説明

ヘヤーセット機器

【課題】ブラッシングの際に発生する静電気による毛髪への影響をなくし、毛髪へのダメージを減少させると共に、容易に意図する毛髪のセットが行えるヘヤーセット機器を提供する。
【解決手段】交流トランス9から放電電極10に交流電圧を印加し、放電電極10においてプラスイオンとマイナスイオンとを発生させる。この両イオンを空気と共に空気流出路1aから空気吐出口1bを通して外部へ送り出し、ブラッシングしている使用者の毛髪へ送出する。これにより、ブラッシングによって毛髪に発生する静電気のプラス電荷とマイナス電荷とに対して、プラスイオンがマイナス電荷に、またマイナスイオンがプラス電荷にそれぞれ作用し、毛髪における静電気の電荷が中和されるため静電気が除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪をブラッシングしたときに発生する静電気を除去するためのヘヤーセット機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪をセットするためブラシあるいは櫛によりブラッシングを行うと、毛髪とブラシあるいは櫛との摩擦により毛髪に帯電現象が発生し、例えば、毛髪が逆立ったり,広がってセットが思ったように行えないことがあり、また、静電気が毛髪のキューティクルに影響を与え、毛髪にダメージを与えてしまうという問題があった。
【0003】
従来、特許文献1に記載されているように、マイナスイオンを毛髪に与えて毛髪に付着させ、水分子を含むマイナスイオンを毛髪内部まで浸透しやすくし、毛髪をさらさらな状態にすることを意図した発明が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、人体を毛髪とは反対に帯電させるようにし、毛髪の広がり、まとわり付きを防止するようにした発明が提案されている。
【特許文献1】特開2004−208935号公報
【特許文献2】特開2003−275016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の技術において、特許文献1に記載の発明では、マイナスイオンを毛髪に与えているが、静電気にはプラス・マイナスの帯電状態があるため、一方のイオン、すなわち、マイナスイオンのみを毛髪に与えるということは、毛髪がマイナスに帯電することになり、発明の意図とは逆に、毛髪のセット性を損なうという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の発明では、人体自体を毛髪とは反対に帯電させることは理論的には可能であるが、実際的には毛髪の帯電現象までを良好に防ぐことはできない。
【0007】
そこで本発明の目的は、前記従来の課題を解決し、毛髪をブラッシングする際に発生する静電気による毛髪への影響をなくし、毛髪へのダメージを減少させると共に、容易に意図する毛髪のセットが行えるヘヤーセット機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、毛髪に対して空気流を送出する空気流出路と、該空気流出路内に設けられて空気吐出口から空気流を送出するファンとを備えたヘヤーセット機器であって、前記空気流出路内にプラスイオン・マイナスイオン発生器を設け、前記空気流と共にプラスイオンとマイナスイオンとを毛髪に対して送出することを特徴とし、このように構成したことにより、ブラッシングに際して毛髪に発生する静電気のプラス電荷とマイナス電荷との両方に、それぞれ対応してプラスイオンとマイナスイオンが作用することになり、静電気の帯電状態を除去することができる。このため、静電気による毛髪への悪影響が除去され、毛髪へのダメージを減少させると共に、意図する毛髪のセットが容易に行える。
【0009】
また、本発明において、プラスイオン・マイナスイオン発生器は、単体でプラスイオンとマイナスイオンとを生成するイオン発生器であっても、また、プラスイオンを生成するプラスイオン発生器と、マイナスイオンを生成するマイナスイオン発生器とを並設するものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
前記のように、本発明に係るヘヤーセット機器によれば、プラスイオン・マイナスイオン発生器を具備することにより、ブラッシングに際して毛髪に発生する静電気のプラス電荷とマイナス電荷との両方に、それぞれ対応してプラスイオンとマイナスイオンを作用させることにより、静電気の帯電状態を除去するため、良好かつ確実に静電気による毛髪への悪影響が除去することができ、毛髪へのダメージを減少させると共に、使用者の意図する毛髪セットが容易に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るヘヤーセット機器の実施形態1を説明するため、ヘヤードライヤーの一部を断面して概略構成を示す斜視図である。
【0013】
図1において、1はヘヤードライヤーのハウジング、1aはハウジング1内の空気流出路、1bは空気流を外部へ吐出するための空気吐出口、2は、ハウジング1内の空気流出路1aに設置され、空気を加熱するための熱源であるニクロム線ヒータ、3はニクロム線ヒータ2の外周に設けられた熱保護筒体、4はハウジング1内の空気を空気流出路1aから空気吐出口1bを通して外部へ送り出すための送風ファン、5は送風ファン4を駆動する駆動モータ(ACファンモータ)、6はヘヤードライヤーの動作オン/オフのためのスイッチ、7は各部を駆動制御する回路素子が実装された回路基板、8は商用電源に連結するコンセントに接続している耐屈曲性電気コードである。
【0014】
さらに、9は交流トランス、10は、交流トランス9に電気的に接続され、イオン発生用の複数本の放電針からなる放電電極であって、交流トランス9と放電電極10とにより、本例では、単一でプラスイオンとマイナスイオンとを生成するプラスイオン・マイナスイオン発生器を構成している。
【0015】
