説明

ヘリポートおよび土木建築用材料

このヘリポートでは、長尺のデッキ材を複数並べて接合し、平面構造を有する平面部材を構成する。そして、この平面部材を、水上に浮遊可能な立体トラスその他の浮体構造物上に設置する。そして、平面部材の上面にヘリポート面を構成し、若しくは、平面部材によりヘリポートの土台を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、ヘリポートおよび建築土木部材に関し、更に詳しくは、簡易な浮体構造物上に設置可能であると共に、特有の衝撃荷重および集中荷重に耐えうる強度を有するヘリポートおよび建築土木部材に関する。
【背景技術】
近年、アスファルト製やコンクリート製のヘリポートに代わり、アルミニウム製のプレハブ式ヘリポートが普及しつつある。このヘリポートは、アスファルト製等のヘリポートと比較して、プレハブ式なので建築物の屋上や地面等に簡易に設置でき、また、軽量なので建築物の構造強度を低減できる等の種々の利点を有する。第20図および第21図は、従来のヘリポートを示す全体構成図(第20図)および組立斜視図(第21図)である。従来のヘリポート100は、プレハブ式を採用し、デッキ材110と、小梁120と、大梁130とを含み構成される。このデッキ材110は、小梁120上に複数架け渡されて敷き詰められ、ヘリポート面Hを形成する。ただし、隣接するデッキ材110、110は、直接的には相互に接合されておらず、小梁120上にそれぞれボルト結合されて固定される。小梁120は、大梁130上に複数架け渡されてデッキ材110の土台となる。大梁130は、平地や建物の屋上に設けた柱上に大型の梁を掛け渡して構成され、小梁120の土台となる。なお、上記従来のヘリポート100について、後述する解決課題に関連する国内出願は為されていないため、関連する特許文献の記載を省略する。
ところで、近年、上記プレハブ式のヘリポート100を水上に簡易に設置したい旨の要望がある。かかる構成としては、例えば、水上に浮遊させた構造物を土台として、この構造物上にデッキ材110を敷き詰める構成がある(図示省略)。しかしながら、有事の場合において、十分な強度を有する浮体構造物を、水上に簡易に設置できる場合は少ない。したがって、ヘリポートの土台となる浮体構造物は、多くが低剛性もしくは脆弱なものとなる。かかる浮体構造物上に小梁120を設けてデッキ材110を敷き詰めると、ヘリポート特有の集中荷重および衝撃荷重により、浮体構造物が破損するという問題点がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な浮体構造物上に設置可能であると共に、特有の衝撃荷重および集中荷重に耐えうる強度を有するヘリポートおよび建築土木部材を提供することを目的とする。
【発明の開示】
上記の目的を達成するために、この発明にかかるヘリポートは、長尺のデッキ材を複数並べて接合した構造を有する平面部材と、当該平面部材を支持すると共に水面上に浮かぶ浮体構造物とを含み、且つ、前記平面部材の上面にヘリポート面を構成し、若しくは、前記平面部材によりヘリポートの土台を構成して成る。
この発明では、長尺のデッキ材を複数並べて接合して平面部材を構成する。この平面部材は、デッキ材相互間の接合により平面方向に対して一定の曲げ剛性を有する。すると、デッキ材を浮体構造物に対して別個独立に設置する構成と比較して、平面部材に作用した垂直荷重が分散されて浮上構造物に掛かる。これにより、トラスや筏等の簡易な浮上構造物上にも、ヘリポートを設置できる利点がある。なお、浮体構造物には、例えば、作業員により簡易に組立可能な構造物が含まれ、例えば、筏、浮遊可能なトラス構造物、骨組構造物もしくは枠状構造物その他の簡易構造物が含まれる。かかる簡易構造物を平面部材の土台とすれば、任意の場所に簡易にヘリポートを形成できる利点がある。
また、この発明にかかるヘリポートは、長尺のデッキ材を複数並べて接合して成ると共に略平面構造を有し、ヘリポート面もしくはヘリポートの土台を構成する平面部材と、当該平面部材を支持する支持構造物とを含み、且つ、前記平面部材が、その底面を前記支持構造物に対して接合片により結合されて成る。
この発明では、平面部材を支持構造物により支持して、ヘリポート面もしくはヘリポートの土台を構成する。ここで、平面部材は、その底面を支持構造物に対して接合片により結合される。これにより、例えば、立体トラス上に平面部材を固定できる利点がある。
また、この発明にかかるヘリポートは、長尺のデッキ材を複数並べて接合して成ると共に略平面構造を有し、骨組構造物上に設置されて底面を支持される平面部材を含み、且つ、前記平面部材の上面にヘリポート面を構成し、若しくは、前記平面部材によりヘリポートの土台を構成して成る。
