説明

ヘテロ接合バイポーラトランジスタの製造方法

本発明は、フォトリソグラフィ技術を適用することなく、ベース領域(7)に自己整合で形成されるベース接続領域(23)を有するヘテロ接合バイポーラトランジスタを製造する方法を提供する。更に、コレクタ接続領域(31)及びエミッタ領域(29)が、フォトリソグラフィ技術を適用することなく、同時に形成され、ベース接続領域に自己整合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許5,001,533号公報には、コレクタ、ベース及びエミッタ領域を備える円柱の領域を形成するバイポーラトランジスタの製造方法が開示されている。モノシリコンからなるベース領域への接点は、堆積及びフォトリソグラフィ技術を用いてベース領域に隣接するベース接続領域を形成することによって設けられる。エミッタ領域への接点は、ポリシリコン層を堆積し、その後フォトリソグラフィ及びエッチング技術を用いてポリシリコン層をパターン化することによって設けられる。このバイポーラトランジスタの製造方法は、多くの製造工程を必要とし、更に多くのフォトリソグラフィ工程を含み、これがこのように製造されたバイポーラトランジスタの性能にマイナスの形で影響する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、比較的少数のフォトリソグラフィ工程でヘテロ接合バイポーラトランジスタを製造する方法を提供することにある。本発明によれば、この目的を請求項1に記載の方法によって達成する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この製造方法は、突起または円柱の領域を半導体基板上の第一の半導体材料の第一のコレクタ領域上に設け、該突起が側壁を有し、第一のコレクタ領域の一部、第二の半導体材料のベース領域及び第三の半導体材料の犠牲領域を含む。突起の側壁上に第二の半導体材料のベース接続領域をベース領域に自己整合して形成する。その後、前記犠牲領域を除去してベース接続領域によって囲まれる空間領域を作成し、次いで空間領域内のベース接続領域上に絶縁スペーサを形成する。然る後、第四半導体材料の犠牲層を堆積して、空間領域を充填し、ベース領域、ベース接続領域及びスペーサを覆う。該犠牲層を、ベース接続領域の一部がさらされるように部分的に除去して第四半導体材料の自己整合エミッタ領域を形成する。該エミッタ領域は、ベース領域への電気的な接点を有し、スペーサによってベース接続領域から絶縁される。
【0005】
ベース接続領域は、フォトリソグラフィ技術を適用することなく、ベース領域に自己整合して形成される。更に、エミッタ領域はフォトリソグラフィ技術を適用することなく形成され、それによってベース領域及びベース接続領域に対してエミッタ領域の完全な自己整合を達成する一方、従来技術はエミッタ領域を形成するために余分のパターン化工程を必要とする。
【0006】
犠牲層を有利に用いて、エミッタ領域の形成と同時に、突起に隣接し、他のスペーサによってベース接続領域から絶縁される第一のコレクタ領域の一部上にコレクタ電極を形成することができる。
【0007】
ベースとコレクタ間の容量は、他のスペーサの一部及びベース接続領域の一部によって覆われる絶縁領域を形成することによって有利に減少させることができる。
【0008】
コレクタの抵抗は、突起に隣接する第一のコレクタ領域の一部にドーパント原子を与えることによって有利に減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、半導体基板1、高濃度にドープされたn型のサブコレクタ領域3、n型にドープされた第一のコレクタ領域5、ベース領域7、エッチストップ層9、犠牲層11及びハードマスク層13を備える実施態様の最初の構造を示す。犠牲層11は、エッチストップ層9及び製造すべきベース接続領域に対して選択的に除去し得る材料からなり、例えば、犠牲層11をn型シリコン、エッチストップ層9をSiGeとすることができる。これらの層3、5、7、9及び11を一つエピタキシャル成長工程で形成し、それによって製造工程の数を減らすことができる。窒化ケイ素とし得るハードマスク層13は、標準的な堆積技術を適用することによって形成することができる。
【0010】
図2に示すように、ハードマスク層13を用いて、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術で突起15を形成する。このように形成された突起15が第一のコレクタ領域5の一部を含み、突起15に隣接した領域が第一のコレクタ領域5の一部をさらす際に、エッチング処理を停止する。したがって、この時点で、突起15はハードマスク層13、犠牲層11、エッチストップ層9、ベース領域7及び第一のコレクタ領域5の一部を備える。
