説明

ヘッジホッグ経路モジュレーターとしてのビフェニルカルボキサミド誘導体

本発明は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性を調節する方法を提供する。特に、本発明は、例えばPtc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型の表現型に起因する異常な成長状態を阻害する方法であって、細胞を十分量の式I:


の化合物と接触させることを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、米国仮特許出願第60/942,654号(2007年6月7日出願)に基づく優先権の利益を主張している。この出願の全ての開示は、言及することによって、その全体が、全ての目的について本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景
本発明の分野
本発明は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性を調節する方法を提供する。特に、本発明は、Ptc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、smoothened機能獲得型、Gli機能獲得型の表現型またはヘッジホッグ・リガンドの過剰発現に起因する異常な増殖状態を阻害する方法であって、細胞を、十分量の式Iの化合物と接触させることを含む方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
胚の発達の過程で、ヘッジホッグシグナル伝達経路は、多くのプロセスに、例えば細胞増殖、分化および組織パターン化の制御に必須である。しかしながら、例えば、活性の増加の結果としてのヘッジホッグシグナル伝達経路の異常な活性は、病理学的な結果を有し得る。この点で、成熟組織中でのヘッジホッグ経路の活性化は、乾癬、ならびに悪性リンパ腫(LM)、多発性骨髄腫(MM)、脳、筋肉および皮膚、前立腺の癌、髄芽腫、膵臓腺癌、および小細胞肺癌を含み、これらに限定されない、特定のタイプの癌などの疾患に至り得る。ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化の増進は、幾つかの疾患の病理および/または症候に関与する。従って、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性を調節する分子は、このような疾患の処置における治療薬として有用である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の概要
一つの局面において、本発明は、リンパ腫細胞または骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発する方法を提供する。これらの方法は、ヘッジホッグシグナル伝達経路を阻害する薬物と該細胞を接触させることを含む。幾つかの方法は、対象中に存在する腫瘍細胞のアポトーシスを誘発することを目的とする。幾つかの方法は、Gli3を発現していないリンパ腫または骨髄腫細胞のアポトーシスを誘発することを目的とする。幾つかの方法は、ヘッジホッグシグナル伝達経路を特異的に阻害する式I:
【化1】

