、−CH−N(Alk−Het)−CO−、−CH=C(NO)−または−CH=C(Hal)−を示し、
R6は、H、A、Hal、OY、CN、−Alk−OY、COOY、−CO−NYY、NYY、−NY−COOY、−NH−Alk−NYY、−NH−COA、−NH−CO−Alk−NYY、−NH−Het、Het、−OAr、−NY−Ar、−OHet、NY−Het、Het、−NH−SOY、−NH−Cyc、−NH−Het、−NH−Alk−Het、−NH−Alk−OY、−NH−CO−NYY、−NH−CO−Het、−CO−NH−Het、−NH−CO−Alk−OY、−NH−CO−Alk−Het、−CO−NH−Alk−Het、−NH−CO−Alk−NH−COOYまたは−CO−NH−Alk−NYYを示し、
R2は、5〜8個のC原子を有する単環式カルボアリールあるいは2〜7個のC原子ならびに1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式ヘテロアリールを示し、これらはそれぞれ、A、Hal、CN、NYY、OY、=Oの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
R3、R4は、互いに独立して、H、A、Hal、CN、NYY、OY、−OAlk−NYY、−OAlk−OYを示し、
Yは、HまたはAを示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分岐または分枝鎖アルキルを示し、
その中の1〜7個のH原子は、Halにより置き換えられていてもよく、
Cycは、3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを示し、
その中の1〜4個のH原子は、互いに独立して、A、Halおよび/またはOYにより置き換えられていてもよく、
Alkは、1〜6個のC原子を有するアルキレンを示し、
その中の1〜4個のH原子は、互いに独立して、Halおよび/またはCNにより置き換えられていてもよく、
Arは、6〜10個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族、単環式または二環式炭素環を示し、
これは、Het、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、−Alk−Het、−OAlk−Het、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
Hetは、2〜7個のC原子ならびに1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式ヘテロアリールを示し、
これは、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
Hetは、2〜9個のC原子および1〜4個のN原子を有する二環式ヘテロアリールを示し、
これは、R2、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
Hetは、2〜7個のC原子ならびに1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する飽和単環式複素環を示し、
これは、A、Hal、OY、COOY、−Alk−OY、−Alk−SO、NYY、−CO−NYY、−SONYY、CNの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す)
および/または生理学的に許容されるその塩。
【請求項2】
W1が、NまたはCH、好ましくはNを示し、
W2が、CR6を示し、
W3が、NまたはCR5、好ましくはCR5を示し、
W5が、NまたはCH、好ましくはCHを示し、
W6が、CHを示す
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R5が、H、A、OA、CN、−Alk−OY、COOY、−CO−NYY、NYY、−OAlk−OY、−OAlk−NYY、−OAlk−Het、−NH−CO−Alk−NYY、Hal、−CO−NYY−NYYまたは−CO−NH−Alk−Het
好ましくはH、OA、CN、−Alk−OH、COOA、−CO−NHA、NH、−OAlk−OY、−OAlk−NAA、−OAlk−Het、−NH−CO−Alk−NAA、Cl、−CO−NHA−NAAまたは−CO−NH−Alk−Hetを示し、
または
R1、R5が、また、一緒になって、−CH=CH−、−CO−NH−、−SO−NH−、−N=C(Y)−、−CH=C(NO)−または−CH=C(Hal)−;
好ましくは−CH=CH−、−N=C(H)−または−CH=C(Br)−を示す、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R6が、H、A、OA、NH、−NH−COA、−CO−NHA、Hal、NAA、−NH−CO−Alk−NYY、−NH−Alk−Het、−NH−CO−NH、−NH−CO−Het、−CO−NH−Het、−NH−CO−Alk−OHまたは−NH−CO−Alk−NH−COOAを示す、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
R2が、フェニル、ピリジル、ピラゾリルまたはピラジニルを示し、これらは、それぞれ、F、Cl、Br、CH、CF、CN、OCH、OCFの群から選択される少なくとも1個の置換基により一、二または三置換されていてもよい、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
部分式(II)
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物
(式中、
W1、W5は、互いに独立してNまたはCHを示し、
W3は、NまたはCR5を示し、
但し、W1、W3およびW5のうちの少なくとも1つはNを示し、
R1、R3、R4は、互いに独立してHまたはAを示し、
R5は、H、A、OA、CN、−Alk−OY、COOY、−CO−NYY、NYY、−OAlk−OY、−OAlk−NYY、−OAlk−Het、−NH−CO−Alk−NYY、Hal、−CO−NYY−NYYまたは−CO−NH−Alk−Hetを示し、
R1、R5は、また、一緒になって、−CH=CH−、−CO−NH−、−SO−NH−、−N=C(Y)−、−CH=C(NO)−または−CH=C(Hal)−を示し、
R6は、H、A、OA、NH、−NH−COA、−CO−NHA、Hal、NAA、−NH−CO−Alk−NYY、−NH−Alk−Het、−NH−CO−NH、−NH−CO−Het、−CO−NH−Het、−NH−CO−Alk−OHまたは−NH−CO−Alk−NH−COOAを示し、
R2は、フェニル、ピリジル、ピラゾリルまたはピラジニルを示し、これらは、それぞれ、F、Cl、Br、CH、CF、CN、OCH、OCFの群から選択される少なくとも1個の置換基により一、二または三置換されていてもよく、
Yは、HまたはAを示し、
Aは、1〜4個のC原子を有する非分岐または分枝鎖アルキルを示し、その中の1〜5個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
Alkは、1〜3個のC原子を有するアルキレンを示し、
Hetは、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ピペリドン、モルホリノンまたはピロリドンを示し、これは、A、Hal、COOYまたはNYYにより一置換されていてもよく、
Halは、F、ClまたはBrを示す)
および/または生理学的に許容されるその塩。
【請求項7】
【化3−1】

