説明

ヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法、インクジェットヘッド、並びに、インクジェットプリンタ

【課題】複数種のインクを吐出することができ、小型化を図るとともに複数種インクによる印刷を可能とするヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法、インクジェットヘッド、並びに、インクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】 ヘッドチップユニット20は、一縁端21a側から他縁端21b側に向かって形成されて他縁端21b側に開口するチャネル29と配列方向に形成されてチャネル29と一縁端21a側で連通するインク室32とを有するヘッドチップ21が複数積層され、ヘッドチップ21のインク室32は、一方側R1に積層されている他のヘッドチップ21のチャネル29及びインク室32と積層方向Rに重ならない位置まで形成された供給部35を有し、一方側R1に積層された他のヘッドチップ21には一方側R1に開口しヘッドチップ21を貫通して供給部35まで連通するインク供給孔36が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出させて印刷を行うためのヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法、該ヘッドチップユニットを備えたインクジェットヘッド、並びに、該インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙などの媒体に文字や画像などを記録する手段として、インクを吐出させて印刷を行うインクジェットプリンタが用いられている。このようなインクジェットプリンタは、インクを吐出させるインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドを媒体の搬送方向と略直交する方向に走査させるキャリッジとを備えている。インクジェットヘッドは、壁面に電極が設けられた複数のチャネルを有するヘッドチップを備えていて、このヘッドチップに接続されている配線基板から電極に電圧を印加してインクが供給されるチャネルを体積変化させることで、チャネルからノズルを経由してインクを吐出させ、これにより印刷を可能としている。
【0003】
ここで、複数色の印刷は、インクの種類と対応させてインクジェットヘッドを複数搭載することで、複数色のインクを吐出させることで可能となるが、搭載するインクジェットヘッドが多数となり、大型化してしまい、また、コストが増大してしまう問題がある。また、各インクジェットヘッド間の位置合わせが必要となり、インクジェットヘッドを搭載するキャリッジも複雑なものとなってしまう。このため、近年、一つのインクジェットヘッドで複数種のインクによって印刷可能とし、小型化と、複数色の印刷とを同時に図る提案がなされてきている。より具体的には、チャネルが形成されたベースプレート、ベースプレート上に配設されたカバープレートで構成されるヘッドチップを複数積層したヘッドチップユニットと、各ヘッドチップのカバープレートに接続される配線基板とを備えたインクジェットヘッドが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、一つのヘッドチップにおいて、両面にチャネルを形成することで、チャネルを 二列有するヘッドチップユニットと、両面に接続された配線基板とを備えたインクジェットヘッドが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−146974号公報
【特許文献2】特開2001−315353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1によるインクジェットヘッドに搭載されるヘッドチップユニットでは、複数列に配列されたチャネルが開示されているが、各チャネルにインクを供給する手段が開示されていなく、複数種のインクを各列のチャネルから吐出させることができない。また、特許文献2のインクジェットヘッドに搭載されているヘッドチップユニットでは、各列のチャネルが異なるインク室と連通していて、異なる種類のインクを吐出させることが可能であるが、この構成では二種類までしか吐出させることができない。このため、いずれのヘッドチップユニットでも、小型化を図りつつ、複数種のインクを吐出させるまでには至らなかった。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、複数種のインクを吐出することができ、小型化を図るとともに複数種インクによる印刷を可能とするヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法、インクジェットヘッド、並びに、インクジェットプリンタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のヘッドチップユニットは、略板状で、一縁端側から他縁端側に向かって形成されて該他縁端側に開口するチャネルと、該チャネルが形成される供給方向と交差する配列方向に形成されて該チャネルと前記一縁端側で連通するインク室とを有するヘッドチップが複数積層され、少なくとも一つの前記ヘッドチップの前記インク室は、該ヘッドチップよりも一方側に積層されている他の前記ヘッドチップの前記チャネル及び前記インク室と、前記ヘッドチップの積層方向に重ならない位置まで形成された供給部を有し、該供給部を有する前記ヘッドチップよりも前記一方側に積層された他の前記ヘッドチップには、前記一方側に開口し該ヘッドチップを貫通して前記供給部まで連通するインク供給孔が形成されていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明のヘッドチップユニットの製造方法は、略板状のヘッドチップ本体の一縁端側から他縁端側に向かって延びて該他縁端側に開口するチャネル、及び、該チャネルが延びる供給方向と交差する配列方向に延びて前記一縁端側で前記チャネルに連通するインク室のそれぞれを前記ヘッドチップ本体に形成するヘッドチップ形成工程と、該ヘッドチップ形成工程で作製された複数の前記ヘッドチップを積層する積層工程と、積層する前記ヘッドチップの一方側に開口し該ヘッドチップの積層方向に貫通するインク供給孔を形成するインク供給孔形成工程とを備え、前記ヘッドチップ形成工程は、少なくとも一つの前記ヘッドチップについて、前記インク室の一部として、前記積層工程で該ヘッドチップよりも一方側に積層する他の前記ヘッドチップの前記チャネル及び前記インク室と前記積層方向に重ならない位置まで延びる供給部を形成するとともに、前記インク供給孔形成工程は、該供給部と連通する位置で、対応する前記インク供給孔を形成することを特徴としている。
