ヘッドジンバルアセンブリ
【課題】近接場光ヘッドに光束を供給するための光曲げ構造を容易に行うことで、加工コスト及び製造コストを低減して製造効率を向上させることができるヘッドジンバルアセンブリを提供することである。
【解決手段】近接場光により記録媒体に情報を記録するヘッドジンバルアセンブリであって、記録媒体の表面に沿って延設され、厚さ方向に撓む板状の撓み部材と、撓み部材の先端側において、記録媒体の表面と対向するように配置され、光束を用いて近接場光を発生するスライダと、光束を前記撓み部材の先端まで導く導光部と、撓み部材と一体に形成されており、撓み部材に対して傾斜しているとともに導光部から出射した光束をスライダに反射するミラー部材とを備えることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
【解決手段】近接場光により記録媒体に情報を記録するヘッドジンバルアセンブリであって、記録媒体の表面に沿って延設され、厚さ方向に撓む板状の撓み部材と、撓み部材の先端側において、記録媒体の表面と対向するように配置され、光束を用いて近接場光を発生するスライダと、光束を前記撓み部材の先端まで導く導光部と、撓み部材と一体に形成されており、撓み部材に対して傾斜しているとともに導光部から出射した光束をスライダに反射するミラー部材とを備えることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を集光したスポット光を利用して記録媒体に各種の情報記録再生するヘッドジンバルアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ機器におけるハードディスク等の記録媒体(以下、ディスクという)は、より大容量且つ高密度情報の記録再生を行いたい等のニーズを受けて、更なる高密度化が求められている。そのため、隣り合う磁区同士の影響や、熱揺らぎを最小限に抑えるために、保持力の強いものがディスクとして採用され始めている。そのため、ディスクに情報を記録することが困難になっていた。
【0003】
そこで、上述した不具合を解消するために、近接場光を利用して磁区を局所的に加熱して一時的に保持力を低下させ、その間にディスクへの書き込みを行うハイブリッド磁気記録方式の情報記録再生装置が提案されている。特に、近接場光を利用する場合には、従来の光学系において限界とされていた光の波長以下となる領域を加熱することが可能となる。よって、従来の磁気記録再生装置を超える記録ビットの高密度化を図ることができる。
【0004】
上述したハイブリッド磁気記録方式による情報記録再生装置としては、各種のものが提案されているが、その1つとして、スライダ外部の光源からの光を導光部で導き、スライダ上に設けられた近接場光ヘッドにその光を供給することで、微小開口から十分大きな近接場光を生成し、超高分解能の再生記録、高速記録再生、高SN比化を図ることができる情報記録再生装置が知られている。この情報記録再生装置は、近接場光ヘッドとそれに隣接する磁気記録素子を備えたスライダをディスク上でスキャンさせ、スライダをディスク上の所望する位置に配置する。その後、近接場光ヘッドから放射された近接場光と磁気記録素子から発生する記録磁界とを協働させることで、ディスクに情報を記録することができる。またその中でも、ディスク面と近接場光ヘッドとの間の距離をより近接させるために、近接場光ヘッドをスライダの先端面(流出端)側に配置するような構成が知られている。
【0005】
ここで、近接場光ヘッドに光束を供給する導光部分は、スライダの厚み方向に薄く形成されている方が、スライダの浮上特性に影響を与え難い。そこで、特許文献1や特許文献2に示すように、光ファイバや樹脂導波路などの光導波路に光曲げ機能を付加的に加工することでスライダが厚み方向に大型化することを軽減させる工夫がなされた構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開第2006−196140号公報
【特許文献2】特許4162697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に開示されている近接場光ヘッドに光束を供給する構成においては、屈折率の異なる複数の光導波路の光軸をあわせて光学的に接続し、さらに光導波路の先端には光曲げのための反射面を形成しなければならない。このように、破損し易い光導波路に複雑な加工を施す必要があるため、加工工数及び製造コストが増加し、製造効率が低いという問題がある。
【0008】
一方、サスペンションに沿って光を導く構造として特許文献2がある。特許文献2では、光導波路がフレクシャ上に形成されているという構造上の特徴のために、光導波路先端に光曲げ構造を形成する際、レーザ加工工程が必要となる。ゆえに、既存のフレクシャ製造工程では製造できず、光曲げ構造である先端45度カットを非常に正確に行える高精度のレーザ加工機を導入し、加工工数を増やす必要がある。よって、加工工数及び製造コストが増加し、製造効率が低いという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、近接場光ヘッドに光束を供給するための光曲げ構造を容易に行うことで、加工コスト及び製造コストを低減して製造効率を向上させることができるヘッドジンバルアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の手段を提供する。
【0011】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、近接場光により記録媒体に情報を記録するヘッドジンバルアセンブリであって、記録媒体の表面に沿って延設され、厚さ方向に撓む板状の撓み部材と、撓み部材の先端側において、記録媒体の表面と対向するように配置され、光束を用いて近接場光を発生するスライダと、光束を前記撓み部材の先端まで導く導光部と、撓み部材と一体に形成されており、撓み部材に対して傾斜しているとともに導光部から出射した光束をスライダに反射するミラー部材とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、導光部から出射した光束をスライダへ反射するミラー部材が撓み部材と一体に形成されていることにより、導光部に複雑な加工を施すことなく、導光部を伝播してきた光束をスライダへ容易に曲げることができる。これにより、加工工数や製造コストを低減させることができるため、製造効率を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、撓み部材の先端側に備えられており、撓み部材よりも厚さ方向に撓み易いとともにスライダが配置されるフレクシャを備え、フレクシャの一部は、ミラー部材により構成されることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、スライダに隣接するフレクシャにミラー部材が構成されていることによって、導光部から出射された光の空中伝播をより少なくすることが可能であり、光効率を向上させることができる。
【0015】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材は、光束を反射する面に金属膜を備えることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の反射面に金属膜を備えることにより、より高効率に光束を反射させることができ、光効率を向上させることが出来る。
【0017】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材は、光束を反射する部分が、光束を集光する凹状の集光部分を備えることを特徴とするものである。
【0018】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の反射面に集光部分を備えることにより、光束を集光することができるため、光効率を向上させることが出来る。
【0019】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材は、撓み部材への接続部を備え、接続部は、撓み部材よりも厚み方向に曲がり易い構造から構成されることを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の接続部を撓み部材よりも曲がり易い構造にすることにより、ミラー部材を適切な角度に曲げる際、容易に行うことが出来るため製造効率が向上する。
【0021】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、接続部は、厚みが他の部位よりも薄い部分を備えることを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の接続部は厚みが他の部位よりも薄い部分をそなえることにより、薄い部分において曲がり易い構造であるため、ミラー部材を適切な角度に曲げる際、容易に行うことが出来るため製造効率が向上する。
【0023】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、接続部は、幅が前記ミラー部材における接続部以外の部位よりも狭い部分を備えることを特徴とするものである。
【0024】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の接続部の幅が他の部位よりも狭い部分を備えていることにより、幅の狭い部分において曲がり易い構造であるため、ミラー部材を適切な角度に曲げる際、容易に行うことが出来るため製造効率が向上する
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、フレクシャは、光導波路を位置決めするために用いられる位置決め部を備えることを特徴とするものである。
【0025】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、フレクシャが光導波路の位置決め部を備えることにより、光導波路の位置決めを容易に行うことができるため、製造効率を向上させることが出来る。
【0026】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、位置決め部は、フレクシャと一体に形成されており、光導波路の長手方向に延びる細長空間部を備えており、導光部は、細長空間部に配置されることにより、導光部の幅方向の位置決めが成されるものであることを特徴とするものである。
【0027】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、フレクシャと一体形成された位置決め機能を持つ細長空間部に光導波路を配置することにより、フレクシャのスライダを配置する面を面一に保つことができるため、スライダの配置を容易にすることができ、製造効率を向上させることが出来る。
【0028】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材は、細長空間部に配置された導光部の先端と対向するように備えられていることを特徴とするものである。