例えば、体育館や倉庫などの大きな空間が必要な建造物は、その支柱間の距離が長いため、強度上の観点から屋根を平面型トラスにより構成される。近年、かかる平面型トラスから成る屋根(以下、トラス屋根という。)上に、ヘリポートを設置すべき要請がある。しかしながら、かかるトラス屋根上には、従来のヘリポート100を設置できないという問題点がある。すなわち、トラス屋根上に、小梁120を設けてデッキ材110を敷き詰めるとすると、ヘリポート特有の衝撃荷重および集中荷重により、一部の小梁120に荷重が集中するおそれがある。すると、トラス屋根の構成部材に座屈が生じる等の問題がある。また、トラス屋根に限らず、トラス構造物、枠状構造物その他の骨組構造物上にヘリポートを形成する場合に、同様の問題が発生する。そこで、この発明では、長尺のデッキ材を複数並べて接合して平面部材を構成し、この平面部材を低強度構造物上に設置してヘリポートを構成する。この平面部材は、デッキ材相互間の接合により平面方向に対して一定の曲げ剛性を有する。これにより、平面部材に作用する垂直荷重が分散されるので、骨組構造物の破損を抑制できる利点がある。
また、この発明にかかるヘリポートは、長尺のデッキ材を複数並べて接合して成ると共に略平面構造を有し、所定の設置面上に設置される平面部材を含み、且つ、前記平面部材の上面にヘリポート面を構成し、若しくは、前記平面部材によりヘリポートの土台を構成して成る。
ところで、近年、有事の場合にて、凹凸の多い地面などに非常用の簡易ヘリポートを設置すべき要請がある。しかしながら、かかる地面上に小梁120を設けても、小梁120間の平行性を確保できず、平坦なヘリポート面Hを構成できないという問題点がある。そこで、この発明では、長尺のデッキ材を複数並べて接合して平面部材を構成し、この平面部材を土台として若しくはこの平面部材の上面にて、ヘリポートを構成する。これにより、凹凸のある設置面にも平坦なヘリポートを簡易に形成できる利点がある。
また、この発明にかかるヘリポートは、前記デッキ材は、幅方向の側部に嵌合部を設けられると共に、前記嵌合部にて嵌め合わされて直接的に、若しくは、前記嵌合部に差し込まれる中間部材を介して間接的に、隣接する前記デッキ材に接合される。
この発明では、デッキ材の側面に嵌合部を設ける。そして、この嵌合部にて直接的に隣接するデッキ材を嵌め合わせて接合し、または、この嵌合部に嵌め合わされる中間部材を介して間接的に隣接するデッキ材を接合する。嵌合部は、直接もしくは間接的に嵌め合わさることにより、隣接するデッキ材間に一定の曲げ剛性を持たせる。これにより、ボルト等を用いて接合する場合と比較して、簡易に平面部材を組み立てられると共に、垂直荷重に対する平面部材の強度を高められる利点がある。なお、嵌合部には、例えば、隣接するデッキ材の対応する側部に設けられると共に、相互に嵌め合わさる凹凸部が含まれる。
また、この発明にかかるヘリポートは、前記デッキ材は、両端開放の中空構造を有すると共にその中空部の一端側から補強部材を挿入され、且つ、当該補強部材の開放側の端部を前記デッキ材の長手方向に隣接する他のデッキ材の中空部に挿入されて、当該他のデッキ材に継ぎ合わされる。
この発明では、各デッキ材を中空構造とし、これらのデッキ材を長手方向に隣接させて配列する。そして、デッキ材の中空部の一端側から補強部材を挿入し、この補強部材の開放側の端部を、このデッキ材の長手方向に隣接させた他のデッキ材の中空部に挿入して、隣接するデッキ材同士を継ぎ合わせる。これにより、補強部材の剛性によりデッキ材間の継ぎ目を補強できるので、平面部材の長手方向に対する曲げ剛性を高められる利点がある。
また、この発明にかかるヘリポートは、前記デッキ材は、長手方向への押出成形により一体成形される。
この発明では、デッキ材を、長手方向への押出成形により一体形成する。これにより、デッキ材を単一工程により一時に形成できる利点がある。また、このデッキ材を、人力により搬送可能な重量および寸法に成形しても良い。これにより、ヘリポートを人力で組み上げ得るので、例えば、デッキ材を搬送するクレーンを使用できない状況下にあっても、人海戦術によりヘリポートを形成できる利点がある。なお、人力により搬送可能な重量および寸法は、作業性の観点から1人または2人の作業員により搬送できる範囲が好ましい。
また、この発明にかかるヘリポートは、前記平面部材は、複数積層されて当該平面部材同士が面接触状態となる。
この発明では、平面部材を、面接触状態にて複数積層して設ける。これにより、平面部材間のぐらつきを抑制できるので、ヘリポートの強度を高められる利点がある。なお、平面部材を積層する構成には、例えば、一対の平面部材の各対向面にそれぞれ溝部を設けて、これらの溝部に接合片を差し込み、この接合片を介して平面部材を接合して積層する構成が含まれる。かかる構成では、接合片の着脱が容易なので、平面部材を簡易に積層して組み立て得る利点がある。また、これらの溝部は、平面部材を構成するデッキ材の長手方向に沿って設けられると共に、デッキ材の形成時にて押出加工により一体形成されてもよい。これにより、溝部をデッキ材の形成時にて同時に形成できるので、かかる溝部を設ける別工程を省略できる利点がある。