【0008】
この発明に係るヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法によれば、ヘッドチップ形成工程でヘッドチップ本体にチャネル及びインク室を形成してヘッドチップを作製し、積層工程で複数のヘッドチップを積層することで、少なくとも一つのヘッドチップについて、インク室の一部として、このヘッドチップよりも一方側に積層する他のヘッドチップのチャネル及びインク室と積層方向に重ならない位置で供給部が形成されている。また、インク供給孔形成工程によって、供給部が形成されたヘッドチップより一方側に積層する他のヘッドチップには、一方側に開口するインク供給孔が供給部まで連通して形成されている。このため、供給部を有するインク室を備えたヘッドチップのチャネルには、他のヘッドチップと異なる種類のインクを、インク供給孔からインク室を介して供給することができ、チャネルの他縁端側の開口から吐出させることができる。そして、このような供給部を有するインク室と、対応して形成するインク供給孔とを設ける数に応じて、複数種のインクを吐出させることができる。
【0009】
また、上記のヘッドチップユニットにおいて、少なくとも一つの前記ヘッドチップは、前記チャネル及び前記インク室を複数有し、複数の該インク室は、それぞれ前記供給部を有するとともに、それぞれ異なる前記チャネルと連通し、前記供給部を有する前記ヘッドチップよりも前記一方側に積層された他の前記ヘッドチップには、前記インク供給孔が前記供給部と対応して複数形成されていることがより好ましいとされている。
【0010】
また、上記のヘッドチップユニットの製造方法において、前記ヘッドチップ形成工程は、少なくとも一つの前記ヘッドチップについて、複数の前記チャネルを形成するとともに、複数の前記インク室を、それぞれ前記供給部を有するとともにそれぞれ異なる前記チャネルと連通するように形成し、前記インク供給孔形成工程は、複数の前記インク室の各前記供給部のそれぞれと対応させて前記インク供給孔を複数形成することがより好ましいとされている。
【0011】
この発明に係るヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法によれば、ヘッドチップ形成工程で、一つのヘッドチップに対して複数のインク室を形成し、それぞれに供給部を形成するとともに、インク供給孔形成工程で供給部と対応して複数のインク供給孔を形成することで、一つのヘッドチップにおいても、複数のチャネルのそれぞれに各インク供給孔からインク室を介して異なる種類のインクを供給し吐出させることができる。
【0012】
また、上記のヘッドチップユニットにおいて、前記ヘッドチップの前記インク室は、前記配列方向に形成され前記チャネルと連通する本体部と、前記チャネルと前記積層方向に重ならない位置で前記供給方向に形成されて前記本体部と接続する導入部とを有し、前記供給部は該導入部に設けられていることがより好ましいとされている。
【0013】
また、上記のヘッドチップユニットの製造方法において、前記ヘッドチップ形成工程は、少なくとも一つの前記ヘッドチップについて、前記インク室として、前記配列方向に延びて前記チャネルと連通する本体部と、前記チャネルと前記積層方向に重ならない位置で前記供給方向に延びて前記本体部と接続する導入部とを形成し、前記供給部を該導入部に形成することがより好ましいとされている。
【0014】
この発明に係るヘッドチップユニット及びヘッドチップユニットの製造方法によれば、ヘッドチップ形成工程で、本体部と導入部とを形成し、供給部を導入部に形成することで、ヘッドチップ本体の配列方向の幅をチャネル及びインク室の導入部を形成する最小限の大きさにするとともに、チャネルが形成される供給方向に供給部及び対応するインク供給孔の位置を自在に設定することができる。また、それ故に、複数のヘッドチップを積層し、多数の供給部及び対応するインク供給孔を形成したとしても、配列方向に最小限の幅として大型化してしまうことなく、複数種のインクを供給して吐出させることが可能である。
【0015】
また、上記のヘッドチップユニットにおいて、前記インク室の前記供給部及び該供給部と対応する前記インク供給孔を、互いに独立して少なくとも四組有していることがより好ましいとされている。
【0016】
この発明に係るヘッドチップユニットによれば、インク室の供給部及び供給部と対応するインク供給孔を互いに独立して少なくとも四組有していることで、イエロー、マゼンタ、シアン、及び、ブラックの四色をそれぞれ吐出させることができ、各インクの吐出量に応じて多様な色で印刷することが可能となる。
【0017】
また、本発明のインクジェットヘッドは、上記のヘッドチップユニットを備えることを特徴としている。
この発明に係るインクジェットヘッドによれば、一つのヘッドチップユニットから複数種のインクを吐出させることができるので、複数種のインクによる印刷を可能としつつ小型化を図ることができる。
【0018】
また、本発明のインクジェットプリンタは、上記のインクジェットヘッドを備えることを特徴としている。
