説明

ヘッジトリマ

【課題】
芝の剪定の仕上げ効率を向上させるヘッジトリマを提供する。
【解決手段】
回転動力源の回転力をブレード4の往復運動に変換する偏心カムを有するヘッジトリマ1において、芝の刈り込み高さを段階的に変更する調整機構たるアタッチメント10を備えた。アタッチメント10は本体部とは別体であって着脱可能に構成され、本体部又はアタッチメント10に複数の嵌合部5a〜5cと12a〜12cのそれぞれ1つを選択的に嵌合させることによって、本体部への装着位置を複数段階に変更可能とした。アタッチメント10と地面と接する範囲は、ブレード4の先から本体部の後端付近までとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庭木や生垣の刈り込み等に用いられるヘッジトリマに関し、特に刈り込み高さの調整機構をもうけたヘッジトリマに関する。
【背景技術】
【0002】
庭木や生垣の刈り込みをするための工具として特許文献1のようなヘッジトリマが広く用いられている。従来のヘッジトリマを用いて芝を剪定する際、芝の刈り込み高さを調整するためには、ブレードが所望の高さになるように、ヘッジトリマ本体を持ち上げて作業しなければならず、芝の刈り込み高さを完全に一定に揃えるのは容易ではなかった。芝を一定の高さで剪定するには、高さ調整付の芝生バリカンまたは芝刈機を別途用意することが好ましいが、芝の植生面積が少なくてヘッジトリマで刈り込みをすませたいというような作業者にとっては、芝刈機等を別途用意することは大きな経済的負担となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−081891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、これらの課題を解決するため、庭木や生垣を剪定するヘッジトリマにおいて、芝の刈り込み作業時に本体底面からブレードまでの高さを変更可能として刈り込み高さの調整ができるように構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のヘッジトリマは、刈り込み高さを段階的に又は連続的に調整できる調整機構を設けたことを特徴とする。この調整機構は、本体と別体のアタッチメント方式にて刈り込み高さの調整機構を実現し、ヘッジトリマの本体部およびブレードに設けた複数の嵌合部と選択的に嵌合させることによって、本体へのアタッチメントの装着位置(刈り込み高さに相当)を切り替え可能にした。ヘッジトリマは、アタッチメントが地面と接する範囲をブレードの先からヘッジトリマのハウジングの後端部までとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載のヘッジトリマによれば、芝の刈り込み高さ調整する機能を有するので、刈り込み高さを一定に仕上げるために道具を別途用意しなくとも、刈り込み高さの均一化と作業性を向上させることができる。
【0007】
請求項2に記載のヘッジトリマによれば、本体への装着位置を切り替え可能としたことで、任意で芝の刈り込み高さを調整することができ、高さを調節する必要のない庭木や生垣を剪定するときには、アタッチメントを取り外すことによって通常のトリミング作業を行うことができる。
【0008】
請求項3に記載のヘッジトリマによれば、アタッチメントが地面と接する範囲が広いため、作業時にブレードが傾いたりせずに、刈り込み高さを均一に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係るヘッジトリマ1の側面図である。
【図2】本発明の実施例に係るヘッジトリマ1の正面図である。
【図3】図1のアタッチメント10単体の全体形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
以下本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1に、本発明によるヘッジトリマの外観を示す。
【0011】