【0029】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、フレクシャに一体形成された細長空間部の先端面をミラー部材とすることにより、光導波路の位置決め機能とミラー機能を有する構造を一括加工することが可能であるため、製造効率を向上させることができる。
【0030】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材の傾斜角を保持する傾斜保持部を備えることを特徴とするものである。
【0031】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材に保持部を備えることにより、ミラー部材の傾斜角を適切な角度に保つことが出来る。これにより、長期使用による性能劣化を防ぐことが出来る。
【0032】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、傾斜保持部は、撓み部材に備えられ、ミラー部材の両面のうちの光束を反射する側とは逆側の部分と当接する当接部を備えることを特徴とするものである。
【0033】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の反射面とは反対の面に傾斜保持部の当接部を備えることにより、ミラー部材の傾斜角を適切な角度に保つことが出来る。これにより、長期使用による性能劣化を防ぐことが出来る。
【0034】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材は、当接部が嵌め込まれる溝を備えることを特徴とするものである。
【0035】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の反射面とは反対側の面に溝を備えることにより、ミラー部材を折り曲げる工程を行う際、溝に当接部を嵌めこむことで反射面を適切な角度にすることが可能であり、加工が容易になる。これにより、製造効率が向上する。さらに、溝に当接部を嵌めこみ、ミラー部材の傾斜角を保持させることにより、ミラー部材の傾斜角をより強固に保つことが出来る。これにより、長期使用による性能劣化を防ぐことが出来る。
【0036】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、スライダに電流を供給する電気配線を備え、フレクシャは、傾斜部と平坦部とを備え、傾斜部の一部は前記ミラー部材により構成されており、平坦部には、電気配線が備えられていることを特徴とするものである。
【0037】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、平坦部に電気配線が備えられることにより、電気配線が、傾斜面などで曲げられて受ける余計な負荷を回避することができる。これにより、電気配線の劣化を防ぐことができる。
【0038】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、フレクシャは、スライダを支持する支持部と、フレクシャの先端で支持部と接続され、支持部に備えられる腕部とを備え、支持部と腕部はミラー部材を介して接続する第1接続部と、導光部の長手方向に対して直交する方向において、第1接続部と併設して備えられており、腕部と支持部とを接続する第2接続部と、第1接続部及び第2接続部のうちの第2接続部のみを介してスライダに電気配線が接続される電気配線部とを備えることを特徴とするものである。
【0039】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材が備えられているフレクシャの領域を避けて電気配線を配置することにより、電気配線が、傾斜面などで曲げられて受ける余計な負荷を回避することができる。これにより、電気配線の劣化を防ぐことができる。
【0040】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、導光部は、スライダと同等もしくは広い幅を有することを特徴とするものである。
【0041】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、導光部がスライダと同等かそれ以上の幅を持つ程度に幅広く作られていることにより、導光部の上に直接スライダを固定しても、スライダを安定してフレクシャに固定できる。このため、スライダを安定して固定するための立体構造部などの構造が必要ない。これにより、立体構造部の材料費を削減できる。またさらに、導光部が幅広に形成されていることにより、導光部を扱い易くなる。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、導光部から出射した光束をスライダへ反射するミラー部材が撓み部材と一体に形成されていることにより、導光部に複雑な加工を施すことなく、導光部を伝播してきた光束をスライダへ容易に曲げることができる。これにより、加工工数や製造コストを低減させることができるため、製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1実施形態に係る情報記録再生装置1の一実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示すスライダ2を拡大した断面図である。
【図3】図1に示すヘッドジンバルアセンブリ12を部品ごとに分離して見た斜視図である。
【図4】図3に示すフレクシャ25を拡大して示した斜視図である。
【図5】図4とは異なる構造例を示したフレクシャ25の拡大斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るミラー部材52を示した斜視図である。
【図7】第3実施形態に係るミラー部材53を示した斜視図である。
【図8】第4実施形態に係るミラー部材54を示した図である。上図:ミラー部材を真上から見た図。下図:上図のB−B'線で切った断面図。
【図9】第5実施形態に係るフレクシャ25の先端部分を拡大して示した斜視図である。
【図10】第6実施形態に係るミラー部材56を示した斜視図である。
【図11】第7実施形態に係るフレクシャ25及び導光部321を拡大して示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(第1実施形態)
(情報記録再生装置)
以下、本発明に係る第1実施形態を、図1から図5を参照して説明する。図1は、本発
明に係る情報記録再生装置1の一実施形態を示す構成図である。なお、本実施形態の情報
記録再生装置1は、垂直記録層を有するディスク(記録媒体)Dに対して、垂直記録方式
で書き込みを行う装置である。
【0045】
本実施形態の情報記録再生装置1は、キャリッジ11と、キャリッジ11の基端側から光束を供給するレーザ光源20と、キャリッジ11の先端側に支持され、サスペンション3とサスペンション3の先端に形成されたスライダ2から構成されるヘッドジンバルアセンブリ(HGA)12と、ヘッドジンバルアセンブリ12をディスクDの表面に平行なXY方向に向けてスキャン移動させるアクチュエータ6と、ディスクDを所定の方向に向けて回転させるスピンドルモータ7と、配線4を介してレーザ光源20に接続されており、情報に応じて変調した電流をスライダ2に対して供給する制御部5と、これら各構成品を内部に収容するハウジング(不図示)とを備えている。
【0046】
ハウジングは、アルミニウム等の金属材料からなる上部開口部を有する箱型形状のものであり、上面視四角形状の底部9と、底部9の周縁において底部9に対して鉛直方向に立設する周壁(不図示)とで構成されている。そして、周壁に囲まれた内側には、上述した各構成品等を収容する凹部が形成される。なお、図1においては、説明を分かりやすくするため、ハウジングの周囲を取り囲む周壁を省略する。また、このハウジングには、ハウジングの開口を塞ぐように図示しない蓋が着脱可能に固定されるようになっている。底部9の略中心には、上述したスピンドルモータ7が取り付けられており、該スピンドルモータ7に中心孔を嵌め込むことでディスクDが着脱自在に固定される。
【0047】
ディスクDの外側、つまり底部9の隅角部には、上述したアクチュエータ6が取り付けられている。このアクチュエータ6には、ピボット軸10を中心にXY方向に対して回動可能なキャリッジ11が取り付けられている。このキャリッジ11は、基端部から先端部に向けてディスクDの表面に沿って延設されたアーム部14と、基端部を介してアーム部14を片持ち状に支持する基部15とが、削り出し加工等により一体形成されたものである。基部15は、ピボット軸10まわりを回動可能に支持されている。つまり、基部15はピボット軸10を介してアクチュエータ6に連結されており、このピボット軸10がキャリッジ11の回転中心となっている。
【0048】
アーム部14は、基端部から先端部に向かうにつれ先細るテーパ形状に形成されており、各アーム部14間に、ディスクDが挟み込まれるように配置されている。つまり、アーム部14とディスクDとが、互い違いになるように配されており、アクチュエータ6の駆動によってアーム部14がディスクDの表面に平行な方向(XY方向)に移動可能とされている。なお、キャリッジ11及びヘッドジンバルアセンブリ12は、ディスクDの回転停止時にアクチュエータ6の駆動によって、ディスクD上から退避するようになっている。
(ヘッドジンバルアセンブリ)
ヘッドジンバルアセンブリ12は、レーザ光源20から導光部32を介してスライダ2へ入射させた光束を、スライダ2の先端から近接場光として発生させ、該近接場光を利用してディスクDに各種情報を記録再生させるものである。また、スライダ2をディスクDからわずかに浮上させる機能を有している。
【0049】
本実施形態のヘッドジンバルアセンブリ12は、上述したレーザ光源20からスライダ2まで光束を導くための導光部32と、スライダ2に備えられる後述する記録素子42や再生素子41などを動作させるための電流を供給する電気配線31が、スライダ2に隣接して接続されている。さらにこれらの導光部32、電気配線31及びスライダ2を固定させるサスペンション3が備えられている。
(スライダ)
スライダ2は、ディスクDとサスペンション3との間に配置された状態で、サスペンション3の下面にフレクシャ25を挟んで支持されている。図2はスライダ2をX方向から見た時の断面を拡大して示してある。スライダ2は、ディスクD(図1参照)の表面から所定距離だけ浮上した状態でディスクDに対向配置され、ディスクDの表面に対向する浮上面2aを有するスライダ基板60と、その先端面60cに備えられた記録素子42、再生素子41、及び導光部32(図2参照)から供給された光束をディスクD側から近接場光として光を発生させる近接場光発生素子40から構成される。
【0050】
ここで、記録素子42、近接場光発生部40、及び再生素子41の配置はこの限りではなく、スライダ基板60の先端面60cに再生素子41、その隣に記録素子42、さらにその隣に近接場光発生素子40が配置されていてもよい。
【0051】
