説明

ヘッダ領域判定回路、光ディスク装置、及びヘッダ領域判定方法

【課題】光ディスクの物理ヘッダの領域を判定する処理の誤りを抑制するヘッダ領域判定回路を提供する。
【解決手段】ヘッダ領域判定回路は、光ディスク1から受光した受光量の差に比例する差信号を検出する差信号検出部4、通過帯域制御信号に応じて複数の遮断周波数を切り替え、差信号から低周波数成分を除去した差信号HPF出力を生成する高域通過フィルタ6、差信号HPF出力をパルス化した整形信号を生成する波形整形部7、及び、整形信号が示すパルスの持続時間を計測して、物理ヘッダ領域を検出し、物理ヘッダ領域の検出結果に基づいて、物理ヘッダ領域が溝部と溝間部とのいずれかであるかを判定したグルーブ検出信号と、物理ヘッダ領域の少なくとも一部分に対応する差信号に対して、高域通過フィルタ6の遮断周波数を引き下げるように制御する通過帯域制御信号とを生成する物理ヘッダ検出シーケンサ8を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの情報記録再生技術に関し、特に、プリピットで形成された物理ヘッダ領域を判定するヘッダ領域判定回路、光ディスク装置、及び、ヘッダ領域判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD−RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory)では、ランド(溝間部)とグルーブ(溝部)の双方が記録再生領域(情報記録部)として使われている。スパイラル状に設けられた記録トラックは、ランドを記録領域にもつランドトラックとグルーブを記録領域にもつグルーブトラックとからなり、ランドトラックとグルーブトラックとは光ディスク1周ごとに切り替えられる。ランドトラック及びグルーブトラックのそれぞれは、光ディスク1周当たり整数個の記録セクタと、アドレス情報などを表わす物理ヘッダ領域とをもつ。物理ヘッダ領域は各記録セクタの前に設けられ、4つずつの物理アドレス領域を含む。4つの物理アドレス領域のうち2つは、トラック中心からトラックピッチの2分の1だけ内周側に、残る2つはトラックピッチの2分の1だけ外周側にオフセットした位置に、エンボスピットとして設けられている。
【0003】
ランドトラックとグルーブトラックとは、物理ヘッダ領域のオフセット極性によって区別できる。ランドトラック上の記録セクタに先行する物理ヘッダ領域では、4つの物理アドレス領域のうち前半の2つが内周側にオフセットし、後半の2つは外周側にオフセットして設けられている。一方、グルーブトラック上の記録セクタに先行する物理ヘッダ領域では逆に、前半の2つが外周側に、後半の2つは内周側にオフセットしている。光ディスク装置では、トラックに沿って2分割された受光部をもつ受光素子で受け取った反射光量の差を、トラッキングエラー信号やウォブル信号として用いている。物理ヘッダ領域のオフセットも、この反射光量の差によって検出することができる。このため、反射光量の差がランドトラックとグルーブトラックとの判定に使われる。
【0004】
例えば、特許文献1には、このように物理ヘッダ領域をトラック中心からオフセットさせて配置した識別信号を用いてランドトラックとグルーブトラックとを判別し、判別結果に応じてトラッキング極性を切り替える、光ディスクトラッキング方法と、それを用いた光ディスク装置が開示されている。図13を参照して、光ディスク装置90の動作を説明する。
【0005】
ピックアップ2には光ディスク1のトラックに沿った方向に2分割された受光部を備える図示しない受光素子が搭載されている。受光素子の出力は、和信号検出部3と差信号検出部4に入力され、それぞれ反射光量の和に比例する信号と反射光量の差に比例する信号として出力される。和信号検出部3から出力された和信号は、再生信号処理部5によって2値化データに変換され、光ディスク1に記録されたデータの再生やエンボスピットからアドレス情報などを再生するのに用いられる。
【0006】
差信号検出部4から出力される差信号については、図14を用いて処理の概要を説明する。差信号は波形整形部7に入力され、閾値LthとRthとをもつ2つのコンパレータ701、702によって2値化される。閾値Lthで2値化して得られた整形信号L0と、閾値Rthで2値化して得られた整形信号R0は、まず、差信号処理部91内で、パルス列が一定期間(t1)続くときに"1"レベルに切り替わり、その後一定期間(t2)経過後に"0"レベルに切り替わるような遅延信号L1、遅延信号R1に変換される。差信号処理部91では更に、遅延信号R1の"0"レベルから"1"レベルへの立ち上がりにおいて遅延信号L1がラッチされ、グルーブ検出信号として出力される。また、遅延信号L1の立ち上がりでは逆に、遅延信号R1がラッチされ、ランド検出信号として出力される。ヘッダ検出ゲートはグルーブ検出信号とランド検出信号とのいずれかが"0"レベルから"1"レベルに立ち上がると"0"レベルにリセットされ、記録セクタの記録領域に相当する期間(t3)が経過したところで再び"1"レベルに切り替えられる。グルーブ検出信号とランド検出信号とは、ヘッダ検出信号が"1"レベルに切り替えられると、ともに"0"レベルにリセットされるように動作する。
【0007】
特許文献1には、ヘッダ検出ゲートが"1"レベルの期間に限って整形信号L0および整形信号R0のパルス列を検出し、ヘッダ検出ゲートが"0"レベルの期間に現れるパルスをノイズとして除外することで、記録再生領域で誤検出を防止できることが示されている。
情報再生部92は、再生信号処理部5から出力される2値化データと、差信号処理部91から出力されるヘッダ検出ゲートをもとに、復調処理と誤り訂正処理を行なって再生データを出力する。アドレス再生部93は、2値化データと、差信号処理部91から出力されるグルーブ検出信号、ランド検出信号、ヘッダ検出ゲートをもとに物理アドレス領域に記録されたエンボスピットによるアドレス情報を抽出して復調し、システム制御部11にアドレス情報を出力する。
【0008】
極性制御部94は、グルーブ検出信号、ランド検出信号、およびヘッダ検出ゲートと、システム制御部から渡されるトラッキングオン/オフを示す信号とを受けてトラッキング極性を選択する。極性選択部13では、極性制御部94によるトラッキング極性選択結果に応じて、差信号検出部4から出力される差信号の極性を反転し、トラッキング制御部14に出力する。トラッキング制御部14は、極性選択部13が選択した極性に応じて、トラッキング極性を切り替えてピックアップ2を制御する。
このような構成により、後続するトラックがランドトラックかグルーブトラックかを、物理ヘッダ領域のオフセットによって判別し、トラッキング極性を切り替えてピックアップの位置を制御することによって、ランドトラックとグルーブトラックに対して正しくトラッキングさせることができる。
【0009】
また、光ディスク装置のトラッキング制御に関して、例えば、特許文献2には、隣接トラックの影響によるトラッキング制御の不安定化およびオフトラックを抑制することが可能な装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−200438号公報
【特許文献2】特開2002−288855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、DVD−RAMでは、エンボスピットによって形成された物理ヘッダ領域がトラック中心に対して内周側や外周側にオフセットして配置されており、このオフセット極性によって後続する記録領域がランドトラック上にあるか、グルーブトラック上にあるかが区別される。
DVD−RAMの記録領域では、ランドトラックおよびグルーブトラックの案内溝が正弦波状にウォブルして形成されている。また、データが記録されている記録領域では、差信号中に記録マークの明暗による外乱も混入する。さらに、差信号には、ピックアップ2から光ディスク1上に照射される集光ビームとトラック中心との位置ずれを示すトラッキングエラー信号成分も重畳される。
このため、光ディスク1に衝撃が加わった場合などには、差信号に大きなオフセットが現れる場合も少なくない。
【0012】
加えて、ピックアップ2の傾きが最適化されていない場合には、内周側にオフセットしている物理アドレスから得られる信号振幅と、外周側にオフセットしている物理アドレスから得られる信号振幅とがアンバランスになっていることもある。エンボスピットで形成された物理ヘッダ領域では、記録マークよりも通常大きな差信号振幅が得られる。しかし、外乱や物理アドレスでの振幅アンバランスがあると、閾値に十分な検出マージンを確保することが難しくなる。検出マージンが小さい状態で、欠陥などによる差信号の乱れが現れると、物理ヘッダ領域を誤って判定してしまうという問題がある。
このように、オフセット極性の検出に使われる差信号には、記録マークの明暗による外乱や、トラッキングの不安定に起因する低周波のオフセット、欠陥に起因する変動などが加わることがあり、これらが物理ヘッダ領域判定の妨げになっていた。
特に、ランドトラックとグルーブトラックとの判定を誤った場合には、トラッキングサーボ極性を反転させてしまうことによって、記録再生トラックを正確にトレースできなくなるという問題も生じる。
【0013】
特許文献1では、ヘッダ検出ゲートによって整形信号L0および整形信号R0のパルス列を検出する期間を制限し、記録セクタの記録領域内に現れたパルス列をノイズとして除去する機能が説明されている。具体的には、記録トラックのトレース中に、先行して検出されたヘッダ検出ゲートをもとに、記録セクタの記録領域に相当する期間、検出ゲートを閉じる。これにより、記録領域内で欠陥によるパルス列が現れた場合でもこれを除外できる。しかし、このようなヘッダ検出ゲートは、シーク動作直後に物理ヘッダ領域を検出する場合には有効に働かない。具体的には、シーク動作によってピックアップ2がランドトラックとグルーブトラックとのトラック間を移動した後では、直前に検出された物理ヘッダ領域をもとに、ヘッダ検出ゲートを作ることができない。また、シーク動作中にはピックアップ2が複数のトラックを横断することによって、差信号に大きな乱れが生じる。このように、シーク動作直後では差信号の乱れが大きく、しかもヘッダ検出ゲートによる保護も期待できないため、物理ヘッダ領域を正確に検出することが難しいという問題があった。
【0014】
また、特許文献2には、トラッキング制御の不安定化およびオフトラックを抑制するにあたって、ハイパスフィルタを利用して、トラックの内周側、外周側に隣接するランドプリピットを分離し、振幅を検出する方法が開示されている。しかし、この技術は物理ヘッダ領域の検出誤りを低減するものではなかった。
このように、光ディスクの物理ヘッダ領域の判定において誤りが生じるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るヘッダ領域判定回路及びその方法では、光ディスク装置で検出した差信号に対して、高域通過フィルタを適宜用いることによって、物理ヘッダの領域を判定する処理の誤りを抑制することを実現する。
【0016】
