説明

ヘッジホッグシグナル伝達のキノキサリン阻害剤

本発明は、悪性腫瘍を処置するための治療剤として有用なヘッジホッグシグナル伝達の新規の阻害剤を提供する。この化合物は一般式Iを有する[式中、Aは、炭素環又は複素環であり;Xは、アルキレン、NR4C(O)、NR4C(S)、NR4C(NH)、NR4SO、NR4SO2、NR4C(O)NH、NR4C(S)NH、C(O)NR4、C(S)NR4、C(NH)NR4、NR4PO又はNR4PO(OH){式中、R4はH又はアルキルである}Yは、N、CH又はCR3であり;R1は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、ハロアルキル又はアルコキシで任意に置換される、アルキル、シクロアルキル、アリール又は複素環から成る群から選択され;R2は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アシル又はアルコキシであり;R3は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アシル又はアルコキシであり;mは、0〜3であり;nは、0〜3であり;並びに、それらの塩及び溶媒和物である]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この非仮出願は、2004年4月30付けで出願された米国特許仮出願第60/566,843号に対する優先権を主張する。その全ての開示は、引用文献により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本発明は、哺乳動物における治療及び/又は予防に有用な有機化合物に関し、特にヘッジホッグシグナル伝達経路を阻害するキノキサリン化合物に関し、そして過剰増殖疾病及び血管形成介在疾病の処置において有用である。
【背景技術】
【0003】
ヘッジホッグ(Hh)タンパク質は、胚パターン形成に関するセグメントポラリティー遺伝子として、キイロショウジョウバエにおいて初めて同定された(Nusslein−Volhard他,Roux.Arch.Dev.Biol.193:267−282(1984))。ショウジョウバエヘッジホッグの3つのオルソログ(ソニック、デザート及びインディアン)が、その後同定され、魚、トリ及び哺乳動物を含む全ての脊椎動物において生じる。デザートヘッジホッグ(DHh)は、マウスの胚発生並びに成体齧歯動物及びヒトの双方において、主に精巣で発現し;インディアンヘッジホッグ(IHh)は、胚発生の間の骨発達及び成体における骨形成に関連し;そして、ソニックヘッジホッグ(SHh)は、脊索及び発達する脊椎動物の胚のフロアプレート(floor plate)において高いレベルで発現する。インビトロでの外植片試験及び遺伝子組み換え動物におけるSHhの異所性発現は、SHhがニューロンチューブパターン形成において重要な役割を果たすことを示した(Echelard他,supra.;Ericson他,Cell 81:747−56(1995);Marti他,Nature 375:322−5(1995);Krauss他,Cell 75,1432−44(1993);Riddle他,Cell 75:1401−16(1993);Roelink他,Cell 81:445−55(1995);Hynes他,Neuron 19:15−26(1997))。Hhは、肢(Krauss他,Cell 75:1431−44(1993);Laufer他,Cell 79,993−1003(1994))、体節(Fan and Tessier−Lavigne,Cell 79,1175−86(1994);Johnson他,Cell 79:1165− 73(1994))、肺(Bellusci他,Develop.124:53−63(1997))、及び皮膚(Oro他,Science 276:817−21(1997))の発達においても役割を果たす。同様に、IHh及びDHhは、骨、腸及び胚の細胞発達に関連する(Apelqvist他,Curr.Biol.7:801−4(1997);Bellusci他,Dev.Suppl.124:53−63(1997);Bitgood他,Curr.Biol.6:298−304(1996);Roberts他,Development 121:3163−74(1995))。
【0004】
ヒトSHhは、正常なヘッジホッグシグナル伝達活性に関与する20kDaのN末端フラグメント;及びN末端フラグメントがコレステロール部分と複合する、オートプロセシング活性に関与する25kDaC末端フラグメントを自己触媒開裂によりもたらす、45kDaの前駆体タンパク質として合成される(Lee,J.J.,他(1994) Science 266,1528− 1536;Bumcrot,D.A..他(1995),MoI.Cell Biol.15,2294−2303;Porter,J.A.,他(1995)Nature 374,363−366)。N末端フラグメントは、C末端でコレステロールを通して膜に結合した、完全長前駆体配列のアミノ酸残基24〜197から成る(Porter,J.A.,他(1996)Science 274,255−258;Porter,J.A.,他(1995)Cell 86,21−34)。コレステロール複合体は、ヘッジホッグシグナルの組織局在に関与する。
【0005】
細胞表面では、Hhシグナルは、12膜貫通ドメインタンパク質Patched(Ptc)(Hooper and Scott,Cell 59:751−65(1989);Nakano他,Nature 341:508−13(1989))、及びGタンパク質結合様受容体Smoothened(Smo)(Alcedo他,Cell 86:221-232(1996);van den Heuvel and Ingham,Nature 382:547−551(1996))により中継されていると考えられる。遺伝学的及び生化学的証拠の双方は、Ptch及びSmoが多成分受容体複合体の一部である受容体モデルを支持する(Chen and Struhl,Cell 87:553−63(1996);Marigo他,Nature 384:176−9(1996);Stone他,Nature 384:129−34(1996))。HhのPtchへの結合では、Smo上でのPtchの正常な阻害効果は解放され、Smoが原形質膜を横切るHhシグナルを変換するのを可能にする。しかし、PtchがSmo活性を制御する厳密な機構は、いまだ明らかにされていない。
【0006】
Smoにより開始されるシグナル伝達カスケードは、核に移行するGli転写因子の活性化をもたらし、それらは標的遺伝子の転写を制御する。Gliは、ネガティブフィードバックループにおいて、Ptc及びHip1などのHh経路阻害剤の転写に影響することが示され、これはHh経路活性の厳密な制御が適切な細胞分化及び器官形成に必要であることを示している。Hhシグナル伝達経路の制御されていない活性化は、悪性腫瘍、特に脳、皮膚及び筋肉並びに血管形成のものと関連している。これに対する説明は、Hh経路が、G1−S移行に関連するサイクリンDなどの細胞周期進行に関連する遺伝子の活性化により、成体における細胞増殖を制御することが示されたことである。また、SHhは、p21(サイクリン依存性キナーゼの阻害剤)により介在される細胞周期の停止をブロックする。増殖に関連するEGFR経路における要素(EGF、Her2)、並びに血管形成に関連するPDGF(PDGFα)及びVEGF経路における要素を誘導することにより、Hhシグナル伝達は更に癌に関わる。Ptch遺伝子における機能変異の欠損は、基底細胞母斑症候群(BCNS)(多重基底細胞癌(BCC)により特徴付けられる遺伝性疾病)を有する患者において同定された。機能不全Ptch遺伝子変異は、散発性基底細胞癌腫瘍の高いパーセンテージにも関連していた(Chidambaram他,Cancer Research 56:4599−601(1996);Gailani他,Nature Genet.14:78−81(1996);Hahn他.Cell 85:841−51(1996);Johnson他,Science 272:1668−71(1996);Unden他,Cancer Res.56:4562−5:Wicking他.Am.J.Hum.Genet.60:21−6(1997))。Ptch機能の欠損は、基底細胞癌における制御されないSmoシグナル伝達を引き起こすと考えられる。同様に、Smo変異体の活性化は、散発性BCC腫瘍において同定され(Xie他,Nature 391:90−2(1998))、これはSHhのための受容体複合体におけるシグナル伝達サブユニットとしてSmoの役割を強調する。
【0007】
シクロパミン(G0−G1で細胞周期を停止し、SCLCにおいてアポトーシスを誘導することが示された、天然のアルカロイド)などの、ヘッジホッグシグナル伝達の様々な阻害剤が研究された。シクロパミンは、そのヘプタヘリカルバンドル(heptahelical bundle)に結合することによりSmoを阻害すると信じられている。ホルスコリンは、Gli転写因子を不活性に保つタンパク質キナーゼA(PKA)を活性化することにより、SmoからHh経路の下流を阻害することが示された。これらの及び他の化合物の有利性にもかかわらず、ヘッジホッグシグナル伝達経路の有力な阻害剤への必要性が依然として存在する。
【発明の開示】
【0008】
本発明の要約
本発明の1つの側面において、一般式(I)を有する新規のヘッジホッグ阻害剤を提供する
【化1】