また、スライダ2(スライダ基板60)の底面は、上述したようにディスクDの表面に対向する浮上面2aとなっている。この浮上面2aは、回転するディスクDによって生じた空気流の粘性から、浮上するための圧力を発生させる面であり、ABS(Air Bearing Surface)と呼ばれている。
【0052】
(サスペンション)
図3は、スライダ2が上側に備えられる方向から、サスペンション3を部品ごとに分離して示した斜視図である。サスペンション3は、上面視略四角状に形成されたベースプレート22と、ベースプレート22の先端側にヒンジ板23を介して連結された平面視略三角状のロードビーム24とフレクシャ25で構成されている。
【0053】
ベースプレート22は、ステンレス等の厚みの薄い金属材料によって構成されており、基端側には厚さ方向に貫通する開口22aが形成されている。そして、この開口22aを介してベースプレート22がアーム部14(図1参照)の先端に固定されるようになっている。ベースプレート22の上面には、ステンレス等の金属材料により構成されたシート状のヒンジ板23が配置されている。このヒンジ板23は、ベースプレート22の上面の全面に亘って形成された平板状のものである。ヒンジ板23の先端部分にロードビーム24が連結されている。
【0054】
ロードビーム24は、ベースプレート22と同様にステンレス等の厚みの薄い金属材料によって構成されており、その基端がベースプレート22の先端との間に間隙を有した状態でヒンジ板23に連結されている。これにより、サスペンション3はベースプレート22とロードビーム24との間を中心に屈曲して、ディスクDの表面に垂直なZ方向に向けて撓み易くなっている。
【0055】
フレクシャ25は、ステンレス等の金属材料により構成されたシート状のものであり、シート状に形成されることで厚さ方向に撓み変形可能に構成されている。また、フレクシャ25は、ロードビーム24の先端側に固定されており、サスペンション3が変形した際にサスペンション3の変形に追従するように構成されている。
【0056】
また、ロードビーム24の先端には、フレクシャ25及びスライダ2の略中心に向かって突出する突起部19が形成されている。この突起部19の先端は、丸みを帯びた状態となっている。そして突起部19は、スライダ2がディスクDから受ける風圧によりロードビーム24側に浮上したときに、フレクシャ25の先端表面(上面)に点接触するようになっている。つまり、突起部19は、フレクシャ25と導光部32を介して、スライダ2を支持するとともに、ディスクDの表面に向けて(Z方向に向けて)スライダ2に荷重を付与するようになっている。
【0057】
(フレクシャ)
図4は、図3のフレクシャ25を抜き出して拡大したもの(基部の一部は省略)と、フレクシャ25に固定する部材を点線で示した斜視図である。フレクシャ25は、先端部分に腕部21と支持部16を備えている。
【0058】
腕部21は、フレクシャ25の中ほどから二分岐して先端部分で繋がっている。電気配線31も同様に、フレクシャ25の中ほどから分岐し、腕部21に沿ってフレクシャ25の先端まで引き回され、スライダ2の先端部に接続されている。
【0059】
支持部16は、腕部21に囲われたフレクシャ25の先端部分の内部空地に備えられており、フレクシャ25の先端で腕部21に支持されている。導光部32は、スライダ2と支持部16の間に挟まれた状態で備えられている。支持部16には、導光部32を伝播してきた光束を、スライダ2へ入射させる方向に反射する機能を有するミラー部材50と、スライダ2を導光部32を挟んで支持部16に固定する際に、安定して固定するために用いられる立体構造部80が設けられている。
【0060】
ミラー部材50は、支持部16に一体形成されたものであり、接続部501と反射板502とから形成される。接続部501は、反射面502よりも幅が狭く作られている。反射板502は、この接続部501に繋がって備えられている。ミラー部材50は、フレクシャ25を成型する際のエッチング工程で作る。接続部501は、プレス加工により折り曲げ、反射板が適切な角度を持つように成型する。導光部32により導かれた光束はこの反射板501の表面で反射され、略90°曲げられた光束はスライダ内の近接場光発生素子40へ入射する。
【0061】
立体構造部80は、導光部32の周辺に位置するように支持部16上に設けられており、電気配線31の材料の一部に使用されるポリイミド樹脂などの合成樹脂でできている。スライダ2はこの立体構造部80の上に固定される。この立体構造部80により、スライダ2が導光部32のみを土台に固定されることで、固定が不安定になることを防ぐことができる。また、電気配線31と接続する際の高さ調節を行うこともできる。
【0062】
このように、支持部16にミラー部材50を設けることで、導光部32に複雑な加工を施すことなく、サスペンション3の延設方向に伝播してきた光束をスライダ2の近接場光発生素子40へ入射する方向に容易に曲げることができる。これにより、加工工数や製造コストを低減させることができるため、製造効率を向上させることができる。
【0063】
ここで、ミラー部材50は図4や上記に示した限りではなく、図5に示すような支持部16の全体を山折りにしたミラー部材51のようなものでもよい。この場合、導光部32の先端面に対向するミラー部材51の斜面が反射面となり、導光部32より導かれた光束はこの反射面で反射されて、スライダ内の近接場光発生素子40へ入射する。
(情報記録再生方法)
次に、このように組み立てられたヘッドジンバルアセンブリ12により、ディスクDに各種の情報を記録再生する手順について以下に説明する。まず、図1に示すように、スピンドルモータ7を駆動させてディスクDを所定方向に回転させる。次いで、アクチュエータ6を作動させて、ピボット軸10を回転中心としてキャリッジ11を回動させ、キャリッジ11を介してヘッドジンバルアセンブリ12をXY方向にスキャンさせる。これにより、ディスクD上の所望する位置にスライダ2を配置させることができる。この際、スライダ2は、サスペンション3によって支持されていると共に所定の力でディスクD側に押さえ付けられている。また、これと同時にスライダ2は、浮上面2aがディスクDに対向しているので、回転するディスクDによって生じる風圧の影響を受けて浮上する力を受けている。この両者の力のバランスによって、スライダ2はディスクD上から離間した位置に浮上している状態となっている。また、ディスクDの凹凸やうねり等により、スライダ2にXY方向に向かう風圧が加わったときに、フレクシャ25の支持部16に備えられたスライダ2は、突起部19を中心としてX軸及びY軸の2軸回りに捩じれるようになっている。これにより、ディスクDのうねりによるZ方向の変位(ディスクDの表面に略直交する方向への変位)を吸収することができ、スライダ2の姿勢が安定するようになっている。
【0064】
ここで、情報の記録を行う場合、制御部5はレーザ光源20を作動させるとともに、情報に応じて変調した電流をスライダ2に供給し、記録素子42を作動させる。
【0065】
レーザ光源20から出射された光束は、導光部32内を先端(流出端)側に向かって進み、導光部32の先端に備えられたミラー部材50によりディスクDに向かって垂直方向に曲げられる。曲げられた光束は、図2に示すように、スライダ2の上面2d側から近接場光発生素子40に入射され、近接場光発生素子40を介することにより、近接場光として発生される。すると、ディスクDは、この近接場光によって局所的に加熱されて一時的に保磁力が低下する。 一方、制御部5(図1参照)によってスライダ2に電流が供給されると、スライダ2内部の記録素子42により、ディスクDに対して垂直方向の記録磁界を発生させることができる。その結果、近接場光と記録素子42で発生した記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式により情報の記録を行うことができる。さらに、垂直記録方式で記録を行うので、熱揺らぎ現象等の影響を受け難く、安定した記録を行うことができる。よって、書き込みの信頼性を高めることができる。またさらに、記録磁界が局所的に作用する位置に加熱温度のピーク位置を入れることができる。従って、確実に記録を行うことができ、信頼性の向上化を図ることができると共に高密度記録化を図ることができる。
【0066】
次に、ディスクDに記録された情報を再生する場合には、再生素子41が、ディスクDから漏れ出ている磁界を受けて、その大きさに応じて電気抵抗が変化する。よって、再生素子41の電圧が変化する。これにより制御部5(図1参照)は、ディスクDから漏れ出た磁界の変化を電圧の変化として検出することができる。そして制御部5は、この電圧の変化から信号の再生を行うことで、情報の再生を行うことができる。
【0067】
このように、スライダ2を利用してディスクDに対して各種の情報を記録再生することができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、図6に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、支持部16について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0069】
図6は、第2実施形態における支持部16に一体形成されたミラー部材52を拡大して示したものである。ミラー部材52は、接続部521と反射板522から成り、反射板522の表面には、光束の反射率を向上させるために金属膜70が備えられている。
【0070】
金属膜70は、接続部521を折り曲げる前に、アルミや金などを蒸着やスパッタなどの方法で付ける。ただし、工程順序はこの限りではなく、接続部521を折り曲げてから付けてもよい。また金属膜70は、図6に示すとおりに反射板522に局所的に付ける必要はなく、支持部16やフレクシャ25全体に付いていてもよい。
【0071】
係る実施形態においては、ミラー部材52の反射板522に金属膜70を備えることにより、反射率を上げ、光効率を向上させることができる。
【0072】
(第3実施形態)
次に、図7に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、支持部16について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0073】
図7は、第3実施形態における支持部16に一体形成されたミラー部材53を拡大して示したものである。ミラー部材53は接続部531と反射板532から成り、反射板532の表面には、光束を反射した際に、光束を集光させてスライダ2の近接場光発生素子40へ導くことができる凹状の集光部分71を備えられている。集光部分71は、フレクシャ25を形成する際のエッチング過程で形成する。ただし、集光部分71の製造方法はこの限りではなく、フレクシャ25の立体構造を形成するプレス加工の際に、同時にプレス加工により形成してもよい。
【0074】
係る実施形態においては、ミラー部材53の反射板532に集光部分71を備えることにより、光束を集光することができるため、光効率を向上させることが出来る。
(第4実施形態)
次に、図8に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、支持部16について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0075】