本発明に係るヘッダ領域判定回路の一態様は、光ディスクに形成された物理ヘッダ領域を判定する回路であり、差信号検出部、高域通過フィルタ、波形整形部、及び、物理ヘッダ検出部を備える。ここで、光ディスクは、光ディスク上に形成された溝部と溝間部の双方を情報記録部として備え、情報記録部が、溝部からなる記録トラックと溝間部からなる記録トラックとが交互に接続した一つの記録スパイラルから構成され、かつ、物理ヘッダ領域と記録領域とを含む複数の記録セクタによって構成されるディスクである。差信号検出部は、2分割された受光部を含む受光素子によって光ディスクから受光した受光量の差に比例する差信号を検出する。高域通過フィルタは、通過帯域制御信号と、差信号とを受け、通過帯域制御信号に応じて複数の遮断周波数を切り替え、差信号から低周波数成分を除去した差信号HPF出力を生成する。波形整形部は、パルス閾値を保持し、パルス閾値を用いて差信号HPF出力をパルス化した整形信号を生成する。物理ヘッダ検出部は、整形信号が示すパルスの持続時間を計測して、物理ヘッダ領域を検出し、物理ヘッダ領域の検出結果に基づいて、物理ヘッダ領域が溝部と溝間部とのいずれかであるかを判定したグルーブ検出信号と、物理ヘッダ領域の少なくとも一部分に対応する差信号に対して、高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げるように制御する通過帯域制御信号とを生成する。
このような構成により、高域通過フィルタの遮断周波数を物理ヘッダ領域の検出結果に応じて調整する。このため、物理ヘッダ検出部が高域通過フィルタの遮断周波数を制御する通過帯域制御信号を生成し、高域通過フィルタは、通過帯域制御信号に応じて、複数の遮断周波数を切り替える。このような構成により、物理ヘッダ領域の検出期間の少なくとも一部分において、除去する低周波成分のレベルを引き下げるため、物理ヘッダ領域の検出漏れを抑制する。一方、物理ヘッダ領域を検出したと認識した後、高域通過フィルタの遮断周波数を戻すように機能するため、差信号に混入した誤差成分に基づいて物理ヘッダ領域を誤って検出することを回避する。これにより、物理ヘッダ領域の検出の誤りを抑制することができる。
【0017】
また、本発明に係る光ディスク装置の一態様は、上述したような光ディスク装置を装着し、光ディスクに記録された情報を再生する装置であり、2分割された受光部を含む受光素子を有する光ピックアップに加え、本発明に係るヘッダ領域判定方法の実現に関連する構成として、上述した差信号検出部、高域通過フィルタ、波形整形部、及び、物理ヘッダ検出部を備える。さらに、グルーブ検出信号に応じて、トラッキング極性を制御する極性制御部を少なくとも備える。
【0018】
さらに、本発明に係るヘッダ判定方法の一態様は、光ディスク上に形成された溝部と溝間部の双方を情報記録部として備え、情報記録部が、溝部からなる記録トラックと溝間部からなる記録トラックとが交互に接続した一つの記録スパイラルから構成され、かつ、物理ヘッダ領域と記録領域とを含む複数の記録セクタによって構成される光ディスクに関する、物理ヘッダ領域を判定するヘッダ領域判定方法である。ヘッダ領域判定方法は、まず、2分割された受光部が光ディスクから受光した受光量の差に比例する差信号を検出し、複数の遮断周波数を切り替えて、差信号から低周波数成分を除去した差信号HPF出力を生成する。次に、予め保持するパルス閾値を用いて差信号HPF出力をパルス化した整形信号を生成し、整形信号が示すパルスの持続時間を計測して、物理ヘッダ領域を検出する。そして、物理ヘッダ領域の検出結果に基づいて、物理ヘッダ領域の少なくとも一部分に対応する差信号に対して、高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げるように制御する。物理ヘッダ領域を検出すると、物理ヘッダ領域が溝部と溝間部とのいずれかであるかを判定する。物理ヘッダ領域の検出結果に応じて、高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げる制御を実施することによって、差信号から除去する低周波成分のレベルを調整する。これにより、物理ヘッダ領域の検出期間の少なくとも一部分において、除去する低周波成分を少なくし、物理ヘッダ領域の検出漏れを防止するとともに、差信号の誤差成分を適切に除去して物理ヘッダ領域の誤検出を抑制する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、物理ヘッダ領域の判定の誤りの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態による光ディスク装置の構成例を示す図である。
【図2】第1の実施形態による物理ヘッダ検出シーケンサの構成例を示す図である。
【図3】第1の実施形態によるヘッダ判定シーケンサの状態遷移の一例を示す図である。
【図4】第1の実施形態による各部の信号波形の一例を示す図である。
【図5】パルス列検出ミスが発生した場合の各部の信号波形の一例を示す図である。
【図6】第2の実施形態による物理ヘッダ検出シーケンサの構成例を示す図である。
【図7】第2の実施形態によるヘッダ判定シーケンサの状態遷移の一例を示す図である。
【図8】第2の実施形態による各部の信号波形の一例を示す図である。
【図9】第3の実施形態による物理ヘッダ検出シーケンサの構成例を示す図である。
【図10】第3の実施形態による各部の信号波形の一例を示す図である。
【図11】第1の実施形態の変形例による物理ヘッダ検出シーケンサの構成例を示す図である。
【図12】本発明によるヘッダ領域判定回路の構成例を示す図である。
【図13】関連技術の実施例を示す図である。
【図14】関連技術の実施例による各部の信号波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0022】
以降に説明する各実施形態では、光ディスクとして、DVD−RAMである場合を説明する。しかしながら、DVD−RAMに限らず、光ディスクが次のような特徴を有する場合、本願の各実施形態を適用することが可能である。各実施形態の光ディスク装置が装着する光ディスクは、光ディスク上に円周状に形成された溝部(以降、適宜「グルーブ」ともいう)と溝間部(以降、適宜「ランド」ともいう)の双方を情報記録部として備える。情報記録部は、溝部からなる記録トラック(以降、適宜「グルーブトラック」ともいう)と、溝間部からなる記録トラック(以降、適宜「ランドトラック」ともいう)とが交互に接続し一つの記録スパイラルを形成する。加えて、溝部及び溝間部それぞれの記録トラックは、光ディスク1周当たり整数個の記録セクタによって構成される。各記録セクタは、物理ヘッダ領域と記録領域とを有する。
【0023】
物理ヘッダ領域は、記録セクタの先頭部分に配置される。溝部の記録トラックと溝間部の記録トラックとに隣接して配置される二つの記録セクタでは、物理ヘッダ領域は、隣接する記録セクタの物理ヘッダ領域と同一半径上に整列するように配置される。言い換えると、一つの記録セクタと、当該一つの記録セクタの外周側または内周側に配置される他の記録セクタの間では、各記録セクタの物理ヘッダ領域は、半径のラインに沿って整列して配置される。
【0024】
物理ヘッダ領域は、アドレス情報を表す識別信号を含み、第1の部分(前半部)と第2の部分(後半部)とを含む。第2の部分の末尾が記録領域との境界となる。
第1の部分は溝部からなる記録トラックとその外周側に隣接する溝間部からなる記録トラックと共通で、2つの記録トラックの境界上に、溝間部からなる記録トラックのアドレス情報を用いて形成される。
第2の部分は溝部からなる記録トラックとその内周側に隣接する溝間部からなる記録トラックと共通で、2つの記録トラックの境界上に、溝部からなる記録トラックのアドレス情報を用いて形成される。
以下、図面を参照して各実施形態を説明する。
【0025】
第1の実施形態.
図1に、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成例のブロック図を示す。
光ディスク装置100は、ピックアップ2、和信号検出部3、差信号検出部4、再生信号処理部5、高域通過フィルタ(HPF)6、波形整形部7、物理ヘッダ検出シーケンサ(物理ヘッダ検出部)8、情報再生部9、アドレス再生部10、システム制御部11、極性制御部12、極性選択部13、及び、トラッキング制御部14を備える。加えて、光ディスク装置100は、光ディスク1を装着する手段を備える。図13と同じ符号の構成要素は同様の機能を実施するため、適宜説明を省略する。
【0026】
ピックアップ2は、光ディスク1からの反射光を検出し、検出した反射光を検出信号に変換して和信号検出部3と差信号検出部4とへ出力する。ピックアップ2は、2分割された受光部を含み、二つの受光部が受光した反射光を第1の検出信号と第2の検出信号へ変換して出力する。
和信号検出部3は、第1の検出信号と第2の検出信号とを加算して、反射光量に比例する和信号を出力する。
差信号検出部4は、第1の検出信号と第2の検出信号との差分を算出して、差信号を出力する。
再生信号処理部5は、和信号を受け、波形等化処理やデータ判定を行って、和信号を2値化データに変換し、情報再生部9とアドレス再生部10とへ出力する。
【0027】
高域通過フィルタ6は、差信号検出部4が出力した差信号から、低周波成分を取り除いて差信号HPF出力を生成し、波形整形部7へ出力する。加えて、高域通過フィルタ6は、物理ヘッダ検出シーケンサ8が出力する通過帯域制御信号に応じて、複数の遮断周波数を切り替える機能を備える。高域通過フィルタ6は、複数の遮断周波数として、少なくとも第1の遮断周波数と、第1の遮断周波数より低い周波数を設定した第2の遮断周波数とを設定可能であり、通過帯域制御信号に応じて、第1の遮断周波数と第2の遮断周波数とを切り替える。
【0028】
波形整形部7は、差信号HPF出力を受け、整形信号を生成し、物理ヘッダ検出シーケンサ8へ出力する。具体的には、波形整形部7は、パルス閾値LthとRthをもつ2つのコンパレータ701、702によって入力信号(差信号HPF出力)を2値化し、コンパレータ701から整形信号L0を、コンパレータ702から整形信号R0を出力する。パルス閾値Lth及びRthは予め設定された値であり、コンパレータ701、702それぞれが保持する。言い換えると、波形整形部7は、パルス閾値を保持し、差信号HPF出力に基づいて、パルス閾値を超える第1の極性側に現れる第1のパルスと、パルス閾値を超えるパルスが第1の極性側とは異なる第2の極性に現れる第2のパルスとを示す整形信号を生成して出力する。
【0029】
物理ヘッダ検出シーケンサ8は、整形信号が示すパルスの持続時間を計測して、物理ヘッダ領域を検出し、物理ヘッダ領域の検出結果に基づいて、グルーブ検出信号と通過帯域制御信号とを生成する。グルーブ検出信号は、物理ヘッダ領域が溝部と溝間部とのいずれかであるかを判定した信号であり、言い換えると、記録セクタの記録領域がランドトラック上にあるかグルーブトラック上にあるかを示す信号である。通過帯域制御信号は、物理ヘッダ領域の少なくとも一部分に対応する差信号に対して、高域通過フィルタ6の遮断周波数を引き下げるように制御する信号であり、言い換えると、物理ヘッダ領域の検出結果に応じて、高域通過フィルタ6の遮断周波数を切り替えることを指示する信号である。
本実施形態では、物理ヘッダ検出シーケンサ8は、物理ヘッダ領域のうち、第1の部分と第2の部分とのいずれかに対応する差信号の一部分に対して、高域通過フィルタ6の遮断周波数を引き下げるように制御する通過帯域制御信号を生成する場合を説明する。具体的には、物理ヘッダ領域の先頭部分を検出したと判定した後、第1の部分の先頭領域を検出してから第2の部分の先頭領域を検出するまでの期間、第2の遮断周波数を高域通過フィルタ6に設定し、この期間以外に第1の遮断周波数を高域通過フィルタ6に設定するように制御する、通過帯域制御信号を生成する場合を説明する。
【0030】
さらに、物理ヘッダ検出シーケンサ8は、整形信号L0と整形信号R0をもとに、記録セクタの物理ヘッダ領域を判定し、OPID検出信号、IPID検出信号を生成する。OPID検出信号は、外周側にオフセットして記録された物理ヘッダ領域を検出したことを示す信号である。IPID検出信号は、内周側にオフセットして記録された物理ヘッダ領域を検出したことを示す信号である。
【0031】
情報再生部9は、再生信号処理部5から出力される2値化データと、物理ヘッダ検出シーケンサ8から出力されるOPID検出信号及びIPID検出信号とを用いて、復調処理や誤り訂正処理を行なって再生データを出力する。具体的には、情報再生部9は、記録領域においてIPID検出信号とOPID検出信号との論理和が"0"レベルをとることに基づいて、記録領域に記録された2値化データを判別し、判別した2値化データの復調、誤り訂正を行う。
アドレス再生部10は、再生信号処理部5から出力される2値化データと、物理ヘッダ検出シーケンサ8から出力されるOPID検出信号及びIPID検出信号とを用いて、物理アドレス領域に記録されたエンボスピットによるアドレス情報を抽出して復調し、システム制御部11にアドレス情報を出力する。具体的には、アドレス再生部10は、物理ヘッダ領域においてIPID検出信号とOPID検出信号とのいずれかが"1"レベルをとることに基づいて、物理ヘッダ領域に形成されたエンボスピットから得られる2値化データを判別し、判別した2値化データから、アドレス再生を行う。
【0032】
極性制御部12は、物理ヘッダ検出シーケンサ8から出力されるグルーブ検出信号と、システム制御部11から出力されるトラッキングオン/オフを示す信号とを受け、トラッキング極性を選択し、トラッキング極性選択結果(トラッキング極性選択信号)を出力する。
極性選択部13は、極性制御部12によるトラッキング極性選択結果に応じて、差信号検出部4から出力される差信号の極性を反転してトラッキング制御部14に出力する。
【0033】
次に、物理ヘッダ検出シーケンサ8の詳細を、図2と図3とを参照して詳しく説明する。図2は、第1の実施形態による物理ヘッダ検出シーケンサ8の構成例を示す図である。図3は、第1の実施形態によるヘッダ判定シーケンサの状態遷移の一例を示す図である。
物理ヘッダ検出シーケンサ8は、ヘッダ判定部811とランド/グルーブ判定部821とを備える。加えて図2に示すヘッダ判定部811は、パルス列持続時間カウンタ801、802、ヘッダ判定シーケンサ803、ヘッダ長保護カウンタ804、及び、誤検出保護カウンタ805を備える。
物理ヘッダ検出シーケンサ8では、ヘッダ判定部811が整形信号L0、R0を受け、ヘッダ判定部811がOPID検出信号とIPID検出信号とを、ランド/グルーブ判定部821、情報再生部9、及びアドレス再生部10へ出力し、グルーブ検出信号を極性制御部12へ出力し、ランド/グルーブ判定部821が通過帯域制御信号を高域通過フィルタ6へ出力する。
【0034】
ヘッダ判定部811は、パルス持続時間閾値(以降、適宜「閾値Tw」ともいう)を保持する。パルス持続時間閾値は、物理ヘッダ領域の検出を判定するパルス幅であり、パルス幅は、パルスまたはパルスが持続して現れる時間を指定する。まず、ヘッダ判定部811は、第1のパルスを検出すると、検出した第1のパルスの持続時間を計測する。そして、計測する持続時間がパルス持続時間閾値を超えると、第2の遮断周波数を高域通過フィルタ6に設定するように制御する通過帯域制御信号を生成して出力する。次に、ヘッダ判定部811は、第1のパルスを検出後、第2のパルスを検出すると、検出した第2のパルスの持続時間を計測する。そして、計測する持続時間がパルス持続時間閾値を超えると、第1の遮断周波数を高域通過フィルタ6に設定するように制御する通過帯域制御信号を生成して出力する。さらに、ヘッダ判定部811は、第2のパルスを検出後、第1のパルスと同じ極性の第3のパルスが検出すると、第3のパルスの持続時間を計測する。そして、計測する持続時間がパルス持続時間閾値を超えると、物理ヘッダ領域の検出に成功したと判定し、第1のパルス及び第2のパルスの極性を出力する。ここで、第1のパルスは、図1において、パルス閾値LthとRthとのいずれか一方のパルス閾値を超えるパルスであり、第2のパルスは、他方のパルス閾値、言い換えると、第1のパルスとは異なる極性のパルス閾値を超えるパルスである。
【0035】
ランド/グルーブ判定部821は、第1のパルス及び第2のパルスの極性に応じて、判定した物理ヘッダ領域を有する記録セクタが、溝部と溝間部とのいずれであるかを判定し、グルーブ検出信号を生成する。具体的には、ランド/グルーブ判定部821は、OPID検出信号及びIPID検出信号に基づいて、第1の領域と第2の領域とで検出されたパルスの極性を取得し、グルーブ検出信号を生成する。
【0036】
続いて、ヘッダ判定部811の詳細について説明する。
パルス列持続時間カウンタ(第1パルス列持続時間カウンタ)801は、整形信号L0に、パルス幅の閾値Twの期間パルス列が現れたことをヘッダ判定シーケンサ803に通知する。具体的には、パルス列持続時間カウンタ801は、閾値Twを保持し、物理ヘッダ検出シーケンサ8に入力される整形信号L0を受け、整形信号L0にパルス列が現れている時間Top(以降、適宜「パルス持続時間Top」または「時間Top」ともいう)を計測してカウンタの値を加算する。そして、カウンタの値(パルス持続時間Top)が閾値Twを超えると、ヘッダ判定シーケンサ803に通知する。
【0037】
パルス列持続時間カウンタ(第2パルス列持続時間カウンタ)802は、パルス列持続時間カウンタ801と同様に、整形信号R0に、パルス幅の閾値Twの期間パルス列が現れたことをヘッダ判定シーケンサ803に通知する。具体的には、パルス列持続時間カウンタ802は、閾値Twを保持し、物理ヘッダ検出シーケンサ8に入力される整形信号R0を受け、整形信号R0にパルス列が現れている時間Tip(以降、適宜「パルス持続時間Tip」または「時間Tip」ともいう)を計測してカウンタの値を加算する。そして、カウンタの値(パルス持続時間Tip)が閾値Twを超えると、ヘッダ判定シーケンサ803に通知する。
【0038】
加えて、パルス列持続時間カウンタ801は、あらかじめ定めた閾値Trを保持し、整形信号L0にパルス列が現れなくなってから、閾値Trの期間を経過すると、カウンタが保持する値をリセットし、次に整形信号L0にパルス列が現れた時点から再び時間Topの計測を始めるように動作する。同様に、パルス列持続時間カウンタ802は、整形信号R0にパルス列が現れなくなってから、閾値Trの期間を経過すると、カウンタが保持する値をリセットし、次に整形信号R0にパルス列が現れた時点から再び時間Tipの計測を始めるように動作する。
【0039】
閾値Trは、閾値Twより短い時間であって、パルス列が現れなくなったことを検出するために適切な時間が設定される。これは物理ヘッダ領域の第1の部分と第2の部分とに対応して現れるパルス列に対応するためである。具体的には、整形信号L0または整形信号R0では、物理ヘッダ領域の第1の部分の先頭から閾値Twを超えるパルス列が現れた後、第2の部分ではパルス列を検出しない。その後、物理ヘッダ領域と記録領域との境界になると段差が生じるため、第1の部分でパルス列が現れた整形信号に再びパルス列が現れる。当該段差のパルス列は、物理ヘッダ領域の末尾に相当する。このパルス列の持続時間を計測するため、パルス列持続時間カウンタ801、802は、閾値Trを用いて、パルス列を検出しなくなってから閾値Trの時間が経過した時点でリセットされる。
【0040】
ヘッダ判定シーケンサ803は、パルス列持続時間カウンタ801、802からの通知と、ヘッダ長保護カウンタ804、および誤検出保護カウンタ805からの通知に基づいて、内部状態を保持し、更新する。内部状態は、整形信号L0及び整形信号R0の状態を示すものであり、初期状態S0から状態S5までの6種類の遷移状態に分類される。遷移状態については、図3を参照して後述する。
加えて、ヘッダ判定シーケンサ803は、内部状態に応じて、OPID検出信号、IPID検出信号、及び、通過帯域制御信号を制御する。
【0041】
ヘッダ長保護カウンタ804は、ヘッダ判定シーケンサ803が保持する内部状態が、初期状態S0から状態S1または状態S2に遷移して以降、経過した時間を経過時間Thとして計測する。ヘッダ長保護カウンタ804は、物理ヘッダ領域を検出する期間を限定する領域検出閾値を保持し、経過時間Thを領域検出閾値と比較し、経過時間Thが領域検出閾値を超えると、ヘッダ判定シーケンサ803へ通知する。本実施形態では、領域検出閾値として、閾値Te1、Te2を用いる場合を説明する。閾値Te1は、物理ヘッダ領域の第1の部分を検出後、物理ヘッダ領域の第2の部分を検出する期間を限定する部分領域検出閾値であり、第1の部分の長さに相当する期間が設定される。閾値Te2は、物理ヘッダ領域の第1の部分を検出後、物理ヘッダ領域を検出する期間を限定するヘッダ領域検出閾値であり、物理ヘッダ領域の長さに相当する期間が設定される。ヘッダ長保護カウンタ804は、経過時間Thを計測することにより、ノイズなど起因して、整形信号L0、R0のパルス列を誤って検出した場合に、光ディスクを保護する機能を果たす。
【0042】
誤検出保護カウンタ805は、ヘッダ判定シーケンサ803が保持する内部状態が状態S5に遷移した時点からの経過時間Tmを計測し、誤検出保護のための一定時間(閾値Te3)が経過した時点で、ヘッダ判定シーケンサ803に通知する。誤検出保護カウンタは、予め設定した、誤検出から光ディスク装置を保護するための任意の時間の閾値Te3を保持する。
【0043】
ヘッダ判定部811内では、ヘッダ判定シーケンサ803が保持する内部状態に応じてヘッダ長保護カウンタ804及び誤検出保護カウンタ805が処理を実施するように構成される。
【0044】
続いて、図3を参照して、ヘッダ判定シーケンサ803が内部で保持し、更新する整形信号L0、R0の状態(内部状態)について説明する。初期状態S0は物理ヘッダ領域の検出開始の初期状態であり、ヘッダ判定シーケンサ803が整形信号L0および整形信号R0にパルス列が現れるのを待つ状態である。状態S1は、整形信号L0にパルス列を検出した状態(IPID検出状態)であり、状態S2は、整形信号R0にパルス列を検出した状態(OPID検出状態)である。言い換えると状態S1、S2とは、整形信号L0、R0のいずれかにパルス(パルス列)が出現し、第1の極性のパルスを検出した状態であるといえる。