また、この発明にかかるヘリポート部材は、長尺のデッキ材を複数並べて接合して成ると共に略平面構造を有し、且つ、ヘリポート面もしくはヘリポートの土台を構成する。
また、この発明にかかる建築土木部材は、長尺のデッキ材を平面方向に複数並べると共に、これらのデッキ材を相互に継ぎ合わせて接合して成り、単一の略板状構造を有すると共に、支持手段上に設置されて平面を構成する。
この平面部材は、デッキ材相互間の接合により、その接合部にて折れ曲がらないので、その平面方向に対して一定の曲げ剛性を有する。したがって、平面部材は、その平面に受けた集中荷重を分散して下方の支持手段に伝達する。これにより、例えば、立体トラスその他の骨組構造物等の比較的強度が低い支持手段上にも、平面を構成できる利点がある。
また、この発明にかかる建築土木部材は、前記デッキ材は、幅方向の側部に嵌合部を設けられると共に、前記嵌合部にて嵌め合わされて直接的に、若しくは、前記嵌合部に差し込まれる中間部材を介して間接的に、隣接する前記デッキ材に接合される。
この発明では、デッキ材の側面に嵌合部を設ける。そして、この嵌合部にて直接的に隣接するデッキ材を嵌め合わせて接合し、または、この嵌合部に嵌め合わされる中間部材を介して間接的に隣接するデッキ材を接合する。この嵌合部は、直接もしくは間接的に嵌め合わさることにより、隣接するデッキ材間に一定の曲げ剛性を持たせる。これにより、ボルト等を用いて接合する場合と比較して、簡易に平面部材を組み立てられると共に、垂直荷重に対する平面部材の強度を高められる利点がある。なお、嵌合部には、例えば、隣接するデッキ材の対応する側部に設けられると共に、相互に嵌め合わさる凹凸部が含まれる。
また、この発明にかかる建築土木部材は、前記デッキ材は、両端開放の中空構造を有すると共にその中空部の一端側から補強部材を挿入され、且つ、当該補強部材の開放側の端部を前記デッキ材の長手方向に隣接する他のデッキ材の中空部に挿入されて、当該他のデッキ材に継ぎ合わされる。
この発明では、各デッキ材を中空構造とし、これらのデッキ材を長手方向に隣接させて配列する。そして、デッキ材の中空部の一端側から補強部材を挿入し、この補強部材の開放側の端部を、このデッキ材の長手方向に隣接させた他のデッキ材の中空部に挿入して、隣接するデッキ材同士を継ぎ合わせる。これにより、補強部材の剛性によりデッキ材間の継ぎ目を補強できるので、平面部材の長手方向に対する曲げ剛性を高められる利点がある。
また、この建築土木部材において、前記デッキ材は、長手方向への押出成形により一体成形されてもよい。これにより、デッキ材を単一工程により一時に形成できる利点がある。また、このデッキ材を、人力により搬送可能な重量および寸法に成形しても良い。これにより、ヘリポートを人力で組み上げ得るので、例えば、デッキ材を搬送するクレーンを使用できない状況下にあっても、人海戦術によりヘリポートを形成できる利点がある。なお、人力により搬送可能な重量および寸法は、作業性の観点から1人または2人の作業員により搬送できる範囲が好ましい。
また、この建築土木部材において、前記平面部材は、複数積層されて当該平面部材同士が面接触状態となる構成を有しても良い。これにより、平面部材間のぐらつきを抑制できるので、ヘリポートの強度を高められる利点がある。なお、平面部材を積層する構成には、例えば、一対の平面部材の各対向面にそれぞれ溝部を設けて、これらの溝部に接合片を差し込み、この接合片を介して平面部材を接合して積層する構成が含まれる。かかる構成では、接合片の着脱が容易なので、平面部材を簡易に積層して組み立て得る利点がある。また、これらの溝部は、平面部材を構成するデッキ材の長手方向に沿って設けられると共に、デッキ材の形成時にて押出加工により一体形成されてもよい。これにより、溝部をデッキ材の形成時にて同時に形成できるので、かかる溝部を設ける別工程を省略できる利点がある。
また、この発明にかかる建築土木部材は、長尺構造を有すると共に、平面方向に複数並べられて相互に継ぎ合わされて接合され、単一の略板状構造を有する平面部材を構成する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施の形態1にかかるヘリポートを示す斜視図である。第2図は、第1図に記載した平面部材の構成を示す組立斜視図である。第3図は、平面部材を構成するデッキ材を示す断面図である。第4図は、デッキ材の補強部材を示す断面図である。第5図は、デッキ材の長手方向の接合を示す説明図である。第6図は、デッキ材の幅方向の接合を示す説明図である。第7図は、取付金具の設置状態を示す斜視図である。第8図は、嵌合構造の変形例を示す断面図である。第9図は、実施の形態1の変形例1にかかるヘリポートを示す構成図である。第10図は、第9図に記載した平面部材を示す組立斜視図である。