説明

ヘリコプター玩具

【課題】 操縦が容易であって、且つ、スティックレバーで操縦する場合とは異なる嗜好を提供可能である音声によって操縦可能なヘリコプター玩具を提供する。
【解決手段】 本発明のヘリコプター玩具1は、送信機と、ヘリコプター形状の飛行体と、を備え、この飛行体は、充電式電池と、ロータと、ロータを回転駆動するモータと、受信回路を有した飛行体側制御回路とを備え、送信機は、操作者が発する音声指示を識別する音声識別手段107と、音声識別手段107によって識別された音声指示に対応して所定の操作信号を出力する信号生成手段109と、補助操作スイッチ59と、を備え、音声指示は、モータの回転始動を指示する第1の指示と、飛行体の上昇を指示する第2の指示と、飛行体の高度の維持を指示する第3の指示と、飛行体の下降を指示する第4の指示と、モータの回転の停止を指示する第5の指示と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター玩具であって、音声による操縦が可能とされたヘリコプター玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
送信機からの操作信号によって自動車模型等を遠隔操縦するラジオコントロール玩具は、従来より多くの人に親しまれており、多くの種類のラジオコントロール玩具が販売されている。このようなラジオコントロール玩具は、操縦に技量が要求され、初心者等が操縦するのは困難であった。又、ラジオコントロール玩具は手で操縦する玩具であるため、手に障害を持った人等は遊戯することができないという問題点もあった。
【0003】
そこで、特開平1−83285号公報(特許文献1)及び特開平1−83286号公報(特許文献2)では、音声によって操縦が可能な遠隔操縦玩具(ラジオコントロールカー)についての提案がなされている。この特許文献1及び特許文献2の遠隔操縦玩具は、送信機(無線操縦機)と、自動車を模した形状の走行体(玩具本体)とを備えている。又、この送信機は、音声を電気信号に変換して送信する送信部を備えており、走行体は、送信機から送信された信号を受信する受信部と、音声の電気信号を認識する音声認識部とを備えている。そして、特許文献1及び特許文献2の遠隔操縦玩具は、送信機に向かって音声により指示が出されると、送信機が音声を電気信号に変換し、走行体は、受信した電気信号から指示内容を解析して音声に対応した動作を行なう。この特許文献1及び特許文献2の遠隔操縦玩具によれば、音声によって走行体を操縦可能となるため、操縦に技量等を必要とせず、手に障害を持った人でも容易に操縦可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−83285号公報
【特許文献2】特開平1−83286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
送信機からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター玩具は、上述したラジオコントロールカーと比較して操縦が難しく、離陸させることにも技量を要する。よって、ヘリコプター玩具を初めて操縦する初心者にとっては、操縦に慣れるまでに時間を要し、離陸させることもままならないことがあった。よって、初心者でも容易に操縦可能なヘリコプター玩具の登場が期待されていたが、上述したラジオコントロールカーのように、音声によって容易に操縦可能なヘリコプター玩具はなかった。
【0006】
更に、玩具として提供される軽量ヘリコプター本体に搭載される充電式電池は極力軽量のものが要求されるが、本発明者等による本発明に至るまでの検討によると、電池から供給が可能な電力容量の変化(低下)により、所定の制御信号を送信しても適切な電力を供給できない状況がおきることも操縦を困難にしていることが判明した。かかる問題は手動による微調整が可能なスティックレバーの場合はある程度対応可能であるが、予め用意できる操作信号の種類が限定される音声操縦の場合、操縦を極めて困難にする問題があることが判明した。
【0007】
本発明は、上述したような従来技術並びに本発明者等による検討の結果判明した問題点に鑑みてなされたものであり、操縦が容易であって、且つ、スティックレバーで操縦する場合とは異なる嗜好を提供できる、音声によって操縦可能なヘリコプター玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、送信機と、該送信機からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター形状の飛行体と、を備えるヘリコプター玩具であって、前記飛行体は、充電式電池と、ロータと、ロータを回転駆動するモータと、受信回路を有した飛行体側制御回路とを備え、前記飛行体側制御回路は、前記送信機からの操作信号に応答して前記電池から前記モータに供給される電力値を制御することで前記ロータの回転を制御するように構成され、前記送信機は、操作者が発する音声指示の内容を識別する音声識別手段と、前記音声識別手段によって識別された音声指示の内容に対応して所定の操作信号を出力する信号生成手段と、補助操作スイッチと、を備え、前記音声指示は、前記モータの回転始動を指示する第1の指示と、前記飛行体の上昇を指示する第2の指示と、前記飛行体の高度の維持を指示する第3の指示と、前記飛行体の下降を指示する第4の指示と、前記モータの回転の停止を指示する第5の指示と、を含み、前記飛行体は、前記送信機から送信される前記各制御指示に対応する操作信号に応じて、動作始動し、上昇し、高度を維持し、下降し、動作停止する動作をそれぞれ実行するように構成され、前記第2の指示が所定の時間間隔をおいて続けて成されたときは新たな第2の指示として識別し、前記ヘリコプター玩具の上昇に必要な電力を前記モータに供給する指示が更に行われるように構成されており、前記補助操作スイッチが操作されたときは、前記音声指示とは別に上昇に必要な回転力を与える電力が前記モータに供給されるように構成されてなることを特徴とする。