状態S3は、整形信号L0にパルス列を検出した後、整形信号R0にパルス列を検出した状態(OPID検出状態)であり、状態S4は、整形信号R0にパルス列を検出した後、整形信号L0にパルス列を検出した状態(IPID検出状態)である。言い換えると状態S3、S4とは、第1の極性のパルスを検出した後、第1の極性と異なる第2の極性のパルスを検出した状態であるといえる。状態S5は、初期状態S0に戻る前に設定された誤検出を保護する保護期間である。
【0045】
ヘッダ判定シーケンサ803は、初期状態S0のときに、整形信号R0のパルス列が持続する時間Tipが閾値Twを超えたこと(Tip>Tw)を示す通知(IPIDパルス列検出信号)をパルス列持続時間カウンタ802から受ける。通知を受けると、ヘッダ判定シーケンサ803は、当該パルス列を内周側にオフセットした物理ヘッダ領域の第1の領域を検出したと判定し、初期状態S0から状態S1に遷移する。
一方、ヘッダ判定シーケンサ803は、初期状態S0のときに、整形信号L0のパルス列が持続する時間Topが、閾値Twを超えたこと(Top>Tw)を示す通知(OPIDパルス列検出信号)をパルス列持続時間カウンタ801から受ける。通知を受けると、ヘッダ判定シーケンサ803は、当該パルス列を外周側にオフセットした物理ヘッダ領域の第1の領域を検出したと判定し、初期状態S0から状態S2に遷移する。
【0046】
ヘッダ判定シーケンサ803は、初期状態S0から状態S1または状態S2へ遷移すると、ヘッダ長保護カウンタ804に通知する。
ヘッダ長保護カウンタ804は、ヘッダ判定シーケンサ803の内部状態が、初期状態S0から、状態S1または状態S2に遷移して以降、経過した時間を経過時間Thとして計測する。
【0047】
続いて、初期状態S0から状態1に遷移した後の状態遷移を説明する。
ヘッダ判定シーケンサ803は、状態S1のときに、整形信号L0のパルス列が持続する時間Topが閾値Twを超えた通知をパルス列持続時間カウンタ801から受けると、状態S3に遷移する。
ただし、状態1のときに、ヘッダ長保護カウンタ804が計測する経過時間Thが、物理ヘッダ領域の第1の部分の長さに相当する閾値Te1を超えると、ヘッダ判定シーケンサ803は、ヘッダ長保護カウンタ804から検出時間切れ(Th>Te1)を示す通知(部分領域の検出時間切れ通知)を受ける。ヘッダ判定シーケンサ803は、部分領域の検出時間切れ通知を受け取ると、内部状態を状態1から状態S5に遷移させる。
【0048】
次に、状態S3では、物理ヘッダ領域と記録領域との境界になると、物理ヘッダ領域と記録領域との段差によって整形信号R0にパルスまたはパルス列が現れる。パルス列持続時間カウンタ802は、整形信号R0に現れるパルスまたはパルス列を検出すると、時間Tipの計測を開始する。計測開始時点では、パルス列持続時間カウンタ802は、前回検出したパルス列がなくなってから閾値Trの時間を経過しているため、リセットされている。パルス列持続時間カウンタ802は、時間Tipが閾値Twを超えると、ヘッダ判定シーケンサ803へ通知する。ヘッダ判定シーケンサ803は、状態3のときに、パルス列持続時間カウンタ802から通知を受けると、物理ヘッダ領域の末尾を検出したと判断し、状態S5に遷移する。
【0049】
ただし、状態S3のときに、ヘッダ長保護カウンタ804が計測する経過時間Thが、物理ヘッダ領域全体の長さに相当する閾値Te2を超えると、ヘッダ判定シーケンサ803は、ヘッダ長保護カウンタ804から検出時間切れを示す通知(ヘッダ領域の検出時間切れ通知)を受ける。ヘッダ判定シーケンサ803は、ヘッダ領域の検出時間切れ通知を受けると、物理ヘッダ領域の末尾の検出を示す、時間Tipが閾値Twを超えた通知を待たず、強制的に状態S5に遷移する。
【0050】
ヘッダ判定シーケンサ803は、内部状態が状態S1〜S4のいずれかから状態S5へ遷移すると、誤検出保護カウンタ805へ通知する。
誤検出保護カウンタ805は、ヘッダ判定シーケンサ803から状態S5へ遷移したことを通知されると、状態S5に遷移した時点からの経過時間Tmを計測し、誤検出保護のための一定時間Te3が経過した時点で、ヘッダ判定シーケンサ803に通知する。ヘッダ判定シーケンサ803はこの通知を受けて状態S0に遷移し、再び整形信号L0および整形信号R0のパルス列検出を継続する。初期状態S0に遷移すると、各カウンタが保持する値は初期化される。
【0051】
次に、初期状態S0から状態2に遷移した後の状態遷移を説明する。
ヘッダ判定シーケンサ803は、状態S2のときに、整形信号R0のパルス列持続時間Tipが閾値Twを超えた通知を受けると、状態S4に遷移する。
ただし、状態S1と同様に、状態2のときに、ヘッダ長保護カウンタ804が計測する経過時間Thが、閾値Te1を超えると、ヘッダ判定シーケンサ803は、ヘッダ長保護カウンタ804から検出時間切れ(Th>Te1)を示す通知(部分領域の検出時間切れ通知)を受ける。ヘッダ判定シーケンサ803は、部分領域の検出時間切れ通知を受け取ると、内部状態を状態2から状態S5に遷移させる。
【0052】
次に、状態S4のときに、物理ヘッダ領域と記録領域との境界になると、物理ヘッダ領域と記録領域との段差によって整形信号L0にパルスまたはパルス列が現れる。パルス列持続時間カウンタ801は、整形信号L0に現れるパルスまたはパルス列を検出すると、時間Topの計測を開始する。計測開始時点では、パルス列持続時間カウンタ801は、前回検出したパルス列がなくなってから閾値Trの時間を経過しているため、リセットされている。パルス列持続時間カウンタ801は、時間Topが閾値Twを超えると、ヘッダ判定シーケンサ803へ通知する。ヘッダ判定シーケンサ803は、状態4のときに、パルス列持続時間カウンタ801から通知を受けると、物理ヘッダ領域の末尾を検出したと判断し、状態S5に遷移する。
【0053】
ただし、状態S4のときに、ヘッダ長保護カウンタ804が計測する経過時間Thが、物理ヘッダ領域全体の長さに相当する閾値Te2を超えると、ヘッダ判定シーケンサ803は、ヘッダ長保護カウンタ804から検出時間切れを示す通知(ヘッダ領域の検出時間切れ通知)を受ける。ヘッダ判定シーケンサ803は、ヘッダ領域の検出時間切れ通知を受けると、物理ヘッダ領域の末尾の検出を示す、時間Topが閾値Twを超えた通知を待たず、強制的に状態S5に遷移する。
内部状態が状態S5へ遷移した後の動作は、状態1または状態3から状態5へ遷移した場合と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
以上説明したように、内部状態が状態S1または状態S2である場合、第1のパルスを検出している状態であり、検出に誤りがない場合、物理ヘッダ領域の第1の部分に対応するパルス列を検出している状態である。また、状態S3または状態S4である場合、2番目に検出した、第1のパルスとは極性の異なる第2のパルスを検出している状態であり、検出に誤りがない場合、物理ヘッダ領域の第2の部分に対応するパルス列を検出している状態である。さらに、状態S5または初期状態S0である場合、記録領域に対応するパルスまたはパルス列が検出されているか、あるいは、物理ヘッダ領域のパルスまたはパルス列の検出に誤りが生じている状態である。
【0055】
上述した内部状態の遷移に応じて、物理ヘッダ検出シーケンサ8内では、各信号を次のように生成して出力する。
ヘッダ判定シーケンサ803は、物理ヘッダの外周側にオフセットした部分を検出したことを示すOPID検出信号を、状態S2および状態S3では"1"レベル、その他の状態では"0"レベルに設定して出力する。また、ヘッダ判定シーケンサ803は、内周側にオフセットした部分を検出したことを示すIPID検出信号を、状態S1および状態S4では"1"レベル、その他の状態では"0"レベルに設定して出力する。
加えて、ヘッダ判定シーケンサ803は、通過帯域制御信号を、状態S1および状態S2では、遮断周波数を引き下げることを示す"1"レベル、その他の状態では"0"レベルに設定して出力する。
【0056】
ランド/グルーブ判定部821は、IPID検出信号が"1"レベルから"0"レベルに遷移し、OPID検出信号が"0"レベルから"1"レベルに遷移すると(状態S1から状態S3)、グルーブ検出信号を"0"レベルに設定する。一方、ランド/グルーブ判定部821は、OPID検出信号が"1"レベルから"0"レベルに遷移し、かつ、IPID検出信号が"0"レベルから"1"レベルに遷移すると(状態S2から状態S4)、グルーブ検出信号を"1"レベルに設定する。上述した遷移以外では、グルーブ検出信号が保持する状態を維持する。
【0057】
次に、光ディスク装置100の各部の動作波形を用いて説明する。
図4に第1の実施形態に係る光ディスク装置100の各部の動作波形例を示す。差信号は物理ヘッダ領域の第1の部分及び第2の部分でそれぞれ逆極性のオフセットが加わった波形として得られる。加えて、図12では明示していなかったが、差信号にはトラッキングの追従誤差に起因する低周波のオフセット変動が重畳されている。また、光ディスク1にトラッキングサーボを乱す欠陥が存在している場合や、外部からの衝撃が加わった場合には、差信号中に更に大きなオフセット変動が現れる。
【0058】
光ディスク装置100では、このようなオフセット変動を含む差信号を高域通過フィルタ6に通すことによって、低周波成分を除いた差信号HPF出力を得ることができる。DVD−RAMでは物理ヘッダ領域が約2000チャネルビット分の長さを持っている。通過帯域制御信号が"0"レベルの時の遮断周波数を、チャネルクロック周波数fcに対して1000分の1程度(fc/1000程度)に設定することによって、物理ヘッダ領域の長さと同程度以上の周期をもつ低周波成分を差信号から取り除くことができる。
差信号HPF出力は、記録領域の後半では十分に0に近い値をとるようになるため、物理ヘッダ領域の先頭部分のオフセット量は、低周波成分の影響を受けず、概ね記録領域と物理ヘッダ先頭部との間のステップ状の変化量に依存して定まる。閾値Lthや閾値Rthは、ステップ状の変化量に応じて設定することができるため、欠陥やトラッキングサーボの不安定さに起因する低周波成分の影響を受けにくく、安定なパルス化を実現できる。
【0059】
物理ヘッダ領域の先頭付近で整形信号L0にパルス列が現れ、パルス列持続時間Tipが閾値Twを超えると、ヘッダ判定シーケンサ803は、内部状態を初期状態S0から状態S2に遷移させる。状態S2では、ヘッダ判定シーケンサ803は、OPID検出信号を"1"レベルに変化させるとともに、通過帯域制御信号を"1"レベルに変化させる。通過帯域制御信号が"1"レベルのとき、高域通過フィルタ6の遮断周波数は、fc/10000程度以下に引き下げられる。これによって、物理ヘッダ領域の先頭(第1の部分の先頭)で差信号HPF出力中にステップ状に現れたオフセットは減少しにくくなる。
【0060】
次に、物理ヘッダ領域の後半(第2の部分)で差信号に負極性のステップ状変化が現れると、整形信号R0にパルス列が現れるようになる。状態S2で整形信号R0のパルス列持続時間が閾値Twを超えると、ヘッダ判定シーケンサ803は、内部状態を状態S4に遷移させ、OPID検出信号を"0"レベルに、IPID検出信号を"1"レベルに、通過帯域制御信号を"0"レベルに切り替える。