第11図は、第9図に記載した平面部材を示す断面図である。第12図は、デッキ材を示す断面図である。第13図は、補強部材を示す断面図である。第14図は、接合片を示す正面図(a)および平面図(b)である。第15図は、実施の形態1の変形例2にかかるヘリポートを示す構成図である。第16図は、第15図に記載した平面部材の積層状態を示す断面図である。第17図は、中間平面部材を構成するデッキ材を示す断面図である。第18図は、平面部材の用途の一例を示す構成図である。第19図は、平面部材の用途の一例を示す構成図である。第20図は、従来のヘリポートを示す全体構成図である。第21図は、従来のヘリポートを示す組立斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。
(実施の形態1)
第1図は、この発明の実施の形態1にかかるヘリポートを示す斜視図であり、第2図は、第1図に記載した平面部材の構成を示す組立斜視図である。このヘリポート1は、平面部材10と、立体トラス20とを含み構成される。平面部材10は、長尺構造を有するアルミニウム製のデッキ材11を複数接合して成り、単一な略板状構造を有する。また、デッキ材11には長いものと短いものとがあり、平面部材10は、これらを縦横に組み合わせて略正方形に形成される。なお、デッキ材11をアルミニウム製としたのは、ヘリポート1の強度を維持しつつ、その軽量化を図るためである。具体的には、長いデッキ材11が30[kg重]、短いデッキ材11が15[kg重]の重量を有し、いずれも一人の大人が搬送可能な重量を有する。
第3図は、平面部材を構成するデッキ材を示す断面図であり、第4図は、デッキ材の補強部材を示す断面図である。第3図において、デッキ材11は、矩形断面の中空構造を有し、押出加工により長手方向に一様に形成される。デッキ材11は、幅方向の一方の側面に凸部14を有し、他方の側面に凹部15を有する。これらの凹凸部14,15は、デッキ材11の形成時にて押出加工により一時に形成される。また、凸部14と凹部15とは、蟻継ぎ構造により、相互に固定的に嵌まり合う形状を有する。第4図において、補強部材16は、アルミニウム製の角パイプであり、デッキ材11の中空部17に挿入されてデッキ材11を補強する。なお、中空部17は、いずれも同一寸法の中空断面を有する(第3図参照)。これにより、単一種類の補強部材16を用いて、デッキ材11を補強できる利点がある。
第5図は、デッキ材の長手方向の接合を示す説明図である。第5図において、長手方向に隣接するデッキ材11、11は、中空部17に半分の長さずつ挿入された補強部材16を介して継ぎ合わされる。デッキ材11、11は、この補強部材16により曲げ剛性を有する一本の棒状部材を構成する。また、第6図は、デッキ材の幅方向の接合を示す説明図である。第6図において、幅方向に隣接するデッキ材11、11は、側面の凹凸部14,15を長手方向から差し込み嵌め合わされて、相互に接合される。このとき、隣接するデッキ材11は、長手方向に半分の長さずつ、ずらして接合される(第2図参照)。接合状態にて対応する凸部14と凹部15とは、接合されたデッキ材11,11が接合部にて「く」の字に折れ曲がらないように、しっかりと嵌まり合う。デッキ材11は、これらの接合構造により長手方向および幅方向に接合されて平面部材10を構成する。
平面部材10は、立体トラス20上に設置されて、その上面にてヘリコプターが発着するヘリポート面Hを構成する(第1図および第2図参照)。ここで、平面部材10は、かかる接合により単一の板状構造物として機能し、ヘリポート面Hから受ける集中荷重および衝撃荷重を分散して下方の立体トラス20に伝達する。すると、平面部材10に作用する荷重が分散されるので、立体トラス20上に小梁120を設けてデッキ材110を敷き詰める構成と比較して、立体トラス20の軸力が低減される。これにより、立体トラス20を構成するパイプ材の座屈を抑制できるので、ヘリポートを、脆弱な若しくは集中荷重に対する剛性が低い低強度構造物上に設置できる利点がある。また、平面部材10は、デッキ材11および補強部材16の嵌め合わせにより簡易に組み立てられるので、任意の場所に簡易にヘリポート1を設置できる利点がある。
一方、立体トラス20は、複数のパイプ材を組み合わせて成り、全体としては、略箱型形状を有する。特に、この立体トラス20は、人力により搬送可能なパイプ材から成り、作業員の手作業により簡易に組立可能な点に特徴を有する。したがって、この立体トラス20は、パイプ材を搬送することにより、任意の場所に簡易に設置できる利点がある。また、立体トラス20は、その外周側面に浮き袋22を複数取り付けられ、これらの浮き袋22の浮力により水上に浮遊して、ヘリポート1の土台を構成する。そして、この立体トラス20上に平面部材10を設置することにより、水上に簡易にヘリポート1を形成できる。特に、かかる水上設置型のヘリポート1は、有事の場合において、海岸部にヘリポートを設置するスペースが無い場合等に有用である。なお、立体トラス20には、人が乗り降りできるように、陸とヘリポート1とを結ぶ桟橋23が設置される。また、立体トラス20の底面および桟橋23には、付加的に浮き袋(図示省略)が取り付けられる場合がある。