図8の上図は、第4実施形態における支持部16に一体形成されたミラー部材54を真上から見た状態で拡大して示したものである。また図8の下図は、上図のB-B'線で切った面をX方向から見た図である。ミラー部材54は、接続部541と反射板542から成り、接続部541には、接続部541を折り曲げる際、より曲がり易くするために、他の部位よりも板薄になっているえぐり部72が備えられている。えぐり部72は、フレクシャ25を形成する際のエッチング過程で形成する。
【0076】
係る実施形態においては、ミラー部材54の接続部541に他の部位よりも板薄になっているえぐり部が設けられることにより、接続部541を曲げる際に曲げ易くなり、加工を容易に行うことができる。
【0077】
(第5実施形態)
次に、図9に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、フレクシャ25の先端部分について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0078】
図9は、フレクシャ25の先端部分を拡大して示したものである。支持部161は、導光部32を支持部161のX方向に位置決めすると共に、導光部32が支持部161に備えられた際に、支持部161と導光部32の上面を面一にする溝73を備えている。また溝73は、溝73の側面のうち、導光部32の先端面が対向するど当たり面に、ミラー部材55が備えられている。ミラー部材55を備えた溝73は、フレクシャ25を成型する際のプレス加工で他の凹凸を成型すると同時に形成する。
【0079】
係る実施形態においては、溝73のど当たり面をミラー部材とすることで、導光部32を支持部161の特にミラー部材55に対して精度よく位置決めすることができる。
【0080】
またさらに、ミラー部材55および導光部32を支持部161の面よりもスライダ2が固定される側とは反対側に突出するように配置したことで、支持部161のスライダ2を固定する面が面一になるため、立体構造部80を薄くすることができる。すなわち、導光部32の上にスライダ2を固定させた際、スライダ2は固定が不安定になるため立体構造部80は、導光部32の厚み程度に厚く形成する必要があったが、その必要がなくなる。これにより、立体構造部80の材料費を削減できると共に、スライダ2を支持部161に固定する工程を容易に行うことができる。
【0081】
(第6実施形態)
次に、図10に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、支持部16について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0082】
図10は、第6実施形態における支持部16に一体形成されたミラー部材56を拡大して示したものである。ミラー部材56は、反射板562、反射板562の接続部561および保持部74により構成される。反射板562の光束を反射する面とは反対側の面には、保持部74が当接する部分に保持部74が嵌め込まれるかしめ溝75が備えられており、保持部74はこのかしめ溝75に嵌ることにより、反射板562を適切な角度に保持することができる。接続部561は、反射板562と同じ幅に形成されている。ミラー部材56は、フレクシャ25を成型する際のエッチング工程で反射板562と保持部74の周りの金属板を抜いて形成し、かしめ溝75は同様のエッチング工程でエッチングレートを下げることにより形成する。
【0083】
係る実施形態においては、保持部74をかしめ溝75に嵌め込むことで、ミラー部材56の反射板562を保持し、それにより反射板562を適切な角度に容易に固定することができると共に、反射板562を強固に固定することができる。
【0084】
(第7実施形態)
次に、図11に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、フレクシャ25について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0085】
図11は、図3のフレクシャ25を抜き出して拡大したもの(基部の一部は省略)と、フレクシャ25に固定する部材を点線で示した斜視図である。ただし、導光部321のみはフレクシャ25と同様の実線で示してある。導光部321はスライダ2と同程度の幅に形成されている。スライダ2は、導光部321の支持部162とは反対側に固定される。導光部321は、樹脂導波路などで形成される。
【0086】
係る実施形態においては、導光部321がスライダ2と同程度の幅に形成されていることにより、第1実施形態から第6実施形態において、スライダ2を安定して支持部162に固定させるために必要であった立体構造部80が必要なくなる。これにより、立体構造部80の材料費を削減できる。またさらに、導光部321が幅広に形成されていることにより、導光部を扱い易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリによれば、導光部から出射した光束をスライダへ反射するミラー部材が撓み部材と一体に形成されていることにより、導光部に複雑な加工を施すことなく、導光部を伝播してきた光束をスライダへ容易に曲げることができる。これにより、加工工数や製造コストを低減させることができるため、製造効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0088】
D:ディスク(記録媒体)
1:情報記録再生装置
2:スライダ
2a:浮上面
2d:スライダ上面
3:サスペンション
4:配線
5:制御部
6:アクチュエータ
7:スピンドルモータ
9:ハウジング底部
10:ピボット軸
11:キャリッジ
12:ヘッドジンバルアセンブリ
14:アーム部
15:基部
16,161,162:支持部
19:突起部
20:レーザ光源
21:腕部
22:ベースプレート
22a:開口
23:ヒンジ板
24:ロードビーム
25:フレクシャ
31:電気配線
32,321:導光部
33:光導波路
34:光学素子
40:近接場光発生素子
41:再生素子
42:記録素子
50,51,52,53,54,55,56:ミラー部材
501,521,531,561:接続部
502,522,532,562:反射板
60:スライダ基板
60c:スライダ基板の先端面
70:金属膜
71:集光部分
72:えぐり部
73:溝
74:保持部
80:立体構造部
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を集光したスポット光を利用して記録媒体に各種の情報記録再生するヘッドジンバルアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ機器におけるハードディスク等の記録媒体(以下、ディスクという)は、より大容量且つ高密度情報の記録再生を行いたい等のニーズを受けて、更なる高密度化が求められている。そのため、隣り合う磁区同士の影響や、熱揺らぎを最小限に抑えるために、保持力の強いものがディスクとして採用され始めている。そのため、ディスクに情報を記録することが困難になっていた。
【0003】
そこで、上述した不具合を解消するために、近接場光を利用して磁区を局所的に加熱して一時的に保持力を低下させ、その間にディスクへの書き込みを行うハイブリッド磁気記録方式の情報記録再生装置が提案されている。特に、近接場光を利用する場合には、従来の光学系において限界とされていた光の波長以下となる領域を加熱することが可能となる。よって、従来の磁気記録再生装置を超える記録ビットの高密度化を図ることができる。
【0004】
上述したハイブリッド磁気記録方式による情報記録再生装置としては、各種のものが提案されているが、その1つとして、スライダ外部の光源からの光を導光部で導き、スライダ上に設けられた近接場光ヘッドにその光を供給することで、微小開口から十分大きな近接場光を生成し、超高分解能の再生記録、高速記録再生、高SN比化を図ることができる情報記録再生装置が知られている。この情報記録再生装置は、近接場光ヘッドとそれに隣接する磁気記録素子を備えたスライダをディスク上でスキャンさせ、スライダをディスク上の所望する位置に配置する。その後、近接場光ヘッドから放射された近接場光と磁気記録素子から発生する記録磁界とを協働させることで、ディスクに情報を記録することができる。またその中でも、ディスク面と近接場光ヘッドとの間の距離をより近接させるために、近接場光ヘッドをスライダの先端面(流出端)側に配置するような構成が知られている。
【0005】
ここで、近接場光ヘッドに光束を供給する導光部分は、スライダの厚み方向に薄く形成されている方が、スライダの浮上特性に影響を与え難い。そこで、特許文献1や特許文献2に示すように、光ファイバや樹脂導波路などの光導波路に光曲げ機能を付加的に加工することでスライダが厚み方向に大型化することを軽減させる工夫がなされた構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開第2006−196140号公報
【特許文献2】特許4162697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に開示されている近接場光ヘッドに光束を供給する構成においては、屈折率の異なる複数の光導波路の光軸をあわせて光学的に接続し、さらに光導波路の先端には光曲げのための反射面を形成しなければならない。このように、破損し易い光導波路に複雑な加工を施す必要があるため、加工工数及び製造コストが増加し、製造効率が低いという問題がある。
【0008】
一方、サスペンションに沿って光を導く構造として特許文献2がある。特許文献2では、光導波路がフレクシャ上に形成されているという構造上の特徴のために、光導波路先端に光曲げ構造を形成する際、レーザ加工工程が必要となる。ゆえに、既存のフレクシャ製造工程では製造できず、光曲げ構造である先端45度カットを非常に正確に行える高精度のレーザ加工機を導入し、加工工数を増やす必要がある。よって、加工工数及び製造コストが増加し、製造効率が低いという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、近接場光ヘッドに光束を供給するための光曲げ構造を容易に行うことで、加工コスト及び製造コストを低減して製造効率を向上させることができるヘッドジンバルアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の手段を提供する。
