説明

ヘッドアップディスプレイ、制御方法、及び表示装置

【課題】案内地点までの距離を視覚的かつ容易に運転者に認識させることが可能なヘッドアップディスプレイ、表示装置、及び制御方法を提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイは、自車位置取得手段と、表示手段と、第一表示制御手段と、第二表示制御手段とを備える。自車位置取得手段は、移動体の位置を取得する。表示手段は、移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる。第一表示制御手段は、移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、風景に重畳させて、表示手段に表示させる。第二表示制御手段は、第一案内画像が示すルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、第一案内画像に重畳させて、表示手段に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の運転に関する情報の表示画像を運転者の目の位置から虚像として視認させる技術が存在する。例えば、特許文献1には、フロントガラスを利用して、運転者の視線高さよりも上方に、鳥瞰図(俯瞰図)又は鳥瞰図を上下に反転させた地図画像を表示するヘッドアップディスプレイが開示されている。また、特許文献2には、現在位置を基点として表示スケールが同心円となされた探索画面を表示し、目的地などの探索対象物の現在位置を基点とした表示位置を算出し、その表示位置に、探索対象物を示す探索マークを表示する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、GPS受信機を備えた携帯端末機を電話回線により呼び出し、その携帯端末機に着信があった場合に、当該携帯端末機の存在位置を地図データと共に画面上に表示させる技術が開示されている。また、特許文献4には、車両前方の風景画像にナビゲーション情報を重畳表示させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−229707号公報
【特許文献2】特開2009−111856号公報
【特許文献3】特開平09−194878号公報
【特許文献4】特開2008−202987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
次に右左折を行う地点を運転者が把握するため、ナビゲーション装置は、従来から所定のタイミングで右左折を行う案内地点までの距離を伝える音声案内や案内表示などを行っていた。しかし、当該音声案内等を聞き逃した場合や、交差点が多くある複雑な道路を走行中などの場合には、運転者が右左折を行う地点を正確に把握できない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、案内地点までの距離を視覚的かつ容易に運転者に認識させることが可能なヘッドアップディスプレイ、表示装置、及び制御方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、ヘッドアップディスプレイは、移動体の位置を取得する自車位置取得手段と、前記移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と、前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示手段に表示させる第一表示制御手段と、前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御手段と、を有し、前記第二表示制御手段は、前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第2案内地点からの距離を示す第二案内画像を非表示にすることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、ヘッドアップディスプレイは、移動体の位置を取得する自車位置取得手段と、前記移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と、前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示手段に表示させる第一表示制御手段と、前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御手段と、を有し、前記第二表示制御手段は、前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第1案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色と、前記第二案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色とを異ならせることを特徴とする。
【0008】
請求項10に記載の発明は、移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と前記表示手段による表示を制御する制御手段とを備えるヘッドアップディスプレイの前記制御手段が実行する制御方法であって、移動体の位置を取得する自車位置取得工程と、前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示工程に表示させる第一表示制御工程と、前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御工程と、を有し、前記第二表示制御工程は、前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第2案内地点からの距離を示す第二案内画像を非表示にすることを特徴とする。
【0009】