また、平面部材10は、取付金具を用いて立体トラス20上に設置される。第7図は、かかる取付金具の設置状態を示す斜視図である。取付金具25は、板状の面部26と、この面部26の底面に設けられた球殻形状の脚部27とを有する。取付金具25は、立体トラス20を構成するパイプ材の結合点21上に、その脚部27を嵌め込み取り付けられる。平面部材10は、取付金具25の面部26上に載せられて固定される。ここで、面部26は、脚部27に対して若干の回転変位できるように取り付けられる。これにより、面部26は、その接触面の向きを回転変位させて、平面部材10の底面にしっかりと接触する。これにより、平面部材10を立体トラス20上に確実に固定できる利点がある。
なお、この実施の形態1では、デッキ材11の1枚あたりの長さは、長いものが約2000[mm]、短いものが約1000[mm]である。これは、平均的な1人の大人が人力で搬送できる長さであり、且つ、一般的な押出加工にて容易に形成できる長さである点で好ましい。しかし、これに限らず、デッキ材11は、ヘリポート1の組立効率を確保できる範囲内であれば、より短くとも良い。デッキ材11が短いほどその搬送が容易となる利点がある。また、デッキ材11は、より長くとも良い。デッキ材11が長いほど、ヘリポートの部品点数が減少してその組み立てが簡易となる利点がある。また、この実施の形態1では、長いデッキ材11の重量を、約30[kg重]としたが、これは、例えば、訓練を積んだ1人の自衛隊員が搬送できる重量である点で好ましい。しかし、これに限らず、デッキ材11は、その強度を確保できる範囲内でより軽量化しても良い。これにより、一般人にも搬送が容易となる利点がある。
また、この実施の形態1では、デッキ材11の側面に凹凸部14,15を設け、蟻継ぎ構造によりこれらを嵌め合わせる。これは、ボルト結合等により接合する場合と比較して、平面部材10の組立作業を簡易に行い得る点で好ましい。また、蟻継ぎ構造とすれば、平面方向への引っ張りにより、デッキ材11,11同士の接合が外れる事態を防止できる利点がある。しかし、これに限らず、デッキ材11の嵌合部もしくは嵌合構造には、当業者公知もしくは当業者自明の構造を採用しても良い。
また、第8図は、かかる嵌合構造の変形例を示す断面図である。同図に示すように、デッキ材30の両側面の嵌合部をいずれも凹部31とし、これらの凹部31、31間に中間部材32を差し込み介在させて、デッキ材30,30を嵌め合わせる構成としても良い。かかる構成では、デッキ材30、30を所定位置に並べた後に中間部材32を差し込んで嵌め込み、デッキ材30,30を接合させる。これにより、デッキ材30を設置位置から動かさずに済むので、重量が嵩むデッキ材11同士を摺り動かして嵌め合わせる場合と比較して、より簡易に平面部材10を組み立て得る利点がある。特に、後述するこのヘリポート1の変形例では、平面部材を複数積層する構成上、平面部材の組立が本実施の形態1より煩雑となる。この点において、この中間部材32を用いる組立方式によれば、先ずデッキ材を並べて積層してから、デッキ材同士を接合して平面部材を構成するので、より簡易にヘリポートを組み立て得る利点がある。なお、この実施の形態1において、デッキ材30の中空部33には、補強部材16が挿入される。
また、この実施の形態1では、平面部材10は、立体トラス20よりも平面部の面積が小さい。そして、浮き袋22は、立体トラス20の外周に取り付けられる(第1図参照)。これにより、ヘリポート1は、ヘリポート面Hにて受ける荷重を、立体トラス20を介して浮き袋22間の幅広いスパンにて支持するので、転覆し難いという利点がある。
(変形例1)
第9図は、実施の形態1の変形例1にかかるヘリポートを示す構成図である。同図において、上記実施の形態1と同一の構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。このヘリポート2では、実施の形態1のヘリポート1と比較して、平面部材40,41を重ねて設けて2重構造とした点に特徴を有する。すなわち、このヘリポート2は、下部平面部材41を立体トラス20上に設け、その上に上部平面部材40を重ねて設けて構成される。ここで、上部平面部材40と下部平面部材41とは、略同一形状および略同一構造を有し、これらを構成するデッキ材42の配列方向を直交させて重ね合わされる。かかる2重構造および交差構造により、特有の集中化重および衝撃荷重に対するヘリポート2の剛性を高められる利点がある。なお、下部平面部材41は、立体トラス20に対し、取付金具25を用いて実施の形態1と同様に取り付けられる。また、このヘリポート2は、立体トラス20に取り付けられる浮き袋22および桟橋23(図示省略)により、水上に浮遊して設置される。