[式中、
Aは、炭素環又は複素環であり;
Xは、アルキレン、NR4C(O)、NR4C(S)、NR4C(NH)、NR4SO、NR4SO2、NR4C(O)NH、NR4C(S)NH、C(O)NR4、C(S)NR4、C(NH)NR4、NR4PO又はNR4PO(OH){式中、R4はH又はアルキルである}
Yは、N、CH又はCR3であり;
1は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、ハロアルキル又はアルコキシで任意に置換される、アルキル、シクロアルキル、アリール又は複素環から成る群から選択され;且つ、当該シクロアルキル、アリール及び複素環は、任意に−(CH2s−(Q)u−(CH2t−Z{式中、Qは、C(O)、S(O)、SO2、C(O)O、OC(O)、NR4C(O)、NR4C(S)、NR4SO、NR4SO2、NR4C(O)NH、NR4C(S)NH、C(O)NR4、又はC(S)NR4で更に置換され};且つ、Zは、ヒドロキシル、アミノ、ハロゲン、アルキルスルホニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルキル、炭素環、複素環、或いはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ若しくはアルコキシアルコキシで置換された炭素環又は複素環であり;且つ、s及びtは独立して0〜5であり、uは0又は1であり;
2は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アシル又はアルコキシであり;
3は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アシル又はアルコキシであり;mは、0〜3であり;
nは、0〜3であり;
並びに、それらの塩及び溶媒和物である]。
【0009】
本発明の別の側面において、式Iの化合物及び担体、希釈剤又は賦形剤を含んで成る組成物を提供する。
【0010】
本発明の別の側面において、有効量の式Iの化合物を、癌の処置を必要としている哺乳動物に投与することを含んで成る、癌を処置するための方法を提供する。
【0011】
本発明の別の側面において、細胞を式Iの化合物と接触させることを含んで成る、細胞におけるヘッジホッグシグナル伝達を阻害するための方法を提供する。
【0012】
本発明の別の側面において、有効量の式Iの化合物を哺乳動物に投与することを含んで成る、哺乳動物におけるヘッジホッグシグナル伝達に関連する疾患又は症状を処置するための方法を提供する。
【0013】
好ましい実施態様の詳細な説明
定義:
「アシル」は、Rがアルキル、炭素環、複素環、炭素環アルキル又は複素環アルキル(ここで、アルキル、炭素環及び複素環は、本明細書中で定義した通りである)である、式−C(O)−Rにより表される置換基を含むカルボニルを意味する。アシル基はとしては、アルカノイル(例えば、アセチル)、アロイル(例えば、ベンゾイル)、及びヘテロアロイルが挙げられる。
【0014】
「アルキル」は、分岐又は非分岐の、飽和又は不飽和(すなわち、アルケニル、アルキニル)脂肪族炭化水素基(特段の断りのない限り、最大12の炭素原子を有する)を意味する。別の用語(例えば、「アルキルアミノ」)の一部として用いる場合、アルキル部分は、飽和炭化水素鎖であることができるが、「アルケニルアミノ」及び「アルキニルアミノ」などの不飽和炭化水素鎖も含む。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ-ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、n−ヘプチル、3−ヘプチル、2−メチルヘキシルなどが挙げられる。「低級アルキル」、「C1〜C4アルキル」及び「1〜4の炭素原子のアルキル」という用語は同義であり、そして交換可能に用いられてメチル、エチル、1−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、1−ブチル、sec−ブチル又はt−ブチルを意味する。断りのない限り、置換アルキル基は、同一又は異なり得る、1、2、3又は4つの置換基を含むことができる。上記の置換アルキル基の例としては、シアノメチル、ニトロメチル、ヒドロキシメチル、トリチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、アミノメチル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、アルキルオキシカルボニルメチル、アリルオキシカルボニルアミノメチル、カルバモイルオキシメチル、メトキシメチル、エトキシメチル、t−ブトキシメチル、アセトキシメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ヨードメチル、トリフルオロメチル、6−ヒドロキシヘキシル、2,4−ジクロロ(n−ブチル)、2−アミノ(イソ−プロピル)、2−カルバモイルオキシエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、炭素環基で置換することもできる。例としては、シクロプルピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、及びシクロヘキシルメチル基、並びに対応する−エチル、−プロピル、−ブチル、−ペンチル、−ヘキシル基などが挙げられる。置換アルキルとしては、置換メチル、例えば「置換Cn〜Cmアルキル」基と同一の置換基により置換したメチル基が挙げられる。置換メチル基の例としては、ヒドロキシメチル、保護ヒドロキシメチル(例えば、テトラヒドロピラニルオキシメチル)、アセトキシメチル、カルバモイルオキシメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、カルボキシメチル、ブロモメチル及びヨードメチルなどの基が挙げられる。
【0015】
「アミジン」は、RがH又はアルキル又はアラルキルである、基−C(NH)−NHRを意味する。具体的なアミジンは、基−NH−C(NH)−NH2である。
【0016】
「アミノ」は、1級(すなわち、−NH2)、2級(すなわち、−NRH)及び3級(すなわち、−NRR)アミンを意味する。2級及び3級アミンとしては、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミン及びジアラルキルアミンが挙げられる。具体的な2級及び3級アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジイソプロピルアミンである。
【0017】
本明細書中で用いる場合、「アミノ保護基」は、反応が化合物上の他の官能基上で実施される間に、アミノ基をブロック及び保護するために一般的に用いる基の誘導体を指す。このような保護基の例としては、カルバメート、アミド、アルキル及びアリール基、イミン、並びに除去されて所望のアミン基を再生することのできる多くのN−ヘテロ原子誘導体が挙げられる。これらの基の更なる例は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,”Protective Groups in Organic Synthesis”,2nd ed.,John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY,1991,chapter 7;E.Haslam,”Protective Groups in Organic Chemistry”,J.G.W.McOmie,Ed.,Plenum Press,New York,NY,1973,Chapter 5,及びT.W.Greene,”Protective Groups in Organic Synthesis”,John Wiley and Sons,New York,NY,1981において見出される。「保護アミノ」という用語は、上記のアミノ保護基の1つで置換したアミノ基を指す。
【0018】
単独で又は別の用語の一部として用いられる場合の「アリール」は、指定された数の炭素原子、又は数が指定されていない場合は最大で14個の炭素原子を有する、縮合しているか否かを問わない、炭素環芳香族基を意味する。アリール基としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフタセニルなどが挙げられる(例えば、Lang’s Handbook of Chemistry(Dean,J.A.,ed)13th ed.Table7−2[1985]を参照)。特定の実施態様にいおては、アリールはフェニルであることができる。置換フェニル又は置換アリールは、特段の断りのない限り、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルキル(例えば、C1〜C6アルキル)、アルコキシ(例えば、C1〜C6アルコキシ)、ベンジルオキシ、カルボキシ、保護カルボキシ、カルボキシメチル、保護カルボキシメチル、ヒドロキシメチル、保護ヒドロキシメチル、アミノメチル、保護アミノメチル、トリフルオロメチル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロシクリルスルホニルアミノ、ヘテロシクリル、アリール、又は他の特定された基から選択される1、2、3、4又は5(例えば、1〜2、1〜3又は1〜4)の置換基で置換されたフェニル基又はアリール基を意味する。これらの置換基中の1つの又は複数のメチン(CH)及び/又はメチレン(CH2)基は、次に、上記で示したのと同様の基で置換することができる。「置換フェニル」という用語の例としては、モノ−又はジ(ハロ)フェニル基、例えば2−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、4−クロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、3,4−ジブロモフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、2−フルオロフェニルなど;モノ−又はジ(ヒドロキシ)フェニル基、例えば4−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、2,4−ジヒドロキシフェニル、それらの保護ヒドロキシ誘導体など;ニトロフェニル基、例えば3−又は4−ニトロフェニル;シアノフェニル基、例えば4−シアノフェニル;モノ−又はジ(低級アルキル)フェニル基、例えば4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、4−(イソ−プロピル)フェニル、4−エチルフェニル、3−(n−プロピル)フェニルなど;モノ−又はジ(アルコキシ)フェニル基、例えば3,4−ジメトキシフェニル、3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、3−メトキシ−4−(1−クロロメチル)ベンジルオキシ−フェニル、3−エトキシフェニル、4−(イソプロポキシ)フェニル、4−(t−ブトキシ)フェニル、3−エトキシ−4−メトキシフェニルなど;3−又は4−トリフルオロメチルフェニル;モノ−又はジカルボキシフェニル又は(保護カルボキシ)フェニル基、例えば4−カルボキシフェニル、;モノ−又はジ(ヒドロキシメチル)フェニル又は(保護ヒドロキシメチル)フェニル、例えば3−(保護ヒドロキシメチル)フェニル又は3,4−ジ(ヒドロキシメチル)フェニル;モノ−又はジ(アミノメチル)フェニル又は(保護アミノメチル)フェニル、例えば2−(アミノメチル)フェニル又は2,4−(保護アミノメチル)フェニル;又は、モノ−もしくはジ(N−(メチルスルホニルアミノ))フェニル、例えば3−(N−メチルスルホニルアミノ)フェニルが挙げられるが、これらに限定されない。また、「置換フェニル」という用語は、置換基の異なる2置換フェニル基、例えば、3−メチル−4−ヒドロキシフェニル、3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、2−メトキシ−4−ブロモフェニル、4−エチル−2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル、2−ヒドロキシ−4−クロロフェニルなど、及び置換基の異なる3置換フェニル基、例えば、3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−6−メチルスルホニルアミノ、3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−6−フェニルスルホニルアミノ、及び置換基の異なる4置換フェニル基、例えば3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−5−メチル−6−フェニルスルホニルアミノを表す。置換フェニル基としては、2−クロロフェニル、2−アミノフェニル、2−ブロモフェニル、3−メトキシフェニル、3−エトキシ−フェニル、4−ベンジルオキシフェニル、4−メトキシフェニル、3−エトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、3−メトキシ−4−(1−クロロメチル)ベンジルオキシ−フェニル、3,4−ジエトキシフェニル、3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、3−メトキシ−4−(1−クロロメチル)ベンジルオキシ−フェニル、3−メトキシ−4−(1−クロロメチル)ベンジルオキシ−6−メチルスルホニルアミノフェニル基が挙げられる。縮合アリール環は、置換アルキル基と同じ方法において、本明細書中で特定された任意(例えば、1、2又は3)の置換基で置換することもできる。
【0019】
単独の及びカルボシクロアルキル基などの複合基中の部分として用いる場合の「カルボシクリル」、「炭素環式」、「炭素環」及び「カルボシクロ」は、飽和又は不飽和、芳香族又は非芳香族であることができ、且つ架橋することのできる、3〜14個の炭素原子(例えば、3〜7個の炭素原子)を有する単環式、二環式、又は三環式脂肪族環を指す。飽和炭素環基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロへキシル基が挙げられる。特定の実施態様において、炭素環基は、シクロプロピル及びシクロヘキシルである。別の特定の実施態様において、炭素環基はシクロヘキシルである。不飽和炭素環としては、芳香族、前に規定した例えばフェニルのような、例えばアリール基が挙げられる。「置換カルボシクリル」、「炭素環」及び「カルボシクロ」という用語は、「置換アルキル」基と同じ置換基により置換されたこれらの基を意味する。
【0020】
