説明

ヘテロ5員環化合物

【課題】FATP4阻害作用を有する化合物の提供。
【解決手段】下記式(I)で表されるヘテロ5員環化合物又はその製薬学的に許容される塩。


式(I)中、Aはカルボニル又はメチレン基を示し、Xはメチレン基、酸素原子又は窒素原子を示し、Y及びWは同一又は異なって、メチン基又は窒素原子を示し、Zはメチレン基、酸素原子又は窒素原子を示し、Arは置換ベンゼン環、置換ピリジン環又は置換チオフェン環を示し、R1は−CO−NR67、−CO2−R8、−NHCO−R9等を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロ5員環化合物に関する。更に詳しくは、小腸上皮細胞における脂肪酸特異的トランスポーターであるFATP4(Fatty acid transport protein 4)を阻害することから腸管での脂肪酸吸収阻害作用を有し、新規な高トリグリセライド血症、肥満症、糖尿病の治療薬として有用な新規ヘテロ5員環化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
FATP4を阻害する物質としては、ジヒドロピリミジン誘導体が報告されている(非特許文献1参照)。しかしながら、それら公知の化合物のFATP4阻害作用は充分とは言えず、それら自身がin vivoで脂肪酸吸収阻害作用を示すことはない。いずれも本発明の化合物と化学構造が異なる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Blackburn C., et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 16 (2006) 3504-3509.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、優れたFATP4阻害作用を有する化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、ある種のヘテロ5員環化合物がFATP4を阻害することを見出し、本発明を完成した。
かかる本発明の一実施形態は、
下記式(I)で表されるヘテロ5員環化合物又はその製薬学的に許容される塩である。
【化1】

ただし、式(I)中、
Aは−CO−又は−CH2−を示し、
Xは−CH2−、−O−又は−NH−を示し、
Y及びWは同一又は異なって、
【化2】

又は
【化3】

を示し、
Zは−CH2−、−O−又は−NH−を示し、
Arは
【化4】

又は
【化5】

を示し、
2、R3及びR4は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子で置換されても良い炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子で置換されても良い炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシカルボニル基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基又はトリフルオロメチルスルホニルオキシ基を示し、
5はハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し、
1は−CO−NR67、−CO2−R8、−NHCO−R9
【化6】

又は
【化7】

を示し、R6は−(CH2)n−R14、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、
【化8】

又は
【化9】

を示し、
7は水素原子、−(CH2)n−R19又はアリル基を示し、
8
【化10】

又は
【化11】

を示し、
9
【化12】

又は
【化13】

を示し、
10、R11及びR12は同一又は異なって、水素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基を示し、
13は炭素数1〜12のアルキル基、ベンジルオキシカルボニル基、
【化14】

又は
【化15】

を示し、
14は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、
【化16】

又は
【化17】

を示し、
15、R16及びR17は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキルチオ基を示し、
18はフェニル基、エトキシカルボニル基、フェネチル基、
【化18】

又は
【化19】

を示し、
19は水素原子、水酸基、カルバモイル基、メチルアミノカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基又はアリル基を示し、
20、R21及びR22は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されても良い炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子で置換されても良い炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、フェニル基又はジメチルアミノ基を示し、
23はハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜6のアルキルチオ基を示し、
24、R25及びR26は同一又は異なって、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はニトロ基を示し、
27、R28及びR29は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はシアノ基を示し、
nは1〜20の整数を示す。
【0006】
本発明の他の実施形態は、下記式(II)で表されるヘテロ5員環化合物又はその製薬学的に許容される塩である。
【化20】


ただし、式(II)中、R18は上記R18と同意義である。Arは
【化21】

【化22】

を示す。ただし、R2、R3及びR4は上記R2、R3及びR4とそれぞれ同意義である。
【0007】
更に、本発明の他の実施形態は、下記式(III)で表されるヘテロ5員環化合物又はその製薬学的に許容される塩である。
【化23】


式(III)中、R13及びArは上記R13及びArとそれぞれ同意義である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、優れたFATP4阻害作用を有する化合物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明において使用される定義を説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜12のアルキル基とは、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素原子数1〜12のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基が挙げられる。
ハロゲン原子で置換されても良い炭素数1〜12のアルキル基とは、直鎖状、分岐鎖状又は環状のハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜12のアルキル基を示し、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が挙げられる。
炭素原子数1〜10のアルコキシ基とは、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素原子数1〜10のアルコキシ基を示し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロペンチルメチルオキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子で置換されても良い炭素原子数1〜10のアルコキシ基とは、直鎖状、分岐鎖状又は環状のハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜10のアルコキシ基を示し、例えば、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基が挙げられる。
炭素原子数1〜6のアルキルチオ基とは、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素原子数1〜6のアルキルチオ基を示し、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、t−ブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロペンチルメチルチオ基が挙げられる。
炭素数3〜8のシクロアルキル基とは、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
炭素数2〜18のアルケニル基とは直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数2〜18のアルケニル基を示し、例えば、ビニル基、ペンテニル基、シクロヘキセニル基が挙げられる。
炭素数4〜8シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基が挙げられる。
【0010】
本発明において医薬上許容される塩としては、酸又はアルカリ付加塩が挙げられる。酸としては、硫酸、塩酸、燐酸などの鉱酸との塩、酢酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、フマール酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩などを挙げることができ、アルカリとしては、ナトリウム、カリウムなどの金属イオン、アルキルアンモニウムなどのアンモニウムイオンを挙げることができる。
本発明の化合物は単一の化合物であっても、あるいは立体異性体の混合物であってもよく、又、これらの水和物もしくは溶媒和物であってもよい。更に、後述する実施例124あるいは125の化合物のように前記式(I)で表される化合物の2量体であってもよい。
【0011】
前記式(I)で表される本発明の化合物の製造方法を以下に説明する。
なお、WSC・HClは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、DCCはジシクロヘキシルカルボジイミド、HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、CANは硝酸セリウム(IV)アンモニウム、TBABはテトラブチルアンモニウムブロマイド及びTMSはトリメチルシリル基を表す。
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは酸素原子を示し、Y及びWは
【化24】

を示し、Zは−CH2−を示し、R1
【化25】

を示し、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム1に示した方法で合成することができる。すなわち、化合物(1)の水酸基をテトラヒドロピラニルで保護した後、ホーナーエモンズ反応により化合物(2)を得、脱保護した後に二重結合を還元、酸存在下で閉環し化合物(3)のcis体とtrans体の混合物を得ることができる。この混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物(3)のcis体あるいはtrans体を単一化合物として得ることができる。
【化26】

式中、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義である。
【0012】
また、前記の化合物(3)は反応スキーム2に示した方法でも合成することができる。すなわち、化合物(4)をワインレブアミド化後、アリール化し化合物(5)を得、次いで酢酸を導入後、ケトンの還元、エステルの加水分解を順次行い得られた化合物(6)を、塩酸存在下、室温で閉環することにより化合物(3)のcis体とtrans体の混合物を得ることができる。
【化27】

式中、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義であり、R30は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
なお、ここで得られた化合物(3)のcis体とtrans体の混合物を酢酸存在下、加熱することにより異性化させ化合物(3)のtrans体を単一化合物として得ることができる。
【0013】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、X及びZは酸素原子を示し、Y及びWは
【化28】

を示し、R1
【化29】

を示し、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム3に示したように、化合物(7)を還元後、トリホスゲンと反応させることにより化合物(9)をcis体とtrans体の混合物として得ることができる。この混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物(9)のcis体あるいはtrans体を単一化合物として得ることができる。
【化30】

式中、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義である。
【0014】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、X及びZは−NH−を示し、Y及びWは
【化31】

を示し、R1
【化32】

を示し、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム4に示したように、反応スキーム3で得られた化合物(8)をメシル化後アジド化し、アジドを還元し得られたジアミン化合物を、トリホスゲンと反応させることにより、化合物(10)をcis体とtrans体の混合物として得ることができる。この混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物(10)のcis体あるいはtrans体を単一化合物として得ることができる。
【化33】

式中、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義である。
【0015】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは酸素原子を示し、Zは−NH−を示し、Y及びWは
【化34】