第10図および第11図は、第9図に記載した平面部材を示す組立斜視図(第10図)および断面図(第11図)である。また、第12図は、デッキ材を示す断面図であり、第13図は、補強部材を示す断面図である。第14図は、接合片を示す正面図(a)および平面図(b)であり、デッキ材42は、アルミニウム製の長尺部材であり、中空構造を有し、押出加工により長手方向に一様断面に形成される(第12図参照)。また、デッキ材42は、平面方向の側部に凹凸部43,44を有し、これらを嵌合部として隣接するデッキ材42と幅方向に接合される。また、デッキ材42の中空部46には、アルミニウム製の補強部材48(第13図参照)が挿入される。デッキ材42は、この補強部材48により他のデッキ材42と長手方向に継ぎ合わされる(第10図参照)。これにより、デッキ材42は縦横に接合されて、単一の板状構造を有する平面部材40,41を構成する。なお、かかる平面部材40,41の接続構造は、実施の形態1と同様である。また、平面部材40,41は、いずれも同一のデッキ材42を用いて構成される。したがって、押出加工するデッキ材の種類は、1種類のみで良いという利点がある。
ここで、デッキ材42は、実施の形態1のデッキ材11と比較して、その上部に長手方向に沿って設けられた2本のレール部45、45を有する点に特徴を有する(第10図および第12図参照)。これらのレール部45には、複数の接合片47が設置される。接合片47は、方形状を有する一対の板状部47a、47aを有し、これらの片面を軸部47bにより結合されて成る(第14図参照)。上部平面部材40と下部平面部材41とは、この接合片47を介して接合される。平面部材40,41の接合にあたり、まず、立体トラス20上に下部平面部材41を組み立てて設置する。つぎに、この下部平面部材41を構成するデッキ材42のレール部45に、その端部から接合片45の一方の板状部47aを差し込み、他方の板状部47aをレール部45の外に突出させた状態にて、接合片47を所定の位置に配列する(第10図参照)。
つぎに、設置された下部平面部材41上に、上部平面部材41を構成するデッキ材42を配置する。このとき、デッキ材42を下部平面部材41の上側側方からスライドさせて、そのレール部45に、下部平面部材41上に突出する複数の接合片47の板状部47aを順次差し込みつつ設置する。これにより、上部平面部材41のデッキ材42は、接合片47を介して下部平面部材41に接合される(第11図参照)。そして、デッキ材42を順次設置して、下部平面部材41上に上部平面部材40を組み上げる。これにより、平面部材40,41を2重に積層して成るヘリポート面Hを構成できる。なお、これらの平面部材40,41は、その接合状態にて面接触する。すなわち、接合片47は、平面部材40,41がかかる接合状態となるように、軸部47bの長さその他の寸法を設計される。かかる面接触により平面部材40,41間の接合を強化できるので、ヘリポート2の剛性をさらに高め得る利点がある。
なお、この変形例1では、接合片47の板状部47aを方形状としたが、これは、その直交する辺により、上下のデッキ材42,42の接合角度を直交した状態に固定できる点で好ましい。これにより、デッキ材42,42間の回転変位を拘束して、平面部材40,41同士を強固に接合できる利点がある。しかし、接合片47の板状部47aの形状は、これに限定されず、例えば、正六角形としても良いし、円形としても良い。形状を正六角形とすれば、上下のデッキ材42、42の接合角度を約60度に拘束できるので、例えば、後述する変形例2のヘリポート3において、平面部材を60度ずつ交差させて積層する場合に好適である(図示省略)。また、形状を円形とすれば、デッキ材42,42の接合角度を任意に変形できる利点がある。
(変形例2)
第15図は、実施の形態1の変形例2にかかるヘリポートを示す構成図である。同図において、上記実施の形態1および変形例1と同一の構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。このヘリポート3では、変形例1のヘリポート2と比較して、平面部材40,41の中間に、さらに中間平面部材50を設けて3重構造とした点に特徴を有する。すなわち、このヘリポート3は、下部平面部材41を立体トラス20上に設け、その上に中間平面部材50を設け、さらに、その上に上部平面部材40を設けて構成される。また、これらの平面部材40,41,50は、そのデッキ材42,51の配列方向を相互に直交させつつ積層される。これにより、ヘリポート3の強度を高められる。