【0009】
又、前記充電式電池から前記モータに供給される電力の最大出力を100%としたとき、前記飛行体側制御回路は、前記動作起動後最初に与えられる前記第2の指示に応答して前記モータに60乃至70%のレベルになるように電力を断続的に供給する制御を実行し、前記補助スイッチが操作された場合には、1回の操作毎に数%のレベルの電力を上乗せする制御を実行する構成とされていることを特徴とする。
【0010】
更に、前記飛行体側制御回路は、前記第2の指示の後に前記第3の指示に対応する操作信号を受信した場合、前記モータに供給する電力を数%下げる、数%上げる、数%下げるという制御を順に実行し、前記第4の指示の後に前記第3の指示に対応する操作信号を受信した場合、前記モータに供給する電力を数%上げる、更に数%上げる、数%下げる、更に数%下げるという制御を順に実行する構成とされていることを特徴とする。
【0011】
又、本発明は、送信機と、該送信機からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター形状の飛行体と、を備えるヘリコプター玩具であって、前記飛行体は、充電式電池と、ロータと、ロータを回転駆動するモータと、受信回路を有した飛行体側制御回路とを備え、前記飛行体側制御回路は、前記送信機からの操作信号に応答して前記電池から前記モータに供給される電力値を制御することで前記ロータの回転を制御するように構成され、前記送信機は、操作者が発する音声指示の内容を識別する音声識別手段と、前記音声識別手段によって識別された音声指示の内容に対応して所定の操作信号を出力する信号生成手段と、補助操作スイッチと、を備え、前記飛行体は、前記音声指示に応答して前記送信機から送信される各操作信号に応じて、動作始動し、上昇し、高度を維持し、下降し、動作停止する動作をそれぞれ実行するように構成されてなり、前記音声指示操作において、前記上昇指示に対応する電力供給期待値が前記電池から供給されないとき、所定の時間間隔をおいて連続で成された前記上昇指示に応じて、及び/又は、前記補助操作スイッチに対する操作に応じて、前記ヘリコプター玩具の上昇に必要な前記モータに対する電力の供給が増強して実行されるように構成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、送信機に音声指示を識別する手段と音声指示に対応する制御信号を生成する手段とを備えさせると共に、電池から供給される電力容量あるいはその変化に対応した制御信号を予め用意しておくことにより、音声による操縦が可能となり、操縦が容易であって、且つ、手動で操縦する場合とは異なる嗜好を提供可能なヘリコプター玩具を提供することができる。
【0013】
又、音声による第2の指示に応答してモータに60乃至70%のレベルになるように電力が断続的に供給されるように設定されているため、飛行体の高度調整を容易に実現できる。
【0014】
更に、補助操作スイッチを設け、この補助操作スイッチの1回の操作毎に数%のレベルの電力が上乗せされるように構成されていることにより、急いで高度を上げる必要がある場合等、音声操縦では間に合わない状況に迅速に対応することができる。
【0015】
又、第3の指示に対応する信号を受信した場合、直前の指示が第2の指示であった場合にはモータに供給する電力を下げる、上げる、下げるという制御を順に実行し、直前の指示が第4の指示であった場合には、モータに供給する電力を上げる、上げる、下げる、下げるという制御を順に実行する構成とすることにより、飛行体の高度を維持することができ、ホバーリングを容易に実現できる。
【0016】
そして、音声操縦モード時において、所定の時間間隔内をおいて連続で成された第2の指示に応じて、及び/又は、補助操作スイッチ59に対する操作に応じて、飛行体3の上昇に必要な各モータ31,32に対する電力の供給が増強して実行されるように構成されていることにより、充電式電池37の電力低下等により第2の指示に対応する電力供給の期待値が各モータ31,32に対して供給されないときに、各モータ31,32に対する電力供給値を所定値ずつ上げることができ、よって、電力供給の期待値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例に係るヘリコプター玩具の斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係るヘリコプター玩具の飛行体の断面模式図である。
【図3】本発明の実施例に係るヘリコプター玩具の送信機の正面図である。
【図4】本発明の実施例に係るヘリコプター玩具の送信機側制御回路のブロック図である。
【図5】本発明の実施例に係るヘリコプター玩具の送信機の制御フローチャートである。
【図6】本発明の実施例に係るヘリコプター玩具の送信機における制御のタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について述べる。ヘリコプター玩具1は、図1に示すように、送信機5と、送信機5からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター形状の飛行体3と、を備える。この飛行体3は、図2に示すように、充電式電池37と、ロータ13,14と、ロータ13,14を回転駆動するモータ31,32と、受信回路を含む飛行体側制御回路を有した飛行体側回路基板38とを備え、飛行体側回路基板38の飛行体側制御回路は、送信機5からの操作信号に応答して充電式電池37からモータ31,32に供給される電力値を制御することでロータ13,14の回転を制御するように構成されている。
【0019】
