ヘッドアップディスプレイ装置
【課題】表示画像の虚像の表示品質を高めたうえで、虚像に外光が映り込むことを低減できるヘッドアップディスプレイ装置の提供。
【解決手段】ウィンドシールド90に形成される投影面91に表示画像71を投影することにより、予め想定されたアイボックス60から表示画像71の虚像を視認可能とするヘッドアップディスプレイ装置100である。レーザスキャナ10から投射されるレーザ光によって、スクリーン30の結像面31には、投影面91に投影される表示画像71が結像される。結像面31には、凸面部32及び凹面部33が、x軸方向及びy軸方向のそれぞれに長さPx,Pyにて互に連続して形成されている。結像面31における仮想の基準平面RPに垂直なz軸方向が反射面41から外れた領域に向けられることにより、結像面31の各所における法線方向も、反射面41から外れた領域に向き得る。
【解決手段】ウィンドシールド90に形成される投影面91に表示画像71を投影することにより、予め想定されたアイボックス60から表示画像71の虚像を視認可能とするヘッドアップディスプレイ装置100である。レーザスキャナ10から投射されるレーザ光によって、スクリーン30の結像面31には、投影面91に投影される表示画像71が結像される。結像面31には、凸面部32及び凹面部33が、x軸方向及びy軸方向のそれぞれに長さPx,Pyにて互に連続して形成されている。結像面31における仮想の基準平面RPに垂直なz軸方向が反射面41から外れた領域に向けられることにより、結像面31の各所における法線方向も、反射面41から外れた領域に向き得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウィンドシールド等の表示部材に表示画像を投影することにより、予め想定された視認領域から表示画像の虚像を視認可能とするヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スクリーンの結像面に結像された表示画像を、光学系の反射面によって反射させることにより、ウィンドシールドに投影する、例えば特許文献1に開示のようなヘッドアップディスプレイ装置が知られている。このようなヘッドアップディスプレイ装置のスクリーンとして、近年では、特許文献2に開示されるような構成が採用されつつある。
【0003】
具体的に、特許文献2に開示の投射用スクリーンでは、凸状となる凸レンズが、x軸方向及びy軸方向のそれぞれに、予め規定された長さで形成されている。このように配列された凸レンズは、結像面に入射した光を反射又は屈折させることにより、所定の拡散角にて拡散する光を出射することができる。故に、特許文献2に開示の投射用スクリーンを特許文献1に開示のヘッドアップディスプレイ装置に適用した形態では、結像面に結像される表示画像の光は、予め想定された視認領域の全体に亘って到達するように、その拡散を正確に制御される。よって、表示画像の虚像は、斑無く且つ鮮明に視認され得る。このような高い表示品質を備えるヘッドアップディスプレイ装置のスクリーンとして、特許文献2に開示のような構成は、好適なのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−139927号公報
【特許文献2】特開2009−205102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に開示の投射用スクリーンでは、各凸レンズの間に、凹状となる溝部分が生じる。故に、凸レンズの表面の湾曲の曲率は小さくなるものの、溝部分の表面に生じる湾曲の曲率は、非常に大きくなってします。すると、溝部分の表面は、スクリーンの基準面に対して大きく傾斜することとなる。以上により、溝部分の表面における法線方向は、基準面に垂直なz軸方向に対し、大きく傾くこととなる。そのため、投射用スクリーン部材の姿勢によってz軸方向を反射面から外れた領域に向けたとしても、溝部分の表面における法線方向は、反射面内を向いてしまうこととなる。
【0006】
以上の構成では、ウィンドシールドを通過して反射面に入射した外光が当該反射面によってスクリーンに向けて反射されると、この外光の一部は、溝部分にて乱反射されることで、スクリーンによって再び反射面に向けて反射されてしまう。すると、スクリーンから反射面に反射された外光は、表示画像の光と共にウィンドシールドに投影される。このようにして、視認領域から視認される表示画像の虚像に、外光が映り込んでしまうのである。
【0007】
本願発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、表示画像の虚像の表示品質を高めたうえで、虚像に外光が映り込むことを低減できるヘッドアップディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、表示部材に形成される投影面に表示画像を投影することにより、予め想定された視認領域から表示画像の虚像を視認可能とするヘッドアップディスプレイ装置であって、投影面に投影される表示画像が結像される結像面、を有するスクリーン部材と、結像面に結像される表示画像を反射させることにより、投影面に当該表示画像を投影する反射面、を有する光学系と、を備え、結像面は、仮想の基準面に沿うx軸方向及びy軸方向のそれぞれにおいて、基準面に対し凸状となる凸面部及び基準面に対し凹状となる凹面部とを、予め規定された長さにて交互に連続して形成し、スクリーン部材は、基準面に垂直なz軸方向が反射面から外れた領域を向く姿勢にて配置されることを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、結像面における仮想の基準面に対し凸状となる凸面部及び凹状となる凹面部が、予め規定された長さにて交互に連続して形成されている。故に、凹面部及び凸面部のそれぞれに生じる湾曲の曲率を共に大きくできるので、基準面に対する凹面部及び凸面部の傾斜は、結像面の全域に亘って低減され得る。以上により、凸面部及び凹面部の連続する結像面の各所における法線方向は、基準面に垂直なz軸方向に対し、傾き難くなる。故に、スクリーン部材の姿勢によってz軸方向を反射面から外れた領域に向けることにより、結像面の各所における法線方向も、反射面から外れた領域を向き得る。
【0010】
以上の構成では、表示部材に形成される投影面から光学系の有する反射面に入射した外光は、当該反射面によって結像面に向けて反射されても、結像面によって反射面を外れた領域に向けて反射され得る。故に、結像面から反射面に反射された外光が表示画像の光と共に表示部材の投影面に投影される事態は、回避可能となる。したがって、凸面部及び凹面部による表示画像の光の拡散作用によって虚像の表示品質を高めたうえで、視認領域から視認される表示画像の虚像に外光が映り込む事態は、低減される。
【0011】
請求項2に記載の発明では、結像面の各所における法線方向が、反射面から外れた領域に向けられることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、結像面の各所における法線方向が反射面から外れた領域に向けられることにより、結像面に到達した外光は、反射面を外れた領域に向けて確実に反射され得る。以上の構成では、投影面への外光の投影が確実に回避され得るので、視認領域から視認される表示画像の虚像に外光が映り込む事態は、さらに低減される。
【0013】
請求項3に記載の発明では、ヘッドアップディスプレイ装置は、結像面にて表示画像として結像される光を投射する投射器、をさらに備え、結像面は、投射器から投射された光を拡散させつつ反射面に向けて反射させることを特徴とする。
【0014】
一般に、結像面は、投射器から投射された表示画像の光を凸面部及び凹面部によって反射又は屈折させることにより、当該光を反射面に向けて出射させる。この発明のように、投射器から投射された光を反射させる形態の結像面は、光を屈折させる形態のものと比較して、凸面部及び凹面部の曲率を小さくしたまま、広い拡散角を獲得できる。故に、基準面に対する凸面部及び凹面部の傾斜、ひいては結像面の各所における法線方向の傾きは、さらに低減され得る。
【0015】
以上の構成では、結像面に到達した外光が反射面を外れた領域に向けて確実に反射され得るので、外光が表示画像の光と共に投影面に投影される事態は、さらに回避可能となる。したがって、視認領域から視認される表示画像の虚像に外光が映り込む事態は、さらに低減される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置の車両における配置を説明するための図である。
【図2】レーザスキャナの構成及び作動を詳しく説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置の特徴部分であるスクリーンの構成を模式的に示す図である。
【図4】スクリーンのzx断面の形状を模式的に示す図であって、図3のIV−IV線断面図である。
【図5】スクリーンのyz断面の形状を模式的に示す図であって、図3のV−V線断面図である。
【図6】スクリーンの配置を詳しく説明するための図である。
【図7】結像面の法線方向が反射面から外れた領域を向いていることを説明するための図である。
【図8】外光が反射面から外れた領域に反射されることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(基本構成)
本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100は、例えば車両のインスツルメントパネル内に収容されている。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両のウィンドシールド90等の表示部材に表示画像71を投影することにより、予め想定されたアイボックス60から表示画像71の虚像70を視認可能とする。ウィンドシールド90の車室側の面には、ヘッドアップディスプレイ装置100によって表示画像71の投影される投影面91が形成されている。凹面状に湾曲した投影面91に投影された表示画像71の光は、当該投影面91によってアイボックス60に向けて反射されて、視認者のアイポイント61に到達する。この表示画像71の光を知覚する視認者は、ウィンドシールド90の前方に結像された当該表示画像71の虚像70を視認できる。
【0019】
投影面91に投影される表示画像71は、車両の鉛直方向よりも水平方向に大きい横長の画像である。これは一般に、視認者のアイポイント61の移動が鉛直方向よりも水平方向に容易であることによる。表示画像71には、例えば、ヘッドアップディスプレイ装置100の搭載されている車両の走行速度、ナビゲーションシステムによる進行方向の指示、及び車両のウォーニング、等を示す画像部が含まれている。
【0020】
まず、ヘッドアップディスプレイ装置100の構成を、図1及び図2に基づいて説明する。ヘッドアップディスプレイ装置100は、レーザスキャナ10、スクリーン30、及び凹面鏡40を備えている。
【0021】
レーザスキャナ10は、鉛直方向においてスクリーン30を挟んで投影面91とは反対の方向(以下、「下方向」という)に配置されており、光源部13、光学部20、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems;MEMS)ミラー部26、及びコントローラ11を有している。
【0022】
光源部13は、三つのレーザ投射部14,15,16等によって構成されている。各レーザ投射部14,15,16は、互いに異なる周波数、即ち異なる色相のレーザ光を投射する。具体的には、レーザ投射部14は、赤色のレーザ光を投射する。レーザ投射部15は、青色のレーザ光を投射する。レーザ投射部16は、緑色のレーザ光を投射する。以上のように、異なる色相のレーザ光を加色混合することにより、種々の色が再現可能とされている。各レーザ投射部14,15,16は、コントローラ11と接続されている。各レーザ投射部14,15,16は、コントローラ11からの制御信号に基づいて、各色相のレーザ光を投射する。
【0023】
光学部20は、三つのコリメートレンズ21、ダイクロイックフィルタ22,23,24、及び集光レンズ25等によって構成されている。各コリメートレンズ21は、各レーザ投射部14,15,16のレーザ光の投射方向に、それぞれ配置されている。コリメートレンズ21は、レーザ光を屈折させることにより、平行光を生成する。
【0024】
各ダイクロイックフィルタ22,23,24は、各コリメートレンズ21を挟んで各レーザ投射部14,15,16の投射方向に、それぞれ配置されている。レーザ投射部14の投射方向に配置されるダイクロイックフィルタ22は、赤色を示す周波数の光を透過させ、それ以外の周波数の光を反射させる。レーザ投射部15の投射方向に配置されるダイクロイックフィルタ23は、青色を示す周波数の光を反射させ、それ以外の周波数の光を透過させる。レーザ投射部16の投射方向に配置されるダイクロイックフィルタ24は、緑色を示す周波数の光を反射させ、それ以外の周波数の光を透過させる。各ダイクロイックフィルタ22,23,24の作用によって、各各レーザ投射部14,15,16から投射されたレーザ光は、集光レンズ25に到達する。
【0025】
集光レンズ25は、平面状の入射面及び凸面状の出射面を有する平凸レンズである。集光レンズ25は、入射面に入射するレーザ光を屈折させることにより、収束させる。これにより集光レンズ25を通過したレーザ光は、スクリーン30の後述する結像面31にて集光する。
【0026】
MEMSミラー部26は、水平スキャナ27及び鉛直スキャナ28等によって構成されている。水平スキャナ27及び鉛直スキャナ28は、それぞれコントローラ11と接続されている。水平スキャナ27及び鉛直スキャナ28には、回転軸27a,28aとアルミニウム等を蒸着させてなる金属薄膜が形成されたMEMS反射面27b,28bとがそれぞれ設けられている。
【0027】
水平スキャナ27は、光学部20及び鉛直スキャナ28にMEMS反射面27bを向けた姿勢にて配置されている。MEMS反射面27bは、鉛直方向に延伸する回転軸27aに支持されており、この回転軸27aまわりに回転変位可能とされている。水平スキャナ27に設けられた駆動部は、コントローラ11からの駆動信号に基づいて、回転軸27aまわりにMEMS反射面27bを回転変位させる。
【0028】
一方、鉛直スキャナ28は、水平スキャナ27のMEMS反射面27b及びスクリーン30にMEMS反射面28bを向けた姿勢にて配置されている。MEMS反射面28bは、水平方向に延伸する回転軸28aに支持されており、この回転軸28aまわりに回転変位可能とされている。鉛直スキャナ28に設けられた駆動部は、コントローラ11からの駆動信号に基づいて、回転軸28aまわりにMEMS反射面28bを回転変位させる。
【0029】
コントローラ11は、プロセッサ等によって構成される制御装置であって、各レーザ投射部14,15,16及び各スキャナ27,28と接続されている。コントローラ11は、各レーザ投射部14,15,16に制御信号を出力することにより、レーザ光を断続的にパルス点灯させる。加えてコントローラ11は、各スキャナ27,28に駆動信号を出力することにより、各MEMS反射面27b,28bによって反射されるレーザ光の方向を、図2に示される走査線SLのように制御する。
【0030】
以上の構成によるレーザスキャナ10は、コントローラ11の制御により、スクリーン30の後述する結像面31にて表示画像71として結像される光を投射する。具体的には、投射されるレーザ光による点状の発光の走査により、当該点状の発光を一つの画素として組み立てられる表示画像71が、スクリーン30の結像面31に描画される。
【0031】
図1,2に示されるように、スクリーン30は、ガラス等の基材の表面にアルミニウム等を蒸着させることにより形成される反射型のスクリーンである。スクリーン30の有する結像面31は、蒸着されたアルミニウム等によりなる金属薄膜によって、形成されている。結像面31には、レーザスキャナ10から投射されるレーザ光により、表示画像71が結像される。