請求項11に記載の発明は、移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と前記表示手段による表示を制御する制御手段とを備えるヘッドアップディスプレイの前記制御手段が実行する制御方法であって、移動体の位置を取得する自車位置取得工程と、前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示工程に表示させる第一表示制御工程と、前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御工程と、を有し、前記第二表示制御工程は、前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第1案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色と、前記第二案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色とを異ならせることを特徴とする。
【0010】
請求項12に記載の発明は、移動体の位置を取得する自車位置取得手段と、前記移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と、前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示手段に表示させる第一表示制御手段と、前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御手段と、を有し、前記第二表示制御手段は、前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第2案内地点からの距離を示す第二案内画像を非表示にすることを特徴とする。
【0011】
請求項13に記載の発明は、移動体の位置を取得する自車位置取得手段と、前記移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と、前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示手段に表示させる第一表示制御手段と、前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御手段と、を有し、前記第二表示制御手段は、前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第1案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色と、前記第二案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色とを異ならせることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例に係るシステムの構成例である。
【図2】ナビゲーション装置の概略構成である。
【図3】ヘッドアップディスプレイの概略構成である。
【図4】運転者が視認するフロントウィンドウの表示を示す。
【図5】ヘッドアップディスプレイによる平面地図表示の例を示す。
【図6】ヘッドアップディスプレイによる同心円の他の表示例である。
【図7】ヘッドアップディスプレイによる基本表示を簡略化した表示例である。
【図8】ヘッドアップディスプレイによる他の構成例を示す。
【図9】変形例に係るヘッドアップディスプレイの表示例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の1つの好適な実施形態では、ヘッドアップディスプレイは、移動体の位置を取得する自車位置取得手段と、前記移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と、前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示手段に表示させる第一表示制御手段と、前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御手段と、を有する。
【0014】
上記のヘッドアップディスプレイは、自車位置取得手段と、表示手段と、第一表示制御手段と、第二表示制御手段とを備える。自車位置取得手段は、移動体の位置を取得する。表示手段は、移動体の前方の風景に含まれるルートに相当する路面と対応させて虚像を表示させる。第一表示制御手段は、移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、風景に重畳させて、表示手段に表示させる。第二表示制御手段は、第一案内画像が示すルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、第一案内画像に重畳させて、表示手段に表示させる。ここで、「案内地点」とは、ルート上の地点であって、案内が必要であると判断される右左折地点などの所定の地点を示す。このようにすることで、ヘッドアップディスプレイは、案内地点までの距離を視覚的かつ容易に運転者に認識させることが可能となる。
【0015】
上記ヘッドアップディスプレイの一態様では、前記第二表示制御手段は、前記第二案内画像を、前記案内地点から所定距離離れた前記路面と対応させて前記表示手段に表示させる。これにより、ヘッドアップディスプレイは、案内地点までの距離を視覚的かつ容易に運転者に認識させることが可能となる。
【0016】
上記ヘッドアップディスプレイの他の一態様では、第二表示制御手段は、前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第2案内地点からの距離を示す第二案内画像を非表示にする。このようにすることで、ヘッドアップディスプレイは、第1案内地点と第2案内地点とが近接していることに起因して表示が煩雑化するのを抑制することができる。
【0017】
上記ヘッドアップディスプレイの他の一態様では、前記第二表示制御手段は、前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第1案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色と、前記第二案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色とを異ならせる。このようにすることで、ヘッドアップディスプレイは、第1案内地点と第2案内地点とが近接している場合であっても、各々の案内地点に対する第二案内画像を区別して観察者に認識させることができる。