を示し、R1
【化35】

を示し、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム5に示したように、化合物(1)をオキシム化後、オキシムを還元し得られた化合物を、トリホスゲンと反応させることにより、化合物(11)をcis体とtrans体の混合物として得ることができる。この混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物(11)のcis体あるいはtrans体を単一化合物として得ることができる。
【化36】

式中、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義である。
【0016】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、X及びZは−NH−を示し、Yは
【化37】

を示し、Wは
【化38】

を示し、R1
【化39】

を示し、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム6に示したように、化合物(12)を置換ベンズアルデヒドと反応させることにより、化合物(13)として得ることができる。
【化40】

式中、Ar、R10、R11及びR12は前記と同意義である。
【0017】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは−NH−を示し、Y及びWは
【化41】

を示し、Zは−CH2−を示し、R1は−CO−NR67を示し、Ar、R6及びR7は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム7に示した方法で合成することができる。すなわち、化合物(14)をイミノ化後、無水コハク酸と反応させラクタム誘導体とし、アミド化、脱保護を順次行い化合物(16)を得ることができる。
【化42】

式中、Ar、R6及びR7は前記と同意義である。
【0018】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは−CH2−を示し、Yは
【化43】

を示し、Zは−NH−を示し、Wは
【化44】

を示し、R1は−CO−NHR6を示し、Ar及びR6は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム8に示したように、化合物(17)をヒドラジンと反応後、イソシアネート誘導体によりアミド化し化合物(18)として得ることができる。
【化45】

式中、Ar及びR6は前記と同意義である。
【0019】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは−NH−を示し、Yは
【化46】

を示し、Zは−CH2−を示し、Wは
【化47】

を示し、R1は−CO−NR67を示し、Ar、R6及びR7は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム9に示したように、化合物(19)をジエチルマレイン酸と反応させ化合物(20)を得、エステルを加水分解後、アミド化し化合物(21)として得ることができる。
【化48】

式中、Ar、R6及びR7は前記と同意義である。
【0020】
本発明における前記式(I)において、Aは−CH2−を示しXは酸素原子を示し、Y及びWは
【化49】

を示し、Zは-CH2-を示し、R1は−CO−NR67を示し、Ar、R6及びR7は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム10に示したように、化合物(14)を4−ブロモ酪酸エチルと反応させ化合物(22)を得、エステルを加水分解後、アミド化し化合物(23)として得ることができる。
【化50】

式中、Ar、R6及びR7は前記と同意義である。
【0021】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、X及びZは−CH2−を示し、Yは
【化51】

を示し、Wは
【化52】

を示し、R1は−NHCO−R9を示し、R9
【化53】


を示し、R1
【化54】

を示し、Arは前記と同意義である化合物群は、反応スキーム11に示したように、化合物(24)をアミド化し化合物(25)を得、脱保護後、アリール化し、水酸基を酸化することにより化合物(26)として得ることができる。
【化55】

式中、Ar及びR30は前記と同意義である。
【0022】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは酸素原子を示し、Zは−CH2−を示し、Y及びWは
【化56】

を示し、R1は−CO−NR67、−CO2−R8、−NHCO−R9
【化57】

又は
【化58】

を示し、Ar、R6、R7、R8、R9及びR13は前記と同意義である化合物群を合成するための原料は、反応スキーム12に示したように、化合物(14)と無水コハク酸を反応させることにより、化合物(27)をcis体とtrans体の混合物として得ることができる。化合物(27)の混合物を、酸存在下で加熱することによりcis体をtrans体へ異性化させた後、エステル化し化合物(28)を得、シリカゲルクロマトグラフィーで分離精製後、加水分解することで、trans体(29)を単一化合物として得ることができる。さらに、化合物(29)を光学活性な1−フェネチルアミンなどとの塩を作製し光学分割することにより、光学活性な化合物(29)を得ることができる。
【化59】

式中、Arは前記と同意義である。
【0023】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは酸素原子を示し、Zは−CH2−を示し、Y及びWは
【化60】

を示し、R1は−NHCO−R9を示し、R9
【化61】


又は
【化62】

を示し、Arは前記と同意義である化合物群は、反応スキーム13に示したように、反応スキーム12で得られた化合物(27)をクルチウス転位後、脱保護し化合物(31)を得、次いでトリホスゲン存在下アミンと反応させることで、化合物(32)あるいは化合物(33)として得ることができる。
【化63】

式中、Arは前記と同意義である。
【0024】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは酸素原子を示し、Zは−CH2−を示し、Y及びWは
【化64】

を示し、R1は−NHCO−R9を示し、R9
【化65】


を示し、Arは前記と同意義である化合物群は、反応スキーム14に示したように、反応スキーム13で得られた化合物(31)をアミド化後、脱保護し、次いで還元的にアミンをベンジル化することで、化合物(35)として得ることができる。
【化66】

式中、Arは前記と同意義である。
【0025】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは酸素原子を示し、Zは−CH2−を示し、Y及びWは
【化67】

を示し、R1
【化68】

を示し、Arは前記と同意義である化合物群は、反応スキーム15に示したように、反応スキーム12で得られた化合物(27)を1炭素増炭後アミド化することで、化合物(36)として得ることができる。
【化69】

式中、Arは前記と同意義である。
【0026】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは酸素原子を示し、Zは−CH2−を示し、Y及びWは
【化70】

を示し、R1は−CO2−R8を示し、Ar及びR8は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム16に示したように、反応スキーム12で得られた化合物(27)をエステル化することで、化合物(37)をcis体とtrans体の混合物として得ることができる。この混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物(37)のcis体あるいはtrans体を単一化合物として得ることができる。
【化71】

式中、Ar及びR8は前記と同意義である。
【0027】
本発明における前記式(I)において、Aは−CO−を示し、Xは酸素原子を示し、Zは−CH2−を示し、Y及びWは
【化72】

を示し、R1は−CO−NR67を示し、Ar、R6及びR7は前記と同意義である化合物群は、反応スキーム17に示したように、反応スキーム12で得られた化合物(27)をアミド化することで、化合物(38)をcis体とtrans体の混合物として得ることができる。この混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより分離精製することで、化合物(37)のcis体あるいはtrans体を単一化合物として得ることができる。また、反応スキーム17において、反応出発物質に反応スキーム12で得られた光学活性な化合物(29)を用いることにより光学活性な化合物(38)を得ることができる。
【化73】

