説明

ヘテロ原子を有する促進剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物

本発明は、高い耐衝撃性、良好な寿命および低い硬化温度を特徴とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。該エポキシ樹脂組成物は、ボディシェル接着剤としての使用、および構造発泡体の製造に特に好適である。式(I)の促進剤の使用により、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の耐衝撃性の向上がもたらされることも見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にボディシェル接着剤としての使用および構造発泡体の調製のための耐衝撃性熱硬化性エポキシ樹脂組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、従来技術において長い間知られている。しばらくの間、エポキシ樹脂組成物の重大な不利点、すなわち、硬化されたエポキシ樹脂組成物が衝撃負荷においてひび割れるまたは破壊されることを意味する脆弱性を排除または少なくとも大幅に低減するための努力がなされてきた。このことは、強度改良剤を添加することによって、またはエポキシ樹脂の化学的改良によって既に試みられている。
【0003】
熱硬化性エポキシ樹脂組成物の適用は、車両組立の際、特に、接着の際、またはボディシェルの空洞を発泡材料によって充填する際に重要である。両方の場合において、エポキシ樹脂組成物を適用した後、ボディをCDC(陰極ディップコーティング)オーブンにおいて加熱するため、これにより、熱硬化性エポキシ樹脂組成物もまた硬化されて、場合によっては膨張して発泡体となる。
【0004】
迅速な硬化のために、エポキシ樹脂用の熱活性化硬化剤の他に促進剤を通常は用いる。尿素は、促進剤の重要なカテゴリーである。促進剤として尿素を有し得る耐衝撃性熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、従来技術において、例えば、WO2004/106402A2およびWO2004/055092A1から知られている。
【0005】
しかし、現在、硬化温度を大幅に低下させる努力が市場においてなされている。したがって、より低い温度、すなわち、180℃未満の温度においても、短時間内で、典型的には10から15分内でも硬化する熱硬化性エポキシ樹脂組成物が市場においてかなり必要とされている。
【0006】
したがって、その構造ゆえに非常に反応性である芳香族尿素が用いられている。しかし、このような芳香族促進剤を用いることで、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性において重大な問題を引き起こすことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2004/106402A2
【特許文献2】WO2004/055092A1
【特許文献3】WO2006/052725A1
【特許文献4】WO2006/052726A1
【特許文献5】WO2006/052727A1
【特許文献6】WO2006/052728A1
【特許文献7】WO2006/052729A1
【特許文献8】WO2006/052730A1
【特許文献9】WO2005/097893A1
【特許文献10】米国特許第5,707,439号
【特許文献11】米国特許第6,197,849号
【特許文献12】WO2008/049857A1
【特許文献13】EP0308664A1
【特許文献14】EP0338985A1
【特許文献15】EP0353190A1
【特許文献16】WO00/20483A1
【特許文献17】WO01/94492A1
【特許文献18】WO03/078163A1
【特許文献19】WO2005/007766A1
【特許文献20】EP1728825A1
【特許文献21】WO2005/007720A1
【特許文献22】WO2007/020266A1
【特許文献23】WO2008/049858A1
【特許文献24】WO2008/049859A1
【特許文献25】WO2008/049860A1
【特許文献26】DE-A-2123033
【特許文献27】米国特許出願公開第2008/0076886A1号
【特許文献28】WO2008/016889
【特許文献29】WO2007/025007
【特許文献30】米国特許第6,322,890号
【特許文献31】EP1152019A1
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Roempp、CD Roempp Chemie Lexikon [Roempp Chemistry Encyclopedia]、Version 1、Stuttgart/New York、Georg Thieme Verlag 1995
【非特許文献2】T. J. Hermel-Davidockら、J. Polym. Sci. Part B: Polym. Phys.、45、3338-3348 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、一方では室温において良好な貯蔵安定性を有するが、他方では所要硬化温度がより低い、耐衝撃性の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、この目的は、請求項1で特定される熱硬化性エポキシ樹脂組成物によって達成することができた。このエポキシ樹脂組成物を、熱硬化性の一成分接着剤として、特に車両組立における熱硬化性の一成分ボディシェル接着剤として、ならびに、コーティング、特にラッカーの調製のために、さらには、特に金属構造体における空洞補強のための構造発泡体を調製するために用いることができる。
【0011】
かなり驚くべきことに、式(I)の促進剤を用いることで、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の衝撃強度の増大を結果としてもたらすことも見出した。また、これは、(例えば、ISO11343にしたがって衝撃強度として測定された)相当な衝撃強度を既に示している熱硬化性エポキシ樹脂組成物の場合にも当てはまる。
【0012】
本発明のさらなる態様は、他の独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1態様において、本発明は、
a)平均して1分子当たり1を超えるエポキシ基を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂A、
b)高温で活性化される少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤B、
c)式(I)の少なくとも1種の促進剤C
【0014】
【化1】

【0015】
ならびに
d)場合により少なくとも1種の強化剤D
を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。
【0016】
式(I)において、R1は、少なくとも1個のヘテロ原子を有するn-価の脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族基を表す。このヘテロ原子は、尿素、ビウレット、イソシアヌレート、ウレタン、ウレトジオン、またはジウレトジオン基のヘテロ原子ではない。
【0017】
基R1にビウレット、イソシアヌレート、ウレタン、ウレトジオン、またはジウレトジオン基が存在しないことにより、促進剤Cのより良好な熱安定性が結果としてもたらされる。基R1にこれらの基を有する(本発明によらない)促進剤においては、揮発性の望ましくない開裂生成物が、加熱の際、例えば、ジイソシアネートなどを形成することが実際に示されている。このことは、式(I)の促進剤Cの場合には当てはまらない(または、少なくとも、より少ない程度にしか生じない)。
【0018】
基R1に存在する少なくとも1個のヘテロ原子は、特にヒドロキシルまたはエーテル基の形態の好ましくは酸素原子である。
【0019】
さらに、R2およびR3は、場合により置換されているまたはヘテロ原子を有するアルキル基またはアラルキル基をそれぞれ独立して表すか、あるいは5から8個の環原子、好ましくは6個の環原子を有する場合により置換されている複素環式環の一部である、3から20個のC原子を有する二価の脂肪族基を一緒になって表す。
【0020】
さらに、nは、1から10、特に1から3、好ましくは1または2の数を表す。
【0021】
本明細書において、置換基、基または基に関連する用語「それぞれ独立して」の使用は、同じ表示を有する置換基、基または基が、異なる意味を有して同じ分子において同時に出現し得ることを意味する。
【0022】
ここで本明細書全文において、「ポリイソシアネート」、「ポリアミン」、「ポリオール」、「ポリフェノール」、および「ポリメルカプタン」における接頭辞「ポリ」は、2個以上の各官能基を形式的に含有する分子を示す。
【0023】
本明細書において、「強化剤」は、エポキシ樹脂マトリックスへの添加物であって、0.1〜50重量%、特に0.5〜40重量%と少量の添加であっても靱性の明確な増大を引き起こすものを意味し、これにより、マトリックスがひび割れるまたは破砕する前に、より高い曲げ、引張、衝突、または衝撃応力に耐えることができる。
【0024】
本明細書において「両親媒性ブロックコポリマー」は、エポキシ樹脂と混ざり合う少なくとも1種のブロックセグメントと、エポキシ樹脂と混ざり合わない少なくとも1種のブロックセグメントとを含有するコポリマーを意味する。特に、両親媒性ブロックコポリマーは、その内容が参照により本明細書に組み入れられるWO2006/052725A1、WO2006/052726A1、WO2006/052727A1、WO2006/052728A1、WO2006/052729A1、WO2006/052730A1、およびWO2005/097893A1に開示されている化合物である。
【0025】
基R2および/またはR3は、1から10個のC原子、特に1から4個のC原子を有するアルキル基、好ましくはメチル基を好ましくは表す。
【0026】
平均して1分子当たり1を超えるエポキシ基を有するエポキシ樹脂Aは、好ましくは液状エポキシ樹脂または固体エポキシ樹脂である。用語「固体エポキシ樹脂」は、エポキシドの当業者に非常によく知られており、「液状エポキシ樹脂」と対照的に用いられる。固体樹脂のガラス転移温度は、室温よりも高く、すなわち、室温では、該固体樹脂は細かくされて流動性粒子となり得る。
【0027】
好ましいエポキシ樹脂は、式(II)を有する。
【0028】
【化2】

