説明

ヘドロ除去方法

【課題】 湖、川、海等に設置することによって、水中に集積しているヘドロの除去目的が達成されると同時に、消波目的と漁礁目的、更には、堤防的目的とが果たされるようにした新規のヘドロ除去方法の提供を図る。
【解決手段】 ヘドロ収容用構築体を水底上に設置すると共に、その水面上に露出させた部分から、水底より採取したヘドロを流入させることによって、当該ヘドロ収容用構築体内に対するヘドロの集積を図り、更に、当該ヘドロ収容用構築体を、漁礁として或いは堤防として機能させるようにしたヘドロ除去方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湖、川、海等に設置することによって、水中に集積しているヘドロの除去目的が達成されると同時に、消波目的と漁礁目的、更には、堤防的目的とが果たされるようにしたヘドロ除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川、湖、海等においてはヘドロの発生と言う問題が生じるものである。 従来、発生へドロの除去には、掘削機能を備えたクレーン等による除去方式(例えば、特許文献1参照。)、船舶によりバケツトによる汲み取り方式(例えば、特許文献2参照。)などが存在する。
【0003】
一方、湖、海等に用いる集魚目的を果たすための漁礁、並びに、テトラポットのような消波用ブロックは各種のものが存在する。 そして、これらの両方の機能を備えたブロックも各種のものが存在する(例えば、特許文献3参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−287974号公報
【特許文献2】特開平7−204693号公報
【特許文献3】特開2002−125511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、湖、海等に設置することによって、ポンプ船等を用いて収集したヘドロを、例えば陸上の廃棄場所等に運搬すると言うような作業を要することなく、ヘドロの除去現場においてその廃棄処理を完了させる、と言うような新規のヘドロ除去システムの提供を図ると同時に、収集した当該へドロを収容するための構築体が、消波機能を有する漁礁として、或いは当該両機能を有する堤防として利用することができるようにした新規な技術の提供を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は請求項1に記載のように、周面に漁礁及び消波機能を具備させたヘドロ収容用構築体を水底上に設置すると共に、その上面部分は水面上に露出させ、当該ヘドロ収容用構築体の水面上に露出させた部分から、水底より採取したヘドロを流入させ、当該流入へドロの含有水分は、当該ヘドロ収容用構築体の四周面から流出させることによって、当該ヘドロ収容用構築体内に対するヘドロの集積を図り、更に、当該ヘドロ収容用構築体を、平面矩形状を呈する形態に構築することによって、その全体が漁礁として機能させるようにしたことを特徴とするヘドロ除去方法に係る。
【0007】
本発明は請求項2に記載のように、周面に漁礁及び消波機能を保持させたヘドロ収容用構築体を水底上に設置すると共に、その上面部分は水面上に露出させ、当該ヘドロ収容用構築体内の水中から露出させた部分から、水底より採取したヘドロを流入させ、当該流入へドロの含有水分は、当該ヘドロ収容用構築体の側面から流出させることによって、当該ヘドロ収容用構築体内に対するヘドロの集積を図り、更に、当該ヘドロ収容用構築体を、堤防状に構築すると共に上面を道路面とすることに依って、その全体が堤防として機能させるようにしたことを特徴とするヘドロ除去方法に係る。
【0008】
本発明は請求項3に記載のように、ヘドロ収容用構築体として、所要のブロック単体を縦横に連結して組み立てることに依って形成したものを用いるようにした請求項1または請求項2の何れかに記載のヘドロ除去方法を実施の態様とする。
【0009】
本発明は請求項4に記載のように、ヘドロ収容用構築体を形成するためのブロックとして、ヘドロを収容する部分を形成するためのブロックと、当該部分の外面に連設させて漁礁及び消波用として機能させるためのブロックとを、同一ブロックを用いるようにした請求項3に記載のヘドロ除去方法を実施の態様とする。
【0010】
