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ヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン触媒およびこれを用いるβ−アミノカルボニル化合物の製造方法
説明

ヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン触媒およびこれを用いるβ−アミノカルボニル化合物の製造方法

【課題】不斉空間の制御に用いる多くの不斉有機分子触媒を用いても、いずれの生成物の立体選択性・反応性が低い場合があり、すべての問題解決には至っていない。
【解決手段】シンコナアルカロイドの窒素原子上にヘテロアリールスルホニル基を導入し、スルホンアミドのアミド水素とヘテロ原子とが分子内水素結合したヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物触媒、およびこれを用いるβ-アミノカルボニル化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン触媒およびこれを用いるβ-アミノカルボニル化合物の製造方法
に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不斉空間の制御は,最近まで金属錯体触媒を用いる手法が中心となって発展してきたが,近年,グリーンケミストリーの観点から不斉有機分子触媒が注目されている(非特許文献1)。特に、シンコナアルカロイドは天然に豊富に存在し、比較的安価に入手できることから、近年有機触媒として注目され、非常に多くの不斉炭素-炭素結合反応に用いられている(非特許文献2)。しかしながら、シンコナアルカロイド触媒そのものでは、反応性、選択性が低い場合があり、このため、シンコナアルカロイドの修飾化が検討されており、不斉点の窒素原子に対してアレーンスルホニル基の導入も検討されている(非特許文献3−8)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Enantioselective Organocatalysis, Wiley-VCH, Weinheim, 2007;
【非特許文献2】K. Kacprzak, J. Gawronski, Synthesis. 2001, 961-999;
【非特許文献3】U. Sundermeier, C. Dobler, G. M. Mehltretter, W. Baumann, M. Beller, Chirality 2003, 15, 127-134
【非特許文献4】S. H. Oh, H. S. Rho, J. W. Lee, J. E. Lee, S. H. Youk, J. Chin, C. E. Song, Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 7872-7875.
【非特許文献5】S. H. Youk, S. H. Oh, H. S. Rho, J. E. Lee, J. W. Lee, C. E. Song, Chem. Commun., 2009, 2220-2222
【非特許文献6】J. Luo, L.-W. Xu, R. A. S. Hay, Y. Lu, Org. Lett. 2009, 11, 437-440
【非特許文献7】S. E. Park, E. H. Nam, H. B. Jang, J. S. Oh, S. Some, Y. S. Lee, C. E. Song, Adv. Synth. Catal., 2010, 352, 2211-2217;
【非特許文献8】A. Peschiulli, B. Procuranti, C. J. O’Connor, S. J. Connon, Nature Chemistry 2010, 2, 380-384
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでに多くの不斉有機触媒が開発されている。また、不斉点の窒素原子に対してアレーンスルホニル基を導入したシンコナアルカロイド触媒も開発され、上記問題の一部は解決されたものの、いずれ有機触媒を用いても生成物の立体選択性・反応性が低い場合があり、すべての問題解決には至っていない。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、配位性官能基を不斉有機触媒の適切な位置に組み込むことにより,分子内相互作用によって新しい不斉空間を分子内に創成することで、上記問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この出願の発明は、上記目的を達成するものとして、第1には、
シンコナアルカロイドの窒素原子上にヘテロアリールスルホニル基を導入し、スルホンアミドのアミド水素とヘテロ原子とが分子内水素結合したヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物を提供する(請求項1)。
そして、この出願の発明は、第2乃至第8には、次式(2)乃至(8)で表わされることを特徴とする請求項1のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物を提供する(請求項2乃至8)。
【0006】
【化1】

【0007】
【化2】

【0008】
【化3】



【0009】
【化4】



【0010】
【化5】



【0011】
【化6】



【0012】
【化7】



【0013】
【化8】



【0014】
また、この出願の発明は、請求項1乃至8のいずれかの化合物を触媒として用いケチミン類へのマロン酸モノチオエステルの脱炭酸型マンニッヒ反応により、前記化合物のキナアルカロイドアミン誘導体でのスルホンアミドのアミド水素と、ヘテロアリール基のヘテロ原子との分子内水素結合が形成されることで、分子内の不斉空間によりエナンチオ選択的に進行するマンニッヒ反応によるβ-アミノカルボニル化合物の製造方法を提供する(請求項9)。
そしてさらに、この出願の発明は、次式(9)で表わされるマンニッヒ反応によりβ-アミノカルボニル化合物を製造する方法を提供する(請求項10)。
【0015】
【化9】