前記構成の実施形態1において、ヘヤードライヤーの使用時、使用者によるスイッチ6の投入によって、ニクロム線ヒータ2と送風ファン4と交流トランス9とがオン状態になる。この状態でニクロム線ヒータ2は加熱して空気を暖め、この空気が送風ファン4の送風により空気流出路1aから空気吐出口1bを通して外部へ送り出され、ブラッシングしている使用者の毛髪へ送られる。
【0016】
このとき、交流トランス9から放電電極10に交流電圧が印加され、放電電極10においてプラスイオンとマイナスイオンとが発生する。この両イオンは前記暖められた空気と共に空気流出路1aから空気吐出口1bを通して外部へ送り出され、ブラッシングしている使用者の毛髪へ送出される。
【0017】
このため、使用者によるブラッシングに際して、毛髪に発生する静電気のプラス電荷とマイナス電荷とに対して、プラスイオンがマイナス電荷に、またマイナスイオンがプラス電荷にそれぞれ作用することになり、毛髪における静電気の電荷が中和され静電気を確実に除去することができる。
【0018】
図2は、本発明に係るヘヤーセット機器の実施形態2を説明するため、ヘヤードライヤーの一部を断面して概略構成を示す斜視図である。実施形態2の説明において、図1にて説明した部材と同じ機能ものには同一符号を付した。
【0019】
図2において、1はヘヤードライヤーのハウジング、1aはハウジング1内の空気流出路、1bは空気流を外部へ吐出するための空気吐出口、2は、ハウジング1内の空気流出路1aに設置され、空気を加熱するための熱源であるニクロム線ヒータ、3はニクロム線ヒータ2の外周に設けられた熱保護筒体、4はハウジング1内の空気を空気流出路1aから空気吐出口1bを通して外部へ送り出すための送風ファン、5は送風ファン4を駆動する駆動モータ(ACファンモータ)、6はヘヤードライヤーの動作オン/オフのためのスイッチ、7は各部を駆動制御する回路素子が実装された回路基板、8は商用電源に連結されるコンセントに接続している耐屈曲性電気コードである。
【0020】
実施形態2が実施形態1と異なる点は、実施形態1では、プラスイオンとマイナスイオンとを生成するプラスイオン・マイナスイオン発生器を単体の構造体にしたのに対して、実施形態2においては、プラスイオン・マイナスイオン発生器を、プラスイオンを生成するプラスイオン発生器と、マイナスイオンを生成するマイナスイオン発生器とを独立して構造にした点である。その他の構成は、基本的に図1に示す実施形態1の構成と同様である。
【0021】
すなわち、実施形態2では、図2に示すように、プラス直流トランス11と、マイナス直流トランス12と、プラス直流トランス11とマイナス直流トランス12にそれぞれ電気的に接続されたイオン発生用放電電極13,13とにより、プラスイオン・マイナスイオン発生器を構成している。
【0022】
実施形態2において、ヘヤードライヤーの使用時、使用者によるスイッチ6の投入によって、プラス直流トランス11とマイナス直流トランス12とに、それぞれ直流電圧が印加され、両イオン発生用放電電極13において、プラスイオンとマイナスイオンとが発生する点以外は、実施形態1と同様な作用が行われ、このため、実施形態2においても実施形態1と同様に、使用者によるブラッシングに際して、毛髪に発生する静電気のプラス電荷とマイナス電荷とに対して、プラスイオンがマイナス電荷に、またマイナスイオンがプラス電荷にそれぞれ作用することになり、毛髪における静電気の電荷が中和され静電気を確実に除去することができる。
【0023】
なお、本実施形態において、空気流と共にプラスイオンとマイナスイオンとを生成することができ、しかも、ヘヤーセット機器として使用することができる形状,構成のものであれば、図1,図2に示す構成のプラスイオン・マイナスイオン発生器以外のものも使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、毛髪のブラッシング,乾燥,セットなどのために使用されるブラシング具,ヘヤードライヤーなどのヘヤートリートメント機器に実施して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】 本発明に係るヘヤーセット機器の実施形態1を説明するため、ヘヤードライヤーの一部を断面して概略構成を示す斜視図である。
【図2】 本発明に係るヘヤーセット機器の実施形態2を説明するため、ヘヤードライヤーの一部を断面して概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ハウジング
1a 空気流出路
1b 空気吐出口
2 ニクロム線ヒータ
3 熱保護筒体
4 送風ファン
5 駆動モータ
6 スイッチ
7 回路基板
8 耐屈曲性電気コード
9 交流トランス
10 放電電極
11 プラス直流トランス
12 マイナス直流トランス
13 プラスイオン発生用放電電極
14 マイナスイオン発生用放電電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪に対して空気流を送出する空気流出路と、該空気流出路内に設けられて空気吐出口から空気流を送出するファンとを備えたヘヤーセット機器であって、
前記空気流出路内にプラスイオン・マイナスイオン発生器を設け、前記空気流と共にプラスイオンとマイナスイオンとを毛髪に対して送出することを特徴とするヘヤーセット機器。
【請求項2】
前記プラスイオン・マイナスイオン発生器が、単体でプラスイオンとマイナスイオンとを生成するイオン発生器であることを特徴とする請求項1記載のヘヤーセット機器。
【請求項3】
前記プラスイオン・マイナスイオン発生器が、プラスイオンを生成するプラスイオン発生器と、マイナスイオンを生成するマイナスイオン発生器とからなることを特徴とする請求項1記載のヘヤーセット機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−49101(P2008−49101A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256458(P2006−256458)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000231567)日本精密株式会社 (12)
【Fターム(参考)】