説明

ヘッドマウントディスプレイのレンズ注文配達システム

【課題】視力矯正レンズを含めて、視力矯正レンズ用クリップを注文する方法を開示する。
【解決手段】視力矯正レンズを含めて、視力矯正レンズ用クリップを注文する方法において、クリップは頭部取付け式ビデオ表示装置の装着者の視力を矯正する。消費者は、ヘッドマウントディスプレイを購入すると、クリップ注文情報を得ることができる。これには、消費者個人の使用にクリップが必要であるか否かの判定をユーザーが行うことができるようにする情報が含まれている。少なくとも単眼視力および瞳孔間距離のデータを提示することにより、消費者は自己の注文を行うことができるが、この注文は鑑識作業所に送られる。完成した視力矯正レンズ用クリップは、消費者に直接配達される。クリップは投射装置に取付けられるので、試着立会いは不要となる。使用時には、視力矯正レンズ用クリップはユーザーの両眼とヘッドマウントディスプレイの表示物との間に置かれて、ユーザーとの直接接触は無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、視力矯正レンズを注文する方法に関するものであり、特に、視力矯正レンズを備えており、ヘッドマウントディスプレイにおいて使用するのに好適な構成の視力矯正レンズ用クリップの注文方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
「レンズ保持フレーム(Lens Holding Frame)」という発明名称の、2006年9月20日出願の、エサイラー・インターナショナル・カンパニー・ジェネラル・ド・オプティク(Essilor International Compagnie Generale d'Optique)を譲受人とする米国特許出願連続番号11/523,709号は、1組の視力矯正レンズが取付けられてヘッドマウントディスプレイに装着することができるようにした特殊設計のクリップの設計および取付け方法を記載しており、かかる出願の内容全体はここに引例に挙げることにより本件の一部を成すものとする。
【0003】
キーン(Keane)ほかのPCT国際公開 WO 03/005170号は、発売元からレンズ製品を注文するのに好適なコンピュータ・ユーザーインターフェイスを記載している。ユーザーインターフェイスは操作者に選択肢の一覧表を多数表示して見せ、1つの一覧表から選択肢を選ぶことで後続する一覧表で提示される次に選べる選択肢の数を減らしてゆくようになっている。
【0004】
ヴァウポティチュ(Waupotitsch)ほかに交付された米国特許第7,016,824号は、消費者個人の像に眼鏡フレームを装着したところを表示する対話型プラットフォームを記載している。特に、この特許は、眼鏡フレームの3次元モデルおよびユーザーの顔の3次元モデルを生成し、その両方のモデルを利用することで、何点かのメガネフレームの特定の組がユーザーの顔に装着した際にどのように映えるかをユーザーに対して表示して見せることを記載している。ウエブサイトFramesDirect.com がこれと類似した機能を提供しているが、眼科医の処方箋確認を必要とする。
【0005】
ニグロ(Nigro)ほかに交付された米国特許第6,792,401号は、人体測定学的データ収集を目的としたインターネットベースの光学画像化処理用のキオスク的簡易屋台を開示している。この特許は、このようなデータを利用して顧客の2次元画像データおよび3次元画像データを取得することで、ユーザーの3次元表示を構築するとともに装着できる商品を使用者に着用させて見せることも記載している。
【0006】
フクマ(Fukuma)ほかに交付された米国特許第7,010,146号は、眼鏡フレームに関する情報を表示するデータベース構築システムを例示している。この特許も、顔写真を複数の構成部分に分離してから顔の構成部分のタイプを分類することで、顔型に選択された眼鏡フレームを添わせるためのデータを収集しようと図っていることを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願連続番号11/523,709号
【特許文献2】PCT国際公開 WO 03/005170号
【特許文献3】米国特許第7,016,824号
【特許文献4】米国特許第6,792,401号
【特許文献5】米国特許第7,010,146号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
必要なのは、消費者が眼科治療専門医の支援を得て視力矯正レンズ用クリップの注文を行うことができるようにする方法である。このような方法は、所要の修正処方の自動計算も行えるようにするのが好ましい。