【0029】
本明細書において、置換基R'およびR"は、HまたはCH3のいずれかをそれぞれ独立して表す。
【0030】
固体エポキシ樹脂について、下付き文字sは、>1.5の数、特に2から12の数を表す。
【0031】
これらの固体エポキシ樹脂は、例えば、DowまたはHuntsmanまたはHexionから市販されている。
【0032】
1から1.5の下付き文字sを有する式(II)の化合物は、当業者によって半固体エポキシ樹脂と称されている。ここで本発明では、該化合物は、固体樹脂であるとも考えられる。しかし、狭義でのエポキシ樹脂は、固体エポキシ樹脂であることが好ましく、すなわち、下付き文字sが>1.5の値を有する。
【0033】
液状エポキシ樹脂では、下付き文字sが1未満の数を表す。下付き文字sは、0.2未満の数を好ましくは表す。
【0034】
したがって、これらの化合物は、好ましくは、ビスフェノールAの(DGEBA)、ビスフェノールFの、およびビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテルである。これらの液状樹脂は、例えば、Araldite(登録商標)GY250、Araldite(登録商標)PY304、Araldite(登録商標)GY282(Huntsman)、またはD.E.R.(商標)331、もしくはD.E.R.(商標)330(Dow)、またはEpikote828(Hexion)として入手可能である。
【0035】
さらに、「ノボラック」は、エポキシ樹脂Aとして好適である。これらは、特に、以下の式:
【0036】
【化3】

【0037】
(式中、R2=
【0038】
【化4】

【0039】
またはCH2であり、R1=Hまたはメチルであり、z=0から7である)を有する。
【0040】
本明細書において、これらは、特にフェノールまたはクレゾールノボラック(R2=CH2)であってよい。
【0041】
これらのエポキシ樹脂は、商品名EPNまたはECNで、ならびにTactix(登録商標)としてHuntsmanから、またはD.E.N.(商標)製品ラインとしてDow Chemicalから市販されている。
【0042】
エポキシ樹脂Aは、好ましくは式(II)の液状エポキシ樹脂である。別のさらにより好ましい実施形態において、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、s<1である式(II)の少なくとも1種の液状エポキシ樹脂、ならびにs>1.5である式(II)の少なくとも1種の固体エポキシ樹脂を含有する。
【0043】
エポキシ樹脂Aの割合は、組成物の重量を基準にして、好ましくは10〜85重量%、特に15〜70重量%、好ましくは15〜60重量%である。
【0044】
本発明による組成物は、高温で活性化される少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤Bをさらに含有する。ここで、該硬化剤は、ジシアノジアミド、グアナミン、グアニジン、アミノグアニジン、およびこれらの誘導体からなる群から好ましくは選択される。イミダゾールおよびアミン錯体のクラスの化合物を用いることもできる。
【0045】
ジシアノジアミドは、硬化剤Bとして特に好ましい。
【0046】
硬化剤Bの全体の割合は、全組成物の重量を基準にして、有利には1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%である。
【0047】
高温で活性化されるエポキシ樹脂用硬化剤Bの量は、エポキシ樹脂Aの重量を基準にして、特に好ましくは0.1〜30重量%、特に0.2〜10重量%である。
【0048】
本発明による組成物はまた、式(I)の少なくとも1種の促進剤Cも含有する。
【0049】
特に好ましい実施形態において、R1は、n個のエポキシ基を有するエポキシドEPを表し、ここで、式(IIa)のn個のエポキシ基のうち少なくとも1個は、式(IIb)の基によって置き換えられており、式(I):
【0050】
【化5】

の式中、星印*を付けたC原子は、式(I)の促進剤の尿素基の窒素に結合している。
【0051】
式(IIa)のn個のエポキシ基のすべてが式(IIb)の基によって置き換えられていないとき、式(I)の促進剤Cは、エポキシ基を依然として有する。
【0052】
エポキシ基含有反応性希釈剤ならびにエポキシ樹脂は、特にエポキシドEPとして好適である。
【0053】
エポキシドEPに好適な反応性希釈剤は、特に、
- ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、テトラヒドロフルフリルおよびフルフリルグリシジルエーテル、トリメトキシシリルグリシジルエーテルからなる群から特に選択される、飽和または不飽和の、分枝または非分枝の、環式または開鎖の単官能性C4〜C30アルコールのグリシジルエーテル
- エチレングリコールグリシジルエーテル、ブタンジオールグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル、オクタンジオールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、およびネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルからなる群から特に選択される、飽和または不飽和の、分枝または非分枝の、環式または開鎖の二官能性C2〜C30アルコールのグリシジルエーテル
- エポキシド化ヒマシ油、エポキシド化トリメチロールプロパン、エポキシド化ペンタエリスロールなどの、飽和または不飽和の、分枝または非分枝の、環式または開鎖の三官能性または多官能性アルコールのグリシジルエーテル、またはソルビトール、グリセロール、もしくはトリメチロールプロパンなどの脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル
- フェニルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、(カシューナッツ殻油からの)3-n-ペンタデセニルグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジルアニリン、およびp-アミノフェニルトリグリシジル[エーテル]からなる群から特に選択される、フェノール化合物およびアニリン化合物のグリシジルエーテル
- N,N-ジグリシジルシクロヘキシルアミンなどのエポキシド化アミン
- ネオドデカン酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、安息香酸グリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラ-およびヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ならびに二量体脂肪酸のジグリシジルエステル、さらにはテレフタル酸グリシジルエステルならびにトリメリット酸グリシジルエステルからなる群から特に選択されるエポキシド化モノカルボン酸またはジカルボン酸
- エポキシド化された、二官能性または三官能性の、低分子量から高分子量のポリエーテルポリオール、特にポリエチレングリコールジグリシジルエーテルまたはポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル
である。
【0054】
ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、およびポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0055】
エポキシドEPに好適なエポキシ樹脂は、特に、平均して1分子当たり1を超えるエポキシ基を有するこれらのエポキシ樹脂、例えば、エポキシ樹脂Aについて既に上記したものである。
【0056】
したがって、R1は、式(III)の基:
【0057】
【化6】

【0058】
(式中、R'およびR"は、HまたはCH3のいずれかをそれぞれ独立して表し、下付き文字s'は、0から12の数を表す)
を好ましくは表す。
【0059】
さらなる実施形態において、R1は、アミノ基が除去された後の、エーテル基含有脂肪族ポリアミン、特にポリオキシアルキレンジアミンまたはポリオキシアルキレントリアミンの基を表す。エーテル基含有脂肪族ポリアミンの例は、第1に、ビス(2-アミノエチル)エーテル、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミンおよびこれらのより高いオリゴマーであり、第2に、ポリオキシアルキレンジアミンおよびポリオキシアルキレントリアミンである。
【0060】
これらのポリオキシアルキレンポリアミンは、例えば、名称ジェファーミン(登録商標)(Huntsman Chemicals製)、名称ポリエーテルアミン(BASF製)、または名称PC amine(登録商標)(Nitroil製)で得ることができる。
【0061】
これらのトリアミンは、例えば、Huntsman Chemicals製のジェファーミン(登録商標)Tライン、例えば、ジェファーミン(登録商標)T-3000、ジェファーミン(登録商標)T-5000、またはジェファーミン(登録商標)T-403などで市販されている。
【0062】
好適なポリオキシアルキレンジアミンは、特に、式(V)を有するものである。
【0063】
【化7】

【0064】
本明細書において、g'は、プロピレンオキサイドに由来する構造要素を示し、h'は、エチレンオキサイドに由来する構造要素を示す。さらに、g、h、およびiは、0から40の数を表すが、但し、g、h、およびiの合計は≧1とする。
【0065】
例えば、ジェファーミン(登録商標)D-230、ジェファーミン(登録商標)D-400、ジェファーミン(登録商標)D-2000、ジェファーミン(登録商標)D-4000、ジェファーミン(登録商標)ED-600、ジェファーミン(登録商標)ED-900、ジェファーミン(登録商標)ED-2003、またはジェファーミン(登録商標)EDR-148などのDラインおよびEDラインとしてHuntsman Chemicalsによって販売されているジェファーミン(登録商標)が、特に好ましい。
【0066】
Huntsman Chemicalsによってジェファーミン(登録商標)D-230として販売されているものが、エーテル基含有脂肪族ポリアミンとして特に好適である。
【0067】
これらのエーテル基含有脂肪族ポリアミンの分子量は、好ましくは、200から5000g/molの間である。
【0068】
さらなる実施形態において、R1は、アミノ基が除去された後の、アミノ酸またはアミノ酸エステル、好ましくはアミノ酸エステルの基を表す。
【0069】
アミノ酸は、天然のものであっても、合成により生成されていてもよい。
【0070】
好適なアミノ酸は、特に、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンからなる群から選択されるアミノ酸である。
【0071】
好適なアミノ酸エステルは、特に、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンからなる群から選択されるアミノ酸のエステルである。好ましいアミノ酸エステルは、それぞれのアミノ酸および1から20個の炭素原子、好ましくは1から4個の炭素原子を有するアルコールから誘導される、特にメタノールまたはエタノール、好ましくはメタノールから誘導されるエステルである。
【0072】
さらに、アミノ基が酸またはエステル基に対してアルファ位にないアミノ酸、特にアミノ酸エステルもまた好適である。
【0073】
式(I)の促進剤Cは、合成により容易に得られる。第1変形例において、促進剤Cは、式(VIa)の第1級の脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族アミン、例えば、式(VIb)の化合物の反応から合成され得る。
【0074】
【化8】