式中、Ar、R6及びR7は前記と同意義である。
【0028】
以下に、参考例、実施例及び試験例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(参考例1)
(−)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸の合成
(1)2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸の合成
4−クロロベンズアルデヒド(163g)、無水コハク酸(174g)に塩化亜鉛(II)(339g)のクロロホルム(1L)懸濁液に、トリエチルアミン(340mL)を室温で加え、5日間攪拌した。反応液に2N塩酸を加え、酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸 (237g)をcis体とtrans体の混合物の無色粉末として得た。
1HNMR (300MHz, DMSO-d6) cis体とtrans体の混合物
δ 2.73-3.01 (m, 2H), 3.38-3.77 (m, 1H), 5.60, 5.85 (d, J =8.1Hz, each 1/2H), 7.28-7.52 (m, 4H)
【0029】
(2)トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸メチルの合成
参考例1(1)で得られた化合物(237g)のトリフルオロ酢酸(971mL)溶液に濃硫酸(31mL)を加え、40分間加熱還流した。反応液に食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸(213g)を得た。
ここで得られた化合物(213g)のクロロホルム−メタノール(1:1混合、1.3L)溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(255g)を加え一晩攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和重曹水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸メチル(163g)を無色粉末として得た。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.83-3.07 (m, 2H), 3.22-3.38 (m, 1H), 3.77 (s, 3H), 5.61 (d, J =7.5Hz, 1H), 7.27-7.41 (m, 4H)
(3)トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸エチルの合成
参考例1(2)に示した方法においてエタノールと反応させ、表題化合物トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸エチルを得た。
1HNMR (200MHz, CDCl3) δ(ppm): 1.28 (t, J=7.0 Hz, 3 H), 2.77-3.11 (m, 2 H), 3.16-3.36 (m, 1 H), 4.23 (q, J=7.0 Hz, 2 H), 5.61 (d, J=7.5 Hz, 1 H), 7.26-7.44 (m, 4 H)
【0030】
(4)トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸の合成
参考例1(2)で得られた化合物(163g)の1.4−ジオキサン(960mL)液に濃塩酸(648mL)を加え、1時間還流した。反応液に食塩水を加え、飽和重曹水で抽出した。水層に濃塩酸を加え酸性とし、酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸(94.0g)を無色粉末として得た。
1HNMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 2.93 (dd, J =9.40, 1.8Hz, 2H), 3.40-3.54 (m, 1H), 5.60 (d, J =8.1Hz, 1H), 7.36-7.60 (m, 4H), 13.00 (br. s, 1H)
【0031】
(5)(−)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸の合成
参考例1(4)で得られた化合物(91.0g)の酢酸エチル−メタノール(1:1混合、1.3L)溶液に(R)−1−フェネチルアミンを加えた。生じた結晶を同溶媒より2回再結晶し、(−)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸(R)−1−フェネチルアミン塩(18.0g)を無色粉末として得た。
1HNMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.44 (d, J =6.8Hz, 3H), 2.66-3.04 (m, 3H), 4.22-4.34 (m, 1H), 5.55 (d, J =7.2Hz, 1H), 7.27-7.51 (m, 9H)
【0032】
また、この化合物を一部とり、2N塩酸で中和した後に、酢酸エチルにより抽出し、表題化合物(−)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸を得、旋光度を測定した。
[α]D20 = -81.9 (c 1.00, MeOH)
【0033】
(参考例2)
(−)−2−(4−シアノフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸の合成
4−シアノベンズアルデヒドを原料として、参考例1に示した方法により、(−)−2−(4−シアノフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸 (R)−1−フェネチルアミン塩を得た。
1HNMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.47 (d, J =6.7Hz, 3H), 2.67-3.02 (m, 3H), 4.32 (q, J =6.7Hz, 1H), 5.63 (d, J =7.3Hz, 1H), 7.28-7.43 (m, 3H), 7.45-7.52 (m, 2H), 7.58 (d, J =8.2Hz, 2H), 7.86 (d, J =8.2Hz, 2H)
【0034】
また、この化合物を一部とり、2N塩酸で中和した後に、酢酸エチルにより抽出し、表題化合物(−)−2−(4−シアノフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸を得、旋光度を測定した。
[α]D20 = -83.3 (c 1.00, MeOH)
【0035】
(参考例3)
(−)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸の合成
4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを原料として、参考例1に示した方法により、(−)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸 (R)−1−(ナフタレン−1−イル)エタンアミン塩を得た。
1HNMR (300 MHz, DMSO-d6) δ1.57 (d, J =6.7Hz, 3H), 2.66-2.91 (m, 2H), 2.94-3.07 (m, 1H), 5.19 (q, J =6.7Hz, 1H), 5.64 (d, J =7.2Hz, 1H), 7.50 - 7.65 (m, 5H), 7.68-7.80 (m, 3H), 7.91 (d, J =8.2Hz, 1H), 7.94-8.01 (m, 1H), 8.11-8.20 (m, 1H)
【0036】
また、この化合物を一部とり、2N塩酸で中和した後に、酢酸エチルにより抽出し、表題化合物(−)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボン酸を得、旋光度を測定した。
[α]D20 = -54.6 (c 1.00, MeOH)
【0037】
(参考例4)
1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−アミン塩酸塩の合成
4−(t−ブトキシカルボニル)−アミノピペリジン(30.0g)のジメチルホルムアミド(300mL)溶液に2,3,5−トリフルオロベンズアルデヒド(21mL)の酢酸(25mL)溶液を加え、室温下2時間攪拌した。次いで、反応液にナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(92.0g)を加え、室温下一晩攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで2回抽出し、有機層を飽和重曹水で3回洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(33%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、[1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−イル)カルバミン酸t−ブチル(44.0g)を無色油状物として得た。
ここで得られた化合物(44.0g)のメタノール(360mL)溶液に4N塩化水素−1,4−ジオキサン溶液(112mL)を加え、3時間加熱還流した。反応液に酢酸エチルを加え、析出した結晶を減圧乾燥し表題化合物1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−アミン2塩酸塩水和物(30.0g)を無色粉末として得た。
1HNMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.85-2.32 (m, 4H), 2.89-3.60 (m, 4H), 4.17-4.46 (m, 2H), 7.57-7.82 (m, 2H), 8.30-8.62 (m, 2H)
【0038】
(実施例1)トランス−4,5−ジ(4−メトキシフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン及び(実施例2)シス−4,5−ジ(4−メトキシフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの合成
4,4’−ジメトキシベンゾイン(10.0g)のクロロホルム50mL溶液にジヒドロピラン(4.4mL)、ピリジニウムp−トシル酸(0.46g)を加え、室温下一晩攪拌した。反応液に水を加え有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し1,2−ジ(4−メトキシフェニル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エタノン(16.3g)を淡黄色油状物質として得た。
次いで、60%油性水素化ナトリウムをヘキサンで洗浄後、テトラヒドロフラン(50mL)を加え、氷冷下ジエチルホスホノ酢酸 エチル(14.6mL)を加え、室温下30分間攪拌した。同温度下、前反応で得られた化合物(13.1g)のテトラヒドロフラン(15mL)を加え、8時間加熱還流した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、エチル 3,4−ジ(4−メトキシフェニル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ) −2−ブテネート(15.1g)を淡橙色油状物質として得た。
ここで得られた化合物(5.00g)のテトラヒドロフラン(25mL)と水(2.5mL)溶液にp−トシル酸(1.00g)を加え、9時間過熱還流した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、エチル 3,4−ジ(4−メトキシフェニル)−4−ヒドロキシ−2−ブテネート(2.89g)を無色油状物質として得た。
ここで得られた化合物(2.89g)のエタノール(29mL)溶液に10%Pd−C(0.29g)を加え、水素気流下、室温で一晩攪拌した。反応液をセライトろ過し、溶媒を減圧留去し3,4−ジ(4−メトキシフェニル)−4−ヒドロキシ酪酸エチル(2.80g)を無色油状物質として得た。
ここで得られた化合物(1.00g)の酢酸エチル(10mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル溶液(1.0mL)を加え、室温下3日間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、18%酢酸エチル−ヘキサン溶出部より実施例1のトランス−4,5−ジ(4−メトキシフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン(0.75g)を無色油状物質として得、20%酢酸エチル−ヘキサン溶出部より実施例2のシス−4,5−ジ(4−メトキシフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン(0.43g)を無色油状物質として得た。
【0039】
(実施例3)トランス−4,5−ジ(4−メチルフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン及び(実施例4)シス−4,5−ジ(4−メチルフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの合成
4,4’−ジメチルベンゾインを原料として、実施例1,2に示した方法により、実施例3のトランス−4,5−ジ(4−メチルフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン及び実施例4のシス−4,5−ジ(4−メチルフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンを得た。
【0040】
(実施例5)
シス−4,5−ジ(4−クロロフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの合成
4,4’−ジクロロベンゾインを原料として、実施例1,2に示した方法により、表題化合物シス−4,5−ジ(4−クロロフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンを得た。
【0041】
(実施例6)
トランス−4−(4−クロロフェニル)−5−(4−メチルフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの合成
(1)2−(4−クロロフェニル)−1−(4−メチルフェニル)エタノンの合成
4−クロロフェニル酢酸(10.0g)のN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)溶液に、N,O―ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(6.90g)、トリエチルアミン(11mL)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(10.3g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(14.6g)を加え、室温下24時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し2−(4−クロロフェニル)−N−メトキシ−N−メチルアセトアミド(12.3g)を無色粉末として得た。
ここで得られた化合物(2.00g)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液に氷冷下、1M p−トリルマグネシウムブロマイド−テトラヒドロフラン溶液(28mL)を滴下し、同温度下5時間攪拌した。反応液に氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、表題化合物2−(4−クロロフェニル)−1−(4−メチルフェニル)エタノン(1.30g)を無色粉末として得た。
1H NMR (200 MHz,CDCl3) δ 2.41 (s, 3 H), 4.23 (s, 2 H), 7.12 - 7.36 (m, 6 H), 7.83 - 7.96 (m, 2 H)
【0042】
(2)3−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニル)酪酸の合成
実施例6(1)で得られた化合物(1.30g)のジメチルスルホキシド(20mL)溶液に窒素置換下、60%油性水素化ナトリウム(0.32g)を加え、室温下30分間攪拌した後にブロモ酢酸エチル(0.7mL)を加え、室温下24時間攪拌した。反応液に氷冷下、1M塩酸、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去する事で3−(4−クロロフェニル)−4−(4−メチルフェニル)−4−オキソブタン酸エチル(1.90g)を橙色油状物質として得た。
ここで得られた化合物(1.75g)のエタノール(20mL)溶液に氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム(0.40g)を加え、同温度下2.5時間攪拌した。反応液に氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、3−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニル)酪酸エチル(1.70g)を淡黄色油状物質として得た。
ここで得られた化合物(1.70g)のエタノール(20mL)、水(5mL)混合溶液に水酸化ナトリウム(0.32g)を加え、室温下24時間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去した後、水、酢酸エチルを加え、水層のみを分離した。得られた水層を1M塩酸でpH=1に調整した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し表題化合物3−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニル)ブタン酸(1.10g)を無色粉末として得た。
1H NMR (200 MHz, DMSO-d6) δ 2.25 (s, 3 H), 3.16 - 3.38 (m, 2 H), 4.67 - 4.78 (m, 1 H), 5.24 - 5.37 (m, 1 H), 6.93 - 7.30 (m, 8 H)
【0043】
(3)トランス−4−(4−クロロフェニル)−5−(4−メチルフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの合成
実施例6(2)で得られた化合物(1.10g)の酢酸エチル(10mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル溶液(10mL)を加え、室温下24時間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去しシス−4−(4−クロロフェニル)−5−(4−メチルフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン(1.00g)を無色油状物質として得た。
ここで得られた化合物(1.00g)の酢酸(10mL)、水(1mL)混合溶液を24時間加熱還流した。室温下放冷後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、表題化合物トランス−4−(4−クロロフェニル)−5−(4−メチルフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン(0.45g)を無色粉末として得た。
【0044】
(実施例7)
トランス−4−(4−クロロフェニル)−5−p−トリル−1,3−ジオキソラン−2−オンの合成
1−(4−クロロフェニル)−5−p−トリルエタン−1,2−ジオン(10.0g)のメタノール(100mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(1.46g)を加え、氷冷下2時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、1-(4-クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジオールのシス体とトランス体の混合物としての無色粉末(10.4g)を得た。
ここで得られた化合物(10.4g)のクロロホルム(80mL)溶液に、氷冷下トリホスゲン(4.60g)のクロロホルム(20mL)溶液を滴下し、同温度下1.5時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、表題化合物トランス−4−(4−クロロフェニル)−5−p−トリル−1,3−ジオキソラン−2−オン(2.25g)を無色油状物として得た。
【0045】
(実施例8)
トランス−4−(4−クロロフェニル)−5−p−トリルイミダゾリジン−2−オンの合成
実施例7で得られた化合物(2.77g)のメタノール(14mL)、水(1.5mL)溶液に炭酸カリウム(1.46g)を加え、室温下1時間攪拌した。反応液に水を加え、析出した結晶を濾取後、水で洗浄しトランス−1-(4-クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジオール(2.37g)を無色粉末として得た。
ここで得られた化合物(2.37g)のクロロホルム(24mL)溶液に、トリエチルアミン(2.8mL)を加え、次いで氷冷下メタンスルフォニルクロライド(1.5mL)を滴下し、同温度下1時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、トランス−1-(4-クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジイル ジメタンスルホネート(3.87g)を無色アモルファスとして得た。
【0046】
ここで得られた化合物(3.87g)のジメチルホルムアミド(20mL)溶液に、アジ化ナトリウム(1.41g)を加え、120℃油浴上で2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(7%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、トランス−1-(4-クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジアジド(1.50g)を無色油状物として得た。
ここで得られた化合物(1.50g)のエタノール(15mL)溶液に、10%Pd-C(0.15g)を加え、水素気流下室温で5時間攪拌後、セライト濾過し溶媒留去した。残留物に10%塩酸を加え酢酸エチルで洗浄後、水層に水酸化カリウムを加え中和し酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、トランス−1-(4-クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジアミン(0.88g)を黄色粉末として得た。
ここで得られた化合物(0.87g)のクロロホルム(10mL)溶液に、トリエチルアミン(1.2ml)を加え、次いで氷冷下トリホスゲン(0.40g)を加え、同温度下2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をクロロホルム−へキサンより再結晶し、表題化合物トランス−4−(4−クロロフェニル)−5−p−トリルイミダゾリジン−2−オン(0.27g)を無色粉末として得た。
【0047】
(実施例9)
シス−4−(4−クロロフェニル)−5−p−トリルイミダゾリジン−2−オンの合成
1−(4−クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジオン(10.0g)のメタノール(100mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(1.46g)を加え、氷冷下2時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、1-(4-クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジオールのシス体とトランス体の混合物(10.4g)としての無色粉末を得た。
ここで得られた化合物(1.54g)のクロロホルム(16mL)溶液に、トリエチルアミン(2.0mL)を加え、次いで氷冷下メタンスルフォニルクロライド(1.0mL)を滴下し、同温度下30分間攪拌した。反応液に水を加え、析出した結晶を濾取後、水で洗浄しシス−1-(4-クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−−ジイル ジメタンスルホネート(2.12g)を無色粉末として得た。
【0048】
同様にして合成したシス−1−(4−クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジイル ジメタンスルホネート(2.25g)のジメチルホルムアミド(20mL)溶液に、アジ化ナトリウム(0.84g)を加え、120℃油浴上で2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、シス−1-(4-クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジアジド(0.75g)を淡黄色粉末として得た。
ここで得られた化合物(0.75g)のエタノール(15mL)溶液に、10%Pd-C(0.08g)を加え、水素気流下室温で一晩攪拌後、セライト濾過、溶媒留去し、シス−1-(4-クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジアミン(0.60g)を緑色粉末として得た。
ここで得られた化合物(0.60g)のクロロホルム(10mL)溶液に、トリエチルアミン(0.8ml)を加え、次いで氷冷下トリホスゲン(0.27g)を加え、同温度下2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をクロロホルムで洗浄し、表題化合物シス−4−(4−クロロフェニル)−5−p−トリルイミダゾリジン−2−オン(0.22g)を無色粉末として得た。
【0049】
(実施例10)
シス−4,5−ジ(p−トリル)イミダゾリジン−2−オンの合成
1−(4−クロロフェニル)−2−p−トリルエタン−1,2−ジオンを原料として、実施例9に示した方法により、表題化合物シス−4,5−ジ(p−トリル)イミダゾリジン−2−オンを得た。
【0050】
(実施例11)
4,5−ジ(p−トリル)オキサゾリジン−2−オンの合成
2−ヒドロキシ−1,2−ジ(p−トリル)エタノン(2.00g)のエタノール(20mL)溶液に、ヒドロキシアミン塩酸塩(0.70g)、酢酸ナトリウム(0.82g)を加え、1時間加熱還流した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、2−ヒドロキシ−1,2−ジ(p−トリル)エタノン(2.49g)を無色油状物として得た。
ここで得られた化合物(2.34g)のテトラヒドロフラン(25mL)溶液に、氷冷下水素化リチウムアルミニウム(0.70g)を加え、100℃油浴上で3時間攪拌した。反応液に、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えセライト濾過し、10%塩酸を加え中和し酢酸エチルで洗浄した。水層に重曹を加え中和し、酢酸エチルで抽出後、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、2−アミノ−1,2−ジ(p−トリル)エタノール(0.59g)を淡褐色粉末として得た。
ここで得られた化合物(0.58g)のクロロホルム(10mL)溶液に、トリエチルアミン(0.4ml)を加え、次いで氷冷下トリホスゲン(0.28g)を加え、同温度下1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し有機層を水、10%塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(35%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、表題化合物4,5−ジ(p−トリル)オキサゾリジン−2−オン(0.35g)を無色粉末として得た。
【0051】
(実施例12)
5−クロロフェニル−1−フェニル−1,2,4−トリアゾリジン−3−オンの合成
2−フェニルヒドラジンカルボキサミド(1.00g)のエタノール(20mL)溶液に、p−クロロベンズアルデヒド(1.12g)、p-トルエンスルホン酸(0.13g)を加え、室温下一晩攪拌した。反応後、溶媒留去し酢酸エチルを加え、飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、表題化合物5−クロロフェニル−1−フェニル−1,2,4−トリアゾリジン−3−オン(0.27g)を無色粉末として得た。
【0052】
(実施例13)
5−メチルフェニル−1−フェニル−1,2,4−トリアゾリジン−3−オンの合成
p−トリルアルデヒドを原料として、実施例12に示した方法により、表題化合物5−メチルフェニル−1−フェニル−1,2,4−トリアゾリジン−3−オンを得た。
【0053】
(実施例14)
5−メトキシフェニル−1−フェニル−1,2,4−トリアゾリジン−3−オンの合成
p−メトキシベンズアルデヒドを原料として、実施例12に示した方法により、表題化合物5−メトキシフェニル−1−フェニル−1,2,4−トリアゾリジン−3−オンを得た。
【0054】
(実施例15)
トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピロリジン−3−カルボキサミドの合成
(1)N−[(4−クロロフェニル)メチリデン]−1−(4−メトキシフェニル)メタンアミンの合成
4−クロロベンズアルデヒド(10.0g)のベンゼン溶液(40mL)に1−(4−メトキシフェニル)メタンアミン(10.7g)を加え、19時間加熱還流した。室温下放冷後、反応液を減圧下留去し表題化合物N−[(4−クロロフェニル)メチリデン]−1−(4−メトキシフェニル)メタンアミン(18.5g)を淡黄色粉末として得た。
1HNMR (200 MHz, CDCl3) δ3.80 (s, 3 H), 4.75 (s, 2 H), 6.78 - 6.98 (m, 2 H), 7.17 - 7.30 (m, 2 H), 7.31 - 7.44 (m, 2 H), 7.61 - 7.77 (m, 2 H), 8.32 (s, 1 H)
【0055】
(2)トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピロリジン−3−カルボキサミドの合成
実施例15(1)で得られた化合物(10.4g)のベンゼン溶液(25mL)に無水コハク酸(4.00g)を加え、18時間加熱還流した。室温下放冷後、反応液を減圧下留去しトランス−2−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)−5−オキソピロリジン−3−カルボン酸(13.7g)を黄色粉末として得た。
ここで得られた化合物(2.00g)のN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)溶液に4−アミノ−1−ベンジルピペリジン(1.04g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.80g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.24g)を加え、室温下24時間攪拌した。反応液に重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(6%メタノール−クロロホルム)で精製し、トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)−5−オキソピロリジン−3−カルボキサミド(1.19g)を得た。
【0056】
ここで得られた化合物(1.19g)のアセトニトリル(10mL)溶液に水(0.2mL)、硝酸セリウム(IV)アンモニウム(6.13g)を加え、室温下7時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、生じた不溶物を濾別し、濾液を減圧下留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(14%メタノール−クロロホルム)で精製し、表題化合物トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピロリジン−3−カルボキサミド(0.10g)を薄茶色粉末として得た。
1HNMR (200 MHz, CDCl3) δ 1.40-2.03 (m, 4H), 2.23 (t, J =12.1Hz, 2H), 2.51-3.04 (m, 5H), 3.56-3.71 (m, 2H), 3.90 (br. s., 1H), 4.88 (d, J =7.0Hz, 1H), 5.43 (br. s., 1H), 5.69 (s, 1H), 7.16-7.46 (m, 9H)
【0057】
(実施例16)
トランス−N−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−2−フェニル−5−オキソピロリジン−3−カルボキサミドの合成
ベンズアルデヒドを原料として、実施例15に示した方法により、表題化合物トランス−N−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−2−フェニル−5−オキソピロリジン−3−カルボキサミドを得た。
【0058】
(実施例17)
トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−フェニル−5−オキソピロリジン−3−カルボキサミドの合成
ベンズアルデヒドを原料として、実施例15に示した方法により、表題化合物トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−フェニル−5−オキソピロリジン−3−カルボキサミドを得た。
【0059】
(実施例18)
トランス−N−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−2−フェニル−5−オキソピロリジン−3−カルボキサミドの合成
実施例15に合成中間体として示したトランス−2−(4−クロロフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)−5−オキソピロリジン−3−カルボン酸と2−(4−クロロフェニル)エチルアミンを、実施例15に示した方法により縮合、脱保護し、表題化合物トランス−N−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−2−フェニル−5−オキソピロリジン−3−カルボキサミドを得た。
【0060】
(実施例19)
5−(4−メトキシフェニル)−3−オキソ−N−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピラゾリジン−1−カルボキサミドの合成
p−メトキシけい皮酸(5.00g)のトルエン(25mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(2.8mL)を加え、100℃油浴上10時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残留物を酢酸エチルで洗浄し5−(4−メトキシフェニル)ピラゾリジン−3−オン(1.16g)を淡褐色粉末として得た。
ここで得られた化合物(0.30g)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)、テトラヒドロフラン(9mL)の混合溶液に、p−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(0.35mL)を加え、室温下30分間攪拌した。反応液に、水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をクロロホルム洗浄し、表題化合物5−(4−メトキシフェニル)−3−オキソ−N−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ピラゾリジン−1−カルボキサミド(0.49g)を無色粉末として得た。
【0061】
(実施例20)
N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド マレイン酸塩の合成
(1)2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボン酸エチルエステルの合成
20%ナトリウムエトキシド−エタノール溶液(9.2mL)へp−クロロフェニルヒドラジン塩酸(2.20g)を加え、室温下20分間攪拌した。反応液に、ジエチルマレイン酸(2.00g)を加え同温度下6時間攪拌した。反応後、溶媒留去し水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、5%塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボン酸エチルエステル(0.74g)を褐色粉末として得た。
【0062】
(2)N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド マレイン酸塩の合成
実施例20(1)で得られた化合物(1.01g)のジオキサン(5mL)溶液に、濃塩酸(4mL)を加え、50分間加熱還流した。反応後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボン酸(0.76g)を褐色アモルファスとして得た。
ここで得られた化合物(0.45g)のクロロホルム(5mL)溶液に、4−アミノ−1−ベンジルピペラジン(0.43g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.43g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.30g)を加え、室温下一晩攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール−クロロホルム)で精製し、N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド(0.38g)を褐色粉末として得た。
ここで得られた化合物(0.38g)の酢酸エチル(2mL)、エタノール(2mL)の混合溶液にマレイン酸(0.11g)の酢酸エチル(2mL)溶液を加え、室温下30分間攪拌拌した。エーテル(5mL)を加え析出した結晶を減圧乾燥し、表題化合物N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド マレイン酸塩(0.32g)を無色粉末として得た。
【0063】
(実施例21)
N−[1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド マレイン酸塩の合成
実施例20に合成中間体として示した2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボン酸と、参考例4で得られた化合物を、実施例15に示した方法により縮合後、マレイン酸塩とし表題化合物N−[1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソピラゾリジン−3−カルボキサミド マレイン酸塩を得た。
【0064】
(実施例22)
トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボキサミド塩酸塩の合成
(1)トランス−2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸エチルの合成
4−ブロモ酪酸エチル(4.00g)と4−クロロベンズアルデヒド(3.50g)のテトラヒドロフラン(41mL)溶液に、t−ブトキシカリウム(4.14g)を4回に分けて−40℃で加え、同温度下2時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、トランス−2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸エチル(1.30g)を無色油状物として得た。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.25 (t, J =7.2Hz, 3H), 2.21-2.41 (m, 2H), 2.83-2.95 (m, 1H), 3.97-4.09 (m, 1H), 4.11-4.25 (m, 3H), 5.01 (d, J =7.3Hz, 1H), 7.27-7.34 (m, 4H)
【0065】
(2)トランス−2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸の合成
実施例22(1)で得られた化合物(1.30g)のメタノール−水混合4mL溶液に室温下水酸化リチウム一水和物(0.64g)を加え、同温度下2時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、飽和重曹水で抽出した。有機層を除去後、水層に2N塩酸を加え酸性とし、酢酸エチルで2回抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、トランス−2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸(1.10g)を無色油状物として得た。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.24-2.45 (m, 2H), 2.89-3.04 (m, 1H), 3.98-4.25 (m, 2H), 5.07 (d, J =7.0Hz, 1H), 7.23-7.39 (m, 4H), 10.07 (br. s, 1H)
【0066】
(3)トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボキサミド塩酸塩の合成
実施例22(2)で得られた化合物(0.50g)、4−アミノ−1−ベンジルピペリジン(0.54mL)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.51g)のクロロホルム(4.6mL)溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.64g)を加え室温下一晩攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、クロロホルムで3回抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後に、酢酸エチルに溶解させ、4N塩化水素−酢酸エチル溶液を加え結晶を析出させた。結晶を濾取後、減圧乾燥させ、表題化合物トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボキサミド塩酸塩(0.70g)を無色粉末として得た。
【0067】
(実施例23)
トランス−N−{[1−(4−クロロベンジル)ピペラジン]−4−イル}−2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボキサミド塩酸塩の合成
実施例22に合成中間体として示したトランス−2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸と1−(4−クロロベンジル)ピペラジンを、実施例22に示した方法により縮合後、塩酸塩とし表題化合物トランス−N−{[1−(4−クロロベンジル)ピペラジン]−4−イル}−2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボキサミド塩酸塩を得た。
【0068】
(実施例24)
トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−N−メチル−テトラヒドロフラン−3−カルボキサミドの合成
実施例22に合成中間体として示したトランス−2−(4−クロロフェニル)テトラヒドロフラン−3−カルボン酸と4−メチルアミノ−1−ベンジルピペリジンを、実施例22に示した方法により縮合し、表題化合物トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−N−メチル−テトラヒドロフラン−3−カルボキサミドを得た。
【0069】
(実施例25)
N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−オキソ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−L−プロリンアミドの合成
(1)(2S,4R)−2−[(1−ベンジルピペリジン−4−イル)カルバモイル]−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルの合成
(4R)−1−(t−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシ−L−プロリン(2.80g)のN,N−ジメチルホルムアミド(30mL)溶液に4−アミノ−1−ベンジルピペリジン(2.80g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.1g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(3.00g)を加え、室温下24時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%メタノール−クロロホルム)で精製し、表題化合物(2S,4R)−2−[(1−ベンジルピペリジン−4−イル)カルバモイル]−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸t−ブチル(3.70g)を無色粉末として得た。
1H NMR (200 MHz,CDCl3) δ 1.37 - 1.51 (m, 11 H), 1.63 - 2.22 (m, 8 H), 2.67 - 2.89 (m, 2 H), 3.41 - 3.55 (m, 3 H), 3.67 - 3.87 (m, 1 H), 4.26 - 4.56 (m, 2 H), 7.17 - 7.37 (m, 5 H)
【0070】
(2)(4R)−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−ヒドロキシ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−L−プロリンアミドの合成
実施例25(1)で得られた(2S,4R)−2−[(1−ベンジルピペリジン−4−イル)カルバモイル]−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸t−ブチル(3.7g)のメタノール(25mL)溶液に4M塩化水素−1,4−ジオキサン(6mL)を加え、1時間加熱還流した。反応液を減圧下溶媒留去し、水、酢酸エチルを加え、水層のみを分離した。得られた水層を2M水酸化ナトリウム水溶液でpH=12に調整した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し(4R)−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−ヒドロキシ−L−プロリンアミド(1.5g)を無色粉末として得た。
ここで得られた化合物(1.0g)のトルエン(10mL)懸濁溶液に4−トリフルオロメチルフェニルブロマイド(0.5mL)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.30g)、(±)−2,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1−ビナフチル(0.21g)、炭酸セシウム(2.2g)を加え、70℃で11時間攪拌した。反応液をセライトろ過、濾液を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2%メタノール−クロロホルム)で精製し、表題化合物(4R)−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−ヒドロキシ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−L−プロリンアミド(0.13g)を茶褐色アモルファスとして得た。
1H NMR (200 MHz,CDCl3) δ 1.28 - 1.45 (m, 2 H), 1.67 - 1.89 (m, 2 H), 1.98 - 2.16 (m, 2 H), 2.23 - 2.53 (m, 2 H), 2.58 - 2.80 (m, 2 H), 3.28 - 3.40 (m, 1 H), 3.43 (s, 2 H), 3.68 - 3.84 (m, 1 H), 3.84 - 3.96 (m, 1 H), 4.15 - 4.29 (m, 1 H), 4.51 - 4.70 (m, 1 H), 6.03 (d, J=9.3 Hz, 1 H), 6.61 (d, J=8.6 Hz, 2 H), 7.13 - 7.39 (m, 5 H), 7.47 (d, J=8.6 Hz, 2 H)
【0071】
(3)N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−オキソ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−L−プロリンアミドの合成
実施例25(2)で得られた化合物(0.13g)のジメチルスルホキシド(2mL)溶液にデスマーチン試薬(0.28g)を加え、室温下24時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール−クロロホルム)で精製し、表題化合物N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−オキソ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−L−プロリンアミド(60mg)を淡褐色アモルファスとして得た。
【0072】
(実施例26)
1−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−3−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]尿素の合成
(1)[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]カルバミン酸t−ブチルの合成
参考例1(1)で得られた化合物(10.0g)のクロロホルム(50mL)、テトラヒドロフラン(50mL)混合溶液にチオニルクロライド(4.5mL)を加え、2時間加熱還流した。室温下放冷後、反応液を減圧下溶媒留去した。得られた残留物をクロロホルム(50mL)に溶解させ、氷冷下、テトラブチルアンモニウムブロマイド(0.14g)、アジ化ナトリウム(8.20g)、水(5mL)を加え、同温度下1.5時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルム(100mL)を用いて抽出した。抽出した有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別した。得られた濾液にt−ブチルアルコール(80mL)を加え、1.5時間加熱還流した。室温下放冷後、反応液に水を加え、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル−ヘキサン)で精製後、ヘキサン−酢酸エチル系で再結晶し表題化合物[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]カルバミン酸t−ブチル(1.50g)を無色粉末として得た。
1H NMR (200 MHz,CDCl3) δ 1.46 (s, 9 H), 2.44 - 2.54 (m, 1 H), 2.82 - 2.94 (m, 1 H), 4.17 - 4.30 (m, 1 H), 4.84 - 4.96 (m, 1 H), 5.41 - 5.51 (m, 1 H), 7.32 - 7.42 (m, 4 H)
【0073】
(2)トランス−4−アミノ−5−(4−クロロフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン塩酸塩の合成
実施例26(1)で得られた化合物(1.40g)の酢酸エチル(20mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル溶液(5mL)を加え、室温下3日間攪拌した。析出してきた固体を濾取し、減圧加熱乾燥し表題化合物トランス−4−アミノ−5−(4−クロロフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン塩酸塩(1.00g)を無色粉末として得た。
1H NMR (200 MHz, DMSO-d6) δ 2.73 (dd, J=18.6, 3.7 Hz, 1 H), 3.23 (dd, J=18.6, 8.7 Hz, 1 H), 4.03 (dt, J=8.7, 3.7 Hz, 1 H), 5.70 (d, J=3.7 Hz, 1 H), 7.44 - 7.58 (m, 4 H).
【0074】
(3)1−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−3−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]尿素の合成
トリホスゲン(0.24g)のクロロホルム(10mL)溶液に実施例26(2)で得られた化合物(0.50g)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.2mL)のクロロホルム(20mL)溶液を室温下30分間で滴下した。同温度下5分間攪拌した後、4−アミノ−1−ベンジルピペリジン(0.38mL)のクロロホルム(20mL)溶液を室温下10分間で滴下し、同温度下20分間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、同温度下30分間攪拌した後、有機層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し、表題化合物1−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−3−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]尿素(0.43g)を無色アモルファスとして得た。
【0075】
(実施例27)
4−(4−クロロベンジル)−N−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキサミドの合成
実施例26に合成中間体として示したトランス−4−アミノ−5−(4−クロロフェニル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンと(4−クロロベンジル)ピペラジンを、実施例26に示した方法により反応し、表題化合物4−(4−クロロベンジル)−N−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキサミドを得た。
【0076】
(実施例28)
4−(4−トリフルオロベンジル)−N−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキサミドの合成
4−トリフルオロベンズアルデヒドを原料として、参考例1(1)示した方法に続き、実施例26に示した方法により合成し、表題化合物4−(4−トリフルオロベンジル)−N−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキサミドを得た。
【0077】
(実施例29)
1−ベンジル−N−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]ピペリジン−4−カルボキサミド マレイン酸塩の合成
(1)4−{[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]カルバモイル}ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルの合成
実施例26(2)で得られた化合物(1.00g)のクロロホルム(10mL)懸濁溶液にN−Boc−イソニペコチン酸(1.10g)、トリエチルアミン(0.74mL)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.70g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.00g)を加え、室温下24時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し表題化合物4−{[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]カルバモイル}ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチル(1.40g)を無色アモルファスとして得た。
1H NMR (200 MHz,CDCl3) δ 1.46 (s, 9 H), 1.59 - 1.76 (m, 2 H), 1.78 - 1.93 (m, 2 H), 2.23 - 2.41 (m, 1 H), 2.43 - 2.59 (m, 1 H), 2.68 - 3.00 (m, 3 H), 4.00 - 4.29 (m, 2 H), 4.41 - 4.59 (m, 1 H), 5.48 (d, J=2.3 Hz, 1 H), 6.52 (d, J=5.9 Hz, 1 H), 7.27 - 7.56 (m, 4 H)
【0078】
(2)1−ベンジル−N−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]ピペリジン−4−カルボキサミド マレイン酸塩の合成
実施例29(1)で得られた化合物(1.40g)の酢酸エチル(15mL)溶液に4M塩化水素−酢酸エチル溶液(12mL)を加え、室温下6時間攪拌し、反応液を減圧下溶媒留去し無色粉末(0.72g)を得た。ここで得られた無色粉末のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)懸濁溶液にベンズアルデヒド(0.53g)、酢酸(0.57mL)を加え、室温下1時間攪拌した。そこにトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.10g)を加え、室温下24時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し、1−ベンジル−N−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]ピペリジン−4−カルボキサミド(0.72g)を無色粉末として得た。
ここで得られた化合物(0.30g)の酢酸エチル(3mL)溶液にマレイン酸(84mg)の酢酸エチル(2.6mL)溶液を加え、室温下3時間攪拌した。析出した固体を濾取、減圧加熱乾燥し表題化合物1−ベンジル−N−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]ピペリジン−4−カルボキサミド マレイン酸塩(0.29g)を無色粉末として得た。
【0079】
(実施例30)
1−ベンジル−N−[トランス−2−(4−トリフルオロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]ピペリジン−4−カルボキサミド マレイン酸塩の合成
4−トリフルオロベンズアルデヒドを原料として、参考例1(1)に示した方法に続き、実施例29に示した方法により合成し、表題化合物1−ベンジル−N−[トランス−2−(4−トリフルオロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]ピペリジン−4−カルボキサミド マレイン酸塩を得た。
【0080】
(実施例31)
N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]アセトアミドの合成
(1)トランス−5−(4−クロロフェニル)−4−(2−ジアゾアセチル)ジヒドロフラン−2(3H)−オンの合成
参考例1(3)で得られた化合物(1.02g)のクロロホルム(8mL)溶液にオキサリルクロリド(0.55mL)、ジメチルホルムアミド1滴を加え、室温下2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に、テトラヒドロフラン(8mL)に溶解させ、氷冷下でトリメチルシリルジアゾメタン4.3mLを加え、同温度下2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、トランス−5−(4−クロロフェニル)−4−(2−ジアゾアセチル)ジヒドロフラン−2(3H)−オン(0.88g)を黄色油状物として得た。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ(δ): 2.75-2.88 (m, 1H), 3.00-3.26 (m, 2H), 5.16 (s, 1H), 5.54 (d, J =8.2Hz, 1H), 7.24-7.42 (m, 4H)
【0081】
(2)N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]アセトアミドの合成
実施例31(1)で得られた化合物(0.88g)のメタノール(3.3mL)溶液に安息香酸銀(I)(0.06g)のトリエチルアミン(0.6mL)溶液を室温で加え、同温度下30分間攪拌した
。反応液をセライト濾過後、減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]酢酸メチル(0.81g)を無色油状物として得た。
ここで得られた化合物(0.76g)の50%メタノール−水(4mL)溶液に室温下水酸化リチウム一水和物(0.37g)を加え、同温度下4時間攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチルを加え飽和重曹水で抽出した。水層に2N塩酸を加え酸性とし、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]酢酸(0.70g)を無色粉末として得た。
【0082】
ここで得られた化合物(0.20g)、4−アミノ−1−ベンジルピペリジン(0.20mL)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.18g)のクロロホルム(1.6mL)溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.23g)を加え室温下4時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、クロロホルムで3回抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(13%ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−[トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−イル]アセトアミド(0.22g)を無色粉末として得た。
【0083】
(実施例32)
トランス−1−ベンジルピペリジン−4−イル 2−(4−クロロフェニル)−テトラヒドロ−5−フラノン−3−カルボキシレートの合成
参考例1(3)で得られた化合物(0.29g)のクロロホルム(15mL)溶液に、1−ベンジルピペリジン−4−オール(0.19g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(0.23g)を室温で加え、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.29g)を添加した。室温下一晩撹拌し、反応液に飽和重曹水を加え、クロロホルムで3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2.5%メタノール−クロロホルム)で精製し、粗生成物(0.19g)を得た。これを再度シリカゲルカラムクロマトグラフィー(2%メタノール−クロロホルム)で精製し、トランス−1−ベンジルピペリジン−4−イル 2−(4−クロロフェニル)−テトラヒドロ−5−フラノン−3−カルボキシレートの黄色油状物質(0.15g)を得た。
【0084】
実施例33、34の化合物は、実施例32に示した方法により参考例1(4)で得られた化合物と対応するアルコール化合物と縮合することにより合成した。
【0085】
(実施例35)
トランス−1−ベンジルピペリジン−4−イル 2−(4−シアノフェニル)−テトラヒドロ−5−フラノン−3−カルボキシレートの合成
4−シアノベンズアルデヒドを原料として、参考例1(1)〜参考例1(4)に示した方法に続き、実施例32に示した方法により合成し、表題化合物トランス−1−ベンジルピペリジン−4−イル 2−(4−シアノフェニル)−テトラヒドロ−5−フラノン−3−カルボキシレートを得た。
【0086】
(実施例36)
(−)−トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソ−N−[1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]テトラヒドロフラン−3−カルボキサミド マレイン酸塩の合成
(1)トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソ−N−[1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]テトラヒドロフラン−3−カルボキサミドの合成
参考例4で得られた化合物(23.0g)に飽和重曹水を加え、クロロホルムで3回抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−アミン(20.0g)を無色油状物として得た。
ここで得られた化合物(20.0g)、参考例1(5)で得られた化合物(18.0g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(13.0g)のクロロホルム(100mL)溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(16.0g)を加え、室温下1時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、クロロホルムで2回抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール−クロロホルム)で精製し、トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソ−N−[1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]テトラヒドロフラン−3−カルボキサミド(22.0g)を無色油状物として得た。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.23-1.49 (m, 2H), 1.79-1.95 (m, 2H), 2.10-2.26 (m, 2H), 2.69-2.95 (m, 3H), 3.09-3.24 (m, 1H), 3.55 (s, 2H), 3.72-3.90 (m, 1H), 5.27 (d, J =7.8Hz, 1H), 5.47 (d, J =8.6Hz, 1H), 6.76-6.96 (m, 2H), 7.18-7.43 (m, 4H)
【0087】
(2)(−)−トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソ−N−[1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]テトラヒドロフラン−3−カルボキサミド マレイン酸塩の合成
実施例36(1)で得られた化合物(22.0g)の酢酸エチル(350mL)溶液にマレイン酸(5.5g)の酢酸エチル(188mL)溶液を加え、室温下30分間攪拌後、氷冷下で1時間攪拌した。析出した結晶を減圧乾燥し、トランス−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソ−N−[1−(2,3,5−トリフルオロベンジル)ピペリジン−4−イル]テトラヒドロフラン−3−カルボキサミド マレイン酸塩(21.0g)を無色粉末として得た。
[α]D20 = -28.6 (c 1.00, MeOH)
【0088】
実施例37〜46の化合物は、参考例1(5)で得られた化合物を原料として、実施例36に示した方法により対応するアミン化合物と縮合し得た。
【0089】
実施例47〜53の化合物は、参考例2で得られた化合物を原料として、実施例36に示した方法により対応するアミン化合物と縮合し得た。
【0090】
実施例54〜61の化合物は、参考例3で得られた化合物を原料として、実施例36に示した方法により対応するアミン化合物と縮合し得た。
【0091】
(実施例62)トランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボキサミド、及び(実施例63)シス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボキサミドの合成
参考例1(1)で得られた化合物(1.50g)のN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)溶液に4−アミノ−1−ベンジルピペリジン(1.20g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.00g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.50g)を加え、室温下18時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(13%酢酸エチル−ヘキサン〜10%メタノール−クロロホルム)で分離精製し、13%酢酸エチル−ヘキサン溶出部より実施例62のトランス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボキサミド(0.77g)を無色粉末として得、また10%メタノール−クロロホルム溶出部より実施例63のシス−N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−2−(4−クロロフェニル)−5−オキソテトラヒドロフラン−3−カルボキサミド(0.94g)を淡黄色粉末として得た。
実施例1〜63の化合物の構造とNMRデータを下記表1に示す。
実施例64〜399の化合物は、参考例1(1)で得られた化合物、あるいは参考例1(1)において対応する置換ベンズアルデヒドを原料として参考例1(1)に示した方法により得られた化合物から、実施例62及び実施例63に示した方法により合成した。
実施例64〜327の化合物の構造とNMRデータも下記表1に示す。
実施例328〜392の化合物に対しては、マイクロマス(Micromass)社製のPlatformLC型質量分析計を用いて大気圧化学イオン化(APCI:Atmospheric pressure chemical ionization)を測定した。実施例328〜392の化合物の構造とAPCIの測定値を下記表2に示す。また、実施例393〜399の化合物に対しては、同質量分析計を用いてエレクトロスプレーイオン化(ESI:Electrospray ionization) を測定した。実施例393〜399の化合物の構造とESIの測定値を下記表3に示す。
【0092】
【表1】

























































