説明

ヘッドマウントディスプレイ

【課題】3次元立体画像表示の状態と2次元画像表示の状態とを切り替え可能であって、低コストかつ明るい画像を観察できるヘッドマウントディスプレイを提供する。
【解決手段】画像を表示する表示部と、該表示部の視認側に配置され、電圧の印加により偏光特性が変化する偏光制御素子を備えた偏光板と、接眼光学系と、各々二つの前記偏光制御素子を備えた右眼用シャッタと左眼用シャッタとを有するヘッドマウントディスプレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元(3D)立体画像表示と、2次元(2D)画像表示との切り替えが可能であり、観察者の頭部に保持することを可能にするヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細加工技術の進歩により、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの画像表示素子の高精細化が進んでいる。これらディスプレイの高精細化により、当該ディスプレイが表示できる情報量の増大化が進み、3D画像の表示が可能となってきている。
【0003】
特に、通常のディスプレイより小型で3D画像が楽しめるヘッドマウントディスプレイの需要が増大している(例えば、特許文献1参照)。図15は、従来のヘッドマウントディスプレイHの構成の概要図である。ヘッドマウントディスプレイHは、画像表示素子である液晶ディスプレイD1,D2、プリズムG1,G2を有する。液晶ディスプレイD1には対象物体である立方体の視差画像である右眼用画像RIが表示され、液晶ディスプレイD2には対象物体である立方体の視差画像である左眼用画像LIが表示される。各画像は各々プリズムG1,G2によって右眼RE,左眼LEに結像される。プリズムG1,G2は一面を自由曲面とされ結像機能を有する。
【0004】
更に、近年では、かかるヘッドマウントディスプレイには、3次元立体画像表示の状態と、2次元画像表示の状態とに切り替え可能とする要求が高まっている。
【0005】
ヘッドマウントディスプレイでなく、3次元立体画像表示と2次元画像表示とを切り替える通常の表示装置としては、例えば偏光板をスライド移動させて切り替える表示装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
上記のようなヘッドマウントディスプレイ並びに3次元立体画像表示と2次元画像表示とを切り替える通常の表示装置の二つの技術を組み合わせれば、3次元立体画像表示の状態と2次元画像表示の状態とを切り替え可能なヘッドマウントディスプレイを実現することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−239630号公報
【特許文献2】特開2005−173619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、3次元立体画像表示と2次元画像表示とに切り替え可能とする表示装置における表示の方式は一つに限られない。
【0009】
従って、上記のような二つの技術の組み合わせによって、3次元立体画像表示と2次元画像表示とに切り替え可能とするヘッドマウントディスプレイを実現しようとすると、方式の異なる表示装置毎に、その方式に合わせたヘッドマウントディスプレイを用意する必要がある。このことは、装置の高コスト化に通ずる。
【0010】
また、従来の3次元立体画像表示と2次元画像表示とに切り替え可能とする表示装置においては、2次元画像表示において、光利用効率が高いとは言えないので、画像が暗くなりがちである。
【0011】
本発明は、3次元立体画像表示の状態と2次元画像表示の状態とを切り替え可能であって、低コストかつ明るい画像を観察できるヘッドマウントディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1.画像を表示する表示部と、
該表示部の視認側に配置され、電圧の印加により偏光特性が変化する偏光制御素子を備えた偏光板と、
接眼光学系と、
各々二つの前記偏光制御素子を備えた右眼用シャッタと左眼用シャッタとを有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【0013】
2.前記偏光板と右眼用シャッタと左眼用シャッタとが偏光特性を有するとき、前記表示部の表示を立体視に対応した表示とし、
前記偏光板と右眼用シャッタと左眼用シャッタとが偏光特性を有さないとき、前記表示部の表示を2次元表示とすることを特徴とする前記1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【0014】
3.前記偏光板が偏光特性を有するとき、前記偏光板は二つの異なる偏光軸を有していることを特徴とする前記1又は前記2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【0015】
4.前記偏光軸は直交関係にあることを特徴とする前記3に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【0016】
5.前記右眼用シャッタと前記左眼用シャッタとに各々備えられた二つの前記偏光制御素子は、直交する偏光軸を有することを特徴とする前記1または2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【0017】
6.前記偏光板は、異なる偏光軸の領域を交互にストライプ状に形成するものであることを特徴とする前記3又は前記4に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【0018】
7.前記偏光板は、異なる偏光軸の領域を交互に市松模様状に形成するものであることを特徴とする前記3又は前記4に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【0019】