【0018】
上記ヘッドアップディスプレイの他の一態様では、前記第二表示制御手段は、前記案内地点を中心として、所定の間隔をもって描かれる同心円を前記第二案内画像として前記表示手段に表示させる。これにより、ヘッドアップディスプレイは、案内地点までの距離を運転者に視覚的かつ容易に認識させることができる。
【0019】
上記ヘッドアップディスプレイの他の一態様では、前記第二表示制御手段は、前記移動体が前記案内地点に接近するに従って、前記第二案内画像が、前記風景中の前記案内地点に対応する位置に追従して表示されるよう、前記第二案内画像を前記表示手段に表示させる。このようにすることで、ヘッドアップディスプレイは、案内地点までの距離を常に正確に運転者に視認させることができる。
【0020】
上記ヘッドアップディスプレイの他の一態様では、前記第一表示制御手段による表示と、前記第二表示制御手段による表示とは、上空の位置と重畳されて前記表示手段により表示されている。これにより、ヘッドアップディスプレイは、運転を阻害することなく好適に案内地点までの距離を視認させることができる。
【0021】
上記ヘッドアップディスプレイの他の一態様では、前記案内地点は、前記移動体が前記目的地又は前記立寄地まで到着するために右左折すべき地点である。
【0022】
本発明の他の好適な実施形態では、移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と前記表示手段による表示を制御する制御手段とを備えるヘッドアップディスプレイの前記制御手段が実行する制御方法であって、移動体の位置を取得する自車位置取得工程と、前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示工程に表示させる第一表示制御工程と、前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御工程と、を有する。ヘッドアップディスプレイは、この制御方法を実行することで、案内地点までの距離を視覚的かつ容易に運転者に認識させることが可能となる。
【0023】
本発明のさらに別の好適な実施形態では、移動体の位置を取得する自車位置取得手段と、前記移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と、前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示手段に表示させる第一表示制御手段と、前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御手段と、を有する。この実施形態によれば、表示装置は、案内地点までの距離を視覚的かつ容易に運転者に認識させることが可能となる。
【実施例】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0025】
[システム構成]
図1は、本実施例に係るシステムの構成例を示す。図1に示すように、当該システムは、ナビゲーション装置1と、ヘッドアップディスプレイ2とを備える。また、当該システムは、車両に搭載される。
【0026】
ナビゲーション装置1は、出発地から目的地までの経路案内を行う機能などを有する。ナビゲーション装置1は、例えば、車両に設置される据え置き型のナビゲーション装置、PND(Portable Navigation Device)、又はスマートフォンなどの携帯電話とすることができる。
【0027】
ヘッドアップディスプレイ2は、現在位置を含む地図情報や経路案内情報、走行速度、その他運転を補助する情報を表示する画像を生成し、当該画像を運転者の目の位置(アイポイント)から虚像として視認させる装置である。ヘッドアップディスプレイ2には、車両の位置及び向きの情報、地図情報、及び施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種情報がナビゲーション装置1から供給される。
【0028】
なお、ナビゲーション装置1がスマートフォンなどの携帯電話である場合、ナビゲーション装置1は、クレードルなどによって保持されても良い。この場合、ナビゲーション装置1は、クレードルなどを介して、ヘッドアップディスプレイ2と情報の授受を行うこととしても良い。
【0029】
[ナビゲーション装置の構成]
図2は、ナビゲーション装置1の構成を示す。図2に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、インタフェース39、表示ユニット40、音声出力ユニット50、及び入力装置60を備える。
【0030】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0031】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置(以後、「現在位置」とも呼ぶ。)を検出するために用いられる。
【0032】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0033】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0034】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0035】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、VICS(Vehicle Information Communication System、登録商標)センタなどから配信される情報(以下、「VICS情報」と呼ぶ。)を電波39より取得する。そしてインタフェース37は、通信装置38のインタフェース動作を行い、VICS情報をシステムコントローラ20等に入力する。また、通信装置38は、GPS受信機18から取得した現在位置の情報などをヘッドアップディスプレイ2に送信する。
【0036】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データなどを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0037】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0038】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式の場合、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0039】
[ヘッドアップディスプレイの構成]
図3は、ヘッドアップディスプレイ2の概略構成図である。図3に示すように、本実施例に係るヘッドアップディスプレイ2は、光源ユニット3を備え、フロントウィンドウ25、天井部27、ボンネット28、及びダッシュボード29などを備える車両に取り付けられる。
【0040】
光源ユニット3は、支持部材5a、5bを介して車室内の天井部27に設置され、運転を補助する情報(「運転補助情報」とも呼ぶ。)を示す画像を構成する光を、コンバイナ9に向けて出射する。具体的には、光源ユニット3は、制御部4の制御に基づき、光源ユニット3内に表示像の元画像(実像)を生成し、その画像を構成する光をコンバイナ9へ出射することで、コンバイナ9を介して運転者に虚像「Iv」を視認させる。光源ユニット3は、本発明における「表示手段」の一例である。
【0041】
コンバイナ9は、光源ユニット3から出射される表示像が投影されると共に、表示像を運転者のアイポイントPeへ反射することで当該表示像を虚像Ivとして表示させる。そして、コンバイナ9は、天井部27に設置された支持軸部8を有し、支持軸部8を支軸として回動する。支持軸部8は、例えば、フロントウィンドウ25の上端近傍の天井部27、言い換えると運転者用の図示しないサンバイザが設置される位置の近傍に設置される。なお、支持軸部8は、上述のサンバイザに代えて設置されてもよい。
【0042】
制御部4は、図示しないCPUやRAM、ROMなどを有し、ヘッドアップディスプレイ2の全般的な制御を行う。また、制御部4は、ナビゲーション装置1と通信が可能であり、ナビゲーション処理に用いられる各種情報をナビゲーション装置1から受信する。そして、制御部4は、本発明における「第一表示制御手段」及び「第二表示制御手段」の一例である。
【0043】
[基本表示]
次に、ヘッドアップディスプレイ2による典型的な表示例について図4を参照して説明する。図4は、運転者が視認するフロントウィンドウ25の表示例を示す。図4では、コンバイナ9の位置を破線により示している。また、前提として、図4では、目的地又は目的地の途中で立ち寄る地点として指定された立寄地(ここでは目的地とする)までの案内ルートが既に設定されており、ヘッドアップディスプレイ2は、信号機46が設置されている交差点47で左折する旨のルート案内の表示を行うものとする。
【0044】
図4に示すように、制御部4は、フロントウィンドウ25を介して視認される風景に重畳させて、コンバイナ9を介して虚像Ivを運転者に視認させる。具体的には、図4では、制御部4は、コンバイナ9と重なる範囲に、案内表示アイコン70A〜70C、矢印71A〜71C、案内地点情報表示72、案内ルート73、仮想信号74、方角情報表示リング75、及び同心円76を虚像Ivとしてそれぞれ表示させている。
【0045】
案内表示アイコン70A〜70Cは、フロントウィンドウ25を介して視認される所定の施設及び地点を対象に、当該施設及び地点に関する情報を表示する。具体的には、制御部4は、ナビゲーション装置1から送信される現在位置、車両の向き、及び地図情報に基づき、建物45Aがフロントガラス25を介して視認されると判断し、案内表示アイコン70Aにより建物45Aの施設名称「施設A」を表示すると共に、矢印71Aにより案内表示アイコン70Aが建物45Aの施設情報であることを示す。同様に、制御部4は、駐車場45Bがフロントガラス25を介して視認されると判断し、駐車場45Bに対して、駐車場であることを示すマーク「P」を表示した案内表示アイコン70Bを矢印71Bと共に表示する。また、さらに、制御部4は、次に左折すべき道路45Cに自動速度違反取締装置(オービス)が設置されていると判断し、次に左折する道路に対し、カメラのマークを表示した案内表示アイコン70Cを矢印71Cと共に表示する。
【0046】
案内地点情報表示72は、次に右左折を行う案内地点(ここでは交差点47)に関する情報を表示する。具体的には、制御部4は、ナビゲーション装置1から送信される現在位置の情報及び地図情報に基づき、現在位置から交差点47までの距離を算出すると共に、交差点47の名称を特定し、「200m ○○交差点」と表示する。また、案内地点情報表示72は、交差点47で曲がるべき方向(ここでは左方向)を示す矢印マーク720を表示する。
【0047】
案内ルート73は、車両が進むべきルート(「案内ルート」とも呼ぶ。)であって、上下反転させた俯瞰図により表示されている。言い換えると、案内ルート73は、地表に対して斜め下方向から投影された状態で表示される。従って、案内ルート73では、進行方向がフロントガラス25の下方向と一致する。また、案内ルート73は、実際に運転者がフロントウィンドウ25を介して視認可能な範囲にある案内ルートを仮想的に表示する。そして、案内ルート73の左折地点には、信号機46を仮想的に表示した仮想信号74が示されている。このように、制御部4は、案内ルート73が示す案内ルート中に信号機が存在する場合には、当該案内ルート73に重畳させて仮想信号74を表示する。案内ルート73は、本発明における「第一案内画像」の一例である。
【0048】
方角情報表示リング75は、中心を現在位置として、案内ルート73と同一の視点から観察した場合の方角を表示する。ここで、方角情報表示リング75の左端位置751Lは、車両の左側面方向に相当し、方角情報表示リング75の右端位置751Rは、車両の右側面方向に相当し、方角情報表示リング75の下端位置751Fは、車両の進行方向に相当し、方角情報表示リング75の上端位置751Bは、車両の後進方向に相当する。このように、制御部4は、方角情報表示リング75上の車両の進行方向に対応する位置を、下端位置751Fに固定する。言い換えると、制御部4は、方角情報表示リング75上の車両の進行方向に対応する位置を、虚像Ivの表示領域中で固定する。また、方角情報表示リング75中の「N」の位置は、現在位置を基点とした北の方角を示す。そして、方角情報表示リング75は、車両の向きに応じて回転することで、現在位置に対して常に正確な方角を表示する。