【0032】
図1に示されるように、凹面鏡40は、ガラス等の基材の表面にアルミニウム等を蒸着させることにより、形成されている。凹面鏡40は、スクリーン30の水平方向に位置している。凹面鏡40は、スクリーン30の結像面31によって反射されたレーザ光をウィンドシールド90の投影面91に向けて反射させる反射面41を有している。反射面41は、中央部分が結像面31及び投影面91から遠ざかる方向に凹む凹面状であって、滑らかに湾曲している。反射面41は、結像面31によって反射された表示画像71を拡大しつつ反射させることにより、投影面91に当該表示画像71を投影する。この反射面41の湾曲による表示画像71の拡大率は、当該表示画像71の水平方向と鉛直方向とで異なっている。具体的には、反射面41では、表示画像71を鉛直方向よりも水平方向に大きく拡大するよう、水平方向の湾曲が鉛直方向の湾曲よりも大きくされている。
【0033】
(特徴的構成)
次に、本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100の特徴的構成について説明する。図3〜5に示されるように、スクリーン30は、所謂マイクロミラーアレイである。スクリーン30の結像面31には、レーザ光を拡散させつつ反射面41(図1等参照)に向けて反射させるための微小な凸面部32及び凹面部33が形成されている。凸面部32及び凹面部33は、結像面31における仮想の基準平面RPに沿うx軸方向及びy軸方向のそれぞれにおいて、予め規定された長さPx,Pyにて、交互に連続して、繰り返し形成されている。凸面部32は、結像面31において、基準平面RPに対し凸状に突出する範囲である。凹面部33は、結像面31において、基準平面RPに対し凹状に窪む範囲である。また、本実施形態において、基準平面RPは、レーザスキャナ10(図1参照)からスクリーン30を経て凹面鏡40(図1参照)に向かう光軸の設定に関し、結像面31の向きを決定する際し基準とされる面である。
【0034】
x軸方向における各面部32,33の長さPxは、y軸方向における各面部32,33の長さPyに対し、大きく規定されている。これにより、zx断面における凸面部32及び凹面部33の湾曲の曲率は、yz断面における各面部32,33の湾曲の曲率よりも小さくなる。よって、結像面31によって反射される光のzx平面における拡散角θdxは、yz平面における拡散角θdyよりも小さくなる。
【0035】
以上の凸面部32及び凹面部33の湾曲形状は、zx断面及びyz断面において、それぞれ正弦波状となるように形成されている。こうした各面部32,33は、互いに対応した形状となり、具体的には、基準平面RPに対して面対称な形状となる。加えて、正弦波状の断面形状により、互いに連続する凸面部32及び凹面部33の一方から他方へと遷移する部分は、乱反射を生じさせない円滑且つなだらかな形状となる。この各面部32,33の間となる部分は、基準平面RPに対する傾斜が最も大きくなる最大傾斜面部38となる。最大傾斜面部38の傾斜を低減することにより、凹面部33及び凸面部32の各所における基準平面RPに対する傾斜は、結像面31の全域に亘って低減される。
【0036】
図6に示されるように、スクリーン30は、x軸まわりの回転によって結像面31の基準平面RPが反射面41の下方向を向く姿勢にて、ヘッドアップディスプレイ装置100の筐体80内に配置されている。以上の配置により、基準平面RPに垂直であって当該平面RPの法線方向であるz軸方向は、反射面41から外れた領域に向けられている。具体的には、便宜的に結像面31の各所のうち、鉛直方向の上縁をSt、中央をSc、下縁をSbとすると、結像面31の各所St,Sc,Sbにおける各z軸方向Dzt,Dzc,Dzb(図6 各一点鎖線参照)は、全て反射面41から外れた領域に向けられている。
【0037】
ここで、結像面31の上縁Stからのz軸方向Dztは、他の箇所からのz軸方向Dzc,Dzbよりも反射面41に近接している。故に、図7に示されるyz平面における上縁Stからの法線方向Dntは、他の箇所からの法線方向よりも反射面41内に向き易い。よって、結像面31の上縁Stが反射面41側を向く最大傾斜面部38である場合、z軸方向Dztに対して反射面41側に最大に傾く法線方向Dntは、反射面41内に向くおそれが最も高いものとなる。
【0038】
上述したように、結像面31の各所、特に最大傾斜面部38では、基準平面RPに対する傾斜が低減されている。故に、最大傾斜面部38においては、法線方向Dntのz軸方向Dztに対する傾きθn_Maxが、抑えられている。そのため、上縁Stからの法線方向Dntがz軸方向Dztに対して最も反射面41側に傾いていても、z軸方向Dztを反射面41から十分に外れた領域に向けることにより、法線方向Dntは、反射面41から外れた領域に向くこととなる。したがって、結像面31の各所からの法線方向も、反射面41から外れた領域に向くこととなる。
【0039】
以上の構成にて、図6に示されるように、筐体80に透光性のアクリルパネル等をはめ込むことによって形成された開口部81から、ウィンドシールド90(図1参照)を透過した外光OLが反射面41に到達した場合を想定する。ここで、図6に示されるように、便宜的に、反射面41の各所のうち、鉛直方向の上縁をMt、中央をMc、下縁をMbとする。外光OLは、図6に示される方向以外にも、種々の方向から開口部81に入射する。これにより、外光OLは、反射面41の各所Mt,Mc,Mbから、結像面31の各所St,Sc,Sbのそれぞれに向かう。
【0040】
図8に示されるように、反射面41の下縁Mbにて反射された外光OLbが結像面31へ入射する入射角θitは、反射面41の上縁Mtにて反射された外光OLtが結像面31へ入射する入射角θibよりも、垂直に近くなる。故に、下縁Mbからの外光OLbは、上縁Mtを含む反射面41の他の箇所にて反射された外光OLt等よりも、反射面41に近接した位置に向けて反射される。しかし、結像面31の上縁Stにおける法線方向Dntが反射面41外を向けられているので、外光OLbは、反射面41の外に向けて反射されることとなる。以上のように、yz平面において、反射面41上の特定の点及び結像面31上の特定の点結んだすべての直線と、最大傾斜面部38の接線dtとのなす角度θrsが全て90度以上とされることにより、外光OL(図6参照)は、反射面41から外れた領域に反射されることとなる。
【0041】
ここまで説明した本実施形態によれば、結像面31から反射面41に再び反射された外光OLが表示画像71のレーザ光と共に投影面91に投影される事態は、回避可能となる。したがって、マイクロミラーアレイであるスクリーン30による光の拡散作用によって虚像70の表示品質を高めたうえで、アイボックス60から視認される表示画像71の虚像70に外光OLが映り込む事態は、低減される。
【0042】
加えて本実施形態のように、光を反射させる形態の結像面31は、光を屈折させる形態のものと比較して、凸面部32及び凹面部33の曲率を小さくしたまま、広い拡散角を獲得できる。故に、基準平面RPに対する凹面部33及び凸面部32の傾斜、ひいては結像面31の最大傾斜面部38における法線方向の傾きθn_MAXは、さらに低減され得る。以上の構成では、結像面31に到達した外光OLが反射面41を外れた領域に向けて確実に反射され得るので、外光OLが表示画像71の光と共に投影面91に投影される事態は、さらに回避可能となる。したがって、アイボックス60から視認される表示画像71の虚像70に外光OLが映り込む事態は、さらに低減される。
【0043】
尚、本実施形態において、基準平面RPが特許請求の範囲に記載の「基準面」に相当し、レーザスキャナ10が特許請求の範囲に記載の「投射器」に相当し、スクリーン30が特許請求の範囲に記載の「スクリーン部材」に相当し、凹面鏡40が特許請求の範囲に記載の「光学系」に相当し、アイボックス60が特許請求の範囲に記載の「視認領域」に相当し、ウィンドシールド90が特許請求の範囲に記載の「表示部材」に相当する。