第16図は、第15図に記載した平面部材の積層状態を示す断面図である。また、第17図は、中間平面部材を構成するデッキ材を示す断面図である。このデッキ材51は、変形例1のデッキ材42と比較して、その両面に、接合片47を差し込むレール部53を備える点に特徴を有する(第17図参照)。ここで、デッキ材51は、側面の凹凸部54,55にて幅方向に隣接する他のデッキ材50と接合される。また、デッキ材51は、中空部56に補強部材48を挿入されて長手方向に隣接する他のデッキ材50と継ぎ合わされる。これにより、デッキ材51は、単一の略板状構造を有する中間平面部材50を構成する。そして、中間平面部材50は、これらのレール部53に差し込まれた接合片47を介して、上下の平面部材40,41と面接触にて接合される。これにより、平面部材40,41,50相互間の接合強度が高められる利点がある。なお、平面部材40,41,50の組み立て方式は、変形例1のデッキ材42と同様である。具体的には、立体トラス20上に下部平面部材41を組み上げ、この上にデッキ材51を順次設置して中間平面部材50を組み上げる。そして、この上にさらに上部平面部材40を組み上げてヘリポート面Hを構成する。また、この変形例2では、3枚の平面部材40,41,50を積層したが、同様の積層方式により、さらに多数の平面部材を積層しても良い。
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、平面部材10を水上に浮遊する立体トラス20上に設けてヘリポート1を構成したが、平面部材10の用途は、これに限定されない。例えば、体育館や倉庫のように支柱間の距離が長い建造物では、強度上の理由から屋根を平面型のトラス(以下、トラス屋根という。)により構成される場合がある。かかるトラス屋根上には、従来のヘリポート100を設置し難いという問題点がある。すなわち、トラス屋根上に小梁120を設けてその上にデッキ材110を敷き詰めるとすると、デッキ材110に掛かる集中荷重および衝撃荷重が一部の小梁120に作用して、トラス屋根に座屈が生じるという問題点がある。そこで、この実施の形態2では、上記平面部材10をトラス屋根上に直接設置してヘリポートを構成する(図示省略)。すると、平面部材10は、単一の板状構造物として機能し、ヘリポート面Hに作用する荷重を分散して下方のトラス屋根に伝達する。これにより、構成部材の座屈を抑制できるので、トラス屋根上にもヘリポートを簡易に設置できる利点がある。
なお、この実施の形態2では、平面部材10は、トラス屋根に対して取付金具25により取り付けられる。また、平面部材10を、変形例1もしくは変形例2のように積層構造としても良い。また、平面部材10の設置場所は、トラス屋根上に限られない。すなわち、上記トラス屋根の様にヘリポート特有の集中荷重および衝撃荷重に耐えられず、したがって、小梁120を設置する構成が適さない構造物もしくは建造物上に、平面部材10を設置しても良い。これにより、かかる脆弱な若しくは低剛性の構造物上にも、ヘリポートを形成できる利点がある。
また、既存の建造物では、例えば、搬送用クレーンを使用できない場合がある。かかる建造物では、ヘリポート1のデッキ材11に比して遙かに長尺な小梁120を、その屋上まで搬送できない場合がある。この点において、この平面部材10は、人力で搬送可能な重量および寸法を有するデッキ材11から成るので、例えば、建造物のエレベータを用いてデッキ材11を屋上まで搬送し、ヘリポートを形成できる利点がある。
また、近年、有事の場合にて、凹凸の多い地面や、散乱した瓦礫上などに非常用の簡易ヘリポートを設置すべき要請がある。しかしながら、かかる地面上に小梁120を設けても、小梁120間の平行性を確保できず、平坦なヘリポート面Hを構成できないという問題点がある。そこで、上記平面部材10を、かかる地面等に設置してヘリポートを構成しても良い(図示省略)。平面部材10は、単一の板状構造物として機能するので、かかる凹凸のある地面等に設置されても、平坦なヘリポート面Hを形成できる利点がある。
(実施の形態3)
上記実施の形態1では、平面部材10をヘリポート1に用いたが、平面部材10の用途は、かかる用途に限定されない。例えば、この平面部材10を、建築物や構造物の床材、屋根材、壁材、板材その他の建造資材として用いてもよい。具体的には、家屋やビルディングの建築材料、立体駐車場のフロア材料、橋梁を構成する土木材料、プレハブ式簡易橋梁の構成部材、船舶のデッキ材として用いても良い。例えば、従来の建築物では、設けた柱材上に複数の梁材を掛け渡し、これらの梁材上に床材や屋根材を掛け渡して、その床面や屋根を構成する。しかしながら、土台となる柱材や梁材の強度が不十分な場合には、集中荷重による座屈やせん断により、これらが破損するおそれがある。そこで、この平面部材10を、床材や屋根材として用い、梁材上に設置する。この平面部材10は、実施の形態1に記載したように、複数のデッキ材11を平面方向に相互に接合して成り、且つ、嵌合構造によりその接合部14,15にて折れ曲がらないように構成される。