本明細書中で用いる場合、「カルボキシ保護基」は、反応が化合物上の他の官能基上で実施される間に、カルボン酸基をブロック又は保護するために一般的に用いるカルボン酸基のエステル誘導体の1つを指す。このようなカルボン酸保護基の例としては、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、ペンタメチルベンジル、3,4−メチレンジオキシベンジル、ベンズヒドリル、4,4’−ジメトキシベンズヒドリル、2,2’,4,4’−テトラメトキシベンズヒドリル、アルキル、例えばt−ブチル又はt−アミル、トリチル、4−メトキシトリチル、4,4’−ジメトキシトリチル、4,4’,4’’−トリメトキシトリチル、2−フェニルプロップ−2−イル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェナシル、2,2,2−トリクロロエチル、ベータ−(トリメチルシリル)エチル、ベータ−(ジ(n−ブチル)メチルシリル)エチル、p−トルエンスルホニルエチル、4−ニトロベンジルスルホニルエチル、アリル、シナミル(cynnamyl)、1−(トリメチルシリルメチル)プロップ−1−エン−3−イル、などの部分が挙げられる。誘導体化カルボン酸が、分子の他の位置におけるその後の反応の条件に対して安定であり、適切な時点で分子の残りの部分を崩壊することなく取り除くことができる限り、用いるカルボキシ保護基の種は重要でない。特に、カルボキシ保護分子を強求核塩基又はラネーニッケルなどの高度に活性化された金属触媒を用いる還元条件にかけないことが重要である。(このような厳しい分離条件は、以下で議論した、アミノ保護基及びヒドロキシ保護基を分離する際に避けることもできる。)カルボン酸保護基としては、アリル及びp−ニトロベンジル基が挙げられる。セファロスポリン、ペニシリン及びペプチドの技術において用いられる類似のカルボキシ保護基を、カルボキシ基置換基を保護するのに用いることもできる。これらの基の更なる例は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,”Protective Groups in Organic Synthesis”,2nd ed.,John Wiley & Sons,Inc.,New York,N.Y.,1991,chapter5;E.Haslam,”Protective Groups in Organic Chemistry”,J.G.W.McOmie,Ed.,Plenum Press,New York,N.Y.,1973,Chapter 5,及びT.W. Greene,”Protective Groups in Organic Synthesis”,John Wiley and Sons,New York,NY,1981,Chapter5において見出される。「保護カルボキシ」という用語は、上記のカルボキシ保護基の1つで置換したカルボキシ基を指す。
【0021】
「グアニジン」は、はRがH又はアルキル又はアラルキルである、基−NH−C(NH)−NHRを意味する。具体的なグアニジン基は、−NH−C(NH)−NH2である。
【0022】
単独の及びヘテロシクロアルキル基などの複合基における部分として用いる場合の「複素環基」、「複素環式」、「複素環」、「ヘテロシクリル」、又は「ヘテロシクロ」は、交換可能に用いられ、環原子が炭素及び少なくとも1つのヘテロ原子(窒素、硫黄又は酸素)である(例えば1〜4個のヘテロ原子)、指定された数の原子(例えば5〜14個の環原子)を有する、任意の単環式、二環式、又は三環式の、飽和又は不飽和の、芳香族(ヘテロアリール)又は非芳香族環を指す。典型的には、5−員環は0〜2個の二重結合を有し、6−又は7−員環は0〜3個の二重結合を有し、窒素又は硫黄ヘテロ原子は任意に酸化することができる(例えば、SO、SO2)、そして任意の窒素ヘテロ原子は任意に四級化することができる。非芳香族複素環としては、モルホリニル(モルホリノ)、ピロリジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、2,3−ジヒドロフラニル、2H−ピラニル、テトラヒドロピラニル、チイラニル、チエタニル、テトラヒドロチエタニル、アジリジニル、アゼチジニル、1−メチル−2−ピロリル、ピペラジニル及びピペリジニルが挙げられる。「ヘテロシクロアルキル」基は、上記で定義したアルキル基と共有結合した、上記に定義した複素環基である。硫黄又は酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む5員複素環としては、チアゾリル、例えばチアゾリル−2−イル及びチアゾリル−2−イルNオキシド、チアジアゾリル、例えば1,3,4−チアジアゾール5−イル及び1,2,4−チアジアゾール5−イル、オキサゾリル、例えばオキサゾール2−イル、及びオキサジアゾリル、例えば1,3,4−オキサジアゾール5−イル、及び1,2,4−オキサジアゾール5−イルが挙げられる。2〜4個の窒素原子を含む5−員環複素環としては、イミダゾリル、例えばイミダゾール2−イル;チアゾリル、例えば1,3,4−トリアゾール5−イル;1,2,3−トリアゾール5−イル、1,2,4−トリアゾール5−イル、及びテトラゾリル、例えば1H−テトラゾール5−イルが挙げられる。ベンゾ縮合5員複素環としては、ベンズオキサゾール2−イル、ベンズチアゾール2−イル及びベンズイミダゾール2−イルが挙げられる。1〜3個の窒素原子及び任意に硫黄または酸素原子を含む6員複素環としては、ピリジル、例えばピリド−2−イル、ピリド−3−イル、及びピリド−4−イル;ピリミジル、例えばピリミド−2−イル及びピリミド−4−イル;トリアジニル、例えば1,3,4−トリアジン−2−イル及び1,3,5−トリアジン−4−イル;ピリダジニル、例えばピリダジン−3−イル、及びピラジニルが挙げられる。特定の実施態様において、6員複素環としては、ピリジンN−オキシド及びピリダジンN−オキシド並びにピリジル、ピリミド−2−イル、ピリミド−4−イル、ピリダジニル及び1,3,4−トリアジン−2−イル基が挙げられる。任意に置換した複素環のための置換基、及び上記で議論した5−及び6−員環系の更なる例は、W.Druckheimer他,米国特許第4,278,793号中に見出すことができる。
【0023】
単独の及びヘテロアルキル基などの複合基中の部分として用いる場合の「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環が、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5−、6−又は7−員環である、指定された数の原子を有する任意の単環式、二環式、又は三環式芳香族環系を指す。特定の実施態様において、ヘテロアリール基は少なくとも1つのヘテロ原子を含む(Lang’s Handbook of Chemistry,supra)。任意の上記のヘテロアリール環がベンゼン環に縮合したニ環式基は、定義に含まれる。特定の実施態様において、ヘテロアリールは、少なくとも1つの窒素及び/又は酸素ヘテロ原子を組み込む。以下の環系は、「ヘテロアリール」という用語により示されるヘテロアリール(置換又は非置換されることができる)基の例である;チエニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、チアジニル、オキサジニル、トリアジニル、チアジアジニル、オキサジアジニル、ジチアジニル、ジオキサジニル、オキサチアジニル、テトラジニル、チアトリアジニル、オキサトリアジニル、ジチアジアジニル、イミダゾリニル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル及びプリニル、並びにベンゾ縮合誘導体、例えばベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びインドリル。特定の実施態様において、「ヘテロアリール」としては、1,3−チアゾール2−イル、4−(カルボキシメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール2−イル、4−(カルボキシメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール2−イル ナトリウム塩、1,2,4−チアジアゾール5−イル、3−メチル−1,2,4−チアジアゾール5−イル、1,3,4−トリアゾール5−イル、2−メチル−1,3,4−トリアゾール5−イル、2−ヒドロキシ−1,3,4−トリアゾール5−イル、2−カルボキシ−4−メチル−1,3,4−トリアゾール5−イル ナトリウム塩、2−カルボキシ−4−メチル−1,3,4−トリアゾール5−イル、1,3−オキサゾール2−イル、1,3,4−オキサジアゾール5−イル、2−メチル−1,3,4−オキサジアゾール5−イル、2−(ヒドロキシメチル)−1,3,4−オキサジアゾール5−イル、1,2,4−オキサジアゾール5−イル、1,3,4−チアジアゾール5−イル、2−チオール−1,3,4−チアジアゾール5−イル、2−(メチルチオ)−1,3,4−チアジアゾール5−イル、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール5−イル、1H−テトラゾール5−イル、1−メチル−1H−テトラゾール5−イル、1−(1−(ジメチルアミノ)eth−2−イル)−1H−テトラゾール5−イル、1−(カルボキシメチル)−1H−テトラゾール5−イル、1−(カルボキシメチル)−1H−テトラゾール5−イル ナトリウム塩、1−(メチルスルホン酸)−1H−テトラゾール5−イル、1−(メチルスルホン酸)−1H−テトラゾール5−イル ナトリウム塩、2−メチル−1H−テトラゾール5−イル、1,2,3−トリアゾール5−イル、1−メチル−1,2,3−トリアゾール5−イル、2−メチル−1,2,3−トリアゾール5−イル、4−メチル−1,2,3−トリアゾール5−イル、ピリド−2−イル N−オキシド、6−メトキシ−2−(n−オキシド)−ピリダゾ−3−イル、6−ヒドロキシピリダゾ−3−イル、1−メチルピリド−2−イル、1−メチルピリド−4−イル、2−ヒドロキシピリミド−4−イル、1,4,5,6−テトラヒドロ−5,6−ジオキソ4−メチル−as−トリアジン−3−イル、1,4,5,6−テトラヒドロ−4−(ホルミルメチル)−5,6−ジオキソ−as−トリアジン−3−イル、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−6−ヒドロキシ−asトリアジン−3−イル、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−6−ヒドロキシ−as−トリアジン−3−イル ナトリウム塩、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−6−ヒドロキシ−2−メチル−asトリアジン−3−イル ナトリウム塩、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−6−ヒドロキシ−2−メチル−as−トリアジン−3−イル、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−6−メトキシ−2−メチル−as−トリアジン−3−イル、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−as−トリアジン−3−イル、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−2−メチル−as−トリアジン−3−イル、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−2,6−ジメチル−as−トリアジン−3−イル、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジン−6−イル及びS−アミノテトラゾロ[1,5−b]−ピリダジン−6−イルが挙げられる。或いは、「ヘテロアリール」基としては、4−(カルボキシメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール2−イル、4−(カルボキシメチル)−5−メチル−1,3−チアゾール2−イル ナトリウム塩、1,3,4−トリアゾール5−イル、2−メチル−1,3,4−トリアゾール5−イル、1H−テトラゾール5−イル、1−メチル−1H−テトラゾール5−イル、1−(1−(ジメチルアミノ)eth−2−イル)−1H−テトラゾール5−イル、1−(カルボキシメチル)−1H−テトラゾール5−イル、1−(カルボキシメチル)−1H−テトラゾール5−イル ナトリウム塩、1−(メチルスルホン酸)−1H−テトラゾール5−イル、1−(メチルスルホン酸)−1H−テトラゾール5−イル ナトリウム塩、1,2,3−トリアゾール5−イル、1,4,5,6−テトラヒドロ−5,6−ジオキソ−4−メチル−as−トリアジン−3−イル、1,4,5,6−テトラヒドロ−4−(2−ホルミルメチル)−5,6−ジオキソ−as−トリアジン−3−イル、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−6−ヒドロキシ−2−メチル−as−トリアジン−3−イル ナトリウム塩、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−6−ヒドロキシ−2−メチル−as−トリアジン−3−イル、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジン−6−イル、及び8−アミノテトラゾロ[1,5−b]ピリダジン−6−イルが挙げられる。
【0024】
本明細書中で用いる場合、「ヒドロキシ保護基」は、反応が化合物上の他の官能基上で実施される間に、ヒドロキシ基をブロック又は保護するために一般的に用いるヒドロキシ基の誘導体を指す。このような保護基の例としては、テトラヒドロピラニルオキシ、アセトキシ、カルバモイルオキシ、トリフルオロ、クロロ、カルボキシ、ブロモ及びヨード基が挙げられる。これらの基の更なる例は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,”Protective Groups in Organic Synthesis”,2nd ed.,John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY,1991,chapters2−3;E.Haslam,”Protective Groups in Organic Chemistry”,J.G.W.McOmie,Ed.,Plenum Press,New York,NY,1973,Chapter5、及びT.W.Greene,”Protective Groups in Organic Synthesis”,John Wiley and Sons,New York,NY,1981に見出される。「保護ヒドロキシ」という用語は、上記のもののようなヒドロキシ保護基で置換したヒドロキシ基を指す。
【0025】
「医薬として許容される塩」としては、酸及び塩基付加塩の双方を挙げられる。「医薬として許容される酸付加塩」は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸など、及び有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式、カルボン酸、スルホン酸のクラスから選択することのできる有機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸(maloneic acid)、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボン酸(embonic acid)、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などにより形成される、生物学的効果及び遊離塩基の特性を保持し、生物学的に又は他に好ましくなくはない塩を指す。
【0026】
「医薬として許容される塩基付加塩」としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などの無機塩基から誘導されたものを挙げられる。特別の塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムの塩である。医薬として許容された無毒の有機塩基から誘導された塩としては、1級、2級及び3級アミン、置換アミン、例えば天然の置換アミン、環状アミン類及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン(piperizine)、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる。特定の実施態様において、無毒の有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。
【0027】
本明細書中で用いる場合、「及びそれらの塩及び溶媒和物」という語句は、本発明の化合物が1又は複数の塩又は溶媒和物の形態で存在し得ることを意味する。例えば、本発明の化合物は、1つの特定の塩又は溶媒和物の形態において実質的に純粋であることができ、或いは2つ以上の塩又は溶媒和物の形態の混合物であることができる。
【0028】
本発明は、一般式Iを有する新規の化合物を提供する:
【化2】