【0011】
次いで、図3に示すように、突起15に隣接した第一のコレクタ領域5の一部に、ヒ素のようなn型ドーパントを埋め込み、これによって、第一のコレクタ領域5に電気的に接続される低抵抗パスである、第二のコレクタ領域19を形成することができる。このn型埋め込みの前に、窒化ケイ素物層17を堆積して、突起15、従ってベース領域7に対する第二のコレクタ領域19の隙間を可能にする。n型埋め込みの後、窒化ケイ素物層17を湿式エッチング工程で除去することができる。
【0012】
次に、湿式酸化工程を用いて二酸化ケイ素層21を露出領域上に成長させる。図4に示すように、第二のコレクタ領域19が他の領域より高いドーピングレベル、それ故のより高い酸化率を有するため、二酸化ケイ素層21はハードマスク層13上には形成されず、第二のコレクタ領域19上に比較的厚い部分及び他の領域上に比較的薄い部分を有する。
【0013】
その後、図5に示すように、HFベースの湿式エッチング工程は、二酸化ケイ素層21の薄い部分を除去する一方、第二のコレクタ領域19上の二酸化ケイ素層21の比較的厚い部分の一部を除去しない。二酸化ケイ素層21及びハードマスク層13に対して選択的なエピタキシャル成長を用いて、p+ドープされたSiGe層を、ケイ素及びSiGeを露出する突起15の側壁に形成する。この方法により、ベース接続領域23はフォトリソグラフィ技術を適用することなく形成され、該ベース接続領域23は外部側壁、内部側壁及び上面を有し、ベース領域7に電気的に接続する。
【0014】
次に、ハードマスク層13をエッチング工程で除去する。その後、図6に示すように、犠牲層11をエッチング工程で除去し、これによって、ベース領域9を露出する底部と、ベース接続領域23の内部側壁の一部を露出する側壁とを有する空間領域24を形成する。犠牲層11は、エッチストップ層9及びベース接続領域23に対して選択的に犠牲層11の除去を可能にする材料からなる。この場合、犠牲層11をn型シリコン、エッチストップ層9及びベース接続領域23をSiGeとすることができるが、エッチストップ層9及びベース接続領域に対して犠牲層11の選択的な除去が可能である限り、他の材料も適用することができる。エッチストップ層9を除去することができるが、この層はまたベース領域7の一部とすることができ、この場合除去する必要はない。更に、図6は標準スペーサ形成技術を用いて内側スペーサ27及び外側スペーサ25を形成することを示す。内側スペーサ27は、ベース接続領域23の内部側壁の露出部である空間領域24の側壁を覆う。外側スペーサ25は、ベース接続領域23の外部側壁を覆う。内側スペーサ27及び外側スペーサ25は窒化ケイ素のような絶縁体からなり、好ましくはD字状の形を有するが、いかなる他の形も適用することができる。
【0015】
その後、第二のコレクタ領域19上の二酸化ケイ素層21の比較的厚い部分の残りの部分を、例えば湿式エッチングを用いて除去する。図7に示すように、n型ポリシリコン層を堆積し、続いて、例えば化学機械研磨を用いて表面の平坦化を行い、これによってベース接続領域23の上面を露出し、n型ポリシリコン層を接続されない2つの領域、すなわち外側スペーサ25に隣接のコレクタ接続領域31及び内側スペーサ27に隣接のエミッタ領域29に分割する。この方法により、コレクタ接続領域31及びエミッタ領域29は、フォトリソグラフィ技術を適用することなく一つの製造工程で同時に形成され、ベース接続領域23に完全に自己整合される。
【0016】
要約すれば、本発明は、フォトリソグラフィ技術を適用することなく、ベース領域に自己整合で形成されるベース接続領域を有するヘテロ接合バイポーラトランジスタを製造する方法を提供する。更に、コレクタ接続領域及びエミッタ領域は、フォトリソグラフィ技術を適用することなく同時に形成され、ベース接続領域に自己整合される。
【0017】
上述の実施態様は、本発明を限定するためよりもむしろ、説明するために用いており、また、特許請求の範囲によって規定されたような本発明の範囲から逸脱することなしに、当業者が代案の多くの実施態様を設計することができることは注目すべきである。「備える」という動詞及びその活用の使用が、いずれかの請求項において定義される工程又は構成要素以外のその他の工程又は構成要素の存在を排除するものではないことは明らかであろう。一の構成要素又は工程の前に付く冠詞「a」や「an」は、そのような複数の構成要素又は工程の存在を排除するものではない。
【0018】
これらおよび本発明の他の態様は、図面を参照して更に解明及び説明されるだろう。図は、一定の比率で示されない。一般に、同一の構成要素は、図内の同一参照番号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一の実施態様に従うヘテロ接合バイポーラトランジスタの製造の一段階を示す図である。
【図2】本発明の一の実施態様に従うヘテロ接合バイポーラトランジスタの製造の一段階を示す図である。
【図3】本発明の一の実施態様に従うヘテロ接合バイポーラトランジスタの製造の一段階を示す図である。
【図4】本発明の一の実施態様に従うヘテロ接合バイポーラトランジスタの製造の一段階を示す図である。
【図5】本発明の一の実施態様に従うヘテロ接合バイポーラトランジスタの製造の一段階を示す図である。
【図6】本発明の一の実施態様に従うヘテロ接合バイポーラトランジスタの製造の一段階を示す図である。
【図7】本発明の一の実施態様に従うヘテロ接合バイポーラトランジスタの製造の一段階を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ接合バイポーラトランジスタを製造方法であって、
第一の半導体材料の第一のコレクタ領域上に、側壁を有し、前記第一の半導体材料の一部、第二の半導体材料のベース領域及び第三半導体材料の犠牲領域を備える突起を設ける第一の工程と、
前記突起の側壁上に、上面及び外部側壁を有する前記第二の半導体材料のベース接続領域を形成する第二の工程と、
前記ベース領域及び前記ベース接続領域と関連して選択的に前記犠牲領域を除去し、これによって前記ベース接続領域の一部を備える側壁及び前記ベース領域を備える底部を有する空間領域を形成する第三の工程と、
前記空間領域の側壁を覆う絶縁材料のスペーサを形成する第四の工程と、
前記空間領域を充填し、前記スペーサ、ベース接続領域及びベース領域を覆う第四の半導体材料の犠牲層を堆積する第五の工程と、
前記犠牲層を部分的に除去して前記ベース接続領域の上面を露出し、これによって前記第四の半導体材料を備える前記空間領域にエミッタ領域を形成する第六の工程と
を備えることを特徴とするヘテロ接合バイポーラトランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記第四の工程が、前記ベース接続領域の外部側壁を覆う他のスペーサを形成することを更に含み、
前記第五の工程が、前記突起に隣接した前記第一のコレクタ領域上に前記犠牲層を堆積することを更に含み、
前記第六の工程が、前記突起に隣接し、前記第四の半導体材料からなるコレクタ接続領域を形成することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の工程の後で、前記突起に隣接した前記第一のコレクタ領域上に絶縁層を形成する工程と、
前記突起に隣接した前記第一のコレクタ領域上に前記犠牲層を堆積させる前に、前記絶縁層を部分的に除去して前記突起に隣接した前記第一のコレクタ領域を露出し、これによって、前記他のスペーサの一部及び前記ベース接続領域の一部によって覆われた絶縁領域を形成する工程とを更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の工程の後で、前記突起に隣接した前記第一のコレクタ領域の一部にドーパント原子を与え、これによって、第二のコレクタ領域を形成する工程を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ベース領域が固有のSiGe:C、p型ドープされたSiGe:C、絶縁SiGe:C、p型ドープされたSi及びSiGeの多層からなり、前記ベース接続領域がp型ドープされたSiGeからなる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記犠牲層がn型ドープされたポリシリコンからなる請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−536325(P2008−536325A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506007(P2008−506007)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051005
【国際公開番号】WO2006/109208
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【Fターム(参考)】