【0011】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、近接場光により記録媒体に情報を記録するヘッドジンバルアセンブリであって、記録媒体の表面に沿って延設され、厚さ方向に撓む板状の撓み部材と、撓み部材の先端側において、記録媒体の表面と対向するように配置され、光束を用いて近接場光を発生するスライダと、光束を前記撓み部材の先端まで導く導光部と、撓み部材と一体に形成されており、撓み部材に対して傾斜しているとともに導光部から出射した光束をスライダに反射するミラー部材とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、導光部から出射した光束をスライダへ反射するミラー部材が撓み部材と一体に形成されていることにより、導光部に複雑な加工を施すことなく、導光部を伝播してきた光束をスライダへ容易に曲げることができる。これにより、加工工数や製造コストを低減させることができるため、製造効率を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、撓み部材の先端側に備えられており、撓み部材よりも厚さ方向に撓み易いとともにスライダが配置されるフレクシャを備え、フレクシャの一部は、ミラー部材により構成されることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、スライダに隣接するフレクシャにミラー部材が構成されていることによって、導光部から出射された光の空中伝播をより少なくすることが可能であり、光効率を向上させることができる。
【0015】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材は、光束を反射する面に金属膜を備えることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の反射面に金属膜を備えることにより、より高効率に光束を反射させることができ、光効率を向上させることが出来る。
【0017】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材は、光束を反射する部分が、光束を集光する凹状の集光部分を備えることを特徴とするものである。
【0018】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の反射面に集光部分を備えることにより、光束を集光することができるため、光効率を向上させることが出来る。
【0019】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材は、撓み部材への接続部を備え、接続部は、撓み部材よりも厚み方向に曲がり易い構造から構成されることを特徴とするものである。
【0020】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の接続部を撓み部材よりも曲がり易い構造にすることにより、ミラー部材を適切な角度に曲げる際、容易に行うことが出来るため製造効率が向上する。
【0021】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、接続部は、厚みが他の部位よりも薄い部分を備えることを特徴とするものである。
【0022】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の接続部は厚みが他の部位よりも薄い部分をそなえることにより、薄い部分において曲がり易い構造であるため、ミラー部材を適切な角度に曲げる際、容易に行うことが出来るため製造効率が向上する。
【0023】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、接続部は、幅が前記ミラー部材における接続部以外の部位よりも狭い部分を備えることを特徴とするものである。
【0024】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の接続部の幅が他の部位よりも狭い部分を備えていることにより、幅の狭い部分において曲がり易い構造であるため、ミラー部材を適切な角度に曲げる際、容易に行うことが出来るため製造効率が向上する
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、フレクシャは、光導波路を位置決めするために用いられる位置決め部を備えることを特徴とするものである。
【0025】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、フレクシャが光導波路の位置決め部を備えることにより、光導波路の位置決めを容易に行うことができるため、製造効率を向上させることが出来る。
【0026】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、位置決め部は、フレクシャと一体に形成されており、光導波路の長手方向に延びる細長空間部を備えており、導光部は、細長空間部に配置されることにより、導光部の幅方向の位置決めが成されるものであることを特徴とするものである。
【0027】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、フレクシャと一体形成された位置決め機能を持つ細長空間部に光導波路を配置することにより、フレクシャのスライダを配置する面を面一に保つことができるため、スライダの配置を容易にすることができ、製造効率を向上させることが出来る。
【0028】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材は、細長空間部に配置された導光部の先端と対向するように備えられていることを特徴とするものである。
【0029】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、フレクシャに一体形成された細長空間部の先端面をミラー部材とすることにより、光導波路の位置決め機能とミラー機能を有する構造を一括加工することが可能であるため、製造効率を向上させることができる。
【0030】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材の傾斜角を保持する傾斜保持部を備えることを特徴とするものである。
【0031】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材に保持部を備えることにより、ミラー部材の傾斜角を適切な角度に保つことが出来る。これにより、長期使用による性能劣化を防ぐことが出来る。
【0032】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、傾斜保持部は、撓み部材に備えられ、ミラー部材の両面のうちの光束を反射する側とは逆側の部分と当接する当接部を備えることを特徴とするものである。
【0033】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の反射面とは反対の面に傾斜保持部の当接部を備えることにより、ミラー部材の傾斜角を適切な角度に保つことが出来る。これにより、長期使用による性能劣化を防ぐことが出来る。
【0034】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、ミラー部材は、当接部が嵌め込まれる溝を備えることを特徴とするものである。
【0035】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材の反射面とは反対側の面に溝を備えることにより、ミラー部材を折り曲げる工程を行う際、溝に当接部を嵌めこむことで反射面を適切な角度にすることが可能であり、加工が容易になる。これにより、製造効率が向上する。さらに、溝に当接部を嵌めこみ、ミラー部材の傾斜角を保持させることにより、ミラー部材の傾斜角をより強固に保つことが出来る。これにより、長期使用による性能劣化を防ぐことが出来る。
【0036】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、スライダに電流を供給する電気配線を備え、フレクシャは、傾斜部と平坦部とを備え、傾斜部の一部は前記ミラー部材により構成されており、平坦部には、電気配線が備えられていることを特徴とするものである。
【0037】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、平坦部に電気配線が備えられることにより、電気配線が、傾斜面などで曲げられて受ける余計な負荷を回避することができる。これにより、電気配線の劣化を防ぐことができる。
【0038】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、フレクシャは、スライダを支持する支持部と、フレクシャの先端で支持部と接続され、支持部に備えられる腕部とを備え、支持部と腕部はミラー部材を介して接続する第1接続部と、導光部の長手方向に対して直交する方向において、第1接続部と併設して備えられており、腕部と支持部とを接続する第2接続部と、第1接続部及び第2接続部のうちの第2接続部のみを介してスライダに電気配線が接続される電気配線部とを備えることを特徴とするものである。
【0039】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、ミラー部材が備えられているフレクシャの領域を避けて電気配線を配置することにより、電気配線が、傾斜面などで曲げられて受ける余計な負荷を回避することができる。これにより、電気配線の劣化を防ぐことができる。
【0040】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、導光部は、スライダと同等もしくは広い幅を有することを特徴とするものである。
【0041】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、導光部がスライダと同等かそれ以上の幅を持つ程度に幅広く作られていることにより、導光部の上に直接スライダを固定しても、スライダを安定してフレクシャに固定できる。このため、スライダを安定して固定するための立体構造部などの構造が必要ない。これにより、立体構造部の材料費を削減できる。またさらに、導光部が幅広に形成されていることにより、導光部を扱い易くなる。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリにおいては、導光部から出射した光束をスライダへ反射するミラー部材が撓み部材と一体に形成されていることにより、導光部に複雑な加工を施すことなく、導光部を伝播してきた光束をスライダへ容易に曲げることができる。これにより、加工工数や製造コストを低減させることができるため、製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1実施形態に係る情報記録再生装置1の一実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示すスライダ2を拡大した断面図である。
【図3】図1に示すヘッドジンバルアセンブリ12を部品ごとに分離して見た斜視図である。
【図4】図3に示すフレクシャ25を拡大して示した斜視図である。
【図5】図4とは異なる構造例を示したフレクシャ25の拡大斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るミラー部材52を示した斜視図である。
【図7】第3実施形態に係るミラー部材53を示した斜視図である。
【図8】第4実施形態に係るミラー部材54を示した図である。上図:ミラー部材を真上から見た図。下図:上図のB−B'線で切った断面図。