【0044】
(他の実施形態)
以上、本発明による一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0045】
上記実施形態では、結像面31によってレーザ光を拡散させつつ反射面41に向けて反射させる反射型のスクリーン30が用いられていた。しかし、「スクリーン部材」は、上述されたマイクロミラーアレイではなく、結像面でレーザ光を屈折により拡散させつつ、反射面に向けて出射させる、所謂マイクロレンズアレイであってもよい。
【0046】
上記実施形態では、レーザ光の走査によって結像面31に表示画像71を結像させるレーザスキャナ10が、「投射器」として用いられていた。しかし、結像面にて表示画像として結像される光を投射することが可能であれば、種々の構成が「投射器」として用いられてよい。具体的には、例えばLiquid crystal on silicon(LCOS)及びDigital Mirror Device(DMD)等を、光源及びレンズ等と共に有する所謂プロジェクタが、上述のようなマイクロレンズアレイの結像面に、スクリーンを挟んで反射面とは反対側から光を投射する「投射器」として、用いられてよい。
【0047】
LCOSは、シリコン製の基板と透光性の基板との間に液晶層を挟み込むことにより形成されている。液晶層は、配列された複数の画素を形成している。シリコン製の基板には、液晶を駆動するための回路と、光を反射するための電極が設けられている。LCOSに透光性の基板から入射した光源光は、液晶層を通過しつつ、シリコン製の基板に設けられた電極によって反射されて、当該LCOSから出射される。液晶層に表示画像の元となる画像を形成することによれば、LCOSを備えるプロジェクタは、結像面にて表示画像として結像される光を投射することができる。
【0048】
DMDは、基板上に多数の微小鏡面を配列することにより形成されている。これら微小鏡面の各々が、一つの画素を形成している。各微小鏡面は、制御信号に基づいて傾斜角度を変更することができる。DMDに入射した光源光は、各微小鏡面によって反射される。以上のDMDは、各微小鏡面の傾斜角度を制御することによれば、画像を形成することができる。故に、DMDを備えるプロジェクタは、結像面にて表示画像として結像される光を投射することができる。
【0049】
上記実施形態において、基準平面RPのz軸方向は、反射面41の下方向に向けられていた。しかし、z軸方向が反射面41から外れた領域に向けられていれば、その方向は、反射面の下方向に限定されない。例えば、レーザスキャナがスクリーンの水平方向に配置されて、水平方向に沿ってスクリーンに表示画像を投射する形態を想定する。この形態では、結像面のz軸方向は、反射面41の水平方向において、凹面鏡とレーザスキャナとの間を向けられるのが望ましい。そして、結像面の水平方向の両縁部のうち、レーザスキャナから遠い側の縁部のzx平面における法線方向が、凹面鏡とレーザスキャナとの間を向くように、スクリーンを配置する。以上の構成によって、スクリーン及びレーザスキャナの配置が異なる形態においても、外光を反射面から外れた領域に反射させることが可能となる。
【0050】
上記実施形態において、結像面31の断面形状が正弦波状となるように、各面部32,33は形成されていた。しかし、各面部の遷移部分の円滑な形状が維持可能であれば、結像面の形状は、適宜変更されてよい。例えば、放物線状等に倣った湾曲によって凸面部及び凹面部が形成されていてもよい。加えて、凸面部と凹面部との形状が、基準面に対して面対称でなくてもよい。さらに、凹面部の長さは、僅かであれば凸面部の長さと異なっていてもよい。また、各面部32,33のx軸方向の長さPxは、y軸方向の長さPyと同一であってもよく、又は長さPyより短くてもよい。これら凸面部及び凹面部を形成するピッチであるPx,Pyは、「光学系」の構成並びにアイボックスの形状及び大きさ等に応じて、適宜変更されてよい。
【0051】
上記実施形態では、一つの凹面鏡40が、「光学系」に相当していた。しかし、「光学系」に相当する構成は、適宜変更されてよい。「光学系」は、例えば複数の反射鏡及びレンズ等を組み合わせることによって構成されていてもよい。加えて、「光学系」を構成する反射鏡は、平面鏡又は凸面鏡であってもよい。
【0052】
上記実施形態において、結像面31及び基準平面RPは、平面状であった。しかし、ヘッドアップディスプレイ装置には、虚像の3次元的な歪みを補正するための湾曲が、結像面に与えられたものがある。このような形態においては、仮想の「基準面」が湾曲していてもよい。
【0053】
上記実施形態では、「表示部材」として、ウィンドシールド90が用いられていた。しかし、投影面の形成される「表示部材」は、ウィンドシールド90に限定されない。例えば、「表示部材」は、ウィンドシールド90の車内側の表面に貼りつけられた透光性の材料よりなるコンバイナ等であってもよい。このようなコンバイナは、ウィンドシールド90と別体で設けられていてもよい。
【0054】
上記実施形態では、複数のスキャナ27,28を備えたMEMSミラー部26が、レーザ光を走査する構成として用いられていた。しかし、二つの可動軸まわりにMEMS反射面を動かすことにより、結像面へのレーザ光の二次元的な走査を単独で実施可能なMEMSミラーが、各スキャナ27,28に相当する構成として、レーザスキャナに用いられていてもよい。
【0055】
上記実施形態では、車両に搭載されて、ウィンドシールド90に表示画像71を投影するヘッドアップディスプレイ装置100に本発明を適用した例を示したが、本発明は、各種の輸送機器に搭載され、表示画像71の虚像70を視認者に視認可能とする種々のヘッドアップディスプレイ装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 レーザスキャナ(投射器)、11 コントローラ、13 光源部、14 レーザ投射部、16 レーザ投射部14,15、20 光学部、21 コリメートレンズ、22 ダイクロイックフィルタ、22,23,24 ダイクロイックフィルタ、25 集光レンズ、26 MEMSミラー部、27 水平スキャナ、28 鉛直スキャナ、27a,28a 回転軸、27b,28b MEMS反射面、30 スクリーン(スクリーン部材)、31 結像面、RP 基準平面(基準面)、Sb 下縁、Sc 中央、St 上縁、32 凸面部、33 凹面部、Px,Py 各面部の長さ、38 最大傾斜面部、40 凹面鏡(光学系)、41 反射面、Mb 下縁、Mc 中央、Mt 上縁、60 アイボックス(視認領域)、61 アイポイント、70 虚像、71 表示画像、80 筐体、81 開口部、90 ウィンドシールド(表示部材)、91 投影面、100 ヘッドアップディスプレイ装置、OL,OLb,OLt 外光、Dzt,Dzc,Dzb z軸方向、Dnt 法線方向、dt 接線、SL 走査線、θdx,θdy 拡散角、θib,θibt 入射角、θn_MAX 法線方向の最大傾き
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウィンドシールド等の表示部材に表示画像を投影することにより、予め想定された視認領域から表示画像の虚像を視認可能とするヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スクリーンの結像面に結像された表示画像を、光学系の反射面によって反射させることにより、ウィンドシールドに投影する、例えば特許文献1に開示のようなヘッドアップディスプレイ装置が知られている。このようなヘッドアップディスプレイ装置のスクリーンとして、近年では、特許文献2に開示されるような構成が採用されつつある。
【0003】