また、ランド/グルーブ判定部821は、OPID検出信号及びIPID検出信号に基づいて、物理ヘッダ領域が、正極性から負極性に移行したことを検出する。加えて、ランド/グルーブ判定部821は、検出結果に基づいて、記録セクタはグルーブトラック上にあると判定し、グルーブ検出信号には"1"レベルをセットする。図4ではグルーブ検出信号が"1"レベルを保持している場合を示しているため、"1"レベルが維持されている。
【0061】
通過帯域制御信号が"0"レベルに切り替えられることで、高域通過フィルタ6は引き下げた遮断周波数を戻す(引き上げる)。これにより、物理ヘッダ領域の第2の部分では、差信号HPF出力のオフセットは徐々にゼロに近づき、整形信号R0にパルス列が現れにくくなる。その後、物理ヘッダ領域から記録領域に移るのに伴うステップ状の差信号オフセット変化により、差信号HPF出力にはオフセットが現れ、整形信号L0にパルスが出力される。このパルスは、差信号中に混入する外乱の影響で複数のパルス列となる場合もある。パルスあるいはパルス列の持続時間が閾値Twを超えると、ヘッダ判定シーケンサ803は、内部状態を状態S5に遷移させる。更に、誤検出から光ディスク1を保護するため、誤検出保護カウンタ805によって、状態S5に遷移してから一定時間Te3経過後に、内部状態を初期状態S0に遷移させる。
【0062】
物理ヘッダ領域の先頭部(第1の部分の先頭部)のオフセットが負極性になる場合も同様である。まず、整形信号R0のパルス列持続時間Tipが閾値Twを超えることによって、ヘッダ判定シーケンサ803は、内部状態を初期状態S0から状態S1に遷移させる。続いて、整形信号L0のパルス列持続時間Topが閾値Twを超えることによって、内部状態を状態S3に遷移させる。状態S1では、通過帯域制御信号が"1"レベルとなるため、差信号HPF出力のオフセットは保持され、パルス列が出やすい状態が続く。一方、状態S3では通過帯域制御信号が"0"レベルに切り替えられ、物理ヘッダ領域の第2の部分では徐々に整形信号L0のパルス列は現れにくくなる。最後に、記録領域の先頭で整形信号R0に現れるパルスによって、ヘッダ判定シーケンサ803は、内部状態を状態S5に遷移させる。更に、誤検出から光ディスク1を保護するため、誤検出保護カウンタ805によって、状態S5に遷移してから一定時間Te3経過後に、初期状態S0に戻るように動作する。状態S1から状態S3に遷移する際には、記録セクタがランドトラック上にあることが確定し、グルーブ検出信号が"0"レベルに切り替えられるように働く。
【0063】
次に、図5を参照して物理ヘッダ領域の先頭部のパルス列に取りこぼしが発生した場合の動作を説明する。差信号HPF出力では、高域通過フィルタによって低周波のオフセット変動が取り除かれているため、差信号整形部でパルス化を誤ることは少ないものの物理ヘッダ領域の先頭部で差信号の振幅が小さいと、差信号HPF出力が閾値Lthや閾値Rthを超えず、整形信号L0や整形信号R0にパルス列が現れなくなる場合がありうる。このような場合でも、ヘッダ判定処理が破綻しないことが求められる。整形信号L0にパルス列が現れないと、高域通過フィルタの遮断周波数は高い状態に保たれるため、差信号HPF出力のオフセットは物理ヘッダ領域の前半部でも0に近づくように変化する。その後、物理ヘッダ領域の後半にあらわれるステップ状の変化によって整形信号R0にパルス列が現れた時点で、初めて物理ヘッダ検出シーケンサは物理ヘッダ領域を認識し、初期状態S0から状態S1に遷移する。
【0064】
状態S1では通過帯域制御信号が"1"レベルに切り替えられるため、差信号HPF出力のオフセットは大きく変化せず、負のオフセットが大きい状態が保たれる。物理ヘッダ領域から記録領域に移ったときのステップ状のオフセット変化は、ヘッダの前半部から後半部に移るときのオフセット変化より小さいため、記録領域の先頭でも整形信号L0にパルス列が現れず、シーケンサは状態S1に遷移して以降の経過時間Thが物理ヘッダ領域の前半部の長さに相当する閾値Te1を超えたことで、状態S5に遷移する。
【0065】
状態S5への遷移とともに、通過帯域制御信号は再び"0"レベルに切り替えられるため、記録領域では帯域通過フィルタの遮断周波数が高い状態に保たれることになる。また、このように物理ヘッダ領域の先頭部のパルス列検出にミスが発生した場合には、状態S1から状態3への遷移が発生しないため、記録領域をランドトラックと誤判定することはなく、直前の記録領域と同じ極性が保たれる。DVD−RAMでは光ディスク1周当たり数十記録セクタ分ある物理ヘッダ領域のうちで、ランドトラックとグルーブトラックとの切り替えが行なわれる記録セクタは1セクタのみのため、直前の記録領域と同じ極性を保持することで、物理ヘッダ領域の検出ミスがあってもトラッキング極性を誤る確率を低く保つことができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、欠陥や記録済みデータによる影響を受けにくく、シーク動作直後でも正しく物理ヘッダ領域を検出するとともに、ランドトラックやグルーブトラックの判定誤りも起こしにくい判定方法を実現することができる。
【0067】
第2の実施形態.
次に本発明の第2の実施形態に係る光ディスク装置について説明する。装置のブロック図は図1に示した第1の実施形態と同様のため、説明を省略する。図6には第2の実施形態で用いられる物理ヘッダ検出シーケンサ82の構成を示した。ヘッダ判定部812は、図2に示すヘッダ判定部811へ、パルス終了カウンタ806、807を追加した構成となっている。同じ符号の構成要素は同様であるため説明を省略する。
本実施形態では、第1の実施形態に比べ、高域通過フィルタ6の遮断周波数を引き下げる期間を増やす一態様を説明する。具体的には、本実施形態では、ヘッダ判定部812は、物理ヘッダ領域の第1の領域を検出したと認識してから物理ヘッダ領域と記録領域との境界(物理ヘッダ領域の末尾)を検出したと認識するまでの期間、高域通過フィルタ6の遮断周波数を引き下げるように制御する場合を説明する。従って、ヘッダ判定部812は、実施形態で遮断周波数を引き下げるように制御する状態1及び状態2に加え、状態3及び状態4の期間にも、高域通過フィルタ6の遮断周波数を引き下げるように制御する通過帯域制御信号を生成する。
【0068】
パルス終了カウンタ(第1パルス終了カウンタ)806は、整形信号L0にパルス列が現れなくなってからの経過時間Toz(以降、適宜「パルス不検出時間Toz」または「時間Toz」ともいう)を計測し、パルス不検出時間Tozがあらかじめ定めた閾値Tzを超えたところで、ヘッダ判定シーケンサ803に通知する。
パルス終了カウンタ(第2パルス終了カウンタ)807は、パルス終了カウンタ806と同様に、整形信号R0にパルス列が現れなくなってからの経過時間Tiz(以降、適宜「パルス不検出時間Tiz」または「時間Tiz」ともいう)を計測し、パルス不検出時間Tozがあらかじめ定めた閾値Tzを超えたところで、ヘッダ判定シーケンサ803に通知する。
閾値Tzは、パルスまたはパルス列を検出しなくなってからの経過時間の閾値(パルス不検出経過時間閾値)であり、例えば、第2の部分の長さに相当する期間が設定される。パルス終了カウンタ806、807は、閾値Tzを保持する。
【0069】
図6の物理ヘッダ検出シーケンサ82では、整形信号L0および整形信号R0は、第1の実施形態と同様にパルス列持続時間カウンタ801、802にそれぞれ入力されるとともに、パルス終了カウンタ806、807にも入力される。
パルス列持続時間カウンタ801、802は、整形信号L0および整形信号R0それぞれにパルス列が現れている時間を計測し、閾値Twを超えたことをヘッダ判定シーケンサ803に通知する。
パルス終了カウンタ806、807は、整形信号L0および整形信号R0それぞれにパルス列が現れなくなってからの経過時間Toz、Tizを計測し、あらかじめ定めた閾値Tzを超えたところで、ヘッダ判定シーケンサ803に通知するように働く。パルス終了カウンタ806、807が保持するカウンタの値は、それぞれ整形信号L0、整形信号R0にパルスが現れた場合に初期化されるのに加えて、初期状態S0に遷移した場合にも初期化される。
【0070】
ヘッダ長保護カウンタ804は、第1の実施形態と同様に、ヘッダ判定シーケンサ803が初期状態S0から状態S1または状態S2に遷移して以降の経過時間を計測し、物理ヘッダ領域の第1の部分の長さに相当する閾値Te1を超えた場合と、物理ヘッダ領域全体の長さに相当する閾値Te2を越えた時点でそれぞれヘッダ判定シーケンサ803に通知する。
誤検出保護カウンタ805はヘッダ判定シーケンサ803が状態S5に遷移して以降の経過時間を計測し、誤検出保護のための一定時間Te3が経過した時点でヘッダ判定シーケンサ803に通知するように働く。
【0071】
図7に、第2の実施形態で用いられるヘッダ判定シーケンサの状態遷移図を、図8に各部の動作波形を示す。
ヘッダ判定シーケンサ803の内部状態は第1の実施形態と同様に初期状態S0から状態5までの6状態だが、状態S1、状態S2だけでなく、状態S3および状態S4でも通過帯域制御信号を"1"レベルとする点が第1の実施形態とは異なる。
ヘッダ判定シーケンサ803は、初期状態S0でパルス列持続時間カウンタ801から整形信号L0のパルス列が閾値Twを超えた通知を受けると、状態S2に遷移する。状態S2ではOPID検出信号が"1"レベルとなるとともに、通過帯域制御信号も"1"レベルに切り替えられ、高域通過フィルタの遮断周波数は引き下げられる。更に、整形信号R0のパルス列持続時間が閾値Twを超え、状態S4に遷移しても通過帯域制御信号は"1"レベルに保たれる。これによって、差信号HPF出力でも物理ヘッダ領域ではステップ状のオフセット変化が反映される。
【0072】
物理ヘッダ領域の第2の部分でも差信号HPF出力のオフセットはゼロに近づかないことから、整形信号R0のパルス列は、物理ヘッダ領域の後端まで続く。パルス終了カウンタ807は整形信号R0のパルス列が終了してからの経過時間Tizが閾値Tzを超えたことをヘッダ判定シーケンサ803に通知し、ヘッダ判定シーケンサ803は内部状態を状態S5に遷移する。更に、ヘッダ判定シーケンサ803は、状態S5に遷移して以降の経過時間が一定時間Te3を超えたことを示す通知を誤検出保護カウンタ805から受けて、初期状態S0に戻る。
【0073】
状態S1および状態S3を経由して遷移する場合も同様で、整形信号R0および整形信号L0のパルス列持続時間が閾値を超えたことと、整形信号L0のパルス列が終了したことを検出して、順次遷移が行なわれる。状態S1や状態S2に遷移して以降の経過時間が閾値Te1を超えた時は、第1の実施形態と同様に、ヘッダ長保護カウンタ804からの通知によって状態S5に遷移し、また、状態S3や状態S4で経過時間が閾値Te2を超えた通知を受けた場合には状態S5に遷移する。
グルーブ検出信号も、第1の実施形態と同様に、状態S2から状態S4に遷移したときと、状態S1から状態S3に遷移したときにそれぞれ"1"レベル、"0"レベルがセットされ、それ以外では以前の値が保持される。
【0074】
第2の実施形態でも、記録領域では高域通過フィルタ6の遮断周波数が高い状態が保たれる。このため、差信号中の低周波成分は取り除かれ、物理ヘッダ領域で整形信号の誤検出や取りこぼしが低減することが期待できる。
【0075】
第3の実施形態.