【0093】
【表2】









【0094】
【表3】


【0095】
(試験例1)
ヒト由来FATP4に対する脂肪酸吸収機能阻害作用(アンタゴニスト作用)
試験化合物のFATP4脂肪酸吸収阻害試験は、Andreas Stahlらの方法(Molecular cell 1999 Sep;4:299−308)を一部改変して実施した。
ヒト由来FATP4に対する脂肪酸吸収機能調節作用(アンタゴニスト作用)の決定には、ヒト由来FATP4を安定発現したHEK293細胞株を用いた。特に記載がない限り、これらのHEK293細胞は10%FBS、1%非必須アミノ酸(NEAA;大日本製薬)を含むMEM培地(Gibco)を用いて培養した。
試験は平底の96ウェルPoly−D−Lysine Coated Microplates(Corning)を用いて行った。アッセイ2日前に、ほぼコンフルエントになるまで培養した細胞をPBSを用いてリンスした後、トリプシン(Gibco)を用いて剥がし、遠心操作にて回収した。得られた細胞の数を測定し、3×104 cells / wellとなるようにプレートの各ウェルに細胞を播種した。CO2培養器にて2日間培養後、細胞試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液ならびに、コントロールとしてDMSOを、DMSO終濃度0.5%になるように添加した。さらに、それぞれ終濃度20μMになるようにBODIPY(4,4−difluoro−5−methyl−4−bora−3a,4a− diaza−s−indacene−3−dodecanoic acid;Funakoshi)を、0.1%となるようにBSA(Sigma)を添加して、取り込み反応開始した。反応は室温で行った。
35分後、0.1%BSAを含んだPBSで各ウェルを3回洗浄した。その後、各ウェルに0.1%SDSを含んだ0.5N NaOHを添加して1時間振とうして細胞を溶解した。この際の細胞内脂肪酸濃度をARVOで測定(Ex=485nm,Em510nm)した。この結果により、各化合物のアンタゴニスト活性を、DMSOのみを添加したウェル(対照群)の脂肪酸取り込み量を100%として、細胞試験化合物存在化で50%取り込み量が阻害される化合物濃度(IC50値)として算出した。
本発明の化合物のIC50値は100μMから10nMであり、下記表4に代表例を示す。
【表4】

【0096】
(試験例2)
脂肪酸吸収阻害作用
本発明化合物の脂肪酸吸収阻害作用を、C57/BL 6Nマウスを用いて検討した。雄性C57/BL 6Nマウス(8週齢、日本チャールスリバー)に化合物(15mg/kg)と14C標識脂肪酸(ステアリン酸:室町薬品)を終濃度60μMとなるように含んだ20mM グリコケノデオキシコール酸ナトリウム(GCDC)溶液を連続的に強制経口投与(5ml/kg)した。投与30分後にイソプロパノール麻酔下にて大腿部を切断し、血液を300μL採取した後、セラクイック(アルフレッサ ファーマ)を用いて遠心分離後、血清を回収した。血清中の脂肪酸濃度を液体シンチレーションカウンターによって測定した。20mM GCDC溶液投与群(コントロール群)に対する脂肪酸濃度低下率を算出して、脂肪酸吸収阻害活性とした。実施例36の化合物は、37.4%の脂肪吸収阻害活性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の化合物は、優れたFATP4阻害作用を有し、肥満、肥満症、高脂血症、抗TG血症、脂質代謝異常疾患、糖尿病、動脈硬化症、又は、肥満に起因する高脂血症、抗TG血症、脂質代謝異常疾患、糖尿病、動脈硬化症、もしくは、高血圧症の治療剤もしくは予防剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるヘテロ5員環化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【化1】

ただし、式(I)中、
Aは−CO−又は−CH2−を示し、
Xは−CH2−、−O−又は−NH−を示し、
Y及びWは同一又は異なって、
【化2】

又は
【化3】

を示し、
Zは−CH2−、−O−又は−NH−を示し、
Arは
【化4】

又は
【化5】

を示し、
2、R3及びR4は同一又は異なって水素原子、ハロゲン原子で置換されても良い炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子で置換されても良い炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メトキシカルボニル基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基又はトリフルオロメチルスルホニルオキシ基を示し、
5はハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し、
1は−CO−NR67、−CO2−R8、−NHCO−R9
【化6】

又は
【化7】

を示し、
6は−(CH2)n−R14、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、
【化8】

又は
【化9】

を示し、
7は水素原子、−(CH2)n−R19又はアリル基を示し、
8
【化10】

又は
【化11】

を示し、
9
【化12】

又は
【化13】

を示し、
10、R11及びR12は同一又は異なって、水素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基を示し、
13は炭素数1〜12のアルキル基、ベンジルオキシカルボニル基、
【化14】

又は
【化15】

を示し、
14は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、メトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、
【化16】

又は
【化17】

を示し、
15、R16及びR17は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキルチオ基を示し、
18はフェニル基、エトキシカルボニル基、フェネチル基、
【化18】

又は
【化19】

を示し、
19は水素原子、水酸基、カルバモイル基、メチルアミノカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基又はアリル基を示し、
20、R21及びR22は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されても良い炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子で置換されても良い炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、フェニル基又はジメチルアミノ基を示し、
23はハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜6のアルキルチオ基を示し、
24、R25及びR26は同一又は異なって、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はニトロ基を示し、
27、R28及びR29は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はシアノ基を示し、
nは1〜20の整数を示す。
【請求項2】
下記式(II)で表されるヘテロ5員環化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【化20】


ただし、式(II)中、
18は前記請求項1のR18と同意義である。Arは
【化21】

【化22】

を示す。
ただし、R2、R3及びR4は前記請求項1のR2、R3及びR4とそれぞれ同意義である。
【請求項3】
下記式(III)で表されるヘテロ5員環化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【化23】


式(III)中、R13及びArは前記請求項1のR13及びArとそれぞれ同意義である。

【公開番号】特開2012−136437(P2012−136437A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95659(P2009−95659)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】