又、送信機5は、図4に示すように、操作者が発する音声指示の内容を識別する音声識別手段107と、音声識別手段107によって識別された音声指示の内容に対応して所定の操作信号を出力する信号生成手段109と、補助操作スイッチ59と、を備える。そして、音声指示は、図2に示したモータ31,32の回転始動を指示する第1の指示と、飛行体3の上昇を指示する第2の指示と、飛行体3の高度の維持を指示する第3の指示と、飛行体3の下降を指示する第4の指示と、モータ31,32の回転の停止を指示する第5の指示と、を含む。
【0020】
そして、飛行体3は、送信機5から送信される各制御指示に対応する操作信号に応じて、動作始動し、上昇し、高度を維持し、下降し、動作停止する動作をそれぞれ実行するように構成されている。又、音声識別手段107は、第2の指示が所定の時間間隔をおいて続けて成されたときは新たな第2の指示として識別し、送信機5から飛行体3の上昇に必要な電力をモータ31,32に供給する指示が更に行われるように構成されており、補助操作スイッチ59が操作されたときは、音声指示とは別に上昇に必要な回転力を与える電力がモータ31,32に供給されるように構成されてなることを特徴とする。
【0021】
又、充電式電池37からモータ31,32に供給される電力の最大出力を100%としたとき、飛行体側制御回路は、動作起動後最初に与えられる第2の指示に応答してモータ31,32に60乃至70%のレベルになるように電力を断続的に供給する制御を実行し、上述した補助操作スイッチ59が操作された場合には、1回の操作毎に数%のレベルの電力を上乗せする制御を実行する構成とされている。
【0022】
更に、飛行体側制御回路は、第2の指示の後に第3の指示に対応する操作信号を受信した場合、各モータ31,32に供給する電力を一旦5%下げ、その後電力を5%上げた後に再び5%電力を下げるという制御を実行し、第4の指示の後に第3の指示に対応する操作信号を受信した場合、各モータ31,32に供給する電力を一旦5%上げ、更に電力を5%上げた状態を維持し、その後5%電力を下げ、再び5%電力を下げるという制御を実行する構成とされている。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、本実施例におけるヘリコプター玩具1の斜視図であり、図2は、飛行体3の断面図である。本発明に係るヘリコプター玩具1は、図1に示すように、ヘリコプターを模した形状の飛行体3と、音声識別手段を有した送信機5とを備える。このヘリコプター玩具1は、送信機5から赤外線等により飛行体3に無線操作信号を送信すると、飛行体3が受信した信号に従って離着陸及び左右旋回を行なう玩具であり、送信機5が音声識別手段を備えることにより音声操縦が可能とされている。
【0024】
ヘリコプター形状の飛行体3について述べる。飛行体3は、発泡スチロールやプラスチック等の軽量材料から形成された機体10を備え、この機体10は、本体部と尾翼部とから構成されている。そして、機体10の本体部の上方には回転可能な上部ロータ13及び下部ロ−タ14が装着されている。この上部ロータ13及び下部ロータ14は、同一のロータ軸上で夫々が異なる方向に回転をするものであり、各ロータ13,14が逆回転をすることにより反動トルクが相殺され、飛行中の機体10が右方向或いは左方向に反動回転することを防止できると共に、飛行中の飛行体3が左右旋回可能となる。又、上部ロータ13の直下には、上部ロータ13と連動して回転し機体10の姿勢を安定に保つスタビライザー17が装着されている。更に、機体10の尾翼部の上方には、機体10の上方に存在する天井等の障害物を検知するための発光部19と受光部20からなる検知装置7が配置されている。尚、飛行体3の大きさは、機体10が全長約180mm乃至210mm、幅約35mm乃至55mm、高さ約40mm乃至65mm、ロータの径が約165mm乃至210mm、全重量が約20g乃至70gとされ、室内でも遊戯可能な小型な飛行体3とされている。
【0025】
そして、上部ロータ13は、ロータ軸に軸着されていると共にロータ軸に対して傾動可能な状態で傾動軸に軸着されている。よって、上部ロータ13はロータ軸上を回転可能であると共に、ロータ軸に対して傾動可能とされている。上部ロータ13と下部ロータ14は、羽の向きが逆方向に形成されており、上部ロータ13の回転速度が下部ロータ14の回転速度よりも速い場合には飛行体3が左側に旋回し、下部ロータ14の回転速度が上部ロータ13の回転速度よりも速い場合には飛行体3が右側に旋回するように構成されている。又、上部ロータ13と下部ロータ14の回転速度が同時に速くなった場合には飛行体3が離陸或いは上昇し、上部ロータ13と下部ロータ14の回転速度が同時に遅くなった場合には飛行体3が下降或いは着陸する。尚、上部ロータ13と下部ロータ14の間に各ロータ13,14の破損を防止するための保護リングを設けることもある。この保護リングを設ける場合、保護リングの径は各ロータ13,14の径よりも僅かに大きくする必要があり、本実施例における飛行体3では、径が約190mm乃至225mm程のものを用いることができる。
【0026】
スタビライザー17は、上部ロータ13の下方において上部ロータ13のシャフトにスタビライザー軸によって軸着された丸棒形状の部材であり、上部ロータ13に対して例えば30〜90度程度の交差角度となるように装着され、スタビライザー17の両端部には、ウェイト17aが装着されている。又、スタビライザー17は、上部ロータ13とスタビライザーリンク部材17bによって連結されている。そして、スタビライザー17がスタビライザー軸を中心に一定方向に傾動した場合、この傾動に伴いスタビライザーリンク17bを介して上部ロータ13も傾動軸を中心にして連動して傾動する構成とされている。このため、機体10等が風等の外乱により揺動した場合に、このスタビライザー17が水平面の回転を維持し、上部ロータ13を水平に対して一定のピッチ角を保つようにすることができ、機体10を安定した状態で飛行させることができる。
【0027】