図9に第3の実施形態に係る物理ヘッダ検出シーケンサのブロック図を示す。第1の実施形態と共通の構成要素に関する説明は省略し、差異のある部分を重点に説明する。図9に示す物理ヘッダ検出シーケンサ83は、図1の物理ヘッダ検出シーケンサ8へ物理ヘッダ同期保護部833とアンドゲート843とを追加し、ランド/グルーブ判定部823の機能を変更している。
本実施形態では、物理ヘッダ領域が、光ディスク上に同じ長さに区切られた記録セクタの先頭部に設けられており、通常の記録、再生動作中には等間隔で現れることを利用する一態様を説明する。具体的には、物理ヘッダ検出シーケンサ83は、物理ヘッダ領域の検出が所定の回数にわたって成功すると、同期がとれていると判定し、物理ヘッダ領域がほぼ同じ周期で現れると予測して、物理ヘッダ領域が検出できない場合を補完する。
【0076】
加えて、高域通過フィルタ6に入力される通過帯域制御信号には、ヘッダ判定シーケンサ803の内部状態をデコードして生成した信号が直接使われるのではなく、ヘッダ判定シーケンサ803の内部状態が状態S1または状態S2のときに"1"レベルになる信号を通過帯域制御原信号として、アンドゲート843を通してマスクをかけた信号が用いられる。アンドゲート843のもうひとつの入力端子には、物理ヘッダ同期保護部833から出力される同期フラグを反転して与える。
【0077】
物理ヘッダ同期保護部833は、IPID検出信号およびOPID検出信号をヘッダ判定シーケンサ803から受け、PID保護信号、同期フラグ、及びヘッダ予測ゲート(ヘッダ予測信号)を出力する。
PID保護信号は、IPID検出信号とOPID検出信号との論理和にあたる信号に、セクタ周期の同期保護をかけた信号である。言い換えると、PID保護信号は、IPID検出信号やOPID検出信号が、セクタ間隔と同じ周期で現れることを利用して、欠落した部分を補完した信号に当たる。
同期フラグは、物理ヘッダ領域の検出が所定の回数にわたって成功した同期状態を示すフラグである。所定の回数は予め設定され、物理ヘッダ同期保護部833が保持する。
ヘッダ予測ゲートは、物理ヘッダ領域の予測位置を示す信号である。ヘッダ予測ゲートは、物理ヘッダ領域の過去の検出結果に基づいて生成される。
【0078】
情報再生部9及びアドレス再生部10は、再生信号処理部5から出力される2値化データとPID保護信号とを入力し、それぞれ再生データやアドレス情報を出力する。情報再生部9及びアドレス再生部10では、PID保護信号によってデータ記録領域や物理ヘッダ領域を判別して、IPID検出信号やOPID検出信号を使う場合と同様に、情報再生やアドレス再生を行う。
【0079】
従って、物理ヘッダ同期保護部833は、PID保護信号を、情報再生部9及びアドレス再生部10へ入力されるOPID検出信号及びIPID検出信号と同様の形態の信号を生成する。例えば、OPID検出信号及びIPID検出信号それぞれが入力されている場合、物理ヘッダ同期保護部833は、OPID検出信号及びIPID検出信号に相当する二つの信号をPID保護信号として生成する。一方、OPID検出信号及びIPID検出信号の論理和の信号が入力されている場合、物理ヘッダ同期保護部833は、当該論理和の信号に対応する一つの信号をPID保護信号として生成する。以降の説明では、物理ヘッダ同期保護部833は、PID保護信号として、OPID検出信号及びIPID検出信号の論理和の信号に対応する信号を生成する場合を一例として説明する。
【0080】
物理ヘッダ同期保護部833は、初期状態S0の同期フラグを"0"レベルに設定し、PID保護信号としてIPID検出信号とOPID検出信号との論理和の信号を生成し、同期フラグとPID保護信号とを出力する。物理ヘッダ同期保護部833は、IPID検出信号とOPID検出信号のパルスが記録セクタの長さと同じ周期で、あらかじめ定めた回数以上連続して入力されると、同期フラグを"1"レベル切り替える。加えて、物理ヘッダ同期保護部833は、先行記録セクタのIPID検出信号とOPID検出信号から得られるタイミングを元に、次の物理ヘッダ領域の先頭でヘッダ予測ゲートを"1"レベルに、物理ヘッダ領域の末尾で"0"レベルに切り替えて出力する。
【0081】
物理ヘッダ同期保護部833は、同期フラグが"1"レベルの間は、PID保護信号として、先行記録セクタからの予測タイミングをもとに、周期的にパルス出力を続ける。
一方、物理ヘッダ同期保護部833は、IPID検出信号およびOPID検出信号が、あらかじめ定めた回数以上連続して欠落した場合や、予測タイミングと異なるタイミングで入力パルスが現れた場合には、同期フラグを"0"レベルに戻し、再びIPID検出信号とOPID検出信号のパルスが記録セクタの長さと同じ周期で現れるのを待つ。
【0082】
ランド/グルーブ判定部823は、IPID検出信号、OPID検出信号、ヘッダ予測ゲート、同期フラグを受け、グルーブ検出信号を出力する。
同期フラグが"0"レベルの場合、ランド/グルーブ判定回路16は、グルーブ検出信号をIPID検出信号とOPID検出信号とのパルスが現れる順序に応じて切り替える。具体的には、ランド/グルーブ判定回路16は、OPID検出信号のパルスに続いてIPID検出信号にパルスが現れた場合、グルーブ検出信号を"1"レベルに切り替え、逆に、IPID検出信号に続いてOPID検出信号にパルスが現れた場合"0"レベルに切り替える。加えて、IPID検出信号とOPID検出信号とのパルスが連続して現れない場合、グルーブ検出信号を直前の値に維持する。この場合に得られるグルーブ検出信号は、第1の実施形態の場合と同じものになる。
【0083】
同期フラグが"1"レベルの場合、ランド/グルーブ判定回路16は、グルーブ検出信号をIPID検出信号とOPID検出信号とのパルスが現れる順序に応じて切り替える動作は、同期フラグが"0"レベルの場合と同様である。これに加えて、同期フラグが"1"レベルときに、IPID検出信号やOPID検出信号にパルスが単独で現れた場合(言い換えると、IPID検出信号とOPID検出信号との一方のみにパルスが現れた場合)、ランド/グルーブ判定回路16は、ヘッダ予測ゲートとの位置に応じて、グルーブ検出信号を更新する。具体的には、IPID検出信号のパルスが単独で現れた場合、ランド/グルーブ判定回路16は、当該パルスが現れた位置が、ヘッダ予測ゲートが"1"レベルの期間の前半(第1の部分)であれば、グルーブ検出信号を"0"レベルに、後半(第2の部分)であれば"1"レベルに切り替える。一方、ヘッダ予測ゲートが"0"レベルの期間に現れた場合、ランド/グルーブ判定回路16は、グルーブ検出信号を直前の値に維持する。同様に、ヘッダ予測ゲートが"1"レベルの期間の前半に、OPID検出信号のパルスが現れた場合、ランド/グルーブ判定回路16は、グルーブ検出信号を"1"レベルに、後半に現れた場合には"0"レベルに切り替える。
【0084】
この動作によって、整形信号L0や整形信号R0のパルス列を取りこぼしてOPID検出信号やIPID検出信号が欠落していた場合でも、正しくランドトラックとグルーブトラックとを判定できる。ランド/グルーブ判定回路16は、同期フラグを用いることによりOPID検出信号やIPID検出信号が欠落する場合を補償することを可能にする。
【0085】
図9に示した物理ヘッダ検出シーケンサ83では、同期フラグが同期状態を示す場合、高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げないように制御する通過帯域制御信号を生成し、同期フラグが非同期状態を示す場合、物理ヘッダ領域の検出結果に応じて、物理ヘッダ領域の少なくとも一部分に対応する差信号に対して高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げるように制御する通過帯域制御信号を生成するように構成されている。具体的には、物理ヘッダ検出シーケンサ83は、通過帯域制御信号に同期フラグによるマスクをかけるアンドゲート843を有する。同期フラグが"0"レベルの期間では、物理ヘッダ検出シーケンサ8から出力される通過帯域制御原信号と同じパルスが通過帯域制御信号に現れる。このため、差信号HPF出力や整形信号L0、整形信号R0の波形は、図4に示された第1の実施形態のものと同様になる。一方、同期フラグが"1"レベルの期間には通過帯域制御信号が常に"0"レベルとなる。このため、遮断周波数引き下げが行われなくなる。このときの各部の波形を図10に示した。
【0086】
通過帯域制御信号が"0"レベルに保たれることから、差信号HPF出力のオフセットは遮断周波数で決まる一定の時定数で0に近づくような波形となる。整形信号L0および整形信号R0には、物理ヘッダ領域の先頭、中央、末尾で差信号に現れるステップ状の段差に応じてパルス列が現れ始め、徐々にパルス列がなくなっていく。物理ヘッダ検出シーケンサ83は、段差の直後に現れるパルス列に反応してパルス列の持続時間を測り、閾値Twを超えたところで内部状態が更新される。欠陥などによって整形信号L0や整形信号R0にパルス列が現れなかった場合には、OPID検出信号やIPID検出信号が欠落するが、先行記録セクタからの予測によって生成されるヘッダ予測ゲートとの位置関係によってグルーブ検出信号が生成されることで、判定誤りを防ぐことができる。
【0087】
このような構成例を取ることによって、先行記録セクタによる予測が働かないシーク動作直後では検出性能を優先して通過帯域の切り替えを行い、同期確立後は誤検出による差信号の乱れを極力抑える効果が得られる。シーク動作直後の記録領域で遮断周波数を高く設定して、欠陥やシーク動作によって現れるオフセット変動を除き、物理ヘッダ領域では遮断周波数を引き下げることでパルス列検出の安定性を確保できる点は第1の実施形態と同様である。
更に、複数の記録セクタにわたって物理ヘッダ領域が周期的に検出されるようになると、同期確立と判定し、同期フラグが"1"レベルに変更される。その結果、同期フラグによって通過帯域制御信号をマスクし、常に高域通過フィルタの遮断周波数を高く保つ。これによって、データ領域において閾値を超えるような大きな外乱が現れても、差信号HPF出力のオフセットずれを短時間で回復できるようになる。同期フラグが"1"レベルに変更された後は、ヘッダ領域でのパルス列検出の安定性は若干損なわれるが、同時に物理ヘッダ同期保護部833による予測動作が働き始めることによって、整形パルス列取りこぼしに伴う悪影響は回避できる。
【0088】
同期確立と判定するタイミングとしては、シーク動作前後や、トラッキング外れに伴って、連続性が乱れるため、通常は物理ヘッダ領域がセクタ長と同じ周期で何回か連続して検出されたタイミングを用いる。そして、その後は、検出ミスした場合にも、それまでに検出されたタイミングを基に予測し、欠落したと推定される検出パルスを補完してPID保護信号を出力する。
ただし、シーク動作やトラッキングの乱れによって、タイミングがまったく変わっている場合に、補完した検出パルスを出し続けてしまうのを避ける必要がある。そのため、予測したタイミングで何回か連続して検出ミスが続いた時には、同期フラグを"0"レベルに変更し、ヘッダ予測ゲートによるグルーブ検出信号の補完をやめて同期を取り直す処理を実施する。
【0089】
同期確立と判定する検出回数や、同期はずれと判定する検出ミスの回数は、光ディスクの品質に応じて、検出ミスの許容限度を緩くしたり、処理時間を短縮するために同期確立と判定までの検出回数を短くしたい場合も生じる。そのため、半導体集積回路では、同期確立までの検出回数等を、稼働後に変更可能になるようにプログラマブルにすることが好ましい。加えて、光ディスク装置では、たとえば通常状態の検出回数と、読みにくい領域のデータを読み直すときに、同期判定や同期外れ判定までの検出回数を変えるというような処理が行うことも可能である。
【0090】
なお、ここでは第3の実施形態で用いる物理ヘッダ検出シーケンサとして、第1の実施形態と同様のシーケンサを用いた場合を例に説明した。しかし、同様に第2の実施形態で用いた物理ヘッダ検出シーケンサと、第3の実施形態で説明した物理ヘッダ同期保護部833およびランド/グルーブ判定回路とをともに用いても、同様の効果が得られることは明らかである。
【0091】
その他の実施形態
上述した各実施形態の説明においては、波形整形部7によるパルス化のための閾値LthおよびRthに、固定値を使うものとして説明を進めてきた。しかし、例えば記録領域における差信号HPF出力のピーク検出値やボトム検出値を基準に、一定のオフセットを加えた値、あるいは差し引いた値を閾値に採用してもよい。差信号HPF出力では、低周波のオフセット変動成分が高域通過フィルタによって取り除かれているため、ピーク検出値やボトム検出値の変動も少ない。しかしながら、ピーク検出値に一定のオフセットを加えた値を閾値Lth、ボトム検出値から一定のオフセットを差し引いた値を閾値Rthとすることで、差信号HPF出力中に残留している記録マークの明暗に起因する外乱の大きさに応じた閾値に設定することができる。加えて、閾値は、物理ヘッダ検出シーケンサの内部状態によって、値を変更してもよい。物理ヘッダ検出シーケンサの内部状態に応じて閾値を切り替え、物理ヘッダ領域の前半部及び後半部、並びに、記録領域の先頭でのパルス化に最適な閾値を用いることで、ヘッダ領域判定の誤りが起きにくくなる。