本発明は請求項5に記載のように、ヘドロ収容用構築体として、ヘドロを収容する部分を形成するためのブロックの外周面全体に、ヘドロの内部保持を妨げることなく流入へドロの含有水分を逃がすための所要の水抜き機能を具備させた形態の隔壁を設け、当該隔壁の外側に漁礁及び消波機能を奏する所要のブロックを連設したものを用いて成る請求項1乃至請求項4の何れかに記載のヘドロ除去方法を実施の態様とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は請求項1に記載のような構成、すなわち、周面に漁礁及び消波機能を具備させたヘドロ収容用構築体を水底上に設置すると共に、その上面部分は水面上に露出させ、当該ヘドロ収容用構築体の水面上に露出させた部分から、水底より採取したヘドロを流入させ、当該流入へドロの含有水分は、当該ヘドロ収容用構築体の四周面から流出させることによって、当該ヘドロ収容用構築体内に対するヘドロの集積を図り、更に、当該ヘドロ収容用構築体を、平面矩形状を呈する形態に構築することによって、その全体が漁礁として機能させるようにしたから、ポンプ船等を用いて収集したヘドロを、例えば陸上の廃棄場所等に運搬すると言うような作業を要することなく、ヘドロの除去現場においてその廃棄処理を完了させることが可能化される。 従って、ヘドロ除去及び廃棄作業が極めて、輸送コストの低廉性に基き、極めて安価にして迅速に達成されることとなる。
【0012】
同時に、ヘドロを廃棄収容のための構築体であるヘドロ収容用構築体は、消波用構築物としての機能と、魚類増殖のための漁礁としての機能を果たすことができるため、当該ヘドロ収容用構築体の存在は、単なるヘドロ廃棄収容目的を果たすだけに止まらず、多機能的構築体としての役割を担わせることができる。
【0013】
本発明は請求項2に記載のような構成、すなわち、周面に漁礁及び消波機能を保持させたヘドロ収容用構築体を水底上に設置すると共に、その上面部分は水面上に露出させ、当該ヘドロ収容用構築体内の水中から露出させた部分から、水底より採取したヘドロを流入させ、当該流入へドロの含有水分は、当該ヘドロ収容用構築体の側面から流出させることによって、当該ヘドロ収容用構築体内に対するヘドロの集積を図り、更に、当該ヘドロ収容用構築体を、堤防状に構築すると共に上面を道路面とすることに依って、その全体が堤防として機能させるようにしたから、請求項1の場合と同様にヘドロ除去上の安価性と迅速性が達成されると同時に、当該ヘドロ収容用構築体は消波機能と漁礁機能を具えた堤防して機能させるため、これを例えば湾口部分等に設置することにより、通常の堤防としての利用と言うような多目的構築物としての役割を果たすことができる。
【0014】
本発明は請求項3に記載のような構成、すなわち、ヘドロ収容用構築体として、所要のブロック単体を縦横に連結して組み立てることに依って形成したものを用いるようにすることにより、建設作業の簡易化及び迅速化が図られると共に、ブロックの同一形態性に基き大量生産態勢の実行による製造コストの廉価化が図られることとなる。
【0015】
本発明は請求項4に記載のような構成、すなわち、ヘドロ収容用構築体を形成するためのブロックとして、ヘドロを収容する部分を形成するためのブロックと、当該部分の外面に連設させて漁礁及び消波用として機能させるためのブロックとを、同一ブロックを用いるようにすることにより、前項で述べた建設作業の簡易化及び迅速化と、ブロックの同一形態性に基き大量生産態勢の実行による製造コストの廉価化とが、より一層促進されることとなる。
【0016】
本発明は請求項5に記載のような構成、すなわち、ヘドロ収容用構築体として、ヘドロを収容する部分を形成するためのブロックの外周面全体に、ヘドロの内部保持を妨げることなく流入へドロの含有水分を逃がすための所要の水抜き機能を具備させた形態の隔壁を設け、当該隔壁の外側に漁礁及び消波機能を奏する所要のブロックを連設したものを用いることにより、ヘドロの蓄積に基く積層荷重に基づき、その含有水分が当該隔壁から水中に押し出され、そのため、ヘドロの収容密度が高められその収容量の増大化が図られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明方法を説明するために図面的省略法を用いて描いた説明用縦断面図である。
【図2】本発明方法に用いるヘドロ収容用構築体を形成するためブロックの一例とする主要部分を表した平面図である。
【図3】同上正面図である。
【図4】同上底面図である。
【図5】本発明方法に用いるヘドロ収容用構築体を形成するためブロックの一例とする主要部分連結するための連結体部材の平面図である。