この発明に係るインクジェットプリンタによれば、上記のインクジェットヘッドを備えることで、小型化を図るとともに、複数種のインクで印刷することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のヘッドチップユニットによれば、インク室に供給部を有しているとともに、対応するインク供給孔が形成されていることで、供給部及びインク供給孔の設置数に応じて複数種のインクを吐出することができ、小型化を図るとともに、複数種のインクによる印刷が可能となる。
また、本発明のヘッドチップユニットの製造方法によれば、ヘッドチップ形成工程とインク供給孔形成工程とを備えることで、小型で、複数種のインクによる印刷を可能なヘッドチップを製造することができる。
また、本発明のインクジェットヘッドによれば、上記のヘッドチップユニットを備えることで、小型化及びコストの低減を図るとともに複数種のインクによる印刷をすることができる。
また、本発明のインクジェットプリンタによれば、上記のインクジェットヘッドを備えることで、小型化及びコストの低減を図るとともに低コストで複数種のインクによる印刷をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
図1から図15は、この発明に係る実施形態を示している。図1に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ1は、紙などの媒体Mを搬送方向Xに搬送する一対の搬送手段2、3と、インクを媒体Mに吐出するインクジェットヘッド10と、インクジェットヘッド10にインクを供給するインクタンク4と、インクジェットヘッド10を搬送方向Xと略直交する幅方向Yに走査する走査手段5とを備える。一対の搬送手段2、3のそれぞれは、グリッドローラ2a、3aと、ピンチローラ2b、3bとで構成されていて、図示しない駆動モータでグリッドローラ2a、3aを回転させることで、ピンチローラ2b、3bとで挟み込んだ媒体Mを搬送方向Xに搬送することができる。また、走査手段5は、幅方向Yに配設された一対のガイドレール5a、5bと、ガイドレール5a、5b上で幅方向Yに摺動可能で、インクジェットヘッド10が搭載されたキャリッジ6とを備える。また、一対のガイドレール5a、5bの間には、キャリッジ6が固定されたタイミングベルト7が幅方向Yに配設されていて、両端部において一対のプーリ8a、8bに巻回されている。プーリ8aには、キャリッジ駆動モータ9が連結されていて、キャリッジ駆動モータ9を駆動してプーリ8aを回転させることで、タイミングベルト7を幅方向Yに走行させ、これによりキャリッジ6を幅方向Yに進退させることができる。
【0021】
本実施形態では、インクタンク4として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類のインクで印刷可能に、それぞれ異なる種類のインクが充填された4基のインクタンク4A、4B、4C、4Dが搭載されている。なお、本実施形態において、各インクタンク4に充填されているインクは、水性であるものとして説明している。そして、各インクタンク4は、配管4aによって、キャリッジ6に搭載されたインクジェットヘッド10と接続されていて、インクジェットヘッド10に四種類のインクを供給可能としている。また、配管4aは、キャリッジ6の移動に応じて追従可能に可撓性を有している。
【0022】
図2に示すように、インクジェットヘッド10は、周囲を覆う外筐11と、外筐11に収容されたヘッドチップユニット20、IC基板12、及び、フレキシブルプリント基板(以下、FPCと称す)13とを備える。ヘッドチップユニット20は、各インクタンク4と対応する配管4aで接続されているとともに、吐出面20aを外筐11から露出させている。また、IC基板12は、外部と電気的に接続可能に、その一部を外筐11から露出させていて、キャリッジ6に搭載された状態で図示しない制御部と接続されている。また、FPC13は、配線基板として、ヘッドチップユニット20と、IC基板12とを電気的に接続している。本実施形態では、後述するヘッドチップ21の層数と対応させて四枚のFPC13が接続されている。そして、IC基板12からFPC13を経由して入力される電気信号に基づいて、ヘッドチップユニット20は、インクタンク4から供給される各インクを吐出面20aから吐出させることが可能である。以下に、ヘッドチップユニット20の詳細について説明する。
【0023】
図2に示すように、ヘッドチップユニット20は、複数積層されたヘッドチップ21と、ヘッドチップ21と配管4aとを接続するヘッドカバー22と、吐出面20aを形成しノズル孔23aを有するノズルプレート23とを備える。図3から図5に示すように、ヘッドチップ21は、インクの種類と合わせて、ヘッドチップ21A、21B、21C、21Dと、四層積層されている。これらのヘッドチップ21は、一縁端21a側が段状となるとともに、他縁端21b側がノズルプレート23を接合可能に一致させるようにして積層されている。各ヘッドチップ21は、アクチュエータ基板25の一面25a上にカバープレート基板26が積層された略板状のヘッドチップ本体27によって構成されている。ここで、図6は、ヘッドチップ21Aについて(a)がカバープレート基板、(b)がアクチュエータ基板の上面図を示している。同様に、図7はヘッドチップ21Bについて、図8はヘッドチップ21Cについて、図9はヘッドチップ21Dについて、それぞれ(a)がカバープレート基板、(b)がアクチュエータ基板の上面図を示している。
【0024】
