説明

ヘリウムリークディテクタ

【課題】ヘリウムリークディテクタに使用するマイクロチャンネルプレートへの過大なイオン電流の入射によって、マイクロチャンネルプレートの寿命が短くなることを避ける。
【解決手段】ヘリウムイオンの検出用にマイクロチャンネルプレートを備えたヘリウムリークディテクタであって、ヘリウムイオンビームがマイクロチャンネルプレートに入射するように偏向するセクター電極を備える。グロスリークの場合は、ヘリウムイオンビームを偏向せず、マイクロチャンネルプレートに入射させないで、セクター電極に入射し、セクター電極でイオンビーム電流を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器の気密性の検査等に用いられるリークディテクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヘリウムリークディテクタの分析管において、ヘリウムイオンの検出にはこのヘリウムイオンをイオン電流として検出するイオンコレクタが従来用いられている(例えば特許文献1)。更にこのイオン電流の感度を向上するために、イオンコレクタの直前にマイクロチャンネルプレートを設けてイオン電流を増幅することが知られている(特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−180633号公報
【特許文献2】特開平8−35904号公報
【特許文献3】特開2000−121484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロチャンネルプレートはこれに入射するイオンの電荷すなわちイオン電流がマイクロチャンネルプレートで増幅されて出力される。マイクロチャンネルプレートの寿命はこの出力電流の総計、すなわち総出力電荷量に依存し、出力電流が大きい状態で使用すると寿命は短くなる。出力電流は入射イオン量すなわち入射イオン電流に比例する。またマイクロチャネルプレートの寿命は、真空度の悪い状況で使用すると短くなる。大きなリークの場合は、真空度が劣化し、入射イオン量が増加するため、マイクロチャンネルプレートの寿命が短くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1の発明は被検体からリークされたヘリウムガスを分析管に導いて検出するヘリウムリークディテクタであって、この分析管は、ヘリウムイオン電流を増幅する2次電子増倍器と、ヘリウムイオンビームを2次電子増倍器の方向に偏向する、接地側電極と正電位側電極とから構成されたセクター電極と、正電位側電極に印加する電圧を供給する電圧源と、2次電子増倍器から放出される2次電子電流が入射する電子コレクタと、電子コレクタに入射した2次電子電流を測定する電流計と、正電位側電極を電圧源または電流計に接続する第1の切替スイッチSW1と、電流計を電子コレクタまたは正電位側電極に接続する第2の切替スイッチSW2とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のヘリウムリークディテクタにおいて、セクター電極の接地側電極は接地電位であり、正電位側電極には、ファインリークの場合は、第1の切替スイッチSW1を切り替えて、2次電子増倍器にヘリウムイオンビームが入射するように、正の電圧を印加し、グロスリークの場合には、第1の切替スイッチSW1を切り替えて、ヘリウムイオンビームが正電位側電極で検出されるように、正電位側電極を電流計に接続することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載のヘリウムリークディテクタにおいて、ファインリークの場合は、第2の切替スイッチSW2は電流計と電子コレクタとを接続し、2次電子増倍器から放出される2次電子電流を測定することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項2に記載のヘリウムリークディテクタにおいて、グロスリークの場合は、第2の切替スイッチSW2は電流計と正電位側電極とを接続し、正電位側電極に入射したヘリウムイオン電流を測定することを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のヘリウムリークディテクタにおいて、セクター電極の接地側電極と正電位側電極は円弧状に形成され、配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、リークが大きい場合は、これに対応した大きなイオン電流をマイクロチャンネルプレートに入射しないように、別のイオンコレクタで検出する。これによりマイクロチャンネルプレートへの過大なイオン電流の入射が避けられるため、マイクロチャンネルプレートの寿命が短くなることが避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態によるヘリウムリークディテクタの概略を示す全体構成図である。