【0075】
この変形例は、特に、式(VIa)のポリアミンがエーテル基含有脂肪族ポリアミン、特に式(V)のポリオキシアルキレンジアミンである場合に好適である。
【0076】
この合成経路はまた、式(VIa)のアミンが既に上記したようにアミノ酸またはアミノ酸エステルであるあらゆる場合にもかなり好適である。
【0077】
式(VIb)の化合物は、容易に得られるか、または市販されている。式(VIb)の化合物として、N,N-ジメチルカルバモイルクロリドが特に好ましい。反応は、化学量論によって、アミノ基のすべてまたはアミノ基の一部のみが反応する、すなわち、式(I)の促進剤Cがアミノ基を依然として有することが可能であるように起こる。
【0078】
合成の第2変形例は、R1が、n個のエポキシ基を有するエポキシドEPを表し、式(IIa)のn個のエポキシ基のうち少なくとも1個が、式(IIb)の基によって置き換えられている既に記載した場合に特に好適である。ここで、該合成は、式(VIIa)のエポキシドEPが式(VIIb)の尿素と反応して式(I)の促進剤を形成する、特に、式(Ia)または(Ib)の促進剤を形成するように好ましくは起こる。
【0079】
【化9】

【0080】
ここで、R0は、n個のエポキシ基が除去された後の、先に示したエポキシドの基である。さらに、n'は、0から9の整数を表し、n"は、1から10の整数を表すが、但し、n'とn"との合計が数nを与えることを条件とする。
【0081】
式(VIIb)の尿素は容易に得られる。式(VIIb)の尿素として、N,N-ジメチル尿素が特に好ましい。反応は、化学量論によって、n個のエポキシ基のすべてまたはその一部のみが反応する、すなわち、式(I)の促進剤Cが式(Ib)で表されるエポキシ基を依然として有することが可能であるように起こる。
【0082】
本発明の本質的な特徴は、促進剤が「芳香族尿素促進剤」ではないこと、すなわち、芳香族基が基R1、R2、およびR3として用いられないこと、すなわち、換言すると、芳香族環が促進剤C(「芳香族尿素」)の尿素基の窒素原子に直接結合していないことである。既に言及したように、それは、すなわち、貯蔵安定性ではない芳香族促進剤を含有する組成物(したがって本発明によらない)である。
【0083】
促進剤Cの量は、エポキシ樹脂Aの重量を基準にして、好ましくは0.01〜6.0重量%、特に0.02〜4.0重量%、好ましくは0.02〜2.0重量%である。
【0084】
熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、少なくとも1種の強化剤Dを有利には場合により含有する。強化剤Dは、固体状であっても液状であってもよい。
【0085】
強化剤Dは、ブロック化ポリウレタンポリマー、液状ゴム、エポキシ樹脂変性液状ゴム、およびコア/シェルポリマーからなる群から特に選択される。
【0086】
一実施形態において、この強化剤Dは、カルボキシル基もしくは(メタ)アクリレート基もしくはエポキシ基によって末端処理されている(terminated)アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーであるか、またはその誘導体である液状ゴムD1である。
【0087】
これらの液状ゴムは、例えば、Nanoresins AG(ドイツ)、またはEmerald Performance Materials LLCから名称Hypro(商標)(以前はHycar(登録商標))CTBNおよびCTBNXおよびETBNで市販されている。好適な誘導体は、特に、エポキシ基を有するエラストマー改質プレポリマーであり、例えば、Polydis(登録商標)製品ラインとして好ましくはPolydis(登録商標)36xx製品ラインから、Struktol Company(Schill & Seilacher Group、ドイツ)によって、またはAlbipox製品ライン(Nanoresins、ドイツ)として商業的に販売されている。
【0088】
さらなる実施形態において、強化剤Dは、液状エポキシ樹脂と完全に混ざり合うポリアクリレート液状ゴムD2であり、エポキシ樹脂マトリックスの硬化の間に微液滴にのみ分離する。このようなポリアクリレート液状ゴムは、例えば、名称20208-XPAでRohm and Haasから入手可能である。
【0089】
液状ゴムの混合物、特に、カルボキシル末端処理もしくはエポキシ末端処理されたアクリロニトリル/ブタジエンコポリマーまたはその誘導体とエポキシ末端処理されたポリウレタンプレポリマーとの混合物も当然用いることができることが当業者には明らかである。
【0090】
さらなる実施形態において、強化剤Dは、有機イオン交換された層状無機物DE1である固体強化剤である。
【0091】
イオン交換された層状無機物DE1は、カチオン交換された層状無機物DE1cまたはアニオン交換された層状無機物DE1aのいずれであってもよい。
【0092】
ここで、カチオン交換された層状無機物DE1cは、カチオンの少なくとも一部が有機カチオンによって交換されている層状無機物DE1'から得られる。これらのカチオン交換された層状無機物DE1cの例は、特に米国特許第5,707,439号または米国特許第6,197,849号に言及されているものである。これらのカチオン交換された層状無機物DE1cの調製方法はまた、これらの特許にも記載されている。層状無機物DE1'は、好ましくはシート状ケイ酸塩である。層状無機物DE1'は、米国特許第6,197,849号、第2欄38行から第3欄5行に記載されているように、特に好ましくはフィロケイ酸塩であり、特にベントナイトである。層状無機物DE1'、例えばカオリナイトまたはモンモリロナイトまたはヘクトライトまたはイライトは、特に好適であることが示されている。
【0093】
層状無機物DE1'のカチオンの少なくとも一部は、有機カチオンによって置き換えられている。これらのカチオンの例は、n-オクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、ジメチルドデシルアンモニウム、もしくはビス(ヒドロキシエチル)オクタデシルアンモニウム、または天然油脂から得ることができるアミンの同様の誘導体;あるいはグアニジニウムカチオンまたはアミジニウムカチオン;あるいはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリンのN置換誘導体のカチオン;あるいは1,4-ジアゾビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)および1-アゾビシクロ[2.2.2]オクタンのカチオン;あるいはピリジン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ピラジン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、フェナジン、および2,2'-ビピリジンのN置換誘導体のカチオンである。さらに、環状アミジニウムカチオンが好適であり、特に例えば米国特許第6,197,849号の第3欄6行から第4欄67行に開示されているものである。直鎖アンモニウム化合物と比較して、環状アンモニウム化合物は、熱によるHofmann分解が共に起こり得ないため、高い熱安定性によって区別される。
【0094】
好ましいカチオン交換された層状無機物DE1cは、用語有機粘土またはナノ粘土で当業者によく知られており、例えば、グループ名称Tixogel(登録商標)もしくはNanofil(登録商標)(Sudchemie)、Cloisite(登録商標)(Southern Clay Products)、またはNanomer(登録商標)(Nanocor, Inc.)、またはGaramite(登録商標)(Rockwood)で市販されている。
【0095】
本明細書においてアニオン交換された層状無機物DE1aは、アニオンの少なくとも一部が有機アニオンによって置き換えられている層状無機物DE1"から得られる。このようなアニオン交換された層状無機物DE1aの例は、層間のカーボネートアニオンの少なくとも一部が有機アニオンによって置き換えられているハイドロタルサイトDE1"である。
【0096】
組成物がカチオン交換された層状無機物DE1cとアニオン交換された層状無機物DE1aとを同時に含有する可能性もまた十分にある。
【0097】
さらなる実施形態において、強化剤Dは、ブロックコポリマーDE2である固体強化剤である。ブロックコポリマーDE2は、メタクリル酸エステルとオレフィン性二重結合を有する少なくとも1種の他の単量体とのアニオン重合または制御されたフリーラジカル重合から得られる。二重結合がヘテロ原子または少なくとも1個の他の二重結合と直接共役している単量体が、オレフィン性二重結合を有する単量体として特に好ましい。特に好適な単量体は、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、および酢酸ビニルを含む群から選択される。例えば、名称GELOY1020でGE Plasticsから入手可能であるアクリレート/スチレン/アクリル酸(ASA)コポリマーが好ましい。
【0098】
特に好ましいブロックコポリマーDE2は、メタクリル酸メチルエステル、スチレン、およびブタジエンから誘導されるブロックコポリマーである。これらのブロックコポリマーは、例えば、トリブロックコポリマーとして、グループ名称SBMでArkemaから入手可能である。
【0099】
さらなる実施形態において、強化剤Dは、コア/シェルポリマーDE3である。コア/シェルポリマーは、弾性コアポリマーおよび硬質シェルポリマーからなる。特に好適なコア/シェルポリマーは、硬質熱可塑性ポリマーからなる硬質シェルに封入されている、弾性アクリレートまたはブタジエンポリマーからなるコアからなる。このコア/シェル構造体は、ブロックコポリマーの分離によって自発的に形成されるか、またはラテックス重合もしくは懸濁重合の後のグラフト化によって決定されるかのいずれかである。好ましいコア/シェルポリマーは、「MBSポリマー」であり、商品名Clearstrength(商標)でAtofinaから、Paraloid(商標)でRohm and Haasから、またはF-351(商標)でZeonから市販されている。
【0100】
場合により懸濁液中に存在するコア/シェルポリマー粒子が特に好ましい。これらの例は、Wacker製の、ポリシロキサンコアおよびアクリレートシェルを含むGENIOPERL M23A、Eliokemによって製造されているNEPシリーズの放射線架橋ゴム粒子、またはLanxess製のNanoprene、またはRohm and Haas製のParaloid EXL、またはKaneka製のKane ACE MX-120である。
【0101】
コア/シェルポリマーの他の同等の例は、名称Albidur(商標)でNanoresins AG(ドイツ)から販売されている。
【0102】
エポキシマトリックス中のナノスケールのケイ酸塩はまた、例えば、商品名NanopoxでNanoresins AG(ドイツ)から販売されているものが好適である。
【0103】
さらなる実施形態において、強化剤Dは、カルボキシル化固体ニトリルゴムと過剰のエポキシ樹脂との間の反応生成物DE4である。
【0104】
さらなる実施形態において、強化剤Dは、式(IV)のブロック化ポリウレタンポリマーである。
【0105】
【化10】