【図6】同上正面図である。
【図7】ヘドロ収容用構築体を形成するため上記ブロックの縦方向の連結状態を表した説明用正面図である。
【図8】ヘドロ収容用構築体を形成するため上記ブロックの前後左右方向の連結状態を表した説明用平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る方法の第1の特徴とするところは、外周面に漁礁及び消波機能を具備させたヘドロ収容用構築体を水底上に設置すると共に、その上面部分は水面上に露出させ、当該ヘドロ収容用構築体の水面上に露出させた部分から、水底より採取したヘドロを流入させ、当該流入へドロの含有水分は、当該ヘドロ収容用構築体の四周面から流出させることによって、当該ヘドロ収容用構築体内に対するヘドロの集積を図るようにしたことにある。
【0019】
そして本発明の第2の特徴とするところは、当該ヘドロ収容用構築体を、平面矩形状を呈する形態に構築することによって、その全体が漁礁として機能させるようにするか、或いは、堤防状に構築すると共に上面を道路面とすることに依って、その全体が堤防として機能させると言うような、多機能性の兼備を図るようにしたことにある。
【0020】
図1は本発明の骨子的構成を説明するために、図面的省略法を用いた説明用縦断面図である。 すなわち、同図において、1はヘドロ収容用構築体Aを形成するためのブロック単体であって、所要数の当該ブロック単体を縦横に組むと共に、当該ヘドロ収容用構築体を、水底に接地させた状態で構築すると共に、その上面寄り部分は水中から突出させた露出状態とするように成してある。 そして、ポンプ船等を利用して水底寄りから汲み出したヘドロを、所要のホース2を介して当該ヘドロ収容用構築体内にその上面寄り部分から導入するようにしている。
【0021】
3は隔壁であって、ヘドロ収容用構築体におけるヘドロを収容する部分を形成するためのブロックの外周面全体を囲繞するように設けたものである。 そして、当該隔壁3は、ヘドロの内部保持を妨げることなく流入へドロの含有水分を逃がすための所要の水抜き機能を具備させてある。 その手段は、図示のように各隔壁間に隙間が出来るように張設するような手段、或いは、無数の水抜き用透孔若しくは水抜き用スリットを設けた隔壁を用いる等、その手段に関する限定性は存在しない。
【0022】
ところで、本発明におけるヘドロ収容用構築体であるが、これは所要のブロック単体を縦横に連結して組み立てることに依って形成したものを用いることが好ましい。 その理由は、水中で設置の容易性、構築コストの低廉性、作業の容易性等を主たる理由とするものである。 そして、当該ブロックは、ヘドロを収容する部分を形成するためのブロックと、当該部分の外面に連設させて漁礁及び消波用として機能させるためのブロックとを、兼ねるような形態のものを用いることが好ましい。
【0023】
そして、このような機能を有し、かつ、ヘドロ収容用構築体を形成するために用いるブロックであるが、これは本発明方法の目的を達成可能とするものであれば、如何なる形態のものであっても採用可能とする。
【0024】
ところで図2乃至図8は、上記ブロックとして好ましい形態のブロックの一例として表したものである。 以下、同図について、当該ブロックに関して説明するが、本発明において利用可能とするブロックは、これに限定されるものでは全く無いことは、前記した通りである。
【0025】
図示の構築用ブロックは、図2乃至図4に示すブロック基体部材10と、図5及び図6に示す連結体部材11とを、図7及び図8に示すように縦横に連結することによって、ヘドロ収容用構築体が形成されるようにしたものである。
【0026】
上記ブロック基体部材10であるが、これは図2乃至図4に示すように、平面正四角形状を呈する枠状を呈し、その隅角部寄り部分に、所要高さを具えた柱体10aを立設すると共に、その下面には、下位に位置させたブロック基体部材10の柱体10aの上端を受け入れるための係合用凹所10bを設けるように構成したものである。 なお、柱体10aの高さは、必要に応じて任意に設定するものである。 すなわち、下記するような縦方向の連結時、各ブロック基体部材10の連結間隔を狭くして強度的増強を必要とする場合は、当該柱体10aの高さを丈低なものとするように設定する。
【0027】
