説明

ヘッジホッグ経路関連障害の処置におけるビアリールカルボキサミドの使用

本発明は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性を調節する、例えば、アンタゴナイズする方法を提供する。特に、本発明は、細胞と十分量の本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を接触させることを含む、Ptc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、Smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型のような表現型によりもたらされる異常増殖状態の阻止方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達は、最初にショウジョウバエで胚性パターン形成、または胚細胞が分化した組織の秩序だった空間的配置を形成する工程の重要な制御機構として最初に同定された。(Nusslein-Volhard et al. (1980)Nature 287, 795-801)哺乳動物細胞において、3種のヘッジホッグ遺伝子、ソニックヘッジホッグ(Shh)、インディアン(India)ヘッジホッグ(Ihh)およびデザートヘッジホッグ(Dhh)が同定されている。ヘッジホッグ遺伝子は分泌型タンパク質をコードし、これは、N末端の自己触媒的開裂および脂質修飾(パルミトイル化)およびC末端のコレステロール修飾を含む翻訳後修飾に付される。
【背景技術】
【0002】
脂質修飾されたN末端ヘッジホッグタンパク質は、タンパク質経路のシグナル伝達活性を誘発し、そして細胞−細胞伝達がシグナル伝達細胞からの可溶性ヘッジホッグタンパク質の発送および応答細胞による受領により生じる。応答細胞において、12回膜貫通型受容体Patched(Ptch)は、Hhシグナル伝達の負のレギュレーターとして働き、そして7回膜貫通型タンパク質Smoothened(Smo)はHhシグナル伝達の正のレギュレーターとして働く。休止状態では、遊離Ptch(すなわち、Hhにより結合されていない)は、Smoにより誘発される経路活性を準化学量論的に抑制する(Taipale et al. (2002)Nature 418: 892);リガンドHhタンパク質の結合により、しかしながら、Smoの抑制は緩み、そして得られるシグナル伝達カスケードがGli転写因子(Gli1、Gli2およびGli3)の活性化および核移行に至る。
【0003】
Hhシグナル伝達転写の下流標的遺伝子はWnts、TGFβ、およびPtcおよびGli1を含み、これらは正および負制御フィードバックの要素である。いくつかの細胞サイクルおよび増殖制御遺伝子、例えばc−myc、サイクリンDおよびEもまたとりわけHhシグナル伝達の標的遺伝子である。
【0004】
Hhシグナル伝達は、細胞増殖、分化、および臓器形成のような広範囲の生物学的過程を、組織特異的および用量依存的方法で制御することが知られている。神経管の発達中、Shhは底板に発現し、運動およびドーパミン作動性ニューロンを含むニューロンの特異的サブタイプの分化を指示する。Hhはまた小脳顆粒(cerebella granule)細胞および神経幹細胞のような神経先祖細胞の増殖を制御することも知られている。発達中の腸管において、低レベルのHhシグナル伝達が膵臓発達に必要であり、一方高レベルのHhシグナル伝達は膵臓臓器形成を遮断する。Hhはまた幹細胞増殖および皮膚、前立腺、精巣および骨髄の臓器形成にも役割を有することが知られている。
【0005】
通常、Hhシグナル伝達は細胞増殖、分化および胚性パターン形成の間厳密に制御されている。しかしながら、ヘッジホッグシグナル伝達経路の、該経路を構成的に活性化する変異による異常な活性は、例えば、病理学的結果を有し得る。単なる例示として、Patchedの機能喪失型変異は、ゴーリン症候群(皮膚および脳の癌のリスクが高い遺伝性症候群、基底細胞母斑症候群(BCNS)としても既知)に見られ;そしてSmoおよびGliの機能獲得型変異は、基底細胞癌腫および神経膠芽腫と関連する。基底細胞癌腫(BCC)は皮膚癌の最も一般的な形態であり、毎年90,000名を超えるアメリカ人を襲う。Hhの構成的活性化は、BCCにおける腫瘍形成、髄芽腫(最も一般的な小児脳腫瘍)、横紋筋肉腫、膵臓癌、小細胞肺癌、前立腺癌および乳癌を促進することが判明している。腫瘍形成における役割以外に、Hhシグナル伝達はまた前立腺癌の転移にも関与する。Hhシグナル伝達は、多くのさらなる腫瘍タイプに関与している可能性があり、そしてそのような関連は発見され続けるであろうと予測される;これは、世界中の多くの癌センターで積極的に腱熏されている領域である。
【0006】
これらの癌細胞の増殖は、Hh活性化を必要とし、そしてHhシグナル伝達経路の遮断はしばしば癌細胞増殖を阻止する。実際、HhアンタゴニストシクロパミンおよびGli1 siRNAはこれらの癌細胞を有効に遮断でき、異種移植モデルにおいて腫瘍サイズを減少でき、新規Hhアンタゴニストがこれらの癌の処置のための新規化学療法剤を提供できるであろうことを示唆する。Hhアンタゴニストシクロパミンは動物モデルにおいて前立腺癌を抑制することが示されている。
【0007】
癌への関与に加えて、Hhシグナル伝達は、正常組織ホメオスタシスおよび再生に重要な役割を有する。Hh経路は、マウスモデルにおいて網膜、胆管、肺、骨および前立腺の傷害後に活性化される。Hh経路はまた毛包、骨髄、および中枢神経系(CNS)の一定領域において常に活性であり、良性前立腺肥大および滲出型黄斑変性症における血管形成にはヘッジホッグ経路活性が必要である。細胞再生過程は抗Shh抗体およびシクロパミンにより遮断できる。それ故に、Hhシグナル伝達経路の小分子アンタゴニストは、神経増殖性疾患、良性前立腺肥大、滲出型黄斑変性症、乾癬、骨髄増殖性疾患および白血病、大理石骨病の処置および脱毛に有用であるはずである。
【0008】
Smoの構成的活性化が癌(例えば、BCC)に至る、およびSmoが、Ptchによる阻止から解き放たれたとき発癌性になり得るとの証拠は、このような障害の処置における治療剤としてのSmoアンタゴニストの有用性を示唆する。(Stone et al. (1996)Nature 384: 129)。従って、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性を調節する分子、例えば、Smo活性を調節する分子は治療的に有用である。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
本発明は、一般に、腫瘍形成、癌、新生組織形成、および非悪性過増殖性障害を含み、これに限定されないヘッジホッグ経路が関連する病因の診断および処置に、およびより具体的に、ヘッジホッグおよびSmoシグナル伝達経路を阻害する薬剤、例えば、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、式(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物)を使用した、腫瘍形成、腫瘍増殖および腫瘍生存を阻害する方法に関する。本発明の方法および化合物は、例えば、Ptc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、Smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型のような表現型によりもたらされる異常増殖状態を阻害することにより、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化を阻害することに関し、そして、細胞と本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を、正常Ptc活性をアゴナイズする、正常ヘッジホッグ活性をアンタゴナイズする、またはSmoothened活性をアンタゴナイズするのに(例えば、異常増殖状態を逆転または制御するのに)十分な量で接触させることを含む。
【0010】
本発明の化合物は、以下にさらに記載するとおり、Smo合成、発現、産生、安定化、リン酸化、細胞内の再配置、および/または活性の小分子阻害剤またはアンタゴニストを含む。本発明の化合物は、式Iの化合物を含み、これに限定されない。
【0011】
本発明の一つの局面は、化合物をSmo依存性経路活性化の阻害に用いる利用可能な方法を作る。本発明の他の局面は、本化合物をヘッジホッグ(リガンド)非依存性経路活性化の阻害に用いる利用可能な方法を作る。ある態様において、本方法は、ヘッジホッグ機能獲得型、Ptc機能喪失型またはSmoothened機能獲得型変異に由来するようなヘッジホッグ経路の望まない活性化の表現効果を打ち消すのに使用できる。例えば、対象方法は、細胞(インビトロまたはインビボ)と、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)または他の小分子のようなSmoアンタゴニストを、Smoothened依存性および/またはヘッジホッグ非依存性活性化経路をアンタゴナイズするのに十分量で接触させることを含む。
【0012】
本発明の方法は、インビトロおよび/またはインビボでの、例えば、幹細胞からの組織の形成における細胞の増殖および/または分化を制御する、または過増殖性細胞の増殖を予防するのに使用し得る。他の特定の態様において、細胞と本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の接触 − または細胞内への導入 − は、細胞増殖阻害、腫瘍細胞増殖および/または生存阻害、および/または腫瘍形成阻害をもたらす。それ故に、他の特定の態様は、腫瘍細胞において本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を使用することによるHh経路を阻害および/またはアンタゴナイズする方法を提供する。
【0013】
本発明の方法は、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を薬学的に許容される賦形剤または担体として製剤された医薬製剤として用い、該製剤は、癌および/または腫瘍(例えば髄芽腫(medullablastoma)、基底細胞癌腫など)のような望ましくない細胞増殖、および非悪性過増殖性障害が関与する状態を処置するために患者に投与し得る。
【0014】
本発明の一つの態様は、インビトロまたはインビボで、細胞におけるSmoタンパク質の合成、発現、産生、安定化、リン酸化、細胞内の再配置、および/または活性を阻害する方法であって、細胞と本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を接触させるか、または該細胞に導入することを含む、方法を提供する。
【0015】
本発明の他の局面は、哺乳動物に治療的有効量の本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を投与することを含む、Smo遺伝子または遺伝子産物(例えば、Smoタンパク質)の存在および/または発現により特徴付けられる、哺乳動物における細胞衰弱、混乱、および/または機能障害;過形成性、過増殖性および/または癌性疾患状態;および/または腫瘍細胞転移を診断、予防および/または処置する方法を提供する。
【0016】
本発明のさらに他の局面は、アポトーシス抵抗性腫瘍細胞の処置方法であって、該腫瘍細胞にインビトロまたはインビボで本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を投与することを含む方法を提供する。一つの態様において、本方法は、腫瘍細胞に老化、アポトーシス、または壊死を起こす手段として本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を使用することを含む。他の態様において、該投与は腫瘍細胞死に至りおよび転移を予防する。
【0017】
本発明の他の局面は、腫瘍細胞における化学療法剤耐性を克服する方法であって、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を該細胞に投与することを含み、ここで、該投与は該腫瘍細胞の該化学療法剤への増加した感受性をもたらし、そしてその後の腫瘍細胞死および転移形成の予防をもたらす。
【0018】
図面の簡単な説明
図1aは式Iの化合物を製造するための一般的合成スキームを示す。最も好ましい式(Ic)の化合物は、図1bに示す通り、中間体5aから、アルデヒドR6(CH)CHOでの、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライドのような還元剤存在下の還元的アミノ化により製造できる。
【0019】
発明の詳細な記載
本発明は、式(I):
【化1】

〔式中、
R2−C、R3−C、R4−CまたはR5−CはNで置換してよく;
nは1、2または3であり;
R1は炭素環式アリールまたはヘテロアリールであり;
R2、R3、R4およびR5は、独立して水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、アルキルカルボニル、トリフルオロメトキシまたはシアノであり;
R6は水素、所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式またはヘテロ環式アリール−低級アルキルであり;
R7は水素、所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、または
【化2】

(式中、
Raは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
Rbは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
RcおよびRdは、独立して水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリールであるか;またはヘテロシクリルであるか、またはRcおよびRdは、一体となって低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)で中断されている低級アルキレンであり;
Reは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリル、アミノまたは置換アミノである)
である。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーのビアリールカルボキサミド化合物を含む、本発明の化合物に関する。
【0020】
本発明の好ましい態様は、式(Ia)
【化3】

〔式中、
R2−C、R3−C、R4−CまたはR5−CはNで置換してよく;
R1’は水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、低級アルキル、シアノ、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジメチルアミノであり;
R2からR7は、式Iについて定義の意味を有する。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーに関する。
【0021】
本発明の他の好ましい態様は、式(Ib)
【化4】

〔式中、
R1’はトリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり;
R2およびR3は、独立して水素、C1−C4アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり;
R4およびR5は水素であり;
R6は水素またはC1−C3アルキルであり;
R7は所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、または
【化5】

(式中、
Raは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
Rbは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
RcおよびRdは、独立して水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール;または
ヘテロシクリルであるか、またはRcおよびRdは、一体となって低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)で中断されている低級アルキレンであり;
Reは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリル、アミノまたは置換アミノである)
である。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーに関する。
【0022】
本発明の他の好ましい態様は、
R1’がトリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり;
R2およびR3が、独立して水素、C1−C4アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり;
R4およびR5が水素であり;
R6が水素であり;
R7が所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキルまたはヘテロアリール−低級アルキルである;
式(Ib)の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマー。
【0023】
本発明の他の特に好ましい態様は、式(Ic)
【化6】