【0106】
式中、mおよびm'は、0から8の間の数をそれぞれ表し、但し、m+m'が1から8の数を表すことを条件とする。
【0107】
好ましくは、mは0ではない。
【0108】
さらに、Y1は、すべての末端イソシアネート基が除去された後の、m+m'個のイソシアネート基によって末端処理されている直鎖または分枝鎖のポリウレタンポリマーPU1を表す。
【0109】
Y2は、100℃を超える温度で開裂するブロッキング基をそれぞれ独立して表す。
【0110】
Y3は、式(IV')の基をそれぞれ独立して表す。
【0111】
【化11】

【0112】
式中、R4は、続いて、ヒドロキシ基およびエポキシ基が除去された後の、第1級または第2級ヒドロキシル基を含有する脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族エポキシドを表し、pは、数1、2、または3を表す。
【0113】
本明細書において、「芳香脂肪族基」は、アラルキル基、すなわち、アリール基によって置換されているアルキル基を意味する(Rompp、CD Rompp Chemie Lexikon [Rompp Chemistry Encyclopedia]、Version 1、Stuttgart/New York、Georg Thieme Verlag 1995)。
【0114】
Y2は、特に、以下からなる群から選択される置換基をそれぞれ独立して表す。
【0115】
【化12】

【0116】
式中、R5、R6、R7、およびR8は、アルキルまたはシクロアルキルまたはアラルキルまたはアリールアルキル基をそれぞれ独立して表すか、あるいはR5とR6とが一緒になって、またはR7とR8とが一緒になって、場合により置換されている4員から7員環の部分を形成する。
【0117】
さらに、R9、R9'、およびR10は、アルキルもしくはアラルキルもしくはアリールアルキル基、またはアルキルオキシもしくはアリールオキシもしくはアラルキルオキシ基をそれぞれ独立して表し、R11は、アルキル基を表す。
【0118】
R12、R13、およびR14は、二重結合を場合により有するか、置換されている、2から5個のC原子を有するアルキレン基、あるいはフェニレン基または水添フェニレン基をそれぞれ独立して表し、R15、R16、およびR17は、H、またはアルキル基、またはアリール基、またはアラルキル基をそれぞれ独立して表す。
【0119】
最後に、R18は、芳香族ヒドロキシル基を場合により有する、アラルキル基、または置換もしくは非置換の単環もしくは多環芳香族基を表す。
【0120】
本明細書における式中の点線は、それぞれの置換基と対応する分子部分との間の結合を各場合において示す。
【0121】
フェノールまたはビスフェノールは、ヒドロキシル基が除去された後、特に第1にR18と考えられるべきである。これらのフェノールおよびビスフェノールの好ましい例は、特にフェノール、クレゾール、レゾルシノール、ピロカテコール、カルダノール(3-ペンタデセニルフェノール(カシューナッツ殻油に由来する))、ノニルフェノール、スチレンまたはジシクロペンタジエンと反応したフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、および2,2'-ジアリルビスフェノールAである。
【0122】
ヒドロキシベンジルアルコールおよびベンジルアルコールは、ヒドロキシル基が除去された後、特に第2にR18と考えられるべきである。
【0123】
R5、R6、R7、R8、R9、R9'、R10、R11、R15、R16またはR17がアルキル基を表すとき、該アルキル基は、特に、直鎖または分枝鎖のC1〜C20アルキル基である。
【0124】
R5、R6、R7、R8、R9、R9'、R10、R15、R16、R17、またはR18がアラルキル基を表すとき、該アラルキル基は、特に、メチレンによって結合した芳香族基、特にベンジル基である。
【0125】
R5、R6、R7、R8、R9、R9'またはR10がアルキルアリール基であるとき、該アルキルアリール基は、特に、フェニレンによって結合したC1〜C20アルキル基、例えば、トリルまたはキシリルなどである。
【0126】
特に好ましい基Y2は、以下からなる群から選択される基である。
【0127】
【化13】

【0128】
式中、基Yは、1から20個のC原子、特に1から15個のC原子を有する飽和またはオレフィン性の不飽和炭化水素基を表す。Yとして、アリル、メチル、ノニル、ドデシル、または1から3個の二重結合を有する不飽和C15アルキル基が特に好ましい。
【0129】
基Xは、H、またはアルキル、アリール、アラルキル基、特にHまたはメチルを表す。
【0130】
下付き文字z'およびz"は、数0、1、2、3、4、または5を表し、但し、z'+z"の合計が1から5の間の数を表すことを条件とする。
【0131】
式(IV)のブロック化ポリウレタンポリマーは、イソシアネート基末端の直鎖または分枝鎖ポリウレタンポリマーPU1、ならびに1種または複数種のイソシアネート反応性化合物Y2Hおよび/またはY3Hから合成される。このようなイソシアネート反応性化合物を、1を超えて用いるとき、反応は、連続的に実施されても、これらの化合物の混合物と共に実施されてもよい。
【0132】
反応は、すべてのNCO基を確実に反応させるために、1種または複数種のイソシアネート反応性化合物Y2Hおよび/またはY3Hが化学量論量または化学量論過剰で用いられるように実施される。
【0133】
イソシアネート反応性化合物Y3Hは、式(IVa)のモノヒドロキシルエポキシ化合物である。
【0134】
【化14】

【0135】
このようなモノヒドロキシルエポキシ化合物を、1を超えて用いるとき、反応は、連続的に実施されても、これらの化合物の混合物と共に実施されてもよい。
【0136】
式(IVa)のモノヒドロキシエポキシ化合物は、1、2、または3個のエポキシ基を有する。このモノヒドロキシエポキシ化合物(IVa)のヒドロキシル基は、第1級ヒドロキシル基であっても第2級ヒドロキシル基であってもよい。
【0137】
このようなモノヒドロキシエポキシ化合物は、例えば、ポリオールとエピクロルヒドリンとの反応によって生成され得る。反応がどのように実施されるかに応じて、多官能性アルコールがエピクロルヒドリンと反応するとき、対応するモノヒドロキシエポキシ化合物はまた、副生成物として種々の濃度で形成される。該副生成物は、従来の分離操作によって単離され得る。しかし、一般に、ポリオールグリシジル化反応において得られ、グリシジルエーテルを形成するのに完全および部分的に反応させたポリオールからなる生成物混合物を使用すれば十分である。このようなヒドロキシル含有エポキシドの例は、(ブタンジオールジグリシジルエーテル中に存在する)ブタンジオールモノグリシジルエーテル、(ヘキサンジオールジグリシジルエーテル中に存在する)ヘキサンジオールモノグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル中の混合物として存在する)トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、(グリセロールトリグリシジルエーテル中の混合物として存在する)グリセロールジグリシジルエーテル、(ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル中の混合物として存在する)ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテルである。従来的に合成されたトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル中に比較的高い割合で生じるトリメチロールプロパンジグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
【0138】
しかし、他の類似のヒドロキシル含有エポキシド、特にグリシドール、3-グリシジルオキシベンジルアルコール、またはヒドロキシメチルシクロヘキセンオキサイドを用いることもできる。
【0139】
また、市販の液状エポキシ樹脂中に最大で15%の割合で存在し、ビスフェノールA(R=CH3)およびエピクロルヒドリンから合成される式(IVb)のβ-ヒドロキシエーテル、ならびに、ビスフェノールF(R=H)またはビスフェノールAとビスフェノールFとの混合物がエピクロルヒドリンと反応するときに形成される、対応する式(IVb)のβ-ヒドロキシエーテルも好ましい。
【0140】
【化15】