そして、機体10の下方には、機体10が安定した状態で着地できるように着地部材8が装着されている。更に、機体10の本体部の下方には、図2に示すように、飛行体側電源スイッチ21が配置されており、この飛行体側電源スイッチ21の近傍には、図示しない充電端子及び図1に示した送信機5からの操作信号を受信する受信回路用の受光装置40が配置されている。又、機体10の前端近傍の下方には、飛行体側電源スイッチ21がON状態の時に点灯する発光部材23が装着されている。
【0028】
更に、機体10には、上部ロータ13を回転駆動させる第一モータ31と、下部ロータ14を回転駆動させる第二モータ32と、各ロータ13,14及び各モータ31,32を連動させる歯車群及び軸等の回転伝達部材34が内装されている。又、機体10には、図1に示した送信機5と接続されることにより充電可能とされる充電式電池37と、受信回路を含む飛行体側制御回路有した飛行体側回路基板38が内装されており、この飛行体側回路基板38は、電力線39によって各モータ31,32、検知装置7、充電式電池37、発光部材23、受信回路用の受光装置、と接続されている。尚、充電式電池37としては、小型で軽量なリチウムポリマーバッテリーを用いることができる。
【0029】
そして、飛行体側回路基板38は飛行体側制御回路を備えるものであり、無線信号受信装置が受信した送信機5からの操作信号を解析し、充電式電池37から第一モータ31及び第二モータ32に供給する電力を制御することにより、上部ロータ13と下部ロータ14の回転速度を制御し、ヘリコプター形状の飛行体3の高度調整や離着陸、左右旋回、ホバーリング(一定の高度を維持した状態で飛行する)といった動作を実現している。
【0030】
又、検知装置7は、機体10の直上に障害物があるとき、発光部19から放射されて直上の障害物により反射して来た光を受光部20で受光し、受光部20で受光した光に基づき障害物との距離に応じた信号を生成する光センサを用いた距離測定手段により構成されている。そして、検知装置7によって障害物との距離が例えば50cmとなった旨の信号が生成された場合、飛行体側制御回路によって上部ロータ13及び下部ロータ14の回転数を送信機5から指令される回転数に対して20%程度減衰させることにより、障害物に飛行体3が激突することを防止するものである。よって、飛行体3は、室内で遊戯する場合に急な上昇によって天井等に衝突することを防止できる。
【0031】
次に、本実施例の送信機5について述べる。図3は、送信機5の正面図である。尚、以下の説明において「左右」とは、図3の正面視「左右」方向をいう。送信機5は、手動操縦又は音声操縦によって飛行体3の動作を制御するコントローラーであり、図3に示すように、中空で略直方体形状の本体ケース51と、本体ケース51の上面に装着されたアンテナ(赤外線発振部)65と、を備え、アンテナ65の側方には操縦モード切替レバー58が配置されている。又、本体ケース51の内部には、図示しないが送信機側回路基板が収納されている。更に、送信機5は、本体ケース51の正面左上方に高度操作レバー52を備え、正面右上方には旋回操作レバー53を備え、高度操作レバー52の近傍にはトリム調整ダイヤル54を備えている。
【0032】
又、送信機5は、高度操作レバー52と旋回操作レバー53の間に送信機側電源スイッチ55並びにインジケータ群56を備えている。更に、送信機側電源スイッチ55の下方には、音声取込み口57が形成されており、音声取込み口57の近傍にはスタンバイボタン63が配置され、音声取込み口57の右上端部近傍に押圧式の補助操作スイッチ59が配置されている。又、送信機5は、音声取込み口57の左側方に充電コード収納部60が形成され、この充電コード収納部60に充電コード61が収納されている。
【0033】
高度操作レバー52は、上下に傾動可能とされ、上述した飛行体3の各ロータ13を回転駆動させる各モータ31,32を均等に制御することでヘリコプター形状の飛行体3の高度を操作することができる操作部材であり、送信機側回路基板と接続されている。そして、高度操作レバー52は、上方に傾動させることによって各モータ31,32の回転速度を上昇させることができ、下方に傾動させることによって各モータ31,32の回転速度を低減させることができ、下端位置まで傾動させることにより各モータ31,32の駆動を停止させることができる。
【0034】
旋回操作レバー53は、左右に傾動可能とされ、飛行体3の上部ロータ13と下部ロータ14の回転速度に差を設けるように制御することで飛行体3の旋回方向を操作することができる操作部材であり、送信機側回路基板と接続されている。そして、旋回操作レバー53は、左側に傾動させると上部ロータ13を回転させる第一モータ31に供給する電力が上がり飛行体3を左旋回させることができ、右側に傾動させることによって下部ロータ14を回転させる第二モータ32に供給する電力が上がり飛行体3を右旋回させることができる。
【0035】
トリム調整ダイヤル54は、上述した第一モータ31及び第二モータ32の夫々に供給する電力を制御することにより上部ロータ13と下部ロータ14の回転速度が等しくし、飛行体3を空中で安定させるための操作部材であり、回動可能に本体ケース51に装着され、送信機側回路基板と接続されている。
【0036】
送信機側電源スイッチ55は、電源のON/OFF及び充電モードを切替えるスイッチである。又、インジケータ群56としては、送信機側電源スイッチ55がON状態の場合に点灯或いは点滅する電源ランプや、充電モード時に点灯或いは点滅する充電ランプを備えている。
【0037】
音声取込み口57は、内側に警告音出力部であるスピーカーと、音声入力するマイクとが内蔵された部位であり、このマイクは、ヘリコプター玩具1の操作者の音声を電気信号に変換して送信機側回路基板に出力する。操縦モード切替レバー58は、手動操縦モードから音声操縦モードに切替えるボタンであり、送信機側回路基板に接続されている。尚、スタンバイボタン63並びに補助操作スイッチ59に関しては後述する。
【0038】