【0049】
また、方角情報表示リング75上には、目的地が存在する方角に応じて方角情報表示リング75上を移動する目的地アイコン752が表示されている。目的地アイコン752は、車両の位置及び向きの変化に応じて方角情報表示リング75上を移動する。図4では、目的地アイコン752は、現在位置からおよそ西の方角に目的地が存在することを示す。さらに、方角情報表示リング75は、現在位置に対する目的地の方角を表示するのに付随して、車両と目的地との相対的な方向を指し示す。具体的には、図4では、目的地アイコン752は、車両の進行方向に対して斜め左方向に目的地が存在することを示す。
【0050】
同心円76は、案内ルート73の表示上における案内ルート73の案内地点(案内ポイント)からの距離間隔を示す。言い換えると、同心円76は、案内ルート73の案内地点、即ち交差点47(詳しくは交差点47の中心位置)から等距離にある位置を結んだ同心円である。同心円76は、案内地点から等間隔に描かれた第1同心円761、第2同心円762、及び第3同心円763を有する。例えば、同心円76が「50m」ごとに描かれる場合、第1同心円761は交差点47から「50m」の位置を示し、第2同心円762は交差点47から「100m」の位置を示し、第3同心円763は交差点47から「150m」の位置を示す。このように、同心円76は、案内地点から所定距離(上述の例では50m)ごとに描かれる。運転者は、案内ルート73上に描かれた同心円76を観察することで、案内地点までの距離を常に容易に視認することができる。同心円76は、本発明における「第二案内画像」の一例である。
【0051】
ここで、制御部4は、車両が次に通過すると予想される案内地点(「第1案内地点Pi1」とも呼ぶ。)である交差点47と、第1案内地点Pi1の次に車両が通過すると予想される案内地点(「第2案内地点Pi2」とも呼ぶ。)との距離が所定距離以内の場合、第2案内地点Pi2に対する同心円76を描画しない。上述の所定距離は、例えば、第1案内地点Pi1に対する同心円76と、第2案内地点Pi2に対する同心円76との両方を描いた場合に、これらの同心円76が重なる距離に設定される。これにより、制御部4は、虚像Ivによる表示が煩雑化するのを防ぐ。これについては、後述の[平面地図表示]のセクションでも詳しく説明する。
【0052】
[平面地図表示]
制御部4は、虚像Ivによる情報表示として、図4に示す表示の他に、ユーザの操作に基づき、平面に表示された地図を含む表示(「平面地図表示」とも呼ぶ。)を行う。これについて、図5を参照して説明する。なお、制御部4は、例えばヘッドアップディスプレイ2を操作するためのリモートコントローラ(不図示)などの所定の入力手段への入力を検知した場合に、これらの表示の切り替えを行う。
【0053】
図5は、ヘッドアップディスプレイ2が平面地図表示を行った場合に運転者が視認するフロントウィンドウ25の表示例を示す。図5では、制御部4は、虚像Ivとして、案内地点情報表示72と、平面地図81と、現在位置表示82と、案内ルート83と、同心円76とを表示する。
【0054】
平面地図81は、現在位置を含むエリアを所定の縮尺により平面的に表示した地図である。なお、平面地図81の縮尺は、図示しない入力手段によるヘッドアップディスプレイ2への所定の入力により変更される。現在位置表示82は、平面地図81での車両の現在位置を示す。案内ルート83は、平面地図81中で車両が走行すべき案内ルートを示す。
【0055】
同心円76は、案内ルート83の平面地図81上における交差点47に相当する第1案内地点Pi1からの距離間隔を示す。同心円76は、図4と同様に、案内地点から等間隔に描かれた第1同心円761、第2同心円762、及び第3同心円763を有する。これにより、制御部4は、第1同心円761、第2同心円762、及び第3同心円763と、現在位置表示82との位置関係に基づき、現在位置から次の案内地点である交差点47までの距離を、明確に運転者に把握させることができる。
【0056】
ここで、制御部4は、第1案内地点Pi1と、交差点48に相当する第2案内地点Pi2との距離が所定距離以内であることから、第2案内地点Pi2に対する同心円76を描画しない。即ち、制御部4は、ここでは第1案内地点Pi1と第2案内地点Pi2とが近接しており、短時間に連続して案内することになると判断し、交差点48に対する同心円76を描画しない。これにより、制御部4は、第1案内地点Pi1に対する同心円76と、第2案内地点Pi2に対する同心円76との両方が重なって表示されることなどに起因して、虚像Ivによる表示が煩雑化するのを抑制することができる。
【0057】
そして、制御部4は、車両が第1案内地点Pi1である交差点47を通過した後では、交差点47に対する同心円76を非表示にすると共に、直前まで第2案内地点Pi2であり現在は第1案内地点Pi1である交差点48に対する同心円76を描画する。
【0058】
[他の表示例]
次に、ヘッドアップディスプレイ2による他の表示例について説明する。制御部4は、例えば、ユーザによる特定の入力を検知した場合に、図4に示す基本表示又は図5に示す平面地図表示から以下に説明する表示に切り替えてもよい。
【0059】
(1)同心円の色分け表示
制御部4は、第1案内地点Pi1と、第2案内地点Pi2との距離が所定距離以内である場合、第1案内地点Pi1に対する同心円76と、第2案内地点Pi2に対する同心円76との表示色を変えることで、これらに対する同心円76を同時に表示してもよい。これについて、図6を参照して説明する。
【0060】
図6は、平面地図表示において、同心円76を色分け表示した例を示す。ここで、実線により示される同心円77Aと破線により示される同心円76Bとは、それぞれ異なる色(例えば前者が黒色、後者が赤色)にて表示されているものとする。
【0061】