【図2】本発明によるヘリウムリークディテクタの分析管の構成の概略とリーク量が小さい(ファインリークの)場合の分析管の動作概略を示す図である。
【図3】図2において、リーク量が大きい(グロスリークの)場合のイオン電流の検出の方法を示す概略図である。
【図4】従来のヘリウムリークディテクタの分析管の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図を参照して本発明によるヘリウムリークディテクタの動作について説明する。
図1は、本発明の実施の形態によるヘリウムリークディテクタの概略を示す全体構成図である。ヘリウムリークディテクタ1は、テストポート2を介してリーク検査の被検体である真空容器10に配管接続されている。
【0009】
ヘリウムリークディテクタ1は油回転ポンプ3、4、ドラッグポンプ5およびターボ分子ポンプ6の4台の真空ポンプと、排気経路およびヘリウム導入経路を開閉する6個のバルブV1〜V6と、排気経路および真空ポンプを大気開放する3個のリークバルブV7〜V9と、リーク校正部7と、分析管8と、排気経路内の真空度を検出する2個のピラニ型真空計P1、P2と、制御装置9とを有する。尚、バルブV1〜V9は各々アクチュエータA1〜A9によって開閉され、これらのアクチュエータは制御装置9からリークディテクタの操作者の指示に基づいて制御される。各々のアクチュエータA1〜A9への配線は省略する。また各真空ポンプおよび真空計のオン/オフと、真空計の出力値(真空度)のモニターは各々のコントローラ(不図示)と制御装置9によって行われるが、これらの配線も同様に省略する。
【0010】
分析管8はターボ分子ポンプ6、ドラッグポンプ5、バルブV6を介して油回転ポンプ4に配管接続されている。リーク試験を行う被検体である真空容器10は、テストポート2、バルブV1を介して油回転ポンプ3に配管接続されている。また、真空容器10はテストポート2、バルブV5を介してターボ分子ポンプ6の排気口6aに配管接続されている。リーク校正部7は、バルブV3と、バルブV4またはV5を介して、ターボ分子ポンプ6に配管接続されている。
バルブV4はターボ分子ポンプ6の排気段の途中に接続されており、ヘリウムリークディテクタの中間排気モードの場合に開放される。バルブV5はターボ分子ポンプの排気口6aに配管接続されており、ヘリウムリークディテクタの逆拡散排気モードの場合に開放される。
【0011】
被検体である真空容器10のリーク検査は以下の手順で行う。なおここでは簡単のため、逆拡散排気モードの場合についてのみ説明する。
(1)バルブV1〜V5およびリークバルブV7〜V9を閉じるとともに、バルブV6を開いて、分析管8内をターボ分子ポンプ6、ドラッグポンプ5、油回転ポンプ4の直列構成で所定の真空度(ヘリウムのバックグラウンド値)以下になるまで真空排気する。尚、バルブV3はリーク量校正を行う場合以外は閉じたままである。
(2)リーク試験を行う真空容器10をテストポート2に取り付ける。
(3)分析管8内が所定のバックグラウンド値以下に低下した後に、バルブV1を開いて、真空容器10内を油回転ポンプ3で真空排気(粗引き真空排気)する。
(4)バルブV1を閉じるとともにバルブV5を開いて、分析管8によるリーク検出を開始する。すなわち、真空容器10のリーク試験箇所に外側(大気側)よりヘリウム(He)ガスを吹き付ける。
(5)真空容器10のリーク試験箇所にリークがあると、真空容器10内にHeガスが空気とともに侵入する。このHeガスと空気は、真空容器および上記の配管内の残存ガスとともに、開放になっているバルブV5、ターボ分子ポンプ6を経て分析管8に到達する。分析管8がHeガスを検出することにより真空容器10のリーク量が測定される。
(6)以上のリーク試験が終了したら、バルブV5を閉じ、リークバルブV7を開いて真空容器10を大気開放する。
【0012】
リーク量の校正を行う場合は、テストポート2を閉じ、バルブV3、V5を開いて、Heガスをリーク校正部7からターボ分子ポンプを経由して分析管8に導く。リーク校正部7からは規定の流量でHeガスが流出される。このときの検出値がリーク量の基準値となる。
【0013】
次に図2、図3を用いて本発明による分析管8の構成と動作について説明する。