ヘッジトリマ1は、動力源である図示しないモータを収容するハウジング2にハンドル部2aを有し、ハウジング2の前方側には上下方向に延びるモータ収容部2bが設けられ、モータ収容部2bに回転軸が上下方向になるようにモータ(図示せず)が配置される。ハウジング2下端のベース部2cの前側からブレード4が前方側に延びる。ブレード4とベース部2cの接続部付近には、ブレード4にて切断されて飛散する枝葉等から作業者の手を保護するために、板状に形成されたプロテクタ6が設けられる。ブレード4はモータの回転軸に偏心カムを介して取り付けられており、ヘッジトリマ1の前後方向に往復動する2組の駆動刃4a、4bを有する。駆動刃4a、4bは延出方向に対して左右に刃がつけられており、互いに前後動する駆動刃4a、4bの間のせん断力により、ヘッジトリマ1を左方向又は右方向へスライドさせた時に進行方向前方の対象物を切断できる。このような構成のヘッジトリマ1において、作業者はハンドル部2aを把持し、ロックオフボタン9を左右どちらかに押すことでスイッチ3のロック状態が解除される。ロックが解除された状態でスイッチ3を引きながら、ブレード4によって、庭木や生垣の剪定や芝の刈り込みを行う。
【0012】
本発明によれば、ヘッジトリマ1には刈り込み高さ調整用のアタッチメント10が装着される。アタッチメント10は、図1のように側面視において開放部が上側を向いたコの字状の形状をしており、ヘッジトリマ1に着脱可能に構成される。アタッチメント10の装着の有無は、ヘッジトリマ1の動作自体には何ら影響を与えずに、作業者はアタッチメント10を取り付けた状態でトリミング作業を行うことができる。従って、アタッチメント10を取り外した状態では従来のヘッジトリマと同様にトリミング作業を行うこともできる。アタッチメント10の前号方向の長さは、少なくともブレード4の前端から後端付近まで覆うことが重要であるが、使い易さを考えると図1のようにブレード4の前端からハウジング2のベース部2cにかかるように、特に好ましくはベース部2cの後端まで覆うように形成すると良い。尚、本実施例では駆動刃を2組有する両刃駆動タイプであるが、4a又は4bのいずれかを固定刃とした片刃駆動タイプとしても良区、その場合であっても同様のアタッチメント10を用いることができる。
【0013】
ここで、図3を用いてアタッチメント10の形状を説明する。図3はヘッジトリマ1から取り外されたアタッチメント10の単体形状を示す斜視図である。アタッチメント10は、底面となるガイド部11と、前方側の上方向に垂直方向に立ち上がる前方壁12と、後方側の上方向に垂直方向に立ち上がる後方壁13の3つの主要部分を含んで構成される。ガイド部11は、ハウジング2のベース部2cの底面に対応する部分11bと、ブレード4の下側に位置し、底面が芝生等に接しながらトリミング作業をガイドする部分11aの2つの部分から形成される。ガイド部11は長手方向(前後方向)と垂直な断面形状がいわゆる皿形11cに形成され、アタッチメント10の底面が芝生上を横方向に移動しやすいように、底面から上側への立ち上がり部分を外側に傾斜するように斜めに形成し、芝生上のスライドさせたときに抵抗が少なくなるような形状とされる。ガイド部11のベース部2cの底面に対応する部分11bは、ハウジング2の左右方向の幅に対応させる幅とすると好ましい。一方、ガイド部11の前側の部分11aはブレード4の下側をガイドし、ブレード4と芝生との距離を一定に保持できれば十分であるので、部分11aの幅は部分11bの幅と比べて小さい幅とする。本実施例ではブレード4を保持するレール部材4c(図2で後述)の幅とほぼ同様程度とした。
【0014】
ガイド部11の前方側の接続される前方壁12の後面(ブレード4側の面)には、略直方体状の凹部であるアタッチメント嵌合部12a〜12cが構成される。ここでアタッチメント嵌合部は、一方に設けられた複数の凹部と他方に設けられた1つの凸部の組み合わせによって構成される。アタッチメント嵌合部12a〜12cは、直方体状に形成された凹部であってブレード4の先端を差し込むために形成されたものである。ブレード4の先端部は凸状であってアタッチメント嵌合部の役割を果たす。一方、アタッチメント10後方側の後方壁13の上端付近には、略直方体状であって前方側に突出するアタッチメント嵌合部13aが設けられる。こちらはアタッチメント側に凸部たるアタッチメント嵌合部13aを設けて、ハウジング2側に凹部たる複数のアタッチメント嵌合部5a〜5cが設けられる。本実施例ではアタッチメント10は、プラスチック等の合成樹脂の一体成形によって形成することができ、アタッチメント嵌合部の凹凸部への装着及び取り外しができる程度に適度な弾性力を有する。
【0015】