{式中、A、X、Y、R1、R2、及びR3は、本明細書中に定義した通りである。}
【0029】
Aは、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アシル又はアルコキシから成る群から選択される、0〜3(例えば、nは0〜3である)個のR2基で置換された炭素環又は複素環である。特定の実施態様において、Aは任意に置換されるアリール又はヘテロアリールである。特定の実施態様において、Aは、任意に置換されるベンゼン、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、ピロール、N−アルキルピロール、ピラゾール又はN−アルキルピラゾールである。特定の実施態様において、Aは、A1及びA2から成る群から選択される環である:
【化3】

{式中、Z1は、O、S、又はR5がH若しくはアルキルであるNR5であり;Z2は、CH、CR2'又はNであり;R2は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アシル又はアルコキシであり;R2'は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、H、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アシル又はアルコキシであり;且つ、nは0〜3である。}特定の実施態様において、Aは、式A1の環である。特定の実施態様において、Aは、Z1がSであり、Z2がCH又はNである環A1である。別の実施態様において、Z1はSであり、Z2はCHである(すなわち、チオフェン)。別の実施態様において、Z1はSであり、Z2はNである(すなわち、チアゾール)。特定の実施態様において、R2'はHである。特定の実施態様において、R2'はメチルである。別の特定の実施態様において、Aは式A2の環である。特定の実施態様において、R2'はメチルである。特定の実施態様において、Aは環A2である。このような実施態様において、R2は存在しないことができる(すなわち、nは0である)。別の実施態様において、nは1であり、R2はClである。特定の実施態様において、Aは環A1a、A1b又はA2aである:
【化4】

【0030】
特定の実施態様において、Aは式A1aの環である。別の実施態様において、Aは式A1bの環である。別の実施態様において、Aは式A2aの環である。
【0031】
Xは、アルキレン、NR4C(O)、NR4C(S)、NR4C(NH)、NR4SO、NR4SO2、NR4C(O)NH、NR4C(S)NH、C(O)NR4、C(S)NR4、C(NH)NR4、NR4PO又はNR4PO(OH){式中、R4はH又はアルキルである}である。或いは、Xは、アルキレン、NR4C(O)、NR4C(S)、NR4SO、NR4SO2、NR4C(O)NH、NR4C(S)NH、C(O)NR4、C(S)NR4、NR4PO又はNR4PO(OH){式中、R4はH又はアルキルである}である。特定の実施態様において、Xは、環A及びR1の間にアミド結合を形成するNR4C(O)である。特定の実施態様において、Xは、環A及びR1の間にアミジン結合を形成するNR4C(NH)である。別の実施態様において、Xは、環A及びR1の間にチオアミド結合を形成するNR4C(S)である。別の実施態様において、Xは、環A及びR1の間に尿素結合を形成するNR4C(O)NHである。別の実施態様において、Xは、NR2と共に、環A及びR1の間にチオ尿素結合を形成するNR4C(S)NHである。
【0032】
Yは、N、CH又はCR3である。特定の実施態様において、Yは、CH又はCR3である。別の実施態様において、YはCHである。別の実施態様において、YはNである。
【0033】
1は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、ハロアルキル又はアルコキシで任意に置換される、アルキル、シクロアルキル、アリール又は複素環から成る群から選択され;且つ、当該シクロアルキル、アリール及び複素環は、任意に−(CH2s−(Q)u−(CH2t−Z{式中、Qは、C(O)、S(O)、SO2、C(O)O、OC(O)、NR4C(O)、NR4C(S)、NR4SO、NR4SO2、NR4C(O)NH、NR4C(S)NH、C(O)NR4、又はC(S)NR4である}で更に置換され;且つ、Zは、ヒドロキシル、アミノ、ハロゲン、アルキルスルホニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルキル、炭素環、複素環、或いはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ若しくはアルコキシアルコキシで置換された炭素環又は複素環であり;且つ、s及びtは独立して0〜5であり、uは0又は1である。或いは、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、シクロアルキル、アリール又は複素環から成る群から選択される。
【0034】
特定の実施態様において、R1は、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、ハロアルキル又はアルコキシで任意に置換される、シクロアルキル、アリール又は複素環であり;且つ、当該シクロアルキル、アリール及び複素環は、−(CH2s−(Q)u−(CH2t−Z{式中、Qは、C(O)、S(O)、SO2、C(O)O、OC(O)、NR4C(O)、NR4C(S)、NR4SO、NR4SO2、NR4C(O)NH、NR4C(S)NH、C(O)NR4、又はC(S)NR4である}で更に置換され;且つ、Zは、ヒドロキシル、アミノ、ハロゲン、アルキルスルホニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルキル、炭素環、複素環、或いはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ若しくはアルコキシアルコキシで置換された炭素環又は複素環であり;且つ、s及びtは独立して0〜5であり、uは0又は1である。
【0035】
特定の実施態様において、QはC(O)である。別の実施態様において、QはC(O)NHである。別の実施態様において、QはC(O)Oである。別の実施態様において、QはSO2である。別の実施態様において、QはSO2NHである。別の実施態様において、QはNHである。1つの実施態様において、sは0である。別の実施態様において、sは0〜3である。1つの実施態様において、tは0である。別の実施態様において、tは0〜3である。1つの実施態様において、uは0である。別の実施態様において、uは1である。
【0036】
特定の実施態様において、Zは、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリノ、ピラゾール、トリアゾール、ピロリドン、イミダゾール及びチオモルホリンから成る群から選択される炭素環又は複素環である。特定の実施態様において、Zは、ピペリジン−1−イル、4−ヒドロキシ−ピペリジン−l−イル、N−メチル−ピペリジン−4−イル、ピペラジン−1−イル、N−メチル−ピペラジン−1−イル、N−エチル−ピペラジン−1−イル、N−アセチル−ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、3,5−ジメチル−ピペラジン−1−イル、モルホリン−1−イル、チオモルホリン−1−イル、3,5−ジメチル−モルホリン−l−イル、N−ヒドロキシエチル−ピペラジン−1−イル、ピラゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−l−イル、ピロリド−2−オン−l−イル及びイミダゾール−5−イルから成る群から選択される炭素環又は複素環である。別の特定の実施態様において、Zは、ヒドロキシ、ジメチルアミノ、CF3、メトキシカルボニル又はメトキシである。
【0037】
或いは、R1は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、シクロアルキル、アリール又は複素環から成る群から選択される。特定の実施態様において、R1は、任意に置換されるアリール又はヘテロアリールである。特定の実施態様において、R1は、任意に置換されるフェニル基である。別の特定の実施態様において、R1は、任意に置換されるピリジン基である。特定の実施態様において、R1は、式IIa、IIb、IIc、IId、IIe、IIf、IIg、IIh、IIi、IIj、IIk、IIl又はIImである:
【化5】

【化6】

{式中、Wは、O、S、又はR7がH又はアルキルであるNR7であり;R6は、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシであり;且つoは0〜3である}。特定の実施態様において、WはSである。特定の実施態様において、R1は、式IIaの基である。このような実施態様において、R6はアルコキシであることができ、oは、1、2又は3である。特定のIIa基は、IIa1〜IIa28である;
【化7】

【化8】

【0038】
別の特定の実施態様において、R1は、式IIbの基である。このような実施態様において、R6はアルキル又はハロアルキル(例えば、CF3)であることができる。特定のIIb基は、IIb1〜IIb3である;
【化9】

【0039】
特定の実施態様において、R1は、式IIcの基である。このような実施態様において、WはSであることができ、oは0である。別の特定の実施態様において、R1は、式IIdの基である。このような実施態様において、oは0であることができる。別の特定の実施態様において、R1は、式IIeの基である。このような実施態様において、oは0であることができる。別の特定の実施態様において、R1は、式IIfの基である。このような実施態様において、oは0であることができる。
【0040】
2は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アシル又はアルコキシである。nは0〜3、例えば0又は1である。特定の実施態様において、R2はヒドロキシルである。特定の実施態様において、R2は、アルキル、又はハロゲン、メチル若しくはトリフルオロメチルで置換したアルキルである。特定の実施態様において、R2はアシル、例えばアルカノイル(例えば、アセチル)である。特定の実施態様において、R2はハロゲン、例えばCl又はFである。別の特定の実施態様において、R2はアルコキシ、例えばメトキシ又はエトキシである。
【0041】
3は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキル、アシル又はアルコキシであり;且つ、mは0〜3である。特定の実施態様において、mは0である(すなわち、R3は存在しない)。別の特定の実施態様において、mは1〜3であり、R3はハロゲン(例えば、F)又はアルキル(例えば、メチル)である。
【0042】
本発明の特定の化合物としては、以下のものが挙げられるがこれらに限定されない:
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【0043】
本発明の化合物は、1又は複数の不斉炭素原子を含むことができる。従って、これらの化合物は、ジアステレオマー、エナンチオマー又はそれらの混合物として存在することができる。これらの化合物の合成は、出発物質又は中間体として、ラセミ酸塩、ジアステレオマー又はエナンチオマーを用いることができる。ジアステレオマー化合物は、クロマトグラフィー法又は結晶化法により分離することができる。同様に、エナンチオマー混合物は、同一の技術又は当業界で知られた他のものを用いて分離することができる。それぞれの不斉炭素原子は、R又はS配置において存在することができ、これらの配置の双方は本発明の範囲内である。
【0044】
本発明は、上記の化合物のプロドラッグも包含する。適切なプロドラッグとしては、解放されて(例えば、加水分解されて)、生理学的条件下で親化合物を生み出す、既知のアミノ保護及びカルボキシ保護基が挙げられる。プロドラッグの特定のクラスは、アミノ、アミジノ、アミノアルキレンアミノ、イミノアルキレンアミノ又はグアニジノ基中の窒素原子が、ヒドロキシ(OH)基、アルキルカルボニル(−CO−R)基、アルコキシカルボニル(−CO−OR)、アシルオキシアルキル−アルコキシカルボニル(−CO−O−R−O−CO−R)基(式中、Rは、一価又はニ価の基及び上記で定義した通りである)、又は式−C(O)−O−CP1P2−ハロアルキルを有する基(式中、P1及びP2は、同一であるか又は異なっており、H、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、ハロ低級アルキル又はアリールである)で置換された化合物である。プロドラッグ化合物は、上記の本発明の化合物を活性化アシル化合物と反応させて、本発明の化合物中の窒素原子を活性化アシル化合物のカルボニルと結合させることにより調製することができる。適切な活性化カルボニル化合物は、カルボニル炭素に結合した優れた脱離基含み、アシルハロゲン化物、アシルアミン、アシルピリジニウム塩、アシルアルコキシド、特にアシルフェノキシド、例えばp−ニトロフェノキシアシル、ジニトロフェノキシアシル、フルオロフェノキシアシル、及びジフルオロフェノキシアシルを含む。反応は一般的に発熱であり、不活性溶媒中で低温、例えば−78〜約50Cで実施する。反応は、通常炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウムなどの無機塩基、又はアミン(例えば、ピリジン、トリエチルアミンなど)などの有機塩基の存在下でも実施する。プロドラッグを調整する1つの方法は、1997年4月15日に出願されたUSSN08/843,369(PCT公開WO9846576に対応する)に記載され、その内容は、その全てが引用文献により本明細書中に組み込まれる。
【0045】
合成
本発明の化合物は、商業的に入手可能な出発物質から標準的な有機合成法を用いて調製する。本発明の化合物の調製において用いる合成手順は化合物中に存在する特定の置換基に依存し、有機合成において標準的であるように様々な保護及び脱保護手順が必要であり得ることが理解されるだろう。XがNR4C(O)である本発明の化合物は、一般的なスキーム1に従って調製することができる。
【化27】