【0009】
よって、本発明の目的は、個人使用の画像媒体投射装置と併用されるようにした、あつらえた処方どおりの視力矯正レンズ用クリップを消費者が注文して受取ることができるようにすることである。
【0010】
本発明の別な目的は、消費者が視力矯正レンズ用クリップを必要とするか否かを自ら判定することができるようにすることである。
【0011】
本発明の更に別な目的は、処方確認および注文補佐のために眼科治療専門医に診てもらうという選択肢を消費者に提示することである。
【0012】
本発明のもう1つの目的は、製造したクリップを消費者に直接発送してもらえるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
視力矯正レンズを含めて視力矯正レンズ用クリップを注文する方法によって、上記目的とそれ以外の関連のある目的を達成することができるが、この場合、クリップは頭部取付け式ビデオ表示装置の装着者の視力を矯正する。第1に、ヘッドマウントディスプレイ購入者に視力矯正レンズ用クリップの注文情報を提供する。次に、消費者は、少なくとも1組の単眼視力および瞳孔間距離のデータを提示することにより、直接注文を行うことができる。注文は視力矯正レンズ用クリップを製造することができる鑑識作業所に配達される。視力矯正レンズ用クリップは、完成すると、消費者に直接発送される。
【0014】
多様な手段により、まず、消費者は視力矯正レンズ用クリップが必要か否かを判定することができる。注文はインターネットにより行うことができる。注文は、視力矯正レンズ用クリップを製造することができる鑑識作業所に送られる。これに代わる例として、眼科治療専門医から単眼視力および瞳孔間距離のデータを得てから、眼科治療専門医を介して視力矯正レンズ用クリップの注文を行うようにしてもよい。老眼ではない人については、消費者の正常な単眼視力処方が、視力矯正レンズ用クリップのレンズを得るための処方となる。
【0015】
老眼の人については、遠見視力から初めて、近見用加入度数に基づく値を加算し、瞳孔間距離を調整することで、単眼視レンズを準備する。より詳細に説明すると、単眼視力処方は、近見用加入度数に基づいてより高いパワーまで度数を上げることで、修正された単眼視力処方を準備する。調整済みの瞳孔間距離を算出し、視力矯正レンズ用クリップで使用する修正および調整済みの単眼視力レンズが準備される。瞳孔間距離は、遠方視の瞳孔間距離に1よりも小さい係数、例えば、0.973を乗算することにより調整される。遠見視力の度数部分は、近見用加入度数に基づいて離散的平均値算出を行うことにより修正される。
【0016】
製造工程は、可撓性のブリッジおよびアームを備えおり、眼鏡つるを省いた形態の標準的なクリップに嵌合するようにレンズの縁加工を行う工程を含んでいる。受取り時には、クリップはブリッジを撓曲させることにより投射装置上に載置するのに適した形態を取り、使用時には、クリップはユーザーと接触することはない。クリップは、ユーザーの両眼とヘッドマウントディスプレイ表示物との間に設置され、ピントの合った虚像の結像面がユーザーの両眼より前方2フィートから6フィートまでの間の位置にくるようにするのに適した構成にされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一局面による視力矯正レンズ用クリップの注文方法を例示した、ブロック表示を用いたフロー図である。
【図2】本発明の一局面による視力矯正レンズ用クリップ処方の修正プロセスを例示した、ブロック表示を用いたフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の利点、本質、および、多様な付加的な特徴は、添付の図面と関連づけて以下に詳細に説明される具体的実施例を思量すれば、より十分に明瞭となる。添付の図面では、複数の図面を通して、類似する工程段および類似する構成部材は同一参照番号で示されている。
【0019】
添付の図面は本発明の概念を例示するためのものであって、本発明を例示する唯一可能な構成とは必ずしもいえないものと理解するべきである。
【実施例】
【0020】
ここで図1を参照すると、図1は、本発明の一局面による視力矯正レンズ用クリップ注文方法100のブロック表示を用いたフロー図である。
【0021】