充電コード収納部60は、先端に充電端子を備えた充電コード61が配置される部位であり、飛行体3の充電端子に充電コードの先端の充電端子を連結することにより、上述した飛行体3の充電式電池37の充電が可能となる。尚、飛行体3の充電式電池37を充電する場合には、送信機側電源スイッチ55を充電モードにセットする必要がある。
【0039】
次に、本実施例の送信機5の送信機側制御回路について述べる。図4は本実施例の送信機5の送信機側制御回路ブロック図である。本実施例における送信機5は、手動操縦モード、音声操縦モード、充電モードの3つのモードを切替え可能とされており、送信機側制御回路は、図4に示すように、制御部100と、スイッチ群110と、手動操縦モード時の操作手段となる手動操縦部120と、音声入力部133と、補助操作スイッチ59と、送信回路140と、充電モード時に使用される充電回路151と、警告音出力部153と、電源ランプと充電ランプとを備えるインジケータ部155と、から構成されている。
【0040】
制御部100は、送信機5における全ての動作を制御するものであり、演算処理手段101と記憶手段102と、手動操縦識別手段105と、音声識別手段107と、信号生成手段109と、から構成されている。この演算処理手段101は、各種のスイッチ等から信号の入力があると、この信号を認識して記憶手段102に記憶された処理内容から対応する処理を選択し実行する制御を行なう。又、記憶手段102は、予め各種のプログラム等が記憶されており、演算処理手段101によって制御される。手動操縦識別手段105は、手動操縦部120からの信号を識別する制御を行なう。音声識別手段107は、音声入力部133から入力された音声の電気信号を記憶手段102に記憶されたデータと比較して音声指示の内容を識別する制御を行なう。信号生成手段109は、手動操縦識別手段105及び音声識別手段107が識別した操作指示の内容に対応する操作信号を生成し、送信回路140から飛行体3に向けて送信させる制御を行なう。
【0041】
又、記憶手段102に記憶されている音声指示としては、上述した飛行体3の各モータ31,32の回転始動を指示する「スタートエンジン(Start Engine)」という第1の指示、飛行体3の上昇を指示する「ハイアー(Higher)」という第2の指示、飛行体3の高度を維持させる指示である「ホールド(Hold)」という第3の指示、飛行体3の下降を指示する「ロウアー(Lower)」という第4の指示、各モータ31,32の回転の停止を指示する「ストップ(Stop)」という第5の指示がある。更に、言語としては日本語、アメリカ英語が登録されている。尚、音声指示の種類は、使用するICチップの機能や飛行体3の機能によって変化させることができ、上述した5種類に限定されるものではない。又、登録されている言語に関しても、高機能なICチップを用いる、或いは、ICチップを交換する、又は、ICチップの数を増やすことでイギリス英語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、フランス語といった他の言語に対応させることもできる。
【0042】
スイッチ群110は、送信機5の電源を入切するON/OFFスイッチ113(送信機側電源スイッチ55)と、音声操縦モードに切替える操縦モード切替レバー58と、充電モードに切替える充電モードスイッチ117(送信機側電源スイッチ55)と、スタンバイボタン63と、から構成される。
【0043】
このスタンバイボタン63は、操作されることにより送信機5の各種操作部の入力を受け付ける、又は、全ての入力を受け付けない状態にするためのボタンである。よって、このスタンバイボタン63は、送信機5の電源がONとされた直後に操作されることにより送信機5への入力操作を行なうことが可能となるためロック解除ボタンとなり、一方、飛行体3の飛行中等に操作されることにより飛行体3の各モータ31,32を停止すると共に全ての操作入力を拒否する緊急停止ボタンとなる。
【0044】
手動操縦部120は、上述した高度操作レバー52と、旋回操作レバー53と、トリム調整ダイヤル54と、から構成されている。そして、各操作部52,53,54は、手動操縦モード時に操作されると操作に対応した信号を制御部100に出力し、制御部100は、手動操縦識別手段105によって手動操縦の指示内容を識別し、信号生成手段109によって指示に対応した操作信号を作成して送信回路140から飛行体3に送信する。
【0045】
補助操作スイッチ59は、音声操縦モード時において、音声指示よりも素早く飛行体3の各ロータ13,14の回転速度を上げたい場合に使用するボタンである。この補助操作スイッチ59は、音声操縦モード時に押されると、制御部100にロータの回転速度を所定値上げる旨の信号を出力し、制御部100は、この信号が入力されると信号生成手段109によって操作信号を生成して送信回路140を介して飛行体3に各ロータ13,14の回転速度を所定値上げる旨の操作信号を送信する。
【0046】
次に、送信機5の音声操縦モード時の制御フローについて図5を用いて述べる。送信機側電源スイッチ55がONになると、制御部100は、警告音出力部153を制御して「ピピッ」というアラーム音を連続で出力させるアラーム音出力処理(ステップS201)を実行し、インジケータ部155の電源ランプを点滅させるランプ点滅処理(ステップS203)を実行する。
【0047】
次に、制御部100は、高度操作レバー52の状況を確認し高度操作レバー52がOFF状態(最下端)であるかを判定する高度操作レバー判定処理(ステップS205)を実行し、高度操作レバー52がOFF状態である場合には、スタンバイボタン63が押されたかどうかを確認するスタンバイボタン確認処理(ステップS207)を実行する。スタンバイボタン確認処理(ステップS207)において、スタンバイボタン63が押されたことを確認した場合、制御部100は、警告音出力部153を制御してアラーム音を停止させた後、送信機5による操作入力が可能となったことを意味する「ポーン」という待機音を出力させる待機音出力処理(ステップS208)を実行し、インジケータ部155の電源ランプを点灯させるランプ点灯処理(ステップS209)を実行する。そして、このランプ点灯処理(ステップS209)が実行された後、ヘリコプター玩具1は、手動操縦モード又は音声操縦モードで遊戯が可能となるものである。尚、高度操作レバー判定処理(ステップS205)において、高度操作レバー52がOFF状態でない場合には、高度操作レバー52がOFF状態となるまで待機し、OFF状態にされるとスタンバイボタン確認処理(ステップS207)へ進む。