図2は本発明によるヘリウムリークディテクタの分析管の構成の概略とリーク量が小さい(ファインリークの)場合の分析管の動作概略を示す図である。分析管8はイオンソース11、加速スリット12、中間隔壁13、加速スリット対向壁14、第1のアーススリット15、セクター電極16、第2のアーススリット17、マイクロチャンネルプレート(MCP)18、電子コレクタ19、電流計20、切替スイッチSW1、および切替スイッチSW2を備える。イオンソース11にはフィラメント11aが組み込まれており、このフィラメント11aは、フィラメント加熱用の電源により加熱され、熱電子引出し用の別の電源の電圧の印加により熱電子を放出するが、これらの電源は良く知られているので、図示および説明は省略する。分析管8は更に、イオンを加速するイオン加速電源21とMCPでの電子増幅のための電圧を印加する電源とを分析管の外部に備える。MCPでの電子増幅のための電源は記載を省略するが、MCPのイオン入射面側に数百Vの負の電圧を印加し、電子コレクタ側の面は接地されるように構成されている。尚、これらの種々の電源も制御装置9で制御されるが、これら電源への配線は図示を省略し、説明も省略する。
【0014】
セクター電極16は円弧状にした2つの長さの異なる正電位側電極16aと接地側電極16bとからなり、約90°の円弧状となるように形成し、配置したものであり、原理的に平行平板型電極を円弧状にしたものである。長い方の正電位側電極16aには、後述する第1のスイッチSW1の切替位置に応じて、正の偏向電圧が印加されるかまたは、電流計20に接続されることにより実質的に接地電位とされる。この正の偏向電圧は図示されているように、イオン加速電源21の電圧を分割したものでも、また別の独立した電源から供給してもよい。また短い方の接地側電極16bは接地されている。
【0015】
図中2点鎖線で示した領域Mは馬蹄形の永久磁石に挟まれている磁場領域であり、この磁場領域Mには紙面から手前に向かう方向の磁場が生成されているが、この永久磁石の図示は省略する。
【0016】
分析管8に導入されたHeガスは、イオンソース11のフィラメント11aから放出される熱電子の流れ(エミッション電流)の作用を受けてイオン化され、Heイオンとなる。Heイオンはイオン加速電源21から加速スリット12に印加される電圧により加速される。そして、Heイオンは加速スリット12の開口12aから永久磁石が磁場を形成する領域Mにイオンビームとして出射される。加速スリット12に印加される加速電圧の電圧値は240〜300Vである。このイオンビームにはHeイオンだけでなく、水素、酸素、窒素、水など空気成分に由来するイオンと、真空容器10や真空ポンプおよび配管などのヘリウムリークディテクタを構成する部品の真空側壁面に付着した水や、更に真空側壁面に付着した汚れ等から発生するハイドロカーボン(C)に由来するイオン等が含まれる場合がある。
【0017】
図2に示すように、Heイオンは、領域Mの磁場によって曲げられ、偏向軌道Rを通って、中間隔壁13の開口13aを通過した後、第1のアーススリット15の開口15aへ入射する。一方、Heイオンより軽いHイオンは磁場による偏向が大きく、中間隔壁13の開口13aを通過しない。Heイオンより重いO、N、(Cなどは、領域Mにおける磁場による偏向が小さく、やはり開口13aを通過しない。また、He以外の2価のイオンでもHeと比較し偏向が小さいのでこれもやはり開口13aを通過しない。
このようにして、Heイオンのみを含むイオンビームが生成されて第1のアーススリット15の開口15aへ入射する。
【0018】
上記までの記載はリーク量が小さい(ファインリークの)場合とリーク量が大きい(グロスリークの)場合とで共通である。ここで、リーク量が小さい(ファインリークの)場合の分析管の動作を説明する。
上記の記載のように、Heイオンのみのビームが中間隔壁13および第1のアーススリット15を通過し、更にセクター電極16に入射する。セクター電極16の正電位側電極16aにはイオン加速電源21の電圧を分割した偏向電圧が印加される。これによりセクター電極16を通過するHeイオンはMCP方向に偏向される。この際第1の切替スイッチSW1は、イオン加速電源21の電圧を分割したものを正電位側電極16aに印加する状態となっている。セクター電極16を通過したHeイオンは、第2のアーススリット17を通過してMCP18に入射する。MCP18に入射したHeイオンはMCP18で2次電子を発生し、この2次電子がMCP18内で増幅され、MCP18から電子コレクタ19に向かって2次電子電流として放出される。電子コレクタ19に入射した2次電子電流は電流計20により計測される。この際第2の切替スイッチSW2は電子コレクタ19と電流計20を接続する状態となっている。以上により計測された電流はMCP18に入射したHeイオンの量すなわちヘリウムイオン電流に比例するので、検出されたHeイオンの量を求めることができる。
【0019】
次にリーク量が大きい(グロスリークの)場合の動作について説明する。図3は図2において、リーク量が大きい(グロスリークの)場合のイオン電流の検出の方法を示す概略図である。