8.前記偏光板は、単一の偏光軸の偏光制御素子と、該偏光制御素子の前記偏光眼鏡側に、λ/2波長板として機能する部位と透過部とが交互に形成された光学素子とで構成されていることを特徴とする前記1又は前記2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【0020】
9.前記表示部は、自発光型のディスプレイであることを特徴とする前記1から前記8までの何れか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【発明の効果】
【0021】
3次元立体画像表示の状態と2次元画像表示の状態とを切り替え可能であって、低コストかつ明るい画像を観察できるヘッドマウントディスプレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ヘッドマウントディスプレイ100の概要図である。
【図2】偏光制御素子200の一例を示す模式断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る表示装置に適用される偏光制御素子からなる偏光板20Aの模式断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る表示装置1の概略構成を示す斜視図である。
【図5】第1の実施の形態に係る表示装置1における3次元立体画像を表示する際の偏光板20Aの状態を示す模式図である。
【図6】偏光制御素子の偏光機能を市松模様状となるように制御する場合の透明電極及び回路の配置例を示す模式図である。
【図7】第1の実施の形態に係る表示装置1における3次元立体画像を表示する際の他の偏光板20Bの状態を示す模式図である。
【図8】第1の実施の形態に係る他の表示装置1の概略構成を示す斜視図である。
【図9】偏光制御素子200を備えた右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4と入射光との関係を示す模式図である。
【図10】右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4への入射光が、右眼と左眼とで相直交する直線偏光である場合に、右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4と入射光との関係を示す模式図である。
【図11】右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4への入射光が、右眼と左眼とで相直交する直線偏光である場合に、かかる右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4と入射光との関係を示す模式図である。
【図12】ヘッドマウントディスプレイ100の概要説明図である。
【図13】第1の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイ100の機能ブロック図である。
【図14】第2の実施の形態に係る表示装置1の概略構成を示す斜視図である。
【図15】従来のヘッドマウントディスプレイHの構成の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、実施の形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
図1は、ヘッドマウントディスプレイ100の概要図である。ヘッドマウントディスプレイ100は、2次元画像表示素子である表示部10と、偏光板20Aと、プリズムPR1と、光シャッタ3,4,5,6と、接眼レンズL1,L2とを有する。光シャッタ3,4,5,6には、入射する光の透過率を制御する機能を有するエレクトロクロミック(Electrochromic)素子を用いた偏光制御素子が備えられている。なお、光シャッタ3と光シャッタ5の位置は入れ替えられていてもよく、光シャッタ4と光シャッタ6の位置は入れ替えられていてもよい。詳しくは後述する。
【0025】
(偏光板の構成と動作)
まず、本発明に係るヘッドマウントディスプレイ100に適用される偏光板20Aを構成する偏光制御素子200の概略について説明する。
【0026】
図2は、偏光制御素子200の一例を示す模式断面図である。同図に示す偏光制御素子200は、第1の基板201に第1の透明電極101が形成され、第2の基板202に第2の透明電極104が形成され、第1の透明電極101上に電解質層102、第2の透明電極104上に所定の方向に(例えば色素の)分子が配向された偏光制御膜103が形成されており、電解質層102と偏光制御膜103が接して構成されている。
【0027】
第1の透明電極101と電解質層102は、絶縁層106により他の電極と隔てられている。絶縁層106は、対向する第1の透明電極101と第2の透明電極104間を隔てるよう構成されていてもよいし、電解質層102が固体で形成されている場合には、絶縁層106は不要であり省略してもよい。
【0028】
配向された、とは分子が方向性を有して配置されていることである。この配向により、ランダムな振動方向を有する光は、この偏光制御膜103を通過する際に、偏光制御膜103により所定方向の振動成分が吸収され、所定の方向の振動成分を有する直線偏光状態となった光のみを透過させることができる。
【0029】
例えば、偏光制御膜103が紙面に垂直な振動方向の光を吸収するように構成されている場合、第1の基板201側からランダムな振動方向を有する光が入射すると、この偏光制御膜103により紙面に垂直な振動方向の光は吸収され、第2の基板202側には紙面に平行な振動方向の光が透過することになる。同様に、偏光制御膜103が紙面に平行な振動方向の光を吸収するように構成されている場合、第1の基板201側からランダムな振動方向を有する光が入射すると、この偏光制御膜103により紙面に平行な振動方向の光は吸収され、第2の基板202側には紙面に垂直な振動方向の光が透過することになる。
【0030】