最初に、ヘッドマウントディスプレイは表示物の焦点を調節する性能を有していることが多い点に注目するべきである。しかしながら、この性能は通常は極めて限られており、ヘッドマウントディスプレイが行うことができる表示物の焦点調節は、僅少な屈折補正に対処する程度にすぎない場合がある。このことを本発明の方法に有利に適用することができるのは、視力矯正レンズ用クリップに使用される複数の連続するレンズ列の枚数を減らした場合で、そのようにしたレンズ列は各レンズごとの矯正度数の増分の漸増率がより大きくなる。消費者は所要の処方箋に極めて近いレンズを入手することができ、ヘッドマウントディスプレイの合焦性能を利用して、表示物を高精度に調整することができる。
【0022】
方法100は、ステップ101で消費者がヘッドマウントディスプレイを購入するところから開始される。次のステップ102では、消費者は、視力矯正レンズ用クリップが必要か否かを自己判定する。このステップは、ウエブサイトで利用できるコンピュータソフトウエアかヘッドマウントディスプレイに内臓されているコンピュータソフトウエアか、いずれかの支援で遂行されてもよく、または、視力検査カードの支援で遂行されてもよいが、このような視力検査カードは購入時にヘッドマウントディスプレイにオプションで付属するようにするとよい。視力欠陥を判定するためによく利用される上記以外の方法を採用して、消費者のレンズ処方の度数が、屈折補正されていないヘッドマウントディスプレイを見てボヤケなしに使用できる程度、または、眼の疲労なしに使用できる程度に緩いか否かを判定することができる。
【0023】
これに代わる例として、消費者はレンズ販売業者または眼科治療専門医と提携して、消費者が通常なら処方箋を必要とする場合でも、視力矯正レンズ用クリップが本当に必要であるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、特定のヘッドマウントディスプレイが表示物にピントを合わせてはっきり見せる能力が僅少であっても、緩い度数の処方を使っている消費者には、このヘッドマウントディスプレイの合焦性能を利用して容認できる程度に明瞭な画像を供与することができる。有用な実施例の1つとして、ヘッドマウントディスプレイは、自己の単眼視の処方が0ジオプターから+1.25ジオプターに更に0.50まで近用加入度数を含めた範囲に入るユーザーが屈折補正せずに見ることができるように設計されているとよい。同様に、ヘッドマウントディスプレイは、自己の単眼視の処方が0ジオプターから−1.25ジオプターに更に0.50まで近用加入度数を含めた範囲に入るユーザーが屈折補正せずに見ることができるように設計されていてもよい。消費者の処方が、ヘッドマウントディスプレイが許容できる処方無用の視認範囲に含まれる場合は、視力矯正レンズ用クリップが必要になる(ステップ103)。これに加えて、消費者がヘッドマウントディスプレイを使用しながらコンタクトレンズを装着することを選ぶ場合は、消費者は視力矯正レンズ用クリップを必要としない場合もある。
【0024】
更に、消費者は片目ごとの処方が相互に異なっている場合が多い。片目は視力矯正が必要でも、もう片方は矯正が必要ではなく、消費者が両眼でヘッドマウントディスプレイのビデオ表示を快適に視聴することができるようにするには、視力矯正レンズ用クリップが依然として必要となることがある。
【0025】
視力矯正レンズ用クリップが必要な場合、ステップ104で消費者は視力矯正レンズ用クリップを注文する。ステップ110で消費者は視力矯正レンズ用クリップを鑑識作業所に直接注文するようにしてもよい。ステップ110における直接注文方式は注文書の書式を取得することになるが、それには、ウエブサイト、電話、または、それ以外の周知の、もしくは、未知の直接注文方法で行うとよい。或る好ましい実施例では、消費者は視力矯正レンズ用クリップをウエブサイトで注文し、配達情報の頁に入り、かかりつけの通常の眼科治療専門医の情報を入力し、その後で、その眼科治療専門医から鑑識作業所が消費者の処方情報を直接入手してもよいし、または、消費者が自己の処方情報を直接的にウエブサイトに入力するようにしてもよい。老眼以外の消費者が直接注文を行うには、自己の単眼視力の処方箋を提示する必要がある。老眼の消費者は直接注文を行うのに、自己の遠見視力処方箋、瞳孔間距離、および、分かっているのであれば、近見加入度数を提示する必要がある。これに代わる例として、ステップ120で消費者は眼科治療専門医から視力矯正レンズ用クリップを注文するようにしてもよい。消費者が自己の視検処方を判定し、古い視検処方を更新し、または、視力矯正レンズ用クリップを容易に注文することができるようにするのを補佐するのに、眼科治療専門医が役に立てる。
【0026】