【0016】
(式中、R1は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロペンチル基、メトキシメチル基、ベンジロキシメチル基、アリル基、CH2CH(OEt)2基、またはベンジル基を示す。Rは、フェニル基、パラトリル基、パラメトキシフェニル基、パラクロロフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、ターシャルブチル基、またはシクロヘキシル基を示す。)
上記発明のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物触媒と製造方法を用いた生成物は、ヘテロ原子を含まないアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン触媒を用いた場合と比べて、立体選択性・収率が高く本発明の目的を達成することができた。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ヘテロアレーンスルホニル基を有するキナアルカロイドアミンおよびそれを利用した不斉合成反応について下記実施形態で説明する。
【0018】
(第1実施形態)
ヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン触媒の合成について説明する。
ナスフラスコにシンコニジン(1.0 g, 3.40 mmol)とトリフェニルホスフィン(1.1 g, 4.08 mmol)を加え、テトラヒドロフラン(THF) (15 ml)に溶解させ, 0 °Cまで冷却させた。そこにジイソプロピルアゾカルボキシラート(DIAD) (0.81 ml, 3.40 mmol)を加え、さらにジフェニルホルホリルアジド(DPPA) (0.88 ml, 4.08 mmol)をテトラヒドロフラン(THF) (6.0 ml)に溶解させた溶液をゆっくりと滴下した後、室温にて12時間攪拌させた。その後、この溶液を50 °Cまで加熱し、 2時間攪拌させた。そこにトリフェニルホスフィン(1.8 g, 6.79 mmol)を加え、生成物溶液の発泡を確認した後、さらに2時間攪拌させた。その後、室温にて純水(0.4 ml)を加え、さらに3時間攪拌させた。反応終了後は、溶媒を減圧下にて留去し、塩化メチレンと3規定の塩酸水溶液を加え、塩化メチレンで抽出し、得られた水層に溶液がアルカリ性になるまでアンモニア水を加えた。この溶液を再び塩化メチレンで抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下にて溶媒を留去した。精製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール = 100:5-90:10)により行い、次式(1)で表わされる目的生成物シンコニジンアミン(0.56 g,56%)を得た。
【0019】
【化10】

【0020】
このとき、Rf = 0.06 (dichloromethane/methanol = 95:5)である。
以下、この得られた化合物の1H NMR、IR、MS(ESI)による同定結果を示す。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.72-0.79 (m, 1H), 1.43 (t, J = 10.2 Hz, 1H), 1.57-1.63 (m, 3H), 2.28 (brs, 2H), 2.77-2.87 (m, 3H), 3.09-3.33 (m, 4H), 4.72 (d, J = 4.7 Hz), 4.96-5.04 (m, 2H), 5.75-5.87 (m, 1H), 7.53-7.75 (m, 3H), 8.14 (d, J = 4.4 Hz), 8.35 (s, 1H), 8.9 (d, J = 2.3 Hz)
IR(KBr) 3365, 2938, 1635, 1589, 1508, 1467, 1320, 1042, 990, 913, 819, 761, 629, 458 cm-1
MS(ESI) m/z 294.4 [M+H]
ナスフラスコに、前記目的生成物のシンコニジンアミン(0.60 g, 2.0 mmol)を加え、溶媒として塩化メチレン(15 ml)を加えた後に0 °Cまで冷却させた。そこにトリエチルアミン (0.34 ml, 2.5 mmol)を加え、さらに8-キノリルスルホニルクロリド (0.70 g, 3.1 mmol)を溶解させた後、室温にて12時間攪拌させた。その後、純水を加え、塩化メチレンで抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下にて溶媒を留去した。精製は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール = 95:5)により行い、次式(2)で表わされる目的生成物のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン触媒(0.88 g, 90%)を得た。
【0021】
【化11】