図6では、制御部4は、第1案内地点Pi1である交差点47と、第2案内地点Pi2である交差点48との距離が所定距離以内であることから、第1案内地点Pi1である交差点47を中心とした同心円76Aと、第2案内地点Pi2である交差点48を中心とした同心円76Bとをそれぞれ異なる色により表示している。これにより、制御部4は、交差点47に対する同心円76Aと交差点48に対する同心円76Bとを同時に描画した場合であっても、煩雑化することなく運転者にこれらを明確に区別して視認させることができる。
【0062】
なお、図4に示す基本表示であっても、同様に、制御部4は、第1案内地点Pi1と、第2案内地点Pi2との距離が所定距離以内である場合、第1案内地点Pi1に対する同心円76と、第2案内地点Pi2に対する同心円76との表示色を変えることで、これらの同心円76を同時に表示させてもよい。これにより、制御部4は、各案内地点に対する同心円76を、運転者に明確に区別して視認させることができる。
【0063】
(2)簡易表示
制御部4は、図4に示す基本表示から、いくつかの表示を省略して簡易化した表示を行ってもよい。これについて、図7を参照して具体的に説明する。
【0064】
図7は、図4に示す基本表示を簡略化した表示例を示す。図7では、制御部4は、案内ルート73、仮想信号74、及び同心円76を虚像Ivとして表示させ、図4に示す案内表示アイコン70A〜70C、矢印71A〜71C、案内地点情報表示72、及び方角情報表示リング75を非表示にしている。この表示態様によっても、制御部4は、案内ルート73により次に右左折すべき方向を運転者に把握させると共に、同心円76により次の案内地点までの距離を運転者に視覚的かつ容易に把握させることができる。
【0065】
なお、制御部4は、図4〜図7のいずれの場合も、同心円76の全体が上空と重なる位置に表示させている。このようにすることで、ヘッドアップディスプレイ2は、運転を阻害することなく好適に案内地点を基点とした距離を運転者に視認させることができる。この場合、例えば、制御部4は、建物や道路等と重ならないと推定される表示範囲を予め実験等に基づき設定しておき、当該表示範囲内に同心円76を虚像Ivとして表示する。
【0066】
[変形例]
以下、上述の実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0067】
(変形例1)
図3では、ヘッドアップディスプレイ2は、コンバイナ9を介して虚像Ivを運転者に視認させていたが、本発明が適用可能なヘッドアップディスプレイ2の構成は、これに限定されない。
【0068】
図8は、変形例に係るヘッドアップディスプレイ2Aの概略構成を示す。図8に示すように、ヘッドアップディスプレイ2Aでは、光源ユニット3は、表示像を構成する光をフロントガラス25に向けて出射する。そして、フロントウィンドウ25は、光源ユニット3から出射される表示像が投影されると共に、表示像をアイポイントPeへ反射することで当該表示像を虚像Ivとして表示させる。
【0069】
また、光源ユニット3の位置は、天井部27に設置される場合に限らず、ダッシュボード29の内部に設置されてもよい。この場合、ダッシュボード29には、図3のコンバイナ9又は図8のフロントウィンドウ25に光を通過させるための開口部が設けられる。
【0070】
(変形例2)
図1等の説明では、ヘッドアップディスプレイ2は、ナビゲーション装置1から地図情報などを受信した後、運転補助情報を示す画像を生成していた。しかし、本発明が適用可能な構成はこれに限定されず、これに代えて、ナビゲーション装置1は、運転補助情報を示す画像を生成して当該画像をヘッドアップディスプレイ2に送信し、ヘッドアップディスプレイ2は、受信した画像を構成する光を出射してもよい。即ち、この場合、ナビゲーション装置1のシステムコントローラ20は、ヘッドアップディスプレイ2の制御部4が行う処理の一部又は全部を行う。これによっても、好適に、ヘッドアップディスプレイ2は、運転補助情報を虚像Ivとして運転者に視認させることができる。なお、この場合、ナビゲーション装置1及びヘッドアップディスプレイ2は、本発明における「ヘッドアップディスプレイ」又は「表示装置」の一例である。
【0071】
他の例では、ヘッドアップディスプレイ2は、ナビゲーション装置1と通信を行うことなく、運転補助情報を表示してもよい。この場合、ヘッドアップディスプレイ2の光源ユニット3は、GPS受信機及び距離センサなどの自立測位装置を備え、車両の位置及び方向などを測定する。また、光源ユニット3は、施設情報を含む地図情報などを予めメモリに記憶する。そして、光源ユニット3は、測定した車両の位置等に基づき、地図情報等を参照して、運転補助情報を示す画像を構成する光を出射する。
【0072】
(変形例3)
ヘッドアップディスプレイ2に代えて、ナビゲーション装置1が上述した実施例の表示を行ってもよい。この場合、ナビゲーション装置1は、車両の前方方向を撮影するカメラなどの撮影手段から車両の前方方向の風景を示す画像を取得し、当該画像に重畳させて、案内表示アイコン70A〜70Cや方角情報リング75などの虚像Ivの内容を表示する。この場合、ナビゲーション装置1は、本発明における「表示装置」の一例である。
【0073】
(変形例4)
図4〜図7に示す表示例では、制御部4は、第1同心円761と、第2同心円762と、第3同心円763との3つの円を描いたが、これに代えて、同心円76として、2つ以下の円又は4つ以上の円を描いてもよい。これらの場合であっても、同心円76は、所定の案内地点を中心として、当該案内地点から等距離を示す地点を結んだ位置に、等間隔で形成される。従って、この場合であっても、制御部4は、同心円76を虚像Ivとして運転者に視認させることで、案内地点からの距離を視覚的かつ容易に運転者に把握させることができる。
【0074】
(変形例5)
図4の表示例では、目的地を表す目的地アイコン752が方角情報表示リング75上に表示されていた。これに代えて、又はこれに加えて、ヘッドアップディスプレイ2は、設定された立寄地、著名なランドマーク、又は/及び、GPS受信機が搭載された携帯端末機を有する友人の位置などの種々の対象の位置を示すアイコンを方角情報表示リング75上に表示させてもよい。
【0075】