【0046】
アミン出発物質は適切な酸塩化物Cl−C(O)−R1によりアシル化し、次に得られる化合物を酢酸及び臭化水素酸の混合物中でBr2を用いてアルファ−臭素化する。次に、アルファ−ブロモケトンは、酢酸ナトリウムなどの塩基の存在下で、適切な1,2−フェニレンジアミン又は2,3−ピリジンジアミンと反応させることにより、最終的なキノキサリン又は5−アゾキノキサリン生成物に変換する。同様のスキームは、アシル化段階において適切なチオ酸塩化物Cl−C(S)−R1を用いることにより、本発明のチオアミド化合物(すなわち、XがNR4C(S)である)を調製するのに用いることができる。この合成スキーム及びその後の合成スキームにおける出発物質及び試薬は、商業的に入手可能であるか、或いは商業的に入手可能な出発物質を用いて、確立された有機化学技術により調製することができる。
【0047】
XがNR4C(O)NHである本発明の化合物は、一般的なスキーム2に従って調製することができる。
【化28】

【0048】
アミン出発物質を適切なイソシアネートR1−NCOを用いて処理し、所望の尿素を形成する。次に、得られる化合物を、酢酸及び臭化水素酸の混合物中でBr2を用いてアルファ臭素化する。このアルファ−ブロモケトンは、酢酸ナトリウムなどの塩基の存在下で、適切な1,2−フェニレンジアミン又は2,3−ピリジンジアミンと反応させることにより、最終的なキノキサリン又は5−アゾキノキサリン生成物に変換する。同様のスキームは、イソシアネートの代わりに適切なイソチオシアネートR1−NCSを用いることにより、本発明のチオ尿素化合物(すなわち、XがNR4C(S)NHである)を調製するのに用いることができる。
【0049】
XがNR4SO2である本発明の化合物は、一般的なスキーム3に従って調製することができる。
【化29】

【0050】
アミン出発物質を、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの非求核の存在下で、塩基適切な塩化スルホニルR1−S(O2)Clを用いて処理し、所望のスルホンアミドを形成する。次に、得られる化合物を、酢酸及び臭化水素酸の混合物中でBr2を用いてアルファ臭素化する。このアルファ−ブロモケトンは、酢酸ナトリウムなどの塩基の存在下で、適切な1,2−フェニレンジアミン又は2,3−ピリジンジアミンと反応させることにより、最終的なキノキサリン又は5−アゾキノキサリン生成物に変換する。
【0051】
本発明の化合物は、ヘッジホッグシグナル伝達を阻害し、例えばPatchedがSmoothenedを抑制できないか、又は不十分に抑制する(Ptc機能喪失表現型)場合、及び/又はSmoothenedがPatched抑制に関わらず活性である(Smo機能獲得表現型)場合の、異常なヘッジホッグシグナル伝達に関連する癌の処置に有用である。このような癌型の例としては、基底細胞癌、神経外胚様性腫瘍例えば延髄芽細胞腫、髄膜腫、血管腫、神経膠芽腫、膵臓腺癌、扁平上皮肺癌、軟骨性肉腫、乳癌、横紋筋肉腫、食道癌、胃癌、胆道癌、腎臓癌、甲状腺癌が挙げられる。本発明の化合物は、他の抗癌処置、例えば放射線療法又は化学療法の投与の前、同時、又は後に投与することができる。適切な細胞増殖抑制化学療法化合物としては、(i)代謝拮抗剤、例えばシタラビン、フルダラビン、5-フルオロ−2’−デオキシウリジン、ゲムシタビン、水酸化尿素又はメトトレキサート;(ii)DNAフラグメント化剤、例えばブレオマイシン、(iii)DNA架橋剤、例えばクロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド又はナイトロジェンマスタード;(iv)挿入剤、例えばアドリアマイシン(ドキソルビシン)又はミトキサントロン;(v)タンパク質合成阻害剤、例えばL−アスパラギナーゼ、シクロヘキシミド、ピューロマイシン又はジフテリア毒素;(Vi)トポイソメラーゼ毒、例えばカンプトセシン又はトポテカン;(vii)トポイソメラーゼII毒、例えばエトポシド(VP−16)又はテニポシド;(viii)微小管標的剤、例えばコルセミド、コルヒチン、パクリタキセル、ビンブラスチン又はビンクリスチン;(ix)キナーゼ阻害剤、例えばフラボピリドール、スタウロスポリン、STI571(CPG 57148B)又はUCN−01)(7−ヒドロキシスタウロスポリン);(x)混合型治験薬、例えばチオプラチン(thioplatin)、PS−341、フェニル酪酸塩、ET18−OCH3又はファルネシル転移酵素抑制剤(L−739749、L−744832);ポリフェノール、例えばケルセチン、レスベラトロル、ピセアタンノール、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、フラバノール、プロシアニジン、ベツリン酸及びそれらの誘導体;(xi)ホルモン、例えばグルココルチコイド又はフェンレチニド;(xii)ホルモンアンタゴニスト、例えばタモキシフェン、フィナステリド又はLHRHアンタゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施態様において、本発明の化合物は、シスプラチン、ドキソルビシン、タキソール、タキソテール及びマイトマイシンCから成る群から選択される細胞増殖抑制化合物と同時投与する。
【0052】
本発明のも用いることのできる別のクラスの活性化合物は、死受容体に結合することによりアポトーシスを感作又は誘導することができるものである(「死受容体アゴニスト」)。死受容体のこのようなアゴニストとしては、死受容体リガンド、例えば腫瘍壊死因子a(TNF−α)、腫瘍壊死因子β(TNF−β、リンホトキシン−α)、LT−β(リンホトキシン−β)、TRAIL(Apo2L、DR4リガンド)、CD95(Fas、APO−1)リガンド、TRAMP(DR3、APO−3)リガンド、DR6リガンド、並びに任意の当該リガンドのフラグメント及び誘導体が挙げられる。特定の実施態様において、死受容体リガンドはTNF−αである。別の特定の実施態様において、死受容体リガンドはApo2L/TRAILである。更に、死受容体アゴニストは、死受容体に対するアゴニスト抗体、例えば抗CD95抗体、抗TRAIL−R1(DR4)抗体、抗TRAIL−R2(DR5)抗体、抗TRAIL−R3抗体、抗TRAIL−R4(DR4)抗体、抗DR6抗体、抗TNF−R1抗体及び抗TRAMP(DR3)抗体、並びに任意の当該抗体のフラグメント及び誘導体を含んで成る。
【0053】
アポトーシスのために細胞を感作することを目的として、本発明の化合物は、放射線治療と組み合わせて用いることができる。「放射線治療」という語句は、新生組織形成の処置における電磁波又は微粒子放射線の使用を指す。放射線治療は、標的領域に送達された高線量放射線が、腫瘍組織及び正常組織の双方における再生細胞の死をもたらすという原則に基づいている。放射線用量は一般的に、放射線吸収線量(rad)、時間及び分画に関して規定され、癌専門医により慎重に規定されなければならない。患者が受ける放射線の量は、様々な考慮、例えば体の他の器官との関連における腫瘍の場所、及び腫瘍の広がりの程度に依存する。放射線治療剤の例は、放射線治療において提供されるが、それに限定されず、当業界で知られている(Hellman,Principles of Radiation Therapy,Cancer,in Principles I and Practice of Oncology,24875(Devita et al.,4th ed.,vol1,1993))。放射線治療における最近の進歩としては、三次元原体外照射治療、強度変調放射線治療(IMRT)、定位的放射線治療、近接照射治療(組織内照射治療)が挙げられ、後者は移植した「シード」として腫瘍内に直接放射線源を置く。これらのより新しい治療法は、腫瘍により多量の放射線を供給する。それは、標準的な外照射治療と比較した場合のそれらの効果の増大を説明する。
【0054】
ベータ−放射核種を用いた電離放射線は、電離粒子の緩やかな線エネルギー付与(LET)及びその中距離(典型的には、組織中で数ミリメーター)により、放射線治療適用に最も有用であると考えられる。ガンマ線は、より大きな距離にわたって、より低レベルで用量を供給する。アルファ粒子は、他の極端な状態を表し、それらは非常に高いLET用量を供給するが、極度に限定された範囲を有するので、処置する組織の細胞と密接に接触しているべきである。更に、アルファ放射体は一般的に重金属であり、それは可能性のある化学的性質を制限し、処置した領域からの核種漏出による不当な危険性を与える。処置する腫瘍に依存して、全ての種類の放射体は、本発明の範囲内であると考えられる。更に、本発明は、多様な非電離放射線、例えば紫外線(UV)放射線、高エネルギー可視光、マイクロ波放射(高熱療法)、赤外線の(IR)放射線及びレーザーを包含する。本発明の特定の実施態様において、UV放射線を適用する。
【0055】
本発明の化合物は血管形成を阻害し、それゆえに腫瘍、特に固形腫瘍、例えば大腸、肺、膵臓、卵巣、乳房及び神経膠腫などの血管形成により介在される疾患又は症状の処置において有用である。更に、本発明の化合物は、黄斑変性、例えば湿潤年齢関連性黄斑変性を処置するのに有用である。本発明の化合物は、炎症/免疫疾患、例えばクローン、炎症性腸疾患、シェーグレン症候群、喘息、臓器移植拒絶、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、乾癬及び多発性硬化症を処置するのにも有用である。本発明の化合物は、脱毛剤としても有用である。
【0056】
本発明は、本発明の化合物及び治療用不活性担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物又は薬剤、並びにこのような組成物及び薬剤を調製するために本発明の化合物を使用する方法も含む。典型的には、本発明の方法において用いる本発明の化合物は、周囲温度、適切なpH、所望の純度で、生理学的に許容される担体(すなわち、生薬投与形態中で用いる用量及び濃度で受容者に対して非毒性である担体)と共に混合することにより製剤する。製剤のpHは、主に化合物の特定の使用及び濃度に依存するが、約3〜約8の範囲であることができる。本明細書中での使用のための阻害化合物は、滅菌製剤であることができる。凍結乾燥製剤又は水溶液が許容されるが、化合物は固体組成物として保存することができる。
【0057】
本発明の組成物は、優れた医療行為に一致した様式で、製剤、服用、及び投与する。これとの関連における考慮の要素としては、処置する特定の疾患、処置する特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与の方法、投与のスケジューリング、及び医者に知られた他の要素が挙げられる。投与する化合物の「有効量」はそのような考慮により決定され、ヘッジホッグ経路シグナル伝達を減少させるのに必要な最小量であり、或いはヘッジホッグシグナル伝達に応答する腫瘍の大きさ、体積若しくは質量の減少、又はこのような腫瘍の大きさ、体積若しくは質量の増大における減少をもたらすのに必要な最小量である。或いは、化合物の「有効量」は、悪性細胞の数又は悪性細胞の数の増大の程度を減少させるのに必要な量を意味する。或いは、「有効量」は、抗ヘッジホッグ経路感知腫瘍に罹患した患者の生存を増大させるのに必要な本発明の化合物の量である。このような量は、正常な細胞、又は全体として哺乳動物に毒性である量より低いことができる。非悪性適応に関して、「有効量」は、特定の適応又はその症状の重症度を軽減するのに必要な本発明の化合物の量を意味する。
【0058】
一般的に、非経口で投与する本発明の化合物の初期の医薬として有効な量は、約0.01〜約100mg/kgの範囲、例えば一日あたり患者の体重の約0.1〜約20mg/kg、たとえg場約0.3〜約15mg/kg/日である。経口単位投与形態、例えば錠剤及びカプセルは、約25〜約1000mgの本発明の化合物を含むことができる。
【0059】
本発明の化合物は、任意の適切な手段、例えば経口、局所、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内、並びに局所処置に必要であれば、病巣内投与により投与することができる。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内、又は皮下投与が挙げられる。適切な経口投与形態の例は、約90〜30mgの無水ラクトース、約5〜40mgのクロスカルメロースナトリウム、約5〜30mgのポリビニルピロリドン(PVP)K30、及び約1〜10mgのステアリン酸マグネシウムを配合した、約25mg、50mg、100mg、250mg、又は500mgの本発明の化合物を含む錠剤である。粉末化した成分を最初に一緒に混合し、次にPVPの溶液と混合する。得られる組成物を、乾燥し、造粒し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、そして従来の装置を用いて錠剤形態に固める。エアロゾル製剤は、本発明の化合物(例えば5〜400mg)を適切なバッファー溶液(例えば、リン酸バッファー)中に混合し、必要であれば等張化剤(例えば、塩化ナトリウムなどの塩)を添加することにより調製することができる。溶液は、典型的には、例えば0.2ミクロンフィルターを用いてろ過し、不純物及び汚染物質を取り除く。局所製剤としては、軟膏、クリーム、ローション、粉末、溶液、ペッサリー、スプレー、エアロゾル及びカプセルが挙げられる。軟膏及びクリームは、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤及び/又は溶媒の添加により、水溶性基剤又は油性基剤と製剤することができる。このような基剤としては、水及び/又は油、例えば液体パラフィン又は植物油、例えば落花生油若しくはヒマシ油又は溶媒、例えばポリエチレングリコールが挙げられる。用いることのできる増粘剤としては、ソフトパラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、微結晶ワックスと蜜蝋が挙げられる。ローションは、水性又は油性基剤と製剤することができ、1又は複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤又は増粘剤を含むことができる。外部適用のための粉末は、任意の適切な粉末、例えばタルク、ラクトース又はデンプンを用いて形成することができる。ドロップは水性又は非水性基剤を用いて製剤することができ、1又は複数の分散剤、可溶化剤又は懸濁剤を含んで成る。
【実施例】
【0060】
実施例
本発明は、以下の実施例への言及によってより完全に理解されるだろう。しかし、それらは本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。本明細書中で用いる省略は以下の通りである:
【0061】
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;
DME:1,2−ジメトキシエタン;
DMF:ジメチルホルムアミド;
EDC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;
HATU:O−(7−アゾベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩;
HOAc:酢酸
HOBt:ヒドロキシベンゾトリアゾール
NBS:N−ブロモスクシンアミド;
ROESY:回転座標系オーバーハウザー効果SpectroscopY
TASF:トリス(ジメチルアミノ)スルホニウムジフルオロトリメチルケイ酸塩;
THF;テトラヒドロフラン;
【0062】
特に断りのない限り、全ての試薬は商業的に得た。窒素の雰囲気下で炉乾燥ガラス器を用いて反応を実施した。空気及び感湿液体及び溶液は、シリンジ又はステンレス鋼カニューレにより移した。有機溶液は、ロータリーエバポレーターにより減圧下(約15mmHg)で濃縮した。特に断りのない限り、全ての溶媒は商業的に得た。生成物のクロマトグラフィー精製を、Isco CombiFlash Companion及び媒体の使用により行った。反応時間は、例としてのみ与えられる。反応のコースの後に、薄層クロマトグラフィー(TLC)及び液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)が続いた。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、EM Science シリカゲル60F254プレート(250μm)上で実施した。展開したクロマトグラムの可視化は、蛍光クエンチングにより行った。LC−MCは、Shimadzu 10AD LCを用いて、Phenomenexカラム(50×4.6mm、5μm)上で、3mL/分で操作して得た。214及び254nmで測定するShimadzu SPD−10Aを用いた。シングル4極子質量分析法は、Applied Biosystemsの質量分析計上で実施した。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、1Hに対して400MHzで操作するVarian Inova分光計上で得、100万分の1(ppm)のテトラメチルシラン(TMS)を内部基準にした。1H NMRに関するデータは以下のように記録する:ケミカルシフト(δ、ppm)、多重度(s、一重項;bs、ブロードな一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;quint、五重項;sext、六重項;hept、七重項;m、多重項;bm、ブロードな多重項)、及び積分。全ての最終生成物の構造及び純度は、少なくとも1つの以下の技術により評価した:LC−MS、NMR、TLC。
【0063】
実施例1 一般的な手順
実施例2〜11の化合物は、以下の一般的な手順に従って調製した。
【化30】