【図9】第5実施形態に係るフレクシャ25の先端部分を拡大して示した斜視図である。
【図10】第6実施形態に係るミラー部材56を示した斜視図である。
【図11】第7実施形態に係るフレクシャ25及び導光部321を拡大して示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(第1実施形態)
(情報記録再生装置)
以下、本発明に係る第1実施形態を、図1から図5を参照して説明する。図1は、本発
明に係る情報記録再生装置1の一実施形態を示す構成図である。なお、本実施形態の情報
記録再生装置1は、垂直記録層を有するディスク(記録媒体)Dに対して、垂直記録方式
で書き込みを行う装置である。
【0045】
本実施形態の情報記録再生装置1は、キャリッジ11と、キャリッジ11の基端側から光束を供給するレーザ光源20と、キャリッジ11の先端側に支持され、サスペンション3とサスペンション3の先端に形成されたスライダ2から構成されるヘッドジンバルアセンブリ(HGA)12と、ヘッドジンバルアセンブリ12をディスクDの表面に平行なXY方向に向けてスキャン移動させるアクチュエータ6と、ディスクDを所定の方向に向けて回転させるスピンドルモータ7と、配線4を介してレーザ光源20に接続されており、情報に応じて変調した電流をスライダ2に対して供給する制御部5と、これら各構成品を内部に収容するハウジング(不図示)とを備えている。
【0046】
ハウジングは、アルミニウム等の金属材料からなる上部開口部を有する箱型形状のものであり、上面視四角形状の底部9と、底部9の周縁において底部9に対して鉛直方向に立設する周壁(不図示)とで構成されている。そして、周壁に囲まれた内側には、上述した各構成品等を収容する凹部が形成される。なお、図1においては、説明を分かりやすくするため、ハウジングの周囲を取り囲む周壁を省略する。また、このハウジングには、ハウジングの開口を塞ぐように図示しない蓋が着脱可能に固定されるようになっている。底部9の略中心には、上述したスピンドルモータ7が取り付けられており、該スピンドルモータ7に中心孔を嵌め込むことでディスクDが着脱自在に固定される。
【0047】
ディスクDの外側、つまり底部9の隅角部には、上述したアクチュエータ6が取り付けられている。このアクチュエータ6には、ピボット軸10を中心にXY方向に対して回動可能なキャリッジ11が取り付けられている。このキャリッジ11は、基端部から先端部に向けてディスクDの表面に沿って延設されたアーム部14と、基端部を介してアーム部14を片持ち状に支持する基部15とが、削り出し加工等により一体形成されたものである。基部15は、ピボット軸10まわりを回動可能に支持されている。つまり、基部15はピボット軸10を介してアクチュエータ6に連結されており、このピボット軸10がキャリッジ11の回転中心となっている。
【0048】
アーム部14は、基端部から先端部に向かうにつれ先細るテーパ形状に形成されており、各アーム部14間に、ディスクDが挟み込まれるように配置されている。つまり、アーム部14とディスクDとが、互い違いになるように配されており、アクチュエータ6の駆動によってアーム部14がディスクDの表面に平行な方向(XY方向)に移動可能とされている。なお、キャリッジ11及びヘッドジンバルアセンブリ12は、ディスクDの回転停止時にアクチュエータ6の駆動によって、ディスクD上から退避するようになっている。
(ヘッドジンバルアセンブリ)
ヘッドジンバルアセンブリ12は、レーザ光源20から導光部32を介してスライダ2へ入射させた光束を、スライダ2の先端から近接場光として発生させ、該近接場光を利用してディスクDに各種情報を記録再生させるものである。また、スライダ2をディスクDからわずかに浮上させる機能を有している。
【0049】
本実施形態のヘッドジンバルアセンブリ12は、上述したレーザ光源20からスライダ2まで光束を導くための導光部32と、スライダ2に備えられる後述する記録素子42や再生素子41などを動作させるための電流を供給する電気配線31が、スライダ2に隣接して接続されている。さらにこれらの導光部32、電気配線31及びスライダ2を固定させるサスペンション3が備えられている。
(スライダ)
スライダ2は、ディスクDとサスペンション3との間に配置された状態で、サスペンション3の下面にフレクシャ25を挟んで支持されている。図2はスライダ2をX方向から見た時の断面を拡大して示してある。スライダ2は、ディスクD(図1参照)の表面から所定距離だけ浮上した状態でディスクDに対向配置され、ディスクDの表面に対向する浮上面2aを有するスライダ基板60と、その先端面60cに備えられた記録素子42、再生素子41、及び導光部32(図2参照)から供給された光束をディスクD側から近接場光として光を発生させる近接場光発生素子40から構成される。
【0050】
ここで、記録素子42、近接場光発生部40、及び再生素子41の配置はこの限りではなく、スライダ基板60の先端面60cに再生素子41、その隣に記録素子42、さらにその隣に近接場光発生素子40が配置されていてもよい。
【0051】
また、スライダ2(スライダ基板60)の底面は、上述したようにディスクDの表面に対向する浮上面2aとなっている。この浮上面2aは、回転するディスクDによって生じた空気流の粘性から、浮上するための圧力を発生させる面であり、ABS(Air Bearing Surface)と呼ばれている。
【0052】
(サスペンション)
図3は、スライダ2が上側に備えられる方向から、サスペンション3を部品ごとに分離して示した斜視図である。サスペンション3は、上面視略四角状に形成されたベースプレート22と、ベースプレート22の先端側にヒンジ板23を介して連結された平面視略三角状のロードビーム24とフレクシャ25で構成されている。
【0053】
ベースプレート22は、ステンレス等の厚みの薄い金属材料によって構成されており、基端側には厚さ方向に貫通する開口22aが形成されている。そして、この開口22aを介してベースプレート22がアーム部14(図1参照)の先端に固定されるようになっている。ベースプレート22の上面には、ステンレス等の金属材料により構成されたシート状のヒンジ板23が配置されている。このヒンジ板23は、ベースプレート22の上面の全面に亘って形成された平板状のものである。ヒンジ板23の先端部分にロードビーム24が連結されている。
【0054】
ロードビーム24は、ベースプレート22と同様にステンレス等の厚みの薄い金属材料によって構成されており、その基端がベースプレート22の先端との間に間隙を有した状態でヒンジ板23に連結されている。これにより、サスペンション3はベースプレート22とロードビーム24との間を中心に屈曲して、ディスクDの表面に垂直なZ方向に向けて撓み易くなっている。
【0055】
フレクシャ25は、ステンレス等の金属材料により構成されたシート状のものであり、シート状に形成されることで厚さ方向に撓み変形可能に構成されている。また、フレクシャ25は、ロードビーム24の先端側に固定されており、サスペンション3が変形した際にサスペンション3の変形に追従するように構成されている。
【0056】
また、ロードビーム24の先端には、フレクシャ25及びスライダ2の略中心に向かって突出する突起部19が形成されている。この突起部19の先端は、丸みを帯びた状態となっている。そして突起部19は、スライダ2がディスクDから受ける風圧によりロードビーム24側に浮上したときに、フレクシャ25の先端表面(上面)に点接触するようになっている。つまり、突起部19は、フレクシャ25と導光部32を介して、スライダ2を支持するとともに、ディスクDの表面に向けて(Z方向に向けて)スライダ2に荷重を付与するようになっている。
【0057】
(フレクシャ)
図4は、図3のフレクシャ25を抜き出して拡大したもの(基部の一部は省略)と、フレクシャ25に固定する部材を点線で示した斜視図である。フレクシャ25は、先端部分に腕部21と支持部16を備えている。
【0058】
腕部21は、フレクシャ25の中ほどから二分岐して先端部分で繋がっている。電気配線31も同様に、フレクシャ25の中ほどから分岐し、腕部21に沿ってフレクシャ25の先端まで引き回され、スライダ2の先端部に接続されている。
【0059】
支持部16は、腕部21に囲われたフレクシャ25の先端部分の内部空地に備えられており、フレクシャ25の先端で腕部21に支持されている。導光部32は、スライダ2と支持部16の間に挟まれた状態で備えられている。支持部16には、導光部32を伝播してきた光束を、スライダ2へ入射させる方向に反射する機能を有するミラー部材50と、スライダ2を導光部32を挟んで支持部16に固定する際に、安定して固定するために用いられる立体構造部80が設けられている。
【0060】
ミラー部材50は、支持部16に一体形成されたものであり、接続部501と反射板502とから形成される。接続部501は、反射面502よりも幅が狭く作られている。反射板502は、この接続部501に繋がって備えられている。ミラー部材50は、フレクシャ25を成型する際のエッチング工程で作る。接続部501は、プレス加工により折り曲げ、反射板が適切な角度を持つように成型する。導光部32により導かれた光束はこの反射板501の表面で反射され、略90°曲げられた光束はスライダ内の近接場光発生素子40へ入射する。
【0061】
立体構造部80は、導光部32の周辺に位置するように支持部16上に設けられており、電気配線31の材料の一部に使用されるポリイミド樹脂などの合成樹脂でできている。スライダ2はこの立体構造部80の上に固定される。この立体構造部80により、スライダ2が導光部32のみを土台に固定されることで、固定が不安定になることを防ぐことができる。また、電気配線31と接続する際の高さ調節を行うこともできる。
【0062】
このように、支持部16にミラー部材50を設けることで、導光部32に複雑な加工を施すことなく、サスペンション3の延設方向に伝播してきた光束をスライダ2の近接場光発生素子40へ入射する方向に容易に曲げることができる。これにより、加工工数や製造コストを低減させることができるため、製造効率を向上させることができる。
【0063】
ここで、ミラー部材50は図4や上記に示した限りではなく、図5に示すような支持部16の全体を山折りにしたミラー部材51のようなものでもよい。この場合、導光部32の先端面に対向するミラー部材51の斜面が反射面となり、導光部32より導かれた光束はこの反射面で反射されて、スライダ内の近接場光発生素子40へ入射する。
(情報記録再生方法)