また、対向する第1の透明電極101と第2の透明電極104との間に電圧を印加し、偏光制御膜103に電荷を供給することで、上述の偏光制御膜103が有している偏光特性を消失させ、偏光機能を無くすることができる。なお、このような特性を有する偏光制御膜としては、例えば、本出願人による特願2009−126250号公報に記載のものを使用することができる。
【0031】
すなわち、本実施の形態に係る偏光制御素子200は、対向する第1の透明電極101と第2の透明電極104に対し、選択的に電圧を印加することで、偏光機能を有しない部位と偏光機能を有する部位とを任意に作り出すことができるものである。
【0032】
以下、このような偏光制御素子200を用いた偏光板20Aを備えた表示装置1について説明する。
【0033】
図3は、第1の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイ100に適用される偏光制御素子200からなる偏光板20Aの模式断面図である。同図に示すヘッドマウントディスプレイ100に適用される偏光制御素子200からなる偏光板20Aは、上述の偏光制御素子200を2種2枚用いたものである。
【0034】
図3に示すように、第1の実施の形態に係る偏光板20Aを構成する偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bは、偏光制御膜103の配向方向が互いに略直交関係を有しており、対向する第1の透明電極101、電解質層102、偏光制御膜103、第2の透明電極104は、それぞれが紙面直交方向にストライプ状に形成されている。
【0035】
すなわち、偏光制御素子200Aが、対向する第1の透明電極101と第2の透明電極104との間が無通電の際に、紙面に平行な方向に振動する光(S偏光)を透過させるものである場合、偏光制御素子200Bは、対向する第1の透明電極101と第2の透明電極104との間が無通電の際に、紙面に垂直な方向に振動する光(P偏光)を透過させるものとなっている。
【0036】
なお、偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bのそれぞれの偏光制御膜103は、図示の如く、基板202及び第2の透明電極104を介して重ね合わされていることが好ましい。このようにすることで、それぞれの偏光制御膜103を厚み方向で近接させて配置させることができる。また、基板202をより薄く形成し、より近接させるとより好ましい。
【0037】
図4は、第1の実施の形態に係る表示装置1の概略構成を示す斜視図である。図4に示す表示装置1は、例えば自発光型のディスプレイである有機EL表示装置等で構成される表示部10の視認側(観察者側)に、図3に示した構成の偏光板20Aが配置されている。
【0038】
表示部10は、表示画面の全面に同一の画像を表示する2次元画像表示が可能である。更に、図示のように、表示画面を左眼用画像LIが表示される複数(n列)のストライプL1〜Lnと、右眼用画像RIが表示される複数(n列)のストライプR1〜Rnとを交互に設定し、立体視に対応させるべく、それぞれに所望の視差を生じさせる、ずらした画像を表示する3次元立体画像表示も可能となされている。
【0039】
表示部10の3次元立体画像表示の際のストライプL1〜Ln及びR1〜Rnのそれぞれ個々のストライプの幅は、少なくとも隣り合うR(赤)を表示する画素、G(緑)を表示する画素、B(青)を表示する画素の3画素で1単位とすると、この1単位毎に対応して交互に設定されていることが好ましいが、m単位(mは整数)毎に対応して交互に設定されていてもよい。
【0040】
偏光板20Aを構成する偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bは、ストライプ状の第1の透明電極101と第2の透明電極104の幅方向のピッチ(図3に示すP)が、表示部10において設定されているストライプの幅と略同じであり、表示部10のストライプの境界と、隣合う透明電極の境界(図3の絶縁層106)とが略同位置となるよう位置合わせされている。
【0041】
また、偏光制御素子200Aには、形成された複数の第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104の奇数列に電圧を印加する導線SA1と偶数列に電圧を印加する導線SA2が接続されている。同様に、偏光制御素子200Bには、形成された複数の第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104の奇数列に電圧を印加する導線SB1と偶数列に電圧を印加する導線SB2が接続されている。なお、導線SA1、SA2、SB1、SB2を一本の線で示しているが、一対の第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104にそれぞれ接続されているものである。
【0042】
偏光板20Aは、3次元立体画像を表示する際には、偏光制御素子200Aに対して導線SA1に電圧を印加すると共に、偏光制御素子200Bに対して導線SB2に電圧を印加し、表示部10はストライプL1〜Lnに左眼用画像LIを表示し、ストライプR1〜Rnに右眼用画像RIを表示する。
【0043】
観察者は、直線偏光状態となされた左眼用画像LIを左眼で観察し、直線偏光状態となされた右眼用画像RIを右眼で観察することで3次元立体画像を観察できる。詳しくは後述する。
【0044】
図5は、第1の実施の形態に係る表示装置1における3次元立体画像を表示する際の偏光板20Aの状態を示す模式図である。
【0045】