【0092】
また、第1の実施形態では、物理ヘッダ検出シーケンサ8は、ヘッダ判定シーケンサ803とランド/グルーブ判定部821とを別の構成によって実現する場合を説明したが、この構成例に限られるものではない。例えば、図11に示すように、ヘッダ判定シーケンサ808がグルーブ検出信号を生成する構成であってもよい。図11に示すヘッダ判定シーケンサ803は、図2に示すランド/グルーブ判定部821の機能を実施する。例えば、ヘッダ判定シーケンサ803は、内部状態の遷移に応じて、グルーブ検出信号を生成してもよい。具体的には、ヘッダ判定シーケンサ808は、状態S1から状態S3に遷移する際には、記録セクタがランドトラック上にあるため、グルーブ検出信号を"0"レベルに切り替え、状態S2から状態S4に遷移する際には、記録セクタがグルーブトラック上にあるため、グルーブ検出信号を"1"レベルに切り替え、その他ではグルーブ検出信号が保持する値を維持するようにしてもよい。
図11に示す物理ヘッダ検出シーケンサ84の構成は、第2の実施形態に適用することも可能である。
【0093】
さらに、第3の実施形態では、アンドゲート843が、通過帯域制御信号にマスクをかける処理を行う場合を説明したが、ヘッダ判定シーケンサ803内で、通過帯域制御信号にマスクをかける場合であってもよい。この場合、ヘッダ判定シーケンサ803は、物理ヘッダ同期保護部833から同期フラグを受け、生成した通過帯域制御信号と同期フラグとの論理和の信号を通過帯域制御信号として出力する。
【0094】
上記各実施形態では、光ディスク装置及び物理ヘッダ検出シーケンサの構成例を参照して、本発明に係るヘッダ領域判定方法を説明した。一般に、光ディスク装置は、光ピックアップを制御する半導体集積回路を搭載して構成される。例えば、図1に示す光ディスク装置100は、図12に示すヘッダ領域判定回路20の構成を少なくとも備える半導体集積回路を搭載することによって、上記各実施形態で説明したヘッダ領域を判定する方法を実現することができる。なお、半導体集積回路には、一般に、図1に示す他の構成を備えることが想定される。
図12に示す通り、ヘッダ領域判定回路20では、差信号検出部4が2分割された受光部を含む受光素子によって生成される光ディスクからの受光量に応じた信号を受け、物理ヘッダ検出シーケンサ8が少なくともグルーブ検出信号を出力する。加えて、物理ヘッダ検出シーケンサ8は、通過帯域制御信号を生成して高域通過フィルタ6を制御する。
なお、図12では、図2に示す物理ヘッダ検出シーケンサ8を適用する場合を示しているが、これに限られることはない。例えば、図6、図9、または図11に示す物理ヘッダ検出シーケンサ82〜84のいずれかを適用することも可能である。
【0095】
以上説明したように、各実施形態の構成によれば、欠陥などによって差信号に乱れが生じた場合でも、高域通過フィルタで低周波成分を遮断することで、オフセットの変動が取り除かれ、波形整形回路で2値化する際のマージンに影響が及びにくくなるという効果が得られる。例えば、欠陥による影響で差信号にオフセットが現れた場合でも、高域通過フィルタの出力では遮断周波数によって決まる時定数でオフセットが減少し、短時間で適正なパルス化が行なえるオフセットに回復する。また、シーク動作によって差信号中に低周波の変動成分が現れた場合でも、高域通過フィルタには、波形整形回路に入力する信号にオフセット変動が現れるのを抑える効果もある。
【0096】
一方、単に高域通過フィルタを設けて低周波成分を遮断した場合、物理ヘッダ領域そのものによって現れる差信号中のオフセットも、ヘッダ領域の第1の部分や第2の部分の後半で減少してしまい、安定にヘッダ領域判定を行なうことが難しくなる。
このため、上記各実施形態の構成では、物理ヘッダ検出シーケンサによって検出されたヘッダ領域の少なくとも一部で、通過帯域制御信号を切り替え、高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げる機能を備える。ヘッダ領域の先頭で一定期間以上のパルス列を検出して以降、第1の部分に相当する期間だけ遮断周波数を引き下げることで、遮断周波数を引き下げた期間では、差信号HPF出力のオフセット量低下が遅くなる。差信号に矩形波状のオフセット変化が現れると、差信号HPF出力のオフセットも矩形波状の波形を保って変化する。
【0097】
同様に、物理ヘッダ領域の第2の部分の先頭でパルス列を検出してから、第2の部分に相当する期間、遮断周波数を引き下げることで、第2の部分でも差信号中の矩形波状のオフセット変化が差信号HPF出力中に反映されるようになる。これによって、差信号HPF出力がヘッダ領域の第1の部分および、第2部分のそれぞれで、あらかじめ設けた基準値を超える状態が保たれ、物理ヘッダ領域を安定して検出できるようになり、欠陥やシーク動作によって現れるオフセット変動の影響防止と、検出の安定性とが両立できる。
このような有利な効果によって、欠陥や記録マークの明暗によって差信号中に乱れが生じても、物理ヘッダ領域の判定誤りを起こしにくいヘッダ領域判定方法、ヘッダ領域判定回路、および、これを備えた光ディスク装置を提供することができる。
【0098】
なお、本発明が上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施例は適宜変更され得ることは明らかである。
【符号の説明】
【0099】
1 光ディスク
2 ピックアップ
3 和信号検出部
4 差信号検出部
5 再生信号処理部
6 高域通過フィルタ
7 波形整形部
8、82、83、84 物理ヘッダ検出シーケンサ
9 情報再生部
10 アドレス再生部
11 システム制御部
12、92 極性制御部
13 極性選択部
14 トラッキング制御部
20 ヘッダ領域判定回路
91 差信号処理部
701、702 コンパレータ
801、802 パルス列持続時間カウンタ
803 ヘッダ判定シーケンサ
804 ヘッダ長保護カウンタ
805 誤検出保護カウンタ
806、807 パルス終了カウンタ
811〜813 ヘッダ判定部
821、823 ランド/グルーブ判定部
833 物理ヘッダ同期保護部
843 アンドゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク上に形成された溝部と溝間部の双方を情報記録部として備え、前記情報記録部が、前記溝部からなる記録トラックと前記溝間部からなる記録トラックとが交互に接続した一つの記録スパイラルから構成され、かつ、物理ヘッダ領域と記録領域とを含む複数の記録セクタによって構成される光ディスクの、前記物理ヘッダ領域を判定するヘッダ領域判定回路であって、
2分割された受光部を含む受光素子によって前記光ディスクから受光した受光量の差に比例する差信号を検出する差信号検出部と、
通過帯域制御信号と、前記差信号とを受け、前記通過帯域制御信号に応じて、少なくとも、第1の遮断周波数と前記第1の遮断周波数より低い周波数を設定した第2の遮断周波数とを切り替え、前記差信号から低周波数成分を除去した差信号HPF出力を生成する高域通過フィルタと、
パルス閾値を保持し、前記パルス閾値を用いて前記差信号HPF出力をパルス化した整形信号を生成する波形整形部と、
前記整形信号が示すパルスの持続時間を計測して、前記物理ヘッダ領域を検出し、前記物理ヘッダ領域の検出結果に基づいて、前記物理ヘッダ領域が前記溝部と前記溝間部とのいずれかであるかを判定したグルーブ検出信号と、前記物理ヘッダ領域の少なくとも一部分に対応する差信号に対して、前記高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げるように制御する通過帯域制御信号とを生成する物理ヘッダ検出部と、を備えるヘッダ領域判定回路。
【請求項2】
前記物理ヘッダ領域は、第1の部分と第2の部分とを有し、
前記物理ヘッダ検出部は、少なくとも、前記第1の部分と前記第2の部分とのいずれかに対応する差信号の一部分に対して、前記高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げるように制御する通過帯域制御信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項3】
前記物理ヘッダ検出部は、前記第1の部分を検出したと判定した後、所定の期間、前記高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げるように制御する前記通過帯域制御信号を生成することを特徴とする請求項2に記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項4】
前記物理ヘッダ検出部は、少なくとも、前記第1の部分を検出してから前記第2の部分を検出するまでの期間、前記第2の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定し、前記第2の遮断周波数を設定する期間以外には前記第1の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する、前記通過帯域制御信号を生成し、前記第2の遮断周波数を設定する期間の上限をあらかじめ保持し、前記第2の遮断周波数を設定する期間が前記上限を超えると、前記第1の遮断周波数を設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成することを特徴とする請求項2または3に記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項5】
前記波形整形部は、前記差信号HPF出力に基づいて、前記パルス閾値を超えるパルスが第1の極性に現れる第1のパルスと、前記パルス閾値を超えるパルスが前記第1の極性とは異なる第2の極性に現れる第2のパルスとを示す整形信号を生成し、
前記物理ヘッダ検出部は、
前記物理ヘッダ領域の検出を判定するパルス幅であるパルス持続時間閾値を保持し、前記整形信号を受け、前記第1のパルスの持続時間が前記パルス持続時間閾値を超えると、前記第2の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成し、前記第1のパルスを検出後、前記第2のパルスの持続時間が前記パルス持続時間閾値を超えると、前記第1の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成するとともに、前記第1のパルスと前記第2のパルスとの極性を出力するヘッダ判定部と、
前記第1のパルスと前記第2のパルスとの極性に応じて、前記グルーブ検出信号を生成するランド/グルーブ判定部と、を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項6】
前記ヘッダ判定部は、前記物理ヘッダ領域を検出する期間を限定する領域検出閾値をさらに保持し、前記第1のパルスを検出後、前記領域検出閾値の期間を超えると、前記第1の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成することを特徴とする請求項5記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項7】
前記ヘッダ判定部は、前記領域検出閾値として、前記物理ヘッダ領域を検出する期間を限定するヘッダ領域検出閾値をさらに保持し、前記第1のパルスを検出した後、前記ヘッダ領域検出閾値の期間を超えると、前記第1の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成することを特徴とする請求項6に記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項8】
前記ヘッダ判定部は、前記領域検出閾値として、前記第2の部分を検出する期間を限定する部分領域検出閾値を保持し、前記第1のパルスを検出した後、前記部分領域検出閾値の期間を超えると、前記第1の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成することを特徴とする請求項6または7に記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項9】
前記物理ヘッダ検出部は、前記物理ヘッダ領域の先頭部分を検出した後、前記物理ヘッダ領域の末尾を検出するまでの期間、前記遮断周波数を引き下げるように制御する前記通過帯域制御信号を生成することを特徴とする請求項1または2に記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項10】
前記波形整形部は、前記差信号HPF出力が、前記パルス閾値を超えるパルスが第1の極性に現れる第1のパルスと、前記パルス閾値を超えるパルスが前記第1の極性側とは異なる第2の極性に現れる第2のパルスとを示す整形信号を生成し、
前記物理ヘッダ検出部は、