次に、このように組み立てられたヘッドジンバルアセンブリ12により、ディスクDに各種の情報を記録再生する手順について以下に説明する。まず、図1に示すように、スピンドルモータ7を駆動させてディスクDを所定方向に回転させる。次いで、アクチュエータ6を作動させて、ピボット軸10を回転中心としてキャリッジ11を回動させ、キャリッジ11を介してヘッドジンバルアセンブリ12をXY方向にスキャンさせる。これにより、ディスクD上の所望する位置にスライダ2を配置させることができる。この際、スライダ2は、サスペンション3によって支持されていると共に所定の力でディスクD側に押さえ付けられている。また、これと同時にスライダ2は、浮上面2aがディスクDに対向しているので、回転するディスクDによって生じる風圧の影響を受けて浮上する力を受けている。この両者の力のバランスによって、スライダ2はディスクD上から離間した位置に浮上している状態となっている。また、ディスクDの凹凸やうねり等により、スライダ2にXY方向に向かう風圧が加わったときに、フレクシャ25の支持部16に備えられたスライダ2は、突起部19を中心としてX軸及びY軸の2軸回りに捩じれるようになっている。これにより、ディスクDのうねりによるZ方向の変位(ディスクDの表面に略直交する方向への変位)を吸収することができ、スライダ2の姿勢が安定するようになっている。
【0064】
ここで、情報の記録を行う場合、制御部5はレーザ光源20を作動させるとともに、情報に応じて変調した電流をスライダ2に供給し、記録素子42を作動させる。
【0065】
レーザ光源20から出射された光束は、導光部32内を先端(流出端)側に向かって進み、導光部32の先端に備えられたミラー部材50によりディスクDに向かって垂直方向に曲げられる。曲げられた光束は、図2に示すように、スライダ2の上面2d側から近接場光発生素子40に入射され、近接場光発生素子40を介することにより、近接場光として発生される。すると、ディスクDは、この近接場光によって局所的に加熱されて一時的に保磁力が低下する。 一方、制御部5(図1参照)によってスライダ2に電流が供給されると、スライダ2内部の記録素子42により、ディスクDに対して垂直方向の記録磁界を発生させることができる。その結果、近接場光と記録素子42で発生した記録磁界とを協働させたハイブリッド磁気記録方式により情報の記録を行うことができる。さらに、垂直記録方式で記録を行うので、熱揺らぎ現象等の影響を受け難く、安定した記録を行うことができる。よって、書き込みの信頼性を高めることができる。またさらに、記録磁界が局所的に作用する位置に加熱温度のピーク位置を入れることができる。従って、確実に記録を行うことができ、信頼性の向上化を図ることができると共に高密度記録化を図ることができる。
【0066】
次に、ディスクDに記録された情報を再生する場合には、再生素子41が、ディスクDから漏れ出ている磁界を受けて、その大きさに応じて電気抵抗が変化する。よって、再生素子41の電圧が変化する。これにより制御部5(図1参照)は、ディスクDから漏れ出た磁界の変化を電圧の変化として検出することができる。そして制御部5は、この電圧の変化から信号の再生を行うことで、情報の再生を行うことができる。
【0067】
このように、スライダ2を利用してディスクDに対して各種の情報を記録再生することができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、図6に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、支持部16について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0069】
図6は、第2実施形態における支持部16に一体形成されたミラー部材52を拡大して示したものである。ミラー部材52は、接続部521と反射板522から成り、反射板522の表面には、光束の反射率を向上させるために金属膜70が備えられている。
【0070】
金属膜70は、接続部521を折り曲げる前に、アルミや金などを蒸着やスパッタなどの方法で付ける。ただし、工程順序はこの限りではなく、接続部521を折り曲げてから付けてもよい。また金属膜70は、図6に示すとおりに反射板522に局所的に付ける必要はなく、支持部16やフレクシャ25全体に付いていてもよい。
【0071】
係る実施形態においては、ミラー部材52の反射板522に金属膜70を備えることにより、反射率を上げ、光効率を向上させることができる。
【0072】
(第3実施形態)
次に、図7に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、支持部16について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0073】
図7は、第3実施形態における支持部16に一体形成されたミラー部材53を拡大して示したものである。ミラー部材53は接続部531と反射板532から成り、反射板532の表面には、光束を反射した際に、光束を集光させてスライダ2の近接場光発生素子40へ導くことができる凹状の集光部分71を備えられている。集光部分71は、フレクシャ25を形成する際のエッチング過程で形成する。ただし、集光部分71の製造方法はこの限りではなく、フレクシャ25の立体構造を形成するプレス加工の際に、同時にプレス加工により形成してもよい。
【0074】
係る実施形態においては、ミラー部材53の反射板532に集光部分71を備えることにより、光束を集光することができるため、光効率を向上させることが出来る。
(第4実施形態)
次に、図8に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、支持部16について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0075】
図8の上図は、第4実施形態における支持部16に一体形成されたミラー部材54を真上から見た状態で拡大して示したものである。また図8の下図は、上図のB-B'線で切った面をX方向から見た図である。ミラー部材54は、接続部541と反射板542から成り、接続部541には、接続部541を折り曲げる際、より曲がり易くするために、他の部位よりも板薄になっているえぐり部72が備えられている。えぐり部72は、フレクシャ25を形成する際のエッチング過程で形成する。
【0076】
係る実施形態においては、ミラー部材54の接続部541に他の部位よりも板薄になっているえぐり部が設けられることにより、接続部541を曲げる際に曲げ易くなり、加工を容易に行うことができる。
【0077】
(第5実施形態)
次に、図9に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、フレクシャ25の先端部分について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0078】
図9は、フレクシャ25の先端部分を拡大して示したものである。支持部161は、導光部32を支持部161のX方向に位置決めすると共に、導光部32が支持部161に備えられた際に、支持部161と導光部32の上面を面一にする溝73を備えている。また溝73は、溝73の側面のうち、導光部32の先端面が対向するど当たり面に、ミラー部材55が備えられている。ミラー部材55を備えた溝73は、フレクシャ25を成型する際のプレス加工で他の凹凸を成型すると同時に形成する。
【0079】
係る実施形態においては、溝73のど当たり面をミラー部材とすることで、導光部32を支持部161の特にミラー部材55に対して精度よく位置決めすることができる。
【0080】
またさらに、ミラー部材55および導光部32を支持部161の面よりもスライダ2が固定される側とは反対側に突出するように配置したことで、支持部161のスライダ2を固定する面が面一になるため、立体構造部80を薄くすることができる。すなわち、導光部32の上にスライダ2を固定させた際、スライダ2は固定が不安定になるため立体構造部80は、導光部32の厚み程度に厚く形成する必要があったが、その必要がなくなる。これにより、立体構造部80の材料費を削減できると共に、スライダ2を支持部161に固定する工程を容易に行うことができる。
【0081】
(第6実施形態)
次に、図10に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、支持部16について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0082】
図10は、第6実施形態における支持部16に一体形成されたミラー部材56を拡大して示したものである。ミラー部材56は、反射板562、反射板562の接続部561および保持部74により構成される。反射板562の光束を反射する面とは反対側の面には、保持部74が当接する部分に保持部74が嵌め込まれるかしめ溝75が備えられており、保持部74はこのかしめ溝75に嵌ることにより、反射板562を適切な角度に保持することができる。接続部561は、反射板562と同じ幅に形成されている。ミラー部材56は、フレクシャ25を成型する際のエッチング工程で反射板562と保持部74の周りの金属板を抜いて形成し、かしめ溝75は同様のエッチング工程でエッチングレートを下げることにより形成する。
【0083】
係る実施形態においては、保持部74をかしめ溝75に嵌め込むことで、ミラー部材56の反射板562を保持し、それにより反射板562を適切な角度に容易に固定することができると共に、反射板562を強固に固定することができる。
【0084】
(第7実施形態)
次に、図11に基づいて本実施形態について説明する。本実施形態は、フレクシャ25について、第1実施形態と相異しており、それ以外は第1実施形態とほぼ同様である。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明は省略する。
【0085】
図11は、図3のフレクシャ25を抜き出して拡大したもの(基部の一部は省略)と、フレクシャ25に固定する部材を点線で示した斜視図である。ただし、導光部321のみはフレクシャ25と同様の実線で示してある。導光部321はスライダ2と同程度の幅に形成されている。スライダ2は、導光部321の支持部162とは反対側に固定される。導光部321は、樹脂導波路などで形成される。
【0086】
係る実施形態においては、導光部321がスライダ2と同程度の幅に形成されていることにより、第1実施形態から第6実施形態において、スライダ2を安定して支持部162に固定させるために必要であった立体構造部80が必要なくなる。これにより、立体構造部80の材料費を削減できる。またさらに、導光部321が幅広に形成されていることにより、導光部を扱い易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係るヘッドジンバルアセンブリによれば、導光部から出射した光束をスライダへ反射するミラー部材が撓み部材と一体に形成されていることにより、導光部に複雑な加工を施すことなく、導光部を伝播してきた光束をスライダへ容易に曲げることができる。これにより、加工工数や製造コストを低減させることができるため、製造効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0088】
D:ディスク(記録媒体)
1:情報記録再生装置
2:スライダ
2a:浮上面
2d:スライダ上面
3:サスペンション
4:配線
5:制御部
6:アクチュエータ
7:スピンドルモータ
9:ハウジング底部
10:ピボット軸
11:キャリッジ
12:ヘッドジンバルアセンブリ
14:アーム部
15:基部
16,161,162:支持部
19:突起部
20:レーザ光源