【0141】
また、蒸留した高純度の液状エポキシ樹脂の製造の間に生成される蒸留残渣も好ましい。このような蒸留残渣は、市販の蒸留されていない液状エポキシ樹脂よりも3倍高いヒドロキシル含有エポキシド濃度を有する。さらに、(ポリ)エポキシドと半化学量論量の1価の求核試薬、例えばカルボン酸、フェノール、チオール、または第2級アミンとの反応により合成される、β-ヒドロキシエーテル基とは大きく異なるエポキシドを用いることもできる。
【0142】
以下の式の3価の基が、基R4として特に好ましい。
【0143】
【化16】

【0144】
式中、Rは、メチルまたはHを表す。
【0145】
式(IVa)のモノヒドロキシエポキシ化合物の遊離第1級または第2級OH官能基は、通常ではない過剰のエポキシ成分を用いる必要なしにポリマーの末端イソシアネート基との効果的な反応を可能にする。
【0146】
Y1がベースとなるポリウレタンポリマーPU1は、少なくとも1種のジイソシアネートもしくはトリイソシアネート、末端アミノ、チオール、もしくはヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリマーQPM、および/または1種の場合により置換されているポリフェノールQPPから合成され得る。
【0147】
好適なジイソシアネートは、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族ジイソシアネート、特に市販の生成物、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、1,4-ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、2,5-もしくは2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジシクロヘキシルメチルジイソシアネート(H12MDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、またはm-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ならびにこれらの二量体である。HDI、IPDI、MDI、またはTDIが好ましい。
【0148】
好適なトリイソシアネートは、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族ジイソシアネートの三量体またはビウレット、特に先の段落に記載したジイソシアネートのイソシアヌレートおよびビウレットである。
【0149】
当然ながら、ジイソシアネートまたはトリイソシアネートの好適な混合物を用いることもできる。
【0150】
末端アミノ、チオール、またはヒドロキシル基を有する好適なポリマーQPMは、特に、2個または3個の末端アミノ、チオール、またはヒドロキシル基を有するポリマーQPMである。
【0151】
好適なポリマーQPMは、特に、その内容が特に参照により本明細書に組み入れられる、例えば、WO2008/049857A1に開示されるQPM、特に7頁25行から11頁20行にあるQPMなどである。
【0152】
ポリマーQPMは、有利には、1当量当たりの重量が300〜6000、特に、NCO反応性基1当量当たり600〜4000、好ましくは700〜2200gである。
【0153】
好適なポリマーQPMは、ポリエーテルポリオールとも称される特にポリオキシアルキレンポリオール、ヒドロキシ末端処理されたポリブタジエンポリオール、スチレン/アクリロニトリルグラフト化ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシ末端処理されたアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、ポリエステルポリオール、ならびにポリカーボネートポリオールである。
【0154】
ポリフェノールQPPとして、ビスフェノール、トリスフェノール、およびテトラフェノールが、特に好適である。これは、純粋なフェノールだけではなく、置換されたフェノールも場合により意味している。置換の性質は、かなり多様であり得る。特に、これは、フェノールのOH基が結合している芳香族環への直接置換を意味している。さらに、フェノールとは、単環式芳香族化合物だけではなく、芳香族またはヘテロ芳香族環にフェノールのOH基を直接有する多環式または縮合芳香族化合物またはヘテロ芳香族化合物を意味する。
【0155】
ビスフェノールおよびトリスフェノールが特に好適である。例えば、好適なビスフェノールまたはトリスフェノールは、1,4-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシトルエン、3,5-ジヒドロキシベンゾエート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(=ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(=ビスフェノールS)、ナフトレゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシビフェニル、3,3-ビス(p-ヒドロキシフェニル)フタリド、5,5-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、フェノールフタレイン、フルオレセイン、4,4'-[ビス(ヒドロキシフェニル)-1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールM)、4,4'-ビス(ヒドロキシフェニル)-1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールP)、2,2'-ジアリルビスフェノールA、フェノールまたはクレゾールをジイソプロピリデンベンゼンと反応させることによって合成されるジフェノールおよびジクレゾール、フロログルシノール、没食子酸エステル、OH官能基数が2.0から3.5の範囲であるフェノールまたはクレゾールノボラック、ならびに上記化合物の異性体である。
【0156】
組成物中に場合により存在する特に好適な強化剤Dは、両親媒性ヒドロキシル基含有ブロックコポリマー、例えば、商品名Fortegra(商標)、特にFortegra(商標)100でDow Chemicalによって販売されているもの、またはポリイソシアネートおよび場合により他のイソシアネート反応性化合物とのこれらの反応生成物である強化剤である。
【0157】
組成物中に場合により存在する特に好適な強化剤Dは、例えば、その内容が参照により本明細書に組み入れられる以下の文献および特許に開示される強化剤Dである:
EP0308664A1、特に式(I)、特に5頁14行から13頁24行;EP0338985A1、EP0353190A1、WO00/20483A1、特に式(I)、特に8頁18行から12頁2行; WO01/94492A1、特にD)およびE)として示される反応生成物、特に10頁15行から14頁22行;WO03/078163A1、特にB)として示されるアクリレート末端されたポリウレタン樹脂、特に14頁6行から14頁35行;WO2005/007766A1、特に式(I)または(II)、特に4頁5行から11頁20行;EP1728825A1、特に式(I)、特に3頁21行から4頁47行;WO2006/052726A1、特にb)として示される両親媒性ブロックコポリマー、特に6頁17行から9頁10行;WO2006/052729A1、特にb)として示される両親媒性ブロックコポリマー、特に6頁25行から10頁2行;T. J. Hermel-Davidockら、J. Polym. Sci. Part B:Polym. Phys.、45、3338-3348(2007)、特に両親媒性ブロックコポリマー、特に3339頁2欄から3341頁2欄;WO2004/055092A1、特に式(I)、特に7頁28行から13頁15行;WO2005/007720A1、特に式(I)、特に8頁1行から17頁10行;WO2007/020266A1、特に式(I)、特に3頁1行から11頁6行;WO2008/049857A1、特に式(I)、特に3頁5行から6頁20行;WO2008/049858A1、特に式(I)および(II)、特に6頁1行から12頁15行;WO2008/049859A1、特に式(I)、特に6頁1行から11頁10行;WO2008/049860A1、特に式(I)、特に3頁1行から9頁6行;ならびにDE-A-2123033、米国特許出願公開第2008/0076886A1号、WO2008/016889、およびWO2007/025007。
【0158】
有利には1種を超える強化剤、特に1種を超える強化剤Dもまた、組成物中に存在することが示されている。
【0159】
強化剤Dの割合は、組成物の重量を基準にして、1〜35重量%、特に1〜25重量%の量で有利に用いられる。
【0160】
さらに好ましい実施形態において、組成物は、少なくとも1種の充填剤Fをさらに含有する。ここで、該充填剤は、好ましくはマイカ、タルク、カオリン、ウォラストナイト、長石、閃長岩、緑泥石、ベントナイト、モンモリロナイト、炭酸カルシウム(沈降または重質)、ドロマイト、石英、ケイ酸(火成または沈降)、クリストバライト、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、中空セラミック球、中空ガラス球、中空の有機球、ガラス球、着色顔料である。本発明者らは、充填剤Fとして、当業者によく知られている有機物がコーティングされた、およびコーティングされていない市販の形態の両方を意味している。
【0161】
別の例は、例えば、米国特許第6,322,890号に記載されている官能基化アルモキサンである。
【0162】
すべての充填剤Fの全体の割合は、全組成物の重量を基準にして、有利には3〜50重量%、好ましくは5〜35重量%、特に5〜25重量%である。
【0163】