注文が完了すると、所要の処方が配達されるが、ステップ130では、視力矯正レンズ用クリップを製造することができる鑑識作業所に届けられる。このような配達は、例えば、データベース、ウエブサイト、または、売注文システムなどのように電子式に行われても良いし、書面による注文様式またはそれ以外の何らかのシステムで行われてもよいが、これらは全て当業者には周知である。クリップで使用される処方については後段でより詳細に説明してゆくが、レンズ保持フレームは弾性材で作成されており、その引張力は400 N/mm2から700 N/mm2 であるのが好ましく、フレームは2枚のレンズを保持し、少なくともその一方は視力矯正レンズである。弾性素材はステンレス鋼であるのが有利である。レンズ保持フレームは一体部材片に成型されるとよい。一実施例によると、レンズ保持フレームは縁なしである。また別な実施例によれば、レンズ保持フレームには半周縁がブリッジの両側に溶接されている。また別な実施例によれば、レンズ保持フレームは全周縁がブリッジをも含んで設けられており、ブリッジの両側からレンズを装着する部材片が2手に張出している。通例、レンズ保持フレームは眼鏡つるを欠いている。接続手段は、レンズ保持フレームをヘッドマウントディスプレイ装置上に堅固で再現し直せる着脱自在な位置に調節自在に取付けることができる態様になっている。
【0027】
処方箋と注文を配達した後で、ステップ131で鑑識作業所はクリップ処方の修正が必要であるか否かを判定する。このような修正により、ユーザーの顔に対するヘッドマウントディスプレイの特有の幾何学的形状に対処することができる。この修正については、後段でより詳細に論じる。
【0028】
ステップ131で算出された元のクリップ処方または修正されたクリップ処方に基づいて、ステップ132においてクリップは鑑識作業所によって製造されてから、ステップ133において消費者に直接配達される。この直接配達が可能になるのは、視力矯正レンズ用クリップがヘッドマウントディスプレイに取付けられるものであって、ユーザーの鼻や耳に装着するものではないせいである。よって、検眼士が患者に眼鏡を「試着」させるという従来の業務は不必要となる。これに加えて、投射装置に適合する標準フレームを一律に使うことができるのは、分かっている一定の距離で狭い視野に合わせて度数補正しているせいである。
【0029】
ここで図2を参照すると、本発明の一局面に従って視力矯正レンズ用クリップの処方131を修正する方法が例示されている。最初に、ステップ201において消費者が老眼であるか否かが判定される。老眼は近視野と遠視野の両方で視力矯正が必要となる。
【0030】
<老眼ではない人の視力矯正レンズ用クリップ>
ステップ201において消費者が老眼ではない場合は、ステップ132bにおいて元の単眼視力と瞳孔間距離の処方を使用して視力矯正レンズ用クリップを製造する。
【0031】
<老眼の人の視力矯正レンズ用クリップ>
I. 瞳孔間距離調節
ステップ201において消費者が老眼であった場合、まず、ステップ202において、瞳孔間距離について処方が調整される。瞳孔間距離の調整する処理工程として、瞳孔間距離を所定の係数で乗算し、中距離明視用に遠方視を矯正することを含んでいる。
【0032】
遠方視瞳孔間距離または遠見瞳孔間距離とは、消費者の両眼の間の距離のことをいう。レンズには概ね縁加工が施され、光学中心は多様な視認距離ごとに適所に置かれる。視力矯正レンズ用クリップのレンズはヘッドマウントディスプレイから一定の距離に載置されるが、これにより、見る人の目から実際には数インチしか離れていない位置にあるにも関わらず、表示物がその人の前方数フィートにあるように見せかけることができる。画像が虚像的に装着者の眼前3フィート先に表示されているせいで、眼の自然な輻輳を誘起し、従って、遠方視瞳孔間距離を調節してこの輻輳に対処することが必要となる。
【0033】
技術的に説明すると、虚像は、光路が自由空間を通らずに屈折光学重合体の内側にある光学系によって表示される。剛性成形体に仕上げることで、構成部材面の整列が維持され、埃や湿気の侵入が防止され、光路長が折り重なって、表示とバックライトを眼から遠ざかる方向にシフトする。
【0034】
視認距離が一定であるため、瞳孔間距離は1種類の最適設定に決まるように調節することができる。ヘッドマウントディスプレイの視力矯正レンズ用クリップにおいては、光学中心は僅かに内向きにシフトされ、一定距離のヘッドマウントディスプレイ表示光学系と視力矯正レンズ用クリップとについてユーザーの眼に関して最適な幾何学的配置を供与する。或る有用な実施例においては、遠方視瞳孔間距離は0.8から0.99までの間の係数で乗算され、例えば、係数0.973を掛けることで中距離明視の瞳孔間距離を得ることができる。このような計算により、調節済みの瞳孔間距離値が出る。