[式中、
およびYは、NおよびCR10から独立して選択され;ここで、R10は、水素、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換−C1−6アルコキシおよび−OXNR10a10bから選択され;ここで、R10aおよびR10bは、水素およびC1−6アルキルから独立して選択され;
は、シアノ、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換−C1−6アルコキシ、C6−10アリール、ジメチル−アミノ、C1−6アルキル−スルファニルおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから選択され、これらは、所望により2個までのC1−6アルキル基で置換されており;
およびRは、水素、シアノ、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換−C1−6アルコキシおよびジメチルアミノから独立して選択され;
およびRは、水素、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロ置換−C1−6アルコキシから独立して選択され;
あるいは、RおよびR、または、RおよびRは、両方が結合しているフェニルと一体となって、C5−10ヘテロアリールを形成し;
およびRは、水素、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロ置換−C1−6アルコキシから独立して選択され;ただし、RおよびRは、同時に水素ではなく;
は、水素、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロ置換−C1−6アルコキシから選択され;
は、−S(O)11、−C(O)R11、−OR11、−NR12a12bおよび−R11から選択され;ここで、R11は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから選択され;R12aおよびR12bは、C1−6アルキルおよびヒドロキシ置換−C1−6アルキルから独立して選択され;
ここで、Rのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、所望によりC1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換−C1−6アルコキシ、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−12シクロアルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから独立して選択される1から3個の基で置換されていてもよく;
ここで、Rのアリール−アルキル置換基は、所望によりハロ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換−C1−6アルコキシおよびメチル−ピペラジニルから独立して選択される1から3個の基で置換されている。]
の化合物;およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物;および該化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば水和物)を用いる。
【0005】
本発明の化合物はまた、該化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物、N−オキシド、プロドラッグおよび異性体、ならびに医薬組成物の、全ての適当な同位元素置換体(isotopic variation)を含む。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位元素置換体は、少なくとも1個の原子が、同じ原子数を有するが天然で通常見出される原子質量と異なる原子質量を有する原子によって置き換えられている化合物と定義される。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩に組み込まれ得る同位体の例は、水素、炭素、窒素および酸素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、35S、18F、36Clおよび123Iを含み、これらに限定されない。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩の特定の同位元素置換体は、例えば、放射性同位体、例えばHまたは14Cが組み込まれたものであり、これらは、薬物および/または基質の組織分布の研究において有用である。特定の例において、Hおよび14C同位体は、製造を容易にするために、そして検出可能とするために用いられ得る。他の例において、同位体、例えばHによる置換は、代謝安定性の増加に起因する治療的利点、例えばin vivoでの半減期の延長または必要な用量の減少をもたらし得る。本発明で提供される化合物およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物、N−オキシド、プロドラッグ、および異性体ならびに医薬組成物の同位元素置換体は、適当な反応剤の適切な同位元素置換体を用いて、慣用の方法によって製造される。
【0006】
第2の局面において、本発明は、1種以上の適当な賦形剤と混合した、式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物;またはそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0007】
第3の局面において、本発明は、対象において、ヘッジホッグ経路活性の調節が、乾癬、リンパ腫または骨髄腫の病理および/または症候を予防、阻害または寛解し得る乾癬、リンパ腫または骨髄腫を処置または寛解し得る方法であって、該動物に、治療有効量の式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0008】
第4の局面において、本発明は、動物において、ヘッジホッグ経路活性が病理および/または症候に関与する、乾癬、リンパ腫または骨髄腫を処置するための医薬の製造における、式Iの化合物の使用を提供する。
【0009】
第5の局面において、本発明は、式Iの化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物、およびそれらの薬学的に許容される塩を製造する方法を提供する。
【0010】
定義
特記しない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野における当業者によって、通常理解されるものと同じ意味を有する。下記の参考文献は、本発明で用いられる多くの用語の一般的な定義を当業者に提供する:Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology, Smith et al. (eds.), Oxford University Press (revised ed., 2000); Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, Singleton et al. (Eds.), John Wiley & Sons (3PrdP ed., 2002); および A Dictionary of Biology (Oxford Paperback Reference), Martin and Hine (Eds.), Oxford University Press (4PthP ed., 2000)。さらに、下記の定義が、本発明の実施において、読者を助けるために提供される。
【0011】
用語“薬物”または“試験薬物”は、全ての物質、分子、元素、化合物、物(entity)またはそれらの組み合わせを含む。それは、例えば、蛋白質、ポリペプチド、有機小分子、多糖類、ポリヌクレオチドなどを含み、これらに限定されない。それは、天然産物、合成化合物または化学化合物、または2種以上の物質の組み合わせであってもよい。特記しない限り、“薬物”、“物質”および“化合物”は、相互交換可能で用いられ得る。
【0012】
基としての、および他の基(例えばハロ置換−アルキルおよびアルコキシ)の構成要素としての“アルキル”は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。C1−4−アルコキシは、メトキシ、エトキシなどを含む。ハロ置換アルキルは、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどを含む。
【0013】
“アリール”は、6から10個の環炭素原子を含む、単環式または縮合二環式芳香環の集合を意味する。例えば、アリールはフェニルであってもナフチルであってもよく、好ましくはフェニルである。“アリーレン”は、アリール基から誘導される二価の基を意味する。
【0014】
本明細書で用いられる“癌”は、哺乳類固形腫瘍および血液悪性腫瘍を含む。“哺乳類固形腫瘍”は、頭頚部癌、肺癌、中皮腫、縦隔癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝胆道系の癌、小腸癌、大腸癌、結腸直腸癌、直腸癌、肛門癌、腎臓癌、尿道癌、膀胱癌、前立腺癌、尿道癌、陰茎癌、精巣癌、婦人科系臓器の癌、卵巣癌、乳癌、内分泌系の癌、皮膚癌、脳を含む中枢神経系の癌;軟部組織肉腫および骨肉腫;ならびに皮膚および眼内由来の黒色腫を含む。“血液悪性腫瘍”は、小児白血病およびリンパ腫、ホジキン病、リンパ球および皮膚由来のリンパ腫、急性および慢性白血病、形質細胞腫瘍、AIDS関連癌を含む。さらに、全ての進行度の癌を処置することができ、例えば原発性癌、転移性癌、および再発癌を処置し得る。多数の型の癌に関する情報は、例えば、the American Cancer Society、または、例えばWilson et al. (1991) Harrison's Principles of Internal Medicine, 12th Edition, McGraw-Hill, Incで見出され得る。ヒトおよび獣医の使用が意図される。特に本発明の化合物および方法による処置で治療可能な(amenable)癌は、神経膠腫、髄芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNETS)、基底細胞癌(BCC)、小細胞肺癌、大細胞肺癌、消化器の腫瘍、横紋筋肉腫、軟部組織肉腫、膵臓癌、膀胱癌、および前立腺癌を含み、これらに限定されない。本明細書で用いられるとき、用語“悪性過剰増殖性障害”は、癌、神経増殖性障害、骨髄増殖性疾患および白血病を含み、これらに限定されない。本明細書で用いられるとき、用語“非悪性過剰増殖性障害”は、非悪性および非腫瘍性増殖性障害、例えば血管中の平滑筋過形成、皮膚瘢痕化、および肺線維症を含み、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で用いられるとき、“接触させる”は、その通常の意味を有し、2種以上の分子(例えば有機小分子およびポリペプチド)を組み合わせること、または分子と細胞(例えば化合物および細胞)を組み合わせることを言う。接触は、in vitroで、例えば、2種以上の薬物または1種の化合物と、細胞または細胞ライセートを、試験管または他の容器中で合わせることによって行われ得る。接触はまた、例えば、2種のポリペプチドをコードした組み換えポリヌクレオチドの細胞中で共発現させることによって、2種のポリペプチドを、細胞中または細胞ライセート中で接触させることによって、細胞中またはin situで行ってもよい。
【0016】
“シクロアルキル”は、示された数の環原子を含む、飽和または部分的に不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式環の集合を意味する。例えば、C3−10シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。
【0017】
本明細書で用いられる“ヘッジホッグ関連障害”は、ヘッジホッグ伝達経路の破壊または異常に関連した障害、ならびにヘッジホッグ活性化に関する正常であるが望ましくない増殖状態に関連した障害を含む。“ヘッジホッグ関連障害”は、腫瘍形成、癌、新生物、悪性過剰増殖性障害、および非悪性過剰増殖性障害を含み、これらに限定されない。“ヘッジホッグ関連障害”はまた、良性前立腺過形成、乾癬、湿性黄斑変性(wet macular degeneration)、大理石骨病、むだ毛の成長を含む。
【0018】
“ヘテロアリール”は、1個以上の環原子がヘテロ原子である、上記のアリールについて定義された通りの基である。例えば、C5−10ヘテロアリールは、炭素原子として示される通り最小5個の環員を有するが、これらの炭素原子がヘテロ原子によって置き換えられてもよい。結果として、C5−10ヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含む。
【0019】
“ヘテロシクロアルキル”は、1個以上の示された環炭素原子が、−O−、−N=、−NR−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)− (ここで、Rは、水素、C1−4アルキルまたは窒素保護基である。)から選択される1個の部分によって置き換えられている、本明細書で定義したシクロアルキルを意味する。例えば、本発明の化合物を記載するために本明細書で用いられるC3−8ヘテロシクロアルキルは、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニルオン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イル、チオモルホリノ、スルファノモルホリノ、スルホノモルホリノなどを含む。
【0020】
“ハロゲン”(またはハロ)は、好ましくは、クロロまたはフルオロを表すが、また、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0021】
用語“ヘッジホッグ”は、一般的に、ソニック、インディアン、デザート、およびティギーウィンクルを含む、ヘッジホッグ・ファミリーの全てのメンバーを言う。該用語は、蛋白質または遺伝子を示すために用いられ得る。該用語はまた、異なる動物種のホモログ/オルソログ配列を記載するために用いられる。
【0022】
用語“ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路”および“ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達”は相互交換可能で用いられ、例えばヘッジホッグ、patched (Ptch)、smoothened (Smo)およびGliであるシグナル伝達カスケードの種々のメンバーによって通常媒介される事象の連鎖を言う。ヘッジホッグ経路は、ヘッジホッグ蛋白質の非存在下で、下流の構成要素の活性化によって活性化され得る。例えば、Smoの過剰発現は、ヘッジホッグ非存在下で本経路を活性化する。
【0023】
Hhシグナル伝達構成要素またはHhシグナル伝達経路のメンバーは、Hhシグナル伝達経路に関与する遺伝子産物を言う。Hhシグナル伝達構成要素は、細胞/組織中のHhシグナルの伝達に対して、しばしば、実質的にまたは著しく、影響を及ぼし、典型的には下流の遺伝子発現レベルの変化および/または表現型の変化を引き起こす。Hhシグナル伝達構成要素は、その生物学的機能および下流の遺伝子の活性化/発現の最終結果に対する影響によって、ポジティブ・レギュレーターとネガティブ・レギュレーターに分類される。ポジティブ・レギュレーターは、Hhシグナルの伝達にポジティブな影響を及ぼす、すなわちHhが存在するとき下流の生物学的事象を刺激するHhシグナル伝達構成要素である。この例は、ヘッジホッグ、SmoおよびGliを含む。ネガティブ・レギュレーターは、Hhシグナルの伝達にネガティブな影響を及ぼす、すなわちHhが存在するとき下流の生物学的事象を阻害するHhシグナル伝達構成要素である。この例は、PtchおよびSuFuを含み、これらに限定されない。
【0024】
ヘッジホッグシグナル伝達アンタゴニスト、Hhシグナル伝達のアンタゴニストまたはHhシグナル伝達経路阻害剤は、ポジティブなHhシグナル伝達構成要素(例えばヘッジホッグ、PtchまたはGli)の生物活性を阻害するか、またはHhシグナル伝達構成要素の発現を下方制御する薬物を言う。それらはまた、Hhシグナル伝達構成要素のネガティブ・レギュレーターを上方制御する薬物を含む。ヘッジホッグシグナル伝達アンタゴニストは、ソニック、インディアンまたはデザート・ヘッジホッグ、smoothened、ptch-1、ptch-2、gli-1、gli-2、gli-3などを含む(これらに限定されない)、ヘッジホッグ経路における何らかの遺伝子をコードする蛋白質を対象とし得る。
【0025】
“ヘッジホッグ機能獲得型”は、Ptc遺伝子、ヘッジホッグ遺伝子またはSmoothened遺伝子の異常な修飾または変異、または該遺伝子の発現量の減少(または喪失)の結果、細胞をヘッジホッグ蛋白質と接触させるのに似た表現型をもたらすこと、例えばヘッジホッグ経路の異常な活性化をもたらすことを言う。該機能獲得型は、Ptc遺伝子生成物がGli遺伝子、例えばGli1、Gli2およびGli3の発現量を制御する能力を喪失することを含み得る。“ヘッジホッグ機能獲得型”という用語はまた、ヘッジホッグ自身の修飾または変異を含む(これらに限定されない)、ヘッジホッグシグナル伝達経路における何らかの変化によって起こる全ての類似の細胞表現型(例えば過剰増殖を示すこと)を言う。例えば、仮にヘッジホッグが細胞内で変異されていなくとも、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化によって異常に速い増殖速度を有する腫瘍細胞は、“ヘッジホッグ機能獲得型”の表現型を有するとする。
【0026】
“Patched機能喪失型”は、Ptc遺伝子の異常な修飾または変異、または、該遺伝子の発現量の減少の結果、細胞をヘッジホッグ蛋白質と接触させるのに似た表現型をもたらすこと、例えばヘッジホッグ経路の異常な活性化をもたらすことを言う。該機能喪失型は、Ptc遺伝子生成物が、Gli遺伝子、例えばGli1、Gli2およびGli3の発現量を制御する能力を喪失することを含み得る。
【0027】
“Gli機能獲得型”は、Gli遺伝子の異常な修飾または変異、または、該遺伝子の発現量の増加の結果、細胞をヘッジホッグ蛋白質と接触させるのに似た表現型をもたらすこと、例えばヘッジホッグ経路の異常な活性化をもたらすことを言う。
【0028】
用語“阻害する”または“阻害”は、腫瘍増殖または腫瘍細胞の成長の状況において、原発性または続発性腫瘍の出現の遅延、原発性または続発性腫瘍の発達の遅延、原発性または続発性腫瘍の発生の減少、疾患の二次作用の遅延または重症度の減少、または腫瘍増殖の阻止および腫瘍の退縮を言う。用語“予防する”または“予防”は、原発性もしくは続発性腫瘍の発生、または疾患の何らかの二次作用の完全な阻害を言う。酵素活性の調節の内容においては、阻害は、酵素活性の可逆的な抑制または減退に関し、競合阻害、不競合阻害、および非競合阻害を含む。これは、経験的に、酵素の反応速度に対する阻害剤の効果によって区別され、基本的なMichaelis-Menten速度式に関して分析され得る。競合阻害は、阻害剤が遊離の酵素と結合し、その結果、阻害剤が、活性部位で、通常の基質と競合し得る場合に起こる。競合阻害剤は、酵素と可逆的に反応し、酵素−基質複合体と類似の酵素−阻害剤複合体[EI]を形成する。
【0029】
“Smoothened機能喪失型”は、Smo遺伝子の異常な修飾または変異、または、該遺伝子の発現量の増加の結果、細胞をヘッジホッグ蛋白質と接触させるのに似た表現型をもたらすこと、例えばヘッジホッグ経路の異常な活性化をもたらすことを言う。
【0030】
用語“対象”は、哺乳類、特にヒトを含む。それはまた、他の非ヒト動物、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サルを包含する。
【0031】
用語“処置する”または“処置”は、腫瘍の増殖を阻止し、腫瘍を部分的にまたは完全に退縮させることを言う。用語“処置すること”は、化合物または薬物を投与して、疾患の症候、合併症、または生化学的徴候の発症を妨げまたは遅延させ、症候を軽減し、または、疾患、状態または障害のさらなる進行を阻止または阻害することを含む。処置は、予防的であってもよく(疾患の発症を妨げるまたは遅延させること)、疾患の症状が出た後の、症候の治療的抑制または軽減であってもよい。
【0032】
本発明は、ヘッジホッグ、patched (Ptc)、gliおよび/またはsmoothenedによって制御されるシグナル伝達経路が、式Iの化合物によって調節され得ることを見出したことに関する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
好ましい態様の記載
本発明の治療法は、乾癬、リンパ腫細胞、白血病細胞または骨髄腫細胞の成長および増殖を阻害するために、ヘッジホッグシグナル伝達経路のアンタゴニストを用いる。これらの方法は、例えば腫瘍細胞(in vitroまたはin vivo)を、Hhシグナル伝達経路の阻害剤である式Iの化合物と接触させることを含む。一つの態様において、式Iの化合物に関して、YおよびYは、NおよびCR10から選択され;ここで、R10は、水素、メチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ジメチルアミノ−エトキシおよびトリフルオロメチルから選択され;RおよびRは、水素、メチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチルおよびメトキシから独立して選択され;ただしRおよびRは同時に水素ではなく;Rは、水素、フルオロ、クロロ、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される。
【0034】
別の態様において、Rは、シアノ、クロロ、フルオロ、メチル、エチル、t−ブチル、プロピル、イソブチル、イソプロピル、イソプロピルオキシ、ブトキシ、メトキシ、ジメチル−アミノ、エトキシ、メチル−スルファニル、フェニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびピペラジニルから選択され、これらは、所望により2個までのメチル基で置換されており;
およびRは、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、イソプロピルオキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシおよびジメチルアミノから独立して選択され;
およびRは、水素、クロロ、メチル、メトキシおよびシアノから独立して選択されるか;あるいは、RおよびR、または、RおよびRの何れかが、両方が結合しているフェニルと一体となって、キノキサリニルを形成する。
【0035】
別の態様において、Rは、−S(O)11、−OR11、−C(O)R11、−NR12a12bおよび−R11から選択され;ここで、R11は、チオモルホリノ、スルホノモルホリノ、スルファノモルホリノ、モルホリノ、シクロヘキシル、フェニル、アゼパン−1−イル、2−オキソピペラジン−1−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、ピペリジン−1−イル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、ピペリジン−3−イル、ピペラジニル、ピロリジニルおよび1,4−ジアゼパン−1−イルから選択され;R12aおよびR12bは、イソブチルおよびヒドロキシ−エチルから独立して選択され;ここで、Rのチオモルホリノ、スルホノモルホリノ、スルファノモルホリノ、モルホリノ、シクロヘキシル、フェニル、アゼパン−1−イル、2−オキソピペラジン−1−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、ピペリジン−1−イル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、ピペリジン−3−イル、ピペラジニル、ピロリジニルまたは1,4−ジアゼパン−1−イルは、所望によりメチル、エチル、メトキシ、ベンジル、チエニル−メチル、ピリジニル−メチル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−6−イルおよび2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−7−イルから独立して選択される1から3個の基で置換されていてもよく;ここで、Rのフェニルまたはベンジル置換基は、所望によりメトキシ、エトキシ、メチル−ピペラジニル、メチル、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1から3個の基で置換されている。
【0036】
好ましい式Iの化合物は、次に示すものから選択される:
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−シクロヘキシル−フェニル)−アミド、
4'−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−ジメチルアミノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−シクロヘキシル−フェニル)−アミド、
4'−ジメチルアミノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
6−クロロ−4'−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−クロロ−4'−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−クロロ−4'−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−クロロ−4'−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
6−クロロ−4'−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−クロロ−4'−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−クロロ−4'−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
【0037】
4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−エトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−4'−メチルスルファニル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−[1,1';4',1'']テルフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
【0038】
3'−クロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
2',4'−ジクロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
2'−クロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−クロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3',4'−ジクロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−クロロ−6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6,4'−ジメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−エチル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−tert−ブチル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−4'−プロピル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−イソブチル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−イソプロピル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
【0039】
6,2',6'−トリメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6,2',3'−トリメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−3'−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−3',5'−ビストリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−イソプロポキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−エトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
2',6'−ジメトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−4'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−3'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
【0040】
4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
3'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
3'−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−フルオロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
3'−フルオロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
2'−フルオロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4−メチル−N−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−3−キノキサリン−6−イル−ベンズアミド、
6−メチル−4'−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
2'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
3'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
【0041】
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2']ビピリジニル−5'−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (3−フルオロ−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (3−クロロ−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (3−ブロモ−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (3−メチル−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミド、
【0042】
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−シクロヘキシル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 ビフェニル−4−イルアミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4'−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピロリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−2−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−フルオロ−4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−イソプロポキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−ブトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
【0043】
3'−クロロ−4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−6,3'−ジメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−フルオロ−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
6−ブロモ−4'−シアノ−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ベンジル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−チオフェン−3−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
2−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
2−メチル−4'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
【0044】
4'−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−2−フルオロ−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−4−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−3−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2,6−ジメトキシ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−エトキシ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジル]−[1,4]ジアゼパン−1−イル}−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−2−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−ジメチルアミノ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
2−クロロ−4'−シアノ−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
【0045】
2−クロロ−4'−シアノ−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−エチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(3−クロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−イソブチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−tert−ブチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(7−メトキシ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
【0046】
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−3−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−ジフルオロメトキシ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−シアノ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−キノリン−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−4−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−2−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−イミダゾール−1−イル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(3−シアノ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−イソキノリン−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
【0047】
(R)−2−メチル−N−(6−(2−メチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
4'−シアノ−2−メチル−N−(6−スルホニルモルホリノピリジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボキサミド、
(S)−4'−シアノ−2−メチル−N−(6−(2−メチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボキサミド、
(R)−6−クロロ−N−(6−(2−メチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
4'−シアノ−2−メチル−N−(6−スルフィニルモルホリノピリジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボキサミド、
4'−シアノ−N−(6−(ジイソブチルアミノ)ピリジン−3−イル)−2−メチルビフェニル−3−カルボキサミド、
4'−シアノ−N−(2−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチルビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(2−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(2−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
2−メチル−N−(6−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
【0048】
N−(5−クロロ−6−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(6−((2R,6S)−2,6−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(6−(4−エチルピペラジン−1−カルボニル)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
2−メチル−N−(6−(2−オキソピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
2−メチル−N−(6−(1−(ピリジン−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
2−メチル−N−(6−(2−オキソ−4−(ピリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
2−メチル−N−(6−(1−(ピリジン−4−イルメチル)ピペリジン−3−イル)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(6−(1−エチルピペリジン−3−イル)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、および
N−(6−((2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド。
【0049】
従って、特に、ヘッジホッグ、Ptcまたはsmoothenedシグナル伝達活性の局面を妨げる式Iの化合物は、同様に、正常細胞および/またはpatched機能喪失表現型、ヘッジホッグ機能獲得表現型、smoothened機能獲得表現型、Gli機能獲得表現型を有する細胞、またはヘッジホッグ・リガンド表現型が過剰発現している細胞において、増殖(または他の生物学的結果)を阻害し得ると予測される。従って、特定の態様において、これらの化合物は、例えばヘッジホッグ経路を活性化する遺伝子の変異を有さない、正常細胞において、ヘッジホッグ活性を阻害するのに有用であり得る。好ましい態様において、本化合物は、好ましくは標的細胞で特異的に、ヘッジホッグ蛋白質の少なくとも幾らかの生物学的活性を阻害し得る。
【0050】