例えば、ナビゲーション装置1が通話機能を有し、GPSが搭載された友人の携帯端末機からナビゲーション装置1に着信があった場合、ナビゲーション装置1は、上述の携帯端末機からそのGPS受信機により取得された位置情報を通信により受信し、当該位置情報並びに自車の位置及び方向の情報を制御部4へ転送する。そして、光源ユニット3は、着信があった携帯端末機の友人を示すアイコンを、受信した情報に基づき方角情報表示リング75上の所定位置に表示させる。
【0076】
(変形例6)
図4に示す虚像Ivによる表示に加えて、ヘッドアップディスプレイ2は、案内ルート73の案内地点に対応する位置に進行方向を示す矢印をさらに付加したり、同心円76の各々に対応させて、各同心円76が示す案内地点からの距離の表示を付加したりしてもよい。
【0077】
図9(a)〜(c)は、変形例において、コンバイナ9を介して視認される時系列での虚像Ivによる情報表示の遷移を示す。具体的に、図9(a)は、車両が案内地点から100m〜75m付近にある場合の虚像Ivによる情報表示を示し、図9(b)は、車両が案内地点から75m〜50m付近にある場合の虚像Ivによる情報表示を示し、図9(c)は、車両が案内地点から50m〜25m付近にある場合の虚像Ivによる情報表示を示す。
【0078】
図9(a)〜(c)に示すように、本変形例では、制御部4は、案内ルート73の案内地点に対応する位置に進行方向(ここでは左方向)を示す矢印77と、同心円76が示す案内地点からの距離を表示した距離表示78とを虚像Ivとしてそれぞれ表示させている。なお、ここでは、第1同心円761は、案内地点から25mの位置を示し、第2同心円762は、案内地点から50mの位置を示し、第3同心円763は、案内地点から75mの位置を示すものとする。
【0079】
そして、本変形例では、制御部4は、案内地点と車両の距離とに応じて矢印77の大きさを変える。具体的には、図9(a)〜(c)に示すように、制御部4は、車両が案内地点に近づくほど、矢印77を大きく表示する。これにより、制御部4は、運転者に対し、次に右左折すべき案内地点及び当該案内地点での進行方向を明確に視認させる。
【0080】
また、制御部4は、現在位置に最も近い位置を示す同心円76に対して、距離表示78を順次表示する。具体的には、図9(a)のように案内地点から75m〜100mの地点を車両が走行中の場合には、第3同心円763が表示されている同心円76のうち最外周の同心円76にあたることから、制御部4は、第3同心円763に対して当該第3同心円763が案内地点から75m地点である旨の距離表示78を付す。また、図9(b)のように案内地点から50m〜100mの地点を車両が走行中の場合には、現在位置よりも案内地点から遠い地点を示す第3同心円763は表示されず、表示されている同心円76のうち第2同心円762が最外周の同心円76となる。従って、この場合、制御部4は、第2同心円762に対して当該第2同心円762が案内地点から50m地点である旨の距離表示78を付す。同様に、図9(c)のように案内地点から25m〜50mの地点を車両が走行中の場合には、現在位置よりも案内地点から遠い地点を示す第3同心円763及び第2同心円762は表示されず、表示されている同心円76のうち第1同心円761が最外周の同心円76となる。従って、この場合、制御部4は、第1同心円761に対して当該第1同心円761が案内地点から25m地点である旨の距離表示78を付している。これにより、制御部4は、運転者に対し、次に右左折すべき案内地点までの距離を容易に視認させる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、経路案内や車両の情報を運転者に視認させるヘッドアップディスプレイに好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 ナビゲーション装置
2 ヘッドアップディスプレイ
3 光源ユニット
9 コンバイナ
25 フロントウィンドウ
28 ボンネット
29 ダッシュボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の位置を取得する自車位置取得手段と、
前記移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と、
前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示手段に表示させる第一表示制御手段と、
前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御手段と、
を有し、
前記第二表示制御手段は、
前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第2案内地点からの距離を示す第二案内画像を非表示にすることを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
移動体の位置を取得する自車位置取得手段と、
前記移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と、
前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示手段に表示させる第一表示制御手段と、
前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御手段と、
を有し、
前記第二表示制御手段は、
前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、
前記第1案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色と、前記第二案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色とを異ならせる
ことを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記第二表示制御手段は、前記案内地点を中心として、所定の間隔をもって描かれる同心円を前記第二案内画像として前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