21:腕部
22:ベースプレート
22a:開口
23:ヒンジ板
24:ロードビーム
25:フレクシャ
31:電気配線
32,321:導光部
33:光導波路
34:光学素子
40:近接場光発生素子
41:再生素子
42:記録素子
50,51,52,53,54,55,56:ミラー部材
501,521,531,561:接続部
502,522,532,562:反射板
60:スライダ基板
60c:スライダ基板の先端面
70:金属膜
71:集光部分
72:えぐり部
73:溝
74:保持部
80:立体構造部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接場光により記録媒体に情報を記録するヘッドジンバルアセンブリであって、
前記記録媒体の表面に沿って延設され、厚さ方向に撓む板状の撓み部材と、
前記撓み部材の先端側において、前記記録媒体の表面と対向するように配置され、光束を用いて近接場光を発生するスライダと、
前記光束を前記撓み部材の先端まで導く導光部と、
前記撓み部材と一体に形成されており、前記撓み部材に対して傾斜しているとともに前記導光部から出射した前記光束を前記スライダに反射するミラー部材と
を備えることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項2】
前記撓み部材の先端側に備えられており、前記撓み部材よりも厚さ方向に撓み易いとともに前記スライダが配置されるフレクシャを備え、
前記フレクシャの一部は、前記ミラー部材により構成されることを特徴とする請求項1に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項3】
前記ミラー部材は、前記光束を反射する面に金属膜を備えることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項4】
前記ミラー部材は、前記光束を反射する部分が、前記光束を集光する凹状の集光部分を備えることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項5】
前記ミラー部材は、前記撓み部材への接続部を備え、
前記接続部は、前記撓み部材よりも厚み方向に曲がり易い構造から構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項6】
前記接続部は、厚みが他の部位よりも薄い部分を備えることを特徴とする請求項5に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項7】
前記接続部は、幅が前記ミラー部材における前記接続部以外の部位よりも狭い部分を備えることを特徴とする請求項5に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項8】
前記フレクシャは、前記光導波路を位置決めするために用いられる位置決め部を備えることを特徴とする請求項2に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項9】
前記位置決め部は、前記フレクシャと一体に形成されており、前記光導波路の長手方向に延びる細長空間部を備えており、
前記導光部は、前記細長空間部に配置されることにより、前記導光部の幅方向の位置決めが成されるものであることを特徴とする請求項8に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項10】
前記ミラー部材は、前記細長空間部に配置された前記導光部の先端と対向するように備えられていることを特徴とする請求項9に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項11】
前記ミラー部材の傾斜角を保持する傾斜保持部を備えることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項12】
前記傾斜保持部は、
前記撓み部材に備えられ、前記ミラー部材の両面のうちの前記光束を反射する側とは逆側の部分と当接する当接部を備えることを特徴とする請求項11に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項13】
前記ミラー部材は、前記当接部が嵌め込まれる溝を備えることを特徴とする請求項12に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項14】
前記スライダに電流を供給する電気配線を備え、
前記フレクシャは、傾斜部と平坦部とを備え、
前記傾斜部の一部は前記ミラー部材により構成されており、
前記平坦部には、前記電気配線が備えられていることを特徴とする請求項2に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項15】
前記フレクシャは、
前記スライダを支持する支持部と、
前記フレクシャの先端で前記支持部と接続され、前記支持部に備えられる腕部とを備え、
前記支持部と前記腕部は前記ミラー部材を介して接続する第1接続部と、
前記導光部の長手方向に対して直交する方向において、前記第1接続部と併設して備えられており、前記腕部と前記支持部とを接続する第2接続部と、
前記第1接続部及び前記第2接続部のうちの前記第2接続部のみを介して前記スライダに前記電気配線が接続される電気配線部と
を備えることを特徴とする請求項14に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項16】
前記導光部は、前記スライダと同等もしくは広い幅を有することを特徴とする請求項1に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項1】
近接場光により記録媒体に情報を記録するヘッドジンバルアセンブリであって、
前記記録媒体の表面に沿って延設され、厚さ方向に撓む板状の撓み部材と、
前記撓み部材の先端側において、前記記録媒体の表面と対向するように配置され、光束を用いて近接場光を発生するスライダと、
前記光束を前記撓み部材の先端まで導く導光部と、
前記撓み部材と一体に形成されており、前記撓み部材に対して傾斜しているとともに前記導光部から出射した前記光束を前記スライダに反射するミラー部材と
を備えることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項2】
前記撓み部材の先端側に備えられており、前記撓み部材よりも厚さ方向に撓み易いとともに前記スライダが配置されるフレクシャを備え、
前記フレクシャの一部は、前記ミラー部材により構成されることを特徴とする請求項1に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項3】
前記ミラー部材は、前記光束を反射する面に金属膜を備えることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項4】
前記ミラー部材は、前記光束を反射する部分が、前記光束を集光する凹状の集光部分を備えることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項5】
前記ミラー部材は、前記撓み部材への接続部を備え、
前記接続部は、前記撓み部材よりも厚み方向に曲がり易い構造から構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項6】
前記接続部は、厚みが他の部位よりも薄い部分を備えることを特徴とする請求項5に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項7】
前記接続部は、幅が前記ミラー部材における前記接続部以外の部位よりも狭い部分を備えることを特徴とする請求項5に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項8】
前記フレクシャは、前記光導波路を位置決めするために用いられる位置決め部を備えることを特徴とする請求項2に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項9】
前記位置決め部は、前記フレクシャと一体に形成されており、前記光導波路の長手方向に延びる細長空間部を備えており、
前記導光部は、前記細長空間部に配置されることにより、前記導光部の幅方向の位置決めが成されるものであることを特徴とする請求項8に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項10】
前記ミラー部材は、前記細長空間部に配置された前記導光部の先端と対向するように備えられていることを特徴とする請求項9に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項11】
前記ミラー部材の傾斜角を保持する傾斜保持部を備えることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項12】
前記傾斜保持部は、
前記撓み部材に備えられ、前記ミラー部材の両面のうちの前記光束を反射する側とは逆側の部分と当接する当接部を備えることを特徴とする請求項11に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項13】
前記ミラー部材は、前記当接部が嵌め込まれる溝を備えることを特徴とする請求項12に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項14】
前記スライダに電流を供給する電気配線を備え、
前記フレクシャは、傾斜部と平坦部とを備え、
前記傾斜部の一部は前記ミラー部材により構成されており、
前記平坦部には、前記電気配線が備えられていることを特徴とする請求項2に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項15】
前記フレクシャは、
前記スライダを支持する支持部と、
前記フレクシャの先端で前記支持部と接続され、前記支持部に備えられる腕部とを備え、
前記支持部と前記腕部は前記ミラー部材を介して接続する第1接続部と、
前記導光部の長手方向に対して直交する方向において、前記第1接続部と併設して備えられており、前記腕部と前記支持部とを接続する第2接続部と、
前記第1接続部及び前記第2接続部のうちの前記第2接続部のみを介して前記スライダに前記電気配線が接続される電気配線部と
を備えることを特徴とする請求項14に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項16】
前記導光部は、前記スライダと同等もしくは広い幅を有することを特徴とする請求項1に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−76679(P2011−76679A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228972(P2009−228972)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]