ファインリークの場合と同様にHeイオンはセクター電極16に入射するが、グロスリークの場合には、第1の切替スイッチSW1を切り替えて、正電位側電極16aを電流計20に接続し、正電位側電極16aには偏向電圧を印加しない。この場合正電位側電極はほぼ接地電位となっている。これにより、セクター電極16に入射したHeイオンは軌道が曲げられることなく、直進して正電位側電極16aに入射する。これにより正電位側電極16aはイオンコレクタとして動作し、第2の切替スイッチSW2を切り替えて電流計20を正電位側電極16aに接続することにより、ヘリウムイオン電流が計測される。このヘリウムイオン電流は検出されたHeイオンの量に対応するものである。
【0020】
更に従来技術と比較して本発明の特徴について説明する。図4は特許文献2に基づく従来のヘリウムリークディテクタの分析管の構成を示す概略図である。第1のアーススリット15にHeイオンが入射するまでは、図2、図3で示した本発明の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
従来技術(特許文献2参照)においては、本発明のおけるセクター電極16が無く、第1のアーススリット15がMCP18の前に設けられ、この第1のアーススリット15を通過したHeイオンがMCP18に入射する。
【0021】
この従来技術においては、グロスリークが生じた場合、大電流のイオン電流がMCP18に入射する。特許文献1においては、MCP18に印加する電圧を変更して、MCP18の増幅率を変更する方法が記載されている。これにより、グロスリークの場合にMCP18の増幅率を低減し、MCP18からの出力すなわち増幅された2次電子量を抑えることで、MCP18の総出力電流が抑えることが可能で、この分、MCP18の寿命が短くなることをある程度避けることができる。しかしながら、グロスリークの場合は真空度も劣化するので、これによるMCP18の劣化は避けられない。
【0022】
本発明では、グロスリークの場合は、図3に示すようにセクター電極16の正電位側電極16aへの偏向電圧の印加を止め、Heイオンを正電位側電極16aで検出することにより、MCP18を使用せずにヘリウムイオン電流が測定できる。これによりMCP18の寿命が短くなることを防ぐことができる。
【0023】
尚、一般にヘリウムリークディテクタにおいては、実際は種々の低エネルギーのイオンが発生している。これらの望ましくない種々の低エネルギーのイオンが第1のアーススリット15を通りぬけることを防ぐために、第1のアーススリット15の後に、サプレッサスリット(例えば特許文献1)を更に設け、これに正の電圧を与えることにより、これらのイオンがイオンコレクタに入射するのを排除することが一般的に行われてきた。本発明ではセクター電極16が、このサプレッサスリットの効果をもっており、望ましくないイオンの検出を排除している。
【0024】
特許文献3には図1に示すようなセクター電極16と同等の機能を有する電極とMCPの組み合わせが開示されている。しかしながら、グロスリークの場合にもMCPを使用してイオン電流を測定する構成となっている。本発明では上記の通り、グロスリークの場合にはMCPを使用しないでイオン電流を測定するのでMCPの寿命を損なうことがない。
【0025】
グロスリークかファインリークかの判断は、真空容器10の取り付け後の真空引き時間、2つのピラニ型真空計P1、P2の出力値、各真空ポンプの負荷(消費電流)、検出されるイオン電流の大きさ等およびこれらの組み合わせで判断されるが、この説明は省略する。MCPを保護する観点からは、最初のイオン電流の測定はグロスリークを仮定して、上記のように測定することが望ましい。
【0026】
尚、以上の説明において、図1と図2に示した本発明の実施形態におけるセクター電極16円弧状の正電位側電極16aと接地側電極16bとから構成されるとしたが、この正電位側電極16aと接地側電極16bは上記の説明のように円弧状でなくとも、これらの電極で形成される電場によりヘリウムイオンビームがマイクロチャンネルプレート18の方向に偏向されればよい。例えば長さの異なる2つの平行平板電極をこれに入射するヘリウムイオンビームに対し斜めに傾けて設置するような簡単な形態であっても良い。
【0027】
更に、セクター電極16の領域に重なるように磁場を発生する永久磁石または電磁石を用いて、これによりヘリウムイオンビームを偏向してもよい。この場合はセクター電極16の正電位側電極16aと接地側電極16bを同電位にすることが多いが、同電位でなくともよい。磁場の強度とセクター電極の電位は、セクター電極に入射するヘリウムイオンビームのエネルギーによって調整し、第2のアーススリットを通過して、MCPに入射するようにされる。
【0028】
上記の説明ではセクター電極16の正電位側電極16aへの変更電圧を与える電源として、イオン加速電源21の電圧を分割したものを用いる実施例を示したが、この電源はイオン加速電源とは別の電源から供給しても良い。