【0022】
このとき、Rf = 0.54 (dichloromethane/methanol = 90:10)である。
以下、この得られた化合物の1H NMR、IR、MS(ESI)による同定結果を示す。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.60 (m, 1H), 1.05-1.24 (m, 4H), 1.45-2.09 (m, 4H), 2.63 (d, J = 15.0 Hz) 2.84-2.98 (m, 2H), 4.88 (d, J = 15.9 Hz, 3H), 5.55-5.60 (m, 1H), 7.42-7.68 (m, 6H), 7.90-8.24 (m, 4H), 8.74 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 9.07-9.09 (m, 1H)
IR(KBr) 3073, 2938, 2866, 1592, 1565, 1495, 1346, 1321, 1171, 1056, 989, 841, 754, 596, 492 cm-1
MS(ESI) m/z 485.6 [M+H].

同様に次式(3)で表わされるキニンアミン、次式(4)で表わされるキニジンアミン、次式(5)で表わされるシンコニンアミンも合成可能である。以下、各式の下にそれぞれの同定結果を示す。
【0023】
【化12】

【0024】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.64 (s, 1H), 1.19-1.26 (m, 3H), 1.50 (s, 1H), 1.75-1.90 (m, 3H), 2.12 (s, 2H), 2.60 (s, 1H), 2.93 (m, 2H), 3.90 (s, 3H), 4.90 (d, J = 16.8 Hz, 2H), 5.60 (s, 1H), 7.22-7.55 (m, 5H), 7.93 (d, J= 8.1 Hz, 2H), 8.10-8.12 (m, 2H), 8.52 (s, 1H), 9.08 (d, J = 2.7 Hz, 1H)
IR(KBr) 3396, 3183, 2941, 1620, 1508, 1474, 1359, 1321, 1230, 1145, 1029, 989, 913, 835, 790, 596 cm-1
MS(ESI) m/z 516.1 [M+H].

【0025】
【化13】

【0026】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.72-0.95 (m, 2H), 1.26-1.45 (m, 3H), 1.61-1.90 (m, 2H), 2.60-2.80 (m, 3H), 3.83-3.95 (m, 4H), 4.47 (d, J = 17.4 Hz, 1H), 4.65 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 4.84 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 5.30 (s, 1H), 5.49-5.57 (m, 1H), 6.98-7.04 (m, 1H), 7.27-7.35 (m, 1H), 7.51-7.60 (m, 3H), 7.95-8.04 (m, 2H), 8.19-8.28 (m, 2H), 8.63 (s, 1H), 9.11 (s, 1H)
IR(KBr) 3396, 3159, 2936, 1620, 1592, 1508, 1361, 1323, 1226, 1168, 1145, 1029, 913, 790, 713, 680, 593, 495 cm-1
MS(ESI) m/z 515.8 [M+H].

【0027】
【化14】

【0028】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.67 (m, 1H), 0.88-0.91 (m, 1H), 1.36-1.42 (m, 3H), 1.60 (s, 3H), 1.72-1.90 (m, 2H), 2.61-2.79 (m, 3H), 4.53 (d, J = 17.4 Hz), 4.75-4.93 (m, 2H), 5.45-5.52 (m, 1H), 7.51-7.60 (m, 3H), 7.65-7.81 (m, 3H), 8.02-8.05 (m, 2H), 8.18-8.26 (m, 2H), 8.80 (s, 1H), 9.11-9.12 (m, 1H)
IR(KBr) 3419, 3159, 2938, 2861, 1593, 1565, 1509, 1493, 1360, 1321, 1170, 1146, 1057, 994, 909, 841, 796, 754, 634, 594, 494 cm-1
MS(ESI) m/z 485.2 [M+H].
次式(6)及び(7)で表わされるその他のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイド触媒も合成可能である。以下、各式の下にそれぞれの同定結果を示す。
【0029】
【化15】