【化3−2】

【化3−3】

【化3−4】

【化3−5】

【化3−6】

【化3−7】

【化3−8】

の群から選択される請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、
および/または生理学的に許容されるその塩。
【請求項8】
(a)式(IV)
【化4】

の化合物
(式中、R7は、Hal、OYまたはNYYを示し、
R2、R3、R4、HalおよびYは、請求項1に記載の意味を有する)
を、式(V)
【化5】

の化合物
(式中、一緒になったR1とR5は除外されるという条件下で、X、R1、W1、W2、W3、W5およびW6は、請求項1に記載の意味を有する)
と反応させて、式(I)
【化6】

の化合物
(式中、一緒になったR1とR5は除外されるという条件下で、X、R1、R2、R3、R4、W1、W2、W3、W5およびW6は、請求項1に記載の意味を有する)
を得るステップと、
場合により
(b)式(I)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む式(I)の化合物の製造方法。
【請求項9】
式(IV)
【化7】

の中間化合物
(式中、
R2は、(i)R7がOYである場合、非置換フェニルは除外されるおよび(ii)R7がNYYである場合、非置換ピリジルは除外されるという条件下で、
フェニルまたはピリジルを示し、
これらはそれぞれ、A、Hal、CN、NYY、OY、=Oの群から選択される少なくとも1個の置換基により置換されていてもよく、
R3、R4は、互いに独立して、H、A、Hal、CN、NYY、OY、−OAlk−NYY、−OAlk−OYを示し、
R7は、Hal、OYまたはNYYを示し、
Yは、HまたはAを示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分岐または分枝鎖アルキルを示し、
その中の1〜7個のH原子は、Halにより置き換えられていてもよく、
Alkは、1〜6個のC原子を有するアルキレンを示し、
その中の1〜4個のH原子は、互いに独立して、Halおよび/またはCNにより置き換えられていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示す)
および/または生理学的に許容されるその塩。
【請求項10】
【化8】

の群から選択される請求項9に記載の化合物、
および/または生理学的に許容されるその塩。
【請求項11】
(a)それぞれが請求項9に記載の意味を有するR2により置換されている、ボロン酸、ボロン酸エステル、有機スズおよびボロントリフレートの群から選択される化合物を、式(XI−A)
【化9】

の化合物
(式中、R3、R4、R7およびHalは、請求項9に記載の意味を有する)
と反応させて、式(IV)
【化10】

の化合物
(式中、R2、R3、R4およびR7は、請求項9に記載の意味を有する)
を得るステップと
場合により
(b)式(IV)の化合物の塩基または酸をその塩に転換するステップと
を含む式(IV)の中間化合物の製造方法。
【請求項12】
ATPを消費するタンパク質、好ましくはTGF−β受容体キナーゼを阻害するための請求項1〜7のいずれかに記載の化合物および/または生理学的に許容されるその塩の使用であって、前記化合物のIC50は1μM未満、好ましくは0.1μM未満である使用。
【請求項13】
少なくとも1種の請求項1〜7のいずれかに記載の化合物および/または生理学的に許容される塩を含む薬剤。
【請求項14】
医薬として許容されるアジュバントと共に、場合により(1)エストロゲン受容体修飾剤、(2)アンドロゲン受容体修飾剤、(3)レチノイド受容体修飾剤、(4)細胞毒性剤、(5)抗増殖剤、(6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、(7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、(8)HIVプロテアーゼ阻害剤、(9)リバーストランスクリプターゼ阻害剤および(10)さらなる血管新生阻害剤の群から選択される少なくとももう1つの活性成分と組み合わせて、有効量の少なくとも1種の請求項1〜7のいずれかに記載の化合物および/または生理学的に許容されるその塩を活性成分として含む医薬組成物。
【請求項15】
がん、腫瘍成長、転移成長、線維症、再狭窄、HIV感染、神経変性障害、アテローム性動脈硬化、炎症、創傷治癒、血管新生、心血管系、骨、CNSおよび/またはPNSの障害の群から選択される疾患の予防的または治療的処置および/またはモニタリングにおいて使用するための請求項1〜7のいずれかに記載の化合物および/または生理学的に許容されるその塩。

【公表番号】特表2013−520453(P2013−520453A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554233(P2012−554233)
【出願日】平成23年1月10日(2011.1.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000054
【国際公開番号】WO2011/101069
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】