【0035】
II. 近見視力修正
消費者の処方は、ステップ210において自己の近見視力処方に基づいても修正される。この近見視力処方の特徴は、通常は、特定ジオプター量を単眼視力(遠見視力)の度数部分に加算することである。標準眼鏡については、一般に、近視は二重焦点レンズで矯正されるが、このようなレンズの頂点領域は遠方視用であり、最下位領域は読書専用である。しかしながら、近見用加入度数を遠見視力処方および瞳孔間距離修正と組合わせることにより、単眼視レンズを視力矯正レンズ用クリップで使用することができる。
【0036】
この原理の好ましい実施例においては、上記とは別な追加係数が前述の調整済み処方に加えられる。追加係数は近見視力矯正処方の一部である。これに加えて、追加係数の増分は標準処方よりも少なくてもよいし、または、多くてもよいが、この分を増大させることでヘッドマウントディスプレイの合焦性能を利用することができる。例えば、0.75ジオプターまでの近見用加入度数は無視することができる。1.00ジオプターから1.25ジオプターの間の近見用加入度数は、単眼視の度数部分に0.25ジオプターを加算することで補償することができる。1.50ジオプターから1.75ジオプターまでの間の近見用加入度数は、単眼視の度数部分に0.50ジオプターを加算することにより補償することができる。2.00ジオプターから2.25ジオプターまでの間の近見用加入度数は、単眼視の度数部分に0.75ジオプターを加算することにより補償することができる。2.50ジオプターを超過している近見用加入度数は、単眼視の度数部分に1.00ジオプターを加算することにより補償することができる。換言すると、修正とは、離散的平均値算出演算であると説明されてもよい。近見用加入度数の範囲は不連続な加入度数まで低減され、凡そ、その範囲の最小近見用加入度数よりも小さくなる。不連続な加入度数が単眼視力と組合されて、補正済み単眼視力が得られる。補正済み単眼視力は元の単眼視力よりも大きいが、単眼視力と近見用加入度数との和よりは小さい。
【0037】
単眼視力および瞳孔間距離について老眼処方を最終的に調整および修正した後で、ステップ132aにおいて、算出値を使って適切なレンズを選択し、視力矯正レンズ用クリップに好適なようにレンズの縁加工を施す。ヘッドマウントディスプレイの各種応用例においては、視力矯正レンズ用クリップのフレームは標準寸法で標準形状にするとよいが、というのも、このようなフレームとヘッドマウントディスプレイとの関係は、標準的眼鏡の場合にありがちな眼鏡フレームとユーザーの頭部との関係よりも更に重要となるからである。視力矯正レンズ用クリップのフレームは、可撓性アームがヘッドマウントディスプレイを堅固かつ着脱自在な態様で把持した状態でヘッドマウントディスプレイのブリッジに取付けることができるように一律に「試着」されるとよい。
【0038】
従って、例えば、マイクロオプティカル・マイヴュー(MicroOptical MyVu)個人使用画像媒体投射装置などのような頭部装着式装置に取付けることができる視力矯正レンズ用クリップを提供することができる。視力矯正レンズ用クリップの注文に関する情報は、投射装置と一緒に梱包されて、投射装置の購入者に自動配送される。視力矯正レンズ用クリップがユーザーに合っているか否かを判定するように、幾つかの選択肢がユーザーに提示される。自己の単眼視力および瞳孔間距離のデータを保有しているユーザーは直接注文を入れることができる。代替例として、郵便番号またはそれ以外の住所に基づく方法で、眼科治療専門医の居所をユーザーが突き止める情報を提供するようにしてもよい。視力矯正レンズ用クリップを製造する鑑識作業所に注文が配達される。眼鏡または度入りサングラスを注文する場合と比較して、フレームに関するデータは不必要である。視力矯正レンズ用クリップのブリッジは、ヘッドマウントディスプレイの鼻パッドの上に載置されるように設けられている。耳に掛ける眼鏡つるの代わりに、視力矯正レンズ用クリップは小型のL字型アームを有しており、これらがフレームを起点に下方の、ユーザーの両頬から遠ざかる方向に延びている。視力矯正レンズ用クリップのブリッジは弾性材で製造されて、鼻パッドをてこの支点として利用することで、フレームの外側の部分を下方向に旋回させることができる。下方向に旋回させると、両アームの自由端は投射装置の底部に触れずに通過してから投射装置の下側に係合することができる。ブリッジの上向き偏倚力により、軽い力で投射装置の下側をアームに押圧させることができる。アームの取外しは容易に行うことができる。