第二表示制御手段は、前記同心円を、前記第一案内画像と同じ高さに重ねて、前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
第二表示制御手段は、前記同心円を、前記第一案内画像と重なる位置であって、かつ、前記風景のうち上空と重なる位置に、前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3または4に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
第二表示制御手段は、前記同心円の中心が前記第一案内画像と重なる位置に、前記同心円を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
前記第二表示制御手段は、前記移動体が前記案内地点に接近するに従って、前記第二案内画像が、前記風景中の前記案内地点に対応する位置に追従して表示されるよう、前記第二案内画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
前記第一表示制御手段による表示と、前記第二表示制御手段による表示とは、上空の位置と重畳されて前記表示手段により表示されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項9】
前記案内地点は、前記移動体が前記目的地又は前記立寄地まで到着するために右左折すべき地点であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項10】
移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と前記表示手段による表示を制御する制御手段とを備えるヘッドアップディスプレイの前記制御手段が実行する制御方法であって、
移動体の位置を取得する自車位置取得工程と、
前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示工程に表示させる第一表示制御工程と、
前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御工程と、
を有し、
前記第二表示制御工程は、
前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第2案内地点からの距離を示す第二案内画像を非表示にすることを特徴とする制御方法。
【請求項11】
移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と前記表示手段による表示を制御する制御手段とを備えるヘッドアップディスプレイの前記制御手段が実行する制御方法であって、
移動体の位置を取得する自車位置取得工程と、
前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示工程に表示させる第一表示制御工程と、
前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御工程と、
を有し、
前記第二表示制御工程は、
前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、
前記第1案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色と、前記第二案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色とを異ならせることを特徴とする制御方法。
【請求項12】
移動体の位置を取得する自車位置取得手段と、
前記移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と、
前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示手段に表示させる第一表示制御手段と、
前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御手段と、
を有し、
前記第二表示制御手段は、
前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、前記第2案内地点からの距離を示す第二案内画像を非表示にすることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
移動体の位置を取得する自車位置取得手段と、
前記移動体の前方の風景に重畳させて虚像を表示させる表示手段と、
前記移動体の現在位置から目的地又は立寄地へのルートを示す第一案内画像を、前記風景に含まれる前記ルートに相当する路面と対応させて、前記表示手段に表示させる第一表示制御手段と、
前記ルート上に存在する案内地点からの距離を示す第二案内画像を、前記第一案内画像に重畳させて、前記表示手段に表示させる第二表示制御手段と、
を有し、
前記第二表示制御手段は、
前記移動体が次に通過予定の案内地点である第1案内地点と、当該第1案内地点の次に前記移動体が通過予定の案内地点である第2案内地点との距離が所定距離以下の場合には、
前記第1案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色と、前記第二案内地点からの距離を示す第二案内画像の表示色とを異ならせることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−79930(P2013−79930A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−24103(P2012−24103)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【分割の表示】特願2012−506266(P2012−506266)の分割
【原出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【特許番号】特許第4975889号(P4975889)
【特許公報発行日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】