【0048】
電源ランプを点灯させるランプ点灯処理(ステップS209)の後、制御部100は、操縦モード切替レバー58の状態を確認する操縦モード切替レバー確認処理(ステップS210)を実行する。この処理(ステップS210)において、操縦モード切替レバー58が音声操縦モードに切替えられる、或いは、予め音声操縦モードである場合、制御部100は、音声入力が可能な状態であるかを判定する音声入力可不可判定処理(ステップS213)を実行し、音声入力待ち状態となる。次に、制御部100は、音声入力があったかどうかの音声入力有無判定処理(ステップS215)を実行し、音声入力があった場合には音声識別手段107によって音声指示を識別させる音声識別判定処理(ステップS217)を実行する。又、音声入力有無判定処理(ステップS215)において、音声入力が所定時間以上無かった場合には、音声操縦モードを終了する。
【0049】
音声識別判定処理(ステップS217)において、音声の識別ができた場合、制御部100は、信号生成手段109によって音声に対応する操作信号を生成させ、所定時間(約200mSec(ミリ秒))待機(ステップS219)した後、生成した操作信号を飛行体3に送信する操作信号送信処理(ステップS221)を実行する。そして、制御部100は、操作信号送信処理(ステップS221)の後、所定時間待機し、再び音声入力可不可判定処理(ステップS213)を実行する。又、音声識別判定処理(ステップS217)において、音声の識別ができなかった場合には、音声入力可不可判定処理(ステップS213)を再び実行する。
【0050】
次に、音声操縦モードにおける飛行体3側の制御について述べる。図6は、飛行体3における音声操縦モード時のタイムチャート図であり、この図には、飛行体3の各モータ31,32に供給される電力の波形図も記載されている。飛行体3は、「スタートエンジン」という音声指示である第1の指示に対応した信号を受信した場合、飛行体側制御回路が各モータ31,32へ約1%/100mSecずつ10%まで電力供給を行ない、その後10%の電力供給状態を維持する。この時、飛行体3は、飛行はせずに各ロータ13,14のみが回転した状態となる。尚、この「%」は、各モータ31,32に供給する電力の例えば2mSecの1周期毎におけるON状態のパルス幅、つまりDUTY比を示すものであり、100%の場合には1周期の間中常に電力が供給された最大出力状態となり、10%の場合には1/10周期のパルス幅の電力が供給されている状態を表す。
【0051】
第1の指示後に「ハイアー」という音声指示である第2の指示に対応した信号を受信した場合、飛行体側制御回路は、約3%/100mSecずつ70%まで各モータ31,32への電力供給を行ない、70%の状態を約1800mSec維持した後、5%電力を下げて65%の電力を維持するという制御を実行する。この時飛行体3は、70%の電力によって空中に浮き上がり、その後慣性によってゆっくりと上昇する。又、第2の指示があった後等、電力供給値が50%以上の時に第2の指示を受信した場合、飛行体側制御回路は、70%まで電力を上げることなく現状の電力供給値を5%上げる制御を実行する。つまり、飛行体制御回路は、第2の指示が所定の時間間隔をおいて連続でなされたときには、電力供給値を5%ずつ上乗せする制御を実行する。更に、第4の指示の後や電力低下等によって電力供給値が50%以下となった場合に第2の指示を受信した場合、飛行体側制御回路は、約5%/100mSecずつ70%まで電力を上げ、70%の状態を約1000mSec維持した後、65%の電力供給を維持するという制御を実行する。
【0052】
第2の指示の後に「ホールド」という音声指示である第3の指示に対応した信号を受信した場合、飛行体側制御回路は、電力を5%下げた状態を約400mSec維持し、その後、電力を5%上げた状態を約1.7Sec維持した後、再び電力を5%下げる。この時飛行体3は、略同一高度を維持することとなる。又、「ロウアー」という音声指示である第4の指示の後に第3の指示を受信した場合、飛行体側制御回路は、電力を5%上げた状態を約400mSec維持し、更に電力を5%上げて約800mSec間この状態を維持した後、5%下げた状態を約50mSec間維持し、更に5%電力を下げるという制御を実行する。この時飛行体3は、2度に渡る5%の電力アップによって降下速度を緩め僅かに上昇し、その後の電力ダウンによって高度を維持する。更に、2回目以降の第3の指示であって直前が第2の指示である場合、飛行体側制御回路は、電力を5%下げた状態を約1600mSec維持し、その後、電力を上げた状態を約600mSec維持した後、再び、5%電力を下げるという制御を実行する。このように第3の指示では、僅かな電力の上げ下げを繰り返すことにより、飛行体3に揚力を時系列で加え高度を維持することとなる。尚、この第3の指示では上述した制御に制限されるわけではなく、各モータ31,32に供給する電力を上下させることで、飛行体3に適度の上昇力を加え高度を略一定に保つ制御を行なえばよい。
【0053】
「ロウアー」という音声指示である第4の指示に対応した信号を受信した場合、飛行体側制御回路は、各モータ31,32に対する電力供給を5%下げ、その後、第4の指示の信号を受信する度に5%ずつ電力を下げていくという制御を実行する。そして、「ストップ」という音声指示である第5の指示に対応した信号を受信した場合、飛行体側制御回路は、各モータ31,32に対する電力供給を完全に停止する制御を実行し、飛行体3の各ロータ13,14は、完全に回転を停止した状態となる。