〔式中、
R1’はトリフルオロメチルまたはクロロであり;
R2は水素またはメチルであり;
mは0または1であり;
Rfは炭素環式またはヘテロ環式アリールである。〕
の化合物およびその薬学的に許容される塩に関する。
【0024】
本発明の化合物は、ここに記載の置換基の性質によって、1個以上の不斉炭素原子を有し、それ故に、ラセミ体、およびそのRおよびSエナンチオマーとして存在する。好ましいのは、典型的に(NR6R7置換基を有する炭素で)S配置を割り当てられるより活性のエナンチオマーである。
【0025】
以下にさらに記載の通り、本発明の化合物は、PCT特許公報WO01/05767およびWO00/05201、およびKsander, et al. (2001) Journal of Medicinal Chemistry, 44:4677に記載の通り製造でき、これらの内容を引用により本明細書に包含させる。
【0026】
本明細書において、用語“処置”は予防的または防止的処置ならびに治癒的または疾患抑制的処置の方法を含み、本発明の障害(例えば、ヘッジホッグ関連障害(例えば、癌))のリスクのある患者ならびに病気の患者の処置を含む。この用語は、さらに、疾患の進行遅延のための処置を含む。
【0027】
例えば、ヘッジホッグ関連障害(例えば、癌)を“抑制および/または逆転”により、出願人は、該ヘッジホッグ関連障害(例えば、糖尿病)を無くすか、または該状態を以前よりまたは無処置よりも重症度を軽減することを意味する。
【0028】
ここで使用する“治癒”は、処置を介して患者におけるヘッジホッグ関連障害(例えば、癌)、または、その進行中の事象の寛解に至ることを意味する。
【0029】
用語“防止”または“予防”は、代謝障害、例えば、糖尿病の発症または再発を妨げることを意味する。
【0030】
“処置”または“処置する”は、治療、予防および防止を意味し、そして特に虚弱質または疾患または患者が影響を受けている場合の状態をまたは事象の防止(予防)または治癒するまたは程度もしくは発生の可能性を低下させるために患者に対する医薬の投与または医学的処置を実施することを意味する。
【0031】
“診断”は、臨床試験への参加者を含む患者の診断、予後診断、モニタリング、特徴付け、選択および特定の障害または事象の危険のあるまたは有する、もしくは特定の治療的処置に最も応答しそうな患者の同定、または特定の治療的処置に対する患者の応答の評価またはモニタリングを意味する。
【0032】
“対象”または“患者”は、状態、障害または疾患の処置を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。
【0033】
ここで使用する“本発明の化合物”は、式Iの化合物(例えば、式(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物)を含み、これに限定されない。本発明の化合物は、本明細書の実施例に挙げられているものを含むここに具体的に挙げた化合物を含む。
【0034】
ここで使用する“進行遅延”は、ヘッジホッグ関連障害(例えば、癌)を前段階または初期相の患者への本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の投与が、疾患がさらに進行することを防止するか、または、活性化合物の投与なしでの疾患の進行と比較して疾患の進行を遅延させることを意味する。
【0035】
“ヘッジホッグ機能獲得型”は、Ptc遺伝子、ヘッジホッグ遺伝子、またはSmoothened遺伝子の異常修飾または変異、またはこのような遺伝子の発現レベルの変化(例えば、減少)を意味し、これが細胞とヘッジホッグタンパク質の接触を模倣する表現型、例えば、ヘッジホッグ経路の異常活性化をもたらす。機能獲得型は、Ptc遺伝子産物が、Gli遺伝子、例えば、Gli1、Gli2、およびGli3の発現レベルを制御する能力を失うか、またはGliタンパク質、例えば、Gli1、Gli2、およびGli3の処理、安定性、局在化または活性を制御する能力を失うことを含み得る。用語“ヘッジホッグ機能獲得型”はまた、ここで、ヘッジホッグそれ自体の修飾または変異を含み、これに限定されないヘッジホッグシグナル伝達経路のどこかでの改変により起こる類似の細胞表現型(例えば、過剰増殖を示す)を意味するためにも使用する。例えば、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化のために異常に高い増殖速度を有する腫瘍細胞は、ヘッジホッグがその細胞で変異されていなくてさえ、“ヘッジホッグ機能獲得型”表現型を有するであろう。
【0036】
“Patched機能喪失型”は、Ptc遺伝子の異常修飾または変異、または該遺伝子の発現レベルの減少を意味し、これは、細胞とヘッジホッグタンパク質の接触を模倣する表現型、例えば、ヘッジホッグ経路の異常活性化をもたらす。機能喪失型は、Ptc遺伝子産物がGli遺伝子およびタンパク質、例えば、Gli1、Gli2およびGli3の発現レベル、処理、安定性、局在化、制御または活性を制御する能力を失うことを含み得る。
【0037】
“Gli機能獲得型”は、Gli遺伝子の異常修飾または変異、または該遺伝子の発現レベルの上昇を意味し、これは、細胞とヘッジホッグタンパク質の接触を模倣する表現型、例えば、ヘッジホッグ経路の異常活性化をもたらす。
【0038】
“Smoothened機能獲得型”は、Smo遺伝子の異常修飾または変異、または該遺伝子の発現レベルの上昇を意味し、これは、細胞とヘッジホッグタンパク質の接触を模倣する表現型、例えば、ヘッジホッグ経路の異常活性化をもたらす。
【0039】
ここで使用される“小有機分子”は、3キロダルトン未満、および好ましくは1.5キロダルトン未満の分子量を有する有機化合物(または無機化合物(例えば、金属)と複合体化している有機化合物)である。
【0040】
ここで使用する“レポーター”遺伝子は用語“マーカー遺伝子”と交換可能に使用され、そして容易に検出できるおよび/またはルシフェラーゼのような容易に検出できる遺伝子産物をコードする核酸を意味である。
【0041】
転写および翻訳制御配列は、宿主細胞におけるコード配列の発現を提供する、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどのようなDNA制御配列である。真核細胞において、ポリアデニル化シグナルが制御配列である。
【0042】
“プロモーター配列”は、細胞においてRNAポリメラーゼと結合でき、下流(3'方向)コード配列の転写を開始できるDNA制御領域である。本発明を規定する目的で、プロモーター配列は、その3'末端で転写開始部位により結合し、バックグラウンドを超える検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小数の塩基または要素を含むように上流(5'方向)に伸長する。プロモーター配列内で、転写開始部位(簡便には例えば、ヌクレアーゼS1でのマッピングにより定義)、ならびにRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見られる。
【0043】
コード配列は、RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写し、次いでそれがトランスRNAスプライシングされ、該コード配列によりコードされるタンパク質に翻訳されるとき、細胞内で転写および翻訳制御配列の“制御下”にある。
【0044】
句“薬学的に許容される”は、生理学的に耐容性であり、ヒトに投与したとき典型的にアレルギー性または類似の望ましくない応答、例えば胃不調、目眩などを生じない分子または組成物を意味する。好ましくは、ここで使用する、用語“薬学的に許容される”は、連邦政府または州政府の監督官庁により承認されているまたは米国薬局方にもしくは動物、およびより具体的にヒトへの使用のために一般的に認識されている他の薬局方に挙げられていることを意味する。
【0045】
用語“担体”は、本化合物を一緒に投与する希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体を意味する。このような医薬担体は、滅菌液体、例えば水および油(ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などのような石油、動物、植物または合成起源のものを含む)であり得る。水または食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液を好ましくは、特に注射用溶液のための担体として用いる。適当な医薬担体は、“Remington's Pharmaceutical Sciences” by E. W. Martinに記載されている。
【0046】
句“治療的有効量”は、臨床的に顕著な宿主の活性、機能および応答の欠損を、少なくとも約15%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%低下させる、および最も好ましくは予防する量を意味するためにここで使用する。あるいは、治療的有効量宿主における臨床的に顕著な状態/症状の改善をもたらすのに十分な量である。
【0047】
“医薬”は、医薬組成物および診断用組成物の製造に使用し得る、または化合物、核酸、ポリペプチド、フラグメント、アイソフォーム、変異体、またはこのような目的のために独立して使用し得る他の物質であり得る全ての物質を意味し、全て、本発明にしたがう。
【0048】
ここで使用する“類似体”は、本発明の望む活性および治療効果(例えば、腫瘍増殖阻害)を有する化合物、ヌクレオチド、タンパク質またはポリペプチドまたは化合物と類似または同一の活性または機能を有するが、必ずしも好ましい態様の配列または構造と類似のまたは同一の配列または構造を含むものではない小有機化合物、ヌクレオチド、タンパク質、またはポリペプチドを意味する。
【0049】
“アポトーシス”はプログラム細胞死を意味し、膜小疱形成、クロマチン凝縮および断片化、アポトーシス小体の形成および陽性の“TUNEL”染色パターンのようなある種の細胞特徴により特徴付けられる。アポトーシス中のゲノムDNAの分解は、特徴的、ヌクレオソームサイズのDNAフラグメントの形成をもたらす;この分解は、ゲル電気泳動で分析したとき、特徴的な(約)180bpラダリングパターンを生ずる。アポトーシス工程の後半の段階は原形質膜の分解であり、アポトーシス細胞を種々の色素(例えば、トリパンブルーおよびヨウ化プロピジウム)に対して浸透しやく(leaky)する。
【0050】
“誘導体”は、アミノ酸残基置換、欠失または付加の導入により変えられている親タンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列を含む化合物、タンパク質またはポリペプチド、またはヌクレオチド置換または欠失、付加または変異のいずれかにより修飾されている核酸またはヌクレオチドのいずれかを意味する。核酸、ヌクレオチド、タンパク質またはポリペプチド誘導体は親ポリペプチドと類似または同一の機能を有する。
【0051】
“阻害剤”または“アンタゴニスト”は、Hh経路機能のインビトロおよびインビボアッセイを使用して同定した阻害分子、例えば、Smoアンタゴニストを意味する。特に、阻害剤およびアンタゴニストは、Hh経路を介して起こるシグナル伝達を減少させる化合物または医薬を意味する。阻害剤は、この経路を介するシグナル伝達を減少、遮断または防止する化合物であり得る。
【0052】
ここで使用する“ヘッジホッグ関連障害”は、ヘッジホッグ経路の混乱または異常と関連する障害、ならびにヘッジホッグ経路の活性化に関連する正常ではあるが、望ましくない増殖状態と関連する障害を含む。“ヘッジホッグ関連障害”は、腫瘍形成、癌、新生組織形成、悪性過増殖性障害、および非悪性過増殖性障害を含み、これに限定されない。“ヘッジホッグ関連障害”はまた良性前立腺肥大、乾癬、滲出型黄斑変性症、大理石骨病および不必要な毛の増殖も含む。
【0053】
ここで使用される用語“癌”は、固形哺乳動物腫瘍ならびに造血器腫瘍を含む。“固形哺乳動物腫瘍”は、頭頚部、肺、中皮腫、縦隔、食道、胃、膵臓、肝胆道系、小腸、結腸、結腸直腸、直腸、肛門、腎臓、尿道、膀胱、前立腺、陰茎、精巣、婦人科臓器、卵巣、乳房、内分泌系、皮膚、脳を含む中枢神経系の主要;軟組織および骨の肉腫;および皮膚および眼内期限の黒色腫を含む。用語“造血器腫瘍”は小児白血病およびリンパ腫、リンパ球性および皮膚起源のホジキン病リンパ腫、急性および慢性白血病、血漿細胞新生物およびAIDSと関連する癌を含む。加えて、全ての進行段階の癌、原発性、転移、および再発癌を処置できる。多くのタイプの癌についての情報は、例えば、米国癌協会、または、例えば、Wilson et al. (1991)Harrison’s Principles of Internal Medicine, 12th Edition, McGraw-Hill, Inc.から見ることができる。ヒトおよび獣医使用の両方が意図される。
【0054】
本発明の方法による処置に特に感受性である癌は、神経膠腫、髄芽腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNETS)、基底細胞癌腫(BCC)、小細胞肺癌、大細胞肺癌、胃腸管の腫瘍、横紋筋肉腫、軟組織肉腫、膵臓腫瘍、膀胱腫瘍および前立腺腫瘍を含み、これに限定されない。
【0055】
ここで使用される用語“悪性過増殖性障害”は、癌、神経増殖性障害、骨髄増殖性疾患および白血病を含み、これに限定されない。
【0056】
ここで使用される用語“非悪性過増殖性障害”は、非悪性および非新生物増殖性障害、例えば血管の平滑筋過形成、皮膚瘢痕化、および肺線維症を含み、これに限定されない。
【0057】
用語“アルキル”は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基、好ましくは1〜7個の炭素原子を有する低級アルキルを意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチルなどを含む。好ましいのはC−C−アルキルである。
【0058】
各々ここで有機ラジカルまたは化合物と関連して記載されている用語“低級”は、異なって定義されていない限り、一般に7個まで(7個を含む)、好ましくは4個まで(4個を含む)および有利に1個または2個の炭素原子を定義する。これは直鎖でも分枝鎖でもよい。
【0059】