具体的に、特許文献2に開示の投射用スクリーンでは、凸状となる凸レンズが、x軸方向及びy軸方向のそれぞれに、予め規定された長さで形成されている。このように配列された凸レンズは、結像面に入射した光を反射又は屈折させることにより、所定の拡散角にて拡散する光を出射することができる。故に、特許文献2に開示の投射用スクリーンを特許文献1に開示のヘッドアップディスプレイ装置に適用した形態では、結像面に結像される表示画像の光は、予め想定された視認領域の全体に亘って到達するように、その拡散を正確に制御される。よって、表示画像の虚像は、斑無く且つ鮮明に視認され得る。このような高い表示品質を備えるヘッドアップディスプレイ装置のスクリーンとして、特許文献2に開示のような構成は、好適なのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−139927号公報
【特許文献2】特開2009−205102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に開示の投射用スクリーンでは、各凸レンズの間に、凹状となる溝部分が生じる。故に、凸レンズの表面の湾曲の曲率は小さくなるものの、溝部分の表面に生じる湾曲の曲率は、非常に大きくなってします。すると、溝部分の表面は、スクリーンの基準面に対して大きく傾斜することとなる。以上により、溝部分の表面における法線方向は、基準面に垂直なz軸方向に対し、大きく傾くこととなる。そのため、投射用スクリーン部材の姿勢によってz軸方向を反射面から外れた領域に向けたとしても、溝部分の表面における法線方向は、反射面内を向いてしまうこととなる。
【0006】
以上の構成では、ウィンドシールドを通過して反射面に入射した外光が当該反射面によってスクリーンに向けて反射されると、この外光の一部は、溝部分にて乱反射されることで、スクリーンによって再び反射面に向けて反射されてしまう。すると、スクリーンから反射面に反射された外光は、表示画像の光と共にウィンドシールドに投影される。このようにして、視認領域から視認される表示画像の虚像に、外光が映り込んでしまうのである。
【0007】
本願発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、表示画像の虚像の表示品質を高めたうえで、虚像に外光が映り込むことを低減できるヘッドアップディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、表示部材に形成される投影面に表示画像を投影することにより、予め想定された視認領域から表示画像の虚像を視認可能とするヘッドアップディスプレイ装置であって、投影面に投影される表示画像が結像される結像面、を有するスクリーン部材と、結像面に結像される表示画像を反射させることにより、投影面に当該表示画像を投影する反射面、を有する光学系と、を備え、結像面は、仮想の基準面に沿うx軸方向及びy軸方向のそれぞれにおいて、基準面に対し凸状となる凸面部及び基準面に対し凹状となる凹面部とを、予め規定された長さにて交互に連続して形成し、スクリーン部材は、基準面に垂直なz軸方向が反射面から外れた領域を向く姿勢にて配置されることを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、結像面における仮想の基準面に対し凸状となる凸面部及び凹状となる凹面部が、予め規定された長さにて交互に連続して形成されている。故に、凹面部及び凸面部のそれぞれに生じる湾曲の曲率を共に大きくできるので、基準面に対する凹面部及び凸面部の傾斜は、結像面の全域に亘って低減され得る。以上により、凸面部及び凹面部の連続する結像面の各所における法線方向は、基準面に垂直なz軸方向に対し、傾き難くなる。故に、スクリーン部材の姿勢によってz軸方向を反射面から外れた領域に向けることにより、結像面の各所における法線方向も、反射面から外れた領域を向き得る。
【0010】
以上の構成では、表示部材に形成される投影面から光学系の有する反射面に入射した外光は、当該反射面によって結像面に向けて反射されても、結像面によって反射面を外れた領域に向けて反射され得る。故に、結像面から反射面に反射された外光が表示画像の光と共に表示部材の投影面に投影される事態は、回避可能となる。したがって、凸面部及び凹面部による表示画像の光の拡散作用によって虚像の表示品質を高めたうえで、視認領域から視認される表示画像の虚像に外光が映り込む事態は、低減される。
【0011】
請求項2に記載の発明では、結像面の各所における法線方向が、反射面から外れた領域に向けられることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、結像面の各所における法線方向が反射面から外れた領域に向けられることにより、結像面に到達した外光は、反射面を外れた領域に向けて確実に反射され得る。以上の構成では、投影面への外光の投影が確実に回避され得るので、視認領域から視認される表示画像の虚像に外光が映り込む事態は、さらに低減される。
【0013】
請求項3に記載の発明では、ヘッドアップディスプレイ装置は、結像面にて表示画像として結像される光を投射する投射器、をさらに備え、結像面は、投射器から投射された光を拡散させつつ反射面に向けて反射させることを特徴とする。
【0014】
一般に、結像面は、投射器から投射された表示画像の光を凸面部及び凹面部によって反射又は屈折させることにより、当該光を反射面に向けて出射させる。この発明のように、投射器から投射された光を反射させる形態の結像面は、光を屈折させる形態のものと比較して、凸面部及び凹面部の曲率を小さくしたまま、広い拡散角を獲得できる。故に、基準面に対する凸面部及び凹面部の傾斜、ひいては結像面の各所における法線方向の傾きは、さらに低減され得る。
【0015】
以上の構成では、結像面に到達した外光が反射面を外れた領域に向けて確実に反射され得るので、外光が表示画像の光と共に投影面に投影される事態は、さらに回避可能となる。したがって、視認領域から視認される表示画像の虚像に外光が映り込む事態は、さらに低減される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置の車両における配置を説明するための図である。
【図2】レーザスキャナの構成及び作動を詳しく説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置の特徴部分であるスクリーンの構成を模式的に示す図である。
【図4】スクリーンのzx断面の形状を模式的に示す図であって、図3のIV−IV線断面図である。
【図5】スクリーンのyz断面の形状を模式的に示す図であって、図3のV−V線断面図である。
【図6】スクリーンの配置を詳しく説明するための図である。
【図7】結像面の法線方向が反射面から外れた領域を向いていることを説明するための図である。
【図8】外光が反射面から外れた領域に反射されることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(基本構成)
本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100は、例えば車両のインスツルメントパネル内に収容されている。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両のウィンドシールド90等の表示部材に表示画像71を投影することにより、予め想定されたアイボックス60から表示画像71の虚像70を視認可能とする。ウィンドシールド90の車室側の面には、ヘッドアップディスプレイ装置100によって表示画像71の投影される投影面91が形成されている。凹面状に湾曲した投影面91に投影された表示画像71の光は、当該投影面91によってアイボックス60に向けて反射されて、視認者のアイポイント61に到達する。この表示画像71の光を知覚する視認者は、ウィンドシールド90の前方に結像された当該表示画像71の虚像70を視認できる。
【0019】