【0030】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.83-0.91 (m, 1H), 1.24 (s, 1H), 1.54-1.68 (m, 3H), 2.26 (s, 1H), 2.56-2.85 (m, 4H), 3.15-3.38 (m, 1H), 4.33 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 4.83-5.10 (m, 3H) 5.55-5.70 (m, 1H), 6.61-6.78 (m, 1H), 7.07-7.27 (m, 2H), 7.45-7.74 (m, 2H), 8.02-8.19 (m, 2H), 8.45 (s, 1H), 8.78 (s, 1H)
IR(KBr) 3160, 2935, 2860, 1593, 1508, 1493, 1360, 1322, 1169, 1146, 1029, 915, 789, 712, 594, 494 cm-1
MS(ESI) m/z 440.2 [M+H].
【0031】
【化16】

【0032】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.78-0.90 (m, 1H), 1.25 (s, 1H), 1.57-1.68 (m, 2H), 2.27 (s, 1H), 2.69-2.93 (m, 4H), 3.16-3.39 (m, 2H), 4.51 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 4.83-4.97 (m, 2H), 5.24 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 5.60-5.71 (m, 1H), 7.03 (s, 1H), 7.27-7.34 (m, 3H), 7.47-7.75 (m, 2H), 7.94-8.36 (m, 2H), 8.62 (s, 1H), 8.76 (s, 1H)
IR(KBr) 3159, 2938, 2866, 1593, 1565, 1508, 1495, 1345, 1321, 1170, 1057, 990, 839, 755, 630, 596, 493 cm-1
MS(ESI) m/z 435.6 [M+H].

(第2実施形態)β-アミノカルボニル化合物の製造方法
次に、上記した化合物を触媒として用いるマンニッヒ反応によるβ-アミノカルボニル化合物の製造方法について説明する。
β-アミノカルボニル化合物は、医薬品、農薬などの基本骨格として重要な化合物であり、この化合物としては、例えば、AG-041R等が挙げられる。特に4置換不斉炭素を有するβ-アミノカルボニル化合物の合成は困難とされているが、本発明のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン触媒を用いることで、ケチミン類へのマロン酸モノチオエステルの脱炭酸型マンニッヒ反応が、高収率・高エナンチオ選択的に進行する。
例えば、従来の触媒による反応生成物の立体選択性が30%ee程度であったものを80%ee以上とすることができる。 これは、上記したキナアルカロイドアミン誘導体では、スルホンアミドのアミド水素と、ヘテロアリール基のヘテロ原子との分子内水素結合が形成されることで、分子内に不斉空間が存在することが要因であると考えられる。
【0033】
ヘテロアリール基が8−キノリル基であるキナアルカロイドアミンを触媒として用いたケチミノイサチンに対するマンニッヒ反応によるβ-アミノカルボニル化合物の製造方法について説明する。
【0034】
スリ付き試験管に、触媒として、8-キノリルスルホニルシンコニジンアミン触媒(3.7 mg, 0.079 mmol)を加えて窒素置換をした後、N-Boc-1-メチル-2-オキソインドリン(10 mg, 0.038 mmol)、S-フェニルマロン酸ハーフチオエステル(16.5 mg, 0.84 mmol)を加えた。その後、シクロペンチルメチルエーテル(0.5 ml)を溶媒として加え室温下で48時間撹拌した。その後、減圧下で溶媒を留去した。 そして、シリカゲルクロマトグラフィー(hexane/ethyl acetate=80/20)により精製を行い、次式(8)で表わされる生成物(14.1 mg, 90%, 83% ee)を得た。
【0035】
【化17】



【0036】
以下、この得られた化合物のNMR、IR、MS(ESI)による同定結果を示す。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ1.24 (s, 9H), 2.80 (d, J = 14.7 Hz, 1H), 3.23 (d, J = 14.7 Hz, 1H), 3.27 (s, 1H), 6.28 (s, 1H), 6.88 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.08 (t, J= 6.9 Hz, 1H), 7.29-7.36 (m, 4H), 7.43-7.45 (m, 3H)
IR (KBr) 3330, 2972, 1726, 1702, 1616, 1472, 1366, 1252, 1166, 1020, 748, 680 cm-1
MS(ESI) m/z 435.55 [M + Na]+
HRMS (ESI) calcd. for [C22H24N2O4S+Na]+: 435.1354, Found: 435.1360

なお、開発した8-キノリルスルホニルシンコニジンアミン触媒の代わりに、一般的なベンゼンスルホニルシンコニジンアミン触媒を用いて、同様の反応を行うと、収率75%、エナンチオ過剰率25% eeで生成物が得られることからも、従来触媒からの優位な効果が得られていると判断できる。また、もちいるN-Boc-2-オキソインドリンは、実施形態3に示すように様々な置換基R1を有するイミンが使用でき、マロン酸ハーフチオエステルも様々な化合物が使用可能である。
【0037】
(第3実施形態)
次式(9)で表わされるマンニッヒ反応によりβ-アミノカルボニル化合物の製造を行った。
【0038】
【化18】



【0039】
下記表1の実施例中EntryNo.1では、N-Boc-2-オキソインドリンのR1としてメチル基を、マロン酸ハーフチオエステルのRとしてフェニル基を用いて実施することにより収率(Yield)90%,エナンチオ過剰率83% eeで生成物が得られた。
下記表1のEntryNo.2から16に示した置換基R1とRとを有するN-Boc-2-オキソインドリン及びマロン酸ハーフチオエステルを用いてEntryNo.1と同様にして実施することにより各EntryNo.に示す収率及びエナンチオ過剰率で生成物が得られた。
【0040】
【表1】

【0041】
なお、表1中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、iPrはイソプロピル基を示し、Phはフェニル基を示し、Allyl はアリル基を示し、Bnはベンジル基を示し、t−Buはターシャルブチル基を示し、Yieldは収率を示し、Eeは、エナンチオ過剰率を示す。
【0042】
[参考例1]生理活性物質AG-041Rの合成
実施例3で合成した化合物を用い、次のようにして次式の合成的変換を行うことで逆流性食道炎、胃潰瘍の改善治療候補薬であるAG-041Rを合成することが可能である。
脱炭酸付加生成物を得た後に、マグネシウムメトキシドと反応させることで、エステル交換を行い、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール(HFIP)にて脱Boc保護を行い、得られたアミンに対してパラトルエンイソシアナートを反応させることで、尿素誘導体が合成できた。この尿素誘導体は、結晶性が高く、ヘキサン、酢酸エチル中で再結晶を行うことにより、光学的に純粋な尿素誘導体へ変換できた。その後水酸化カリウムを用いて加水分解を行った後パラトルイジンと縮合することで、簡便に光学的に純粋なAG-041Rに変換することが可能であった。
【0043】
【化19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンコナアルカロイドの窒素原子上にヘテロアリールスルホニル基を導入し、スルホンアミドのアミド水素とヘテロ原子とが分子内水素結合したヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物。
【請求項2】
次式(2)
【化20】


で表わされることを特徴とする請求項1のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物。
【請求項3】
次式(3)
【化21】


で表わされることを特徴とする請求項1のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物。
【請求項4】
次式(4)
【化22】


で表わされることを特徴とする請求項1のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物。
【請求項5】
次式(5)
【化23】


で表わされることを特徴とする請求項1のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物。
【請求項6】
次式(6)
【化24】


で表わされることを特徴とする請求項1のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物。
【請求項7】
次式(7)
【化25】


で表わされることを特徴とする請求項1のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物。
【請求項8】
次式(8)
【化26】


で表わされることを特徴とする請求項1のヘテロアレーンスルホニル化キナアルカロイドアミン化合物。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかの化合物を触媒として用いケチミン類へのマロン酸モノチオエステルの脱炭酸型マンニッヒ反応により、前記化合物のキナアルカロイドアミン誘導体でのスルホンアミドのアミド水素と、ヘテロアリール基のヘテロ原子との分子内水素結合が形成されることで、分子内に不斉空間によりエナンチオ選択的に進行するマンニッヒ反応によるβ-アミノカルボニル化合物の製造方法。
【請求項10】
次式(9)で表わされるマンニッヒ反応によりβ-アミノカルボニル化合物を製造する方法。
【化18】


(式中、R1は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロペンチル基、メトキシメチル基、ベンジロキシメチル基、アリル基、CH2CH(OEt)2基、またはベンジル基を示す。Rは、フェニル基、パラトリル基、パラメトキシフェニル基、パラクロロフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、ターシャルブチル基、またはシクロヘキシル基を示す。)


【公開番号】特開2013−112673(P2013−112673A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263235(P2011−263235)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】