図3から図9に示すように、各ヘッドチップ21において、アクチュエータ基板25は、圧電セラミックスなどで形成された略板状の部材で、一縁端21a側において一面25aにFPC13が接続される基板接続面28が設けられている。また、アクチュエータ基板25において、基板接続面28よりも他縁端21b側には、一面25aに開口する溝状に形成された複数のチャネル29が設けられている。チャネル29は、一縁端21aから他縁端21bに向かう供給方向Pに延びるように形成されていて、他縁端21bで開口部29aを有して開口しているとともに、供給方向Pと略直交する配列方向Qに側壁30を間に有して複数配列している。ここで、複数のヘッドチップ21において、チャネル29の断面形状及び長さは略等しく設定されている。また、各チャネル29の壁面29bには、基板接続面28まで延びる電極31が設けられている。電極31は、コモン電極31aと駆動電極31bとで構成されている。コモン電極31aは、後述するようにチャンネル29の内、一つおきに設定されるコモン溝29cと対応してそれぞれ形成されている。すなわち、各コモン溝29cの基端側で基板接続面28上に略I形に形成されているとともに、分岐して対応する各コモン溝29cの両壁面29bに形成されている。また、駆動電極31bは、コモン溝29cの間に形成されるアクティブ溝29dと対応してそれぞれ形成されている。すなわち、基板接続面28において、各コモン電極31aを跨いで両側に隣接するアクティブ溝29dへ延びるように、略コの字形に形成されている。そして、アクティブ溝29dへ延びる駆動電極31bは、対応するコモン溝29cと隣接する側の壁面29bまで連続して形成されている。
【0025】
また、各ヘッドチップ21において、カバープレート基板26は、略板状の部材で、セラミックや金属で形成されているが、アクチュエータ基板25と接合した後の変形を考慮すれば熱膨張率が略等しくなるセラミックスで形成されていることがより好ましい。カバープレート基板26は、他縁端21b側をアクチュエータ基板25と略等しい位置となるように、また、一縁端21a側に、アクチュエータ基板25に設けられた基板接続面28を張り出させるようにして、アクチュエータ基板25の一面25aに積層されている。
【0026】
また、図5から図9に示すように、カバープレート基板26には、一面26aに開口するインク室32が設けられている。各ヘッドチップ21(21A、21B、21C、21D)において、対応する各インク室32(32A、32B、32C、32D)は、チャネル29の一縁端21a側と対応する位置で配列方向Qに形成された本体部33を有している。また、最も一方側R1に積層されるヘッドチップ21Aを除く、他のヘッドチップ21B、21C、21Dにおいて、各インク室32(32B、32C、32D)は、本体部33の両端部33a、33bから供給方向Pに形成された導入部34と、導入部34の端部に形成された供給部35とを有する。ヘッドチップ21が積層された状態において、複数のヘッドチップ21の各本体部33は、他縁端21bを基準として供給方向Pに位置を略等しくして形成されている。また、本体部33は、両端部33a、33bが配列方向Qに配列した複数のチャネル29と積層方向Rに重ならない位置となるように、配列方向Qに形成されている。このため、両端部33a、33bで本体部33と接続された導入部34は、チャネル29と積層方向Rに重ならない位置で、他縁端21b側に向かってチャネル29と略平行に供給方向Pに形成されている。ここで、導入部34の供給方向Pの長さは、一方側R1に積層されているヘッドチップ21Bから他方側R2に積層されているヘッドチップ21Dへ順に長くなるように設定されている。このため、インク室32において、各導入部34の端部に形成されている各供給部35は、供給部35が形成されたヘッドチップ21よりも一方側R1に積層されている他のヘッドチップ21のチャネル29及びインク室32と積層方向Rに重ならない位置に形成されている。また、インク室32の本体部33には、対応するチャネル29と一つおきに連通する複数の貫通孔33cが形成されている。このため、アクチュエータ基板25のチャネル29は、一つおきに、インク室32の本体部33からインクを供給可能なコモン溝29cとなるとともに、コモン溝29cのそれぞれの間はインクが供給されず体積変化のみを起こすアクティブ溝29dとなっている。
【0027】
そして、図3から図5に示すように、複数のヘッドチップ21の内、隣り合って積層されるもの同士において、一方側R1のヘッドチップ21のアクチュエータ基板25の一縁端の位置に対して、他方側R2のヘッドチップ21のカバープレート基板26の一縁端の位置が略等しくなるようにして、互いに接合されている。このため、複数のヘッドチップ21は、それぞれアクチュエータ基板25に設けられた基板接続面28を、積層方向Rの一方側R1に向けて一縁端21a側に張り出させて段状になるようにして積層されている。また、これにより他縁端21b側では、複数のチャネル29が積層方向Rに四列に配列することとなる。なお、ノズルプレート23のノズル孔23aは、チャネル29の内、コモン溝29cと対応して積層方向Rに四列に形成されている。また、図3及び図4、並びに図6から図9に示すように、積層された各ヘッドチップ21には、最も一方側R1に積層されたヘッドチップ21Aに開口し、各インク室32(32B、32C、32D)の供給部35と連通するインク供給孔36(36B、36C、36D)が積層方向Rに貫通して形成されている。
【0028】
そして、図2に示すように、各インクタンク4からヘッドカバー22に接続された四本の配管4aは、最も一方側R1に積層されているヘッドチップ21Aにおいて、インク室32Aの本体部33、及び、各インク供給孔36B、36C、36Dに一つずつ接続されている。すなわち、例えば、イエローのインクが充填されたインクタンク4Aがインク室32Aの本体部33に、マゼンタのインクが充填されたインクタンク4Bがインク供給孔36Bに、シアンのインクが充填されたインクタンク4Cがインク供給孔36Cに、ブラックのインクが充填されたインクタンク4Dがインク供給孔36Dに接続されていたとする。この場合、インク室32Aの本体部33に供給されたイエローのインクは、チャネル29の内、インク室32Aと連通するヘッドチップ21Aのコモン溝29cに供給されることとなる。そして、基板接続面28に接続されたFPC13によって、図10に示すような配線で、コモン電極31aを接地させるとともに、各駆動電極31bに独立して所定パターンで電圧を印加させることでチャネル29の内部を連続して体積変化させることができ、これによりコモン溝29cの内部のイエローのインクを、ヘッドチップ21Aの開口部29aからノズルプレート23のノズル孔23aを介して外方に吐出させることができる。