投影面91に投影される表示画像71は、車両の鉛直方向よりも水平方向に大きい横長の画像である。これは一般に、視認者のアイポイント61の移動が鉛直方向よりも水平方向に容易であることによる。表示画像71には、例えば、ヘッドアップディスプレイ装置100の搭載されている車両の走行速度、ナビゲーションシステムによる進行方向の指示、及び車両のウォーニング、等を示す画像部が含まれている。
【0020】
まず、ヘッドアップディスプレイ装置100の構成を、図1及び図2に基づいて説明する。ヘッドアップディスプレイ装置100は、レーザスキャナ10、スクリーン30、及び凹面鏡40を備えている。
【0021】
レーザスキャナ10は、鉛直方向においてスクリーン30を挟んで投影面91とは反対の方向(以下、「下方向」という)に配置されており、光源部13、光学部20、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems;MEMS)ミラー部26、及びコントローラ11を有している。
【0022】
光源部13は、三つのレーザ投射部14,15,16等によって構成されている。各レーザ投射部14,15,16は、互いに異なる周波数、即ち異なる色相のレーザ光を投射する。具体的には、レーザ投射部14は、赤色のレーザ光を投射する。レーザ投射部15は、青色のレーザ光を投射する。レーザ投射部16は、緑色のレーザ光を投射する。以上のように、異なる色相のレーザ光を加色混合することにより、種々の色が再現可能とされている。各レーザ投射部14,15,16は、コントローラ11と接続されている。各レーザ投射部14,15,16は、コントローラ11からの制御信号に基づいて、各色相のレーザ光を投射する。
【0023】
光学部20は、三つのコリメートレンズ21、ダイクロイックフィルタ22,23,24、及び集光レンズ25等によって構成されている。各コリメートレンズ21は、各レーザ投射部14,15,16のレーザ光の投射方向に、それぞれ配置されている。コリメートレンズ21は、レーザ光を屈折させることにより、平行光を生成する。
【0024】
各ダイクロイックフィルタ22,23,24は、各コリメートレンズ21を挟んで各レーザ投射部14,15,16の投射方向に、それぞれ配置されている。レーザ投射部14の投射方向に配置されるダイクロイックフィルタ22は、赤色を示す周波数の光を透過させ、それ以外の周波数の光を反射させる。レーザ投射部15の投射方向に配置されるダイクロイックフィルタ23は、青色を示す周波数の光を反射させ、それ以外の周波数の光を透過させる。レーザ投射部16の投射方向に配置されるダイクロイックフィルタ24は、緑色を示す周波数の光を反射させ、それ以外の周波数の光を透過させる。各ダイクロイックフィルタ22,23,24の作用によって、各各レーザ投射部14,15,16から投射されたレーザ光は、集光レンズ25に到達する。
【0025】
集光レンズ25は、平面状の入射面及び凸面状の出射面を有する平凸レンズである。集光レンズ25は、入射面に入射するレーザ光を屈折させることにより、収束させる。これにより集光レンズ25を通過したレーザ光は、スクリーン30の後述する結像面31にて集光する。
【0026】
MEMSミラー部26は、水平スキャナ27及び鉛直スキャナ28等によって構成されている。水平スキャナ27及び鉛直スキャナ28は、それぞれコントローラ11と接続されている。水平スキャナ27及び鉛直スキャナ28には、回転軸27a,28aとアルミニウム等を蒸着させてなる金属薄膜が形成されたMEMS反射面27b,28bとがそれぞれ設けられている。
【0027】
水平スキャナ27は、光学部20及び鉛直スキャナ28にMEMS反射面27bを向けた姿勢にて配置されている。MEMS反射面27bは、鉛直方向に延伸する回転軸27aに支持されており、この回転軸27aまわりに回転変位可能とされている。水平スキャナ27に設けられた駆動部は、コントローラ11からの駆動信号に基づいて、回転軸27aまわりにMEMS反射面27bを回転変位させる。
【0028】
一方、鉛直スキャナ28は、水平スキャナ27のMEMS反射面27b及びスクリーン30にMEMS反射面28bを向けた姿勢にて配置されている。MEMS反射面28bは、水平方向に延伸する回転軸28aに支持されており、この回転軸28aまわりに回転変位可能とされている。鉛直スキャナ28に設けられた駆動部は、コントローラ11からの駆動信号に基づいて、回転軸28aまわりにMEMS反射面28bを回転変位させる。
【0029】
コントローラ11は、プロセッサ等によって構成される制御装置であって、各レーザ投射部14,15,16及び各スキャナ27,28と接続されている。コントローラ11は、各レーザ投射部14,15,16に制御信号を出力することにより、レーザ光を断続的にパルス点灯させる。加えてコントローラ11は、各スキャナ27,28に駆動信号を出力することにより、各MEMS反射面27b,28bによって反射されるレーザ光の方向を、図2に示される走査線SLのように制御する。
【0030】
以上の構成によるレーザスキャナ10は、コントローラ11の制御により、スクリーン30の後述する結像面31にて表示画像71として結像される光を投射する。具体的には、投射されるレーザ光による点状の発光の走査により、当該点状の発光を一つの画素として組み立てられる表示画像71が、スクリーン30の結像面31に描画される。
【0031】
図1,2に示されるように、スクリーン30は、ガラス等の基材の表面にアルミニウム等を蒸着させることにより形成される反射型のスクリーンである。スクリーン30の有する結像面31は、蒸着されたアルミニウム等によりなる金属薄膜によって、形成されている。結像面31には、レーザスキャナ10から投射されるレーザ光により、表示画像71が結像される。
【0032】
図1に示されるように、凹面鏡40は、ガラス等の基材の表面にアルミニウム等を蒸着させることにより、形成されている。凹面鏡40は、スクリーン30の水平方向に位置している。凹面鏡40は、スクリーン30の結像面31によって反射されたレーザ光をウィンドシールド90の投影面91に向けて反射させる反射面41を有している。反射面41は、中央部分が結像面31及び投影面91から遠ざかる方向に凹む凹面状であって、滑らかに湾曲している。反射面41は、結像面31によって反射された表示画像71を拡大しつつ反射させることにより、投影面91に当該表示画像71を投影する。この反射面41の湾曲による表示画像71の拡大率は、当該表示画像71の水平方向と鉛直方向とで異なっている。具体的には、反射面41では、表示画像71を鉛直方向よりも水平方向に大きく拡大するよう、水平方向の湾曲が鉛直方向の湾曲よりも大きくされている。
【0033】
(特徴的構成)
次に、本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100の特徴的構成について説明する。図3〜5に示されるように、スクリーン30は、所謂マイクロミラーアレイである。スクリーン30の結像面31には、レーザ光を拡散させつつ反射面41(図1等参照)に向けて反射させるための微小な凸面部32及び凹面部33が形成されている。凸面部32及び凹面部33は、結像面31における仮想の基準平面RPに沿うx軸方向及びy軸方向のそれぞれにおいて、予め規定された長さPx,Pyにて、交互に連続して、繰り返し形成されている。凸面部32は、結像面31において、基準平面RPに対し凸状に突出する範囲である。凹面部33は、結像面31において、基準平面RPに対し凹状に窪む範囲である。また、本実施形態において、基準平面RPは、レーザスキャナ10(図1参照)からスクリーン30を経て凹面鏡40(図1参照)に向かう光軸の設定に関し、結像面31の向きを決定する際し基準とされる面である。
【0034】
x軸方向における各面部32,33の長さPxは、y軸方向における各面部32,33の長さPyに対し、大きく規定されている。これにより、zx断面における凸面部32及び凹面部33の湾曲の曲率は、yz断面における各面部32,33の湾曲の曲率よりも小さくなる。よって、結像面31によって反射される光のzx平面における拡散角θdxは、yz平面における拡散角θdyよりも小さくなる。