【0039】
驚くべきことに、視力矯正レンズ用クリップはその撓み能力のおかげで、繰返し取外しを行うことができ、尚且つ、投射装置の厳密に同じ場所に何度でも元通り設置することができる。視力矯正レンズ用クリップの設置位置としては、表示画面より前方1インチ以内があり、更にまた、ピントの合った虚像の結像面の手前2フィートから6フィート以内がある。使用時には、視力矯正レンズ用クリップはユーザーの両眼と20インチから30インチの虚像の両眼視画像との間に置かれて、ユーザーとの直接接触は無い。画像媒体投射装置は、その外側に多少の外辺視野を設けることができるように設計されているので、視力矯正レンズ用クリップはこれに対応して短くなっており、例えば、その高さを囲む値B/2はわずか8.5 mmである。レンズは片方ごとに幅が30 mmから50 mmの間であればよいが、例えば、33.5 mmにしてもよい。レンズ相互の間の距離は30 mmから35 mmの間であればよく、例えば、32 mmにしてもよい。
【0040】
本発明の具体的な実施例を説明してきたが、本発明は厳密にこれら実施例そのままに限定されるものではなく、その他にも多様な変更および修正を施すにあたり、当業者であれば本発明の範囲または真髄から逸脱せずに行うことができるものと理解するべきである。このような変更および修正はいずれも本発明の範囲に含まれるものであって、添付の特許請求の範囲によって限定されるものと解釈するべきである。例えば、複数の工程段を相互に入れ替えても実質的に同一である働きをすることで同じ効果を達成するのであれば、それらは本発明の範囲に入ると解釈するべきであることは明らかである。更に、本発明の開示された形態または実施例はいずれも、それ以外の開示された形態、説明された形態、または、提案された形態のいずれにでも組入れることができ、これは概して適用方法の融和性の問題であると認識するべきである。よって、添付の特許請求の範囲によって示されているとおりにのみ制限されるべきものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視力矯正レンズを含めて、視力矯正レンズ用クリップを注文する方法であって、前記視力矯正レンズ用クリップは、頭部取付式ビデオ表示装置すなわちヘッドマウントビデオディスプレイの装着者の視力を矯正するのに適した構成であり、前記方法は、
ヘッドマウントビデオディスプレイ購入者に視力矯正レンズ用クリップの注文情報を提供する工程と、
少なくとも1組の単眼視力および瞳孔間距離のデータを提示することにより、視力矯正レンズ用クリップを注文する工程と、
視力矯正レンズ用クリップを製造することができる鑑識作業所に視力矯正レンズ用クリップの注文を配達する工程と、
ヘッドマウントビデオディスプレイに取付けることができるようにした視力矯正レンズ用クリップを製造する工程と、
視力矯正レンズ用クリップを消費者に直接配達する工程とを含んでいる、方法。
【請求項2】
消費者が視力矯正レンズ用クリップを必要としているか否かを判定する工程を更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
注文する前記工程は、視力矯正レンズ用クリップをウエブサイトから注文する工程を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
注文する前記工程は、視力矯正レンズ用クリップを製造することができる鑑識作業所に電話をすることにより、視力矯正レンズ用クリップを注文する工程を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
注文する前記工程は、眼科治療専門医から単眼視力および瞳孔間距離のデータを得てから、眼科治療専門医を介して視力矯正レンズ用クリップを注文する工程を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
製造する前記工程は、
消費者が老眼であるか否かを判定し、消費者が老眼であると判定した場合は、
(i)近見用加入度数に基づいて単眼視力処方の度数をより高い度数まで増大させて修正し、修正済みの単眼視力処方を供与する工程と、
(ii)調整済みの瞳孔間距離を算出する工程と、
(iii)視力矯正レンズ用クリップで使用するように修正および調整済みの単眼視レンズを準備する工程とを含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
算出する前記工程は、遠方視の瞳孔間距離を1よりも小さい係数で乗算する工程を含んでいることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記係数は0.973であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
単眼視力処方を修正する前記工程は、近見加入度数に基づいて離散的平均値算出を行う工程を含んでいることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
消費者が老眼ではないと判定した場合は、消費者の通常の単眼視力処方を視力矯正レンズ用クリップで使用するレンズに必要な処方として採用する工程を含んでいることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
製造する前記工程は、可撓性ブリッジおよびアームを備えているが眼鏡つるは省かれている標準的なクリップに嵌合させるようにレンズに縁加工を施す工程を含んでおり、
配達する前記工程の後では、前記クリップは、ブリッジを撓曲させることにより前記投射装置に取付けるのに適した形態を取り、使用時は、クリップはユーザーに接触することは無いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記クリップは、ユーザーの両眼とヘッドマウントビデオディスプレイの表示物との間に設置され、ピントの合った虚像の結像面がユーザーの両眼より前方2フィートから6フィートまでの間の位置にくるようにするのに適した構成であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
頭部取付式ビデオ表示装置すなわちヘッドマウントビデオディスプレイにおいて視力矯正を行うのに好適な視力矯正レンズ用クリップを製造するための消費者の視検処方を補正する方法であって、前記方法は、
消費者が老眼であるか否かを判定する工程と、
消費者が老眼であると判定した場合、消費者の瞳孔間距離を調整して中間距離明視の瞳孔間距離を生成する工程と、
消費者が老眼であると判定した場合、消費者の近見視力処方を補正して近見視力修正度数を生成する工程と、
近見視力修正度数および中間距離明視の調整済み瞳孔間距離を利用して、視力矯正レンズ用クリップに必要な最終処方を生成する工程とを含んでいる、方法。
【請求項14】
瞳孔間距離を調整する前記工程は、瞳孔間距離を係数0.973で乗算して中間距離明視の調整済み瞳孔間距離を生成する工程を含んでいることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
消費者の元の視力処方を補正する前記工程は、消費者の近見用加入度数に基づいて係数を加算して修正済み近見度数値を生成する工程を含んでいることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記係数は消費者の近見用加入度数の一部であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
可撓性ブリッジおよびアームは備えているが眼鏡つるが省かれている標準的レンズフレームに嵌合させるようにレンズに縁加工を施すことにより、視力矯正レンズ用クリップを製造する工程と、
前記視力矯正レンズ用クリップをユーザーに直接配達する工程とを更に含んでおり、前記クリップは、前記ブリッジを撓曲させることにより投射装置に取付けるのに適した形態を取り、使用時には、クリップがユーザーに接触することは無いことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記クリップは、ユーザーの両眼とヘッドマウントビデオディスプレイの表示物との間に設置され、ピントの合った虚像の結像面がユーザーの両眼より前方2フィートから6フィートまでの間の位置にくるようにするのに適した構成であることを特徴とする、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−511904(P2010−511904A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539837(P2009−539837)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004606
【国際公開番号】WO2008/139265
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(591019759)エシロール アンテルナショナル コムパニー ジェネラル ドプテイク (27)
【Fターム(参考)】