図5に示すように、3次元立体画像を表示する際の偏光板20Aは、偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bの第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104に、交互に電圧が印加される。電圧が印加された透明電極間の偏光制御膜103は、上述のように偏光機能が無くなる。このため、図示のように表示部10で表示されるランダムな振動方向の左眼用画像LIの光Lxは、偏光板20Aで偏光制御素子200Bのみの偏光機能の影響を受け、紙面に平行な直線偏光成分の光(S偏光)が透過する。一方、表示部10で表示されるランダムな振動方向の右眼用画像RIの光Rxは、偏光板20Aで偏光制御素子200Aのみの偏光機能の影響を受け、紙面に垂直な直線偏光成分の光(P偏光)が透過する。
【0046】
これにより観察者は、各々後述する接眼光学系と偏光機能を有する右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4とを用いて、右眼用画像RIの光Rxを右眼で、左眼用画像LIの光Lxを左眼で観察することで、3次元(3D)立体画像が観察できるようになる。
【0047】
一方、2次元表示の際には、図4に示す導線SA1、SA2、SB1、SB2に電圧を印加すると共に、表示部10は表示画面の全面に2次元画像表示を行う。導線SA1、SA2、SB1、SB2に電圧を印加することにより、偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bの全面の偏光機能が失われ、表示部10の表示画像は偏光することなく偏光板20Aを透過し、観察者は後述する偏光機能を有しない右眼用シャッタS3,左眼用シャッタS4を用いて2次元画像を観察することができるようになる。
【0048】
すなわち、導線SA1、SA2、SB1、SB2に対し選択的に電圧を印加するのみで、3次元(3D)立体画像表示に対応する状態と、2次元(2D)画像表示に対応する状態との切り替えが可能となる。
【0049】
図6は、偏光制御素子200Aの偏光機能を市松模様状となるように制御する場合の透明電極及び回路の配置例を示す模式図である。すなわち、右眼用画像RIと左眼用画像LIとを市松模様状に表示させる。
【0050】
同図に示すように、複数の透明電極101の行と複数の透明電極104の列を交差させて形成し、水平走査回路151に透明電極101が個々に接続され、垂直走査回路152には透明電極104が接続されている。
【0051】
透明電極間に電圧を印加した場合に、偏光機能の消失状態が保持される偏光制御膜を用いる場合、まず、水平走査回路151に接続された透明電極101の奇数行(Y1、Y3、Y5…)を選択し、垂直走査回路152に接続された透明電極104の奇数列(X1、X3、X5…)を選択して電圧印加を行う。次いで、水平走査回路151に接続された透明電極101の偶数行(Y2、Y4、Y6…)を選択し、垂直走査回路152に接続された透明電極104の偶数列(X2、X4、X6…)を選択して電圧印加を行う。これにより、図示ハッチング部の偏光機能を消失させることができ、偏光機能の有無の領域を市松模様状に設定することができる。
【0052】
また、表示部10の表示走査に同期させて、水平走査回路151に接続された透明電極101と垂直走査回路152に接続された透明電極104を選択し、電圧印加を行ってもよい。この場合には、偏光機能の消失状態が保持されない偏光制御膜であってもよい。
【0053】
なお、図7は、第1の実施の形態に係る表示装置1における3次元立体画像を表示する際の他の偏光板20Bの状態を示す模式図である。
【0054】
同図に示す偏光板20Bは、上述の偏光制御素子を1種1枚と、λ/2波長板部60Aと透過部60Bが交互に構成された光学素子60とで構成されたものである。すなわち、本例の偏光板20Bは単一の偏光制御素子を用いたものである。
【0055】
図8は、偏光板20Bを有する表示装置1の概略構成を示す斜視図である。図8に示す表示装置1は、図4に示す表示装置1と、偏光板のみ構成が異なり、表示部10の視認側に、図7に示した構成の偏光板20Bが配置されている。偏光板20Bの偏光制御素子200Cには、形成された透明電極101と第2の透明電極104の全てに電圧を印加する導線SAが接続されている。なお、導線SAを一本の線で示しているが、一対の第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104にそれぞれ接続されているものである。
【0056】
光学素子60のλ/2波長板部60Aと透過部60Bの幅方向のピッチは、偏光制御素子200Cのストライプ状の第1の透明電極101と第2の透明電極104の幅方向のピッチ(図7に示すP)と略同じに形成されている。また、λ/2波長板部60Aと透過部60Bの境界は、表示部10のストライプの境界とも略同位置となるよう位置合わせされている。
【0057】
このように偏光板20Bを構成することで、例えば、偏光制御素子200Cが、無通電の際に紙面に平行な方向に振動する光(S偏光)を透過させるものの場合、偏光制御素子200Cにより、表示部10で表示されるランダムな振動方向の左眼用画像LIの光Lx及び右眼用画像RIの光Rxは、偏光制御素子200Cの偏光機能の影響を受け、共に紙面に平行な方向の直線偏光の光(S偏光)となって透過する。次いで、直線偏光した左眼用画像LIの光は、そのまま透過部60Bを透過し、一方、直線偏光した右眼用画像RIの光は、λ/2波長板部60Aを透過することにより紙面に垂直な方向の直線偏光した光(P偏光)となる。これにより観察者は、紙面に平行な直線偏光成分の光(P偏光)を透過させて左眼用シャッタS4を経て観察し、紙面に平行な直線偏光成分の光(S偏光)を透過させて右眼用シャッタS3で観察することで、3次元(3D)立体画像が視認できるようになる。
【0058】
一方、2次元表示の際には、図8に示す導線SAに電圧を印加すると共に、表示部10は表示画面の全面に2次元画像表示を行う。導線SAに電圧を印加することにより、偏光制御素子200Cの全面の偏光機能が失われ、表示部10の表示画像は偏光することなく偏光板20Bを透過し、後述するように偏光機能を各々消失させた右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4とを用いるので2次元画像を観察することができるようになる。詳しくは後述する。