再び図1に戻る。アタッチメント10はブレード4及びハウジング2のベース部2cの下側に装着され、その前後長さはブレード4及びハウジング2のベース部2cを足した長さよりも、やや長く形成される。アタッチメント10の着脱は、アタッチメント嵌合部12a〜12cのいずれかにブレード4の先端を差し込み、アタッチメント嵌合部13aをハウジング2の後面側に設けられたアタッチメント嵌合部5a〜5cのいずれかにはめることにより行われる。この際、前側と後側のアタッチメント嵌合部の取り付け位置を合わせることが重要であって、アタッチメント嵌合部5aと12aが同時に利用され、同様にしてアタッチメント嵌合部5cと12cが同時に利用され、アタッチメント嵌合部5bと12bが同時に利用される。
【0016】
図2は本発明の実施例に係るヘッジトリマ1の正面図である。本実施例では、アタッチメント10のベース部2cの底面に対応する部分11bの幅W1は、ベース部2cの底面の幅Wよりもやや狭くした。また、アタッチメント10のブレード4をガイドする部分11aの幅W2は、駆動刃4a、4bを保持するレール部材4cとほぼ同じ幅とすると良い。しかしながら、幅W1、W2の関係はこれだけに限られずにその他のサイズに構成しても良いが、ブレード4による切断作業を阻害しないために、幅W2はブレードの幅よりも狭く構成することが重要である。ブレード4のレール部材4cは、アタッチメント嵌合部12a〜12cのいずれかに取り付けることができ、作業者は必要に応じてアタッチメント10を着脱し、嵌合位置を変えることでブレード4の切り込み位置とアタッチメント10のベース部2cの底面との距離を調整することができる。図2の状態では刈り込み高さが一番低い状態であり、刈り込み後の草の長さが短くなる。
【0017】
以上説明したように、本実施例のヘッジトリマ1にはアタッチメント10が設けられ、アタッチメント10を、ヘッジトリマ本体部(ベース部2c)およびブレード4に設けた複数の嵌合部と選択的に嵌合させることによって、ヘッジとリマ本体部への装着位置を切り替え可能としたので、芝の刈り込み高さを複数段の任意の高さに調整することができ、刈り込み高さをそろえたきれいな剪定が行える。また、アタッチメント10の地面に接する面積が広いため、ブレード4が傾いたりせずに芝を均一的に剪定できる。さらに、アタッチメント10は取り外しが可能であり、アタッチメント10を外した状態で庭木や生垣を剪定することができるので、従来のヘッジトリマ1と同様の使い方もすることができる。
【0018】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、アタッチメント10の形状や材質は上述の実施例の形状に限られずに、その他の材質を用いてその他の形状としても良い。また、アタッチメント10の前後長をヘッジトリマ1の延長とほぼ同じとするだけでなく、ブレード4とほぼ同じ程度の長さのアタッチメントとしても良い。さらに、アタッチメント10とヘッジトリマ1との距離を段階的に設定する可能にしたが、蝶ネジ等の固定手段を用いて連続可変式に設定しても良い。
【符号の説明】
【0019】
1 ヘッジトリマ
2 ハウジング
2a ハンドル部
2b モータ収容部
2c ベース部
3 スイッチ
4 ブレード
4a、4b 駆動刃
4c レール部材
5a〜5c アタッチメント嵌合部
6 プロテクタ
8 電源コード
9 ロックオフボタン
10 アタッチメント
11 ガイド部
12 前方壁
12a〜12c アタッチメント嵌合部
13 後方壁
13a アタッチメント嵌合部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動力源の回転力をブレードの前後方向の往復運動に変換するヘッジトリマにおいて、
刈り込み高さ調整機構を備えたことを特徴とするヘッジトリマ。
【請求項2】
前記刈り込み高さ調整機構は前記ヘッジトリマの本体部とは着脱可能に構成されたアタッチメントであり、
前記アタッチメントを、前記本体部および前記ブレードに取り付けることを特徴とする請求項1に記載のヘッジトリマ。
【請求項3】
前記アタッチメントが地面と接する範囲をブレードの先から本体部の後端付近までとしたことを特徴とする請求項2に記載のヘッジトリマ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−111012(P2013−111012A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260003(P2011−260003)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】