【0035】
以上の凸面部32及び凹面部33の湾曲形状は、zx断面及びyz断面において、それぞれ正弦波状となるように形成されている。こうした各面部32,33は、互いに対応した形状となり、具体的には、基準平面RPに対して面対称な形状となる。加えて、正弦波状の断面形状により、互いに連続する凸面部32及び凹面部33の一方から他方へと遷移する部分は、乱反射を生じさせない円滑且つなだらかな形状となる。この各面部32,33の間となる部分は、基準平面RPに対する傾斜が最も大きくなる最大傾斜面部38となる。最大傾斜面部38の傾斜を低減することにより、凹面部33及び凸面部32の各所における基準平面RPに対する傾斜は、結像面31の全域に亘って低減される。
【0036】
図6に示されるように、スクリーン30は、x軸まわりの回転によって結像面31の基準平面RPが反射面41の下方向を向く姿勢にて、ヘッドアップディスプレイ装置100の筐体80内に配置されている。以上の配置により、基準平面RPに垂直であって当該平面RPの法線方向であるz軸方向は、反射面41から外れた領域に向けられている。具体的には、便宜的に結像面31の各所のうち、鉛直方向の上縁をSt、中央をSc、下縁をSbとすると、結像面31の各所St,Sc,Sbにおける各z軸方向Dzt,Dzc,Dzb(図6 各一点鎖線参照)は、全て反射面41から外れた領域に向けられている。
【0037】
ここで、結像面31の上縁Stからのz軸方向Dztは、他の箇所からのz軸方向Dzc,Dzbよりも反射面41に近接している。故に、図7に示されるyz平面における上縁Stからの法線方向Dntは、他の箇所からの法線方向よりも反射面41内に向き易い。よって、結像面31の上縁Stが反射面41側を向く最大傾斜面部38である場合、z軸方向Dztに対して反射面41側に最大に傾く法線方向Dntは、反射面41内に向くおそれが最も高いものとなる。
【0038】
上述したように、結像面31の各所、特に最大傾斜面部38では、基準平面RPに対する傾斜が低減されている。故に、最大傾斜面部38においては、法線方向Dntのz軸方向Dztに対する傾きθn_Maxが、抑えられている。そのため、上縁Stからの法線方向Dntがz軸方向Dztに対して最も反射面41側に傾いていても、z軸方向Dztを反射面41から十分に外れた領域に向けることにより、法線方向Dntは、反射面41から外れた領域に向くこととなる。したがって、結像面31の各所からの法線方向も、反射面41から外れた領域に向くこととなる。
【0039】
以上の構成にて、図6に示されるように、筐体80に透光性のアクリルパネル等をはめ込むことによって形成された開口部81から、ウィンドシールド90(図1参照)を透過した外光OLが反射面41に到達した場合を想定する。ここで、図6に示されるように、便宜的に、反射面41の各所のうち、鉛直方向の上縁をMt、中央をMc、下縁をMbとする。外光OLは、図6に示される方向以外にも、種々の方向から開口部81に入射する。これにより、外光OLは、反射面41の各所Mt,Mc,Mbから、結像面31の各所St,Sc,Sbのそれぞれに向かう。
【0040】
図8に示されるように、反射面41の下縁Mbにて反射された外光OLbが結像面31へ入射する入射角θitは、反射面41の上縁Mtにて反射された外光OLtが結像面31へ入射する入射角θibよりも、垂直に近くなる。故に、下縁Mbからの外光OLbは、上縁Mtを含む反射面41の他の箇所にて反射された外光OLt等よりも、反射面41に近接した位置に向けて反射される。しかし、結像面31の上縁Stにおける法線方向Dntが反射面41外を向けられているので、外光OLbは、反射面41の外に向けて反射されることとなる。以上のように、yz平面において、反射面41上の特定の点及び結像面31上の特定の点結んだすべての直線と、最大傾斜面部38の接線dtとのなす角度θrsが全て90度以上とされることにより、外光OL(図6参照)は、反射面41から外れた領域に反射されることとなる。
【0041】
ここまで説明した本実施形態によれば、結像面31から反射面41に再び反射された外光OLが表示画像71のレーザ光と共に投影面91に投影される事態は、回避可能となる。したがって、マイクロミラーアレイであるスクリーン30による光の拡散作用によって虚像70の表示品質を高めたうえで、アイボックス60から視認される表示画像71の虚像70に外光OLが映り込む事態は、低減される。
【0042】
加えて本実施形態のように、光を反射させる形態の結像面31は、光を屈折させる形態のものと比較して、凸面部32及び凹面部33の曲率を小さくしたまま、広い拡散角を獲得できる。故に、基準平面RPに対する凹面部33及び凸面部32の傾斜、ひいては結像面31の最大傾斜面部38における法線方向の傾きθn_MAXは、さらに低減され得る。以上の構成では、結像面31に到達した外光OLが反射面41を外れた領域に向けて確実に反射され得るので、外光OLが表示画像71の光と共に投影面91に投影される事態は、さらに回避可能となる。したがって、アイボックス60から視認される表示画像71の虚像70に外光OLが映り込む事態は、さらに低減される。
【0043】
尚、本実施形態において、基準平面RPが特許請求の範囲に記載の「基準面」に相当し、レーザスキャナ10が特許請求の範囲に記載の「投射器」に相当し、スクリーン30が特許請求の範囲に記載の「スクリーン部材」に相当し、凹面鏡40が特許請求の範囲に記載の「光学系」に相当し、アイボックス60が特許請求の範囲に記載の「視認領域」に相当し、ウィンドシールド90が特許請求の範囲に記載の「表示部材」に相当する。
【0044】
(他の実施形態)
以上、本発明による一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0045】
上記実施形態では、結像面31によってレーザ光を拡散させつつ反射面41に向けて反射させる反射型のスクリーン30が用いられていた。しかし、「スクリーン部材」は、上述されたマイクロミラーアレイではなく、結像面でレーザ光を屈折により拡散させつつ、反射面に向けて出射させる、所謂マイクロレンズアレイであってもよい。
【0046】
上記実施形態では、レーザ光の走査によって結像面31に表示画像71を結像させるレーザスキャナ10が、「投射器」として用いられていた。しかし、結像面にて表示画像として結像される光を投射することが可能であれば、種々の構成が「投射器」として用いられてよい。具体的には、例えばLiquid crystal on silicon(LCOS)及びDigital Mirror Device(DMD)等を、光源及びレンズ等と共に有する所謂プロジェクタが、上述のようなマイクロレンズアレイの結像面に、スクリーンを挟んで反射面とは反対側から光を投射する「投射器」として、用いられてよい。
【0047】
LCOSは、シリコン製の基板と透光性の基板との間に液晶層を挟み込むことにより形成されている。液晶層は、配列された複数の画素を形成している。シリコン製の基板には、液晶を駆動するための回路と、光を反射するための電極が設けられている。LCOSに透光性の基板から入射した光源光は、液晶層を通過しつつ、シリコン製の基板に設けられた電極によって反射されて、当該LCOSから出射される。液晶層に表示画像の元となる画像を形成することによれば、LCOSを備えるプロジェクタは、結像面にて表示画像として結像される光を投射することができる。
【0048】
DMDは、基板上に多数の微小鏡面を配列することにより形成されている。これら微小鏡面の各々が、一つの画素を形成している。各微小鏡面は、制御信号に基づいて傾斜角度を変更することができる。DMDに入射した光源光は、各微小鏡面によって反射される。以上のDMDは、各微小鏡面の傾斜角度を制御することによれば、画像を形成することができる。故に、DMDを備えるプロジェクタは、結像面にて表示画像として結像される光を投射することができる。
【0049】