また、インク供給孔36Bに供給されたシアンのインクは、ヘッドチップ21Bのインク室32Bにおいて、供給部35から導入部34を経由して本体部33に供給され、同様にヘッドチップBの開口部29aからノズルプレート23のノズル孔23aを介して外方に吐出させることができる。さらに、インク供給孔36Cに供給されたマゼンタのインクをヘッドチップ21Cの開口部29aから、また、インク供給孔36Dに供給されたブラックのインクをヘッドチップ21Dの開口部29aから、それぞれ外方に吐出させることができる。すなわち、一つヘッドチップユニット20において、各列のチャネル29からイエロー、シアン、マゼンタ、ブランクの四色のインクを同時に吐出させることができる。この際、各ヘッドチップ21のチャネル29の断面形状及び長さを略等しいものとしていることで、四列のチャネル29から各色同じ吐出性能でインクを吐出させることができる。
【0029】
次に、ヘッドチップユニット20及びヘッドチップユニット20を備えたインクジェットヘッド10の製造方法について、図11から図15に基づいて説明する。まず、ヘッドチップ形成工程として、各ヘッドチップ21を構成するヘッドチップ本体27に加工を行い、基板接続面28、チャネル29、電極31、及び、インク室32を形成する。すなわち、アクチュエータ基板形成工程として、ヘッドチップ本体27の内、アクチュエータ基板25に、ダイシング加工などによってチャネル29を形成する。そして、アクチュエータ基板25の一面25aにおいて基板接続面28となる範囲からチャネル29の壁面29bまで、蒸着などの方法により所定のパターンで電極31となる金属膜を形成する。また、カバープレート基板形成工程として、カバープレート基板26にも同様に、ダイシング加工などによってインク室32を形成する。なお、上記のように、各層のヘッドチップ21のチャネル29の断面形状及び長さ、並びに、他縁端を基準とするインク室32の本体部33の位置を、略等しくなるようにして形成するものとする。
【0030】
次に、積層工程として、図11に示すように、各ヘッドチップ21となるアクチュエータ基板25と、カバープレート基板26とを積層していく。まず、最も一縁端21a側に張り出すヘッドチップ21Dを構成するアクチュエータ基板25とカバープレート基板26とを接合させる。この際、互いの他縁端21b側を略等しい位置に合わせて接合させ、これにより一縁端21a側には基板接続面28が張り出した状態となる。次に、隣り合うヘッドチップ21Cのアクチュエータ基板25を、ヘッドチップ21Dのカバープレート基板26の一面26aに接合させる。この際、互いの他縁端21b側を略等しい位置に合わせて接合させることで、一縁端21a側も互いに略等しい位置となって接合される。そして、次にヘッドチップ21Cのカバープレート基板26を、アクチュエータ基板25の一面25a上に接合させる。そして、これを繰り返すことによって、四つのヘッドチップ21A,21B、21C、21Dが、一縁端21a側に各基板接続面28を張り出させて段状に、また、他縁端21bの位置を略等しいものとして、積層されることとなる。この際、ヘッドチップ形成工程で、各ヘッドチップ21においてインク室32の本体部33の位置を供給方向Pに略等しくしているので、各本体部33は積層方向Rに配列した状態となる。また、各インク室32の供給部35は、一方側R1に積層する他のヘッドチップ21のチャネル29及びインク室32と積層方向Rに重ならない位置に配置される。
【0031】
次に、図12に示すように、ノズルプレート貼付面処理工程として、ノズルプレート23が貼り付けられるヘッドチップ21の他縁端21b側を切断し、平面を形成する。そして、図13に示すように、ノズルプレート貼付工程として、ノズルプレート23をヘッドチップ21の他縁端21b側に貼り付ける。次に、インク供給孔形成工程として、インク供給孔36を形成する。すなわち、図14に示すように、一方側R1のヘッドチップ21Aのカバープレート基板26の一面26aから、対応するインク室32の供給部35に到達するまで貫通孔を穿孔していく。これにより、ヘッドチップ21Aのカバープレート基板26の一面26aに開口し、各インク室32の供給部35に連通する各インク供給孔36(36B、36C、36D)が形成される。さらに、ヘッドカバー22については省略しているが、同様に取り付けるものとし、これによりヘッドチップユニット20が作製される。
【0032】
次に、作製されたヘッドチップユニット20を用いてインクジェットヘッド10を作製する。まず、配線基板接続工程として、ヘッドチップユニット20にFPC13を接続する。より詳しくは、ヘッドチップユニット20を構成するヘッドチップ21の内、最も一縁端21a側に張り出したヘッドチップ21Dから一方側R1に向かって順に、基板接続面28にFPC13を接続していく。すなわち、基板接続面28に、異方性導電膜38を貼り付けし、その上からFPC13の接続部を接触させる。この状態で、一方側R1からヒートチップ40を当接させて、約280℃で加熱しながら、加圧していく。これにより、FPC13は、基板接続面28で電極31と電気的に接続された状態となる。ここで、上記のようにヘッドチップ21は、一縁端21a側に基板接続面28を張り出させて段状に積層されている。このため、最も一縁端21a側に基板接続面28を張り出しているヘッドチップ21Dから順に基板接続面28にFPC13を接続することで、他のヘッドチップ21や先に接続した他のFPC13が支障となってしまうことなく、ヒートチップ40による加圧、加熱を行うことができ、容易かつ確実にFPC13を接続することができる。また、各ヘッドチップ21のアクチュエータ基板25の一縁端に対して隣り合うヘッドチップ21のカバープレート基板26の一縁端を略等しい位置として積層していることで、加圧の際にヒートチップ40によって作用する力を積層されているヘッドチップ21で確実に支持した状態とすることができ、より確実にFPC13を接続することができる。最後に、ヘッドチップユニット20及びIC基板12を外筐11の内部に収容し、ヘッドチップユニット20に接続されている各FPC13とIC基板12とを接続することで、インクジェットヘッド10が完成する。