用語“所望により置換されていてよいアルキル”は、1〜20個の炭素原子を有する非置換または置換直鎖または分枝鎖炭化水素基、好ましくは1〜7個の炭素原子の低級アルキルを意味する。非置換アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチルなどを意味する。
【0060】
用語“置換アルキル”は、1個以上の以下の基で置換されているアルキル基を意味する:ハロ(例えばF、Cl、BrおよびI)、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、置換アミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アミノスルホニル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、アルコキシカルボニル、アリール、アラルコキシ、グアニジノ、ヘテロシクリル(例えば、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジル)など。
【0061】
用語“低級アルキル”は、上記の通り1〜7個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
用語“アルコキシ”または“アルキルオキシ”はアルキル−O−を意味する。
【0062】
用語“アリール”または“アル”は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、およびビフェニル基のような環部分に6〜12個の炭素原子を有する炭素環式単環式または二環式芳香族性炭化水素基を意味し、この各々は、所望により1〜4個、例えば、1個または2個の、アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、置換アミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、アルコキシカルボニル、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、アミノスルホニルなどのような置換基で置換されていてよい。
【0063】
用語“アラルキル”は、ベンジルのようにアルキル基に結合したアリール基を意味する。
用語“ハロゲン”または“ハロ”は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
用語“ハロアルキル”は、トリフルオロメトキシのようなハロで一または多置換されているアルキルを意味する。
【0064】
用語“アルキレン”は、単結合により結合している1〜6個の炭素原子の直鎖架橋(例えば、−(CH)−であって、ここでxは1〜6である)であり、これは1〜3個の低級アルキル基で置換されていてよい。
【0065】
用語“O、S、N−(H、アルキルまたはアラルキル)で中断されているアルキレン”は、(メ)エチレンオキシ(メ)エチレン、(メ)エチレンチオ(メ)エチレン、または(メ)エチレンイミノ(メ)エチレンのようなO、S、N−(H、アルキルまたはアラルキル)により中断されている2〜6個の炭素原子の直鎖を意味する。
【0066】
用語“シクロアルキル”は、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルのような3〜8個の炭素原子の環状炭化水素基を意味する。
用語“アルカノイルオキシはアルキル−C(O)−O−を意味する。
【0067】
用語“アルキルアミノ”および“ジアルキルアミノ”は各々(アルキル)NH−および(アルキル)N−を意味する。
用語“アルカノイルアミノ”はアルキル−C(O)−NH−を意味する。
用語“アルキルチオ”はアルキル−S−を意味する。
【0068】
用語“アルキルチオノ”はアルキル−S(O)−を意味する。
用語“アルキルスルホニル”はアルキル−S(O)−を意味する。
用語“カルバミル”は−C(O)−アミノまたは−C(O)−置換アミノを意味する。
【0069】
用語“アルコキシカルボニル”はアルキル−O−C(O)−を意味する。
用語“アシル”はアルカノイル、アロイル、ヘテロアロイル(aryol)、アリール−アルカノイル、ヘテロアリールアルカノイルなどを意味する。
【0070】
用語“ヘテロアリール”または“ヘテロアル”は、所望により、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロのような1〜4個、例えば1個または2個の置換基で置換されていてよい、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリルなどのような芳香族性ヘテロ環、例えば単環式または二環式ヘテロ環式アリールを意味し、該ヘテロ環の結合点は、ヘテロ環式環の炭素原子である。好ましいヘテロアリール残基は1−メチル−2−ピロリル、2−、3−チエニル、2−チアゾリル、2−イミダゾリル、1−メチル−2−イミダゾリル、2−,3−,4−ピリジル、または2−キノリルである。
【0071】
用語“アルカノイル”は、例えば、C−C−アルカノイル、とりわけアセチル、プロピオニルまたはピバロイルのようなC−C−アルカノイルを意味する。
用語“アラルコキシ”は、アルコキシ基に結合したアリール基を意味する。
【0072】
用語“アリールスルホニル”はアリール−SO−を意味する。
用語“アロイル”はアリール−CO−を意味する。
【0073】
用語“ヘテロシクリル”は、所望により置換されていてよい、完全に飽和したまたは不飽和の、芳香族性または非芳香族性環状基であり、例えば、それは4〜7員単環式、7〜11員二環式、または10〜15員三環式環系であり、それは少なくとも1個の炭素原子含有環に少なくとも1個のヘテロ原子を有する。ヘテロ原子を含むヘテロ環基の各環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含み得て、ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子はまた所望により酸化されていてよく、そして窒素ヘテロ原子はまた所望により4級化されていてもよい。ヘテロ環基は任意のヘテロ原子または炭素原子に結合し得る。
【0074】
単環式ヘテロ環基の例は、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル(isothiazoliclinyl)、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソランおよびテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニルなどを含む。
【0075】
二環式ヘテロ環基の例は、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドーリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル(enzopyranyl)、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えばフロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニル]またはフロ[2,3−b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(例えば3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)などを含む。
【0076】
三環式ヘテロ環基の例は、カルバゾリル、ベンジドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどを含む。
【0077】
用語“ヘテロシクリル”はまた置換ヘテロ環基を含む。置換ヘテロ環基は、以下の1個、2個または3個で置換されているヘテロ環基を意味する:
(a)アルキル;
(b)ヒドロキシ(または保護ヒドロキシ);
(c)ハロ;
(d)オキソ(すなわち=O);
(e)アミノまたは置換アミノ;
(f)アルコキシ;
(g)シクロアルキル;
(h)カルボキシ;
(i)ヘテロシクロオキシ;
(j)アルコキシカルボニル、例えば非置換低級アルコキシカルボニル;
(k)カルバミル、アルキルカルバミル、アリールカルバミル、ジアルキルカルバミル;
(l)メルカプト;
(m)ニトロ;
(n)シアノ;
(o)スルホンアミド、スルホンアミドアルキルまたはスルホンアミドジアルキル;
(p)アリール;
(q)アルキルカルボニルオキシ;
(r)アリールカルボニルオキシ;
(s)アリールチオ;
(t)アリールオキシ;
(u)アルキルチオ;
(v)ホルミル;
(w)アリールアルキル;または
(x)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはハロで置換されたアリール置換。
【0078】
用語“ヘテロシクロオキシ”は、酸素架橋を介して結合したヘテロ環基を意味する。
【0079】
用語“ヘテロアリール”または“ヘテロアル”は、所望により、例えば、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロで置換されていてよいピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フリル、チエニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリルなどのような芳香族性ヘテロ環、例えば単環式または二環式アリールを意味する。
【0080】
用語“ヘテロアリールスルホニル”はヘテロアリール−SO−を意味する。
用語“ヘテロアロイル”はヘテロアリール−CO−を意味する。
用語“アシルアミノ”はアシル−NH−を意味する。
【0081】
用語“置換アミノ”は、アルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキルで一、または独立して二置換されている、または低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アラルキル)などで中断されている低級アルキレンで二置換されているアミノを意味する。
【0082】
本発明の化合物の何らかの酸の薬学的に許容される塩は、塩基と形成される塩、すなわちナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのようなアルカリおよびアルカリ土類金属塩、ならびにアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびトリス−(ヒドロキシメチル)−メチルアンモニウム塩のようなアンモニウム塩のようなカチオン性塩を意味する。
【0083】
同様に鉱酸、有機カルボン酸、および有機スルホン酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸の付加塩のような酸付加塩は、アミノまたはピリジルのような塩基性基が構造の一部を構成するならば、可能である。
【0084】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、ピリジルのような塩基性基が構造の一部を構成するならば、特に鉱酸、有機カルボン酸、および有機スルホン酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸などのような酸付加塩である。
【0085】
本発明の化合物は、ここに記載の置換基の性質によって、1個以上の不斉炭素原子を有し、それ故に、ラセミ体、およびそのRおよびSエナンチオマーとして存在する。好ましいのは、典型的に(NR置換基を有する炭素で)S配置を割り当てられるより活性のエナンチオマーである。
【0086】
本発明は、Hhおよび/またはSmoにより制御されるグナル伝達経路が本発明の化合物(例えば、式Iの化合物(例えば、式(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物)により調節できるとの発見に関する。
【0087】
一つの態様において、本発明の方法は、Smo依存性経路活性化の阻害のために本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を使用する。本発明の他の局面は、本化合物をヘッジホッグ(リガンド)非依存性経路活性化の阻害に用いる利用可能な方法を作る。ある態様において、本方法は、ヘッジホッグ機能獲得型、Ptc機能喪失型またはSmoothened機能獲得型変異に由来するようなヘッジホッグ経路の望まない活性化の表現効果を打ち消すのに使用できる。例えば、対象方法は、細胞(インビトロまたはインビボ)と、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)または他の小分子のようなSmoアンタゴニストを、Smoothened依存性および/またはヘッジホッグ非依存性活性化経路をアンタゴナイズするのに十分量で接触させることを含む。
【0088】
一つの態様において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、Smoタンパク質の三次元構造を不活性立体構造にロックすることにより、またはSmoが活性立体構造を採ることを防止することにより、Hhシグナル伝達を阻害する。他の態様において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、Smoの内在性活性化リガンドがSmoに結合するまたは活性化することを防止することにより、Hhシグナル伝達を阻害する(すなわち、内在性アゴニストとの負の協同性を介して作用する)。他の態様において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、Smoの内在性不活性化リガンドがSmoに結合するまたは不活性化することを高めることにより、Hhシグナル伝達を阻害する(すなわち、内在性アンタゴニストとの正の協同性を介して作用する)。
【0089】
他の態様において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、Smoが原形質膜に局在化することを防止することにより、Hhシグナル伝達を阻害する。他の態様において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、Hhリガンドの存在下または非存在下で、PtchからSmoへのシグナル伝達を防止することによりHhシグナル伝達を阻害する。他の態様において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、Smoの安定化の防止によりHhシグナル伝達を阻害する。他の態様において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、活性化部位上のSmoのリン酸化を防止することにより、Hhシグナル伝達を阻害する。他の態様において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、阻害部位上のSmoのリン酸化を増加することによりHhシグナル伝達を阻害する。
【0090】
さらに他の態様、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、Smoが転写因子Gliのような下流標的を活性化するのを防止することにより、Hhシグナル伝達を阻害する。他の態様において、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)は、Smoの不活性化、隔離、および/または分解を行うことにより、Hhシグナル伝達を阻害する。
【0091】
他の態様において、本発明の方法は、インビトロおよび/またはインビボで、例えば、幹細胞からの組織の形成において細胞の増殖および/または分化を制御する、または過増殖性細胞の増殖を防止する方法に使用できる。他の特定の態様において、細胞と本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の接触 − または細胞内への導入 − は、細胞増殖の阻害、癌の阻害/腫瘍細胞増殖および/または生存、および/または腫瘍形成の阻害をもたらす。それ故に、他の特定の態様は、腫瘍細胞において本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を使用することによるHh経路を阻害および/またはアンタゴナイズする方法を提供する。
【0092】
さらに他の態様において、本発明の方法は、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を薬学的に許容される賦形剤または担体として製剤された医薬製剤として用い、該製剤は、癌および/または腫瘍(例えば髄芽腫(medullablastoma)、基底細胞癌腫など)のような望ましくない細胞増殖、および非悪性過増殖性障害が関与する状態を処置するために患者に投与し得る。
【0093】
本発明の一つの態様は、インビトロまたはインビボで、細胞におけるSmoタンパク質の合成、発現、産生、および/または活性を阻害する方法であって、細胞と本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を接触させるか、または該細胞に導入することを含む、方法を提供する。
【0094】
本発明の他の態様は、哺乳動物に治療的有効量の本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の合成および/または発現および/または活性を阻害するまたはアンタゴナイズする薬剤を投与することを含む、Smo遺伝子または遺伝子産物(例えば、Smoタンパク質)の存在および/または発現により特徴付けられる、哺乳動物における細胞衰弱、混乱、および/または機能障害;過形成性、過増殖性および/または癌性疾患状態;および/または腫瘍細胞転移を診断、予防および/または処置する方法を提供する。
【0095】
さらに他の態様において、本発明はアポトーシス抵抗性腫瘍細胞の処置方法であって、該腫瘍細胞にインビトロまたはインビボで本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を投与することを含む方法を提供する。一つの態様において、本方法は、腫瘍細胞に老化、アポトーシス、または壊死を起こす手段として本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を使用することを含む。他の態様において、該投与は腫瘍細胞死に至りおよび転移を予防する。
【0096】
本発明の他の態様は、腫瘍細胞における化学療法剤耐性を克服する方法であって、本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)を該細胞に投与することを含み、ここで、該投与は該腫瘍細胞の該化学療法剤への増加した感受性をもたらし、そしてその後の腫瘍細胞死および転移形成の予防をもたらす。
【0097】
それ故に、Hh、Ptc、またはSmoothenedシグナル伝達活性の状況を妨害する式Iの化合が、同様に正常細胞および/またはPatched機能喪失型表現型、ヘッジホッグ機能獲得型表現型、Smoothened機能獲得型表現型またはGli機能獲得型表現型を有する細胞において増殖(または他の生物学的結果)を阻害できることが特に意図される。それ故に、ある態様において、これらの化合物が、例えば、ヘッジホッグ経路を活性化する遺伝変異を有しない正常細胞におけるヘッジホッグ活性の阻害に有用であり得る。好ましい態様において、本化合物は、好ましくは特異的に標的細胞において、ヘッジホッグタンパク質の生物学的活性の少なくともいくつかを阻害できる。
【0098】
それ故に、本発明の方法は、正常細胞、組織、および臓器、ならびにPtc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、Smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型の表現型のものを含む広範囲の細胞、組織および臓器の修復および/または機能的性能の制御において、シグナル経路のSmoothenedまたは下流要素の活性化を阻害することによるような、ヘッジホッグシグナル伝達のPtc阻害をアゴナイズする式Iの化合物の使用を含む。例えば、対象方法は、神経組織の制御、骨および軟骨形成および修復、精子形成の制御、良性前立腺肥大の制御、滲出型黄斑変性症における血管形成の制御、乾癬、平滑筋の制御、肺、肝臓および原腸由来の他の臓器の制御、造血機能の制御、皮膚および毛増殖の制御などの範囲の治療的および美容的適用を有する。さらに、対象方法は、培養(インビトロ)、または全動物中の細胞動物(インビボ)で提供される細胞で実施できる。
【0099】
ある態様において、式Iの化合物は、Smoothenedまたはその下流タンパク質に結合することによりヘッジホッグ経路の活性化を阻害できる。
【0100】
他の態様において、本発明は、活性成分として、式Iの化合物のようなヘッジホッグシグナル伝達モジュレーター、ここに記載のようなSmoothenedアンタゴニストを含む、インビボ、増殖またはPtc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、Smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型の他の生物学的結果を阻害するのに十分な量で製剤された、医薬製剤を含む。
【0101】
本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の投与による対象の処置は、ヒトおよび動物対象の両方で行い得る。本発明が適用できる動物対象は、ペットとして、または商業的に目的のいずれかで飼育している家庭用動物および家畜に広がる。例は、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびラマである。
【0102】
本発明は、例えば、正常増殖状態を逆転または制御するために、細胞と式Iの化合物を、Smoothened活性をアンタゴナイズする、またはGli活性をアンタゴナイズするのに十分な量で接触させることを含む、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化の阻害のための、例えば、ヘッジホッグシグナル伝達経路の生理学的活性化によりもたらされる、正常であるが、望ましくない増殖状態、例えば良性前立腺肥大または滲出型黄斑変性症における血管形成の阻害のための利用可能な方法および化合物を作る。
【0103】
本発明は、例えば、異常増殖状態を逆転または制御するために、細胞と式Iの化合物を、Smoothened活性をアンタゴナイズする、またはGli活性をアンタゴナイズするのに十分な量で接触させることを含む、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化を阻害するための、例えば、Ptc機能喪失型、ヘッジホッグ機能獲得型、Smoothened機能獲得型またはGli機能獲得型のような表現型によりもたらされる異常増殖状態を阻害するための利用可能な方法および化合物を作る。
【0104】
シグナル伝達分子のヘッジホッグファミリーメンバーは、脊椎動物発育中の多くの重要な短および長時間パターニング過程を仲介する。パターン形成は、胚細胞が分化組織の秩序だった空間的配置を形成する活性である。高級生物の肉体的複雑さは、細胞−内因性系統および細胞−外因性シグナル伝達の相互作用を介して胚発生中に起こる。誘導性相互作用は、体制プランの最も速い確立からの脊椎動物における胚パターニング、臓器系のパターニング、組織分化中の種々の細胞型の産生に必須である。発生的細胞相互作用の効果は多様である:応答細胞は、応答細胞の非誘導および誘導状態の両方で異なる、細胞を誘発することにより、細胞分化の一つの経路から他の経路に変わる(誘導)。細胞は、それらの隣接細胞を、それら自身のように分化するように誘導することもある(ホメオジェネティック誘導);他の場合、細胞はそれらの隣接細胞がそれらのように分化することを阻止する。発生初期の細胞相互作用は、2個の細胞型の間の最初の誘導が多様性の漸進的増加に至るように、連続的であり得る。さらに、誘導相互作用は胚だけでなく、同様に成体細胞でも起こり、形態形成パターンの確立および維持ならびに分化誘導に働く。
【0105】
ヘッジホッグ遺伝子の脊椎動物ファミリーは、デザート(Dhh)、ソニック(Shh)およびインディアン(Ihh)ヘッジホッグとして既知の哺乳動物に存在する3種のメンバーを含み、その全てが分泌型タンパク質をコードする。これらの種々のヘッジホッグタンパク質はシグナルペプチド、非常に保存されたN末端領域、およびより多岐にわたるC末端ドメインから成る。生化学試験は、Hh前駆体タンパク質の自己タンパク質分解性開裂が内部チオエステル中間体を介して進行し、それが続いて求核性置換で開裂されることを示している。求核試薬は小親油性分子であるようであり、それは細胞表面にそれを繋留するN−ペプチドのC末端と共有結合することになる。生物学的関与は深い。繋留の結果、N末端ヘッジホッグペプチドの高い局所濃度がヘッジホッグ産生細胞の表面上に産生される。短および長時間ヘッジホッグシグナル伝達活性に必要および十分の両方であるのは、このN末端ペプチドである。
【0106】
Smoothened(Smo)は、ヘッジホッグ(Hh)シグナルのトランスデューサーとして働く1024アミノ酸膜通過タンパク質をコードする。Smoタンパク質は7回疎水性膜貫通ドメイン、細胞外アミノ末端領域、および細胞内カルボキシ末端領域を有する。SmoはGタンパク質共役受容体と幾分類似性を有し、そしてセルペンチンタンパク質のFrizzled(Fz)ファミリーと最も相同性である。(Alcedo et al. (1996) Cell 86: 221)
【0107】
不活性ヘッジホッグシグナル伝達経路は、膜通過タンパク質受容体Patched(Ptc)がSmoothened(Smo)の安定化、リン酸化、および活性を阻害するときである。Hhシグナル伝達の下流要素である転写因子Gliが、融合(Fu)および融合のサプレッサー(Sufu)を含む細胞質タンパク質との相互作用を介して核に入ることを妨げられる。その結果、ヘッジホッグ標的遺伝子の転写活性化は抑制される。本経路の活性化は、哺乳動物リガンドの3種(Dhh、ShhまたはIhh)のいずれかのPtcへの結合を介して開始する。
【0108】
Hhにより結合するリガンドは、SmoとPtcの相互作用を変え、Smoの抑制を逆転させ、その上でSmoは細胞内の内部構造から原形質膜に移る。Smoの原形質膜への局在化は、Hh非依存性方法でHh経路標的遺伝子の活性化の引き金を引く。(Zhu et al. (2003)Genes Dev. 17(10):1240)Smoにより活性化されるカスケードは、活性形の転写因子Gliの核への転位を導く。Smoの、転位した核Gliを介しての活性化は、Wnts、TGFβ、およびPtcおよびGliそれ自体を含む、Hh経路標的遺伝子発現を活性化する。
【0109】
ヘッジホッグシグナル伝達レベルの増加は癌形成に十分であり、腫瘍生存に必須である。これらの癌は、前立腺癌(Karhadkar et al. (2004)Nature 431:707;Sanchez et al. (2004)PNAS 101(34):12561)、乳癌(Kubo et al. (2004)Cancer Res. 64(17):6071)、髄芽腫(Berman et al. (2002)Science 297(5586):1559)、基底細胞癌腫(BCC)(Williams et al. (2003)PNAS 100(8):4616);Xie et al. (1998)Nature 391(6662):90)、膵臓癌(Thayer et al. (2003)Nature 425(6960):851;Berman et al. (2003)Nature 425(6960):846)、小細胞肺癌(Watkins et al. (2003)Nature 422(6929):313)、神経膠腫(Kinzler et al. (1988)Nature 332:371)、消化管の癌(Berman et al. (2003)Nature 425(6960):846)および食道癌(Ma et al. (2006)Int J Cancer 118(1):139)を含み、これに限定されない。
【0110】
前記により、本発明は、さらに、処置を必要とする対象における上記疾患または障害の予防または処置方法、治療的有効量の本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)またはその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む方法を提供する。上記使用の全てにおいて、必要な用量は投与形式、処置すべき特定の状態および望む効果により変わる。