上記実施形態において、基準平面RPのz軸方向は、反射面41の下方向に向けられていた。しかし、z軸方向が反射面41から外れた領域に向けられていれば、その方向は、反射面の下方向に限定されない。例えば、レーザスキャナがスクリーンの水平方向に配置されて、水平方向に沿ってスクリーンに表示画像を投射する形態を想定する。この形態では、結像面のz軸方向は、反射面41の水平方向において、凹面鏡とレーザスキャナとの間を向けられるのが望ましい。そして、結像面の水平方向の両縁部のうち、レーザスキャナから遠い側の縁部のzx平面における法線方向が、凹面鏡とレーザスキャナとの間を向くように、スクリーンを配置する。以上の構成によって、スクリーン及びレーザスキャナの配置が異なる形態においても、外光を反射面から外れた領域に反射させることが可能となる。
【0050】
上記実施形態において、結像面31の断面形状が正弦波状となるように、各面部32,33は形成されていた。しかし、各面部の遷移部分の円滑な形状が維持可能であれば、結像面の形状は、適宜変更されてよい。例えば、放物線状等に倣った湾曲によって凸面部及び凹面部が形成されていてもよい。加えて、凸面部と凹面部との形状が、基準面に対して面対称でなくてもよい。さらに、凹面部の長さは、僅かであれば凸面部の長さと異なっていてもよい。また、各面部32,33のx軸方向の長さPxは、y軸方向の長さPyと同一であってもよく、又は長さPyより短くてもよい。これら凸面部及び凹面部を形成するピッチであるPx,Pyは、「光学系」の構成並びにアイボックスの形状及び大きさ等に応じて、適宜変更されてよい。
【0051】
上記実施形態では、一つの凹面鏡40が、「光学系」に相当していた。しかし、「光学系」に相当する構成は、適宜変更されてよい。「光学系」は、例えば複数の反射鏡及びレンズ等を組み合わせることによって構成されていてもよい。加えて、「光学系」を構成する反射鏡は、平面鏡又は凸面鏡であってもよい。
【0052】
上記実施形態において、結像面31及び基準平面RPは、平面状であった。しかし、ヘッドアップディスプレイ装置には、虚像の3次元的な歪みを補正するための湾曲が、結像面に与えられたものがある。このような形態においては、仮想の「基準面」が湾曲していてもよい。
【0053】
上記実施形態では、「表示部材」として、ウィンドシールド90が用いられていた。しかし、投影面の形成される「表示部材」は、ウィンドシールド90に限定されない。例えば、「表示部材」は、ウィンドシールド90の車内側の表面に貼りつけられた透光性の材料よりなるコンバイナ等であってもよい。このようなコンバイナは、ウィンドシールド90と別体で設けられていてもよい。
【0054】
上記実施形態では、複数のスキャナ27,28を備えたMEMSミラー部26が、レーザ光を走査する構成として用いられていた。しかし、二つの可動軸まわりにMEMS反射面を動かすことにより、結像面へのレーザ光の二次元的な走査を単独で実施可能なMEMSミラーが、各スキャナ27,28に相当する構成として、レーザスキャナに用いられていてもよい。
【0055】
上記実施形態では、車両に搭載されて、ウィンドシールド90に表示画像71を投影するヘッドアップディスプレイ装置100に本発明を適用した例を示したが、本発明は、各種の輸送機器に搭載され、表示画像71の虚像70を視認者に視認可能とする種々のヘッドアップディスプレイ装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 レーザスキャナ(投射器)、11 コントローラ、13 光源部、14 レーザ投射部、16 レーザ投射部14,15、20 光学部、21 コリメートレンズ、22 ダイクロイックフィルタ、22,23,24 ダイクロイックフィルタ、25 集光レンズ、26 MEMSミラー部、27 水平スキャナ、28 鉛直スキャナ、27a,28a 回転軸、27b,28b MEMS反射面、30 スクリーン(スクリーン部材)、31 結像面、RP 基準平面(基準面)、Sb 下縁、Sc 中央、St 上縁、32 凸面部、33 凹面部、Px,Py 各面部の長さ、38 最大傾斜面部、40 凹面鏡(光学系)、41 反射面、Mb 下縁、Mc 中央、Mt 上縁、60 アイボックス(視認領域)、61 アイポイント、70 虚像、71 表示画像、80 筐体、81 開口部、90 ウィンドシールド(表示部材)、91 投影面、100 ヘッドアップディスプレイ装置、OL,OLb,OLt 外光、Dzt,Dzc,Dzb z軸方向、Dnt 法線方向、dt 接線、SL 走査線、θdx,θdy 拡散角、θib,θibt 入射角、θn_MAX 法線方向の最大傾き
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部材に形成される投影面に表示画像を投影することにより、予め想定された視認領域から前記表示画像の虚像を視認可能とするヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記投影面に投影される前記表示画像が結像される結像面、を有するスクリーン部材と、
前記結像面に結像される前記表示画像を反射させることにより、前記投影面に当該表示画像を投影する反射面、を有する光学系と、を備え、
前記結像面は、仮想の基準面に沿うx軸方向及びy軸方向のそれぞれにおいて、前記基準面に対し凸状となる凸面部及び前記基準面に対し凹状となる凹面部とを、予め規定された長さにて交互に連続して形成し、
前記スクリーン部材は、前記基準面に垂直なz軸方向が前記反射面から外れた領域を向く姿勢にて配置されることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記結像面の各所における法線方向が、前記反射面から外れた領域に向けられることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記結像面にて前記表示画像として結像される光を投射する投射器、をさらに備え、
前記結像面は、前記投射器から投射された光を拡散させつつ前記反射面に向けて反射させることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項1】
表示部材に形成される投影面に表示画像を投影することにより、予め想定された視認領域から前記表示画像の虚像を視認可能とするヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記投影面に投影される前記表示画像が結像される結像面、を有するスクリーン部材と、
前記結像面に結像される前記表示画像を反射させることにより、前記投影面に当該表示画像を投影する反射面、を有する光学系と、を備え、
前記結像面は、仮想の基準面に沿うx軸方向及びy軸方向のそれぞれにおいて、前記基準面に対し凸状となる凸面部及び前記基準面に対し凹状となる凹面部とを、予め規定された長さにて交互に連続して形成し、
前記スクリーン部材は、前記基準面に垂直なz軸方向が前記反射面から外れた領域を向く姿勢にて配置されることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記結像面の各所における法線方向が、前記反射面から外れた領域に向けられることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記結像面にて前記表示画像として結像される光を投射する投射器、をさらに備え、
前記結像面は、前記投射器から投射された光を拡散させつつ前記反射面に向けて反射させることを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−88521(P2013−88521A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227147(P2011−227147)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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