上記した係合用凹所10bには柱体10aの上端を嵌合させることによって、図7に示すように互いに縦方向に対する連結が図られるように構成してある。 更に、正四角の枠状を呈するブロック基体部材10の各辺(四辺)の中央部上下面には、下記する連結体部材11を掛止めるための掛止め用凹溝10c、10dが形成されている。
【0028】
上記連結体部材11であるが、これは図5及び図6に示すように所要長さを備え、かつ、その両端には、上述したブロック基体部材10に設けられている掛止め用凹溝10cまたは10dに対して噛み合わせるように係合させるための噛合い用凹溝11a,11aを形成してある。 そして、図8に示すように、ブロック基体部材10前後左右方向の相互連結に際しては、当該連結体部材11の掛止め用凹溝10cまたは10dを、ブロック基体部材10の掛止め用凹溝10cまたは10dに対して係合させることによって、互いの連結が図られるように構成してある。 なお、図8においては、連結体部材11を介して各ブロック基体部材10を上面側において連結するようにしてあるが、これは掛止め用凹溝10c及び10dの両方または何れか一方を利用することにより、上下両面での連結(この場合は連結体部材11は上下用として二本使用する)、或いは、上面または下面の何れか側での連結形態を採ることができる。 これは構築対象物の必要強度に基き設定するものである。
【0029】
上記したような前後左右方向の連結間隔は、連結体部材11の長さによって決定されるため、当該連結体部材11の長さは必要に応じて適宜長さのものを選定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る方法は、湖、川、海等に対して実施することにより、ポンプ船等を用いて収集したヘドロを、一々陸上等にある廃棄場所に運搬すると言うような煩雑な作業を要することなく、ヘドロの収集現場においてその廃棄処理が完了させられる。 そして、当該へドロを収容するための構築体が、消波機能を有する漁礁として、或いは当該両機能を有する堤防として利用することができる。 なお、堤防として機能させる場合は、図1に示すようにその上面に道路面Bを形成しておくものとするが、漁礁用とて機能させる場合はこれは不要である。
【符号の説明】
【0031】
A ヘドロ収容用構築体
B 道路面
1 ブロック単体
2 ホース
3 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に漁礁及び消波機能を具備させたヘドロ収容用構築体を水底上に設置すると共に、その上面部分は水面上に露出させ、当該ヘドロ収容用構築体の水面上に露出させた部分から、水底より採取したヘドロを流入させ、当該流入へドロの含有水分は、当該ヘドロ収容用構築体の四周面から流出させることによって、当該ヘドロ収容用構築体内に対するヘドロの集積を図り、更に、当該ヘドロ収容用構築体を、平面矩形状を呈する形態に構築することによって、その全体が漁礁として機能させるようにしたことを特徴とするヘドロ除去方法。
【請求項2】
周面に漁礁及び消波機能を保持させたヘドロ収容用構築体を水底上に設置すると共に、その上面部分は水面上に露出させ、当該ヘドロ収容用構築体内の水中から露出させた部分から、水底より採取したヘドロを流入させ、当該流入へドロの含有水分は、当該ヘドロ収容用構築体の側面から流出させることによって、当該ヘドロ収容用構築体内に対するヘドロの集積を図り、更に、当該ヘドロ収容用構築体を、堤防状に構築すると共に上面を道路面とすることに依って、その全体が堤防として機能させるようにしたことを特徴とするヘドロ除去方法。
【請求項3】
ヘドロ収容用構築体として、所要のブロック単体を縦横に連結して組み立てることに依って形成したものを用いるようにした請求項1または請求項2の何れかに記載のヘドロ除去方法。
【請求項4】
ヘドロ収容用構築体を形成するためのブロックとして、ヘドロを収容する部分を形成するためのブロックと、当該部分の外面に連設させて漁礁及び消波用として機能させるためのブロックとを、同一ブロックを用いるようにした請求項3に記載のヘドロ除去方法。
【請求項5】
ヘドロ収容用構築体として、ヘドロを収容する部分を形成するためのブロックの外周面全体に、ヘドロの内部保持を妨げることなく流入へドロの含有水分を逃がすための所要の水抜き機能を具備させた形態の隔壁を設け、当該隔壁の外側に漁礁及び消波機能を奏する所要のブロックを連設したものを用いて成る請求項1乃至請求項4の何れかに記載のヘドロ除去方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate