説明

ヘッジホッグ経路関連障害の治療のためのスムースンド拮抗作用

本発明は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性を調節する、例えば、拮抗する方法、及び癌(例えば、髄芽腫)などのヘッジホッグ関連障害を治療する方法を提供する。特に、本発明は、スムースンド阻害薬(例えば、式I、式II若しくは式IIIの化合物、又は本明細書で列挙する若しくは参照により組み込まれている化合物のいずれか)と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを哺乳動物に投与することにより、Ptch機能喪失、ヘッジホッグ機能獲得、スムースンド機能獲得又はGli機能獲得などの表現型に起因する異常な成長状態を抑制する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達は、胚パターン形成、すなわち、それによって胚細胞が分化組織の秩序正しい空間配置を形成する過程の重要な調節メカニズムとしてショウジョウバエにおいて最初に同定された(Nusslein-Volhardら(1980年)、Nature、287巻、795〜801頁)。哺乳類細胞において、3つのヘッジホッグ遺伝子、すなわちソニックヘッジホッグ(Shh)、インディアヘッジホッグ(Ihh)及びデザートヘッジホッグ(Dhh)が同定された。ヘッジホッグ遺伝子は、自己触媒切断及びN末端における脂質修飾(パルミトイル化)及びC末端のコレステロール修飾などの翻訳後修飾を受ける分泌タンパク質をコードする。
【0002】
脂質修飾N末端ヘッジホッグタンパク質は、タンパク質経路のシグナル伝達活性を誘発し、細胞間情報伝達は、シグナリング細胞からの可溶性ヘッジホッグタンパク質の送出と応答細胞の受取りによって生ずる。応答細胞において、12回膜貫通型受容体パッチド(Patched)(Ptch)がHhシグナル伝達の負のレギュレータとしての役割を果たし、7回膜貫通型タンパク質スムースンド(Smoothened)(Smo)がHhシグナル伝達の正のレギュレータとしての役割を果たす。休止状態では、遊離Ptch(すなわち、Hhにより結合されていない)がSmoにより誘発される経路の活性を準化学量論的に抑制する(Taipaleら(2002年)、Nature、418巻、892頁)が、リガンドであるHhタンパク質の結合により、Smoの抑制が解除され、結果として発生するシグナル伝達カスケードがGli転写因子(Gli1、Gli2及びGli3)の活性化及び核転移をもたらす。
【0003】
Hhシグナル伝達転写の下流標的遺伝子は、正及び負の調節フィードバックループの要素であるWnt、TGFβ及びGli1を含む。c−myc、サイクリンD及びEなどのいくつかの細胞周期及び増殖調節遺伝子もHhシグナル伝達の標的遺伝子に含められる。
【0004】
Hhシグナル伝達は、細胞増殖、分化及び器官形成などの様々な生物学的過程を組織特異的かつ用量依存的に調節することが公知である。神経管の発生において、Shhがフロアプレートにおいて発現し、運動及びドーパミン作動性ニューロンを含む、ニューロンの特定のサブタイプの分化を誘導する。Hhはまた、小脳顆粒細胞及び神経幹細胞などのニューロン前駆細胞の増殖を調節することが公知である。腸管の発生において、低レベルのHhシグナル伝達は膵臓の発生に必要であるが、高レベルのHhシグナル伝達は膵臓器官形成を阻害する。Hhはまた、幹細胞増殖並びに皮膚、前立腺、精巣及び骨髄における器官形成に重要な役割を果たしていることが公知である。
【0005】
通常、Hhシグナル伝達は、細胞増殖、分化及び胚のパターン形成時に厳密に制御される。しかし、例えば、ヘッジホッグシグナル伝達経路を構成的に活性化する突然変異に起因するヘッジホッグシグナル伝達経路の異常な活性は、病的帰結を有する可能性がある。例として、パッチドの機能喪失突然変異は、ゴーリン症候群(基底細胞母斑症候群(BCNS)としても公知である、皮膚及び脳の癌の高いリスクを有する先天的症候群)に認められ、Smo及びGliの機能獲得突然変異は、基底細胞癌及び神経膠芽腫に関連する。基底細胞癌(BCC)は、皮膚癌の最も一般的な形であり、毎年90000人を超えるアメリカ人を罹患させている。
【0006】
Hhの構成的活性化は、BCC、髄芽腫(最も一般的な小児脳腫瘍)、横紋筋肉腫、膵臓癌、小細胞肺癌、前立腺癌及び乳癌における腫瘍形成を促進することが見いだされた。腫瘍形成における役割のほかに、Hhシグナル伝達は、前立腺癌の転移にも関連付けられている。Hhシグナル伝達は、その他の多くの種類の腫瘍型に関与している可能性があり、そのような関連は、発見され続けると予想される。これは、全世界の多くの癌センターにおける活発な研究の分野である。
【0007】
これらの癌細胞の増殖は、Hh経路の活性化を必要とするものであり、Hhシグナル伝達経路の遮断により、癌細胞の増殖がしばしば抑制される。実際、Hh拮抗薬シクロパミン及び抗Gli1 siRNAは、これらの癌細胞の増殖を効果的に阻害することができ、異種移植片モデルにおける腫瘍の大きさを減少させることができることから、Hh拮抗薬は、単独又は他剤との併用で、これらの癌の治療のための新たな化学療法計画を提供しうることが示唆される。Hh拮抗薬シクロパミンは、動物モデルにおける前立腺癌の転移を抑制することが示された。
【0008】
Smoの構成的活性化が癌(例えば、BCC)をもたらし、Smoが、Ptchによる抑制からのその解放後に発癌性でありうるという証拠は、Smo拮抗薬がそのような障害の治療における治療薬として有用であることを示唆するものである(Stoneら(1996年)、Nature、384巻、129頁)。したがって、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性を調節する、例えば、Smo活性を調節する分子は、治療上有用である。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一般的に、腫瘍形成、癌、新生物及び非悪性過剰増殖性障害を含むが、これらに限定されないヘッジホッグ経路に関連する病状(下で定義し、本明細書で「ヘッジホッグ関連障害(単数又は複数)」と呼ぶ)の診断及び治療に関し、より具体的には、ヘッジホッグ及びSmoシグナル伝達経路を阻害することが公知である剤(例えば、スムースンド阻害薬)を(i)コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、(ii)Gli阻害薬及び/又は(iii)ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬と併用して腫瘍形成、腫瘍成長及び腫瘍生存を抑制する方法に関する。スムースンド阻害薬は、本明細書で定義するクラスであり、シクロパミン、ジェルビン、式Iの化合物(例えば、式(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物)、式IIの化合物、式IIIの化合物、本明細書で個別に列挙する抗スムースンド化合物のいずれか、抗Smo抗体、抗Smo阻害核酸(例えば、抗Smo siRNAs)並びに当技術分野における及び/又は参照により本明細書に組み込まれている他の公知の抗スムースンド物質を含むが、これらに限定されない。ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬も、本明細書で定義するクラスであり、これらは、式Aの化合物並びに脂質キナーゼ阻害薬及び抗PI3K阻害ヌクレオチド(例えば、RNAi)を含むが、これらに限定されない。
【0010】
本発明の方法及び化合物は、例えば、Ptch機能喪失(loss-of-function)、ヘッジホッグ機能獲得(gain-of-function)、スムースンド機能獲得又はGli機能獲得などの表現型に起因する異常な成長状態を抑制することにより、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化を抑制することに関し、正常なPtch活性を刺激し(agonize)、正常なヘッジホッグ活性を拮抗し(antagonize)、又はスムースンド活性を拮抗する(例えば、異常な成長状態を逆転又は制御する)のに十分な量のヘッジホッグ及びSmoシグナル伝達経路を阻害することが公知である剤、例えば、スムースンド阻害薬と、コレステロール生合成阻害薬(例えば、スタチン);Gli阻害薬;及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを細胞に接触させることを含む。
【0011】
本発明の一態様は、Smo依存性経路の活性化を抑制するための化合物を用いる方法を含む(例えば、Smoがヘッジホッグリガンドの存在により活性化される場合)。本発明の他の態様は、ヘッジホッグ(リガンド)非依存性経路の活性化を抑制するための化合物を用いる方法を含む。特定の実施形態において、この方法は、その活性化がヘッジホッグリガンドの存在下又は不存在下であるかどうかにかかわりなく、ヘッジホッグ機能獲得、Ptch機能喪失又はスムースンド機能獲得突然変異に起因するようなヘッジホッグ経路の望ましくない活性化の表現型効果を相殺するのに用いることができる。例えば、本発明の方法は、ヘッジホッグリガンドの存在下又は不存在下でスムースンド依存性又は非依存性(すなわち、活性化がスムースンドの下流で起こる場合)ヘッジホッグ経路シグナル伝達を拮抗するのに十分な量のコレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬と組み合わせたスムースンド阻害薬などのSmo拮抗薬と細胞を(in vitro又はin vivoで)接触させることを含みうる。
【0012】
本発明の特定の実施形態は、in vitro又はin vivoで細胞中のSmoタンパク質の細胞内の合成、発現、産生、安定化、リン酸化、再配置及び/又は活性を阻害する方法であって、スムースンド阻害薬と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを前記細胞と接触させること又は前記細胞に導入することを含む方法を提供する。スムースンド阻害薬と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せは、同時又は逐次的に投与することができる。例えば、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬は、抵抗性腫瘍がSmo阻害薬の存在下で発生した後の事例で投与することができる。
【0013】
特定の実施形態において、ヘッジホッグシグナル伝達経路におけるSmoの下流のタンパク質(例えば、Gli)もin vitro又はin vivoで細胞中で阻害される。例えば、Gliタンパク質(単数又は複数)の細胞内の合成、発現、産生、安定化、リン酸化、再配置及び/又は活性は、スムースンド阻害薬と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを前記細胞と接触させること又は前記細胞に導入することを含む方法により、上述のスムースンドの阻害に加えて阻害することができる。特定の実施形態において、ヘッジホッグ経路は、該経路がSmoの下流で活性化される(例えば、Gliで)ため、スムースンド拮抗薬に以前に曝露されたにもかかわらず、細胞中で依然として活性である可能性がある(例えば、抵抗性腫瘍の場合と同様に)。他の実施形態において、細胞は、スムースンド拮抗薬に以前に曝露されなかった。
【0014】
本発明の方法は、例えば、幹細胞からの組織の形成においてin vitro及び/又はin vivoで細胞の増殖及び/又は分化を調節するのに、或いは過剰増殖性細胞の成長を妨げるのに用いることができる。他の特定の実施形態において、スムースンド阻害薬とコレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを細胞と接触させること又は細胞に導入することは、細胞増殖の抑制、腫瘍細胞の成長及び/又は生存の抑制、及び/又は腫瘍形成の抑制をもたらす。したがって、他の特定の実施形態は、腫瘍細胞における本発明の組合せ法を用いることによりHh経路を阻害し、かつ/又はそれを拮抗する方法を提供する。特定の実施形態において、前記細胞増殖、腫瘍細胞の成長及び/若しくは生存、並びに/又は腫瘍形成は、抵抗性腫瘍に関連する。他の実施形態において、前記細胞増殖、腫瘍細胞の成長及び/若しくは生存、並びに/又は腫瘍形成は、感受性腫瘍に関連する。
【0015】
本発明の組合せは、特定の実施形態において感受性腫瘍に罹患している患者に投与することができる。前記組合せは、特定の他の実施形態において抵抗性腫瘍に罹患している患者に投与することができる。
【0016】
本発明の組合せを用いて治療することができる、本明細書で述べる腫瘍細胞は、アポトーシス抵抗性であってよく、従来の抗癌療法に抵抗性であってよく、かつ/又は本明細書で定義した抵抗性腫瘍であってよい。抵抗性腫瘍は、例えば、Smo阻害薬の存在にもかかわらずヘッジホッグ経路の再活性化につながる遺伝的変化によって生ずることがある。例は、阻害薬の結合を妨げるSmo突然変異、及び/又はヘッジホッグ経路の再活性化につながるSmoの下流の遺伝子(例えば、sufu、Gli1、Gli2)における突然変異である。抵抗性腫瘍及び従来の抗癌療法に屈しない腫瘍のこれらの例において、本発明の組合せは、腫瘍細胞に老化、アポトーシス又はネクローシスを受けさせることができる。前記組合せの投与は、腫瘍細胞死及び転位の予防をもたらしうる。
【0017】
本発明の方法は、薬学的に許容される賦形剤若しくは担体を含む医薬品として製剤化されたスムースンド阻害薬と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを用いることができる。同様に、前記コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬は、薬学的に許容される賦形剤若しくは担体も含む医薬品として製剤化することができる。前記組合せは、癌及び/又は腫瘍(髄芽腫、基底細胞癌等)並びに非悪性過剰増殖性障害などの望ましくない細胞増殖に関連する状態を治療するために患者に投与することができる。前記組合せは、特定の実施形態において、感受性腫瘍に罹患した患者に投与することができる。前記組合せは、特定の他の実施形態において、抵抗性腫瘍に罹患した患者に投与することができる。
【0018】
本発明の他の態様は、スムースンド阻害薬と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを哺乳動物に投与することを含む、Smo遺伝子若しくは遺伝子産物(例えば、Smoタンパク質)の存在及び/又は発現によって特徴付けられる哺乳動物における細胞の衰弱、乱れ及び/又は機能障害;過形成性、過剰増殖性及び/若しくは癌性疾患状態;並びに/又は腫瘍細胞の転移を診断、予防及び/又は治療する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】下でより詳細に述べるように、化合物1及び2の抗腫瘍活性並びに25日間の処理後のPtch+/−p53−/−髄芽腫同種移植片モデルにおける化合物1及び2に対する抵抗性を示す図である。
【図2】下でより詳細に述べるように、化合物1及び2の抗腫瘍活性並びに連続処理後のPtch+/−Hic+/−髄芽腫同種移植片モデルにおける化合物1及び2に対する抵抗性を示す図である。
【図3】下でより詳細に述べるように、化合物1及び2の抗腫瘍活性並びに連続処理後のPtch+/−髄芽腫同種移植片モデルにおける化合物1及び2に対する抵抗性を示す図である。
【図4】下でより詳細に述べるように、3つの抵抗性腫瘍のうちの2つにおいて検出されたGli2の増幅を示す図である。
【図5】ex−vivo髄芽腫アッセイの結果を示すウエスタンブロットである。その詳細は下で述べる。ウエスタンブロットに認められるように、PI3K阻害化合物である化合物Aは、感受性及び抵抗性細胞両方におけるAkt及びS6リン酸化を阻害する。
【図6A】Ptc+/−Hic+/−同種移植片モデルにおける化合物A及び化合物1の組合せの効果を示し、該組合せが前記髄芽腫モデルにおける耐性を予防又は遅延させることを示す図である。
【図6B】Ptc+/−Hic+/−同種移植片モデルにおける化合物A及び化合物1の組合せの効果を示し、該組合せが前記髄芽腫モデルにおける耐性を予防又は遅延させることを示す図である。
【図7A】Ptc+/−Hic+/−同種移植片モデルにおける化合物B及び化合物1の組合せの効果を示し、該組合せが前記髄芽腫モデルにおける耐性を予防又は遅延させることを示す図である。
【図7B】Ptc+/−Hic+/−同種移植片モデルにおける化合物B及び化合物1の組合せの効果を示し、該組合せが前記髄芽腫モデルにおける耐性を予防又は遅延させることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
スムースンド阻害薬は、以下の式(I)の化合物、例えば、ビアリールカルボキサミド化合物
【0021】
【化1】

[式中、
R2−C、R3−C、R4−C又はR5−Cは、Nにより置き換えられていてよく、
nは、1、2又は3であり、
R1は、炭素環式アリール又はヘテロアリールであり、
R2、R3、R4及びR5は、独立に水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、アルキルカルボニル、トリフルオロメトキシ又はシアノであり、
R6は、水素、場合によって置換されているアルキル、炭素環式又は複素環式アリール−低級アルキルであり、
R7は、水素、場合によって置換されているアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、又は
【0022】
【化2】

であり、
式中、
Raは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、
Rbは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリル(heterocyclyl)であり、
Rc及びRdは、独立に水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであるか、或いはRc及びRdは、低級アルキレン又はO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)により中断された低級アルキレンをともに表し、
Reは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリル、アミノ又は置換アミノである。]
及びその薬学的に許容される塩及びその鏡像異性体を含みうる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態は、以下の式(Ia)
【0024】
【化3】

[式中、R2−C、R3−C、R4−C又はR5−Cは、Nにより置き換えられていてよく、
R1’は、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、低級アルキル、シアノ、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジメチルアミノであり、
R2〜R7は、式Iについて定義した意味を有する]の化合物
及びその薬学的に許容される塩及びその鏡像異性体に関する。
【0025】
本発明の他の好ましい実施形態は、以下の式(Ib)の化合物
【0026】
【化4】

[式中、
R1’は、トリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり、
R2及びR3は、独立に水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロ又はフルオロであり、
R4及びR5は、水素であり、
R6は、水素又はC1〜C3アルキルであり、
R7は、場合によって置換されているアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、又は
【0027】
【化5】

であり、
式中、
Raは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、
Rbは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、
Rc及びRdは、独立に水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであるか、或いはRc及びRdは、低級アルキレン又はO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)により中断された低級アルキレンをともに表し、
Reは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリル、アミノ又は置換アミノである。]
及びその薬学的に許容される塩及びその鏡像異性体に関する。
【0028】
本発明の他の好ましい実施形態は、式(Ib)
[式中、
R1’は、トリフルオロメチル、クロロ、フルオロであり、
R2及びR3は、独立に水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、トリフルオロメチル、クロロ又はフルオロであり、
R4及びR5は、水素であり、
R6は、水素であり、
R7は、場合によって置換されているアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル又はヘテロアリール−低級アルキルである。]の化合物
及びその薬学的に許容される塩及びその鏡像異性体に関する。
【0029】
本発明の他の特に好ましい実施形態は、以下の式(Ic)
【0030】
【化6】

[式中、
R1’は、トリフルオロメチル又はクロロであり、
R2は、水素又はメチルであり、
mは、0又は1であり、
Rfは、炭素環式又は複素環式アリールである。]の化合物
及びその薬学的に許容される塩に関する。
【0031】
本発明の組合せは、本明細書で述べる置換基の性質によって、1つ又は複数の不斉炭素原子を有し、したがって、ラセミ体並びにそれらのR及びS鏡像異性体として存在する。好ましいものは、S立体配置(NR6R7置換基を有する炭素において)に一般的に帰属される、より活性の高い鏡像異性体である。
【0032】
スムースンド阻害薬化合物は、以下の式II
【0033】
【化7】

[式中、
及びYは、N及びCR10から独立に選択され、R10は、水素、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ及び−OXNR10a10bから選択され、R10a及びR10bは、水素及びC1−6アルキルから独立に選択され、
は、シアノ、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、C6−10アリール、ジメチル−アミノ、C1−6アルキル−スルファニル及び最大2つのC1−6アルキル基(alkyl radicals)で場合によって置換されたC3−8ヘテロシクロアルキルから選択され、
及びRは、水素、シアノ、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ及びジメチルアミノから独立に選択され、
及びRは、水素、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びハロ置換C1−6アルコキシから独立に選択されるか、又はR及びR若しくはR及びRは、それらの両方が結合しているフェニルと一緒になってC5−10ヘテロアリールを形成しており、
及びRは、水素、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びハロ置換C1−6アルコキシから独立に選択され、ただし、R及びRは、両方が水素ではなく、
は、水素、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びハロ置換C1−6アルコキシから選択され、
は、−S(O)11、−C(O)R11、−OR11、−NR12a12b及び−R11から選択され、R11は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルから選択され、R12a及びR12bは、C1−6アルキル及びヒドロキシ置換C1−6アルキルから独立に選択され、
の前記アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−12シクロアルキル及びC3−8ヘテロシクロアルキルから独立に選択される1〜3つの基で場合によって置換することができ、
の前記アリール−アルキル置換基は、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ及びメチルピペラジニルから独立に選択される1〜3つの基で場合によって置換されている。]の化合物;並びにそれらのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々の異性体及び異性体の混合物;並びにそのような化合物の薬学的に許容される塩及び溶媒和物(例えば、水和物)も含みうる。
【0034】
式IIの好ましい化合物は、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−シクロヘキシル−フェニル)−アミド、4’−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−ジメチルアミノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−シクロヘキシル−フェニル)−アミド、4’−ジメチルアミノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、6−クロロ−4’−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸(6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−クロロ−4’−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−クロロ−4’−ジメチルアミノ−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−クロロ−4’−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、6−クロロ−4’−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−クロロ−4’−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−クロロ−4’−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−エトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−メチル−4’−メチルスルファニル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−メチル−[1,1’;4’,1’’]テルフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、3’−クロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、2’,4’−ジクロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、2’−クロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、3’−クロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、3’,4’−ジクロロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、3’−クロロ−6−メチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6,4’−ジメチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−エチル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−tert−ブチル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−メチル−4’−プロピル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−イソブチル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−イソプロピル−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6,2’,6’−トリメチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6,2’,3’−トリメチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−メチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−メチル−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−メチル−3’、5’−ビストリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、3’−イソプロポキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、3’−エトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、2’,6’−ジメトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−メチル−4’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−メチル−3’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、4’−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、3’−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、4’−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、3’−ジメチルアミノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、4’−フルオロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、3’−フルオロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、2’−フルオロ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、4−メチル−N−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−3−キノキサリン−6−イル−ベンズアミド、6−メチル−4’−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、2’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、3’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−[1,4]オキサゼパン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−5’−イル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(3−フルオロ−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(3−クロロ−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(3−ブロモ−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(3−メチル−4−モルホリン−4−イル−フェニル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−モルホリン−4−イル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4−シクロヘキシル−フェニル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸ビフェニル−4−イルアミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(4’−メトキシ−ビフェニル−4−イル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[4−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[4−(ピロリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、4’−シアノ−6−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−シアノ−2−メトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、3’−フルオロ−4’−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−イソプロポキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−ブトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、3’−クロロ−4’−メトキシ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−メトキシ−6,3’−ジメチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−アゼパン−1−イル−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、4’−シアノ−6−フルオロ−ビフェニル−3−カルボン酸[4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、6−ブロモ−4’−シアノ−ビフェニル−3−カルボン酸[4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−ベンジル−[1,4]ジアゼパン−

1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−チオフェン−3−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−メトキシ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、2−メチル−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、2−メチル−4’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−2−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2−メチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−2−フルオロ−ビフェニル−3−カルボン酸[4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、4’−シアノ−6−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸[4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−ピリジン−4−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−ピリジン−3−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(2,6−ジメトキシ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(2−エトキシ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸(6−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−ベンジル]−[1,4]ジアゼパン−1−イル}−ピリジン−3−イル)−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(4−メトキシ−2,3−ジメチル−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−ピリジン−2−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−4−イルメチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(2−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(2−ジメチルアミノ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(2−クロロ−5−トリフルオロメチル−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(2,3−ジフルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、2−クロロ−4’−シアノ−ビフェニル−3−カルボン酸[4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−アミド、4’−シアノ−6−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、2−クロロ−4’−シアノ−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−エチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(3−フルオロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(2−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(3−クロロ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(4−イソブチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(4−tert−ブチル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(7−メトキシ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−ベンジル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−ピリジン−3−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(4−ジフルオロメトキシ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(4−シアノ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−キノリン−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−ピリジン−4−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−ピリジン−2−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(4−イミダゾール−1−イル−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸{6−[4−(3−シアノ−ベンジル)−ピペラジン−1−イル]−ピリジン−3−イル}−アミド、4’−シアノ−6−メチル−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(4−イソキノリン−5−イルメチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、(R)−2−メチル−N−(6−(2−メチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、4’−シアノ−2−メチル−N−(6−スルホニルモルホリノピリジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボキサミド、(S)−4’−シアノ−2−メチル−N−(6−(2−メチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボキサミド、(R)−6−クロロ−N−(6−(2−メチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、4’−シアノ−2−メチル−N−(6−スルフィニルモルホリノピリジン−3−イル)ビフェニル−3−カルボキサミド、4’−シアノ−N−(6−(ジイソブチルアミノ)ピリジン−3−イル)−2−メチルビフェニル−3−カルボキサミド、4’−シアノ−N−(2−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチルビフェニル−3−カルボキサミド、N−(2−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−3−カルボキサミド、N−(2−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチル−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、N−(2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)ピリミジン−5−イル)−2−メチル−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、2−メチル−N−(6−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルオキシ)ピリジン−3−イル)−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、N−(5−クロロ−6−((2S,6R)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、N−(6−((2R,6S)−2,6−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、
N−(6−(4−エチルピペラジン−1−カルボニル)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、2−メチル−N−(6−(2−オキソピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、2−メチル−N−(6−(1−(ピリジン−4−イルメチル)ピペリジン−4−イル)ピリジン−3−イル)−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、2−メチル−N−(6−(2−オキソ−4−(ピリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)ピリジン−3−イル)−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、2−メチル−N−(6−(1−(ピリジン−4−イルメチル)ピペリジン−3−イル)ピリジン−3−イル)−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド、N−(6−(1−エチルピペリジン−3−イル)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド及びN−(6−((2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリノ)ピリジン−3−イル)−2−メチル−4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−カルボキサミド及び2−メチル−4’−トリフルオロメトキシ−ビフェニル−3−カルボン酸[6−(cis−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−ピリジン−3−イル]−アミド、以下の式
【0035】
【化8】

を有する(本文書において化合物1としても識別されている)から選択される。
【0036】
式IIの上の化合物は、国際公開第2007/131201号にさらに記載されている。
【0037】
スムースンド阻害薬化合物は、以下の式III
【0038】
【化9】

[式中、
R1は、C6−14アリール基であるか、或いは非置換であるか、又は置換されていてよい5〜14員ヘテロアリール基であり、
R2及びR3は、独立にC1−8アルキル、C1−8アルキルOHであるか、又はR2及びR3は、結合してC3−14シクロアルキル基を形成しており、
Lは、結合、C1−8アルキレン、−C(O)O−、−C(O)NR9−、−C1−8アルキルOH−、−C1−8ハロアルキル−、−C(O)−、−NH−又は−O−であり、
X及びWは、独立にN又はCR5であり、X又はWの少なくとも1つがNであり、
R7は、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基又は3〜14員シクロヘテロアルキル基であり、
R4は、置換されているか、又は非置換であってよい、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C3−14シクロアルキル、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、C1−8アルコキシ、ハロ、NR6R8、C(O)OR6、C(O)NR6R8、C1−8ハロアルキル、ホルミル、カルバルコキシ、C1−8アルキルOH、C(O)R6、SOR6、C(O)NHC1−8アルキルR6、NR6R8、SONR6R8、OCF、NHC(O)R6、CHOC(O)NR6R8、CHNR6R8、NHC(O)OR6、NHC(O)NR6R8、CHNHSOR6、CHNHC(O)OR6、OC(O)R6又はNHC(O)R6であり、
Zは、C1−8アルキル、CN、OH又はハロゲンであり、
m及びpは、独立に0〜3であり、
Yは、結合、C1−8アルキレン、−C(O)−、−C(O)O−、−CH(OH)−又は−C(O)NR10であり、
R5は、H、ハロゲン、CN、低級アルキル、OH、OCH又はOCFであり、
R1は、C1−8アルキル、C6−14アリール基、C1−8ハロアルキル、C1−8アルコキシ、ハロ、NH、CN、OCF、OH、C(O)NR6R8、C(O)R6、NR6R8、NHC(O)R6、SOR6、SONR6R8の1つ又は複数のものにより置換されていてよく、
R9及びR10は、独立にC1−8アルキル又はHであり、
R6及びR8は、独立にH、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C3−14シクロアルキル、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、C1−8ハロアルキル、C1−8アルキルOH、C1−8アルコキシであるか、或いは1個の原子上の2つのR6がヘテロ原子を含む環を形成していてよく、並びに
R4、R6及びR8は、非置換であるか、或いはC1−8アルキル、C3−14シクロアルキル、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、C1−8アルキルOH、OH、オキソ、C1−8ハロアルキル、カルボキシC1−8アルキル又はSO1−8アルキル、ハロ、−OCH、−OCF、−OH、−NHの1つ又は複数のものにより置換されていてよい。]の化合物も含みうる。
【0039】
他の実施形態において、本発明は、R7が
【0040】
【化10】

である式IIIの化合物を含む。
【0041】
他の実施形態において、本発明は、R1が
【0042】
【化11】

である、請求項1に記載の式IIIの化合物を含む。
【0043】
他の実施形態において、本発明は、R7が
【0044】
【化12】

であり、
R1が
【0045】
【化13】

である式IIIの化合物を含む。
【0046】
他の実施形態において、本発明は、R4がC(O)OC1−8アルキル、CF、C(O)OR6、C(O)NR6R8、C1−8ハロアルキル、C1−8アルキルOH、C(O)R6、SOR6、C(O)NHC1−8アルキルR6、C(CH)(CH)(OH)、C(O)CH、C(CH)CH又はC(CH)(CHOH)OHであり、並びに
R6及びR8が独立にH、C1−8アルキル、C1−8アルケニル、C3−14シクロアルキル、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基である式IIIの化合物を含む。
【0047】
他の実施形態において、本発明は、R4が、非置換であるか、又は置換されていてよい
【0048】
【化14】

である式IIIの化合物を含む。
【0049】
他の実施形態において、本発明は、R2及びR3がC1−8アルキルである式IIIの化合物を含む。
【0050】
さらなる実施形態において、本発明は、R2及びR3がCHである式IIIの化合物を含む。
【0051】
他の実施形態において、本発明は、Lが−O−、−NH−、−C(O)−、−CH(OH)−、−CH−、−CF−、−CHF−、−COH−又は結合である式IIIの化合物を含む。他の実施形態において、本発明は、Lが−CH−である式IIIの化合物を含む。他の実施形態において、本発明は、両方のXがNであり、ZがCHである式IIIの化合物を含む。
【0052】
他の実施形態において、本発明は、以下の式(IIIa)
【0053】
【化15】

の化合物
及びその薬学的に許容される塩を含み、
R11は、置換されているか、或いは非置換であってよい、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C3−14シクロアルキル、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、C1−8アルコキシ、ハロ、NR13R14、C(O)OR13、C(O)NR13R14、C1−8ハロアルキル、ホルミル、カルバルコキシ、C1−8アルキルOH、C(O)R13、SOR13、C(O)NHC1−8アルキルR13、NR13R14、SONR13R14、OCF、NHC(O)R13、CHOC(O)NR13R14、CHNR13R14、NHC(O)OR13、NHC(O)NR13R14、CHNHSOR13、CHNHC(O)OR13、OC(O)R13又はNHC(O)R13であり、
R12は、C1−8アルキル、C6−14アリール基、C1−8ハロアルキル、C1−8アルコキシ、ハロ、NH、CN、OCF、OH、C(O)NR13R14、C(O)R13、NR13R14、NHC(O)R13、SOR13、SONR13R14であり、
R13及びR14は、独立にH、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C3−14シクロアルキル、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、C1−8ハロアルキル、C1−8アルキルOH、C1−8アルコキシであるか、或いは1個の原子上のR13及びR14は、ヘテロ原子を含む環を形成していてよく、並びに
R11、R13及びR14は、非置換であるか、或いはC1−8アルキル、C3−14シクロアルキル、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、C1−8アルキルOH、OH、オキソ、C1−8ハロアルキル、カルボキシC1−8アルキル又はSO1−8アルキル、ハロ、−OCH、−OCF、−OH、−NHの1つ又は複数のものにより置換されていてよい。
【0054】
スムースンド阻害薬は、内容が参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO2003011219に記載されている化合物(例えば、化合物N−[4−クロロ−3−(5−ジメチルアミノ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル]−3,5−ジメトキシ−ベンズアミド(本明細書において化合物2と呼ぶ)を含みうる。スムースンド阻害薬は、内容が参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO2003011219に記載されている化合物も含みうる。スムースンド阻害薬は、すべての内容が参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO2006028958(例えば、化合物2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(ピリジン−2−イル)フェニル)−4−(メチルスルホニル)ベンズアミド)、WO200814291、WO07120827及びWO0650351に記載されている化合物も含みうる。
【0055】
本発明の方法は、スムースンド阻害薬、例えば、式I、式II若しくは式IIIの化合物、又は本明細書に列挙した若しくは参照により組み込まれている化合物のいずれか、又はN−オキシド誘導体、個々の異性体及びそれらの異性体の混合物、又はそれらの薬学的に許容される塩を、1つ又は複数の適切な賦形剤との混合物として含む医薬組成物の使用を含む。
【0056】
本発明の方法において用いるスムースンド阻害薬は、すべての内容が参照により本明細書に組み込まれているPCT特許公開WO01/05767及びWO00/05201並びにKsanderら(2001年)、Journal of Medicinal Chemistry、44巻、4677頁に記載されているように調製することができる。
【0057】
式II及びIIaの化合物は、対応国際出願番号PCT/EP09/059138を有する米国特許出願第12/503,565号の内容にさらに記載されている。
【0058】
式(II)の好ましい化合物は、下の式の2−[(R)−4−(6−ベンジル−4,5−ジメチルピリダジン−3−イル)−2−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピラジニル−5’−イル]−プロパン−2−オール(本文書で化合物3としても識別する)である。
【0059】
【化16】

【0060】
2−[(R)−4−(6−ベンジル−4,5−ジメチルピリダジン−3−イル)−2−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピラジニル−5’−イル]−プロパン−2−オールは、以下のスキーム1に従って調製することができる。
【0061】
【化17】

【0062】
第1段階:4,5−ジメチル−1,4−ジクロロピリダジン(10g、56.5mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(3.3g、2.80mmol)及びTHF(200mL)の混合物を脱気し、次いで、ベンジル亜鉛ブロミド(147mL、THF中0.5M)を加える。反応溶液を65℃に一夜加熱する。溶媒を除去する。水を加え、水層をEtOAcで抽出する。有機層を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲル上クロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン:0%〜50%)により精製して、3−ベンジル−6−クロロ−4,5−ジメチル−ピリダジン(9.5g、67%)を得る。
【0063】
第2段階:3−クロロ−4,5−ジメチル−6−((R)−3−メチル−ピペラジン−1−イル)−ピリダジン(400mg、1.66mmol、1当量)をマイクロ波バイアル中のベンジル亜鉛ブロミド(12.3mL、THF中0.5M、6.64mmol、4当量)の溶液及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(100mg、0.08mmol、0.05当量)に加える。バイアルを密閉し、マイクロ波で100℃で(高吸収設定)40分間照射する。反応混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(5〜20%EtOAc/ヘプタン)により精製して、3−ベンジル−4,5−ジメチル−6−((R)−3−メチルピペラジン−1−イル)−ピリダジン(324mg、66%)を得る。
【0064】
第3段階:上の化合物(6.0g、20.27mmol)、5−クロロピラジン−2−カルボン酸メチルエステル(5.3g、30.30mmol)、EtN(6.2g、60.60mmol)及びジオキサン(100mL)の混合物を加熱して一夜還流する。溶媒を除去する。飽和NHCl溶液を加え、EtOAcで抽出する。有機層を濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲル上クロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン:50%〜100%)により精製して、(R)−4−(6−ベンジル−4,5−ジメチル−ピリダジン−3−イル)−2−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピラジニル−5’−カルボン酸メチルエステル(6.6g、76%)を黄色固体として得る。
【0065】
最終段階:THF(12mL)中(R)−4−(6−ベンジル−4,5−ジメチル−ピリダジン−3−イル)−2−メチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピラジニル−5’−カルボン酸メチルエステル(840mg、1.85mmol)の溶液に−78℃でメチルマグネシウムブロミド(5mL、15mmol、エーテル中3M)を加える。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、次いで、DCMで希釈し、NHCl及び水で洗浄する。合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮する。220nmの波長での検出による水中アセトニトリル(10%から95%まで、3%1−プロパノールを含む)を用いた粗生成物のHPLCによる精製により、少量の対応するメチルケトンに隣接した所望の化合物3(400mg、50%)を得る。凍結乾燥機を用いて溶媒を除去して、生成物を白色粉末として得る。
【0066】
本明細書でさらに定義する、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)阻害薬化合物は、以下の式A
【0067】
【化18】

の化合物
又はそれらの立体異性体、互変異性体(tautomer)若しくは薬学的に許容される塩を含みうる[式中、Wは、CRw又はNであり、Rwは、からなる群から選択され、WはCR又はNであり、Rは、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ハロゲン、
(4)メチル、
(5)トリフルオロメチル、
(6)スルホンアミド、
からなる群から選択され、
R1は、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ニトロ、
(4)ハロゲン、
(5)置換及び非置換アルキル、
(6)置換及び非置換アルケニル、
(7)置換及び非置換アルキニル、
(8)置換及び非置換アリール、
(9)置換及び非置換ヘテロアリール、
(10)置換及び非置換ヘテロシクリル、
(11)置換及び非置換シクロアルキル、
(12)−COR1a、
(13)−CO2R1a、
(14)−CONR1aR1b、
(15)−NR1aR1b、
(16)−NR1aCOR1b、
(17)−NR1aSO2R1b、
(18)−OCOR1a、
(19)−OR1a、
(20)−SR1a、
(21)−SOR1a、
(22)−SO2R1a及び
(23)−SO2NR1aR1b
からなる群から選択され、
R1a及びR1bは、
(a)水素、
(b)置換又は非置換アルキル、
(c)置換及び非置換アリール、
(d)置換及び非置換ヘテロアリール、
(e)置換及び非置換ヘテロシクリル及び
(f)置換及び非置換シクロアルキル
からなる群から独立に選択され、
R2は、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ニトロ、
(4)ハロゲン、
(5)ヒドロキシ、
(6)アミノ、
(7)置換又は非置換アルキル、
(8)−COR2a及び
(9)−NR2aCOR2b
からなる群から選択され、
R2a及びR2bは、
(a)水素及び
(b)置換又は非置換アルキル
からなる群から独立に選択され、
R3は、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ニトロ、
(4)ハロゲン、
(5)置換又は非置換アルキル、
(6)置換又は非置換アルケニル、
(7)置換又は非置換アルキニル、
(8)置換又は非置換アリール、
(9)置換又は非置換ヘテロアリール、
(10)置換又は非置換ヘテロシクリル、
(11)置換又は非置換シクロアルキル、
(12)−COR3a、
(13)−NR3aR3b、
(14)−NR3aCOR3b、
(15)−NR3aSO2R3b、
(16)−OR3a、
(17)−SR3a、
(18)−SOR3a、
(19)−SO2R3a及び
(20)−SO2NR3aR3b
からなる群から選択され、
R3a及びR3bは、
(a)水素、
(b)置換又は非置換アルキル、
(c)置換及び非置換アリール、
(d)置換及び非置換ヘテロアリール、
(e)置換及び非置換ヘテロシクリル及び
(f)置換及び非置換シクロアルキル
からなる群から独立に選択され、並びに
R4は、
(1)水素及び
(2)ハロゲン
からなる群から選択される。]。
【0068】
式Iの化合物の定義に用いる基及び記号は、参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO07/084786に記載されている意味を有する。WO07/084786は、PI3キナーゼなどの脂質キナーゼの活性を調節することが見いだされたピリミジン誘導体を記載している。本発明に適する特定のピリミジン誘導体、それらの調製及びそれらを含む適切な医薬品は、WO07/084786に記載されている。
【0069】
本発明の好ましい化合物は、その合成がWO07/084786に実施例10として記載されている、5−(2,6−ジモルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルアミン(本明細書において化合物Aと呼ぶ)である。
【0070】
本明細書でさらに定義する、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害薬化合物は、以下の式B
【0071】
【化19】

の化合物
[式中、
は、ナフチル又はフェニルであり、前記フェニルは、
ハロゲン、
非置換又はハロゲン、シアノ、イミダゾリル若しくはトリアゾリルにより置換された低級アルキル、
シクロアルキル、
低級アルキル、低級アルキルスルホニル、低級アルコキシ及び低級アルコキシ低級アルキルアミノからなる群から独立に選択される1つ又は2つの置換基により置換されたアミノ、
非置換又は低級アルキル及び低級アルキルスルホニルからなる群から独立に選択される1つ又は2つの置換基により置換されたピペラジニル、
2−オキソ−ピロリジニル、
低級アルコキシ低級アルキル、
イミダゾリル、
ピラゾリル、
並びにトリアゾリル
からなる群から独立に選択される1つ又は2つの置換基により置換されており、
は、O又はSであり、
は、低級アルキルであり、
は、非置換ピリジル又はハロゲン、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシにより置換されたピリジル或いは非置換ピペラジニル又は低級アルキルにより置換されたピペラジニル、
非置換又は低級アルコキシにより置換されたピリミジニル、
非置換又はハロゲンにより置換されたキノリニル、
キノキサリニル
或いはアルコキシにより置換されたフェニルであり、
は、水素又はハロゲンであり、
nは、0又は1であり、
は、オキシドであり、
ただし、n=1である場合、基Rを有するN原子は、正電荷を有し、
は、水素又はアミノである。]
又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩もしくはその水和物若しくは溶媒和物も含みうる。
【0072】
本明細書で言及する、化合物B及びCは、式Bの化合物である。
【0073】
本発明の方法及び組合せは、スムースンド阻害薬、例えば、式I、式II若しくは式IIIの化合物、又は本明細書に列挙した若しくは参照により組み込まれている化合物のいずれか、又はN−オキシド誘導体、個々の異性体及びそれらの異性体の混合物、又はそれらの薬学的に許容される塩を、1つ又は複数の適切な賦形剤との混合物として含む医薬組成物の使用を含む。
【0074】
PI3K阻害薬は、内容が参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO2006/122806に記載されている化合物(例えば、化合物2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル(化合物B)及び例えば、化合物8−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−3−メチル−1−(4−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチルフェニル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン(化合物C))を含みうる。PI3K阻害薬は、内容が参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO07084786に記載されている化合物(例えば、化合物5−(2,6−ジ−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルアミン、化合物A)も含みうる。
【0075】
PI3K阻害薬は、内容が参照により本明細書に組み込まれているPCT公開WO0712775、WO07129005、WO07129048、WO07129052、WO07129161、WO0713271、WO07122410、WO07080382、WO07087395、US07238730、US072387646及びWO07082956に記載されている化合物も含みうる。
【0076】
PI3K阻害薬は、XL−147及びXL−765(Exelixis(商標))並びにSF−1126(Semaphore Pharmaceuticals(商標))、PX−866(Oncothyreon)及びGDC0941(Roche)などの阻害薬も含みうる。
【0077】
定義
特に定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術及び科学用語は、本発明が属する分野の技術者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。次の参考文献は、本発明で用いる用語の多くの一般的定義を当業者に提供する:Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology、Smithら(編)、オックスフォード大学出版(改訂版、2000年);Dictionary of Microbiology and Molecular Biology、Singletonら(編)、John Wiley & Sons(3PrdP版、2002年); 並びにA Dictionary of Biology(Oxford Paperback Reference)、Martin及びHine(編)、オックスフォード大学出版(4版、2000年)。さらに、本発明の実施に際して読者の助けとなる以下の定義を示す。
【0078】
例えば、ヘッジホッグ関連障害(例えば、癌)を「抑制し、かつ/又は逆転させる」とは、出願人らは、前記ヘッジホッグ関連障害(例えば、癌)を排除すること、或いは前記状態を治療前又は治療を受けない場合より重度でなくすることを意味する。
【0079】
「治癒」は、本明細書で用いているように、治療により、患者におけるヘッジホッグ関連障害(例えば、癌)の、又はその持続的エピソードの寛解をもたらすことを意味する。
【0080】
「予防」又は「防止」という用語は、ヘッジホッグ関連障害(例えば、癌)の発症又は再発を妨げることを意味する。
【0081】
「診断」は、診断、予後診断、臨床試験における参加者を含む患者を選択すること、モニタリングすること、特徴付けること、及び特定の障害若しくは臨床事象のリスクのある又は特定の障害若しくは臨床事象を有する患者、又は特定の治療処置に反応する可能性が最も高い患者を特定すること、或いは特定の治療処置に対する患者の反応を評価又はモニタリングするためのものを意味する。
【0082】
「対象」又は「患者」は、状態、障害又は疾患の治療を必要とする哺乳動物、特にヒトを意味する。
【0083】
「進行の遅延」は、本明細書で用いているように、ヘッジホッグ関連障害(例えば、癌)の前段階又は初期にある患者へのスムースンド阻害薬(例えば、式I、式II若しくは式IIIの化合物、又は本明細書で列挙する若しくは参照により組み込まれている化合物のいずれか)の投与が、活性化合物の投与のない疾患の進展と比較して疾患がさらに進展することを予防する、又は疾患の進展を遅らせることを意味する。
【0084】
「本発明の組合せ」という用語又は同様な語句は、次のものの1つ又は複数と組み合わせたSmoシグナル伝達経路の拮抗薬若しくは阻害薬(例えば、スムースンド阻害薬)を意味する:(i)コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)及び(ii)Gli阻害薬。
【0085】
「ヘッジホッグ」という用語は、ソニック、インディアン、デザート及びティギーウインクルを含むヘッジホッグファミリーのメンバーのいずれかを一般的に指すために用いる。この用語は、タンパク質又は遺伝子を示すために用いることができる。この用語は、異なる動物種におけるホモログ/オルソログ配列を記述するためにも用いる。
【0086】
「ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達経路」及び「ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達」という用語は、同義で用い、ヘッジホッグ、パッチド(Ptch)、スムースンド(Smo)及びGliなどのシグナル伝達カスケードの種々のメンバーによって通常媒介される事象の連鎖を意味する。ヘッジホッグ経路は、ヘッジホッグタンパク質が存在しない場合でさえ、下流成分を活性化することによって活性化することができる。例えば、Smoの過剰発現は、ヘッジホッグが存在しない場合に該経路を活性化する。
【0087】
Hhシグナル伝達経路のHhシグナル伝達構成要素又はメンバーは、Hhシグナル伝達経路に関与する遺伝子産物を意味する。Hhシグナル伝達構成要素は、細胞/組織におけるHhシグナルの伝達にしばしば著しく又は実質的に影響を及ぼし、一般的に下流遺伝子発現レベルの程度の変化及び/又は表現型変化をもたらす。Hhシグナル伝達構成要素は、それらの生物学的機能及び下流遺伝子活性化/発現の最終的アウトカムに対する影響によって、正及び負のレギュレータに分けることができる。正のレギュレータは、Hhシグナルの伝達に正の作用を及ぼす、すなわち、Hhが存在する場合に下流の生物学的事象を刺激するHhシグナル伝達構成要素である。例としては、ヘッジホッグ、Smo及びGliなどがある。負のレギュレータは、Hhシグナルの伝達に負の作用を及ぼす、すなわち、Hhが存在する場合に下流の生物学的事象を抑制するHhシグナル伝達構成要素である。例は、Ptch及びSuFuを含む(が、これらに限定されない)。
【0088】
「ヘッジホッグ機能獲得」は、Ptc、ヘッジホッグ若しくはSmo遺伝子又はタンパク質の異常な修飾又は突然変異、或いは細胞をヘッジホッグタンパク質と接触させることに類似する表現型をもたらすそのような遺伝子の発現のレベルの低下(又は喪失)、例えば、ヘッジホッグ経路の異常な活性化を意味する。「ヘッジホッグ機能獲得」は、ヘッジホッグ経路天然リガンドの発現の増加及び/又はSmoの発現の増加に起因するヘッジホッグ経路の異常な活性化にも適用することができる。機能獲得は、Gli遺伝子、例えば、Gli1、Gli2及びGli3の発現のレベルを調節するPtch遺伝子産物の能力の喪失を含みうる。「ヘッジホッグ機能獲得」という用語は、本明細書において、ヘッジホッグ自体の修飾又は突然変異を含むが、これに限定されない、ヘッジホッグシグナル伝達経路におけるいずれかにおける変化に起因して発生するあらゆる類似の細胞表現型(例えば、過度の増殖を提示する)を指すのにも用いる。例えば、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化に起因する異常に高い増殖速度を有する腫瘍細胞は、ヘッジホッグが当細胞において突然変異していないとしても、「ヘッジホッグ機能獲得」表現型を有するだろう。
【0089】
「パッチド機能喪失」は、Ptch遺伝子又はタンパク質の異常な修飾、増幅又は突然変異、或いは細胞をヘッジホッグタンパク質と接触させることに類似する表現型をもたらす該遺伝子の発現のレベルの低下、例えば、ヘッジホッグ経路の異常な活性化を意味する。機能喪失は、Gli遺伝子、例えば、Gli1、Gli2及びGli3の発現のレベルを調節するPtch遺伝子産物の能力の喪失を含みうる。
【0090】
「Gli機能獲得」は、Gli遺伝子又はタンパク質の異常な修飾、増幅又は突然変異、或いは細胞をヘッジホッグタンパク質と接触させることに類似する表現型をもたらす該遺伝子の発現のレベルの増加、例えば、ヘッジホッグ経路の異常な活性化を意味する。
【0091】
腫瘍の成長又は腫瘍細胞の成長との関連での「抑制すること」又は「抑制」という用語は、原発性又は二次性腫瘍の出現の遅延、原発性又は二次性腫瘍の発育の緩徐化、原発性又は二次性腫瘍の発生の減少、疾患の二次的影響の緩徐化又は重症度の低下、或いは腫瘍成長の停止及び腫瘍の退縮を意味する。「予防する」又は「予防」という用語は、原発性若しくは二次性腫瘍の発育又は疾患の二次的影響の完全な抑制を意味する。酵素活性の調節との関連では、阻害は、競合的、不競合的及び非競合的阻害を含む酵素活性の可逆的な抑制又は低下に関連する。これは、基本的ミカエリス−メンテン速度式により解析することができる、酵素の反応速度論に対する阻害剤の影響によって実験的に区別することができる。競合的阻害は、阻害剤が、活性部位における結合について通常の基質と競合するような形で遊離酵素と結合することができる場合に起こる。競合的阻害剤は、酵素と可逆的に反応して、酵素−基質複合体と類似の酵素−阻害剤複合体[EI]を形成する。
【0092】
「スムースンド機能獲得」は、Smo遺伝子の異常な修飾又は突然変異、或いは細胞をヘッジホッグタンパク質と接触させることに類似する表現型をもたらす該遺伝子の発現のレベルの増加、例えば、ヘッジホッグ経路の異常な活性化を意味する。
【0093】
「スムースンド阻害薬」(又は「スムースンド拮抗薬」又は同様な語句)は、本明細書で用いているように、スムースンドを阻害し、拮抗し、又は抑え、それにより、ヘッジホッグ経路シグナル伝達を阻害し、拮抗し、又は抑えることができる剤を記述する。スムースンド阻害薬は、シクロパミン、ジェルビン、式Iの化合物(例えば、式(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物)、式IIの化合物、式IIIの化合物、本明細書で個別に列挙した抗スムースンド化合物のいずれか、抗Smo抗体及び抗Smo阻害核酸(例えば、抗Smo siRNAs)を含むが、これらに限定されない。スムースンド阻害薬はまた、当技術分野における、及び/又は参照により本明細書に組み込まれている、他の公知の抗スムースンド剤を含む。
【0094】
「PI3K阻害薬」は、本明細書で用いているように、PI3Kに関連する生物学的活性及び下流エフェクター、例えば、PI3K経路の活性化を阻害し、拮抗し、又は抑えることができる剤を記述する。本出願の目的のために、PI3K阻害薬は、PDK1、Akt及びmTOR(ラパマイシンの哺乳類標的)などのPI3Kの下流標的を阻害する剤も含みうる。
【0095】
PI3K阻害薬は、式A及びBの一部として本明細書で列挙した化合物を含みうる。PI3K阻害薬は、脂質キナーゼ阻害薬及びsiRNAsなどのPI3Kに対する阻害ヌクレオチドも含みうる。PI3K阻害薬は、内容が参照により本明細書に組み込まれている、PCT公開WO2006/122806に記載されている化合物(例えば、化合物2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル、化合物B;及び例えば、化合物8−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−3−メチル−1−(4−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン、化合物C)も含みうる。PI3K阻害薬は、内容が参照により本明細書に組み込まれている、PCT公開WO07084786に記載されている化合物(例えば、化合物5−(2,6−ジモルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルアミン、化合物A)も含みうる。
【0096】
PI3K阻害薬は、内容が参照により本明細書に組み込まれている、PCT公開WO0712775、WO07129005、WO07129048、WO07129052、WO07129161、WO0713271、WO07122410、WO07080382、WO07087395、US07238730、US072387646及びWO07082956に記載されている化合物も含みうる。
【0097】
PI3K阻害薬は、XL−147及びXL−765(Exelixis(商標))並びにSF−1126(Semaphore Pharmaceuticals(商標))、PX−866(Oncothyreon)及びGDC0941(Roche)などの阻害薬も含みうる。
【0098】
「Gli阻害薬」は、本明細書で用いているように、Gli関連活性、例えば、遺伝子トランス活性化を阻害し、拮抗し、又は抑えることができる剤を記述する。Gli阻害薬は、スムースンドの下流の活性化に関連するヘッジホッグ関連活性(例えば、ヘッジホッグ関連障害をもたらす異常な活性)を阻害することができる剤を含む。Gli阻害薬の非限定的な例としては、GANT61(Gli−ANT作動薬61)、GANT58、ゼルムボン、ゼルムボンエポキシド、スタウロスポリノン、6−ヒドロキシスタウロスポリノン、アルシリアフラビンC、5,6−ジヒドロキシアルシリアフラビンA、及びフィサリンF及びBなどがある。
【0099】
本明細書において、「治療」という用語は、予防的治療又は防止的治療、並びに本発明の障害(例えば、ヘッジホッグ関連障害(例えば、癌)のリスクがある患者及び疾患患者の治療を含む治癒的又は疾患抑制治療を含みうる。この用語は、疾患の進行の遅延のための治療をさらに含む。
【0100】
「治療」又は「治療すること」は、疾患(例えば、白血病)の症状、合併症又は生化学的兆候の発症を予防又は遅延させるための化合物又は剤の投与、症状を軽減させること或いは疾患、状態又は障害のさらなる進展を阻止若しくは抑制することを含む。治療は、予防的(疾患の発症を予防若しくは遅延させるため、又はその臨床若しくは無症候性症状の発現を予防するため)又は疾患の発現の後の症状の治療的抑制若しくは軽減でありうる。
【0101】
「治療する」又は「治療」という用語は、腫瘍成長の停止、及び腫瘍の部分的若しくは完全な退縮も意味し、疾患(例えば、癌)の症状、合併症又は生化学的兆候の発症を予防又は遅延させるための化合物又は剤の投与、症状を軽減させること或いは疾患、状態又は障害のさらなる進展を阻止若しくは抑制することも意味する。
【0102】
本明細書で用いているように、「小有機分子」は、3キロダルトン未満、好ましくは1.5キロダルトン未満の分子量を有する有機化合物(又は無機化合物(例えば、金属)と錯体を形成した有機化合物)である。
【0103】
「薬学的に許容される」という語句は、ヒトに投与したときに、生理学的に耐えられ、アレルギー又は胃の不調(gastric upset)、めまいなどの同様な有害反応を一般的に引き起こさない分子実体及び組成物を意味する。好ましくは、本明細書で用いているように、「薬学的に許容される」という用語は、連邦若しくは州政府の規制当局により承認されたもの、又は動物、より明細にはヒト用の米国薬局方若しくは他の一般的に認められた薬局方に収載されているものを意味する。
【0104】
「担体」という用語は、化合物が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又は媒体を意味する。そのような医薬担体は、水並びに落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物、植物又は合成由来のものを含む油などの滅菌液体でありうる。水又は水溶液、生理食塩溶液並びに水性デキストロース及びグリセロール溶液を特に注射液用の担体として用いることが好ましい。適切な医薬担体は、E. W. Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0105】
「治療上有効な量」という語句は、宿主の活動、機能及び反応の臨床的に重要な欠損を少なくとも約15%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%減少させる、またより好ましくは防止するのに十分な量を意味するように本明細書において用いる。或いは、治療上有効な量は、宿主における臨床的に重要な状態/症状の改善をもたらすのに十分なものである。
【0106】
「剤」又は「試験薬剤」という用語は、あらゆる物質、分子、元素、化合物、実在物(entity)又はそれらの組合せを含む。これは、例えば、タンパク質、ポリペプチド、小有機分子、多糖、ポリヌクレオチドなどを含むが、これらに限定されない。これは、天然産物、合成化合物、又は化学化合物、又は2つ若しくはそれ以上の物質の組合せを含む。他に特に規定がない限り、「剤」、「物質」及び「化合物」は、同義で用いることができる。
【0107】
「類似物」(analog)は、本明細書で用いているように、本発明の所望の活性及び治療効果(例えば、腫瘍の成長の抑制)を有する化合物、ヌクレオチド、タンパク質若しくはポリペプチド又は化合物と類似又は同じ活性又は機能(単数又は複数)を有するが、好ましい実施形態の配列若しくは構造と類似又は同じである配列若しくは構造を必ずしも含む必要がない小有機化合物、ヌクレオチド、タンパク質若しくはポリペプチドを意味する。
【0108】
「アポトーシス」は、プログラムされた細胞死を意味し、膜の小胞形成、クロマチン凝集及び断片化、アポトーシス小体の形成及び陽性「タネル」染色パターンなどの特定の細胞特性によって特徴付けられる。アポトーシス時のゲノムDNAの分解は、特有なヌクレオソームサイズのDNA断片の形成をもたらし、この分解は、ゲル電気泳動により分析するときに、診断用の(約)180bpのはしごパターンを生じさせる。アポトーシス過程におけるその後の段階は、アポトーシス細胞を様々な色素(例えば、トリパンブルー及びヨウ化プロピジウム)に対して漏りやすくする、形質膜の分解である。
【0109】
「誘導体」は、アミノ酸残基の置換、欠失若しくは付加の導入により改変された親タンパク質若しくはポリペプチドのアミノ酸配列を含む化合物、タンパク質若しくはポリペプチド、又はヌクレオチドの置換若しくは欠失、付加若しくは突然変異の導入により修飾された核酸若しくはヌクレオチドを意味する。誘導体核酸、ヌクレオチド、タンパク質又はポリペプチドは、親ポリペプチドと類似又は同一の機能を有する。
【0110】
「阻害薬」又は「拮抗薬」は、Hh経路機能のin vitro及びin vivoアッセイを用いて同定される阻害分子、例えば、Smo拮抗薬を意味する。特に、阻害薬及び拮抗薬は、Hh経路を介して起こるシグナル伝達を減少させる化合物又は剤を意味する。阻害薬は、この経路を介するシグナル伝達を減少させ、遮断し、又は妨げる化合物であってよい。
【0111】
「ヘッジホッグ関連障害(単数又は複数)」は、本明細書で用いているように、ヘッジホッグ経路の崩壊又は異常に関連する障害並びにヘッジホッグ経路の活性化に関連する正常であるが、望ましくない成長状態に関連する障害を含む。「ヘッジホッグ関連障害(単数又は複数)」は、腫瘍形成、癌、新生物、悪性過剰増殖性障害及び非悪性過剰増殖性障害を含むが、これらに限定されない。ヘッジホッグ関連障害(単数又は複数)は、良性前立腺過形成、乾癬、滲出型黄斑変性、大理石骨症及び好ましくない毛成長も含む。
【0112】
本明細書で用いているように、「癌」という用語は、固形哺乳類腫瘍並びに血液悪性腫瘍を含む。「固形哺乳類腫瘍」は、頭頸部、肺、中皮腫、縦隔、食道、胃、膵臓、肝胆道系、小腸、結腸、結腸直腸、直腸、肛門、腎臓、尿道、膀胱、前立腺、尿道、陰茎、精巣、婦人科器官、卵巣、乳房、内分泌系、皮膚、脳を含む中枢神経系の癌;軟組織及び骨の肉腫;並びに皮膚及び眼内起源の黒色腫を含む。「血液悪性腫瘍」という用語は、小児白血病並びにリンパ腫、ホジキン病、リンパ球及び皮膚起源のリンパ腫、急性及び慢性白血病、AIDSに関連する形質細胞新生物及び癌を含む。さらに、原発性、転移性及び再発性癌などのあらゆる進行期の癌を治療することができる。多くの種類の癌に関する情報は、例えば、アメリカ癌学会から、又は例えば、Wilsonら(1991年)、Harrison’s Principles of Internal Medicine、12版、McGraw-Hill, Inc.から見いだすことができる。ヒト及び家畜への使用が予期される。
【0113】
本発明の方法による治療に特に適する癌は、神経膠腫、髄芽腫(例えば、小脳髄芽腫)、周皮腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNETS)、基底細胞癌(BCC)、小細胞肺癌、大細胞肺癌、胃腸管の腫瘍、横紋筋肉腫、乳癌、軟組織肉腫、膵臓腫瘍、膀胱腫瘍及び前立腺腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0114】
本明細書で用いているように、「感受性腫瘍」は、スムースンド阻害薬抗癌療法による治療に反応する、ヘッジホッグ経路活性化に起因する腫瘍(例えば、髄芽腫)を意味する。
【0115】
本明細書で用いているように、「抵抗性腫瘍」は、Smo阻害薬の持続的存在下で、治療による収縮の後に再成長した、又は治療により一時的に除去された後に再出現した以前は感受性だった腫瘍(formerly sensitive tumors)(例えば、髄芽腫)を意味する。抵抗性腫瘍は、スムースンド阻害薬に対する感受性の低下又は無反応を示す。抵抗性腫瘍の功を奏する治療は、例えば、新規若しくは以前に試行された抗癌療法及び/又は化学療法薬に対する腫瘍細胞の感受性の増加を生じさせることができ、また、例えば、その後の腫瘍細胞死及び転移の予防をもたらすことができる。
【0116】
本明細書で用いているように、「スタチン」は、コレステロールの合成に関与する鍵酵素を阻害し、LDLコレステロールの受容体結合を促進し、血清コレステロール及びLDLコレステロールのレベルの低下及びHDLコレステロールのレベルの増加をもたらす。これらは、ステロール合成経路阻害薬(SSPIs)のサブセットとしばしば呼ばれており、コレステロールの生合成に関与する鍵酵素であるHMG−CoAレダクターゼを阻害することによって血清コレステロールのレベルを低下させる。スタチンは、プラバスタチン、シムバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン及びピタバスタチンなどである。
【0117】
本明細書で用いているように、「悪性過剰増殖性障害(単数又は複数)」は、癌、ニューロン増殖性障害、骨髄増殖性疾患及び白血病を含むが、これらに限定されない。
【0118】
本明細書で用いているように、「非悪性過剰増殖障害(単数又は複数)」は、血管平滑筋過形成、皮膚瘢痕化、肺線維症などの非悪性及び非腫瘍性の増殖障害を含むが、これらに限定されない。
【0119】
本明細書で用いているように、「コレステロール生合成経路阻害薬」は、アセチルCoAの2炭素酢酸基の変換から例えば、細胞質及びミクロソームにおいて始まるコレステロールの生成又は合成を抑制又は阻止することができる剤を意味する。体内のコレステロールの過剰蓄積及び異常沈着(とりわけ心血管疾患につながりうる)を予防するために、コレステロール生合成を厳格に調節する。この経路の阻害薬は、(i)スタチン;(ii)イソプレノイドのステロールへの変換を阻害し、イソプレノイド合成のみを完全な状態のままにするスクアレン合成阻害薬であるザラゴジン酸A(ZGA);初期ステロールであるラノステロールの合成を可能にするが、下流ステロールの合成を妨げるケトコナゾール;(iv)コレステロール合成の最終段階を遮断し、コレステロール及びその誘導体以外のステロールの産生を可能にするトリパラノール(TPL);及び(v)コレステロールのプレグネネロン及び他のステロイドへの変換を阻害し、ステロール合成を影響を受けないままにするアミノグルテチミドを含むが、これらに限定されないステロール合成経路阻害薬(SSPIs)のクラスを含む。
【0120】
「アルキル」という用語は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖炭化水素基、好ましくは1〜7個の炭素原子の低級アルキルを意味する。具体例としてのアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチルなどである。好ましいものは、C〜Cアルキルである。
【0121】
有機基又は化合物にそれぞれ関連して本明細書で言及する「低級」という用語は、異なって定義されていなければ、7個を含む個数までの、好ましくは4個を含む個数までの、有利には1個又は2個の炭素原子を有するものを一般的に定義する。それは、直鎖又は分枝鎖であってよい。
【0122】
「場合によって置換されたアルキル」という用語は、1〜20個の炭素原子を有する非置換又は置換直鎖又は分枝鎖炭化水素基、好ましくは1〜7個の炭素原子の低級アルキルを意味する。具体例としての非置換アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチルなどである。
【0123】
「置換アルキル」という用語は、1つ又は複数の次の基により置換されたアルキル基を意味する:ハロ(F、Cl、Br及びIなど)、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、置換アミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アミノスルホニル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、アルコキシカルボニル、アリール、アラルコキシ、グアニジノ、ヘテロシクリル(例えば、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジル)など。
【0124】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0125】
「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」という用語は、アルキル−O−を意味する。
【0126】
「アリール」又は「アル」という用語は、それぞれがアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、置換アミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、アルコキシカルボニル、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、アミノスルホニルなどの1〜4つ、例えば、1つ又は2つの置換基により場合によって置換されていてよい、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル及びビフェニル基などの環部分に6〜12個の炭素原子を有する炭素環式単環式又は二環式芳香族炭化水素基を意味する。「アリーレン」は、アリール基に由来する二価基である。
【0127】
「アラルキル」という用語は、ベンジルなどのアルキル基に結合したアリール基を意味する。
【0128】
「ハロアルキル」という用語は、トリフルオロメトキシなどのハロによる一又は多置換のアルキルを意味する。
【0129】
「アルキレン」という用語は、1〜3つの低級アルキル基で置換されていてよい単結合により結合された1〜6個の炭素原子の直鎖橋(例えば、xが1〜6である−(CH2)x−)を意味する。
【0130】
「O、S、N−(H、アルキル又はアラルキル)により中断されたアルキレン」という用語は、エ(メ)チレンオキシエ(メ)チレン、エ(メ)チレンチオエ(メ)チレン又はエ(メ)チレンイミノエ(メ)チレンなどのO、S、N−(H、アルキル又はアラルキル)により中断されている2〜6個の炭素原子の直鎖を意味する。
【0131】
「シクロアルキル」は、示される数の環原子を含む飽和又は部分的に不飽和の単環式、縮合二環式又は架橋多環式環アセンブリを意味する。例えば、C3−10シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。
【0132】
「アルカノイルオキシ」という用語は、アルキル−C(O)−O−を意味する。
【0133】
「アルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」という用語は、それぞれ(アルキル)NH−及び(アルキル)N−を意味する。
【0134】
「アルカノイルアミノ」という用語は、アルキル−C(O)−NH−を意味する。
【0135】
「アルキルチオ」という用語は、アルキル−S−を意味する。
【0136】
「アルキルチオノ」という用語は、アルキル−S(O)−を意味する。
【0137】
「アルキルスルホニル」という用語は、アルキル−S(O)−を意味する。
【0138】
「カルバミル」という用語は、−C(O)−アミノ又は−C(O)−置換アミノを意味する。
【0139】
「アルコキシカルボニル」という用語は、アルキル−O−C(O)−を意味する。
【0140】
「アシル」という用語は、アルカノイル、アロイル、ヘテロアリオール、アリールアルカノイル、ヘテロアリールアルカノイルなどを意味する。
【0141】
「ヘテロアリール」又は「ヘテロアル」という用語は、芳香族複素環、例えば、低級アルキル、低級アルコキシ又はハロなどの1〜4つ、例えば、1つ又は2つの置換基により場合によって置換され、前記複素環の結合の箇所が複素環式環の炭素原子にある、例えば、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリルなどの単環式又は二環式複素環式アリールを意味する。好ましいヘテロアリール残基は、1−メチル−2−ピロリル、2,3−チエニル、2−チアゾリル、2−イミダゾリル、1−メチル−2−イミダゾリル、2,3,4−ピリジル又は2−キノリルである。
【0142】
「ヘテロシクロアルキル」は、示される1つ又は複数の環炭素が−O−、−N=、−NR−、−C(O)−、−S−、−S(O)−又は−S(O)−から選択される部分により置換されており、Rが水素、C1−4アルキル又は窒素保護基であるという条件での本願書で定義したシクロアルキルを意味する。例えば、本発明の組合せを記述するために本願で用いるC3−8ヘテロシクロアルキルは、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イル、チオモルホリノ、スルファノモルホリノ、スルホノモルホリノ等を含む。
【0143】
「アルカノイル」という用語は、例えば、アセチル、プロピオニル又はピバロイルなどのC〜Cアルカノイル、特にC〜Cアルカノイルを意味する。
【0144】
「アラルコキシ」という用語は、アルコキシ基に結合したアリール基を意味する。
【0145】
「アリールスルホニル」という用語は、アリール−SO−を意味する。
【0146】
「アロイル」という用語は、アリール−CO−を意味する。
【0147】
「ヘテロシクリル」という用語は、例えば、少なくとも1つの炭素原子含有環に少なくとも1個のヘテロ原子を有する、4〜7員単環式、7〜11員二環式又は10〜15員三環式環系である、場合によって置換された完全に飽和又は不飽和の芳香族又は非芳香族環式基を意味する。ヘテロ原子を含む複素環式基の各環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1、2又は3個のヘテロ原子を有してよく、窒素及び硫黄ヘテロ原子は、場合によって酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、場合によって四級化されていてもよい。複素環式基は、ヘテロ原子又は炭素原子において結合させることができる。
【0148】
具体例としての単環式複素環式基は、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリクリニル(isothiazoliclinyl)、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン及びテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニルなどである。
【0149】
具体例としての二環式複素環式基は、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、エンゾピラニル(enzopyranyl)、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニル又はフロ[2,3−b]ピリジニルなど)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)などである。
【0150】
具体例としての三環式複素環式基は、カルバゾリル、ベンゾイドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどである。
【0151】
「ヘテロシクリル」という用語は、置換複素環式基も含む。置換複素環式基は、以下のものの1、2又は3つで置換された複素環式基を意味する:
(a)アルキル
(b)ヒドロキシ(若しくは保護ヒドロキシ)、
(c)ハロ、
(d)オキソ(すなわち、=O)、
(e)アミノ若しくは置換アミノ、
(f)アルコキシ、
(g)シクロアルキル、
(h)カルボキシ、
(i)ヘテロシクロオキシ、
(j)非置換低級アルコキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル、
(k)カルバミル、アルキルカルバミル、アリールカルバミル、ジアルキルカルバミル、
(l)メルカプト、
(m)ニトロ、
(n)シアノ、
(o)スルホンアミド、スルホンアミドアルキル又はスルホンアミドジアルキル、
(p)アリール、
(q)アルキルカルボニルオキシ、
(r)アリールカルボニルオキシ、
(s)アリールチオ、
(t)アリールオキシ、
(u)アルキルチオ、
(v)ホルミル、
(w)アリールアルキル、或いは
(x)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はハロにより置換されたアリール。
【0152】
「ヘテロシクロオキシ」という用語は、酸素架橋を介して結合した複素環式基を意味する。
【0153】
「ヘテロアリールスルホニル」という用語は、ヘテロアリール−SO−を意味する。
【0154】
「ヘテロアロイル」という用語は、ヘテロアリール−CO−を意味する。
【0155】
「アシルアミノ」という用語は、アシル−NH−を意味する。
【0156】
「置換アミノ」という用語は、アルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキルにより一置換又は独立に二置換されたアミノ、或いは低級アルキレン又はO、S、N−(H、アルキル、アラルキル)などにより中断された低級アルキレンにより二置換されたアミノを意味する。
【0157】
本明細書で用いているように、「接触させること」(contacting)は、通常の意味を有し、2つ又はそれ以上の分子(例えば、小分子有機化合物とポリペプチド)を混合すること、或いは分子と細胞(例えば、化合物と細胞)を混合することを意味する。接触は、in vitroで起こりうる。例えば、2つ又はそれ以上の剤を混合する、或いは化合物と細胞又は細胞溶解物を試験管又は他の容器中で混合する。接触は、細胞内又はin situでも起こりうる。例えば、2つのポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドの細胞内での共発現により細胞内で、或いは細胞溶解物中で2つのポリペプチドを接触させる。
【0158】
本発明の方法により用いられるいずれの酸性スムースンド阻害薬化合物の薬学的に許容される塩も、塩基により生成する塩、すなわち、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ及びアルカリ土類金属塩並びにアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム及びトリス−(ヒドロキシメチル)−メチルアンモニウム塩などのアンモニウム塩などのカチオン塩である。
【0159】
同様に、鉱酸、有機カルボン及び有機スルホン酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸などの酸付加塩は、アミノ又はピリジルなどの塩基基が構造の一部を構成しているならば、可能である。
【0160】
本発明の方法により用いられるスムースンド阻害薬化合物の薬学的に許容される塩は、ピリジルなどの塩基基が構造の一部を構成しているならば、鉱酸、有機カルボン及び有機スルホン酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸などの特に酸付加塩である。
【0161】
本発明の方法により用いられるスムースンド阻害薬化合物は、置換基の性質によって、1つ又は複数の不斉炭素原子を有し、したがって、それらのラセミ体並びに(R)及び(S)鏡像異性体として存在する。好ましいものは、S立体配置(NR置換基がある炭素において)に一般的に帰属される、より高い活性の鏡像異性体である。
【0162】
本発明は、Hh及び/又はSmoにより調節されるシグナル伝達経路が、スムースンド阻害薬(例えば、シクロパミン、ジェルビン、式Iの化合物(式(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物)、式IIの化合物、式IIIの化合物、本明細書で個別に列挙した抗スムースンド化合物のいずれか、抗Smo抗体及び抗Smo阻害核酸(例えば、抗Smo siRNAs))とコレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)Gli阻害薬及び/又はホスファチジルイニシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬の組合せにより調節することができるという発見に関する。前記調節は、Hh/Smo経路がスムースンド拮抗薬に以前に曝露されたにもかかわらず活性である場合(例えば、抵抗性腫瘍の場合と同様に)に起こる。前記調節は、Hh/Smo経路がスムースンド拮抗薬に以前に曝露されなかったにもかかわらず活性である場合(例えば、感受性腫瘍の場合と同様に)にも起こる。
【0163】
本発明は、一般的に、腫瘍形成、癌、新生物及び非悪性過剰増殖性障害を含むが、これらに限定されないヘッジホッグ経路に関連する病変(下で定義し、本明細書では「ヘッジホッグ関連障害(単数又は複数)」と呼ぶ)の診断及び治療に関し、より具体的には、次のものの1つ又は複数と組み合わせた、ヘッジホッグ及びSmoシグナル伝達経路を阻害することが公知の剤、例えば、スムースンド阻害薬を用いて腫瘍形成、腫瘍成長及び腫瘍生存を抑制する方法に関する:(i)コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、(ii)Gli阻害薬及び/又は(iii)ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬。スムースンド阻害薬は、本明細書で定義するクラスであり、抗スムースンド抗体若しくは阻害ヌクレオチド(例えば、RNAi)、式I、式II若しくは式IIIの化合物、又は本明細書で列挙若しくは参照により組み込まれている化合物のいずれか、並びに当技術分野における及び/又は参照により本明細書に組み込まれている他の公知の抗スムースンド剤を含むが、これらに限定されない。ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬も本明細書で定義するクラスであり、これは、式Aの化合物並びに脂質キナーゼ阻害薬及び抗PI3K阻害ヌクレオチド(例えば、RNAi)を含むが、これらに限定されない。
【0164】
本発明の方法及び化合物は、例えば、Ptch機能喪失、ヘッジホッグ機能獲得、スムースンド機能獲得又はGli機能獲得などの表現型に起因する異常な成長状態を抑制することにより、ヘッジホッグシグナル伝達経路の活性化を抑制することに関し、正常なPtch活動を活性化し、正常なヘッジホッグ活性を拮抗し、又はスムースンド活性を拮抗する(例えば、異常な成長状態を逆転又は制御する)のに十分な量のヘッジホッグ及びSmoシグナル伝達経路を阻害することが公知である剤、例えば、スムースンド阻害薬と、コレステロール生合成阻害薬(例えば、スタチン);Gli阻害薬;及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せと細胞とを接触させることを含む。
【0165】
本発明の一態様は、Smo依存性経路の活性化を抑制するための化合物を用いる方法を含む(例えば、Smoがヘッジホッグリガンドの存在により活性化される場合)。本発明の他の態様は、ヘッジホッグ(リガンド)非依存性経路の活性化を抑制するための化合物を用いる方法を含む。特定の実施形態において、本方法は、活性化がヘッジホッグリガンドの存在下又は不存在下であるかどうかにかかわりなく、ヘッジホッグ機能獲得、Ptch機能喪失又はスムースンド機能獲得突然変異に起因するようなヘッジホッグ経路の望ましくない活性化の表現型効果を無効にするのに用いることができる。例えば、本発明の方法は、ヘッジホッグリガンドの存在下又は不存在下でスムースンド依存性又は非依存性(すなわち、活性化がスムースンドの下流で起こる場合)ヘッジホッグ経路シグナル伝達を拮抗するのに十分な量のコレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬と組み合わせたスムースンド阻害薬などのSmo拮抗薬と細胞とを(in vitro又はin vivoで)接触させることを含みうる。
【0166】
本発明の特定の実施形態は、in vitro又はin vivoで細胞中のSmoタンパク質の細胞内の合成、発現、産生、安定化、リン酸化、再配置及び/又は活性を阻害する方法であって、スムースンド阻害薬と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを前記細胞と接触させること又は前記細胞に導入することを含む方法を提供する。特定の実施形態において、ヘッジホッグシグナル伝達経路におけるSmoの下流のタンパク質(例えば、Gli)もin vitro又はin vivoで細胞中で阻害される。例えば、Gliタンパク質(単数又は複数)の細胞内の合成、発現、産生、安定化、リン酸化、再配置及び/又は活性は、スムースンド阻害薬と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを前記細胞と接触させること又は前記細胞に導入することを含む方法により、上述のスムースンドの阻害に加えて阻害することができる。特定の実施形態において、前記Smoタンパク質は、スムースンド拮抗薬に以前に曝露されたにもかかわらず、活性である(例えば、抵抗性腫瘍の場合と同様に)。他の実施形態において、前記Smoタンパク質は、スムースンド拮抗薬に以前に曝露されなかった。
【0167】
本発明の方法は、例えば、幹細胞からの組織の形成におけるin vitro及び/又はin vivoでの細胞の増殖及び/又は分化を調節するために、或いは過剰増殖性細胞の成長を妨げるために用いることができる。他の特定の実施形態において、スムースンド阻害薬と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを細胞と接触させること又は細胞に導入することは、細胞増殖の抑制、腫瘍細胞の成長及び/又は生存の抑制、及び/又は腫瘍形成の抑制をもたらす。したがって、他の特定の実施形態は、腫瘍細胞における本発明の組合せ法を用いることによりHh経路を阻害し、かつ/又は拮抗する方法を提供する。特定の実施形態において、前記細胞増殖、腫瘍細胞の成長及び/又は生存、及び/又は腫瘍形成は、抵抗性腫瘍に関連する。他の実施形態において、前記細胞増殖、腫瘍細胞の成長及び/又は生存、及び/又は腫瘍形成は、感受性腫瘍に関連する。
【0168】
本発明の組合せは、特定の実施形態において感受性腫瘍に罹患している患者に投与することができる。前記組合せは、特定の他の実施形態において抵抗性腫瘍に罹患している患者に投与することができる。
【0169】
本発明の組合せを用いて治療することができる、本明細書で述べる腫瘍細胞は、アポトーシス抵抗性であってよく、従来の抗癌療法に抵抗性であってよく、かつ/又は本明細書で定義した抵抗性腫瘍であってよい。抵抗性腫瘍は、例えば、Smo阻害薬の存在にもかかわらずヘッジホッグ経路の再活性化につながる遺伝子変化によって生ずることがある。例は、阻害薬の結合を妨げるSmo突然変異、及び/又はヘッジホッグ経路の再活性化につながるSmoの下流の遺伝子(例えば、sufu、Gli1、Gli2)における突然変異である。抵抗性腫瘍及び従来の抗癌療法に屈しない腫瘍のこれらの例において、本発明の組合せは、腫瘍細胞に老化、アポトーシス又はネクローシスを受けさせることができる。前記組合せの投与は、腫瘍細胞死及び転移の予防をもたらしうる。
【0170】
本発明の方法は、薬学的に許容される賦形剤若しくは担体を含む医薬品として製剤化されたスムースンド阻害薬とコレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを用いることができる。同様に、前記コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬は、薬学的に許容される賦形剤若しくは担体も含む医薬品として製剤化することができる。前記組合せは、癌及び/又は腫瘍(髄芽腫、基底細胞癌等)並びに非悪性過剰増殖性障害などの望ましくない細胞増殖に関連する状態を治療するために患者に投与することができる。前記組合せは、特定の実施形態において、感受性腫瘍に罹患した患者に投与することができる。前記組合せは、特定の他の実施形態において、抵抗性腫瘍に罹患した患者に、又は抵抗性腫瘍を防止するために患者に投与することができる。
【0171】
本発明の他の態様は、スムースンド阻害薬とコレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬、及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを哺乳動物に投与することを含む、Smo遺伝子若しくは遺伝子産物(例えば、Smoタンパク質)の存在及び/又は発現によって特徴付けられる哺乳動物における細胞の衰弱、乱れ及び/又は機能障害;過形成性、過剰増殖性及び/又は癌性疾患状態;及び/又は腫瘍細胞の転移を診断、予防及び/又は治療する方法を提供する。
【0172】
ヘッジホッグシグナル伝達経路
シグナル伝達分子のヘッジホッグファミリーのメンバーは、脊椎動物の発生時の多くの重要な短期及び長期パターニング過程を媒介する。パターン形成は、胚細胞が分化組織の秩序正しい空間配置を形成する活動である。高等生物体の物理的複雑さは、細胞内因性系統(lineage)と細胞外因性シグナル伝達との相互作用により胚発生時に生ずる。誘導相互作用は、身体計画の最早期の確立から、器官系のパターニングまで、組織分化時の多様な細胞型の発生までの脊椎動物の発生における胚パターニングに必須である。発生細胞相互作用の効果は変化し、応答細胞の非誘導及び誘導状態と異なる細胞を誘導することによって、応答細胞は、細胞分化の1つの経路から他の経路に変化させられる(誘導)。時として、細胞は、それらの隣接細胞をそれら自体のように分化するように誘導し(ホメオジェネティック(homeogenetic)誘導)、他の場合に、細胞は、その隣接細胞がそれ自体のように分化することを妨げる。初期の発生における細胞相互作用は、2つの細胞型の間の初期の誘導が多様性の漸進的増幅につながるように順次的である可能性がある。さらに、誘導相互作用は、胚においてだけでなく、成人細胞においても起こり、分化を誘導することに加えて、形態形成パターンを確立し、維持するように作用しうる。
【0173】
ヘッジホッグ遺伝子の脊椎動物ファミリーは、すべてが分泌タンパク質をコードするデザート(Dhh)、ソニック(Shh)及びインディアン(Ihh)ヘッジホッグとして公知の哺乳動物に存在する3つのメンバーを含む。これらの各種ヘッジホッグタンパク質は、単一シグナルペプチド、高度に保存されたN末端領域及びより多岐にわたるC末端ドメインからなっている。生化学的試験により、Hh前駆体タンパク質の自己タンパク質分解開裂が、後に求核置換で開裂する内部チオエステル中間体を経て進行することが示された。求核体は、N−ペプチドのC末端に共有結合した状態になり、それを細胞表面につなぎ留める小親油性分子であることはありうる。その生物学的意味は深い。つなぎ留めの結果として、N末端ヘッジホッグペプチドの高い局所濃度がヘッジホッグ産生細胞の表面上に生ずる。それが短期及び長期ヘッジホッグシグナル伝達活動に必要かつ十分であるこのN末端ペプチドである。
【0174】
スムースンド(Smo)は、ヘッジホッグ(Hh)シグナルのトランスデューサとして作用する1024アミノ酸膜貫通タンパク質をコードする。Smoタンパク質は、7つの疎水性膜貫通ドメイン、細胞外アミノ末端領域及び細胞内カルボキシ末端領域を有する。Smoは、Gタンパク質共役受容体とのいくつかの類似性を有し、セルペンチンタンパク質のFrizzled(Fz)ファミリーと最も相同的である(Alcedoら(1996年)、Cell、86巻、221頁)。
【0175】
不活性ヘッジホッグシグナル伝達経路は、膜貫通タンパク質受容体パッチド(Ptc)がスムースンド(Smo)の安定化、リン酸化及び活性を阻害する場である。Hhシグナル伝達の下流構成要素である転写因子Gliは、Fused(Fu)及びFusedのサプレッサー(Sufu)を含む細胞質タンパク質との相互作用により核に入るのを妨げられる。結果として、ヘッジホッグ標的遺伝子の転写活性化が抑制される。該経路の活性化は、3つの哺乳類リガンド(Dhh、Shh又はIhh)のいずれかのPtcへの結合により開始される。
【0176】
Hhによるリガンド結合がSmoとPtcの相互作用を変化させ、Smoが細胞内の内部構造から形質膜に移動すると直ちにSmoの抑制が逆転する。形質膜へのSmoの局在化がHh経路標的遺伝子の活性化をHh非依存的に誘発する(Zhuら(2003年)、Genes Dev.、17巻(10号)、1240頁)。Smoにより活性化されたカスケードは、転写因子Gliの活性形の核への転移をもたらす。転移した核GliによるSmoの活性化は、Wnt、TGFβ及びPtch並びにGli自体を含むHh経路標的遺伝子の発現を活性化する。
【0177】
ヘッジホッグ関連障害
前述のことによれば、本発明は、そのような治療を必要とする対象における本明細書で述べた疾患又は障害(本明細書で個別又は集合的に「ヘッジホッグ関連障害」とも呼ぶ)のいずれかを予防又は治療する方法を提供し、該方法は、スムースンド阻害薬(シクロパミン、ジェルビン、式Iの化合物(例えば、式(Ia)、(Ib)又は(Ic)の化合物)、式IIの化合物、式IIIの化合物、本明細書で個別に列挙する抗スムースンド化合物のいずれか、抗Smo抗体及び抗Smo阻害核酸(例えば、抗Smo siRNAs)又はその薬学的に許容される塩と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを前記対象に投与することを含む。上の使用のいずれかについて、必要とする用量は、投与の方法、治療する個々の状態及び所望の効果によって異なる。
【0178】
ヘッジホッグシグナル伝達のレベルの増加(例えば、異常なヘッジホッグシグナル伝達)は、癌の形成を開始するのに十分なものであり、腫瘍の生存に必要である。癌の形成及び腫瘍の生存に必要であることは、同様にPtch機能喪失、ヘッジホッグ機能獲得、スムースンド機能獲得及び/又はGli機能獲得に起因しうる。これらの癌は、前立腺癌(Karhadkar SSら(2004年)、Nature、10月7日、431巻(7009号)、707〜12頁)(Sanchez Pら(2004年)、PNAS、8月24日、101巻(34号)、12561〜6頁)(Mimeault Mら(2006年)、International Journal of Cancer、118巻(4号)、1022〜31頁);乳癌(Kubo Mら(2004年)、Cancer Res.、2004年9月1日、64巻(17号)、6071〜4頁)(Liu Sら(2006年)、Cancer Res、66巻(12号)、6063〜71頁)(Moraes RCら(2007年)、Development、134巻(6号)、1231〜42頁);髄芽腫(Berman DMら(2002年)、Science、8月30日、297巻(5586号)、1559〜61頁);非黒色腫皮膚癌、すなわち、扁平上皮癌(SCC)及び基底細胞癌(BCC)(Williams JAら(2003年)、PNAS、4月15日、100巻(8号)、4616〜21頁)(Xie Jら(1998年)、Nature、1月1日、391巻(6662号)、90〜2頁);膵臓、食道、胃及び胆管癌(Thayer SPら(2003年)、Nature、10月23日、425巻(6960号)、851〜6頁)(Maら(2006年)、Int J Cancer、118巻(1号)、139頁)(Berman DMら(2003年)、Nature、10月23日、425巻(6960号)、846〜51頁)(Nakashima Hら(2006年)、Cancer Research、66巻(14号)、7041〜9頁)(Feldmann Gら(2007年)、Cancer Research、67巻(5号)、2187〜96頁)(Ji Zら(2007年) 、J Biol Chem、282巻(19号)、14048〜55頁)並びに小細胞肺癌(Watkins DNら(2003年)、Nature、3月20日、422巻(6929号)、313〜7頁)(Vestergaard Jら(2006年)、Lung Cancer、52巻(3号)、281〜90頁)を含むが、これらに限定されない。
【0179】
ヘッジホッグシグナル伝達のレベルの増加が癌の形成を開始するのに十分なものであり、腫瘍の生存に必要であるその他の癌は、大腸癌(Douard Rら(2006年)、Surgery、139巻(5号)、665〜70頁)(Qualtrough Dら(2004年)、International Journal of Cancer、110巻(6号)、831〜7頁);神経膠腫(Bar EEら(2007年)、Neuro-Oncology、9巻(4号)、594頁)(Clement Vら(2007年)、Current Biology、17巻(2号)、165〜72頁)(Ehteshan Mら(2007年)、Oncogene、3月12日、印刷前の電子版):黒色腫(Stecca Bら(2007年)、PNAS、104巻(14号)、5895〜900頁);非小細胞肺癌(NSCLC)(Yuan Zら(2007年)、Oncogene、26巻(7号)、1046〜55頁);卵巣(Chen XJら(2007年)、Cancer Science、98巻(1号)、68〜76頁);肝臓(Huang SHら(2006年)、Carcinogenesis、27巻(7号)、1334〜40頁)(Sicklick JKら(2006年)、Carcinogenesis、27巻(4号)、748〜57頁);腎臓(Cutcliffe Cら(2005年)、Clinical Cancer Research、11巻(22号)、7986〜94頁);横紋筋肉腫(Hahn Hら(1998年)、Nature Medicine、4巻(5号)、619〜22頁)(Tostar Uら(2006年)、Journal of Pathology、208巻(1号)、17〜25頁)及び軟骨肉腫(Tiet TDら(2006年)、American Journal of Pathology、168巻(1号)、321〜30頁)を含むが、これらに限定されない。
【0180】
悪性リンパ腫(ML)は、リンパ系の細胞に関わり、米国における第5位の最も一般的な癌である。MLは、リンパ増殖性疾患の異種群である非ホジキン病及びホジキン病を含む。ホジキン病は、全悪性リンパ腫の約14%を占めている。非ホジキンリンパ腫は、主としてB細胞起源の悪性腫瘍の多様な群である。ワーキングフォーミュレーション(Working Formulation)分類スキームでは、これらのリンパ腫は、それらの自然歴により低、中及び高グレードカテゴリーに分類された(「The Non-Hodgkin’s Lymphoma Pathologic Classification Project」、Cancer、49巻、2112〜2135頁、1982年参照)。低グレードリンパ腫は、無痛性であり、生存期間の中央値は5〜10年である(Horning及びRosenberg、N. Engl. J. Med.、311巻、1471〜1475頁、1984年)。化学療法は大多数の無痛性リンパ腫における寛解を誘発するが、治癒はまれであり、ほとんどの患者が最終的に再発し、さらなる治療を必要とする。中及び高グレードリンパ腫は、より攻撃的な腫瘍であるが、化学療法による治癒のより大きい可能性を有する。しかし、これらの患者のかなりの割合が再発し、さらなる治療を必要とする。
【0181】
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄に通常認められる種類の形質細胞からなる悪性腫瘍である。これらの悪性形質細胞は、骨髄に蓄積し、一般的にモノクローナルIgG又はIgA分子を産生する。悪性形質細胞は、骨髄中に存在し、拡大し、正常な造血の喪失により、貧血及び免疫抑制を引き起こす。多発性骨髄腫罹患者は、しばしば貧血、溶骨性病変、腎不全、高カルシウム血症及び再発性細菌感染を経験する。MMは、第2の最も一般的な造血器悪性腫瘍である。
【0182】
「ヘッジホッグ関連障害」は、リンパ腫、白血病及び骨髄腫などの血液及びリンパ系の癌をさらに含む。本発明の方法及び組合せは、ヘッジホッグシグナル伝達経路の1つ又は複数の構成要素を拮抗して、リンパ腫細胞、白血病細胞又は骨髄腫細胞の成長及び増殖を抑制する。リンパ腫は、Bリンパ球由来のリンパ芽球の悪性腫瘍である。骨髄腫は、骨髄に通常認められる種類の形質細胞からなる悪性腫瘍である。白血病は、血液形成器官に関わる急性又は慢性疾患である。NHLは、循環血液中の白血球数の対応する増加を伴う又は伴わない身体の組織中の白血球数の異常な増加によって特徴付けられ、最も顕著に関係する白血球の種類に従って分類される。
【0183】
例として、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫、形質芽球腫、形質細胞腫又はCLL)に罹患している対象又はその発現のリスクのある対象は、本発明の方法及び組合せにより治療することができる。好ましくは、対象はヒトである。本発明の方法及び組合せは、次のものの1つ又は複数のものと組み合わせた有効量のスムースンド阻害薬を含む医薬組成物を対象に投与することを伴う:(i)コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)及び(ii)Gli阻害薬。対象は、いずれかの病期(例えば、I〜IV期、Ann Arbor Staging System)の転移を伴う又は伴わないリンパ腫と診断されている対象でありうる。本発明の方法による治療に適するリンパ腫は、ホジキン病及び非ホジキン病を含むが、これらに限定されない。ホジキン病は、特定のリンパ節から発生すると思われ、後に脾臓、肝臓及び骨髄に広がるリンパ組織のヒト悪性障害(リンパ腫)である。ホジキン病は、主として15〜35歳の個人に発生する。ホジキン病は、リンパ節、脾臓及び全身リンパ組織の進行性の無痛性腫脹によって特徴付けられる。古典的ホジキン病は、次の4つのサブタイプに分類される:(1)小結節硬化型ホジキン病(NSHD)、(2)混合細胞性ホジキン病(MCHD)、(3)リンパ球枯渇型ホジキン病(LDHD)及び(4)リンパ球優勢古典的ホジキン病(cLRHD)。
【0184】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の方法及び組合せは、非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療するのに用いることができる。非ホジキン病は、リンパ肉腫とも呼ばれており、ホジキン病と重要な点が異なるリンパ腫の群を指し、癌細胞の顕微鏡的外観に従って分類される。非ホジキンリンパ腫は、(1)遅成長リンパ腫及びリンパ性白血病(例えば、慢性リンパ球性白血病、小リンパ球性白血病、リンパ形質細胞様リンパ腫、濾胞中心リンパ腫、濾胞性小分割細胞、濾胞性混合細胞、辺縁帯B細胞リンパ腫、毛様細胞性白血病、形質細胞腫、骨髄腫、大顆粒リンパ球性白血病、菌状息肉腫、スザリー(szary)症候群)、(2)中等度に攻撃性なリンパ腫及びリンパ性白血病(例えば、前リンパ球性白血病、マントル細胞リンパ腫、濾胞中心リンパ腫、濾胞性小分割細胞、濾胞中心リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/前リンパ球性白血病、血管中心性リンパ腫、血管免疫芽球性リンパ腫)、(3)攻撃性リンパ腫(例えば、大B細胞型リンパ腫、末梢T細胞型リンパ腫、腸T細胞型リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫)及び(4)高度に攻撃性なリンパ腫及びリンパ性白血病(例えば、B細胞前駆Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫、バーキットリンパ腫、高悪性度B細胞型リンパ腫、バーキット様T細胞前駆Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫)を含むが、これらに限定されない。本発明の方法は、成人又は小児型のリンパ腫、並びにいずれかの病期、例えば、I、II、III又はIV期のリンパ腫に用いることができる。本明細書で述べる方法は、他の形の白血病、例えば、急性リンパ球性白血病(ALL)を治療するのにも用いることができる。
【0185】
本発明の治療方法及び組合せの一部は、Gli3を発現しないリンパ腫又は骨髄腫の治療を特に対象とする。Gli1及びGli2はすべてのリンパ腫で発現すると思われるが、検出可能なGli3発現は、シクロパミンによるHh経路の阻害に抵抗性であったリンパ腫に主として存在する。正常脾B細胞及び大多数のシクロパミン反応性リンパ腫におけるGli3の発現は存在しない。
【0186】
したがって、本発明の方法及び組合せによる治療の前に、リンパ腫を有する対象を対象から得たリンパ腫細胞試料中のGli3の発現について最初に検査することができる。試料中のGli3発現レベルを該対象から得た正常脾B細胞中のGli3発現レベルと比較することができる。リンパ腫又は骨髄腫試料及び対照細胞中のGli3発現レベルは、当技術分野で周知の方法を用いて測定することができる。本明細書で述べる方法及び組合せによる治療に対する起こりうる反応性は、リンパ腫又は骨髄腫試料中の検出可能なGli3発現の欠如、或いは正常B細胞中のGli3発現レベルより有意に高くない(例えば、25%、50%又は100%以上以下)発現レベルによって示される。本発明の治療方法の追加の段階以外に、Gli3発現の欠如についての事前のスクリーニングを患者層別化の方法として独立に用いることができる。
【0187】
リンパ腫に加えて、上述の方法及び組合せは、骨髄腫の治療にも適している。多発性骨髄腫は、Ig鎖の分泌をしばしば伴う、形質細胞のクローンの蓄積によって特徴付けられる致死的新生物である。腫瘍による骨髄浸潤は、貧血、低ガンマグロブリン血症及び随伴性細菌感染を伴う顆粒球減少症と関連する。異常なサイトカイン環境、主として高いIL−6及びIL−1βレベルは、骨痛につながる骨吸収の増加、骨折及び高カルシウム血症をしばしばもたらす。攻撃的化学療法及び移植にもかかわらず、多発性骨髄腫は、普遍的に致命的な血漿増殖性障害である。
【0188】
本発明の組合せ及び方法は、基底細胞癌(BCC又は蚕食性潰瘍)、副腎髄質の皮質又は髄質部分から生ずる副腎の腫瘍及び卵巣腫瘍の治療に有用である。
【0189】
まれな常染色体優性癌遺伝症候群である、ゴーリン症候群(基底細胞母斑症候群(BCNS)及び母斑様基底細胞癌としても公知である)を有するヒト患者は、Ptchにおける生殖細胞系機能喪失突然変異に起因した、基底細胞癌(BCC)を高頻度で、またより低頻度で他の固形腫瘍(例えば、髄芽腫)を発現する。これらの患者並びにPtchにおける体性機能喪失突然変異を有するBCCを有する他の非ゴーリン患者は、ヘッジホッグリガンドに関連する治療に反応するとは予想されないであろう。しかし、それらの患者は、本発明の方法及び組合せに認められるようなHhリガンドから下流のHhシグナル伝達の阻害薬に反応すると思われる。
【0190】
同様に、Ptch又はSmo突然変異に起因する他の固形腫瘍は、Hhリガンド関連阻害に反応しないが、Smo遮断(例えば、本発明の方法及び組合せの適用による)に反応する。
【0191】
本発明のスムースンド阻害薬(例えば、式I、式II若しくは式IIIの化合物、又は本明細書で列挙する若しくは参照により組み込まれている化合物のいずれか)又はその薬学的に許容される塩と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せは、骨過成長障害を含むヘッジホッグ関連障害の治療にも有用である。骨過成長障害は、先端巨大症、大頭症、ソトス症候群、進行性骨幹形成異常(PDD又はカムラチ−エンゲルマン(Camurati-Engelmann)病)、頭蓋骨幹形成異常(craniodiaphyseal dysplasia)並びにファンブッヘム(Van Buchem)病(I及びII型)及び硬結性骨化症を含む骨内膜骨化過剰症を含むが、これらに限定されない。
【0192】
本発明の組合せは、望ましくない毛成長、例えば、ヘアリーモール(hairy moles)の治療及び脱毛後の毛再成長の美容上の予防に有用である。
【0193】
本発明の組合せは、他の公知のヘッジホッグ経路阻害薬(例えば、シクロパミン)が治療における有用性を示した(Cutis、2006年、78巻(3号)185〜8頁;Br. J. Dermatology、4月、154巻(4号)、619〜23頁)乾癬のようなヘッジホッグ関連障害の治療にも有用である。
【0194】
本発明の組合せは、「線維性障害」、特に肝線維症のようなヘッジホッグ関連障害の治療にも有用である。線維性障害は、過度の線維芽細胞又は筋線維芽細胞増殖並びにコラーゲン、フィブロネクチン及びグリコサミノグリカン(GAG)を含む結合組織マトリックスの産生によって特徴付けられる。肝線維性障害は、アルコール性、C型肝炎関連及び原発性胆管線維症、並びに非アルコール性脂肪肝及び硬化性胆管炎、住血吸虫症に起因する線維症を含むが、これらに限定されない。
【0195】
ヘッジホッグシグナル伝達は、小さい胸腺サイズを有し、ダブルマイナスからダブルプラスT細胞への分化の低下を示すShh−/−マウスにより少なくとも証明されるようにT細胞分化に重要である。T細胞前駆細胞の増殖及び分化に加えて、Hhシグナル伝達は、レパートリー選択時のT細胞受容体シグナル伝達を調節することが示されている。したがって、本発明の方法及び組合せは、自己免疫及び炎症性疾患などのT細胞関連障害の治療及び診断、並びに腫瘍による免疫系回避に有用でありうる。
【0196】
Gli転写因子
亜鉛フィンガー転写因子Gli1、Gli2及びGli3は、スムースンドが、パッチド阻害による放出(例えば、ヘッジホッグリガンド結合による)時にそのシグナルを伝達する、ヘッジホッグシグナル伝達経路の最終的エフェクターである。Gliは、腫瘍形成に関連し、その構成的活性化は、癌発生に決定的に重要である(Lauth M.ら(2007年)、PNAS、104巻(20号)、8455頁)。
【0197】
本明細書に記載するデータから、下流転写因子Gli2が、Smo阻害薬の存在にもかかわらずヘッジホッグ経路の再活性化(例えば、抵抗性腫瘍の形成をもたらしうる)に関与する可能性があることが示唆される。Gli1又はGli2に作用する阻害薬は、本発明の方法によってもたらされるように、特にスムースンド阻害薬との併用で、抵抗性腫瘍の成長を阻害すると考えられる。
【0198】
本発明の組合せ法に用いることができる公知のGli阻害薬は、小分子Gli拮抗薬GANT61(Gli−ANT作動薬61)及びGANT58(Laugh M.ら)を含むが、これらに限定されない。本発明の組合せ法に用いることができる他の公知のGli阻害薬は、セスキテルペンゼルンボン及びゼルンボンエポキシド;ビスインドールアルカロイドスタウロスポリノン、6−ヒドロキシスタウロスポリノン、アルシリアフラビンC及び5,6−ジヒドロキシアルシリアフラビンA;並びにフィサリンF及びB(Hosoya T.ら(2008年)、ChemBioChem、9巻、1082頁)を含むが、これらに限定されない。
【0199】
PI3K
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)は、イノシトール環のD−3位においてホスホイノシチドをリン酸化する広く発現する脂質キナーゼである。これらのタンパク質は、細胞表面受容体の下流のシグナルトランスデューサとして機能する。PI3K触媒反応の生成物であるホスファチジルイノシトール3,4,5−三リン酸(PtdIns(3,4,5)P3)、ホスファチジルイノシトール3,4−ビスリン酸(PtdIns(3,4)P2)及びホスファチジルイノシトール3−リン酸(PtdIns(3)P)は、細胞の成長、分化、可動性、増幅及び生存を含む多くの細胞過程に中心的な役割を有するセカンドメッセンジャーである。
【0200】
PI3Kファミリーの8つのメンバーは、それらの一次配列、in vitro基質選択、ドメイン構造及び調節の様式に基づいて3つの群に分類された。クラスIIのPI3Kは、大部分が細胞の膜画分に結合し、それらのC末端におけるC2ドメインによって特徴付けられ、3つのイソ型(PI3K−C2α、PI3K−C2β及びPI3K−C2γ)からなる(Sheikhら(2003年)、BMC Clin. Pathol.、3巻、1頁)。クラスIIIのPI3Kは、ホスファチジルイノシトールのみを基質として利用し、リソソームを介するタンパク質トラフィッキングに必須の役割を果たす(Voliniaら(1995年)、EMBO J.、14巻、3339頁)。
【0201】
本出願の方法及び組合せの対象である、クラスIのPI3Kは、2つのサブグループIA及びIBからなる。クラスIAのPI3Kサブグループは、5つの調節ドメイン:p85α、p85β、p85γ、p50α及びp55αの1つとヘテロ二量体を形成する、3つの触媒サブユニットp110α、p110β及びp110δからなる。これらのPI3Kは、細胞表面受容体チロシンキナーゼによって活性化される。
【0202】
クラスIBのPI3Kは、1つのメンバー、p110gのヘテロ二量体、及びGタンパク質共役受容体の刺激後にGタンパク質βγサブユニットによって活性化される調節p101ドメインからなる。PI3K IA及びIBは、脂質ホスファターゼPTENの作用により逆転される過程である、PtdIns(3,4,5)P3の形成を触媒する。
【0203】
コレステロール合成経路
ヘッジホッグ経路とコレステロール生合成経路が関連するという理由の中には、ステロール合成がShhシグナル伝達に必要とされることがある(Corocoran R.及びScott M.(2006年)、PNAS、103巻(22号)、8409頁)。ステロール合成が障害される場合、Shhリガンドがコレステロールにより共有結合により修飾されるだけでなく、Shhシグナルもヘッジホッグ経路における受信細胞において遮断されうる(Cooper Mら(1998年)、Science、280巻、1603頁)。スタチンの抗腫瘍効果は、当技術分野で周知であり、いくつかのスタチンが癌適応について臨床試験にかけられている。コレステロールと癌との関連は、スタチンクラスのコレステロール合成阻害薬を用いた試験により示唆された(Bar E. & Stearns D.(2008年)、Expert Opin. Investig. Drugs、17巻(2号)、185頁)。スタチンは、HMG−CoA(酵素3−ヒドロキシ−3−グルタリル補酵素A)レダクターゼに天然基質より約1000倍効果的に結合する。
【0204】
スムースンド阻害薬とコレステロール生合成経路阻害薬、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬及び/又はGli阻害薬との組合せ
本発明は、スムースンド阻害薬(例えば、式I、式II若しくは式IIIの化合物、又は本明細書で列挙する若しくは参照により組み込まれている化合物のいずれか)と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せを提供する。この組合せは、a)遊離形又は薬学的に許容される塩の形の本明細書で開示するスムースンド阻害薬(例えば、式I、式II若しくは式IIIの化合物、又は本明細書で列挙する若しくは参照により組み込まれている化合物のいずれか)である第1の剤、並びにb)コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)及び/又はGli阻害薬を含む少なくとも1つの併用剤、を含む医薬品の組合せ、例えば、キットとして提供することができる。キットは、その投与に関する指示を含みうる。
【0205】
本発明の組合せについて相乗的効果が可能である。すなわち、スムースンド阻害薬(例えば、式I、式II若しくは式IIIの化合物、又は本明細書で列挙する若しくは参照により組み込まれている化合物のいずれか)と、コレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬及び/又はホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害薬との組合せの治療効果は、個別に投与する各阻害薬の治療効果より、又はそれらを併用することの予想される単なる相加効果より有意に大きいことがありうる。いくつかの実施形態において、併用剤を同時に投与する。他の実施形態において、併用剤を逐次的に投与する。
【0206】
併用投与剤の用量は、用いる剤の固有のタイプ、治療する状態などによって異なる。
【0207】
「併用(co-administration)」又は「併用投与(combined administration)」という用語又は同様な用語は、本明細書で用いているように、単一患者への選択される治療剤の投与を含むことを意味し、剤が必ずしも同じ投与経路により、又は同時に投与されない治療計画を含むものとする。
【0208】
「医薬品の組合せ」(pharmaceutical combination)という用語は、本明細書で用いているように、複数の有効成分の混合又は配合により得られる製品を意味し、有効成分の固定及び非固定配合を含む。「固定配合」という用語は、有効成分、例えば、スムースンド阻害薬化合物及び併用剤の両方を単一の実体又は剤形の形で同時に患者に投与することを意味する。「非固定配合」という用語は、有効成分、例えば、スムースンド阻害薬化合物及び併用剤の両方を別個の実体として同時に、並行して、又は特定の時間制限なしに逐次的に患者に投与することを意味し、そのような投与は、患者の体内の2つの化合物の治療上有効なレベルをもたらす。後者は、カクテル療法、例えば、3つ以上の有効成分の投与にも適用される。
【0209】
医薬組成物の投与
本発明は、癌などのヘッジホッグ関連障害(単数又は複数)の治療的(及び、本発明のより広い態様において、予防的)処置のためのスムースンド阻害薬(例えば、式I、式II若しくは式IIIの化合物、又は本明細書で列挙する若しくは参照により組み込まれている化合物のいずれか)並びにコレステロール生合成経路阻害薬(例えば、スタチン)、Gli阻害薬及び/又はPI3K阻害薬を含む医薬組成物の組合せの使用に関する。
【0210】
一般的に、本発明の方法及び組合せの化合物は、単独又は1つ若しくは複数の治療剤Sと組み合わせて、当技術分野で公知の通常及び許容できる方法のいずれかにより治療上有効な量で投与する。治療上有効な量は、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的健康、用いる化合物の効力及び他の因子によって広く異なる可能性がある。一般的に、十分な結果は、約0.03〜2.5mg/kg/体重の1日投与量で全身的に得られることが示されている。大型哺乳動物、例えば、ヒトにおける指示された1日投与量は、例えば、1日4回までの分割量で又は遅延剤形で適宜投与される約1000mg、好ましくは500mg、より好ましくは100mgの範囲にある。経口投与用の適切な単位剤形は、約1〜50mgの有効成分を含む。
【0211】
本発明の方法及び組合せの化合物は、医薬組成物として、任意の通常の経路により、特に経腸的に、例えば、経口的に、例えば、錠剤若しくはカプセル剤の形で、又は、非経口的に、例えば、注射用液剤若しくは懸濁剤の形、局所的に、例えば、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤若しくはクリーム剤の形で、又は、鼻若しくは坐剤の形で投与することができる。少なくとも1つの薬学的に許容される担体又は希釈剤とともに遊離形又は薬学的に許容される塩の形の本発明の化合物を含む医薬組成物は、混合、造粒又はコーティング法により従来の方法で製造することができる。例えば、経口組成物は、有効成分並びにa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及び/又はグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウム若しくはカルシウム塩及び/又はポリエチレングリコール;また錠剤用にc)結合剤、例えば、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン;所望の場合d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸若しくはそのナトリウム塩、又は発泡混合物;並びに/或いはe)吸収剤、着色剤、着香剤及び甘味料を含む錠剤又はゼラチンカプセル剤でありうる。注射用組成物は、水性等張性液剤又は懸濁剤であってよく、坐剤は、脂肪性乳剤又は懸濁剤から調製することができる。
【0212】
化合物は、滅菌され、かつ/又は保存、安定化、湿潤若しくは乳化剤、溶解促進剤、浸透圧の調節用の塩及び/又は緩衝剤などの補助剤を含んでいてよい。さらに、それらは、他の治療上有用な物質も含んでいてよい。経皮適用用の適切な製剤は、有効量の本発明の化合物と担体を含む。担体は、宿主の皮膚の通過を促進するための薬理学的に許容される吸収性溶剤を含みうる。例えば、経皮用具は、基材(backing member)、化合物と場合によって担体を含む貯留層、場合によって長時間にわたり制御され、あらかじめ定められた速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御バリア、及び皮膚に該用具を固定するための手段を含む絆創膏の形である。マトリックス経皮製剤も用いることができる。例えば、皮膚及び眼への局所適用用の適切な製剤は、好ましくは当技術分野で周知の水性液剤、軟膏剤、クリーム剤又はゲル剤である。そのようなものは、可溶化剤、安定化剤、等張性促進剤、緩衝剤及び保存剤を含んでいてよい。
【実施例】
【0213】
本発明は、本発明を例示することを意図し、それに対する制限であると解釈すべきではない以下の代表的な実施例によって、さらに例示するが、限定されない。特に示さない限り、前記実施例では、以下の材料及び方法を用いる。
【0214】
皮下髄芽腫同種移植片モデルの説明
Ptch+/−p53−/−、Ptch+/−Hic+/−又はPtch+/−マウスにおける自然発生髄芽腫に最初に由来する腫瘍断片から直接解離させたマウス髄芽腫細胞(1.0〜5.0x10)をHarlan nu/nuマウスの右側腹部の皮下に接種した。処置は、移植後約7〜10日目に開始した。動物を約250〜300mmの範囲の同様な平均腫瘍容積を有する処置群に無作為化した。解析のためにすべての群の腫瘍容積(mm)及び体重(g)を1週当たり2又は3回記録した。用量は、投与時に体重で調整した。処置群間の比較は、ノンパラメトリッククラスカル−ウォリス/ウィルコクスン順位和検定を用いて行った。
【0215】
同種移植片モデルデータ解析
腫瘍を2次元で径を測定し、容積を式:(長さx幅2)/2を用いて計算した。ここで、長さは、2つの測定値の長いほうであり、幅は、短いほうである。処置/対照パーセント(%T/C)値は、次の式を用いて計算した:ΔTf−iが>0ならば、%T/C=100xΔTf−i/ΔCf−iであり、ΔTf−iが<0ならば(退縮(regression))、%T/T0=100xΔTf−i/T0である。部分奏効動物(PR)は、腫瘍が試験の終了時までに初期腫瘍容積の50%未満であった動物と定義した。試験の終了時までに触知できる腫瘍を有さない動物は、完全奏効動物(CR)と定義する。
【0216】
[実施例1: Ptch+/−モデルにおいて認められた薬剤耐性]
Ptch+/−マウスは、髄芽腫を自然に発現する(Romerら、2004年)。Smo依存性であることが以前に示された腫瘍を、Hh経路を阻害する化合物を試験するためのモデルとして用いる。p53の喪失が髄芽腫の早期発症をもたらし、その発生率を増加させ、Ptch+/−p53−/−マウスの95%が髄芽腫を発現し、ほとんどが出生から12週以内に脳腫瘍により死亡する(Wetmore、Eberhart及びCurran、2001年、Romerら、2004年)。Ptch+/−Hic+/−マウスも高い浸透率及び低い潜伏期を有する髄芽腫を形成する(Briggsら、2008年)。Smo阻害薬は、Ptch+/−p53−/−マウスにおいて、トランスジェニックモデル(Romerら、2004年)及びPtch+/−p53−/−髄芽腫腫瘍由来の同種移植片モデル(Bermanら、2002年)の両方において直接的に髄芽腫の発生率を効果的に低下させることが示された。
【0217】
したがって、対応するトランスジェニックマウス由来であり、in vivoで継代し、長期連続投与後のPtch+/−p53−/−、Ptch+/−Hic+/−及びPtch+/−マウス髄芽腫同種移植片モデルにおいて化合物1のin vivoでの有効性を評価した。
【0218】
[実施例1a: Ptch+/−p53+/−髄芽腫同種移植片モデルにおける処置]
Ptch+/−p53+/−モデルにおける処置は、次のように行った。処置は、移植(500万個の細胞/動物)後8日目に開始した。化合物1を5mg/kg bid(すなわち、1日2回)、10mg/kg bid、20mg/kg qd(すなわち、1日1回)、20mg/kg bid、40mg/kg bid及び80mg/kg bidで合計25日間po(すなわち、経口)投与した。化合物2を100mg/kg bidで25日間投与した。化合物1の媒体対照は、水中0.5%メチルセルロース、0.5%Tween80であった。最初の群の大きさは、8匹の動物からなっていた。媒体群を処置10日後に中止させた(腫瘍がマウス体重の10%超)。動物に合計26日間の処置のために連続投与した。
【0219】
26日間の前記連続投与後(図1)に、腫瘍退縮が投与期間の前半で認められた。しかし、その後、投与を継続したにもかかわらず、腫瘍は再成長した。同様に、100mg/kg bidで投与した化合物2も最初に退縮を、その後、腫瘍成長をもたらした。投与の終了時に再成長腫瘍においてGli1 mRNAの発現を分析したところ、部分的にのみ抑制されたことが示された(媒体対照と比較して60〜80%)。内部の以前の試験で、ほぼ100%のGli1 mRNA阻害が腫瘍退縮に必要であることが示された。これは、薬力学的マーカーGli1 mRNAによって分析されたように、腫瘍の再成長がヘッジホッグ経路の不十分な阻害に起因することを示唆するものである。
【0220】
[実施例1b: Ptch+/−Hic+/−髄芽腫同種移植片モデルにおける処置]
結果を図2に示す、Ptch+/−Hic+/−モデルにおけるフォローアップ試験において、処置を次のように行った。
【0221】
処置は、移植(500万個の細胞/動物)後7日目に開始した。化合物1を5mg/kg bid、10mg/kg bid、20mg/kg qd、20mg/kg bid、40mg/kg bid及び80mg/kg bidで試験期間中po投与した。化合物2を100mg/kg bidで試験期間中投与した。化合物1の媒体対照は、水中0.5%メチルセルロース、0.5%Tween80であった。最初の群の大きさは、8匹の動物からなっていた。媒体群を処置10日後に中止させた(腫瘍がマウス体重の10%超)。
【0222】
Ptch+/−Hic+/−モデルにおいて、腫瘍のすべてではないが、一部が、最初の退縮後の再成長の証拠を示した。しかし、持続性完全退縮が動物のサブセットにおいて認められた(表1参照)。持続性の完全寛解(complete response)は、高用量で頻度がより高いと思われた。これは、Ptch+/−突然変異を共有しているが、異なる腫瘍サプレッサー突然変異(p53−/−又はHic+/−)を有する異なる皮下同種移植片マウス腫瘍モデルにおいて、耐性が様々な程度に発生することを示唆するものである。
【0223】
図2及び表1の両方でわかるように、Ptch+/−Hic+/−腫瘍すべてに化合物1を5、10、20、40及び80mg/kg bid並びに20mg/kg qdで、化合物2を100mg/kg bidで移植後7日目に開始してpo投与した。表1に示す持続性退縮は、47日目の試験終了時に依然として存在する完全寛解の例数を表す。
【0224】
図2において、黒四角は、媒体のみ、po bid(すなわち、経口、1日2回)を表す。点線付きの黒三角は、100mg/kg po bid投与の化合物2を表す。点線付きの逆黒三角は、5mg/kg po bid投与の化合物1を表す。点線付きの黒ダイヤモンドは、10mg/kg po bid投与の化合物1を表す。点線付きの黒丸は、20mg/kg po qd投与の化合物1を表す。点線付きの白四角は、20mg/kg po bid投与の化合物1を表す。点線付きの白三角は、40mg/kg po bid投与の化合物1を表す。点線付きの白逆三角は、80mg/kg po bid投与の化合物1を表す。
【0225】
【表1】

【0226】
その他の2つのSmo阻害薬である化合物3及び化合物4を、連続投与時のPtch+/−Hic+/−モデルにおけるフォローアップ試験において評価した。両方が最初に腫瘍退縮を誘発し、続いて化合物の存在下で腫瘍の再成長が起こった。次の数の持続性完全退縮が化合物3について次のように認められた:40mg/kg qdで0/8、40mg/kg bidで3/8、60mg/kg qdで0/8、80mg/kg qdで0/8、100mg/kg qdで3/8(持続性完全退縮は56日目について示す。マウスに腫瘍移植後10日目から56日目まで投与した。)。化合物4(マウスに腫瘍移植後8日目から43日目まで投与した)については持続性退縮は認められなかった。
【0227】
[実施例1c: Ptch+/−髄芽腫同種移植片モデルにおける処置]
これらの試験において、処置を次のように行い、その結果を図3に示す。
【0228】
処置は、移植(500万個の細胞/動物)後7日目に開始した。化合物1を10mg/kg qd、20mg/kg qd、40mg/kg qd、80mg/kg qd及び160mg/kg qdで試験期間中po投与した。化合物2を100mg/kg bidで試験期間中投与した。化合物1の媒体対照は、水中0.5%メチルセルロース、0.5%Tween80であった。最初の群の大きさは、8匹の動物からなっていた。媒体群を処置7日後に中止させた(腫瘍がマウス体重の10%超)。Ptc+/−Hic+/−モデルで認められたのと同様な耐性が認められ、完全寛解動物のサブセットが再成長し、他は完全退縮を示した(表2)。表2に示す持続性退縮は、48日目の試験終了時に依然として存在する完全退縮の例数を表す。
【0229】
【表2】

【0230】
図3において、黒四角は、媒体のみ、qd bid(すなわち、経口、1日1回)を表す。点線付きの黒三角は、10mg/kg po qd投与の化合物1を表す。点線付きの逆黒三角は、20mg/kg po qd投与の化合物1を表す。点線付きの黒ダイヤモンドは、40mg/kg po qd投与の化合物1を表す。実線付きの黒丸は、40mg/kg po bid投与の化合物1を表す。点線付きの白四角は、80mg/kg po qd投与の化合物1を表す。点線付きの白三角は、160mg/kg po qd投与の化合物1を表す。点線付きの白逆三角は、200mg/kg po bid投与の化合物2を表す。
【0231】
[実施例2: 薬剤耐性のメカニズムの特徴付け]
抵抗性腫瘍と比較して感受性腫瘍(それらの両方の用語は本明細書で定義されている)における遺伝子発現の変化を特徴付けるために、RNAを、4時間(1回投与)、16時間(1回投与)及び48時間(3回投与)、媒体又は化合物1で処理した感受性腫瘍から単離し、並びに抵抗性腫瘍(化合物1の存在下で最初は退縮した(13日目)が、その後、上述のように薬物の存在下で再成長した)から単離した。処置群につき3つの腫瘍を分析した。感受性腫瘍群は、20mg/kgの化合物1で4時間、16時間及び48時間処理した腫瘍を含む。抵抗性腫瘍群は、10mg/kg bid及び80mg/kg bidの化合物1で26日間処理した腫瘍を含む。
【0232】
腫瘍試料中のmRNA発現をアフィメトリクス(Affymetrix)プロファイリングにより分析した。シグナル伝達経路に従ってデータを分類するGeneGo経路プログラムを用いて、発現データを解析した。ヘッジホッグシグナル伝達経路活性を示す遺伝子が、化合物1で4時間、16時間及び48時間(h)処理することにより、感受性腫瘍において時間依存的に抑制されたことが示唆された。抵抗性腫瘍(化合物1の存在下で最初は退縮した(13日目)が、その後、薬物の存在下で再成長した)においては、ヘッジホッグ経路遺伝子の発現が媒体処理腫瘍における発現に近かったことから、化合物1がヘッジホッグ経路遺伝子の発現をもはや十分に阻害しなかったことがわかった。同様な発現パターンがコレステロール生合成経路の遺伝子について認められた。PI3K経路活性を示す遺伝子については異なる発現パターンが認められた。化合物1による4、16及び48時間の処理時に感受性腫瘍では遺伝子発現の変化は検出されなかった。しかし、感受性腫瘍と比較して、抵抗性腫瘍においてPI3K経路活性のアップレギュレーションが認められた。
【0233】
[実施例2a: ヘッジホッグ経路再活性化のメカニズムの特徴付け]
1つの提案された作用機序は、抵抗性腫瘍における遺伝子変化が、Smo阻害薬の存在にもかかわらずヘッジホッグ経路の再活性化につながるということである。例は、阻害薬の結合を妨げるSmo突然変異及び/又はヘッジホッグ経路の再活性化につながるSmoの下流の遺伝子(例えば、Sufu、Gli1、Gli2)における突然変異である。
【0234】
DNAを抵抗性腫瘍及び感受性腫瘍から単離し、配列決定解析を実施した。抵抗性対感受性腫瘍について特異的なSufu、Smo、Gli1及びGli2における突然変異は検出されなかった。
【0235】
3つの感受性及び3つの抵抗性Ptch+/−p53―/−腫瘍からのDNAも単離し、Agilent CGH Analytics 3.2オリゴアッセイを用いてゲノム全体の増幅又は欠失について解析した。Ptch+/−p53―/−マウスの肝臓DNAを比較として用いた。図4でわかるように、Gli2の増幅が3つの抵抗性腫瘍のうちの2つに検出され、感受性腫瘍のいずれにも検出されなかった。
【0236】
すべての抵抗性腫瘍におけるGli2のコピー数を解析するために、Gli2についての定量的PCRを開発した(Gli1及びGli3についても)。Gli2の増幅がPtch+/−p53―/−モデルにおける抵抗性腫瘍の多く(抵抗性腫瘍44個のうちの24個)に検出されたが、Ptch+/−モデルではより低い程度で検出された(10%)。Gli2増幅は、Ptch+/−Hic+/−モデルには検出されなかった。
【0237】
データから、下流転写因子Gli2の増幅が抵抗性腫瘍の一部におけるSmo阻害薬の存在下のヘッジホッグ経路の再活性化の原因である可能性が示唆される。Gli1又はGli2に作用する阻害薬は、抵抗性腫瘍の成長を抑制することが可能かもしれない。
【0238】
[実施例2b: コレステロール生合成経路阻害のメカニズムの特徴付け]
コレステロール生合成経路のアップレギュレーションが抵抗性腫瘍におけるヘッジホッグ経路の再活性化に寄与している可能性がある。オキシステロールは、以前にヘッジホッグ経路におけるシグナル伝達メディエーターとして関係しているとみなされた(Corcoranら(2006年)、PNAS、103巻(22号)、8408頁)。細胞中のオキシステロールレベルの増加は、Smo上の結合部位に対して直接的に競合することにより、又は阻害薬の結合を間接的に妨害することにより、Smo阻害薬によるSmo活性の阻害を妨害する可能性がある。スタチンによるコレステロール生合成経路の阻害は、抵抗性腫瘍の成長を抑制するか、或いは単独又はスムースンド阻害薬と共同して、耐性の発生を妨げる可能性がある。
【0239】
感受性及び抵抗性Ptch+/−細胞由来の髄芽腫細胞の増殖に対するスタチン(例えば、シンバスタチン、フルスタチン)の効果を「ex−vivo髄芽腫増殖アッセイ」を用いて評価した。同種移植ヌードマウスから新しく採取したPtch+/−p53−/−、Ptch+/−Hic+/−又はPtch+/−髄芽腫腫瘍を用いて、Smo阻害薬のin vitro効力を評価することを可能にする短期48時間増殖アッセイが開発された。増殖の読み出しは、3Hチミジンの取込みを用いる。該アッセイは、化合物1に対する腫瘍細胞のin vivoでの感受性を反映する。感受性腫瘍細胞は、化合物1により抑制され、IC50は4nMであったが、抵抗性腫瘍におけるIC50は、20μMより大きかった。
【0240】
表3においてわかるように、感受性並びに抵抗性腫瘍細胞の両方がコレステロール生合成経路阻害薬シンバスタチンによって抑制され、IC50は低ナノモル範囲にある。これにより、スタチンが抵抗性髄芽腫腫瘍のin vivoでの成長を抑制することができるだろうこと、又はSmo阻害薬とスタチンの組合せが耐性の発生を予防することができるだろうことが示唆される。
【0241】
【表3】

【0242】
[実施例2c: PI3K経路阻害薬の投与]
PI3キナーゼの阻害薬である化合物Aを用いて、髄芽腫におけるPI3キナーゼ経路の役割を評価した。表4に化合物1(式IIのスムースンド阻害薬化合物)、化合物A(式AのPI3K阻害薬化合物)又はその組合せによる髄芽腫の処理の結果を要約する。化合物Aは、PI3Kの脂質キナーゼ活性を阻害することができる。他の作用のうち、化合物Aは、感受性及び抵抗性細胞両方における下流エフェクターAkt及びS6のリン酸化及び活性化を阻害することが公知である(図5に示すように)。
【0243】
【表4】

【0244】
感受性及び抵抗性髄芽腫細胞由来の髄芽腫細胞の増殖に対するPI3K阻害薬(例えば、化合物Aなどの化合物)の効果を上述の「ex−vivo髄芽腫増殖アッセイ」を用いて評価した。表4に示すように、感受性細胞は、化合物1により抑制され、IC50が2〜4nMであったが、抵抗性腫瘍ではIC50は20μMより大きかった。しかし、PI3キナーゼ阻害薬化合物Aは、同様なIC50で感受性及び抵抗性腫瘍の両方を抑制した。
【0245】
図5に示すように、化合物Aは、感受性及び抵抗性腫瘍の両方におけるAkt及びS6リン酸化を同様な濃度で阻害した。これは、PI3キナーゼ経路の阻害と増殖の抑制との相関を示すものである。
【0246】
次に、化合物1と化合物Aとの組合せをPtch+/−Hic+/−髄芽腫同種移植片モデルにおいて検討した。図6Aに示すように、動物に40mg/kg qdの化合物1、60mg/kg qdの化合物A並びに化合物1及び化合物Aの組合せを投与した。化合物Aは、媒体対照と比較して腫瘍成長に対する中等度の効果のみを示したが、化合物1は、最初は退縮を誘発したが、腫瘍は再成長し始めた。化合物1と化合物Aとの組合せで処理した動物では腫瘍再成長は認められなかった。
【0247】
併用処理は、図6Bに示すようにエンドポイント(腫瘍容積>1500mm)までの時間の延長をもたらした。媒体対照及び化合物Aで処理した動物は、それらの腫瘍容積が1500mmに達したため、それぞれほぼ20及び25日目に屠殺しなければならなかった。エンドポイントまでの時間は、化合物1で処理した動物において有意に延長した。併用処理群では、大多数のマウスが試験に留まっていた。同様な結果が化合物1のみで最初の10日間処理し、続いて化合物Aによる単剤処理を受けた動物について得られた(データは示さず)。データから、Smo阻害薬とPI3K阻害薬との併用によって髄芽腫モデルにおける耐性の発生を有意に遅延又は予防することができることがわかる。
【0248】
次に、化合物1と化合物Bとの組合せをPtch+/−Hic+/−髄芽腫同種移植片モデルにおいて検討した。図7Aに示すように、動物に80mg/kg qdの化合物1、40mg/kg qdの化合物B並びに化合物1及び化合物Bの組合せを投与した。化合物Bは、媒体対照と比較して腫瘍成長に対する効果を示さなかったが、化合物1は、最初は退縮を誘発したが、腫瘍は再成長し始めた。化合物1と化合物Bとの組合せで処理した動物における腫瘍再成長は、かなり遅延した。
【0249】
併用処理は、図7Bに示すようにエンドポイント(腫瘍容積>700mm)までの時間の延長をもたらした。媒体対照及び化合物Bで処理した動物は、それらの腫瘍容積が700mmに達したため、それぞれほぼ12及び15日目にエンドポイントに達した。エンドポイントまでの時間は、化合物1で処理した動物において有意に延長した。併用処理群では、大多数のマウスが試験に留まっていた。データから、Smo阻害薬とPI3K阻害薬との併用によって髄芽腫モデルにおける耐性の発生を有意に遅延又は予防することができることがわかる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スムースンド阻害薬及びコレステロール生合成経路阻害薬の組合せをそのような治療を必要とする対象に投与することを含むヘッジホッグ関連障害を治療する方法であって、前記スムースンド阻害薬が以下の式I
【化20】

[式中、
R2−C、R3−C、R4−C又はR5−Cは、Nにより置き換えられていてよく、
nは、1、2又は3であり、
R1は、炭素環式アリール又はヘテロアリールであり、
R2、R3、R4及びR5は、独立に水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、アルキルカルボニル、トリフルオロメトキシ又はシアノであり、
R6は、水素、場合によって置換されているアルキル、炭素環式又は複素環式アリール−低級アルキルであり、
R7は、水素、場合によって置換されているアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、又は
【化21】

であり、
式中、
Raは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、
Rbは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、
Rc及びRdは、独立に水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであるか、或いはRc及びRdは、低級アルキレン又はO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)により中断された低級アルキレンをともに表し、
Reは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリル、アミノ又は置換アミノである。]の化合物、
並びにその薬学的に許容される塩である、前記方法。
【請求項2】
前記ヘッジホッグ関連障害が癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記癌が髄芽腫である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記コレステロール生合成経路阻害薬がスタチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
スムースンド阻害薬及びコレステロール生合成経路阻害薬の組合せをそのような治療を必要とする対象に投与することを含むヘッジホッグ関連障害を治療する方法であって、前記スムースンド阻害薬が以下の式II
【化22】

[式中、
及びYは、N及びCR10から独立に選択され、R10は、水素、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ及び−OXNR10a10bから選択され、R10a及びR10bは、水素及びC1−6アルキルから独立に選択され、
は、シアノ、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、C6−10アリール、ジメチル−アミノ、C1−6アルキル−スルファニル及び最大2つのC1−6アルキル基で場合によって置換されたC3−8ヘテロシクロアルキルから選択され、
及びRは、水素、シアノ、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ及びジメチルアミノから独立に選択され、
及びRは、水素、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びハロ置換C1−6アルコキシから独立に選択されるか、又はR及びR若しくはR及びRは、それらの両方が結合しているフェニルと一緒になってC5−10ヘテロアリールを形成しており、
及びRは、水素、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びハロ置換C1−6アルコキシから独立に選択され、ただし、R及びRは、両方が水素ではなく、
は、水素、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びハロ置換C1−6アルコキシから選択され、
は、−S(O)11、−C(O)R11、−NR12a12b及び−R11から選択され、R11は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルから選択され、R12a及びR12bは、C1−6アルキル及びヒドロキシ置換C1−6アルキルから独立に選択され、
の前記アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ、C6−10アリール−C0−4アルキル、C5−10ヘテロアリール−C0−4アルキル、C3−12シクロアルキル及びC3−8ヘテロシクロアルキルから独立に選択される1〜3つの基で場合によって置換することができ、
の前記アリール−アルキル置換基は、ハロ、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ置換C1−6アルコキシ及びメチルピペラジニルから独立に選択される1〜3つの基で場合によって置換されている。]の化合物、
並びにそれらの薬学的に許容される塩、水和物及び溶媒和物である、前記方法。
【請求項6】
前記ヘッジホッグ関連障害が癌である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記癌が髄芽腫である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コレステロール生合成経路阻害薬がスタチンである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
スムースンド阻害薬及びコレステロール生合成経路阻害薬の組合せをそのような治療を必要とする対象に投与することを含むヘッジホッグ関連障害を治療する方法であって、前記スムースンド阻害薬が以下の式III
【化23】

[式中、
R1は、C6−14アリール基であるか、或いは非置換であるか、又は置換されていてよい5〜14員ヘテロアリール基であり、
R2及びR3は、独立にC1−8アルキル、C1−8アルキルOHであるか、又はR2及びR3は、結合してC3−14シクロアルキル基を形成しており、
Lは、結合、C1−8アルキレン、−C(O)O−、−C(O)NR9−、−C1−8アルキルOH−、−C1−8ハロアルキル−、−C(O)−、−NH−又は−O−であり、
X及びWは、独立にN又はCR5であり、X又はWの少なくとも1つがNであり、
R7は、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基又は3〜14員シクロヘテロアルキル基であり、
R4は、置換されているか、又は非置換であってよい、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C3−14シクロアルキル、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、C1−8アルコキシ、ハロ、NR6R8、C(O)OR6、C(O)NR6R8、C1−8ハロアルキル、ホルミル、カルバルコキシ、C1−8アルキルOH、C(O)R6、SOR6、C(O)NHC1−8アルキルR6、NR6R8、SONR6R8、OCF、NHC(O)R6、CHOC(O)NR6R8、CHNR6R8、NHC(O)OR6、NHC(O)NR6R8、CHNHSOR6、CHNHC(O)OR6、OC(O)R6又はNHC(O)R6であり、
Zは、C1−8アルキル、CN、OH又はハロゲンであり、
m及びpは、独立に0〜3であり、
Yは、結合、C1−8アルキレン、−C(O)−、−C(O)O−、−CH(OH)−又は−C(O)NR10であり、
R5は、H、ハロゲン、CN、低級アルキル、OH、OCH又はOCFであり、
R1は、C1−8アルキル、C6−14アリール基、C1−8ハロアルキル、C1−8アルコキシ、ハロ、NH、CN、OCF、OH、C(O)NR6R8、C(O)R6、NR6R8、NHC(O)R6、SOR6、SONR6R8の1つ又は複数のものにより置換されていてよく、
R9及びR10は、独立にC1−8アルキル又はHであり、
R6及びR8は、独立にH、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C3−14シクロアルキル、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、C1−8ハロアルキル、C1−8アルキルOH、C1−8アルコキシであるか、或いは1個の原子上の2つのR6がヘテロ原子を含む環を形成していてよく、及び
R4、R6及びR8は、非置換であるか、或いはC1−8アルキル、C3−14シクロアルキル、C6−14アリール基、5〜14員ヘテロアリール基、3〜14員シクロヘテロアルキル基、C1−8アルキルOH、OH、オキソ、C1−8ハロアルキル、カルボキシC1−8アルキル又はSO1−8アルキル、ハロ、−OCH、−OCF、−OH、−NHの1つ又は複数のものにより置換されていてよい。]の化合物である、前記方法。
【請求項10】
前記ヘッジホッグ関連障害が癌である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記癌が髄芽腫である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コレステロール生合成経路阻害薬がスタチンである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
請求項1、5又は9に記載のスムースンド阻害薬並びにGli阻害薬及びPI3K阻害薬の群から選択される1つ又は複数のものの組合せをそのような治療を必要とする対象に投与することを含むヘッジホッグ関連障害を治療する方法であって、前記スムースンド阻害薬が以下の式I
【化24】

[式中、
R2−C、R3−C、R4−C又はR5−Cは、Nにより置き換えられていてよく、
nは、1、2又は3であり、
R1は、炭素環式アリール又はヘテロアリールであり、
R2、R3、R4及びR5は、独立に水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、アルキルカルボニル、トリフルオロメトキシ又はシアノであり、
R6は、水素、場合によって置換されているアルキル、炭素環式又は複素環式アリール−低級アルキルであり、
R7は、水素、場合によって置換されているアルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、炭素環式アリール−低級アルキル、ヘテロアリール−低級アルキル、又は
【化25】

であり、
式中、
Raは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、
Rbは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、
Rc及びRdは、独立に水素、置換アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであるか、或いはRc及びRdは一緒に、低級アルキレン又はO、S、N−(H、アルキル、アリールアルキル)により中断された低級アルキレンを表し、
Reは、場合によって置換されているアルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリル、アミノ又は置換アミノである。]の化合物、
並びにその薬学的に許容される塩である、前記方法。
【請求項14】
前記ヘッジホッグ関連障害が癌である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記癌が髄芽腫である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記Gli阻害薬がGANT61及びGANT58から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記Gli阻害薬がゼルンボン、ゼルンボンエポキシド、スタウロスポリノン、6−ヒドロキシスタウロスポリノン、アルシリアフラビンC及び5,6−ジヒドロキシアルシリアフラビンA、フィサリンF及びフィサリンBから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記PI3K阻害薬が以下の式A
【化26】

又はそれらの塩から選択される化合物である、請求項13に記載の方法[式中、Wは、CRw又はNであり、Rwは、からなる群から選択され、WはCR又はNであり、Rは、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ハロゲン、
(4)メチル、
(5)トリフルオロメチル、
(6)スルホンアミド、
からなる群から選択され、
R1は、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ニトロ、
(4)ハロゲン、
(5)置換及び非置換アルキル、
(6)置換及び非置換アルケニル、
(7)置換及び非置換アルキニル、
(8)置換及び非置換アリール、
(9)置換及び非置換ヘテロアリール、
(10)置換及び非置換ヘテロシクリル、
(11)置換及び非置換シクロアルキル、
(12)−COR1a、
(13)−CO2R1a、
(14)−CONR1aR1b、
(15)−NR1aR1b、
(16)−NR1aCOR1b、
(17)−NR1aSO2R1b、
(18)−OCOR1a、
(19)−OR1a、
(20)−SR1a、
(21)−SOR1a、
(22)−SO2R1a及び
(23)−SO2NR1aR1b
からなる群から選択され、
R1a及びR1bは、
(a)水素、
(b)置換又は非置換アルキル、
(c)置換及び非置換アリール、
(d)置換及び非置換ヘテロアリール、
(e)置換及び非置換ヘテロシクリル及び
(f)置換及び非置換シクロアルキル
からなる群から独立に選択され、
R2は、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ニトロ、
(4)ハロゲン、
(5)ヒドロキシ、
(6)アミノ、
(7)置換又は非置換アルキル、
(8)−COR2a及び
(9)−NR2aCOR2b
からなる群から選択され、
R2a及びR2bは、
(a)水素及び
(b)置換又は非置換アルキル
からなる群から独立に選択され、
R3は、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)ニトロ、
(4)ハロゲン、
(5)置換又は非置換アルキル、
(6)置換又は非置換アルケニル、
(7)置換又は非置換アルキニル、
(8)置換又は非置換アリール、
(9)置換又は非置換ヘテロアリール、
(10)置換又は非置換ヘテロシクリル、
(11)置換又は非置換シクロアルキル、
(12)−COR3a、
(13)−NR3aR3b、
(14)−NR3aCOR3b、
(15)−NR3aSO2R3b、
(16)−OR3a、
(17)−SR3a、
(18)−SOR3a、
(19)−SO2R3a及び
(20)−SO2NR3aR3b
からなる群から選択され、
R3a及びR3bは、
(a)水素、
(b)置換又は非置換アルキル、
(c)置換及び非置換アリール、
(d)置換及び非置換ヘテロアリール、
(e)置換及び非置換ヘテロシクリル及び
(f)置換及び非置換シクロアルキル
からなる群から独立に選択され、
R4は、
(1)水素及び
(2)ハロゲン
からなる群から選択される。]。
【請求項19】
前記PI3K阻害薬が以下の式B
【化27】

[式中、
は、ナフチル又はフェニルであり、前記フェニルは、
ハロゲン、
非置換又はハロゲン、シアノ、イミダゾリル若しくはトリアゾリルにより置換された低級アルキル、
シクロアルキル、
低級アルキル、低級アルキルスルホニル、低級アルコキシ及び低級アルコキシ低級アルキルアミノからなる群から独立に選択される1つ又は2つの置換基により置換されたアミノ、
非置換又は低級アルキル及び低級アルキルスルホニルからなる群から独立に選択される1つ又は2つの置換基により置換されたピペラジニル、
2−オキソ−ピロリジニル、
低級アルコキシ低級アルキル、
イミダゾリル、
ピラゾリル、
並びにトリアゾリル
からなる群から独立に選択される1つ又は2つの置換基により置換されており、
は、O又はSであり、
は、低級アルキルであり、
は、非置換又はハロゲン、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシにより置換されたピリジル或いは非置換又は低級アルキルにより置換されたピペラジニル、
非置換又は低級アルコキシにより置換されたピリミジニル、
非置換又はハロゲンにより置換されたキノリニル、
キノキサリニル
或いはアルコキシにより置換されたフェニルであり、
は、水素又はハロゲンであり、
nは、0又は1であり、
は、オキシドであり、
ただし、n=1である場合、基Rを有するN原子は、正電荷を有し、
は、水素又はアミノである。]から選択される化合物
又はその互変異性体、又はその薬学的に許容される塩、又はその水和物若しくは溶媒和物である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記癌が抵抗性腫瘍に起因する、請求項2、6、10及び14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
スムースンド阻害薬及びコレステロール生合成経路阻害薬の組合せをそのような治療を必要とする対象に投与することを含み、前記スムースンド阻害薬がN−[4−クロロ−3−(6−ジメチルアミノ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル]−3,5−ジメトキシ−ベンズアミドである、ヘッジホッグ関連障害を治療する方法。
【請求項22】
前記ヘッジホッグ関連障害が癌である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記癌が抵抗性腫瘍に起因する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
スムースンド阻害薬及びコレステロール生合成経路阻害薬の組合せをそのような治療を必要とする対象に投与することを含み、前記スムースンド阻害薬が2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(ピリジン−2−イル)フェニル)−4−(メチルスルホニル)ベンズアミドである、ヘッジホッグ関連障害を治療する方法。
【請求項25】
前記ヘッジホッグ関連障害が癌である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記癌が抵抗性腫瘍に起因する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
スムースンド阻害薬と、Gli阻害薬及びPI3K阻害薬の群から選択される1つ又は複数のものとの組合せをそのような治療を必要とする対象に投与することを含み、前記スムースンド阻害薬がN−[4−クロロ−3−(6−ジメチルアミノ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル]−3,5−ジメトキシ−ベンズアミドである、ヘッジホッグ関連障害を治療する方法。
【請求項28】
前記ヘッジホッグ関連障害が癌である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記癌が抵抗性腫瘍に起因する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
スムースンド阻害薬と、Gli阻害薬及びPI3K阻害薬の群から選択される1つ又は複数のものとの組合せをそのような治療を必要とする対象に投与することを含み、前記スムースンド阻害薬が2−クロロ−N−(4−クロロ−3−(ピリジン−2−イル)フェニル)−4−(メチルスルホニル)ベンズアミドである、ヘッジホッグ関連障害を治療する方法。
【請求項31】
前記ヘッジホッグ関連障害が癌である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記癌が抵抗性腫瘍に起因する、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2012−504573(P2012−504573A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529524(P2011−529524)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062537
【国際公開番号】WO2010/037715
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】