さらなる好ましい実施形態において、組成物は、例えば、商品名Expancel(商標)でAkzo Nobelから、またはCelogen(商標)でChemturaから、または商品名Luvopor(登録商標)でLehmann & Vossから入手可能である物理的または化学的発泡剤を含有する。発泡剤の割合は、組成物の重量を基準にして、有利には0.1〜3重量%である。
【0164】
別の好ましい実施形態において、組成物は、少なくとも1種のエポキシ基含有反応性希釈剤Gをさらに含有する。これらの反応性希釈剤Gは、特に、エポキシドEPとして既に上記したエポキシ基含有反応性希釈剤である。
【0165】
エポキシ基含有反応性希釈剤Gの全体の割合は、全組成物の重量を基準にして、有利には0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜8重量%である。
【0166】
さらに、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、尿素誘導体をベースとするチキソトロピック剤Hを含有していてよい。尿素誘導体は、特に、芳香族単量体ジイソシアネートと脂肪族アミン化合物との間の反応生成物である。1種を超える異なる単量体ジイソシアネートと1種もしくは複数種の脂肪族アミン化合物とを反応させる、または単量体ジイソシアネートと1種を超える脂肪族アミン化合物とを反応させる可能性もまた十分にある。4,4'-ジフェニルメチレンジイソシアネート(MDI)とブチルアミンとの間の反応生成物が特に有利であることが証明されている。
【0167】
尿素誘導体は、好ましくは担体中に存在する。担体は、可塑剤、特にフタレートまたはアジペート、好ましくはジイソデシルフタレート(DIDP)またはジオクチルアジペート(DOA)であってよい。担体はまた、非拡散性担体であってもよい。これは、硬化後の未反応成分の最低限起こり得る移動を確保するために好適である。非拡散性担体としてブロック化ポリウレタンプレポリマーが好ましい。
【0168】
これらの好ましい尿素誘導体および担体の調製は、特許出願EP1152019A1に詳細に記載されている。担体は、特に三官能性ポリエーテルポリオールとIPDIとを反応させ、その後末端イソシアネート基をε-カプロラクタムによってブロッキングすることによって得られる、有利にはブロック化ポリウレタンプレポリマーである。
【0169】
チキソトロピック剤Hの全体の割合は、全組成物の重量を基準にして、有利には0〜40重量%、好ましくは5〜25重量%である。尿素誘導体の重量対場合により存在する担体の重量の比は、好ましくは2:98から50:50、特に5:95〜25:75である。
【0170】
組成物は、他の成分、特に触媒、安定剤、特に熱および/または光安定剤、チキソトロピック剤、可塑剤、溶媒、無機または有機充填剤、発泡剤、染料および顔料、腐食抑制剤、界面活性剤、消泡剤、ならびに接着促進剤を含んでいてよい。
【0171】
好適な可塑剤は、特にフェニルアルキルスルホン酸エステルまたはN-ブチルベンゼンスルホンアミドであり、例えば、Mesamoll(登録商標)またはDellatol BBSとしてBayerから市販されている。
【0172】
好適な安定剤は、特に場合により置換されているフェノール、例えばBHTまたはWingstay(登録商標)T(Elikem)、立体障害アミン、またはN-オキシル化合物、例えばTEMPO(Evonik)である。
【0173】
記載した熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、熱硬化性の一成分接着剤として、特に車両組立における熱硬化性の一成分ボディシェル接着剤としての使用に好適であることが示されている。このような一成分接着剤は、幅広い用途を有する。ここで、熱硬化性の一成分接着剤は、特に、高温および特に0℃から-40℃の間の特に低温の両方において高い衝撃強度によって区別されて、実現され得る。このような接着剤は、熱安定性材料を接着するのに必要である。「熱安定性材料」とは、100℃〜220℃、好ましくは120℃〜200℃の硬化温度において、少なくとも硬化時間の間、形状安定性である材料を意味する。ここで、熱安定性材料は、特に、金属およびプラスチック、例えばABS、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、複合体材料、例えばSMC、ガラス繊維強化不飽和ポリエステル、エポキシまたはアクリレート複合体である。少なくとも1種の材料が金属である使用が好ましい。特に自動車産業におけるボディシェルにおいて、同一または異なる金属を接着する使用が特に好ましい。好ましい金属は、特に鋼、特に電気亜鉛めっき鋼、溶融亜鉛めっき鋼、潤滑鋼、Bonazincコーティングされた鋼、および続いてリン酸塩処理された鋼、ならびにアルミニウム、特に自動車組立に通常用いられるタイプのものである。
【0174】
本発明による熱硬化性組成物をベースとする接着剤を用いることで、高いクラッシュ耐性ならびに高い硬化温度および低い硬化温度の両方の所望の組合せを達成することができる。
【0175】
このような接着剤を特に第1に接着対象の材料と10℃から80℃の間、特に10℃から60℃の間の温度で接触させ、続いて典型的には100℃〜220℃、好ましくは120〜200℃の温度で硬化する。
【0176】
本発明のさらなる態様は、熱安定性基材を接着する方法であって、
i)詳細に上記した熱硬化性エポキシ樹脂組成物を熱安定性基材S1、特に金属の表面に適用するステップ;
ii)適用した熱硬化性エポキシ樹脂組成物を別の熱安定性基材S2、特に金属の表面と接触させるステップ;
iii)該組成物を100℃〜220℃、特に120℃〜200℃、好ましくは160℃〜190℃の間の温度に加熱するステップ
を含む方法に関する。
【0177】
ここで、基材S2は、基材S1と同じまたは異なる材料からなる。
【0178】
基材S1および/またはS2は、特に、上記の金属およびプラスチックである。
【0179】
熱安定性材料を接着する該方法は、接着物品を生じる。このような物品は、好ましくは車両または車両の一部である。
【0180】
当然ながら、本発明による組成物を用いて、熱硬化性接着剤に加えてシーラントまたはコーティングを実現することもできる。さらに、本発明による組成物は、自動車組立に好適であるだけではなく、他の適用領域にも好適である。
【0181】
本発明者らは、船、トラック、バス、もしくは軌道車両などの輸送手段の組立、または消費財、例えば、洗浄機などの組立において、関連する用途に特に言及する。
【0182】
本発明による組成物によって接着される材料は、典型的には120℃から-40℃の間、好ましくは100℃から-40℃の間、特に80℃から-40℃の間の温度で用いられる。
【0183】
本発明による熱硬化性エポキシ樹脂組成物の特に好ましい使用は、車両組立における熱硬化性の一成分ボディシェル接着剤として、または構造用部品および補強要素の空洞の補強のための強固材料もしくは発泡性熱硬化性組成物としての使用である。
【0184】
本発明のさらなる態様は、詳細に上記した熱硬化性エポキシ樹脂組成物を加熱することによって得られる硬化されたエポキシ樹脂組成物に関する。加熱は、100℃〜220℃、特に120℃〜200℃、好ましくは160℃〜190℃の間の温度でオーブンにおいて典型的には行われる。
【0185】
熱硬化性エポキシ樹脂組成物の成分として既に詳細に上記した式(I)の促進剤は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の促進剤として一般に好適であることが示されている。したがって、本発明のさらなる態様は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化を促進するための、熱硬化性エポキシ樹脂組成物における既に詳細に上記した式(I)の促進剤の使用に関する。
【0186】
式(I)の促進剤Cを熱硬化性エポキシ樹脂組成物に添加することで、一方では、促進が、所与の硬化温度において、式(I)の促進剤Cを含まない対応する組成物よりも大幅に速く生じると考えられる。
【0187】
他方で、式(I)の促進剤Cを熱硬化性エポキシ樹脂組成物に添加することにより、式(I)の促進剤Cを含まない場合より大幅に低い温度で該組成物を硬化することができることを確認することができた。このことは、DSCにおいて、反応ピークのシフトにおいて、または、促進剤Cを含有するエポキシ樹脂混合物を最初に加熱するための温度を、式(I)の促進剤Cを含まない対応する組成物と比較して低下させる、「開始時点」のシフトによって明らかである。例えば、ジシアノジアミドを硬化剤Bとして含むエポキシ樹脂組成物は、式(I)の促進剤を典型的には0.4%から3%の少量で添加しても式(I)の促進剤Cを含まない対応するエポキシ樹脂組成物の温度と同程度である20℃、またはさらにはより低い温度で硬化され得る。
【0188】
しかし、式(I)の促進剤Cの添加は、(本発明によらない)芳香族尿素促進剤とは対照的に、対応するエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性にあまり悪影響を与えない。
【0189】
より低い温度で硬化が行われるが、硬化されたエポキシ樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)に、悪影響をほとんどまたは全く与えない。
【0190】
さらに、式(I)の促進剤の添加はまた、ある(本発明によらない)芳香族尿素促進剤の場合と同様に、強化剤を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の衝撃強度特性にも負の効果を与えない。対照的に、式(I)の促進剤を用いるとき衝撃強度がさらにかなり増大し得ることもさらに見出された。
【実施例】
【0191】
エポキシ樹脂用硬化剤
N,N'-ジメチル尿素(=1,3-ジメチル尿素)(「DMH」)
【0192】
【化17】

【0193】
N,N'-ジメチル尿素をFluka(スイス)から得た。
【0194】
N,N,N',N'-テトラメチル尿素(=1,1,3,3-テトラメチル尿素)(「TMH」)
【0195】
【化18】

【0196】
N,N,N',N'-テトラメチル尿素をFluka(スイス)から得た。
【0197】
3,3'-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(1,1-ジメチル尿素)(「MPBDMH」)
【0198】
【化19】

【0199】
3,3'-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビズ(1,1-ジメチル尿素)をSigma-Aldrich(スイス)から得た。
【0200】
3-(3-ヒドロキシプロピル)-1,1-ジメチル尿素(「C-1」)
【0201】
【化20】

【0202】
15.0g(139.5mmol)のN,N-ジメチルカルバモイルクロリドおよび80mLのジオキサンを、還流冷却器を備えた250mLの二口フラスコに添加した。次いで13.66g(135mmol)のトリエチルアミンおよび10.44g(139mmol)の3-アミノ-1-プロパノールを添加した。加熱による発熱の発生が収まった後、混合物を60℃で1時間、さらに90℃で3時間撹拌すると、薄茶色の懸濁液がゆっくりと形成された。懸濁液を50℃に冷却した後、固体を濾去した。
【0203】
溶媒をロータリーエバポレータにおいて60℃で蒸発させた。次いで、生成物を100℃および10mbarで2時間にわたって撹拌しながら精製した。17.0gの茶色の粘性液体が得られた。
【0204】
N,N-ジメチルカルバモイルクロリド/ジェファーミン(登録商標)D-230(「C-2」)の反応生成物
【0205】
【化21】

【0206】
15.0g(139.5mmol)のN,N-ジメチルカルバモイルクロリドおよび80mLのジオキサンを、還流冷却器を備えた250mLの二口フラスコに添加した。次いで13.66g(135mmol)のトリエチルアミンおよび14.88g(約63mmol)のジェファーミン(登録商標)D-230(Huntsman)を添加した。加熱による僅かな発熱の発生が収まった後、混合物を80℃で3時間、さらに100℃で1時間撹拌すると、乳状の帯黄色懸濁液がゆっくりと形成された。こうして得られた懸濁液を、波型フィルタ(fluted filter)を通して2回濾過した。溶媒をロータリーエバポレータにおいて60℃で蒸発させた。次いで生成物を100℃および0.3mbarで2時間にわたって撹拌しながら精製した。「尿素当量」の計算値が約191g/eqである、約17.0gの橙赤色の粘性液体が得られた。
【0207】
N,N-ジメチルカルバモイルクロリド/チロシンメチルエステル(「C-3」)の反応生成物
【0208】
【化22】

【0209】
9.07g(46.5mmol)のチロシンメチルエステルおよび50mLのジオキサンを250mLの二口フラスコ内に量り入れた。次いで、まず4.55g(45.0mmol)のトリエチルアミン、次いで5.0g(46.5mmol)のN,N-ジメチルカルバモイルクロリドを添加した。加熱による発熱の発生が収まった後、混合物を70℃で2時間撹拌すると、次第に撹拌が困難になる帯黄色の懸濁液がゆっくりと形成された。
【0210】
こうして得られた懸濁液を、Nutsche焼結ガラスフィルタを通して濾過した。溶媒をロータリーエバポレータにおいて60℃で蒸発させた。12.0gの薄橙色粉末が得られた。
【0211】
N,N-ジメチル尿素/ビスフェノールAジグリシジルエーテル(「C-4」)の反応生成物
20.0g(約116mmolのエポキシ基)の蒸留ビスフェノールAジグリシジルエーテル(Epilox A17-01)、10.0g(113.5mmol)のN,N-ジメチル尿素、および40mLのエタノールを、還流冷却器を備えた250mLの二口フラスコに添加した。これを90℃で7時間還流し、反応の終わりには、微量のN,N-ジメチル尿素のみが検出できるに過ぎなかった。溶媒をロータリーエバポレータにおいて60℃で蒸発させた後、「尿素当量」が約258g/eqである、約30gの、粘性が高く部分的に蝋状の物質が得られた。
【0212】
N,N-ジメチル尿素/固体エポキシ樹脂(「C-5」)の反応生成物
50.0g(約69mmolのエポキシ基)の固体エポキシ樹脂Araldite(登録商標)GT-7004、6.04g(68.5mmol)のN,N-ジメチル尿素、および250mLのエタノールを、還流冷却器を備えた500mLの二口フラスコに添加した。90℃の浴温で6時間還流した後、エポキシド含量を約0.1eq/kgまで減少させ、この時点で反応を停止させた。溶媒をロータリーエバポレータにおいて60℃で蒸発させ、粗生成物を50℃で50mbarで6時間にわたって真空オーブンにおいて乾燥させた後、約55 gの硬い固体が得られた。「尿素当量」の計算値が約820g/eqである生成物を、乳鉢において粉砕した。
【0213】
N,N-ジメチル尿素/ノボラックエポキシ樹脂(「C-6」)の反応生成物
25.0g(約140mmolのエポキシ基)のエポキシド化ノボラックD.E.N.438、12.3g(140mmol)のN,N-ジメチル尿素、および120mLのエタノールを、還流冷却器を備えた500mLの二口フラスコに添加した。温度上昇に伴い、2-相混合物が得られた。
【0214】
90℃の浴温で7時間還流した後、エポキシド含量を約0.2eq/kgまで減少させ、この時点で反応を停止させた。溶媒をロータリーエバポレータにおいて60℃で蒸発させ、粗生成物を50℃にて50mbarで6時間にわたって真空オーブンにおいて乾燥させた後、約35gの、初めは部分的に硬く、部分的にゼリー状の固体が得られた。室温で1週間貯蔵した後、「尿素当量」の計算値が約267g/eqである生成物は固く、乳鉢において粉砕することができた。
【0215】
強化剤(「D-1」)の調製
150gのPoly-THF2000(OH価:57mg/gKOH)および150gのLiquiflexH(OH価:46mg/gKOH)を真空下で105℃において30分間乾燥させた。温度が90℃まで低下した後、61.5gのIPDIおよび0.14gのジラウリン酸ジブチルスズを添加した。2.0時間後(NCO含量(計算値):3.15%)、NCO含量が3.10%で一定になるまで、真空下で90℃において反応を行った。次いで、96.1gのカルダノールをブロッキング剤として添加した。3.5時間後、NCO含量が0.1%未満になるまで、真空下で105℃において撹拌を継続させた。次いで、該生成物を強化剤D-1として用いた。
【0216】
【表1】