【0064】
A:還元手順
10mlのHOAc中の適切なニトロ芳香族(1当量)の磁気的に撹拌した溶液に、325のメッシュ(mesh)鉄粉末(10当量)を一回で添加した。得られた懸濁液を30分間で120℃まで加熱し、次に氷中に注いだ。得られた溶液を、EtOAc(3×20ml)で抽出した。混合した有機物を、飽和NaHCO3(3×10ml)で洗い、固体無水MgSO4で乾燥させ、その後濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望のアニリンを得た。
【0065】
B:アシル化手順
20mlのジクロロメタン中の適切なアニリン(1当量)の磁気的に撹拌した溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(2.1当量)を添加し、その後適切な酸塩化物(1.4当量)を一回で添加した。反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を室温で一晩撹拌した。得られた溶液を更に3時間撹拌し、その後30mlの1NのHClにより急冷した。層を分離し、水層をEtOAc(3×30ml)で抽出した。混合した有機物を、飽和NaHCO3(1×20ml)で洗い、固体無水MgSO4で乾燥させ、その後濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望のアミドを得た。
【0066】
C:臭素化手順
1mlのベンゼン中の適切なアセトフェノン(1当量)の磁気的に撹拌した溶液に、0℃でHOAc中の1mlの30%HBrをゆっくり添加し、温度を保持した。次に、Br2(1.1当量)を液滴により添加し、得られた溶液を0℃で1時間撹拌した。反応物を氷上に注ぎ、その溶液を固体NaHCO3で中和し、その後EtOAc(3×10ml)で抽出した。混合した有機物を、固体無水MgSO4で乾燥させ、その後濃縮した。得られたα−ブロモアセトフェノンは、精製をせずに次の反応に持ち込んだ。
【0067】
D:キノキサリン形成手順
5mlのエタノール中の適切なα−ブロモアセトフェノン(1当量)の磁気的に撹拌した溶液に、適切な1,2−フェニレンジアミン(2.7当量)を添加し、その後DIPEA(3.4当量)を添加した。得られた溶液を、空気雰囲気で室温で一晩撹拌した。得られた反応物を濃縮し、その後水中の0〜90%グラジエントのCH3CNを用いて(双方とも0.05%のTFAを含む)、C−18カラム上で逆相クロマトグラフィーにより精製した。画分を含む生成物を凍結乾燥し、粉末を得た。
【0068】
実施例2 N−(4−クロロ−3−(キノキサリン−3−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミド
【化31】

2’−クロロ−5’−ニトロ−アセトフェノン(0.22g、1.1mmol)及び鉄粉末(0.64g、11mmol)を用いて、手順Aを実施した。粗生成物を、シリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、EtOAc:ヘキサン(0:1〜1:0)で溶出して、所望の2’−クロロ−5’−アミノ−アセトフェノンを得た。
【0069】
20mlのジクロロメタン中の2’−クロロ−5’−アミノ−アセトフェノン(0.72g、4.2mmol)の磁気的に撹拌した溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(2.2ml、12.6mmol)を添加した。3,5−ジメトキシベンゾイル塩化物(1.39g、6.9mmol)を一回で添加した。反応物を2時間室温で撹拌し、第二の部分の3,5−ジメトキシベンゾイル塩化物(1.26g、6.3mmol)を添加し、その後ジイソプロピルエチルアミン(1.0ml、5.7mmol)を添加した。得られた溶液を更に3時間撹拌し、その後30mlの1NのHClにより急冷した。層を分離し、水層をEtOAc(3×30ml)で抽出した。混合した有機物を、飽和NaHCO3(1×20ml)で洗い、固体無水MgSO4で乾燥させ、その後濃縮した。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、EtOAc:ヘキサン(0:1〜2:5)で溶出して、所望のN−(3−アセチル−4−クロロフェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミドを得た。
【0070】
N−(3−アセチル−4−クロロフェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミド(0.1g、0.3mmol)及びBr2(0.017ml、0.33mmol)を用いて手順Cを実施し、N−(3−(2−ブロモアセチル)−4−クロロフェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミドを得た。
【0071】
N−(3−(2−ブロモアセチル)−4−クロロフェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミド(0.029g、0.07mmol)、1,2−フェニレンジアミン(0.021g、0.19mmol)及びDIPEA(0.042ml、0.24mmol)を用いて手順Dを実施し、N−(4−クロロ−3−(キノキサリン−3−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミドを淡褐色粉末として得た。
【0072】
1H ΝMR(CDCl3,400MHz)δ9.26(s,1H),8.15−8.18(m,2H),7.91−7.92(m,2H),7.80−7.82(m,2H),7.54(d,1H),6.96(d,2H),6.61(t.1H),3.83(s,6H)ppm);MS(Ql)XXX(M)+
【0073】
実施例3 N−(4−クロロ−3−(6−メチルキノキサリン−2−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミド
【化32】

N−(3−(2−ブロモアセチル)−4−クロロフェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミド(0.045g、0.11mmol)、4−メチル−1,2−フェニレンジアミン(0.022g、0.18mmol)及びDIPEA(0.06ml、0.34mmol)を用いて手順Dを実施した。得られたN−(4−クロロ−3−(6−メチルキノキサリン−2−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミドは軽い粉末であり、6−及び7−メチル化生成物の混合物から成っていた。
【0074】
1H ΝMR(CDCl3,400MHz)δ9.21(s,1H),8.08(d,1H),7.90−7.96(m,3H),7.68(d,1H),7.56(d,1H),6.98(d,2H),6.64(t,1H),3.83(s,6H)ppm);MS(Ql)434.3(M)+
【0075】
実施例4 N−(4−クロロ−3−(5,7−ジメチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミド
【化33】

N−(3−(2−ブロモアセチル)−4−クロロフェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミド(0.044g、0.11mmol)、3,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン(0.020g、0.18mmol)及びDIPEA(0.06ml、0.34mmol)を用いて、手順Dを実施した。得られたN−(4−クロロ−3−(5,7−ジメチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミドは軽い粉末であり、その位置化学は実施例10に類似するものにより決定した。
【0076】
1H ΝMR(CDCl3,400 MHz)δ9.22(s,1H),7.95(d,1H),7.86−7.90(m,2H),7.78(br s,1H),7.56(d,1H),7.51(br s,1H),6.79−7.00(m,2H),6.62−6.66(m,1H),3.86(s,6H),2.82(s,3H),2.59(s,3H)ppm;MS(Ql)448.0(M)+
【0077】
実施例5 N−(4−クロロ−(3−(5−メチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミド
【化34】

N−(3−(2−ブロモアセチル)−4−クロロフェニル)−3,5−クメトキシベンズアミド(0.023g、0.06mmol)、2,3−ジアミノトルエン(0.027g、0.22mmol)及びDIPEA(0.05ml、0.30mmol)を用いて、手順Dを実施した。N−(4−クロロ−(3−(5−メチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミドは軽い粉末であり、その位置化学は実施例10に類似するものにより決定した。
【0078】
1H ΝMR(CDCl3,400 MHz)δ9.26(s,1H),8.00−8.03(m,1H),7.96 (d,1H),7.89−7.91(m,1H),7.85(dd,1H),7.65−7.74(m,2H),7.514(d,1H),6.96−7.98(m,2H),6.61−6.62(m,1H),3.83(s,6H),2.85(s,3H)ppm;MS(Ql)434.0(M)+
【0079】
実施例6 N−(4−クロロ−3−(5,6−ジメチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミド
【化35】

N−(3−(2−ブロモアセチル)−4−クロロフェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミド(0.034g、0.08mmol)、3,4−ジメチルベンゼン−1,2−ジアミン(0.017g、0.12mmol)及びDIPEA(0.042ml、0.24mmol)を用いて、手順Dを実施した。N−(4−クロロ−3−(5,6−ジメチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミドは軽い粉末であり、その位置化学は実施例10に類似するものにより決定した。
【0080】
1H ΝMR(CDCl3,400 MHz)δ9.26(s,1H),8.00−8.03(m,1H),7.96(d,1H),7.89−7.91(m,1H),7.85(dd,1H),7.65−7.74(m,2H),7.514(d,1H),6.96−7.98(m,2H),6.61−6.62(m,1H),3.83(s,6H),2.85(s,3H)ppm;MS(Ql)XXX(M)+
【0081】
実施例7 N−(4−クロロ−3−(キノキサリン−3−イル)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド
【化36】

1−(5−アミノ−2−クロロフェニル)エタノン(0.4g、2.4mmol)、トリエチルアミン(0.7ml、5.0mmol)及び2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボニル塩化物(0.76g、3.4mmol)を用いて、手順Bを実施した。
【0082】
N−(3−アセチル−4−クロロフェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド(0.1g、0.3mmol)及びBr2(0.017ml、0.33mmol)用いて手順Cを実施し、N−(3−(2−ブロモアセチル)−4−クロロフェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミドを得た。
【0083】
N−(3−(2−ブロモアセチル)−4−クロロフェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド(0.029g、0.07mmol)、1,2−フェニレンジアミン(0.021g、0.19mmol)及びDIPEA(0.042ml、0.24mmol)を用いて手順Dを実施し、N−(4−クロロ−3−(キノキサリン−3−イル)フェニル)−3,5−ジメトキシベンズアミドを淡褐色粉末として得た。
【0084】
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ9.30(s,1H),8.17−8.24(m,2H),7.95−8.00(m,2H),7.84−7.90(m,3H),7.59−7.64(m,3H),2.81(s,3H)ppm;MS(Ql)443.1(M)+
【0085】
実施例8 N−(4−クロロ−3−(6−メチルキノキサリン−2−イル)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド
【化37】

N−(3−(2−ブロモアセチル)−4−クロロフェニル)−6−トリフルオロメチ)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド(0.042g、0.10mmol)、4−メチル−1,2−フェニレンジアミン(0.025g、0.20mmol)及びDIPEA(0.052ml、0.30mmol)を用いて手順Dを実施した。得られたN−(4−クロロ−3−(6−メチルキノキサリン−2−イル)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミドは軽い粉末であり、6−及び7−メチル化生成物の混合物から成っていた。
【0086】
1H ΝMR(CDCl3,400 MHz)δ9.22(s,1H),8.09(d,1H),7.86−7.98(m,4H),7.77(br s,1H),7.71(d,1H),7.56−7.62(m,2H),2.80(s,3H),2.64(s,3H) ppm;MS (Ql)457.1(M)+
【0087】
実施例9 N−(4−クロロ−3−(5,7−ジメチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド
【化38】

N−(3−(2−ブルモアセチル)−4−クロロフェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド(0.038g、0.09mmol)、3,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン(0.029g、0.26mmol)及びDIPEA(0.052ml、0.30mmol)を用いて手順Dを実施した。得られたN−(4−クロロ−3−(5,7−ジメチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミドは軽い粉末であり、その位置化学は実施例10に類似するものにより決定した。
【0088】
1H NMR(DMSO,400 MHz)δ11.05(s,1H),8.41(s,1H),8.22(d,1H),7.92(d,1H),7.81−7.86(m,1H),7.77(d,1H),7.68(d,1H),7.57(br s,1H),6.Sl(d,1H),2.66(s,3H),2.51(s,3H);MS(Ql)XXX(M)+
【0089】
実施例10 N−(4−クロロ−3−(5−メチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド
【化39】

N−(3−(2−ブロモアセチル)−4−クロロフェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド(0.026g、0.06mmol)、2,3−ジアミノトルエン(0.018g、0.15mmol)及びDIPEA(0.05ml、0.30mmol)を用いて手順Dを実施した。N−(4−クロロ−3−(5−メチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミドは粉末であり、その位置化学はROESY実験の進行の間の、中心のフェニル環の2位におけるキノキサリンメチルからプロトンへの磁化の転移及びキノキサリン2位のけるプロトンへの非転移の観察により決定した。
【0090】
1H ΝMR(CDCl3,400MHz)δ9.26(s,1H),8.00−8.03(m,1H),7.96(d,1H),7.89−7.91(m,1H),7.85(dd,1H),7.65−7.74(m,2H),7.514(d,1H),6.96−7.98(m,2H),6.61−6.62(m,1H),3.83(s,6H),2.85(s,3H)ppm;MS(Ql)457.1(M)+
【0091】
実施例11 N−(4−クロロ−3−(5,6−ジメチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド
【化40】

N−(3−(2−ブルモアセチル)−4−クロロフェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミド(0.018g、0.04mmol)、3,4−ジメチルベンゼン−1,2−ジアミン(0.01g、0.07mmol)及びDIPEA(0.052ml、0.3mmol)を用いて手順Dを実施した。N−(4−クロロ−3−(5,6−ジメチルキノキサリン−3−イル)フェニル)−6−(トリフルオロメチル)−2−メチルピリジン−3−カルボキサミドは軽い粉末であり、その位置化学は実施例10に類似するものにより決定した。
【0092】
1H ΝMR(CDCl3,400MHz)δ9.18(s,1H),7.89−7.98(m,3H),7.83−7.87(m,1H),7.68(br s,1H),7.64 (d,1H),7.64−7.61(m,2H),2.78(s,3H),2.75(s,3H),2.54(s,3H)ppm;MS(Ql)471.3(M)+
【0093】
実施例12 一般的手順
実施例13の化合物は、以下の一般的手順に従って調製した。
【化41】

【0094】
A:臭素化手順
40mlのベンゼン中の適切なアセトフェノン(1当量)の磁気的に撹拌した溶液に、0℃でHOAc中の40mlの30%HBrをゆっくり添加し、温度を保持した。次に、Br2(1.05当量)を液滴により添加し、得られた溶液を0℃で15分間撹拌した。反応物を氷上に注ぎ、その後EtOAc(3×30ml)で抽出した。混合した有機物を、固体無水MgSO4で乾燥させ、その後濃縮した。得られた粗アルファ−ブロモアセトフェノンは、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0095】
B:キノキサリン形成手順
200mlのエタノール中の適切なアルファ−ブロモアセトフェノン(1当量)の磁気的に撹拌した溶液に、適切な1,2−フェニレンジアミン(2.4当量)を添加し、その後酢酸ナトリウム(3当量)を添加した。得られた溶液を温め、空気雰囲気で一晩還元及び撹拌した。生成物は沈殿を形成し、反応物は減圧濾過し、固体を50mlの冷たいエタノールで洗い、その後50mlの0.1NのHClで洗った。得られた生成物は、更なる精製をせずに続けた。
【0096】
C:還元手順
100mlのHOAc中の適切なニトロ芳香族(1当量)の磁気的に撹拌した溶液に、325のメッシュ鉄粉末(3当量)を一回で添加した。得られた懸濁液は1時間室温で撹拌し、その間に有機物を完全に溶解し、暗赤色の溶液を形成させた。次に、反応物を氷中に注ぎ、得られた溶液をEtOAc(3×200ml)で抽出した。混合した有機物を、飽和NaHCO3(3×200ml)で洗い、固体無水MgSO4で乾燥させ、その後濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望のアニリンを得た。
【0097】
D:アシル化手順
20mlのDMF中の適切な酸(1.05当量)の磁気的に撹拌した溶液に、EDC(2.0当量)及びDIPEA(2.0当量)を添加し、その後6−クロロ−ヒドロキシベンゾトリアゾール(2当量)を添加した。得られた溶液を更に30分間室温で撹拌し、その後適切なアニリンを添加し、室温で一晩撹拌を継続した。反応物を100mlの水で希釈し、EtOAc(3×50ml)で抽出した。混合した有機物を、水(3×100ml)で洗い、固体無水MgSO4で乾燥させ、その後濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望のアミドを得た。
【0098】
実施例13 N−(4−クロロ−3−キノキサリン−2−イル−フェニル)−4−メタンスルホニル−ベンズアミド
【化42】