【0054】
又、音声操縦モードにおいて、補助操作スイッチ59が操作された場合、飛行体側制御回路は、各モータ31,32に対する電力供給を5%上げ、補助操作スイッチ59が連続で複数回押された場合には、各モータ31,32に対する電力供給を5%ずつ上乗せしていく。この処理は、音声操縦モード時において音声によって指示をした場合、ユーザによる発声開始から終了までに要する時間及び入力された音声に対する識別処理により、一つの指示をした後に次の指示が可能となるまでに約1Secのタイムラグがあり、この間に飛行体3に対する指示を音声ですることができないため、急いで各モータ31,32の回転数を上げる必要がある場合には対応することができないが、補助操作スイッチ59を操作することによりこのような状況に対応することができるようにするためのものである。又、音声操縦モードにおいて、旋回操作レバー53、トリム調整ダイヤル54の操作があった場合には手動操作が優先され、旋回やトリム調整が可能となる。
【0055】
更に、音声操縦モードにおいて、高度操作レバー52の操作があった場合、高度操作レバー52の位置による電力値の期待値が音声操縦による電力値よりも小さい場合には音声操縦が優先され、期待値が音声操縦による電力値を上回った場合には、高度操作レバー52による操縦が優先される。
【0056】
次に、このような構成とされたヘリコプター玩具1の遊戯方法について述べる。まず、操作者は、図2に示した飛行体側電源スイッチ21と図3に示した送信機側電源スイッチ55をONに切替え、電源ランプが点灯した後にスタンバイボタン63を押す。次に、操作者は、ヘリコプター玩具1の初期設定として、送信機5の高度操作レバー52を僅かに上方に傾倒して各ロータ13,14を回転駆動させ、この状態で機体10が左右に回転しないようにトリム調整ダイヤル54で各ロータ13,14の回転を調整する。
【0057】
そして、音声操縦モードで遊戯する場合、操作者は、送信機5の高度操作レバー52が最下端に位置している状態で操縦モード切替レバー58を音声操縦モード側に傾倒させ、送信機5の音声取込み口57に向かって「スタートエンジン」という音声指示を出し、飛行体3の各ロータ13,14を始動させる。
【0058】
そして、操作者が「ハイヤー」という音声指示を出すと、飛行体3は空中に浮き上がり、飛行状態となる。この後、操作者は、「ハイヤー」、「ホールド」、「ロウアー」等の音声指示によって飛行体3の高度を調節しながら旋回操作レバー53を操作することで飛行体3を旋回飛行させることができる。更に、操作者が「ストップ」という音声指示をだすと、各ロータ13,14が完全に停止し、飛行体3は下降して着陸する。
【0059】
又、手動操縦モードで遊戯する場合には、従来のヘリコプター玩具1と同様、高度操作レバー52で高度調整、旋回操作レバー53で左右旋回を行なうことで遊戯できる。この手動操縦モードでの遊戯中に高度操作レバー52を勢いよく上方に傾倒させた場合、機体10は一気に上昇することとなるが、飛行体3が検知装置7を備えているため、天井等の障害物に機体10が衝突する可能性を減らすことができる。
【0060】
更に、飛行体3の充電式電池37に充電する場合、操作者は、送信機5の充電コード収納部60から充電コード61を取り出し、先端の充電端子を飛行体3の充電端子に接続し、送信機5の送信機側電源スイッチ55を充電モードに入れる。送信機側電源スイッチ55が充電モードに入れられると、充電式電池37に充電が行なわれているときは充電ランプが点灯し、充電式電池37が十分に充電されると充電ランプが消灯する。
【0061】
以上のような本発明のヘリコプター玩具1によれば、送信機5に音声指示を識別する手段である音声識別手段と音声指示に対応する制御信号を生成する手段である信号生成手段とを備えさせると共に、電池から供給される電力容量あるいはその変化に対応した制御信号を予め用意しておくことにより、音声による操縦が可能となり、操縦が容易であって、且つ、手動で操縦する場合とは異なる嗜好を提供可能なヘリコプター玩具を提供することができる。よって、初心者や手に障害を持った人等でも遊戯を楽しむことができ、万人が楽しむことができるヘリコプター玩具を提供できる。
【0062】
又、音声による第2の指示に応答して各モータ31,32に60乃至70%のレベルになるように電力が断続的に供給されるように設定されているため、飛行体3の高度調整を容易にできると共に、高度が大きく変化することを防止できる。
【0063】
更に、補助操作スイッチ59を設け、この補助操作スイッチ59の1回の操作毎に5%のレベルの電力が上乗せされるように構成されていることにより、急いで高度を上げる必要がある場合等、音声操縦では間に合わない状況に迅速に対応することができる。
【0064】
又、第3の指示に対応する信号を受信した場合、直前の指示が第2の指示であった場合にはモータに供給する電力を下げる、上げる、下げるという制御を順に実行し、直前の指示が第4の指示であった場合には、モータに供給する電力を上げる、上げる、下げる、下げるという制御を順に実行する構成とすることにより、飛行体3の高度を維持することができ、ホバーリングを容易に実現できる。
【0065】
そして、音声操縦モード時において、所定の時間間隔内をおいて連続で成された第2の指示に応じて、及び/又は、補助操作スイッチ59に対する操作に応じて、飛行体3の上昇に必要な各モータ31,32に対する電力の供給が増強して実行されるように構成されていることにより、充電式電池37の電力低下等により第2の指示に対応する電力供給の期待値が各モータ31,32に対して供給されないときに、各モータ31,32に対する電力供給値を所定値ずつ上げることができ、よって、電力供給の期待値を得ることができる。
【0066】