従って、本発明の方法は、正常細胞、組織および臓器ならびにPtc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型の表現型を有する細胞、組織および臓器を含む広範囲の細胞、組織および臓器の、修復の制御および/または機能性能の制御において、例えば該シグナル経路のsmoothenedまたは下流の構成要素の活性化を阻害することによって、ヘッジホッグシグナル伝達のPtc阻害に拮抗する、式Iの化合物の使用を含む。例えば、対象の方法は、神経組織、骨、および軟骨の形成および修復の制御、精子形成の制御、平滑筋の制御、肺、肝臓および原腸から発生する他の臓器の制御、造血機能の制御、皮膚および発毛の制御などの範囲の治療適用および美容適用を有する。さらに、対象の方法は、培養物中で提供される細胞(in vitro)に対して、または動物全体における細胞に対して(in vivo)、行われ得る。
【0051】
別の態様において、対象の方法は、Ptc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型の表現型を有する上皮細胞を処置するための方法であり得る。例えば、対象の方法は、基底細胞癌または他のヘッジホッグ経路関連障害を処置するまたは予防するのに用いられ得る。
【0052】
特定の態様において、式Iの化合物は、smoothenedまたはその下流の蛋白質に結合することによって、ヘッジホッグ経路の活性を阻害し得る。特定の態様において、対象のアンタゴニストは、patchedに結合することによって、ヘッジホッグ経路の活性を阻害し得る。
【0053】
別の好ましい態様において、対象の方法は、悪性髄芽腫および他の原発性CNS悪性神経外胚葉性腫瘍のための処置計画の一部として用いられ得る。
【0054】
別の局面において、本発明は、in vivoで、増殖またはPtc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型の他の生物学的結果を阻害するのに十分な量で製剤化された、活性成分としてヘッジホッグシグナル伝達調節剤、例えば本明細書で記載した式Iの化合物、Ptcアゴニスト、smoothenedアンタゴニスト、またはヘッジホッグ経路下流蛋白質アンタゴニストを含む医薬製剤を提供する。
【0055】
式Iの化合物、patchedアゴニスト、smoothenedアンタゴニスト、またはヘッジホッグ経路下流蛋白質アンタゴニストを用いる対象の処置は、ヒトおよび動物の対象の双方に有効であり得る。本発明が適用可能な動物は、ペットとしてまたは商業目的の何れかで飼われている飼育動物および家畜の双方に拡張される。この例は、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、およびヤギである。
【0056】
薬理および有用性
本発明は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化を阻害する、例えば、Ptc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型の表現型に起因する異常な増殖状態を阻害する方法および化合物であって、細胞を、正常なPtc活性を刺激する、正常なヘッジホッグ活性と拮抗する、smoothened活性と拮抗する、またはGli活性と拮抗する、例えば異常な増殖状態を元に戻すまたは制御するのに十分な量の式Iの化合物と接触させることを含む方法を提供する。
【0057】
シグナル伝達分子のヘッジホッグ・ファミリーのメンバーは、脊椎動物の発生の際の多くの重要な短時間および長時間パターン形成過程を媒介する。パターン形成は、それによって胚細胞が分化された組織の秩序立った空間配置を形成する活動である。高等生物の身体的な複雑性は、細胞内在性分化系列および細胞外因性シグナルの相互作用により胚発生中に生じる。誘導性相互作用は、脊椎動物の発生における身体計画の最も初期の確立からの胚のパターン形成、臓器系のパターン形成、組織の分化の間の多様な細胞のタイプの形成に必須である。発生の細胞相互作用の効果は変化する:応答細胞は、細胞分化の一つの経路を、応答細胞の非誘導および誘導状態の双方で異なる細胞を誘導することによって、他の経路にそらす(誘導)。ある場合には、細胞は、その近傍の細胞をそれ自身のように分化するよう誘導し(同一遺伝子誘導(homeogenetic induction));他の場合には、細胞はその近傍の細胞をそれ自身のように分化することを阻害する。発生の初期において、細胞相互作用は連続的であり、その結果、2種の細胞のタイプの間での初期誘導が、多様性の進行的増幅を導く。さらに、誘導性相互作用が、胚だけではなく成熟細胞でも同様に起こり、そして形態形成パターンを確立し維持するよう作用し、さらに分化を誘導し得る。
【0058】
ヘッジホッグ遺伝子の脊椎動物のファミリーは、哺乳動物で存在する3種のメンバーを含み、これらはデザート(Dhh)、ソニック(Shh)およびインディアン(Ihh)ヘッジホッグとして知られ、これらの全てが分泌性蛋白質をコードする。これらの種々のヘッジホッグ蛋白質は、高度に保存されたN−末端領域であるシグナルペプチドおよびより多様なC−末端ドメインを構成する。生化学的検討により、Hh前駆体蛋白質の自己蛋白質分解が分子内チオエステル中間体を経て起こり、続いて後者が求核置換で切断されることが示されている。求核体は、N−ペプチドのC−末端に共有結合してそれを細胞表面に固定する、小さい親油性分子である可能性がある。その生物学的意義は重大である。この固定の結果、ヘッジホッグ生成細胞の表面上で、N−末端ヘッジホッグペプチドが局所的に高濃度となる。このN−末端ペプチドが、短期および長期のヘッジホッグシグナル伝達活動に必要であり、かつ十分である。
【0059】
不活性なヘッジホッグシグナル伝達経路では、膜貫通型蛋白質受容体 Patched (Ptc)が、7回膜貫通型蛋白質であるSmoothened (Smo)の活性を阻害している。Hhシグナル伝達の下流の構成要素である転写因子Gliは、Fused and Suppressor of fused (Sufu)を含む細胞質蛋白質との相互作用により核に移入するのを防げられる。その結果、ヘッジホッグ標的遺伝子転写の活性化が抑制される。経路の活性化は、3種の哺乳動物のリガンド(Dhh、ShhまたはIhh)の何れかとPtcとの結合により開始される。リガンドの結合は、Smoの抑制の反転を起こし、それにより、転写因子Gliの活性型の核への移動を起こすカスケードを活性化する。核のGliは、PtcおよびGli自身を含む標的遺伝子の発現を活性化する。
【0060】
上昇したヘッジホッグシグナル伝達レベルは、癌形成の開始に重要であり、腫瘍の生存に必要である。これらの癌は、前立腺癌(“Hedgehog signalling in prostate regeneration, neoplasia and metastasis”, Karhadkar SS, Bova GS, Abdallah N, Dhara S, Gardner D, Maitra A, Isaacs JT, Berman DM, Beachy PA., Nature. 2004 Oct 7;431(7009):707-12;“Inhibition of prostate cancer proliferation by interference with SONIC HEDGEHOG-GLI1 signaling”, Sanchez P, Hernandez AM, Stecca B, Kahler AJ, DeGueme AM, Barrett A, Beyna M, Datta MW, Datta S, Ruiz i Altaba A., Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 Aug 24;101(34):12561-6;“Cytotoxic effects induced by a combination of cyclopamine and gefitinib, the selective hedgehog and epidermal growth factor receptor signaling inhibitors, in prostate cancer cells”, Mimeault M, Moore E, Moniaux N, et al (2006), International Journal of Cancer; 118 (4):1022-31)、乳癌(“Hedgehog signaling pathway is a new therapeutic target for patients with breast cancer”, Kubo M, Nakamura M, Tasaki A, Yamanaka N, Nakashima H, Nomura M, Kuroki S, Katano M., Cancer Res. 2004 Sep 1;64(17):6071-4;“Hedgehog signaling and Bmi-1 regulate self-renewal of normal and malignant human mammary stem cells”, Liu S, Dontu G, Mantle ID, et al (2006) Cancer Res; 66 (12):6063-71;“Constitutive activation of smoothened (SMO) in mammary glands of transgenic mice leads to increased proliferation, altered differentiation and ductal dysplasia”, Moraes RC, Zhang XM, Harrington N, et al (2007), Development; 134 (6):1231-42)、髄芽腫(“Medulloblastoma growth inhibition by hedgehog pathway blockade”, Berman DM, Karhadkar SS, Hallahan AR, Pritchard JI, Eberhart CG, Watkins DN, Chen JK, Cooper MK, Taipale J, Olson JM, Beachy PA., Science. 2002 Aug 30;297(5586):1559-61)、非黒色腫皮膚癌、すなわち扁平上皮癌(SCC)および基底細胞癌(BCC)(“Identification of a small molecule inhibitor of the hedgehog signaling pathway: effects on basal cell carcinoma-like lesions”, Williams JA, Guicherit OM, Zaharian BI, Xu Y, Chai L, Wichterle H, Kon C, Gatchalian C, Porter JA, Rubin LL, Wang FY., Proc Natl Acad Sci U S A. 2003 Apr 15;100(8):4616-21;“Activating Smoothened mutations in sporadic basal-cell carcinoma”, Xie J, Murone M, Luoh SM, Ryan A, Gu Q, Zhang C, Bonifas JM, Lam CW, Hynes M, Goddard A, Rosenthal A, Epstein EH Jr, de Sauvage FJ., Nature. 1998 Jan 1;391(6662):90-2)、膵臓癌、食道癌、胃癌、および胆道癌(“Hedgehog is an early and late mediator of pancreatic cancer tumorigenesis”, Thayer SP, di Magliano MP, Heiser PW, Nielsen CM, Roberts DJ, Lauwers GY, Qi YP, Gysin S, Fernandez-del Castillo C, Yajnik V, Antoniu B, McMahon M, Warshaw AL, Hebrok M., Nature. 2003 Oct 23;425(6960):851-6;“Widespread requirement for Hedgehog ligand stimulation in growth of digestive tract tumours”, Berman DM, Karhadkar SS, Maitra A, Montes De Oca R, Gerstenblith MR, Briggs K, Parker AR, Shimada Y, Eshleman JR, Watkins DN, Beachy PA., Nature. 2003 Oct 23;425(6960):846-51;“Nuclear factor-kappa B contributes to hedgehog signaling pathway activation through sonic hedgehog induction in pancreatic cancer”, Nakashima H, Nakamura M, Yamaguchi H, et al (2006), Cancer Research; 66 (14):7041-9;“Blockade of hedgehog signaling inhibits pancreatic cancer invasion and metastases: A new paradigm for combination therapy in solid cancers”, Feldmann G, Dhara S, Fendrich V, et al (2007) Cancer Research; 67 (5):2187-96;“Oncogenic KRAS suppresses Gli1 degradation and activates Hedgehog signaling pathway in pancreatic cancer cells”, Ji Z, Mei FC, Xie J, et al (2007), J Biol Chem; 282 (19):14048-55)、および小細胞肺癌(“Hedgehog signalling within airway epithelial progenitors and in small-cell lung cancer”, Watkins DN, Berman DM, Burkholder SG, Wang B, Beachy PA, Baylin SB., Nature. 2003 Mar 20;422(6929):313-7;“Hedgehog signaling in small-cell lung cancer: Frequent in vivo but a rare event in vitro”, Vestergaard J, Pedersen MW, Pedersen N, et al (2006), Lung Cancer; 52 (3):281-90)を含み、これらに限定されない。
【0061】
上昇したヘッジホッグシグナル伝達レベルが癌形成の開始に重要であり、腫瘍の生存に必要である、さらなる癌は、大腸癌(“Sonic Hedgehog-dependent proliferation in a series of patients with colorectal cancer”, Douard R, Moutereau S, Pernet P, et al (2006) Surgery; 139 (5):665-70;“Hedgehog signalling in colorectal tumour cells: Induction of apoptosis with cyclopamine treatment”, Qualtrough D, Buda A, Gaffield W, et al (2004), International Journal of Cancer; 110 (6):831-7)、神経膠腫(“Cyclopamine-mediated Hedgehog pathway inhibition depletes stem-like cancer cells in glioblastoma”, Bar EE, Chaudhry A, Lin A, et al, Neuro-Oncology; 2007, 9 (4):594;“HEDGEHOG-GLI1 signaling regulates human glioma growth, cancer stem cell self-renewal, and tumorigenicity”, Clement V, Sanchez P, de Tribolet N, et al, (2007) Current Biology 17 (2):165-72;“Ligand-dependent activation of the hedgehog pathway in glioma progenitor cells”, Ehteshan M, Sarangi A, Valadez JG, et al (2007) Oncogene; March12, 2007, Epub ahead of print)、黒色腫(“Melanomas require HEDGEHOG-GLI signaling reaulated by interactions between GLI1 and the RAS-MEK/AKT pathways”, Stecca B, Mas C, Clement V, et al (2007), Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America; 104 (14):5895-900)、非小細胞肺癌(NSCLC)(“Frequent requirement of hedgehog signaling in non-small cell lung carcinoma”, Yuan Z, Goetz JA, Singh S, et al (2007), Oncogene; 26 (7):1046-55)、卵巣癌(“Hedgehog signal pathway is activated in ovarian carcinomas, correlating with cell proliferation: It's inhibition leads to growth suppression and apoptosis”, Chen XJ, Horiuchi A, Kikuchi N, et al, Cancer Science; (2007) 98 (1):68-76)、肝臓癌(“Activation of the hedgehog pathway in human hepatocellular carcinomas”, Huang SH, He J, Zhang XL, et al (2006), Carcinogenesis; 27 (7):1334-40; “Dysregulation of the Hedgehog pathway in human hepatocarcinogenesis”, Sicklick JK, Li YX, Jayaraman A, et al (2006), Carcinogenesis; 27 (4):748-57)、腎臓癌(“Clear cell sarcoma of the kidney: Up-regulation of neural markers with activation of the sonic hedgehog and Akt pathways”, Cutcliffe C, Kersey D, Huang CC, et al (2005), Clinical Cancer Research; 11 (22):7986-94)、横紋筋肉腫(“Rhabdomyosarcomas and radiation hypersensitivity in a mouse model of Gorlin syndrome”, Hahn H, Wojnowski L, Zimmer AM, et al (1998), Nature Medicine; 4 (5):619-22;“Deregulation of the hedgehog signalling pathway: a possible role for the PTCH and SUFU genes in human rhabdomyoma and rhabdomyosarcoma development”, Tostar U, Malm CJ, Meis-Kindblom JM, et al (2006), Journal of Pathology; 208 (1):17-25)、および軟骨肉腫(“Constitutive hedgehog signaling in chondrosarcoma up-regulates tumor cell proliferation”, Tiet TD, Hopyan S, Nadesan P, et al (2006), American Journal of Pathology; 168 (1):321-30)を含み、これらに限定されない。
【0062】
ヘッジホッグ経路阻害剤(例えばシクロパミン)は、乾癬の処置に有用であることが示されている(“Cyclopamine: inhibiting hedgehog in the treatment of psoriasis” Cutis, 2006, 78(3):185-8; Br. J. Dermatology, 2006 Apr;154(4):619-23;“Psoriatic skin expresses the transcription factor Gli1: possible contribution of decreased neurofibromin expression”, Endo H, Momota Y, Oikawa A, Shinkai H.)。
【0063】
悪性リンパ腫(ML)は、リンパ系の細胞に関係し、米国において5番目に一般的な癌である。MLは、ホジキン病、および、リンパ系増殖疾患の異種性のグループである非ホジキン病を含む。ホジキン病は、全悪性リンパ腫の約14%を占める。非ホジキンリンパ腫は、主にB細胞由来である悪性腫瘍の別種のグループである。WF分類(Working Formulation classification)スキームにおいて、これらのリンパ腫は、その自然経過によって、低悪性度、中悪性度および高悪性度のカテゴリーに分類される(“The Non-Hodgkin's Lymphoma Pathologic Classification Project”, Cancer 49:2112-2135, 1982を参照のこと。)。低悪性度リンパ腫は、緩徐進行型であり、5から10年の生存率中央値を有する (Horning and Rosenberg, N. Engl. J. Med. 311:1471-1475, 1984)。化学療法は大部分の緩徐進行型のリンパ腫において、寛解を誘発させ得るが、完治はまれであり、ほとんどの患者が最終的に再発し、さらなる治療が必要となる。中悪性度および高悪性度リンパ腫は、より侵襲性の腫瘍であるが、化学療法で治癒する見込みも高い。しかし、これらの患者はかなりの割合で再発し、さらなる処置が必要となる。
【0064】
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄中で通常見られるタイプの形質細胞から構成される悪性腫瘍である。これらの悪性形質細胞は、骨髄中に蓄積され、典型的に、モノクローナルIgGまたはIgA分子を生産する。悪性形質細胞は、骨髄に帰巣し、骨髄中で広がり、正常な造血を喪失させるために貧血と免疫抑制を引き起こす。多発性骨髄腫に罹患した個人は、しばしば、貧血、溶骨性病変、腎不全、高カルシウム血症、反復性微生物感染を起こす。MMは、2番目に一般的な造血器悪性腫瘍である。
【0065】
本発明は、トランスジェニックEμ−MycマウスおよびCdkn2aノックアウトマウスから単離されたリンパ腫細胞および形質細胞腫細胞を用いて、リンパ腫および多発性骨髄腫が、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路に依存するという本発明者らによる発見、および、ヘッジホッグ・リガンドが、間質およびリンパ腫細胞の間の相互作用を媒介するという発見に基づいて、一部予測される。骨(多発性骨髄腫)またはリンパ節由来の患者のサンプル、非ホジキンリンパ腫(NHL)患者の骨髄または脾臓から単離されたリンパ腫および多発性骨髄腫のサンプル、および慢性リンパ性白血病(CLL)のサンプルにおいても、同じことが発見された。さらに、Hhシグナル伝達経路の阻害が、間質依存性リンパ腫細胞のアポトーシスを誘発することが見出され、また、ヘッジホッグ経路のメンバーの過剰発現がin vitroでリンパ腫細胞のシクロパミン誘発性アポトーシスを阻害することが見出された。さらに、本発明者らは、マウスをヘッジホッグ経路阻害剤で処置することで、in vivoでリンパ腫の広がりが抑止されることを見出した。最後に、本発明者らは、脾臓のB細胞およびシクロパミン応答性リンパ腫の大部分においてGli3が発現されないこと、しかし全てのシクロパミン耐性リンパ腫においてGliが優勢に発現されることを見出した。
【0066】
これらのデータは、Hhシグナル伝達が、c−Mycによる形質転換の初期段階における重要な抗アポトーシスシグナルを提供することを示している。従って、Hhシグナル伝達経路の破壊は、リンパ腫(例えばNHL)、多発性骨髄腫、CLLおよび他の造血器悪性腫瘍を処置するための新規の手段を提供する。さらに、リンパ腫におけるGli3の発現は、Hh阻害に対する応答性の陰性予測因子を提供し、かつ、患者の層別化のための重要な手段を提供する。
【0067】
これらの発見に従って、本発明は、腫瘍細胞、例えばリンパ腫および骨髄腫細胞の増殖を阻害する方法を提供する。本発明は、腫瘍細胞の増殖を阻害することによる、対象において、リンパ腫または骨髄腫を処置する方法および組成物を提供する。本方法はまた、対象において、腫瘍形成を予防するのに有用である。幾つかの方法は、脾臓B細胞に比してGli3の発現が顕著ではないリンパ腫を処置することを目的とする。本方法は、処置が必要な対象に、Hhシグナル伝達拮抗剤(例えば式Iの化合物)を含む医薬組成物を投与することを含む。本発明の化合物は、Hhシグナル伝達経路メンバーの細胞でのレベルを下方制御し、または生物学的活性を阻害する。
【0068】
本発明は、血液およびリンパ系の癌の予防的または治療的処置方法を提供する。本方法は、リンパ腫細胞、白血病細胞または骨髄腫細胞の成長および増殖を阻害するために、ヘッジホッグシグナル伝達経路のアンタゴニストを用いる。リンパ腫は、Bリンパ球に由来するリンパ芽球の悪性腫瘍である。骨髄腫は、骨髄で通常見出される型の形質細胞から構成される悪性腫瘍である。白血病は、血液形成器官に関する急性または慢性疾患である。NHLは、対応する循環血液中の白血球数の増大を伴うまたは伴わない、身体の組織における白血球数の異常な増大によって特徴付けられ、最も大きく関与している白血球の型に従って分類される。
【0069】
例えば、リンパ腫(例えばB細胞リンパ腫、形質芽球腫、形質細胞腫またはCLL)を発症しているまたはその発症リスクがある対象は、本発明の方法で処置され得る。好ましくは、該対象は、ヒトである。本方法は、ヘッジホッグシグナル伝達経路を阻害するために、対象に、有効量の式Iの化合物を含む医薬組成物を投与することを含む。対象は、転移を伴うまたは伴わない、疾患の全てのステージ(例えばステージIからIV、Ann Arborステージ分類)の、リンパ腫と診断された対象であり得る。本発明の方法で処置するのに適当なリンパ腫は、ホジキン病および非ホジキン病を含み、これらに限定されない。ホジキン病は、特定のリンパ節から生じ、その後に脾臓に広がるヒトのリンパ組織の悪性障害(リンパ腫)である。それは、15才から35才の間の年齢の個体で最も多く起こる。それは、リンパ節、脾臓および全身のリンパ組織への、進行性の痛みのない広がりによって特徴付けられる。古典的なホジキン病は、4つのサブタイプに分類されている:(1) 結節硬化型ホジキン病(NSHD);(2) 混合細胞型ホジキン病(MCHD);(3) リンパ球減少型ホジキン病(LDHD);およびリンパ球豊富型古典的ホジキン病(cLRHD)。
【0070】
幾つかの好ましい態様において、本方法は、非ホジキンリンパ腫(NHL)を処置するために用いられる。非ホジキン病はまた、リンパ肉腫とも呼ばれ、ホジキン病と重要な点で異なるリンパ腫のグループを言い、癌細胞の顕微鏡的様相に従って分類される。非ホジキンリンパ腫は、(1) 増殖が遅いリンパ腫およびリンパ性白血病(例えば慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、濾胞中心リンパ腫、小切れ込み核細胞型濾胞性リンパ腫、濾胞性混合細胞型リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、形質細胞腫、骨髄腫、大顆粒リンパ球性白血病、菌状息肉腫、セザリー症候群);(2) 低侵襲性(moderately aggresive)リンパ腫およびリンパ性白血病(例えば前リンパ球性白血病、マントル細胞リンパ腫、濾胞中心リンパ腫、濾胞性核切れ込み小細胞型、濾胞中心リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/前リンパ球性白血病、血管中心性リンパ腫、血管免疫芽細胞性リンパ腫);(3) 侵襲性リンパ腫(例えばB大細胞型リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、間質性T細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫);および(4) 高侵襲性リンパ腫およびリンパ性白血病(例えば前駆Bリンパ芽球型白血病/リンパ腫、バーキットリンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、バーキット様T細胞前駆体Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫)を含み、これらに限定されない。本発明の方法は、成人または小児のリンパ腫、ならびに全てのステージ、例えばステージI、II、IIIまたはIVのリンパ腫について用いられ得る。本明細書に記載された方法はまた、他の型の白血病、例えば急性リンパ球性白血病(ALL)を処置するために用いられ得る。
【0071】
幾つかの本発明の治療方法は、特に、Gli3を発現していないリンパ腫または骨髄腫を処置することを目的とする。以下の実施例に開示したように、Gli1およびGli2は全てのリンパ腫において発現しているが、検出可能なGli3の発現は主にシクロパミンによるHh経路阻害に抵抗性のリンパ腫に存在した。正常な脾臓B細胞およびシクロパミン応答性リンパ腫の大部分で、Gli3を発現していない。従って、Hhアンタゴニストで処置する前に、リンパ腫を有する対象を、最初に、対象から得られるリンパ腫細胞サンプルにおいてGli3の発現について調べてもよい。サンプル中のGli3発現レベルを、対象から得られる正常な脾臓B細胞中のGli3発現レベルと比較してもよい。リンパ腫または骨髄腫のサンプルおよびコントロール細胞中のGli3発現レベルは、当業者に周知の方法、例えば下記の実施例に記載された方法を用いて決定できる。本明細書で記載されたHhアンタゴニストでの処置に応答する可能性は、リンパ腫または骨髄腫サンプルにおいて検出可能なGli3の発現が見られないこと、あるいは、正常なB細胞中のGli3発現レベルより有意に高くない(例えば最大25%、50%または100%高い)発現レベルによって示される。本発明の治療方法の追加的段階とは別に、患者の層別化方法として、Gli3発現の有無についてのプレ・スクリーニングを独立して用い得る。
【0072】
リンパ腫に加えて、上記の方法および組成物はまた、骨髄腫の処置に適当である。多発性骨髄腫は、しばしばIg鎖の分泌を伴う、形質細胞のクローンの蓄積によって特徴付けられる致命的な腫瘍である。腫瘍による骨髄浸潤は、微生物感染を伴う貧血、低γ−グロブリン血症、および顆粒球減少症に関連している。主に、IL−6およびIL−1βレベル上昇である異常なサイトカイン環境は、しばしば骨痛、骨折および高カルシウム血症を引き起こす破骨の増加に至る。積極的化学療法および移植にもかかわらず、多発性骨髄腫は、一般に、致命的な形質細胞増殖障害である。
【0073】
本発明の化合物は、ヘッジホッグ関連障害、例えばまれな常染色体優性癌遺伝症候群である基底細胞母斑症候群(ゴーリン症候群および/または母斑性基底細胞癌とも言う)の処置に有用である。
【0074】
本発明の化合物は、基底細胞癌(BCCまたは蚕食性潰瘍)、皮膚または副腎髄質の髄質部分から生じる副腎の腫瘍、および卵巣癌の処置に有用である。
【0075】
本発明の化合物は、先端巨大症、大頭症、ソトス症候群、進行性骨幹異形成症(PDDまたはカムラチ・エンゲルマン病)、頭蓋骨幹形成異常、および、ファン・ブッヘム病(I型およびII型)および硬結性骨化症を含む骨内膜骨化過剰障害を含む(これらに限定されない)、骨過成長障害の処置に有用である。
【0076】
本発明の化合物は、むだ毛成長、例えば有毛母班の処置、および脱毛後の毛の再成長の美容的予防に有用である。
本発明の化合物は、肝線維症の処置に有用である。
【0077】
従って、本発明の方法は、正常細胞、組織および臓器ならびにPtc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型の表現型を有する細胞、組織および臓器を含む広範囲の細胞、組織および臓器の修復および/または機能性能の制御において、smoothenedまたは該シグナル伝達の下流の構成要素の活性化の阻害によって、ヘッジホッグシグナル伝達のPtc阻害に拮抗する本発明の化合物の使用を含む。例えば、対象の方法は、神経組織、骨、および軟骨の形成および修復の制御、精子形成の制御、良性前立腺過形成の制御、湿性黄斑変性や乾癬における血管形成の制御、平滑筋の制御、肺、肝臓および原腸から発生する他の臓器の制御、造血機能の制御、皮膚および毛成長の制御などの範囲にわたる治療適用および美容適用を有する。さらに、対象の方法は、培養物中で提供される細胞(in vitro)に対して、または動物全体における細胞に対して(in vivo)、行われ得る。
【0078】
前述に従って、本発明は、さらに、処置が必要な対象において、上記の疾患または状態の何れかを予防または処置する方法であって、該対象に、治療有効量(下記の“投与および医薬組成物”を参照のこと。)の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。上記の使用の何れかにおいて、必要な投与量は、投与方法、処置される特定の状態および望ましい効果に依存して変化する。
【0079】
投与および医薬組成物
一般的に、本発明の化合物は、治療有効量で、当技術分野で既知の、何らかの有用な且つ許容される方法を介して、単独で、または1種以上の治療薬と組み合わせて投与される。治療有効量は、該疾患の重症度、対象の年齢および関連の健康、用いられる化合物の力価および他の因子に依存して、広く変化し得る。一般的に、満足のいく結果は、1日用量で約0.03から2.5mg/kg体重の全身投与で得られる。大型哺乳類(例えばヒト)に適応される1日用量は、約0.5mgから約100mgの範囲で、便宜的には例えば1日4回までの分割投与で、または徐放形で投与される。経口投与に適当な単位投与形は、約1から50mgの活性成分を含む。
【0080】
本発明の化合物は、医薬組成物として、何らかの慣用的な経路によって、特に経腸で、例えば経口で、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で、または、非経腸で、例えば注射可能な溶液または懸濁液の形態で、局所で、例えばローション、ゲル、軟膏またはクリームの形態で、または経鼻剤または坐剤の形態で投与され得る。少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせた、遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を含む医薬組成物は、慣用の方法で、混合、造粒、または被覆法によって製造され得る。例えば、経口組成物は、以下の成分と共に活性成分を含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得る:a) 希釈剤、例えば乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、セルロース、および/またはグリシン;b) 滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウム塩またはカルシウム塩、および/またはポリエチレングリコール;錠剤については、さらに、c) 結合剤、例えばケイ酸マグネシウムアルミニウム、澱粉ペースト、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース ナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン;望ましいならばd) 崩壊剤、例えば澱粉、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、あるいは発泡性混合物;および/またはe) 吸着剤、着色料、風味剤および甘味料。注射可能な組成物は、水性等張性溶液または懸濁液であり得る。そして、坐剤は、脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から製造され得る。該組成物は、滅菌されていてもよく、および/またはアジュバント、例えば保存料、安定剤、湿化剤、または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩、および/または緩衝剤を含んでもよい。さらに、それらはまた、他の治療に有益な物質を含んでもよい。経皮適応に適当な製剤は、担体と共に、有効量の本発明の化合物を含む。担体は、宿主の皮膚を通過するのを助けるための吸収可能な薬理学的に許容される溶媒を含み得る。例えば経皮デバイスは、裏打ち材、所望により担体と共に本化合物を含むリザーバー、所望により本化合物を宿主の皮膚に制御され且つ予め定められた速度で長時間に亘って送達する速度制御障壁、および、皮膚にデバイスを固定するための手段を含む包帯の形態である。マトリックス経皮製剤もまた用い得る。例えば皮膚および眼への局所適用に適当な製剤は、好ましくは、当技術分野で周知の水性の溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。
これらは、溶解剤、安定剤、張力増加剤、緩衝剤、および保存料を含んでもよい。
【0081】
本発明の化合物は、他の治療、例えば放射線治療、骨髄移植またはホルモン療法と組み合わせて、治療有効量で投与され得る。
【0082】
本発明の化合物は、治療有効量で、1種以上の治療薬(医薬組成物)と組み合わせて投与され得る。例えば、リンパ腫または骨髄腫に有用な免疫調節剤、抗炎症性物質、他の抗腫瘍治療薬、化学療法剤、切除または他のホルモン治療、抗悪性腫瘍薬、および/またはモノクローナル抗体と、相乗効果が生じ得る。幾つかの周知の抗癌剤が、当技術分野で記載されており、例えばCancer Therapeutics: Experimental and Clinical Agents, Teicher (Ed.), Humana Press (1st ed., 1997); および Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, Hardman et al. (Eds.), McGraw-Hill Professional (10th ed., 2001)に記載されている。適当な抗癌剤の例は、5−フルオロウラシル、硫酸ビンブラスチン、リン酸エストラムスチン、スラミンおよびストロンチウム−89を含む。適当な化学療法剤の例は、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、シスプラチン、シタラビン、リン酸フルダラビン、マイトマイシンおよびストレプトゾシンを含む。
【0083】
本発明の化合物が他の治療と組み合わせて投与される場合、共投与される化合物の用量は、用いられる併用薬のタイプ、用いられる特定の薬物、処置される状態などに依存して当然に変化する。
【0084】
本発明はまた、例えば、a)本明細書で開示した遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物である第1薬物、および、b)少なくとも1種の併用薬を含むキットなどの薬学的組み合わせを提供する。該キットは、その投与のための指示書を含み得る。
【0085】
“共投与”または“組み合わせ投与”などの用語は、本明細書で用いられるとき、一人の患者への選択された複数の治療薬の投与を含み、そして、該複数の薬物が必ずしも同一の投与経路でまたは同時に投与されない処置計画を含むことを意図している。
【0086】
用語“薬学的組み合わせ”は、本明細書で用いるとき、2種以上の活性成分の混合または組み合わせから得られる製品であり、そして活性成分の固定化された組み合わせおよび固定化されない組み合わせの両方を含む。用語“固定化された組み合わせ”は、複数活性成分、例えば式Iの化合物および併用薬が、共に、1人の患者に、同時に、1個の物または投与形で投与されることを意味する。用語“固定化されない組み合わせ”は、複数活性成分、例えば式Iの化合物および併用薬が、共に、1人の患者に、別個の物として、一緒に(simultaneously)、同時に(concurrently)、または連続して、特定の時間制限なしで投与されることを意味し、ここで、該投与は、患者の体内に治療有効量の2種の化合物を提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば3種以上の活性成分の投与に適用する。
【0087】
本発明の化合物の合成方法
本発明はまた、本発明の化合物の製造方法を含む。記載された反応において、最終生成物中で反応性の官能基(例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基)が望ましいとき、反応中の該基の望ましくない反応を避けるために、該反応性の官能基を保護する必要があり得る。慣用の保護基は、標準的な方法に従って用いられ得る。例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991 を参照のこと。
【0088】
式Iの化合物は、下記の反応スキームIの通りに進めることによって製造され得る。
反応スキームI:
【化2】

ここで、Y、Y、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、本発明の概要において、式Iについて定義した通りである。
式Iの化合物は、式2(または2')の化合物を、適当な溶媒(例えばジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドなど)の存在下、約−20℃から約100℃の範囲の温度で、式3の化合物と反応させ得る。該反応は、完了までに約20時間以下かかる。
【0089】
式Iの化合物の合成の詳細な例は、下記の実施例で見出され得る。
【0090】
本発明の化合物の追加的合成方法
本発明の化合物は、遊離塩基形の本化合物を薬学的に許容される無機酸または有機酸と反応させることによって、薬学的に許容される酸付加塩として製造され得る。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、遊離酸形の本化合物を薬学的に許容される無機または有機塩基と反応させることによって製造され得る。
【0091】
あるいは、塩形の本発明の化合物は、出発物質または中間体の塩を用いて製造され得る。
【0092】
遊離酸形または遊離塩基形の本発明の化合物は、それぞれ、対応する塩基付加塩または酸付加塩から製造され得る。例えば、酸付加塩の形態の本発明の化合物は、適当な塩基(例えば水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することによって、対応する遊離塩基に変換され得る。塩基付加塩の形態の本発明の化合物は、適当な酸(例えば塩酸など)で処理することによって、対応する遊離酸に変換され得る。
【0093】
非酸化形の本発明の化合物は、適当な不活性有機溶媒中(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)、0から80℃で、還元剤(例えば硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リンなど)で処理することによって、本発明の化合物のN−オキシドから製造され得る。
【0094】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に既知の方法によって製造され得る(例えば、さらに詳細については、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照のこと)。例えば、適切なプロドラッグは、誘導体化されていない本発明の化合物を、適当なカルバミル化剤(例えば1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニル カーボネートなど)と反応させることによって製造され得る。
【0095】
本発明の化合物の保護誘導体は、当業者に既知の方法によって製造され得る。保護基の保護および脱保護に適用される方法の詳細な記載は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999で見出され得る。
【0096】
本発明の化合物は、簡便には、溶媒和物(例えば水和物)として、本発明の方法の際に製造され得るかまたは形成され得る。本発明の化合物の水和物は、簡便には、水性/有機溶媒混合物(有機溶媒には、例えばジオキサン、テトラヒドロフランまたはメタノールを使用)から再結晶することによって、簡便に製造され得る。
【0097】
本発明の化合物は、本化合物のラセミ混合物を光学活性な分割剤と反応させ、一対のジアステレオアイソマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することによって、個々の立体異性体として製造され得る。エナンチオマーの分割を、本発明の化合物の共有結合性ジアステレオマー誘導体を用いて行う場合、分離可能な複合体が好ましい(例えば結晶性のジアステレオマーの塩)。ジアステレオマーは、別個の物理学的性質(例えば融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの相違点の利点を用いることによって容易に分離され得る。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーによって、または好ましくは溶解度の違いに基づく分離/分割法によって、分離され得る。次いで光学的に純粋なエナンチオマーを、分割剤を使用して、ラセミ化を起こさない何らかの実用的な方法によって回収する。化合物の立体異性体の分割に適応可能な方法のより詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981に見出され得る。
【0098】
要約すれば、式Iの化合物は、
(a) 反応スキームIの反応;および
(b) 所望により本発明の化合物を薬学的に許容される塩に変換すること;
(c) 所望により塩形の本発明の化合物を非塩形に変換すること;
(d) 所望により非酸化形の本発明の化合物を薬学的に許容されるN−オキシドに変換すること;
(e) 所望によりN−オキシド形態の本発明の化合物をその非酸化形に変換すること;
(f) 所望により異性体混合物から本発明の化合物の個々の異性体を分離すること;
(g) 所望により誘導体化されていない本発明の化合物を薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換すること;および
(h) 所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を誘導体化されていない形態に変換すること;
を含むプロセスによって製造され得る。
【0099】
出発物質の製造は、特に記載されない限り、該化合物が既知であるか、あるいは、当技術分野で既知の方法または以下の実施例で開示された方法と類似の方法で製造され得る。
【0100】
上記の変換は、本発明の化合物の製造方法の、ただの代表例であり、他の周知の方法も同様に用いられ得ることが、当業者に認識されるであろう。
【0101】
実施例
本発明は、さらに、本発明の式Iの化合物の製造を説明している下記の実施例によって例示されるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0102】
実施例1
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−アミド
【化3】

【0103】
工程1: メタノール(70ml)中の3−ヨード−4−メチル−安息香酸(10.0g, 38.2mmol)の溶液に、濃硫酸(0.5ml)を加える。該反応混合物を70℃で48時間加熱し、室温(環境温度)まで冷却し、次いで濃縮する。その後、酢酸エチル(100ml)およびNaHCO水溶液(飽和, 100ml)を残渣に加える。有機層を分離し、再度NaHCO水溶液(飽和, 100ml)で洗浄する。有機層を分離し、無水NaSOで乾燥し、濃縮し、3−ヨード−4−メチル−安息香酸メチルエステル(1)を得る。それをさらに精製することなく次の工程に用いる。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.31 (s, 1 H), 7.87 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 7.48 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 3.85 (s, 3 H), 3.35 (s, 3H);
LC-MS m/z: 277.0 (M+1).
【0104】
工程2: 3−ヨード−4−メチル−安息香酸メチルエステル(1.38g, 5.00mmol)、4−シアノフェニルボロン酸(1.10g, 7.48mmol)、酢酸パラジウム(168mg, 0.748mmol)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(0.526g, 1.50mmol)およびフッ化カリウム(0.870g, 15.0mmol)を含む丸底フラスコに、無水1,4−ジオキサン(15ml)を加える。フラスコをアルゴンでパージし、密封する。混合物を130℃で18時間撹拌し、環境温度に冷却し、次いで水(20ml)および酢酸エチル(20ml)を加える。固体を減圧濾過によって除く。濾液をEtOAc(20ml×2)で抽出する。有機層を合わせて、水性HCl(5%, 20ml)で、そして飽和NaHCO(20ml)で洗浄する。それをMgSOで乾燥させ、濃縮する。残渣をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン, 濃度勾配)によって精製し、4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(2)を得る。
LC-MS m/z: 252.1 (M+1).
【0105】
工程3: 1,4−ジオキサン−HO(1:1混合物, 20ml)中の、4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸メチルエステル(2)(2.56g, 10.3mmol)の溶液に、NaOH(1.22g, 30.2mmol)を加える。該反応物を環境温度で24時間撹拌する。この混合物に、水性HCl(1N, 36ml)を加え、次いでそれを酢酸エチル(40ml×3)で抽出する。有機層を合わせて、無水NaSOで乾燥させる。溶媒を除去する。得られた固体を少量のアセトニトリルで洗浄し、空気乾燥させ、4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(3)を得る。
1H NMR (DMSO-d6) δ 7.94 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 7.84 (dd, 1 H, J1 = 8.4 Hz, J2 = 1.2 Hz), 7.75 (d, 1 H, J = 1.2 Hz), 7.61 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 7.48 (d, 1 H, J = 8.4 Hz), 2.29 (s, 3 H);
LC-MS m/z 238.1 (M+1).
【0106】
工程4: 無水塩化メチレン(5ml)中の4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(3)(40mg, 0.17mmol)の懸濁液に、2滴のDMFを加える。次いで、塩化オキサリル(32mg, 22μl, 0.25mmol)を加える。澄明になるまで、該混合物を環境温度で撹拌する。その後、それを濃縮し、無水塩化メチレン(3ml)に再度溶解し、塩化メチレン(2ml)中の4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニルアミン(61mg, 0.25mmol)およびトリエチルアミン(34mg, 47μl, 0.33mmol)の溶液に加える。該混合物を2時間撹拌し、濃縮し、残渣を、分取HPLC(マストリガー)(C18カラム, 0.05%TFAを含むCHCN−HOで溶出)によって精製し、4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−アミドを得る。
1H NMR (DMSO-d6) δ 10.64 (s, 1 H), 8.07(d, 2 H, J = 8.8 Hz), 7.97 (d, 2 H, J = 8.4 Hz), 7.95 (d, 1 H, J = 8.8 Hz), 7.89 (s, 1 H), 7.43 (d, 2 H, J = 8.4 Hz), 7.67 (d, 2 H, J = 8.8 Hz), 7.53 (d, 2 H, J = 8.8 Hz), 3.63 (m, 4 H), 2.84 (m, 4 H) 2.32 (s, 3 H);
LC-MS m/z: 462.1 (M+1).
【0107】
実施例2
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド
【化4】

【0108】
工程1: 2−クロロ−5−ニトロ−ピリジン(4)(2.38g, 15mmol)およびcis−2,6−ジメチルモルホリン(1.73g, 15mmol)の溶液に、KCO(4.14g, 30mmol)を加える。該混合物を50℃で一夜加熱する。濃縮後、残渣を、EtOAcと水の層間に分配する。EtOAc層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮し、粗生成物(6)を黄色の固体として得る。粗生成物をさらに精製することなく次の工程に直接用いる。
LC-MS m/z: 238.1 (M+1).
【0109】
工程2: 上記の粗製の物質(6)を、Pd−C(0.2g)の存在下、MeOH(100ml)中、水素下で、10時間にわたって水素化する。懸濁液をセライトで濾過し、濾液を濃縮し、粗生成物(7)を暗褐色の油状物として得る。これをさらに精製することなく次の工程に直接用いる。
LC-MS m/z: 208.1 (M+1).
【0110】
工程3: 乾燥DMF(5ml)中の、3−ブロモ−4−メチル安息香酸(108mg, 0.5mmol)、6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イルアミン(7)(104mg, 0.5mmol)およびHATU(190mg, 0.5mmol)の溶液に、トリエチルアミン(139μL, 1.0mmol)を滴下する。得られた混合物を室温で2時間撹拌する。濃縮後、残渣をEtOAcと水の層間に分配する。有機層を乾燥させ、濃縮し、粗生成物を得る。最終化合物を、フラッシュ・カラム・クロマトグラフィーによって、ヘキサン中50%EtOAcを溶出液として用いて精製し、(8)を白色の固体として得る。
LC-MS m/z: 404.1 (M+1).
【0111】
工程4: トルエン(0.2ml)および水(0.2ml)およびエタノール(0.05ml)の混合溶媒系中の、4−シアノフェニルボロン酸(18mg, 0.12mmol)、3−ブロモ−N−[6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−4−メチル−ベンズアミド(8)(40mg, 0.1mmol)、Pd(PPh)(11mg, 0.01mmol)およびNaCO(42mg, 0.4mmol)の混合物を、140℃で、マイクロ波照射下、30分間加熱する。該反応混合物をEtOAcおよび水で希釈する。水層をEtOAcで抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、濃縮し、粗生成物を得る。これを、分取HPLC(マストリガー)(C18カラム, 0.05%TFAを含むCHCN−HOで溶出)によって精製し、4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミドを得る。
LC-MS m/z: 427.2 (M+1).
【0112】
適切な出発物質を用いて、上記の実施例で記載した手順を繰り返すことによって、表1に示した式Iの化合物を得る。
表1
【表1】

【0113】
【表2】

【0114】
【表3】

【0115】
【表4】

【0116】
【表5】

【0117】
【表6】

【0118】
【表7】

【0119】
【表8】

【0120】
【表9】

【0121】
【表10】

【0122】
【表11】

【0123】
【表12】

【0124】
【表13】

【0125】
【表14】

【0126】
【表15】

【0127】
【表16】

【0128】
【表17】

【0129】
【表18】

【0130】
【表19】

【0131】
【表20】

【0132】
【表21】

【0133】
本発明の化合物の分析のための一般的な物質および方法は、PCT出願番号PCT/US2007/038171の“Compounds and Compositions for Treating Lymphoma and Myeloma”; Dierks and Warmuthに記載されている。この出願の全ての開示は、言及することによって、全ての目的について、その全体が、本明細書に組み込まれる。本発明の化合物は、ヘッジホッグシグナル伝達経路を阻害する能力を評価するためにアッセイされる。
【0134】
Hh経路阻害についてのGli-Lucレポーター・アッセイ
マウスのTM3細胞(American Type Culture Collection, ATCC, Manassas, VAより購入)を、5%の熱不活性化ウマ血清および2.5%のFBS(Gibco/Invitrogen, Carlsbad, CA )、50単位/mLのペニシリンおよび50μg/mLのストレプトマイシン(Gibco/Invitrogen, Carlsbad, CA)を加えたDMEM/F12培地(Gibco/Invitrogen, Carlsbad, CA)中で、37℃で、5%COで、空気雰囲気中で培養する。TM3細胞を、pTA-8xGli-Lucレポーター・プラスミドでトランスフェクトした。TMHh-12と名付けた、安定にトランスフェクトしたクローンを選択した。TMHh-12クローンが、Shh-N刺激に良好な応答を示した。アンタゴニストのIC50を評価するために、8000個のTMHh-12細胞を、384ウェル・プレートのそれぞれのウェルに、2%のFBSを加えた50% DMEM/F12培地と共に播種した。12時間後、Hh経路は、リコンビナントのマウスShh蛋白質(E.coli中で発現, 8μg/mL)を添加することによって、または、Smoアゴニストを添加することによって活性化される。試験化合物をプレートに異なる濃度で加える。48時間後、蛍ルシフェラーゼ活性を、Bright-Glo(商標) Luciferase Assay System (Promega, Madison, WI)で分析する。該化合物の効果により発光シグナルが50%まで減少するとき、IC50を測定する。これらの化合物の毒性を、TM3細胞中、CellTiter Glo assayを用いて、または、TM3-Luc細胞株(構成的ルシフェラーゼ発現ベクターで安定的にトランスフェクトしたTM3細胞)によって評価する。
【0135】
式Iの化合物は、好ましくは500nM未満の、より好ましくは200nM未満のEC50を有する。
【0136】
Hh経路の阻害がin vivo でのリンパ腫の広がりを抑止する
間質が産生するヘッジホッグ・リガンドは、in vitro培養条件下で、初代リンパ腫細胞における重要な成長および生存因子である。in vivoにおけるリンパ腫細胞の成長および広がりはまた、Hhシグナル伝達に依存する。ルシフェラーゼを発現する1e6リンパ腫細胞を、同系のC57BL/6マウスに注射した。注射から2日後、マウスをビークル・コントロールまたは本発明の化合物(50、25、10および5mg/kg/bid)で、10日間経口投与によって処置した。ルシフェラーゼ濃度を、週に3回、生物発光造影によって測定した。注射から10日後、コントロール群は、全ての注射したマウスのリンパ節および脾臓において、強い発光を示した。本発明の化合物によって50、25および10mg/kg/bidで処置されたマウスは、コントロール群(T/C 10%未満)と比較して10%未満までの発光シグナルの低下を示した。5mg/kg/bid投与群は、40%からのT/Cを有する部分応答を示した。従って、我々は、ヘッジホッグ経路阻害が、マウスにおいて、リンパ腫増殖を減少させるという結論を得た。
【0137】
例えば、表1の化合物153は、最大の効果を示し、すなわち、化合物153の存在は、50mg/kg/日で、リンパ腫細胞の広がりを完全に阻止する。
【0138】
胎児皮膚パンチアッセイ
皮膚パンチアッセイを用いて、非黒色腫皮膚癌、すなわち基底細胞癌病変を処置する能力について、本発明の化合物を試験する。Ptch+/--LacZマウス由来の胎児のマウスを集め、妊娠期間後期(胎齢17.5日)に殺し、その皮膚を切除した。円形パンチ(直径4mm)を、コラーゲンで被覆したTranswell(BIOCOAT cell Culture Insert, Becton Dickinson Labware, Bedford, MA)に入れ、表皮側を表向きにして、大気−液体界面で培養する。培養培地は、表皮増殖因子、インシュリンおよびヒドロコルチゾンを加えた、DMEM/F12(3:1)中5% FBSを含む。類基底癌胞巣の形成を誘発するために、パンチを1〜2μg/ml Shhの存在下、4日間以上増殖させる。Shh添加時またはShh前処置の6日後に添加することによって、本発明の化合物の効果を試験する。本発明の化合物は、1μM未満の濃度で、完全阻害(病変形成の阻止)を示す。
【0139】
式Iの化合物は、好ましくは、500nM未満の、より好ましくは200nM未満のEC50を有し、類基底癌(basanoid)形成をブロックする。例えば、表1の化合物153は、完全に類基底癌形成をブロックし、200nM未満のEC50を有する。
【0140】
乾癬アッセイ
Tas & Avci, Pharmacology and Treatment, Dermatology 2004; 209:126-131に記載されたアッセイに従って、乾癬皮膚病変を処置する能力について、本発明の化合物を試験する。
【0141】
本明細書で記載された実施例および態様は例示の目的のみであり、その観点から種々の修飾または変更が当業者によって提案され、本出願の精神および範囲内および添附の請求項の範囲内に含まれる。本明細書で引用された全ての文献、特許および特許明細書は、言及することによって、全ての目的に関して組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞において、ヘッジホッグ経路を阻害する方法であって、細胞を、式I:
【化1】

[式中、
およびYは、NおよびCR10から独立して選択され;ここで、R10は、水素、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換−C1−6アルコキシおよび−OXNR10a10bから選択され;ここで、R10aおよびR10bは、水素およびC1−6アルキルから独立して選択され;
は、シアノ、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換−C1−6アルコキシ、C6−10アリール、ジメチル−アミノ、C1−6アルキル−スルファニルおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから選択され、これらは、所望により2個までのC1−6アルキル基で置換されており;
およびRは、水素、シアノ、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換−C1−6アルコキシおよびジメチルアミノから独立して選択され;
およびRは、水素、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロ置換−C1−6アルコキシから独立して選択され;
あるいは、RおよびR、または、RおよびRの何れかは、両方が結合しているフェニルと一体となって、C5−10ヘテロアリールを形成し;
およびRは、水素、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロ置換−C1−6アルコキシから独立して選択され;ただし、RおよびRは、同時に水素ではなく;
は、水素、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロ置換−C1−6アルコキシから選択され;
は、−S(O)11、−C(O)R11、−NR12a12bおよび−R11から選択され;ここで、R11は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから選択され;R12aおよびR12bは、C1−6アルキルおよびヒドロキシ置換−C1−6アルキルから独立して選択され;
ここで、Rのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、所望によりC1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換−C1−6アルコキシ、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−12シクロアルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから独立して選択される1から3個の基で置換されていてもよく;
ここで、Rのアリール−アルキル置換基は、所望によりハロ、C1−6アルキル、ハロ置換−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換−C1−6アルコキシおよびメチル−ピペラジニルから独立して選択される1から3個の基で置換されている。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物もしくは異性体と接触させることを含む方法。
【請求項2】
およびYが、NおよびCR10から選択され;ここで、R10が、水素、メチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ジメチルアミノ−エトキシおよびトリフルオロメチルから選択され;
およびRが、水素、メチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチルおよびメトキシから独立して選択され;ただし、RおよびRは同時に水素ではなく;
が、水素、フルオロ、クロロ、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される、
請求項1に記載された化合物。
【請求項3】
が、シアノ、クロロ、フルオロ、メチル、エチル、t−ブチル、プロピル、イソブチル、イソプロピル、イソプロピルオキシ、ブトキシ、メトキシ、ジメチル−アミノ、エトキシ、メチル−スルファニル、フェニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびピペラジニルから選択され、これらは、所望により2個までのメチル基で置換されており;
およびRが、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、イソプロピルオキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシおよびジメチルアミノから独立して選択され;
およびRが、水素、クロロ、メチル、メトキシおよびシアノから独立して選択されるか;あるいは、RおよびR、または、RおよびRの何れかが、両方が結合しているフェニルと一体となって、キノキサリニルを形成する、
請求項2に記載された化合物。
【請求項4】
が、−S(O)11、−OR11、−C(O)R11、−NR12a12bおよび−R11から選択され;ここで、R11が、チオモルホリノ、スルホノモルホリノ、スルファノモルホリノ、モルホリノ、シクロヘキシル、フェニル、アゼパン−1−イル、2−オキソピペラジン−1−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、ピペリジン−1−イル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、ピペリジン−3−イル、ピペラジニル、ピロリジニルおよび1,4−ジアゼパン−1−イルから選択され;R12aおよびR12bが、イソブチル、ヒドロキシ−エチルから独立して選択され、
ここで、Rのチオモルホリノ、スルホノモルホリノ、スルファノモルホリノ、モルホリノ、シクロヘキシル、フェニル、アゼパン−1−イル、2−オキソピペラジン−1−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、ピペリジン−1−イル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、ピペリジン−3−イル、ピペラジニル、ピロリジニルまたは1,4−ジアゼパン−1−イルが、所望によりメチル、エチル、メトキシ、ベンジル、チエニル−メチル、ピリジニル−メチル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−6−イルおよび2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−7−イルから独立して選択される1から3個の基で置換されていてもよく;
ここで、Rのフェニルまたはベンジル置換基が、所望によりメトキシ、エトキシ、メチル−ピペラジニル、メチル、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロおよびトリフルオロメチルから独立して選択される1から3個の基で置換されている、
請求項3に記載された化合物。
【請求項5】
N−(6−((2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−シクロヘキシル−フェニル)−アミド、
4'−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−ジメチルアミノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−シクロヘキシル−フェニル)−アミド、
4'−ジメチルアミノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
6−クロロ−4'−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−クロロ−4'−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−クロロ−4'−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−クロロ−4'−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
6−クロロ−4'−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−クロロ−4'−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−クロロ−4'−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−エトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−4'−メチルスルファニル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−[1,1';4',1'']テルフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−クロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
2',4'−ジクロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
2'−クロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−クロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3',4'−ジクロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−クロロ−6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6,4'−ジメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−エチル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−tert−ブチル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−4'−プロピル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−イソブチル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−イソプロピル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6,2',6'−トリメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6,2',3'−トリメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−3'−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−3',5'−ビストリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−イソプロポキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−エトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
2',6'−ジメトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−4'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−3'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
3'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
3'−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−フルオロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
3'−フルオロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
2'−フルオロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4−メチル−N−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−3−キノキサリン−6−イル−ベンズアミド、
6−メチル−4'−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
2'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
3'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2']ビピリジニル−5'−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (3−フルオロ−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (3−クロロ−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (3−ブロモ−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (3−メチル−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−モルホリン−4−イル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4−シクロヘキシル−フェニル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 ビフェニル−4−イルアミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (4'−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピロリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−2−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−フルオロ−4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−イソプロポキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−ブトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
3'−クロロ−4'−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−メトキシ−6,3'−ジメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−フルオロ−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
6−ブロモ−4'−シアノ−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ベンジル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−チオフェン−3−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
2−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
2−メチル−4'−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−2−フルオロ−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−4−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−3−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2,6−ジメトキシ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−エトキシ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 (6−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジル]−[1,4]ジアゼパン−1−イル}−ピリジン−3−イル)−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−2−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−ジメチルアミノ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
2−クロロ−4'−シアノ−ビフェニル−3−カルボン酸 [4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、
4'−シアノ−6−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
2−クロロ−4'−シアノ−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−エチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(2−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(3−クロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−イソブチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−tert−ブチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(7−メトキシ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−3−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−ジフルオロメトキシ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−シアノ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−キノリン−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−4−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−ピリジン−2−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(4−イミダゾール−1−イル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 {6−[4−(3−シアノ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、
4'−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸 [6−(4−イソキノリン−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、
(R)−2−メチル−N−(6−(2−メチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
4'−シアノ−2−メチル−N−(6−スルホニルモルホリノピリジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボキサミド、
(S)−4'−シアノ−2−メチル−N−(6−(2−メチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボキサミド、
(R)−6−クロロ−N−(6−(2−メチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
4'−シアノ−2−メチル−N−(6−スルフィニルモルホリノピリジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボキサミド、
4'−シアノ−N−(6−(diイソブチルアミノ)ピリジン−3−イル)−2−メチルビフェニル−3−カルボキサミド、
4'−シアノ−N−(2−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチルビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(2−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメチル)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(2−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
2−メチル−N−(6−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(5−クロロ−6−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(6−((2R,6S)−2,6−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(6−(4−エチルピペラジン−1−カルボニル)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)−ビフェニル−3−カルボキサミド、
2−メチル−N−(6−(2−オキソピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
2−メチル−N−(6−(1−(ピリジン−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
2−メチル−N−(6−(2−オキソ−4−(ピリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
2−メチル−N−(6−(1−(ピリジン−4−イルメチル)ピペリジン−3−イル)ピリジン−3−イル)−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、および
N−(6−(1−エチルピペリジン−3−イル)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4'−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド
から選択される、請求項4に記載された化合物。
【請求項6】
該細胞が、Ptc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、smoothened機能獲得型、Gli機能獲得型の表現型を有するか、または、ヘッジホッグ・リガンドを過剰発現している、請求項1に記載された方法。
【請求項7】
in vivoまたはin vitroで、細胞をヘッジホッグ・アンタゴニストと接触させる、請求項6に記載された方法。
【請求項8】
治療適用の一部として、該化合物が動物に投与される、請求項7に記載された方法。
【請求項9】
該治療適用が、非黒色腫皮膚癌、骨髄腫、リンパ腫、および乾癬から選択される、請求項8に記載された方法。
【請求項10】
該治療適用が、基底細胞母斑症候群、基底細胞癌および骨過成長障害から選択される、請求項8に記載された方法。
【請求項11】
該骨過成長障害が、先端巨大症、大頭症、ソトス症候群、進行性骨幹異形成症、頭蓋骨幹形成異常、および、ファン・ブッヘム病(I型およびII型)および硬結性骨化症を含む骨内膜骨化過剰障害から選択される、請求項10に記載された方法。
【請求項12】
該骨内膜骨化過剰障害が、I型およびII型ファン・ブッヘム病から選択される、請求項11に記載された方法。
【請求項13】
該治療的適用が、有毛母班、および脱毛後の毛の再成長の美容的予防から選択されるむだ毛成長の処置である、請求項8に記載された方法。
【請求項14】
望ましくない細胞増殖を阻害する方法であって、細胞を式Iの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項15】
該細胞が、非黒色腫皮膚癌、骨髄腫、リンパ腫および乾癬から選択される、請求項14に記載された方法。

【公表番号】特表2010−529963(P2010−529963A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511306(P2010−511306)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/065816
【国際公開番号】WO2008/154259
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】