前記物理ヘッダ領域を検出するパルス持続時間閾値と、前記第1のパルスを検出しなくなってからの経過時間の閾値を示すパルス不検出経過閾値とを保持し、前記整形信号を受け、前記第1のパルスの持続時間が前記パルス持続時間閾値を超えると、前記第2の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成し、前記第1のパルスを検出後、前記第2のパルスの持続時間が前記パルス持続時間閾値の期間を経過し、かつ、前記第1のパルスが検出されない期間が、前記パルス不検出経過閾値を超えると、前記第1の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成するとともに、前記第1のパルスと前記第2のパルスとの極性を出力するヘッダ判定部と、
前記第1のパルスと前記第2のパルスとの極性に応じて、前記グルーブ検出信号を生成するランド/グルーブ判定部と、を備えることを特徴とする請求項1乃至4、9のいずれか一項に記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項11】
前記物理ヘッダ検出部は、さらに、
前記物理ヘッダ領域の検出が維持される同期状態を判定する同期フラグと、前記物理ヘッダ領域の検出に基づいて、前記物理ヘッダ領域を予測するヘッダ予測信号とを生成する物理ヘッダ同期保護部を備え、
前記ランド/グルーブ判定部は、前記第1のパルスと前記第2のパルスとの極性、前記同期フラグ、及び、前記ヘッダ予測信号を受け、前記同期フラグが同期状態を示す場合、前記ヘッダ予測信号に応じて前記グルーブ検出信号を生成し、前記同期フラグが非同期状態を示す場合、前記第1のパルスと前記第2のパルスとの極性に応じて前記グルーブ検出信号を生成することを特徴とする請求項5乃至10のいずれか一項に記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項12】
前記物理ヘッダ検出部は、前記同期フラグが同期状態を示す場合、前記第1の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成し、前記同期フラグが非同期状態を示す場合、前記物理ヘッダ領域の検出結果に応じて、前記物理ヘッダ領域の少なくとも一部分に対応する差信号に対して前記第2の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のヘッダ領域判定回路。
【請求項13】
光ディスク上に形成された溝部と溝間部の双方を情報記録部として備え、前記情報記録部が、前記溝部からなる記録トラックと前記溝間部からなる記録トラックとが交互に接続した一つの記録スパイラルから構成され、かつ、物理ヘッダ領域と記録領域とを含む複数の記録セクタによって構成される光ディスクの、前記物理ヘッダ領域を判定し、前記光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク装置であって、
2分割された受光部を含む受光素子を有する光ピックアップと、
前記受光部が前記光ディスクから受光した受光量の差に比例する差信号を検出する差信号検出部と、
通過帯域制御信号と、前記差信号とを受け、前記通過帯域制御信号に応じて、少なくとも、第1の遮断周波数と前記第1の遮断周波数より低い周波数を設定した第2の遮断周波数とを切り替え、前記差信号から低周波数成分を除去した差信号HPF出力を生成する高域通過フィルタと、
パルス閾値を保持し、前記パルス閾値を用いて前記差信号HPF出力をパルス化した整形信号を生成する波形整形部と、
前記整形信号が示すパルスの持続時間を計測して、前記物理ヘッダ領域を検出し、前記物理ヘッダ領域の検出結果に基づいて、前記物理ヘッダ領域が前記溝部と前記溝間部とのいずれかであるかを判定したグルーブ検出信号と、前記物理ヘッダ領域の少なくとも一部分に対応する差信号に対して、前記高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げるように制御する通過帯域制御信号を生成する物理ヘッダ検出部と、
前記グルーブ検出信号に応じて、トラッキング極性を制御する極性制御部と、を備える光ディスク装置。
【請求項14】
光ディスク上に形成された溝部と溝間部の双方を情報記録部として備え、前記情報記録部が、前記溝部からなる記録トラックと前記溝間部からなる記録トラックとが交互に接続した一つの記録スパイラルから構成され、かつ、物理ヘッダ領域と記録領域とを含む複数の記録セクタによって構成される光ディスクの、前記物理ヘッダ領域を判定するヘッダ領域判定方法であって、
2分割された受光部が前記光ディスクから受光した受光量の差に比例する差信号を検出し、
複数の遮断周波数を切り替えて、前記差信号から低周波数成分を除去した差信号HPF出力を生成し、
予め保持するパルス閾値を用いて前記差信号HPF出力をパルス化した整形信号を生成し、
前記整形信号が示すパルスの持続時間を計測して、前記物理ヘッダ領域を検出し、
前記物理ヘッダ領域の検出結果に基づいて、前記物理ヘッダ領域の少なくとも一部分に対応する差信号に対して、前記高域通過フィルタの遮断周波数を引き下げるように制御し、
前記物理ヘッダ領域を検出すると、前記物理ヘッダ領域が前記溝部と前記溝間部とのいずれかであるかを判定するヘッダ領域判定方法。
【請求項15】
前記物理ヘッダ領域は、第1の部分と第2の部分とを有し、
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、少なくとも、前記第1の部分と前記第2の部分とのいずれかに対応する差信号の一部分に対して、前記遮断周波数を引き下げるように制御することを特徴とする請求項14記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項16】
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、前記第1の部分を検出したと判定した後、所定の期間、前記遮断周波数を引き下げるように制御することを特徴とする請求項15記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項17】
前記高域通過フィルタは、少なくとも第1の遮断周波数と前記第1の遮断周波数より低い周波数を設定した第2の遮断周波数とを、通過帯域制御信号に応じて切り替え、
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、少なくとも、前記第1の部分を検出してから前記第2の部分を検出するまでの期間、前記第2の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定し、前記第2の遮断周波数を設定する期間以外には前記第1の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する、前記通過帯域制御信号を生成することを特徴とする請求項15または16記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項18】
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、前記第2の遮断周波数を設定する期間が、予め定めた前記第2の遮断周波数を設定する期間の上限を超えると、前記第1の遮断周波数を前記高域通過フィルタに設定するように制御する前記通過帯域制御信号を生成することを特徴とする請求項17記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項19】
前記物理ヘッダ領域の検出は、
前記整形信号から、前記パルス閾値を超えるパルスが第1の極性に現れる第1のパルスと、前記第1の極性とは異なる第2の極性に現れる第2のパルスとを検出し、
前記第1のパルス及び前記第2のパルスの持続時間が、予め保持するパルス持続時間閾値を超えることによって物理ヘッダ領域を検出したと判定し、
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、
前記第1のパルスの持続時間が前記パルス持続時間閾値を超えると、前記遮断周波数を引き下げるように制御し、
前記第1のパルスを検出後、前記第2のパルスの持続時間が前記パルス持続時間閾値を超えると、前記遮断周波数を戻すように制御することを特徴とする請求項14乃至18のいずれか一項に記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項20】
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、前記第1のパルスを検出した後の経過時間が、予め保持する、前記物理ヘッダ領域を検出する期間を限定する領域検出閾値を超えると、前記遮断周波数を戻すように制御することを特徴とする請求項19記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項21】
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、前記領域検出閾値として、前記物理ヘッダ領域を検出する期間を限定するヘッダ領域検出閾値を用いて前記遮断周波数を戻すように制御することを特徴とする請求項20に記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項22】
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、前記領域検出閾値として、前記第2のパルスを検出する期間を限定する部分領域検出閾値を用いて前記遮断周波数を戻すように制御することを特徴とする請求項20または21に記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項23】
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、前記物理ヘッダ領域の先頭部分を検出した後、前記物理ヘッダ領域の末尾を検出するまでの期間、前記遮断周波数を引き下げるように制御することを特徴とする請求項14または15に記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項24】
前記物理ヘッダ領域の検出は、
前記整形信号から、前記パルス閾値を超えるパルスが第1の極性に現れる第1のパルスと、前記第1の極性とは異なる第2の極性に現れる第2のパルスとを検出し、
前記第1のパルス及び前記第2のパルスの持続時間が、予め保持するパルス持続時間閾値を超えることによって物理ヘッダ領域を検出したと判定し、
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、
前記第1のパルスの持続時間が前記パルス持続時間閾値を超えると、前記遮断周波数を引き下げるように制御し、
前記第1のパルスを検出後、前記第2のパルスの持続時間が前記パルス持続時間閾値の期間を経過し、かつ、前記第1のパルスが検出されない期間が、予め保持する、前記第1のパルスを検出しなくなってからの経過時間の閾値を示すパルス不検出経過閾値を超えると、前記遮断周波数を戻すように制御することを特徴とする請求項14乃至18、23のいずれか一項に記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項25】
前記物理ヘッダ領域の検出は、さらに、
前記物理ヘッダ領域の検出が維持される同期状態を判定して同期フラグを生成し、
前記物理ヘッダ領域の過去の検出結果に基づいて、前記物理ヘッダ領域が前記溝部と前記溝間部とのいずれであるかを予測するヘッダ予測信号を生成し、
前記物理ヘッダ領域が前記溝部と前記溝間部とのいずれであるかの判定は、
前記同期フラグが同期状態を示す場合、前記ヘッダ予測信号に応じて前記溝部と前記溝間部との一方であることを判定し、前記同期フラグが非同期状態を示す場合、前記第1のパルス及び前記第2のパルスの極性に応じて前記溝部と前記溝間部との一方であることを判定することを特徴とする請求項19乃至24のいずれか一項に記載のヘッダ領域判定方法。
【請求項26】
前記高域通過フィルタの前記遮断周波数の制御は、
前記同期フラグが同期状態を示す場合、前記遮断周波数を引き下げることなく維持するように制御し、
前記同期フラグが非同期状態を示す場合、前記物理ヘッダ領域の検出結果に応じて、前記物理ヘッダ領域の少なくとも一部分に対応する差信号に対して前記遮断周波数を引き下げるように制御することを特徴とする請求項25に記載のヘッダ領域判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−93085(P2013−93085A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235956(P2011−235956)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】