尚、上述した実施例においてヘリコプター形状の飛行体3は、上部ロータ13と下部ロータ14を備えているが、メインロータとメインロータによる機体の回転を防止する尾翼ロータとからなる構成とすることや、2つのモータが前後に配置された構成とすることもでき、自由に設計変更可能である。又、本発明は、本実施例に記載された内容に何ら限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 ヘリコプター玩具 3 飛行体
5 送信機 7 検知装置
8 着地部材 10 機体
13 上部ロータ 14 下部ロータ
17 スタビライザー 17a ウェイト
17b スタビライザーリンク部材 19 発光部
20 受光部 21 飛行体側電源スイッチ
23 発光部材 31 第一モータ
32 第二モータ 34 回転伝達部材
37 充電式電池 38 飛行体側回路基板
39 電力線 40 受光装置
51 本体ケース
52 高度操作レバー 53 旋回操作レバー
54 トリム調整ダイヤル 55 送信機側電源スイッチ
56 インジケータ群 57 音声取込み口
58 操縦モード切替レバー 59 補助操作スイッチ
60 充電コード収納部 61 充電コード
63 スタンバイボタン
65 アンテナ 78 スタビライザーリンク
100 制御部 101 演算処理手段
102 記憶手段 105 手動操縦識別手段
107 音声識別手段 109 信号生成手段
110 スイッチ群 113 ON/OFFスイッチ
117 充電モードスイッチ
120 手動操縦部 133 音声入力部
140 送信回路 151 充電回路
153 警告音出力部 155 インジケータ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機と、該送信機からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター形状の飛行体と、を備えるヘリコプター玩具であって、
前記飛行体は、充電式電池と、ロータと、ロータを回転駆動するモータと、受信回路を有した飛行体側制御回路とを備え、前記飛行体側制御回路は、前記送信機からの操作信号に応答して前記電池から前記モータに供給される電力値を制御することで前記ロータの回転を制御するように構成され、
前記送信機は、操作者が発する音声指示の内容を識別する音声識別手段と、前記音声識別手段によって識別された音声指示の内容に対応して所定の操作信号を出力する信号生成手段と、補助操作スイッチと、を備え、
前記音声指示は、前記モータの回転始動を指示する第1の指示と、前記飛行体の上昇を指示する第2の指示と、前記飛行体の高度の維持を指示する第3の指示と、前記飛行体の下降を指示する第4の指示と、前記モータの回転の停止を指示する第5の指示と、を含み、前記飛行体は、前記送信機から送信される前記各制御指示に対応する操作信号に応じて、動作始動し、上昇し、高度を維持し、下降し、動作停止する動作をそれぞれ実行するように構成され、
前記第2の指示が所定の時間間隔をおいて続けて成されたときは新たな第2の指示として識別し、前記ヘリコプター玩具の上昇に必要な電力を前記モータに供給する指示が更に行われるように構成されており、
前記補助操作スイッチが操作されたときは、前記音声指示とは別に上昇に必要な回転力を与える電力が前記モータに供給されるように構成されてなることを特徴とするヘリコプター玩具。
【請求項2】
前記充電式電池から前記モータに供給される電力の最大出力を100%としたとき、前記飛行体側制御回路は、前記動作起動後最初に与えられる前記第2の指示に応答して前記モータに60乃至70%のレベルになるように電力を断続的に供給する制御を実行し、前記補助スイッチが操作された場合には、1回の操作毎に数%のレベルの電力を上乗せする制御を実行する構成とされていることを特徴とする請求項1記載のヘリコプター玩具。
【請求項3】
前記飛行体側制御回路は、前記第2の指示の後に前記第3の指示に対応する操作信号を受信した場合、前記モータに供給する電力を数%下げる、数%上げる、数%下げるという制御を順に実行し、前記第4の指示の後に前記第3の指示に対応する操作信号を受信した場合、前記モータに供給する電力を数%上げる、更に数%上げる、数%下げる、更に数%下げるという制御を順に実行する構成とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヘリコプター玩具。
【請求項4】
送信機と、該送信機からの操作信号によって遠隔操縦されるヘリコプター形状の飛行体と、を備えるヘリコプター玩具であって、
前記飛行体は、充電式電池と、ロータと、ロータを回転駆動するモータと、受信回路を有した飛行体側制御回路とを備え、前記飛行体側制御回路は、前記送信機からの操作信号に応答して前記電池から前記モータに供給される電力値を制御することで前記ロータの回転を制御するように構成され、
前記送信機は、操作者が発する音声指示の内容を識別する音声識別手段と、前記音声識別手段によって識別された音声指示の内容に対応して所定の操作信号を出力する信号生成手段と、補助操作スイッチと、を備え、
前記飛行体は、前記音声指示に応答して前記送信機から送信される各操作信号に応じて、動作始動し、上昇し、高度を維持し、下降し、動作停止する動作をそれぞれ実行するように構成されてなり、
前記音声指示操作において、前記上昇指示に対応する電力供給期待値が前記電池から供給されないとき、所定の時間間隔をおいて連続で成された前記上昇指示に応じて、及び/又は、前記補助操作スイッチに対する操作に応じて、前記ヘリコプター玩具の上昇に必要な前記モータに対する電力の供給が増強して実行されるように構成されてなることを特徴とするヘリコプター玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−158350(P2010−158350A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1800(P2009−1800)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(599064214)株式会社セガ トイズ (32)
【Fターム(参考)】