【0111】
基底細胞母斑症候群(BCNS)としても既知の皮膚および脳の癌の高いリスクを有する遺伝的症候群であるゴーリン症候群のヒト患者はまた、Ptchにおける生殖系列機能喪失型変異のため、高頻度で基底細胞癌腫(BCC)、および低頻度で他の固形腫瘍(例えば、髄芽腫(medulloblastoma))を発症することも既知である。これらの患者、ならびに他の、Ptchにおける体細胞性機能喪失型変異を有するBCCの非ゴーリン患者は、ヘッジホッグリガンドに関連する処置に応答するとは予測されない。しかしながら、彼らは、Smo阻害剤として作用できる本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)のようなHhリガンドから下流のHhシグナル伝達の阻害剤には応答するであろう。同様に、PatchedまたはSmo変異による他の固形腫瘍はHhリガンド関連阻害には応答しないが、Smo遮断(例えば、本発明の化合物の投与による)には応答するであろう。
【0112】
投与および医薬組成物:
本発明は、ヘッジホッグ関連障害(複数もある)の治療的(および、本発明のより広い局面では、予防的)処置における、式(Ia)、(Ib)、または(Ic)を含む式(I)の化合物を含む、医薬組成物の使用に関する。
【0113】
一般に、本発明の化合物は、単独で、または1種以上の治療剤と組み合わせて、任意の当分野で既知の通常のおよび許容される形式を介して、治療的有効量で投与する。治療的有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康、使用する化合物の効果および他の因子によって広範囲に変わり得る。一般に、満足行く結果が、約0.03〜2.5mg/kg体重の1日投与量で全身的に得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおける指示される1日量は、約0.5mg〜約100mgの範囲であり、簡便には、例えば1日4回までの分割量でまたは遅延形態で投与する。経口投与に適当な単位投与形態は、約1〜50mg活性成分を含む。
【0114】
本発明の化合物は、医薬組成物として、任意の慣用の経路で、特に経腸的、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセル剤の形で、または非経腸的に、例えば、注射用溶液または懸濁液の形で、局所的に、例えば、ローション、ゲル、軟膏またはクリームの形で、または鼻腔内にまたは坐薬形態で投与できる。遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物は、慣用の方法で、混合、造粒またはコーティング法により製造できる。例えば、経口組成物は、活性成分をa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)平滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまたc)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびまたはポリビニルピロリドン;望むならばd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または起沸性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤と共に含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得る。注射用組成物は、水性等張溶液または懸濁液であり、そして坐薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造できる。
【0115】
本組成物は滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を含んでよい。加えて、それらは他の治療的に価値ある物質も含んでよい。経皮適用のための適当な製剤は、有効量の本発明の化合物と担体を含む。担体は、宿主の皮膚を介する通過を助けるために、吸収性の薬理学的許容される溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、所望により化合物を宿主の皮膚に制御されかつ予定された速度で長期にわたり送達するための速度制御バリア、および該デバイスを皮膚に固定するための手段を含むバンデージの形である。マトリックス経皮製剤も使用し得る。例えば、皮膚および眼への局所適用のための適当な製剤は、好ましくは当分野で既知の水性溶液、軟膏、クリームまたはゲルを含む。これらは可溶化剤、安定化剤、張性増加剤、緩衝剤および防腐剤を含み得る。
【0116】
本発明の化合物は、治療的有効量を1種以上の治療剤と組み合わせて投与できる(医薬組合せ)。例えば、相乗作用が、免疫調節性または抗炎症性物質または他の抗腫瘍治療剤と起こり得る。本発明の化合物を他の治療剤と共に投与するとき、併用投与する化合物の投与量は、用いる併用剤、用いる具体的薬剤、処置する状態などに依存して当然変化する。
【0117】
本発明はまた、a)遊離形または薬学的に許容される塩形の、ここに開示の本発明の化合物である第一剤、およびb)少なくとも1種の併用剤を含む医薬組合せ、例えばキットも提供する。本キットはその投与のための指示を含み得る。
【0118】
ここで使用する用語“併用投与”または“組合せ投与”などは、選択した複数治療剤の単独患者への投与を包含することを意図し、これらの治療剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与するものではない処置レジメンを含むことを意図する。
【0119】
ここで使用する用語“医薬組合せ”は、1種を超える活性成分の混合または組合せに由来する製品を意味し、そして活性成分の固定されたおよび固定されていない組合せの両方を含む。用語“固定された組合せ”は、複数活性成分、例えば式Iの化合物と併用剤を、両方とも患者に、同時に、一つの物または投与量として投与することを意味する。用語“固定されていない組合せ”は、複数活性成分、例えば式Iの化合物と併用剤を、両方とも、患者に別々の物として同時に、一緒にまたは具体的時間制限なく連続的に投与することを意味し、ここで、このような投与が患者体内で2成分の治療的有効レベルを提供する。後者はまたカクテル療法、例えば3種以上の活性成分の投与にも適用される。
【0120】
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物、例えば、式(Ia)、(Ib)または(Ic)を含む式(I)の化合物の合成の代表例は、本明細書の実施例セクションに見ることができる。
【0121】
本発明の化合物は、遊離塩基形の本化合物と薬学的に許容される無機または有機酸を反応させることにより、薬学的に許容される酸付加塩として製造できる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、遊離酸形の本化合物と薬学的に許容される無機または有機塩基の反応により製造できる。
【0122】
あるいは、塩の形の本発明の化合物は、出発物質または中間体の塩を使用して製造できる。
【0123】
本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形は、各々対応する塩基付加塩または酸付加塩形から製造できる。例えば酸付加塩形の本発明の化合物は、対応する遊離塩基に、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)での処理により変換できる。塩基付加塩形の本発明の化合物は、対応する遊離酸に、適当な酸(例えば、塩酸など)での処理により変換できる。
【0124】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に既知の方法により製造できる(例えば、さらなる詳細についてSaulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。
【0125】
本発明の化合物の保護された誘導体は、当業者に既知の手段により製造できる。保護基の創成およびそれらの除去に適用できる技術の詳細な記載は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見ることができる。
【0126】
本発明の化合物は溶媒和物(例えば、水和物)として簡便に製造でき、または本発明の過程中に形成される。本発明の化合物の水和物は、簡便にはジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を使用した、水性/有機溶媒混合物からの再結晶により製造できる。
【0127】
本発明の化合物は、それらの個々の立体異性体として、本化合物のラセミ体と光学活性分割剤を反応させてジアステレオ異性化合物のペアを形成し、該ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより製造できる。エナンチオマーの分割は、本発明の化合物の電子対を共有するジアステレオマー誘導体を使用して実施できるが、分割可能な複合体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、異なる物理特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの差異を利用して容易に分割できる。ジアステレオマーはクロマトグラフィーにより、または好ましくは、溶解度の差異に基づく分離/分割技術により分割できる。光学的に純粋なエナンチオマーを、次いで、ラセミ化をもたらさない任意の実際的手段により分割剤と共に回収する。化合物の立体異性体のラセミ混合物からの分割に適用できる技術のさらに詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions,” John Wiley And Sons, Inc., 1981に見ることができる。
【実施例】
【0128】
本発明を、以下の代表的実施例によりさらに説明するが、限定せず、これらは本発明を説明することを意図し、それに限定されると解釈してはならない。ここに記載の最終産物の構造は、標準分析法、例えば、分光測定および分光法(例えばMS、NMR)により確認できる。使用する略語は当分野で慣用のものである。化合物を標準法、例えば結晶化、フラッシュクロマトグラフィーまたは逆相HPLCにより精製する。
【0129】
実施例1:化合物スクリーニング
不偏性細胞経路ベースのスクリーニングを使用して、組み換えShhタンパク質またはSmoアゴニストにより誘導されるGli認識要素ルシフェラーゼレポーターをアンタゴナイズする化合物を同定した。最初のスクリーニングに続き、いくつかのフィルターを適用して、所望の選択性を有する化合物を同定した。化合物が、同定され、それは治療開発のための“リード”化合物としておよびまたHhシグナル伝達経路の可能性のある新規要素を同定するためのツールとして作用し得て、化合物を(i)Smoに作用するアンタゴニスト(これは、例えば、ゴーリン患者の置換に急速に発展し得る);および(ii)Hh経路の他の点で活性を発揮するものに分けた。ゲノミクスおよびプロテオミクス研究を、平衡して使用して、新規に同定されたモジュレーターを経路において活性化合物としてマッチさせる努力をした。
【0130】
以下を含むいくつかのレポーター細胞株を使用して、一次および二次スクリーニングを行った:
新規専有レポーター構築物(pTA-8xGli-Luc)でトランスフェクトしたTM3細胞(マウス)。pTA-8xGli-Lucレポーターは、古典的8xGli−LUCより約4倍高いルシフェラーゼ活性を産生する。非常に応答性の安定なクローン(TMHh12)を、384ウェル形式で、>10倍シグナル/ノイズ比および<10%CVで選択している。
TM3-Patched-Luc:Patched−LucレポーターでトランスフェクトしたTM3細胞。この細胞株は、384ウェル形式で、相対的に高いLucシグナルおよび低%CVで〜6倍誘導を有する。
【0131】
実施例2:SMOOTHENED相互作用アッセイ
Smo結合アッセイは、化合物競合のための放射標識Smoothenedアゴニストを使用して開発されている。Cy3−シクロパミンを使用した造影ベースのまたはフロー・サイトメトリーベースの系が化合物競合のために開発されている(Chen et al. (2002)Genes Dev 16:2743)。本アッセイを、レポーター遺伝子アッセイ(RGA)からの確認されたヒットをSmoを直接標的とする化合物を同定するために実施した。
【0132】
下記表1は、フィルター結合形式で決定したSmoothenedの小分子アゴニストの置換のIC50のリストである。シクロパミン(Chen et al. (2002)Genes Dev 16:2743)、KAAD−シクロパミン(Chen et al. (2002)Genes Dev 16:2743)、SANT1(Chen et al. (2002)PNAS 99:14071)およびHh−Antag691(Romer et al. (2004) Cancer Cell 6: 229)は、Smoothenedに結合することが既知の参照化合物である。
【0133】
実施例3:細胞機能決定のための二次アッセイ
以下の二次アッセイを目的の化合物群に適用した:
TMHh12細胞における“IC50シフト”アッセイ。gli−ルシフェラーゼ活性の拮抗作用についてのIC50を、1nM 親和性でSmoと結合し、Hh経路を活性化する小分子アゴニストの漸増濃度の存在下で試験した。アゴニスト用量としてgli−lucについてのIC50の増加を示すスクリーニングからのアンタゴニスト化合物を、直接Smoと相互作用させた(Smoの同じ結合部位の教護を介して、またはアゴニストにより誘導された活性立体構造状態のSmoと、試験アンタゴニストにより誘導された不活性状態の間の競合を介して)。バリデーション実験において、種々のSmoの小分子アンタゴニストが“IC50シフト”行動を示した。
表1は、種々の濃度(1nMおよび25nM)のSmoothenedの小アンタゴニスト存在下で決定したアンタゴニストのIC50を記載する。
【0134】
【表1】

【表2】

【表3】

【0135】
実施例4:化合物合成
本発明の化合物は、PCT特許公報WO01/05767およびWO00/05201、およびKsander, et al. (2001)Journal of Medicinal Chemistry, 44:4677に記載の通り製造でき、それらの内容を引用により本明細書に包含させる。式Idの化合物の製造に必要なエナンチオマー的に純粋な5−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルカルバミン酸メチルエステル中間体は、内容を引用により本明細書に包含させるPrashad et al. (2001)Adv. Synth. Catal. 343, 461に記載の通り製造できる。
図1aは、式Iの化合物のための一般的合成スキームを記載する。最も好ましい式Icの化合物は、図1bに示す通り、中間体5aから、アルデヒドR6(CH)CHOでの、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライドのような還元剤存在下の還元的アミノ化により製造できる。
【0136】
実施例5−106:6−メチル−4’−トリフルオロメチルビフェニル−2−カルボン酸((S)−2−アミノ−インダン−5−イル)アミドの還元的アミノ化の一般的プロトコール(実施例7−34)
82mg(0.2mmol)の6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸((S)−2−アミノ−インダン−5−イル)−アミドおよび67mg(0.3mmol、1.5当量)ナトリウムトリアセトキシボロハイドライドを、2mlのジクロロメタンに添加する。アルデヒド(0.22mmol、1.1当量)を添加し、混合物を16時間、室温で撹拌する。
2mlの炭酸ナトリウム溶液を添加し、混合物を珪藻土カートリッジを通す。さらなるジクロロメタン添加後、有機相を回収し、蒸発させる。残渣をアセトニトリルおよびメタノールに溶解し、RP−HPLCで精製するか、またはフラッシュクロマトグラフィーで精製する。
【0137】
実施例5:6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸{(S)−2−[(4−メチル−チアゾール−2−イルメチル)−アミノ]−インダン−5−イル}−アミド
【化7】

一般的プロトコールに従い、37.7mgの上記化合物を白色粉末として単離した。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D6)δ=2.54(s, 3 H)2.76(s, 3 H)3.03-3.11(m, 2 H)3.27(s, 1 H)3.43(dd, J=15.41, 6.82 Hz, 2 H)3.95-4.03(m, 1 H)4.41(s, 2 H)7.44-7.49(m, 1 H)7.52-7.56(m, 2 H)7.70(s, 1 H)7.84-7.94(m, 5 H)8.18(d, J=8.08 Hz, 2 H)10.43(s, 1 H)。
HR−MS(m/z、MH+):測定値522.1837 計算値522.1827
【0138】
実施例6:6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸{(S)−2−[(ピリジン−2−イルメチル)−アミノ]−インダン−5−イル}−アミド
【化8】

一般的プロトコールに従い、28mgの上記化合物を白色粉末として単離した。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D6)δ=2.55(s, 3 H)3.08(m, 2 H)3.42(dd, J=15.41, 6.82 Hz, 2 H)3.91-4.00(m, 1 H)4.28(s, 2 H)7.44-7.49(m, 1 H)7.51-7.57(m, 1 H)7.65-7.74(m, 2 H)7.85-7.96(m, 6 H)8.18(t, J=6.32 Hz, 3 H)8.94(d, J=5.05 Hz, 1 H)。
HR−MS(m/z、MH+):測定値502.2096 計算値502.2106
【0139】
実施例7−34:以下の表(表2)は、上記の還元的アミノ化により製造した化合物の実施例を記載する:
【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【0140】
中間体5から還元的アミノ化により得られるさらなる実施例(表3):
【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【0141】
実施例74:6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸((S)−2−フェニルアミノ−インダン−5−イル)−アミド
【化9】

ブロモベンゼン(57μL、0.55mmol、1.5当量)、9.9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィン)=Xanthphos(42mg、0.073mmol、0.2当量)およびCsCO(167mg、0.51mmol、1.4当量)をバイアル中で混合し、続いてPddba(33.5mg、0.037mmol、0.1当量)を添加した。バイアルを窒素でパージし、6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸((S)−2−アミノ−インダン−5−イル)−アミド(150mg、0.365mmol、1当量)の脱気トルエン(1.8ml)溶液を添加した。反応混合物をマイクロ波シンセサイザーで、1時間、130℃でおよびさらに3時間、140℃で加熱した。
混合物をセライトを通して濾過し、濃縮した。残渣をメタノールに幾分かのDMSOと共に溶解し、分取HPLCで精製して、溶媒除去後、10mg(6%)の生成物を得た。
1H NMR(400 MHz, DMSO-D6)δ・ 2.08(S, 3 H)2.65-2.72(m, 2 H)3.18(ddd, J=15.79, 6.95, 3.03 Hz, 2 H)4.15(d, J=6.57 Hz, 1 H)5.76(d, J=6.57 Hz, 1 H)6.51(t, J=7.07 Hz, 1 H)6.57(d, J=7.58 Hz, 2 H)7.03-7.13(m, 4 H)7.29(s, 1 H)7.38-7.49(m, 5 H)7.72(d, J=8.08 Hz, 2 H)10.00(s, 1 H)
HR−MS(m/z、MH+)測定:487.2007 計算487.1997
【0142】
実施例75:6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[(S)−2−(ピリジン−2−イルアミノ)−インダン−5−イル]−アミド
【化10】

2−ブロモピリジン(12μL、0.122mmol、1当量)、rac−BINAP(3mg)、ナトリウムtert−ブタノラート(23mg、0.244mmol。2当量)をバイアル中で混合し、続いてPddba(4.5mg、0.005mmol、0.04当量)を添加した。バイアルを窒素でパージし、6−メチル−4'−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸((S)−2−アミノ−インダン−5−イル)−アミド(50mg、0.122mmol、1当量)の脱気トルエン(1.1ml)溶液を添加した。反応混合物を60℃で加熱した。
粗反応混合物を分取HPLC(10%から3%イソプロパノール含有水中100%アセトニトリル)で精製して、溶媒除去後、13mg(22%)の生成物を得た。
MS:m/z=488(MH+)
【0143】
表4は、酸クロライドでのアシル化により中間体5から得た実施例を含む:
【表17】

【0144】
表5は、クロロホルメートでのアシル化により中間体5から得た実施例を含む:
【表18】

【0145】
表6は、スルホニルクロライドでのスルホニル化により中間体5から得た実施例を含む:
【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【0146】
本発明の化合物を、ヘッジホッグシグナル伝達経路を阻害するそれらの能力についてアッセイした。
【0147】
Hh経路阻害についてのGli−Lucレポーターアッセイ
TMHh12細胞のGli−ルシフェラーゼ活性をShhタンパク質の存在下で測定した。式Iの化合物は、好ましくは500nM未満、より好ましくは200nM未満のEC50を有する。実施例6の化合物は、Shh仲介経路活性化の遮断について9.4nMのEC50を有する。
【0148】
ここに記載の実施例および態様は説明の目的のためだけであり、それに照らした種々の修飾および変化が当業者には示唆され、それは本発明の精神および範囲内および添付の特許請求の範囲内に入ることは理解されよう。ここに引用する全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的のために引用によりここに包含させる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1aは式Iの化合物を製造するための一般的合成スキームを示す。最も好ましい式(Ic)の化合物は、図1bに示す通り、中間体5aから、アルデヒドR6(CH)CHOでの、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライドのような還元剤存在下の還元的アミノ化により製造できる

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置を必要とする温血動物、とりわけヒトに式(I):
【化1】

〔式中:
R2−C、R3−C、R4−CまたはR5−CはNで置換してよく;
nは1、2または3であり;
R1は炭素環式アリールまたはヘテロアリールであり;
R2、R3、R4およびR5は、独立して水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、アルキルカルボニル、トリフルオロメトキシまたはシアノであり;
R6は水素、所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式またはヘテロ環式アリール−低級アルキルであり;
R7は水素、所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、または
【化2】

(式中、
Raは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
Rbは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
RcおよびRdは、独立して水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール;またはヘテロシクリルであるか、またはRcおよびRdは、一体となって低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)で中断されている低級アルキレンであり;
Reは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリル、アミノまたは置換アミノである)
である。〕
の化合物、その薬学的に許容される塩またはそのエナンチオマーを投与することを含む、ヘッジホッグ関連障害の処置方法。
【請求項2】
式(Ia):
【化3】

〔式中、
R2−C、R3−C、R4−CまたはR5−CはNで置換してよく;そして
R1’は水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、低級アルキル、シアノ、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジメチルアミノであり;
R2からR7は、式Iについて定義の意味を有する。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(Ib):
【化4】

〔式中:
R1’はトリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり;
R2およびR3は、独立して水素、C1−C4アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり;
R4およびR5は水素であり;
R6は水素またはC1−C3アルキルであり;
R7は所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、または
【化5】

(式中、
Raは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
Rbは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
RcおよびRdは、独立して水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール;またはヘテロシクリルであるか、またはRcおよびRdは、一体となって低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)で中断されている低級アルキレンであり;
Reは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリル、アミノまたは置換アミノである)
である。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R1’がトリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり;
R2およびR3が、独立して水素、C1−C4アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり;
R4およびR5が水素であり;
R6が水素であり;
R7が所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキルまたは、ヘテロアリール−低級アルキルである;
式(Ib)の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式(Ic):
【化6】

〔式中:
R1’はトリフルオロメチルまたはクロロであり;
R2は水素またはメチルであり;
mは0または1であり;
Rfは炭素環式またはヘテロ環式アリールである。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
処置する疾患が癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
処置する疾患が良性前立腺肥大、乾癬、滲出型黄斑変性症、または骨粗鬆症である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
温血動物、とりわけヒトに式(I):
【化7】

〔式中:
R2−C、R3−C、R4−CまたはR5−CはNで置換してよく;
nは1、2または3であり;
R1は炭素環式アリールまたはヘテロアリールであり;
R2、R3、R4およびR5は、独立して水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、アルキルカルボニル、トリフルオロメトキシまたはシアノであり;
R6は水素、所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式またはヘテロ環式アリール−低級アルキルであり;
R7は水素、所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、または
【化8】

(式中、
Raは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
Rbは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
RcおよびRdは、独立して水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール;またはヘテロシクリルであるか、またはRcおよびRdは、一体となって低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)で中断されている低級アルキレンでありであり;
Reは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリル、アミノまたは置換アミノである)
である。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することを含む、Smo依存性経路活性化の阻害方法。
【請求項9】
式(Ia):
【化9】

〔式中、
R2−C、R3−C、R4−CまたはR5−CはNで置換してよく;そして
R1’は水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、低級アルキル、シアノ、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジメチルアミノであり;
R2からR7は、式Iについて定義の意味を有する。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式(Ib):
【化10】

〔式中:
R1’はトリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり;
R2およびR3は、独立して水素、C1−C4アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり;
R4およびR5は水素であり;
R6は水素またはC1−C3アルキルであり;
R7は所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、または
【化11】

(式中、
Raは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
Rbは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
RcおよびRdは、独立して水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール;またはヘテロシクリルであるか、またはRcおよびRdは、一体となって低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)で中断されている低級アルキレンであり;
Reは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリル、アミノまたは置換アミノである)
である。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
R1’がトリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり;
R2およびR3が、独立して水素、C1−C4アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり;
R4およびR5が水素であり;
R6が水素であり;
R7が所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキルである;
式(Ib)の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(Ic):
【化12】

〔式中:
R1’はトリフルオロメチルまたはクロロであり;
R2は水素またはメチルであり;
mは0または1であり;
Rfは炭素環式またはヘテロ環式アリールである。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
温血動物が癌を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
温血動物が良性前立腺肥大、乾癬、滲出型黄斑変性症、または骨粗鬆症を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
温血動物、とりわけヒトに式(I):
【化13】

〔式中:
R2−C、R3−C、R4−CまたはR5−CはNで置換してよく;
nは1、2または3であり;
R1は炭素環式アリールまたはヘテロアリールであり;
R2、R3、R4およびR5は、独立して水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、アルキルカルボニル、トリフルオロメトキシまたはシアノであり;
R6は水素、所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式またはヘテロ環式アリール−低級アルキルであり;
R7は水素、所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、または
【化14】

(式中、
Raは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
Rbは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
RcおよびRdは、独立して水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール;またはヘテロシクリルであるか、またはRcおよびRdは、一体となって低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)で中断されている低級アルキレンであり;
Reは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリル、アミノまたは置換アミノである)
である。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することを含む、細胞増殖または分化を制御する方法。
【請求項16】
式(Ia):
【化15】

〔式中、
R2−C、R3−C、R4−CまたはR5−CはNで置換してよく;そして
R1’は水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、低級アルキル、シアノ、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジメチルアミノであり;
R2からR7は、式Iについて定義の意味を有する。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式(Ib):
【化16】

〔式中:
R1’はトリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり;
R2およびR3は、独立して水素、C1−C4アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり;
R4およびR5は水素であり;
R6は水素またはC1−C3アルキルであり;
R7は所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、または
【化17】

(式中、
Raは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
Rbは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
RcおよびRdは、独立して水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール;またはヘテロシクリルであるか、またはRcおよびRdは、一体となって低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)で中断されている低級アルキレンであり;
Reは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリル、アミノまたは置換アミノである)
である。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
R1’がトリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり;
R2およびR3が、独立して水素、C1−C4アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり;
R4およびR5が水素であり;
R6が水素であり;
R7が所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキルまたは、ヘテロアリール−低級アルキルである
式(Ib)の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式(Ic):
【化18】

〔式中:
R1’はトリフルオロメチルまたはクロロであり;
R2は水素またはメチルであり;
mは0または1であり;
Rfは炭素環式またはヘテロ環式アリールである。〕
の化合物およびその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
温血動物が癌を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
温血動物が良性前立腺肥大、乾癬、滲出型黄斑変性症、または骨粗鬆症を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
処置を必要とする温血動物、とりわけヒトに、式(I):
【化19】

〔式中:
R2−C、R3−C、R4−CまたはR5−CはNで置換してよく;
nは1、2または3であり;
R1は炭素環式アリールまたはヘテロアリールであり;
R2、R3、R4およびR5は、独立して水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、アルキルカルボニル、トリフルオロメトキシまたはシアノであり;
R6は水素、所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式またはヘテロ環式アリール−低級アルキルであり;
R7は水素、所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、または
【化20】

(式中、
Raは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
Rbは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
RcおよびRdは、独立して水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール;またはヘテロシクリルであるか、またはRcおよびRdは、一体となって低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)で中断されている低級アルキレンであり;
Reは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリル、アミノまたは置換アミノである)
である。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを含む医薬組成物投与することを含む、ヘッジホッグ関連障害の処置方法。
【請求項23】
式(Ia):
【化21】

〔式中、
R2−C、R3−C、R4−CまたはR5−CはNで置換してよく;そして
R1’は水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、低級アルキル、シアノ、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジメチルアミノであり;
R2からR7は、式Iについて定義の意味を有する。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
式(Ib):
【化22】

〔式中:
R1’はトリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり;
R2およびR3は、独立して水素、C1−C4アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり;
R4およびR5は水素であり;
R6は水素またはC1−C3アルキルであり;
R7は所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、または
【化23】

(式中、
Raは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
Rbは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルであり;
RcおよびRdは、独立して水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール;またはヘテロシクリルであるか、またはRcおよびRdは、一体となって低級アルキレンまたはO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)で中断されている低級アルキレンであり;
Reは所望により置換されていてよいアルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリル、アミノまたは置換アミノである)
である。〕
の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
R1’がトリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり;
R2およびR3が、独立して水素、C1−C4アルキル、C1−C4−アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり;
R4およびR5が水素であり;
R6が水素であり;
R7が所望により置換されていてよいアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキルヘテロアリール−低級アルキルである;
式(Ib)の化合物、およびその薬学的に許容される塩およびそのエナンチオマーを投与することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
式(Ic):
【化24】

〔式中:
R1’はトリフルオロメチルまたはクロロであり;
R2は水素またはメチルであり;
mは0または1であり;
Rfは炭素環式またはヘテロ環式アリールである。〕
の化合物およびその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
温血動物が癌を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
温血動物が良性前立腺肥大、乾癬、滲出型黄斑変性症、または骨粗鬆症を有する、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−536156(P2009−536156A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505499(P2009−505499)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/009138
【国際公開番号】WO2007/120827
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】