【0033】
以上のように、本実施形態のヘッドチップユニット20では、最も一方側R1に積層されたヘッドチップ21Aを除く、他のヘッドチップ21について、インク室32の一部として、このヘッドチップ21よりも一方側R1に積層する他のヘッドチップ21のチャネル29及びインク室32と積層方向Rに重ならない位置で供給部35が形成されている。また、ヘッドチップ21Aに開口するインク供給孔36がそれぞれ対応する供給部35まで連通して形成されている。このため、各ヘッドチップ21のチャネル29には、他のヘッドチップ21と異なる種類のインクを、対応するインク供給孔36からインク室32を介して供給することができ、チャネル29の他縁端21b側の開口部29aから吐出させることができる。特に、本実施形態のようにヘッドチップ21を四層有し、各層に対応して供給部35及び供給部35に連通するインク供給孔36を四組有していることで、各層から異なる四色のインクを吐出可能とし、各インクの吐出量に応じて、一つのヘッドチップユニット20で多様な色で印刷を行うことが可能である。
【0034】
また、各インク室32において、本体部33と導入部34とを有し、供給部35が導入部34に形成されている。このため、各ヘッドチップ21を構成するヘッドチップ本体27の配列方向Qの幅をチャネル29及びインク室32の導入部34を形成する最小限の大きさにするとともに、チャネル29が形成されている範囲で、供給方向Pに供給部35及び対応するインク供給孔26の位置を自在に設定することができる。また、それ故に、複数のヘッドチップ21を積層し、多数の供給部35及び対応するインク供給孔36を形成したとしても、配列方向Qに最小限の幅として大型化してしまうことなく、複数種のインクを供給して吐出させることが可能である。
【0035】
また、このヘッドチップユニット20を備えたインクジェットヘッド10では、一つのヘッドチップユニット20から複数種のインクを吐出させることができるので、複数種のインクによる印刷を可能としつつ小型化を図ることができる。インクジェットプリンタ1では、複数のインクジェットヘッド10を備える必要がないので、装置全体の小型化、コストの低減を図るとともに、複数種のインクによる印刷が可能となる。
【0036】
なお、本実施形態では、最も一方側R1に積層されたヘッドチップ21Aを除いた各ヘッドチップ21のインク室32のそれぞれに供給部35を有し、対応するインク供給孔36が設けられているものとしたが、これに限るもので無い。少なくとも、一つのヘッドチップ21において、インク室32に供給部35を有することで、最も一層側R1に積層されたヘッドチップ21Aのインク室32に供給されるインクと異なるインクを供給可能となる。なお、この場合他のヘッドチップ21には、インク室32同士を連通する貫通孔を形成することで、同じ種類のインクが供給され吐出可能となる。また、各インク供給孔36は、一つのインク室32に対して配列方向Qの両側に一箇所ずつ形成されるものとしたが、これに限るものでは無く、片側一箇所のみとしても各インク室32にインクを供給可能である。
【0037】
また、積層工程において、各ヘッドチップ21を構成するアクチュエータ基板25とカバープレート基板26とを交互に積層するようにしたが、これに限るものでは無い。ヘッドチップ21毎に、アクチュエータ基板25とカバープレート基板26とを接合させた後に、ヘッドチップ21単位で積層するものとしても良い。また、一方のヘッドチップ21のアクチュエータ基板25と他方のヘッドチップ21のカバープレート基板26とが、一縁端の位置を略等しくして接合されるものとしたが、これに限るものでは無い。他方のヘッドチップ21のカバープレート基板26を一縁端側に張り出すものとしても、FPC13を基板接続面28に接続する際に作用する力を確実に支持した状態にできる。さらに、ヘッドチップ本体27がアクチュエータ基板25とカバープレート基板26とで構成されるものとしたが、これに限ることは無く、一枚の基板で構成され、該基板に基板接続面28、チャネル29、電極31、及び、インク室32が設けられているものとしても良い。また、インク供給孔形成工程は、積層工程後に行うものとしたが、ヘッドチップ形成工程において、各ヘッドチップ21のそれぞれにインク供給孔となる貫通孔を形成した後に、これらが連通するようにヘッドチップ21を積層するものとしても良い。
【0038】
また、配線基板接続工程において、FPC13は、各ヘッドチップ21の基板接続面28に異方性導電膜38によって接続されるものとしたが、これに限るものでは無く、例えばワイヤボンディングによるものとしても良い。この場合でも、他のヘッドチップ21やFPC13が支障となってしまうことなく、ボンディング用キャピラリーを使用して基板接続面28上に、容易かつ確実にワイヤボンディングすることができる。また、本実施形態では、水性のインクを使用するものとしているが、これに限るもので無く、油性インク、ソルベルト系インク、あるいは、UV系インクなどを使用するものとしても良い。
【0039】
また、本実施形態では、チャネル29について、一つおきにインクを吐出可能なコモン溝29cとし、その間を、インクを吐出しないアクティブ溝29dとしたが、これに限るものでは無い。すなわち、図16及び図17に示すように、各ヘッドチップ21のカバープレート基板26において、貫通孔33cを設けず、インク室32の本体部33全体を貫通させて、全てのチャネル29と連通させるものとしても良い。なお、この場合、全てのチャネル29からインクを吐出可能となるので、全てのチャネル29と対応させてノズルプレート23にノズル孔23aを形成することとなる。
【0040】
(第2の実施形態)
図18から図20は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0041】
図18から図20に示すように、この実施形態のヘッドチップユニット50は、二層積層されたヘッドチップ51(51A、51B)を備える。ヘッドチップ51A、51Bは、ともに、ヘッドチップ本体27として、アクチュエータ基板25と、カバープレート基板26とを備えている。ここで、図19はヘッドチップ51Aについて、図20はヘッドチップ51Bについて、それぞれ(a)がカバープレート基板26を、(b)がアクチュエータ基板25を示している。各ヘッドチップ51のアクチュエータ基板25には、第一の実施形態同様に基板接続面28、チャネル29、及び、電極31が形成されている。また、カバープレート基板26を一方側に露出させるヘッドチップ51Aについて、カバープレート基板26には、インク室32として、本体部33のみを備えている。また、ヘッドチップ51Bについて、カバープレート基板26には、第一のインク室52、第二のインク室53、及び、第三のインク室54と、互いに干渉しない複数のインク室を有している。第一のインク室52は、本体部55aと導入部56aと供給部57aとを有している。また、第二のインク室53は、本体部55bと導入部56bと供給部57bとを有している。さらに、第三のインク室54は、本体部55cと導入部56cと供給部57cとを有している。第一のインク室52の本体部55aは、一側端51a側で配列方向Qに形成されていて、貫通孔55dを有して一側端51a側のチャネル29と連通している。また、第三のインク室54の本体部55cは、他側端51b側で配列方向Qに形成されていて、貫通孔55dを有して他側端51b側のチャネル29と連通している。また、第二のインク室53の本体部55bは、第一のインク室52の本体部55aと第三のインク室54の本体部55cとの間で配列方向Qに形成されていて、貫通孔55dを有して中央部分のチャネル29と連通している。また、それぞれの導入部56a、56b、56cは、対応する本体部55a、55b、55cと接続され、一方側のヘッドチップ51Aのチャネル29及びインク室32と積層方向に重ならない位置まで延設され、各供給部57a、57b、57cが形成されている。また、各供給部57a、57b、57cと対応して連通するインク供給孔58a、58b、58cが、ヘッドチップ51Aのカバープレート基板26に開口するようにして形成されている。
【0042】
この実施形態のヘッドチップユニット50では、一つのヘッドチップ51Bに複数のインク室を形成し、それぞれに供給部57a、57b、57cを形成するとともに、対応してインク供給孔58a、58b、58cを形成することで、一つヘッドチップ51Bでも異なるインクを供給し吐出させることができる。さらに、本実施形態では、ヘッドチップ51Aにも異なるインクを供給することで、四色のインクを一つのヘッドチップユニット50から吐出させ、印刷することができる。なお、本実施形態では、ヘッドチップを二層で構成したが、複数のインク室を有するヘッドチップを複数積層するものとしても良い。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の第1の実施形態のインクジェットプリンタの概要を示す斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施形態のインクジェットヘッドの概要を示す側面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットを示す分解斜視図である。
【図4】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットを示す上面図である。
【図5】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットを示す断面図である。
【図6】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットにおいて、一のヘッドチップの各基板を示した上面図である。
【図7】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットにおいて、他のヘッドチップの各基板を示した上面図である。
【図8】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットにおいて、他のヘッドチップの各基板を示した上面図である。
【図9】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットにおいて、他のヘッドチップの各基板を示した上面図である。
【図10】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットにおいて、電極配線についての概略図である。
【図11】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットの製造工程において、積層工程の説明図である。
【図12】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットの製造工程において、ノズルプレート貼付面処理工程の説明図である。
【図13】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットの製造工程において、ノズルプレート貼付工程の説明図である。
【図14】この発明の第1の実施形態のヘッドチップユニットの製造工程において、インク供給孔形成工程の説明図である。
【図15】この発明の第1の実施形態のインクジェットヘッドの製造工程において、配線基板接続工程の説明図である。
【図16】この発明の第1の実施形態の変形例のヘッドチップユニットを示す上面図である。
【図17】この発明の第1の実施形態の変形例のヘッドチップユニットの一部を拡大した断面図である。
【図18】この発明の第2の実施形態のヘッドチップユニットを示す上面図である。
【図19】この発明の第2の実施形態のヘッドチップユニットにおいて、一のヘッドチップの各基板を示した上面図である。
【図20】この発明の第2の実施形態のヘッドチップユニットにおいて、他のヘッドチップの各基板を示した上面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 インクジェットプリンタ
10 インクジェットヘッド
20、50 ヘッドチップユニット
21、21A、21B、21C、21D、51、51A、51B ヘッドチップ
21a 一縁端
21b 他縁端
25 アクチュエータ基板
25a 一面
26 カバープレート基板
26a 一面
27 ヘッドチップ本体
28 基板接続面
29 チャネル
29b 壁面
32、32A、32B、32C、32D インク室
52 第一のインク室(インク室)
53 第二のインク室(インク室)
54 第三のインク室(インク室)
33、55a、55b、55c 本体部
34、56a、56b、56c 導入部
35、57a、57b、57c 供給部
36、36B、36C、35D、58a、58b、58c インク供給孔
P 供給方向
Q 配列方向
R 積層方向
R1 一方側
R2 他方側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略板状で、一縁端側から他縁端側に向かって形成されて該他縁端側に開口するチャネルと、該チャネルが形成される供給方向と交差する配列方向に形成されて該チャネルと前記一縁端側で連通するインク室とを有するヘッドチップが複数積層され、
少なくとも一つの前記ヘッドチップの前記インク室は、該ヘッドチップよりも一方側に積層されている他の前記ヘッドチップの前記チャネル及び前記インク室と、前記ヘッドチップの積層方向に重ならない位置まで形成された供給部を有し、
該供給部を有する前記ヘッドチップよりも前記一方側に積層された他の前記ヘッドチップには、前記一方側に開口し該ヘッドチップを貫通して前記供給部まで連通するインク供給孔が形成されていることを特徴とするヘッドチップユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドチップユニットにおいて、
少なくとも一つの前記ヘッドチップは、前記チャネル及び前記インク室を複数有し、
複数の該インク室は、それぞれ前記供給部を有するとともに、それぞれ異なる前記チャネルと連通し、
前記供給部を有する前記ヘッドチップよりも前記一方側に積層された他の前記ヘッドチップには、前記インク供給孔が前記供給部と対応して複数形成されていることを特徴とするヘッドチップユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のヘッドチップユニットにおいて、
前記ヘッドチップの前記インク室は、前記配列方向に形成され前記チャネルと連通する本体部と、前記チャネルと前記積層方向に重ならない位置で前記供給方向に形成されて前記本体部と接続する導入部とを有し、前記供給部は該導入部に設けられていることを特徴とするヘッドチップユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のヘッドチップユニットにおいて、
前記インク室の前記供給部及び該供給部と対応する前記インク供給孔を、互いに独立して少なくとも四組有していることを特徴とするヘッドチップユニット。
【請求項5】
略板状のヘッドチップ本体の一縁端側から他縁端側に向かって延びて該他縁端側に開口するチャネル、及び、該チャネルが延びる供給方向と交差する配列方向に延びて前記一縁端側で前記チャネルに連通するインク室のそれぞれを前記ヘッドチップ本体に形成するヘッドチップ形成工程と、
該ヘッドチップ形成工程で作製された複数の前記ヘッドチップを積層する積層工程と、
積層する前記ヘッドチップの一方側に開口し該ヘッドチップの積層方向に貫通するインク供給孔を形成するインク供給孔形成工程とを備え、
前記ヘッドチップ形成工程は、少なくとも一つの前記ヘッドチップについて、前記インク室の一部として、前記積層工程で該ヘッドチップよりも一方側に積層する他の前記ヘッドチップの前記チャネル及び前記インク室と前記積層方向に重ならない位置まで延びる供給部を形成するとともに、
前記インク供給孔形成工程は、該供給部と連通する位置で、対応する前記インク供給孔を形成することを特徴とするヘッドチップユニットの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のヘッドチップユニットの製造方法において、
前記ヘッドチップ形成工程は、少なくとも一つの前記ヘッドチップについて、複数の前記チャネルを形成するとともに、複数の前記インク室を、それぞれ前記供給部を有するとともにそれぞれ異なる前記チャネルと連通するように形成し、
前記インク供給孔形成工程は、複数の前記インク室の各前記供給部のそれぞれと対応させて前記インク供給孔を複数形成することを特徴とするヘッドチップユニットの製造方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のヘッドチップユニットの製造方法において、
前記ヘッドチップ形成工程は、少なくとも一つの前記ヘッドチップについて、前記インク室として、前記配列方向に延びて前記チャネルと連通する本体部と、前記チャネルと前記積層方向に重ならない位置で前記供給方向に延びて前記本体部と接続する導入部とを形成し、前記供給部を該導入部に形成することを特徴とするヘッドチップユニットの製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のヘッドチップユニットを備えることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項9】
請求項8に記載のインクジェットヘッドを備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−207351(P2008−207351A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43648(P2007−43648)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(501167725)エスアイアイ・プリンテック株式会社 (198)
【Fターム(参考)】