2’−クロロ−5’−ニトロ−アセトフェノン(4.0g、20mmol)及び臭素(1.13ml、22mmol)で手順Aを実施した。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、EtOAc:ヘキサン(0:1〜1:4)で溶出して、所望の2−ブロモ−2’クロロ−5’−ニトロアセトフェノン(5.4g、19.2mmol)を得た。
【0099】
2−ブロモ−2’クロロ−5’−ニトロアセトフェノン(14.16g、50mmol)、1,2−フェニレンジアミン(13.1g、120mmol)及びNaOAc(12.4、150mmol)を用いて手順Bを実施し、所望の2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェニル)−キノキサリン(8.6g、30mmol)を得た。
【0100】
キノキサリン(8.6g、30mmol)及びFe(5.2g、90mmol)を用いて手順Cを実施、アニリン(5.3g、20.7mmol)を得た。
【0101】
4−(メチルスルホニル)安息香酸(102mg、0.49mmol)、EDC(186mg、0.93mmol)、DIPEA(0.16ml、0.93mmol)、6−クロロ−ヒドロキシベンゾトリアゾール(162mg、0.93mmol)及びアニリン(119mg、0.46mmol)を用いて手順Dを実施した。粗生成物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、EtOAc:ヘキサン(0:1〜3:2)で溶出して、所望の4−クロロ−3−キノキサリン−2−イル−フェニルアミン(104mg、0.24mmol)を得た。
【0102】
1H NMR(D6−DMSO,300MHz)δ10.81(s,1H),9.25(s,1H),8.23−8.15(m,4H),8.11−8.00(m,3H),7.97−7.90(m,2H),7.69(s,1H),3.30(s,3H) ppm);MS(Ql)438.0(M)+
【0103】
実施例14 ヘッジホッグシグナル伝達阻害試験
マウスレポーター細胞株−10T1/2−GliLuc[s12]細胞(細胞株C3H10T1/2 ATCC#CCL−226);マウス胎児線維芽細胞);成長培地:10%のウシ胎仔血清(FBS)、10ユニット/mLのペニシリン、100ug/mLのストレプトマイシン、2mMのグルタミン、及び10mMのHEPES pH7.2を追加した、Dulbecco’s modified Eagles’ Medium(MEM;Earle’s塩)。
【0104】
ヒトレポーター細胞株−HEPM−GliLuc[MZ24]−細胞(HEPM由来、胚口蓋間充織 ATCC #CRL−1486);成長培地:10〜20%のウシ胎仔血清(FBS)、10ユニット/mLのペニシリン、100ug/mLのストレプトマイシン、2mMのグルタミン、及び10mMのHEPES pH7.2を追加した、最小必須培地(MEM;Earle’s塩)。
【0105】
ソニックヘッジホッグ−組み換えヒトSHhN末端オクチル化複合体。
【0106】
マイクロタイタープレート(MTPs)−ルシフェラーゼアッセイのために、細胞を96ウエルMTP中にめっきする(plate)(白色、平底、クリアビュー)。
【0107】
ルシフェラーゼ試験培地−0.5%のFBS、10ユニット/mLのペニシリン、100ug/mLストレプトマイシン、2mMのグルタミン、及び10mMのHEPES pH7.2を追加したDMEM。
【0108】
PBS/Ca/Mgミックス−0.5mMのCaCl2及び1mMのMgCl2を追加したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)。
【0109】
試験手順
ヘッジホッグ応答性Gliプロモーターにより駆動されるルシフェラーゼレポーター遺伝子を含むように遺伝子組み換えしたS12及びMZ24細胞を、37℃、5%のCO2で、成長培地中において組織培養皿上に保持した。細胞培地は、3〜4日毎に密集度以下で継代した。(s12に対しては1:20〜1:40;MZ24に対しては1:3〜1:10)。細胞を集め、それらが1ウエル、100ulあたりに10,000〜20,000細胞(s12)、又は20,000〜30,000細胞(MZ24)でマイクロタイタープレート中にめっきされるように、成長培地で希釈した。細胞を更に、37℃、5%CO2で24〜48時間インキュベートした。
【0110】
24〜48時間のインキュベーション後に、マイクロタイタープレート中の成長培地を、0.1〜0.3ug/ml(S12)又は0.5〜1.0ug/ml(MZ24)のソニックヘッジホッグ−オクチル複合体、及び試験化合物を含むそして含まないルシフェラーゼ試験培地(1ウエルあたり100ul)により置き換えた。次いで、細胞を更に24時間インキュベートした。
【0111】
次いで、培地を取り除き、基質をストレートの溶解バッファーの代わりに、1:1のPBS/Ca/Mg:溶解バッファーで再構成する、製造業者手順への変更を用いて、マイクロタイタープレートをルシフェラーゼレポーター遺伝子試験キット(LucLite(登録商標))にかけた。簡潔には、PBS/Ca/Mgを溶解バッファーを用いて1:1で混合し、10mLを各基質バイアル(1000−試験キットの)に添加した。次いで、マイクロタイタープレートから試験培地を廃棄し、100ulのこの基質を各ウエルに添加した。プレートを室温で20〜30分間インキュベートし、次にルシフェラーゼレポーター遺伝子の相対的発現レベルを表す相対的ライトユニット(Relative Light Unit)(RLUS)を、Topcountリーダー(Packard)又はAnalystリーダー(Molecular Devices)を用いて測定した。
【0112】
以下の表1は、マウス[s12]又はヒト[MZ24]Gliレポーター細胞株のいずれかを用いて上記の手順に従って試験した特定の化合物に対する平均IC50値を表し、ヘッジホッグシグナル経路伝達の阻害を示す。
【0113】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

[式中、
Aは、炭素環又は複素環であり;
Xは、アルキレン、NR4C(O)、NR4C(S)、NR4C(NH)、NR4SO、NR4SO2、NR4C(O)NH、NR4C(S)NH、C(O)NR4、C(S)NR4、C(NH)NR4、NR4PO又はNR4PO(OH){式中、R4はH又はアルキルである}
Yは、N、CH又はCR3であり;
1は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、ハロアルキル又はアルコキシで任意に置換される、アルキル、シクロアルキル、アリール又は複素環から成る群から選択され;且つ、当該シクロアルキル、アリール及び複素環は、任意に−(CH2s−(Q)u−(CH2t−Z{式中、Qは、C(O)、S(O)、SO2、C(O)O、OC(O)、NR4C(O)、NR4C(S)、NR4SO、NR4SO2、NR4C(O)NH、NR4C(S)NH、C(O)NR4、又はC(S)NR4で更に置換され};且つ、Zは、ヒドロキシル、アミノ、ハロゲン、アルキルスルホニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルキル、炭素環、複素環、或いはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ若しくはアルコキシアルコキシで置換された炭素環又は複素環であり;且つ、s及びtは独立して0〜5であり、uは0又は1であり;
2は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アシル又はアルコキシであり;
3は、それぞれがヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシで任意に置換される、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アシル又はアルコキシであり;
mは、0〜3であり;
nは、0〜3であり;
並びに、それらの塩及び溶媒和物である]。
【請求項2】
Aが、A1及びA2から成る群から選択される環である、請求項1に記載の化合物:
【化2】

{式中、Z1は、O、S、又はR5がH若しくはアルキルであるNR5であり;Z2は、CH、CR2'又はNであり;R2は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル又はアルコキシであり;R2'は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル又はアルコキシであり;且つ、nは0〜3である。}
【請求項3】
Aが、Z1がSであり且つZ2がCH又はNである環A1である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが環A2である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
2又はR2’がCl又はMeである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
AがA2aである、請求項2に記載の化合物。
【化3】

【請求項7】
XがNR4C(O)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
XがNR4SO4である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
4がH又はMeである、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
4がHである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
3がMe又はFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
3がMeであり、mが1又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
3がFであり、mが1又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
mが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
1が式IIa〜IImから成る群から選択される、請求項1に記載の化合物:
【化4】

{式中、
Wは、O、S、又はR7がH又はアルキルであるNR7であり;
6は、ハロゲン、アミノ、ニトロ、アルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアルコキシであり;
且つoは0〜3である。}
【請求項16】
1が式IIaの基である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
6がアルコキシであり、oが1又は2である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
1が式IIa1〜IIa28の群から選択される、請求項16に記載の化合物:
【化5】

【請求項19】
Aが環A1又はA2である、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
Aが環A2である、請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
3がMe又はFである、請求項16に記載の化合物。
【請求項22】
mが0である、請求項3に記載の化合物。
【請求項23】
XがNR4C(O)である、請求項3に記載の化合物。
【請求項24】
1が式IIbの基である、請求項15に記載の化合物。
【請求項25】
6がアルキル又はハロアルキルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
1が式IIb1の基である、請求項24に記載の化合物。
【化6】

【請求項27】
Aが環A1又はA2である、請求項24に記載の化合物。
【請求項28】
Aが環A2である、請求項24に記載の化合物。
【請求項29】
3がH、Me又はFである、請求項24に記載の化合物。
【請求項30】
3がHである、請求項24に記載の化合物。
【請求項31】
XがNR4C(O)である、請求項24に記載の化合物。
【請求項32】
請求項1に記載の化合物及び医薬として許容される担体を含んで成る組成物。
【請求項33】
有効量の請求項1に記載の化合物を、哺乳動物に投与することを含んで成る、哺乳動物における癌を処置する方法。
【請求項34】
前記癌が、基底細胞癌、延髄芽細胞腫、膵臓腺癌、小細胞肺癌、乳癌、横紋筋肉腫、食道癌、胃癌、胆道癌である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
有効量の請求項1に記載の化合物を、哺乳動物に投与することを含んで成る、哺乳動物における血管形成を阻害する方法。

【公表番号】特表2007−535569(P2007−535569A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511079(P2007−511079)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/015121
【国際公開番号】WO2006/078283
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(501443928)ジェネンテック,インコーポレイティド (9)
【Fターム(参考)】