【0029】
また、図1と図2においては、本発明の実施形態についてMCPを用いた実施例を示したが、MCP以外の種々の2次電子増倍器、例えばチャネルトロン等を用いることも可能である。
【0030】
また、上記の説明においては、ヘリウムイオンビームの選択は、このヘリウムイオンビームの偏向軌道R1が中間隔壁13の開口13aを通過することにより行われるとしたが、この選択はヘリウムイオンビームが第1アーススリット15の開口15aを通過することで行われても良い。
【0031】
以上の説明は本発明の実施形態の一例であり、本発明はこの実施例に限定されることなく、本発明の範囲で種々の実施形態が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1‥ ヘリウムリークディテクタ
2‥ テストポート
3‥ 油回転ポンプ
4‥ 油回転ポンプ
5‥ ドラッグポンプ
6‥ ターボ分子ポンプ
6a‥ 排気口
7‥ リーク校正部
8‥ 分析管
9‥ 制御装置
10‥ 真空容器
11‥ イオンソース
11a‥ フィラメント
12‥ 加速スリット
12a‥ 開口
13‥ 中間隔壁
13a‥ 開口
14‥ 加速スリット対向壁
15‥ 第1のアーススリット
15a‥ 開口
16‥ セクター電極
16a‥ 正電位側電極 16b‥ 接地側電極
17‥ 第2のアーススリット
18‥ マイクロチャネルプレート(MCP)
19‥ 電子コレクタ
20‥ 電流計
21‥ イオン加速電源
M ‥ 磁場領域
R ‥ ヘリウムイオンの偏向軌道
SW1‥ 第1の切替スイッチ
SW2‥ 第2の切替スイッチ
P1‥ ピラニ型真空計
P2‥ ピラニ型真空計
V1〜V6‥ バルブ
V7〜V9‥ リークバルブ
A1〜A9‥ アクチュエータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体からリークされたヘリウムガスを分析管に導いて検出するヘリウムリークディテクタにおいて、
前記分析管は、
ヘリウムイオン電流を増幅する2次電子増倍器と、
ヘリウムイオンビームを前記2次電子増倍器の方向に偏向する、接地側電極と正電位側電極とから構成されたセクター電極と、
前記正電位側電極に印加する電圧を供給する電圧源と、
前記2次電子増倍器から放出される2次電子電流が入射する電子コレクタと、
前記電子コレクタに入射した2次電子電流を測定する電流計と、
前記正電位側電極を前記電圧源または前記電流計に接続する第1の切替スイッチSW1と、
前記電流計を前記電子コレクタまたは前記正電位側電極に接続する第2の切替スイッチSW2とを備えることを特徴とするヘリウムリークディテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のヘリウムリークディテクタにおいて、
前記セクター電極の前記接地側電極は接地電位であり、
前記正電位側電極には、ファインリークの場合は、前記第1の切替スイッチSW1を切り替えて、前記2次電子増倍器に前記ヘリウムイオンビームが入射するように、正の電圧を印加し、グロスリークの場合には、前記第1の切替スイッチSW1を切り替えて、前記ヘリウムイオンビームが前記正電位側電極で検出されるように、前記正電位側電極を前記電流計に接続することを特徴とするヘリウムリークディテクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のヘリウムリークディテクタにおいて、
前記ファインリークの場合は、前記第2の切替スイッチSW2は前記電流計と前記電子コレクタとを接続し、前記2次電子増倍器から放出される2次電子電流を測定することを特徴とするヘリウムリークディテクタ。
【請求項4】
請求項2に記載のヘリウムリークディテクタにおいて、
前記グロスリークの場合は、前記第2の切替スイッチSW2は前記電流計と前記正電位側電極とを接続し、前記正電位側電極に入射したヘリウムイオン電流を測定することを特徴とするヘリウムリークディテクタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のヘリウムリークディテクタにおいて、
前記セクター電極の前記接地側電極と前記正電位側電極は円弧状に形成され、配置されていることを特徴とするヘリウムリークディテクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−133437(P2011−133437A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295372(P2009−295372)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】