【0059】
すなわち、導線SAに電圧を印加するか否かのみで、3次元(3D)立体画像表示に対応する状態と、2次元(2D)画像表示に対応する状態との切り替えが可能となる。
【0060】
(光シャッタの動作)
図9から図11を用いて光シャッタ3,5を有する右眼用シャッタS3と光シャッタ4,6を有する左眼用シャッタS4の動作について説明する。光シャッタ3,5,4,6は偏光制御素子200を有する。以下、各光シャッタの偏光軸とは、偏光制御素子200の直線偏光を透過させる方向の偏光軸のことを指すものとする。
【0061】
図9は、偏光制御素子200を備えた右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4と入射光との関係を示す模式図である。図9(a)は、電圧を印加しない場合の偏光の挙動を示す模式図であり、図9(b)は、電圧を印加する場合の偏光の挙動を示す模式図である。なお、図9(a)においては、理解を進めるために光シャッタ3と光シャッタ5とを、そして光シャッタ4と光シャッタ6とを分離した形で表している。
【0062】
右眼用シャッタS3を構成する光シャッタ3,5の直線偏光を透過させる方向の各々の偏光軸D1,D3は互いに直交するように配置される。また、左眼用シャッタS4を構成する光シャッタ4,6の各々の偏光軸D2,D4も互いに直交するように配置される。
【0063】
各々の光シャッタに備えられた偏光制御素子200に電圧を印加しない電圧非印加時には、各々の光シャッタを透過する直線偏光の偏光方向は、各々の光シャッタの偏光軸と平行な方向である。従って、右眼用シャッタS3を構成する光シャッタ3,5の各々の偏光軸D1,D3は互いに直交するように配置されているので、光シャッタ5を透過した直線偏光は光シャッタ3に遮光される。同じく、左眼用シャッタS4においても、左眼用シャッタS4を構成する光シャッタ4,6の各々の偏光軸D2,D4は互いに直交するように配置されているので、光シャッタ6を透過した直線偏光は光シャッタ4に遮光される。
【0064】
従って、同図に示すような直交軸方向の偏光成分を有する偏光(偏光P1,P2)、例えば、直線偏光、円偏光、楕円偏光等、全ての偏光は右眼用シャッタS3,左眼用シャッタS4に遮光される。なお、無偏光状態の光の場合も同様であることは言うまでもない。
【0065】
一方、図9(b)のように、各光シャッタに電圧を印加する場合、各光シャッタは、全ての偏光を透過させるので、右眼用シャッタS3に入射する偏光P1と、左眼用シャッタS4に入射する偏光P2とは、各々右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4とを透過する。無偏光状態の光の場合も同様であることは言うまでもない。
【0066】
このように、偏光P1,P2が無偏光状態である場合も含め、いかなる偏光の場合であっても、右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4に、各々、相直交する偏光軸を有する二つの光シャッタを用いることで、透過率を制御することができる。
【0067】
図10は、右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4への入射光が、右眼と左眼とで相直交する直線偏光である場合に、右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4と入射光との関係を示す模式図である。
【0068】
このように、右眼用画像RIと左眼用画像LIの各々の光が相直交する直線偏光の場合にも、かかる右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4は採用可能である。すなわち、入射する直線偏光である偏光P1,P2の偏光方向は、一方を右眼用シャッタS3を構成する光シャッタ3,5の少なくとも一方の偏光軸と垂直にでき、他方を左眼用シャッタS4を構成する光シャッタ4,6の少なくとも一方の偏光軸とに垂直にできる。従って、直線偏光である偏光P1,P2の両方とも遮光することができる。
【0069】
また、入射する直線偏光である偏光P1,P2の偏光方向が、一方が右眼用シャッタS3を構成する光シャッタ3,5のどちらとも偏光軸が垂直でなく、他方も左眼用シャッタS4を構成する光シャッタ4,6の偏光軸と垂直でない場合でも、右眼用シャッタと左眼用シャッタとは、各々相直交する偏光軸を有する偏光制御素子200を有しているので、各々遮光することができる。各光シャッタに電圧を印加すると、全ての偏光を透過させることができるので、右眼用画像RIの偏光P1、左眼用画像LIの偏光P2の両方供に透過させることができる。
【0070】
なお、入射光が直線偏光であるので、図11に示すように、右眼用シャッタS3、左眼用シャッタS4を制御してもよい。図11は、右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4への入射光が、右眼と左眼とで相直交する直線偏光である場合に、かかる右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4と入射光との関係を示す模式図である。入射光が直線偏光であるので、右眼用シャッタS3,左眼用シャッタS4の各々を構成する光シャッタのうちの一方のみ電圧の印加非印加の制御を行ってもよい。同図では、右眼用シャッタS3における光シャッタ5、左眼用シャッタS4における光シャッタ6の各々の偏光軸を入射光の偏光方向と直交させ、光シャッタ3、光シャッタ4は電圧印加状態のままとし、光シャッタ5、光シャッタ6に電圧を印加しない状態で入射光を遮光することで、入射光を遮光している。
【0071】
以上のように、右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4に入射する光に係わらず、偏光軸の方向が相直交する光シャッタを二つ重ねた右眼用シャッタと左眼用シャッタを構成することで、右眼用画像RIと左眼用画像LIの光の透過率を制御することができる。
【0072】
従って、本実施例においては、図9から図11の何れで説明した右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4でも採用することができる。
【0073】
(ヘッドマウントディスプレイ100の構成と動作)
かかる右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4を用いたヘッドマウントディスプレイ100について説明する。
【0074】
図12は、ヘッドマウントディスプレイ100の概要説明図である。図12(a)は、ヘッドマウントディスプレイ100の全体の概要図である。図12(b)は、右眼REへの光線図であり、図12(c)は、左眼LEへの光線図である。
【0075】
ヘッドマウントディスプレイ100は、表示部10、偏光板20A、プリズムPR1、接眼レンズL1,L2、右眼用シャッタS3、左眼用シャッタS4、及び電装系42を有する。
【0076】
プリズムPR1は、図示のように4つのプリズムが合成されてなるクロスプリズムである。材質はガラスやプラスティックを採用できる。プリズムPR1には偏光依存性はないものとする。
【0077】
接眼レンズL1,L2は、表示部10上の画像をプリズムPR1、右眼用シャッタS3、左眼用シャッタS4を介して右眼RE,左眼LEに結像させる機能を有する。なお、本実施形態におけるプリズムPR1は、光を集発散させるパワーを有しないので、接眼レンズL1,L2が接眼光学系の機能を有する。プリズムPR1が、光を集発散させるパワーを有する場合、プリズムPR1のパワーと接眼レンズL1,L2のパワーとを合わせて光学設計することで、容易に接眼光学系の機能を発揮させることができる。
【0078】
右眼用シャッタS3、左眼用シャッタS4には図9から図11の何れのタイプを採用してもよい。
【0079】
表示部10は自発光型のディスプレイである有機EL表示装置等である。表示部10には、偏光毎に視差画像の左眼用画像LIと右眼用画像RIとがそれぞれ割り当てられている。
【0080】
図12では、表示部10上に例示として立方体を右から見た右眼用画像RIと、左から見た左眼用画像LIとが表示されている。
【0081】
図13は、第1の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイ100の機能ブロック図である。
【0082】
図13に示すように、表示部10には表示駆動部15が接続され、表示駆動部15には制御部30が接続されている。偏光板20Aには偏光制御素子スイッチング部25が接続され、偏光制御素子スイッチング部25には制御部30が接続されている。右眼用シャッタS3,左眼用シャッタS4には光シャッタ制御部41が接続され、光シャッタ制御部41には制御部30が接続されている。
【0083】
また、制御部30には操作入力部35が接続されている。更に、画像データ入力部40が制御部30に接続されている。
【0084】
表示駆動部15は、表示部10の表示輝度の制御を行うと共に、画像データ入力部40から制御部30を介して入力される画像データを、表示部10の表示画面の全面に同一の画像を表示する2次元画像表示と、表示画面を左眼用画像LIが表示される複数(n列)のストライプL1〜Lnと、右眼用画像RIが表示される複数(n列)のストライプR1〜Rnとに対し、それぞれに所望の視差を生じさせるよう、ずらした画像を表示する3次元立体画像表示とを、制御部30からの制御信号に基づいて切り替え駆動するものである。
【0085】
偏光制御素子スイッチング部25は、制御部30からの制御信号に基づいて、2枚の偏光制御素子の透明電極に接続された導線SA1、SA2、SB1、SB2に選択的に電圧を印加するためのスイッチングを行うものである(図5に示した偏光板20Aを採用)。
【0086】
光シャッタ制御部41は、制御部30からの制御信号に基づいて、右眼用シャッタS3,左眼用シャッタS4に備えられた各偏光制御素子200を制御する。
【0087】
操作入力部35は、外部入力部であり、制御部30に対し2次元画像表示を行うか、3次元立体画像表示を行うかを指示するもので、観察者が入力するものである。ヘッドマウントディスプレイ100の不図示の外装部に操作入力部35を設ける。なお、外部機器を用いて操作入力部35から輝度の切換指示を行うように構成しても良い。
【0088】
左眼用画像LIと右眼用画像RIとは、左眼用画像LI用と右眼用画像RI用の図示しないカメラで受像されて用意され、また、予め受像されて図示しない記録媒体に記録されて用意される。この他、コンピュータグラフィックを用いて左眼用画像LIと右眼用画像RIとを用意してもよい。
【0089】
光シャッタ制御部41は、制御部30からの制御信号に基づいて、右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4に備えられた偏光制御素子200に印加する電圧を制御し、偏光制御素子200の光学特性を制御する。
【0090】
制御部30と光シャッタ制御部41とは、好ましくは表示部10に一体化して配置される。
【0091】
右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4においては、右眼には右眼用画像RIが入射し、左眼には左眼用画像LIが入射するように制御される。
【0092】
具体的には、右眼用画像RIを観察者の右眼に届ける右眼用シャッタS3が透過する偏光を図中P1(P偏光)とし、左眼用画像LIを観察者の左眼に届ける左眼用シャッタS4が透過する偏光を図中P2(S偏光)とする制御を制御部30が行う。
【0093】
右眼用シャッタS3を構成する光シャッタ3,5の各々の偏光軸D1,D3は互いに直交するように配置されている。また、左眼用シャッタS4を構成する光シャッタ4,6の各々の偏光軸D2,D4は互いに直交するように配置されている。
【0094】
制御部30は、右眼用画像RIの偏光方向と平行な偏光軸D3を有する光シャッタ5には電圧を印加せず、右眼用画像RIの偏光方向と直交する偏光軸D1を有する光シャッタ3には電圧を印加して右眼用画像RIを透過させる。
【0095】
また、制御部30は、左眼用画像LIの偏光方向と平行な偏光軸D2を有する光シャッタ4には電圧を印加せず、左眼用画像LIの偏光方向と直交する偏光軸D4を有する光シャッタ6には電圧を印加して左眼用画像LIを透過させる。
【0096】
このような右眼用シャッタS3、左眼用シャッタS4の偏光状態の中で、右眼用画像RIは、プリズムPR1の面SH1で反射され、斜面にて反射してプリズムPR1を出射し、観察者の右眼に入射する。左眼用画像LIは、プリズムPR1の面SH2で反射され、斜面にて反射してプリズムPR1を出射して観察者の左眼に入射する。観察者は左眼に左眼用画像LI、右眼に右眼用画像RIを観察するので立体画像を認識することができる。
【0097】
偏光度については、例えば右眼には右眼用画像RIの光強度が左眼用画像LIの光強度より少なくとも5倍以上入射することが望ましいので、80以上100未満の偏光度が望ましい。
【0098】
このようなヘッドマウントディスプレイにおいて2次元立体画像表示を得るには、制御部30は、偏光板20Aにおける偏光制御素子200Aと偏光制御素子200Bとに電圧を印加することで、全ての偏光を透過させ、右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4における光シャッタ3から6の全てに電圧を印加し、全ての偏光を透過させる。さらに、表示部10には右眼用画像RIと左眼用画像LIの左右の画像に差をもたせずに同じ画像を表示させる。このように制御することで、光強度が約4倍に向上させて観察者は2次元画像を観察することができる。
【0099】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施の形態に係る表示装置について説明する。
【0100】
第2の実施の形態に係る表示装置に用いられる偏光板20Aは、図2に示した偏光板の構成と同様のものが用いられる。
【0101】
図14は、第2の実施の形態に係る表示装置1の概略構成を示す斜視図である。同図に示す第2の実施の形態に係る表示装置1は、図4に示した第1の実施の形態に係る表示装置1と導線の結線と、表示部の表示形態が異なるものである。
【0102】
図14に示すように、第2の実施の形態に係る表示装置1は、偏光板20Aを構成する偏光制御素子200Aの全ての透明電極に電圧を印加する導線SAが接続され、偏光制御素子200Bの全ての透明電極に電圧を印加する導線SBが接続されているものである。なお、導線SA、SBを一本の線で示しているが、一対の第1の透明電極101と対応する第2の透明電極104にそれぞれ接続されているものである。
【0103】
このように偏光板20Aを構成することで、例えば、偏光制御素子200Aが、無通電の際に表示部長辺方向に振動する光(S偏光)を透過させるもので偏光制御素子200Bが、無通電の際に表示部短辺方向に振動する光(P偏光)を透過させるものとした場合、偏光制御素子200Aに通電せず、偏光制御素子200Bの全面に通電して偏光制御素子200Bの偏光機能を無くし、表示部10の全面で表示される左眼用画像LIをS偏光として透過させる。次いで、偏光制御素子200Bに通電せず、偏光制御素子200Aの全面に通電して偏光制御素子200Bの偏光機能を無くし、表示部10の全面で表示される右眼用画像RIをP偏光として透過させる。
【0104】
表示部10には、2枚のフィールドに、偏光毎に視差画像の左眼用画像LIと右眼用画像RIとがそれぞれ割り当てられてあり、時系列でこれらが交互に高速に切り替わって表示される。
【0105】
上記の接眼光学系と右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4を用い、右眼に右眼用画像RIが入射し、左眼に左眼用画像LIが入射するように、各シャッタの偏光制御素子の動作タイミングが制御される。この制御により、観察者は3次元(3D)立体画像を視認できるようになる。
【0106】
一方、2次元表示の際には、導線SA及びSBに電圧を印加すると共に、表示部10は表示画面の全面に2次元画像表示を行う。導線SA及びSBに電圧を印加することにより、偏光制御素子200A及び200Bの全面の偏光機能が失われ、表示部10の表示画像は偏光することなく偏光板20Aを透過する。そして右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4にも偏光機能を失うように制御すれば、観察者は2次元画像を視認することができるようになる。
【0107】
すなわち、導線SA、SBに電圧を選択的に印加するのみで、3次元(3D)立体画像表示に対応する状態と、2次元(2D)画像表示に対応する状態との切り替えが可能となる。
【0108】
第2の実施の形態における表示装置1の機能ブロック図は、図13と同様のものでよいが、機能の異なる部分についてのみ説明する。
【0109】
第2の実施の形態においては、偏光制御素子スイッチング部25は、制御部30からの制御信号に基づいて、偏光制御素子200Aの全ての透明電極に接続された導線SAに電圧を印加するためのスイッチングと、偏光制御素子200Bの全ての透明電極に接続された導線SBに電圧を印加するためのスイッチングとを交互に行うものであればよい。時系列に表示させる速度は少なくとも人間が連続画像として視認できる速度であり、例えば30分の1秒間隔である。
【0110】
また、表示駆動部15は、表示部10の表示輝度の制御を行うと共に、画像データ入力部40から入力される画像データを、表示部10の表示画面の全面に同一の画像を表示する2次元画像表示と、表示画面の全面に所望の視差を生じさせる2種の画像を交互に表示する3次元立体画像表示とを、制御部30からの制御信号に基づいて切り替え駆動するものである。
【0111】
以上のように本発明によれば、画像を表示する表示部と、該表示部の視認側に配置され、電圧の印加により偏光特性が変化する偏光制御素子を備えた偏光板と、接眼光学系と、各々二つの前記偏光制御素子を備えた右眼用シャッタと左眼用シャッタとを有することで、3次元立体画像表示と2次元画像表示とに切り替え可能とする様々な表示装置に対しても採用可能であることから低コスト化を実現でき、2次元画像表示の際に明るい画像を得ることができるヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
【0112】
また、本発明によれば、前記偏光板と右眼用シャッタと左眼用シャッタとが偏光特性を有するとき、前記表示部の表示を立体視に対応した表示とし、前記偏光板と右眼用シャッタと左眼用シャッタとが偏光特性を有さないとき、前記表示部の表示を2次元表示とすることで、2次元画像表示の際に明るい画像を得ることができるヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
【0113】
また、本発明によれば、前記偏光板が偏光特性を有するとき、前記偏光板は二つの異なる偏光軸を有していることで、右眼用画像と左眼用画像の偏光方向を異ならせることができ、3次元立体画像表示が可能となる。
【0114】
また、本発明によれば、前記偏光軸は直交関係にあることで、右眼用画像と左眼用画像の偏光方向を直交させることができ、3次元立体画像表示が可能となる。
【0115】
また、本発明によれば、前記右眼用シャッタと前記左眼用シャッタとに各々備えられた二つの前記偏光制御素子は、直交する偏光軸を有することで、偏光を有する光の透過率を制御できるので、3次元立体画像表示が可能となる。
【0116】
また、本発明によれば、前記偏光板は、異なる偏光軸の領域を交互にストライプ状に形成するものであることで、右眼用画像と左眼用画像に偏光特性を与えることができるので、3次元立体画像表示が可能となる。
【0117】
また、本発明によれば、前記偏光板は、異なる偏光軸の領域を交互に市松模様状に形成するものであることで、右眼用画像と左眼用画像に偏光特性を与えることができるので、3次元立体画像表示が可能となる。
【0118】
また、本発明によれば、前記偏光板は、単一の偏光軸の偏光制御素子と、該偏光制御素子の前記偏光眼鏡側に、λ/2波長板として機能する部位と透過部とが交互に形成された光学素子とで構成されていることで、一つの偏光制御素子の採用となることから、低コストのヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
【0119】
また、本発明によれば、前記表示部は、自発光型のディスプレイであることから、例えば有機EL表示装置を採用でき、明るく高精細かつ高精彩なヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 表示装置
3,4,5,6 光シャッタ
10 表示部
15 表示駆動部
25 偏光制御素子スイッチング部
30 制御部
35 操作入力部
40 画像データ入力部
41 光シャッタ制御部
42 電装系
100 ヘッドマウントディスプレイ
200,200A,200B,200C 偏光制御素子
20A,20B 偏光板
LI 左眼用画像
RI 右眼用画像
S3 右眼用シャッタ
S4 左眼用シャッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
該表示部の視認側に配置され、電圧の印加により偏光特性が変化する偏光制御素子を備えた偏光板と、
接眼光学系と、
各々二つの前記偏光制御素子を備えた右眼用シャッタと左眼用シャッタとを有することを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
【請求項2】
前記偏光板と右眼用シャッタと左眼用シャッタとが偏光特性を有するとき、前記表示部の表示を立体視に対応した表示とし、
前記偏光板と右眼用シャッタと左眼用シャッタとが偏光特性を有さないとき、前記表示部の表示を2次元表示とすることを特徴とする請求項1に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項3】
前記偏光板が偏光特性を有するとき、前記偏光板は二つの異なる偏光軸を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項4】
前記偏光軸は直交関係にあることを特徴とする請求項3に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項5】
前記右眼用シャッタと前記左眼用シャッタとに各々備えられた二つの前記偏光制御素子は、直交する偏光軸を有することを特徴とする請求項1または2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記偏光板は、異なる偏光軸の領域を交互にストライプ状に形成するものであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記偏光板は、異なる偏光軸の領域を交互に市松模様状に形成するものであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
前記偏光板は、単一の偏光軸の偏光制御素子と、該偏光制御素子の前記偏光眼鏡側に、λ/2波長板として機能する部位と透過部とが交互に形成された光学素子とで構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項9】
前記表示部は、自発光型のディスプレイであることを特徴とする請求項1から請求項8までの何れか一項に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−32568(P2012−32568A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171447(P2010−171447)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】