【0217】
組成物の調製
参照組成物Ref.1〜Ref.4、ならびに本発明による組成物1、2、3、4、5および6をTable 2に示すように調製した。
【0218】
参照例では、各場合において促進剤を含まない(Ref.1)か、または式(I)に相当しない促進剤のいずれかを用いたが、実施例1、2、3、4、5、および6については式(I)に相当する促進剤を用いた。促進剤の使用量は、尿素基全体の濃度が一定となるように算出した。
【0219】
試験方法:
引張剪断強度(TSS)(DIN EN 1465)
寸法が100×25×0.8mmであり、0.3mmの層厚を有し、接着表面積が25×10mmである、電気亜鉛めっきしたDC04鋼(eloZn)を用いて、記載の組成物から試験片を調製した。これらを180℃で30分間(「TSS180」)、または165℃で10分間(「TSS165」)、対流式オーブンにて硬化した。1日が経過して室温に冷却した後、10mm/minの引張速度で測定を行った。
【0220】
衝撃/剥離作業(ISO11343)
寸法が90×20×0.8mmであり、0.3mmの層厚を有し、接着表面積が20×30mmである、電気亜鉛めっきしたDC04鋼(eloZn)を用いて、記載の組成物から試験片を調製した。これらを180℃で30分間硬化した。それぞれについて衝撃/剥離作業を23℃で測定した。衝撃速度は2m/sであった。測定曲線下の領域(ISO11343により、25%から90%)は、破砕エネルギー(FE)としてジュールで与えられる。
【0221】
参照例Ref.1と比較した衝撃強度の増加分として、table内の(%で与える)ΔFEの値を以下の式によって求めた。
ΔFE=[FE/FE(Ref.1)]-1
【0222】
粘度
接着試験サンプルをBohlinCVO120粘度計、プレート/プレート(直径25mm、ギャップ1mm)、振動数5Hz、偏差0.01、温度23℃〜53℃、10℃/minにおいて測定した。粘度を25℃における複素粘度として測定曲線から求めた。
【0223】
接着剤を調製後25℃で1日、または60℃で1週間貯蔵した。室温に冷却した後、粘度を測定し、Table2に「Visc (1d、25℃)」または「Visc (1w、60℃)」として与えた。粘度の増加分(Δvisc)を式にしたがって算出した(%で与える)。
[Visc(1w、60℃)/Visc(1d、25℃)]-1
【0224】
ガラス転移温度
こうして混合した各エポキシ樹脂組成物について、Mettler DSC822EにおいてDSCを行った(10°K/分の加熱速度で25℃から250℃に加熱)。初めに反応ピークの最大値を測定曲線からTpeak-DSCとして求め、同様に開始Tonset-DSCを該曲線から算出した。
【0225】
促進
こうして混合した各エポキシ樹脂組成物について、Mettler DSC822EにおいてDSCを行った(10°K/分の加熱速度で25℃から250℃に加熱)。初めに反応ピークの最大値を測定曲線からTpeak-DSCとして求め、同様に開始Tonset-DSCを該曲線から算出した。
【0226】
ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度をDSCによって求めた。この目的のために、Mettler DSC822eを用いた。10〜20mgの組成物をそれぞれアルミニウムるつぼに量り入れた。試験サンプルをDSCにおいて175℃で30分間硬化した後、試験サンプルを-20℃(マイナス20℃)に冷却し、次いで10℃/minの加熱速度で150℃に加熱した。ガラス転移温度を、測定したDSC曲線からDSCソフトウェアを用いて求めた。
【0227】
これらの試験結果をTable 2にまとめる。
【0228】
【表2】

【0229】
Table 2の結果は、促進剤を含まない非促進組成物(Ref.1)と比較して、比較例Ref.2およびRef.3の脂肪族促進剤ではエポキシ樹脂組成物の硬化温度を最小限しか低下させることができないが、式(I)で特定される促進剤を含む実施例では目立った低下が見られる(実施例1から6)ことを示している。
【0230】
比較例Ref.4は、式(I)に相当しない芳香族促進剤は、硬化温度の低下を可能にするが、このような組成物は貯蔵安定性ではないことを示す。しかし、実施例1から6は、貯蔵安定性である。
【0231】
さらに、式(I)に相当する促進剤を添加する(実施例1から6)ことで、衝撃強度を極めて大幅に増大させる場合があるが、式(I)に相当しない脂肪族促進剤(Ref.2およびRef.3)の場合にはそうではないことも見出された。このことは、実施例1、2、および3で特に顕著である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)平均して1分子当たり1を超えるエポキシ基を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂A、
b)高温で活性化される少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤B、
c)式(I)の少なくとも1種の促進剤C
【化1】

(式中、R1は、尿素、ビウレット、イソシアヌレート、ウレタン、ウレトジオン、またはジウレトジオン基のヘテロ原子ではない少なくとも1個のヘテロ原子を有するn-価の脂肪族、脂環式、または芳香脂肪族基を表し、
R2およびR3は、
場合により置換されているまたはヘテロ原子を有するアルキル基またはアラルキル基をそれぞれ独立して表すか、
または
5から8個の環原子、好ましくは6個の環原子を有する場合により置換されている複素環式環の一部である、3から20個のC原子を有する二価の脂肪族基を一緒になって表し、
nは、1から10、特に1から3、好ましくは1または2の数を表す)、
ならびに
d)場合により少なくとも1種の強化剤D
を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
基R1中に存在する少なくとも1個のヘテロ原子が、特にヒドロキシルまたはエーテル基の形態での酸素原子であることを特徴とする、請求項1に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
R2および/またはR3が、1から10個のC原子、特に1から4個のC原子を有するアルキル基、好ましくはメチル基を表すことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
R1が、n個のエポキシ基を有するエポキシドを表し、ここで、式(IIa)のn個のエポキシ基のうち少なくとも1個は、式(IIb)の基によって置き換えられており、式(I):
【化2】

の式中、星印*を付けたC原子が、式(I)の促進剤の尿素基の窒素に結合していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
R1が、式(III)の基:
【化3】

を表し、式中、R'およびR"は、HまたはCH3のいずれかをそれぞれ独立して表し、下付き文字s'は、0から12の数を表すことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
R1が、アミノ基が除去された後の、エーテル基含有脂肪族ポリアミン、特にポリオキシアルキレンジアミンまたはポリオキシアルキレントリアミンの基を表すことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
R1が、アミノ基が除去された後の、アミノ酸またはアミノ酸エステルの基を表すことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
強化剤Dが、ブロック化ポリウレタンポリマー、液状ゴム、エポキシ樹脂変性液状ゴム、およびコア/シェルポリマーからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
強化剤Dが、カルボキシル基もしくは(メタ)アクリレート基もしくはエポキシ基によって末端処理されているアクリロニトリル/ブタジエンコポリマーであるか、またはその誘導体である液状ゴムであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
強化剤Dが、式(IV)のブロック化ポリウレタンポリマーであり、
【化4】

式中、
Y1は、すべての末端イソシアネート基が除去された後の、m+m'個のイソシアネート基によって末端処理されている直鎖または分枝鎖のポリウレタンポリマーPU1を表し、
Y2は、100℃を超える温度で開裂するブロッキング基をそれぞれ独立して表し、
Y3は、式(IV')の基をそれぞれ独立して表し、
【化5】

式中、R4は、ヒドロキシ基およびエポキシ基が除去された後の、第1級または第2級ヒドロキシル基を含有する脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族エポキシ基を表し、
p=1、2、または3であり、
mおよびm'は、0から8の間の数をそれぞれ表し、但し、m+m'が1から8の数を表すことを条件とすることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
Y2が、以下からなる群から選択される基を表し、
【化6】

式中、
R5、R6、R7、およびR8は、アルキルまたはシクロアルキルまたはアリールまたはアラルキルまたはアリールアルキル基をそれぞれ独立して表すか、
あるいはR5とR6とが一緒になって、またはR7とR8とが一緒になって、場合により置換されている4員から7員環の部分を形成し、
R9、R9'、およびR10は、アルキルもしくはアラルキルもしくはアリールもしくはアリールアルキル基、またはアルキルオキシもしくはアリールオキシもしくはアラルキルオキシ基をそれぞれ独立して表し、
R11は、アルキル基を表し、
R12、R13、およびR14は、二重結合を場合により有するか、置換されている、2から5個のC原子を有するアルキレン基、あるいはフェニレン基または水添フェニレン基をそれぞれ独立して表し、
R15、R16、およびR17は、H、またはアルキル基、またはアリール基、またはアラルキル基をそれぞれ独立して表し、
R18は、芳香族ヒドロキシル基を場合により有する、アラルキル基、または置換もしくは非置換の単環もしくは多環芳香族基を表すことを特徴とする、請求項10に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
mが0ではないことを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の物理的または化学的発泡剤を、組成物の重量を基準にして、特に0.1〜3重量%の量で含有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項14】
エポキシ樹脂Aの割合が、組成物の重量を基準にして、10〜85重量%、特に15〜70重量%、好ましくは15〜60重量%であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項15】
高温で活性化されるエポキシ樹脂用硬化剤Bの量が、エポキシ樹脂Aの重量を基準にして、有利には0.1〜30重量%、特に0.2〜10重量%であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項16】
促進剤Cの量が、エポキシ樹脂Aの重量を基準にして、0.01〜6.0重量%、特に0.02〜4.0重量%、好ましくは0.02〜2.0重量%であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の、熱硬化性の一成分接着剤としての、特に車両組立における熱硬化性の一成分ボディシェル接着剤としての使用。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物中に存在する式(I)の促進剤の、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化促進のための使用。
【請求項19】
熱安定性基材を接着する方法であって、
i)請求項1から16のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を熱安定性基材S1、特に金属の表面に適用するステップ;
ii)適用した熱硬化性エポキシ樹脂組成物を別の熱安定性基材S2、特に金属の表面と接触させるステップ;
iii)該組成物を100℃〜220℃、特に120℃〜200℃、好ましくは160℃〜190℃の間の温度に加熱するステップ;
を含み、ここで、基材S2が、基材S1と同じまたは異なる材料からなる方法。
【請求項20】
請求項1から16のいずれか一項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を加熱することによって得られる硬化されたエポキシ樹脂組成物。

【公表番号】特表2011−522915(P2011−522915A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511008(P2011−511008)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056491
【国際公開番号】WO2009/150059
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】