そして、平面部材10は、相当の強度を有する一枚の板状構造物として機能して、上面に作用する集中荷重を分散して下方の梁材に伝える。これにより、集中荷重の発生を抑制して、柱材や梁材の破損を防止できる利点がある。また、この平面部材10は、複数のデッキ材11を接合して成るので、その一辺の長さを調整して、任意の広さの平面を構成できる利点がある。これにより、例えば、梁材間の長さが個々のデッキ材11より長い場合にも、平面部材10の一辺の長さをスパンに応じて延長することにより、何ら問題なく床面を構成できる利点がある。特に、有事の場合にて臨時的に建築物を構成する場合や、既存の建築物に新たに床面や屋根など設ける場合などでは、適用可能な搬送手段の如何により、搬入できる資材の長さが制限される場合がある。この点において、この平面部材10は、構成要素であるデッキ材11自体が短いので、かかる制限に対して柔軟に対応できる利点がある。
【実施例1】
第18図は、平面部材の用途の一例を示す構成図である。同図において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を省略する。同図において、梁材62は、点在する柱材61上に複数掛け渡される。平面部材10は、この梁材62上に設置され、建築物の床面Fを構成する。この平面部材10は、上記した集中荷重分散作用により、上面に作用する荷重を分散して、これを支持する下方の梁材62に伝える。これにより、梁材62に作用する荷重を分散させて梁材62の破損を抑制できる利点がある。また、柱材61に作用する軸力が低減されて、柱材61の座屈を抑制できる場合もある。
なお、この実施例1において、建築物の床の強度をさらに増す場合には、この平面部材10に代えて積層可能な平面部材40,41,50を用いればよい(第9図〜第17図参照)。また、かかる平面部材40,41,50を用いる場合において、接合片47による積層構造(図10参照)は、平面部材40,41,50同士を面接触状態にて、確実に保持する。これにより、建築物の床の強度をより高められる利点がある。また、平面部材10を構成するデッキ材11は、アルミニウム製に限られず、用途に応じて、材質を当業者自明の範囲内にて適宜変更して良い。例えば、デッキ材11を、一般建築に用いられる集積材により構成しても良い。また、この実施例1では、柱材61上に梁材62を設けて、この梁材62上に平面部材10を設置する。しかし、これに限らず、平面部材10を柱材61上に直接設置しても良い。これにより、梁材62を省略できる利点がある。すなわち、平面部材10は、単一の略板状構造物として機能するので、かかる柱材61上にも直接設置できる利点がある。
例えば、この実施例1では、梁材62上に平面部材10を設置したが、平面部材10を立体トラスその他の骨組構造物上に設置して、建築物の床面や屋根を構成しても良い(図示省略)。具体的には、体育館や倉庫の屋根として適用できる。この平面部材10は、上記した荷重分散作用を有するので、かかる骨組構造物のように比較的強度が低い土台上にも設置できる利点がある。
また、この実施例1では、平面部材10を建築物の床面Fに用いたが、同様の構成により、平面部材10を建築物の屋根として用いてもよい。平面部材10は、上記のように、一枚の板状構造物として機能すると共に荷重分散機能を有するので、一般の屋根部材と比較して構造上高い強度を有する。これにより、屋根を支持する建築物の柱材61や梁材62の点数を低減できるので、より大きなフロアを形成できる利点がある。また、同様の観点から、この平面部材10を、例えば、立体駐車場のフロア材として用いれば、柱材61や梁材62の点数を低減できるので、より広い駐車スペースを確保できる利点がある。この利点は、特に日本国などの土地事情が深刻な国では、有益である。
【実施例2】
また、平面部材を、橋梁を構成要素として用いてもよい。第19図は、平面部材の用途の一例を示す構成図である。同図において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を省略する。この橋梁70は、プレハブ式の簡易橋梁であり、有事の場合において、作業員の手作業により短時間にて組み立てられる。この橋梁70は、平面部材71と、浮体構造物20とを含み構成される。平面部材71は、実施の形態1にかかる平面部材10と同様に、デッキ材11を幅方向および長手方向に複数接合して成り、単一の略板状構造を有する(第2図〜第6図参照)。この構造により、平面部材71は、荷重分散機能を有する。この平面部材71は、その長さが設置される河川の河幅より長くなるように、デッキ材11を適宜継ぎ足して構成される。また、平面部材71は、河川に浮かべられた浮体構造物20により底面を支持され、両端を河岸に載せて設置される。この浮体構造物20は、平面部材71が橋梁70を通過する車両の重量等により撓み、橋梁70が沈まないように、河幅に応じて適宜増設される。なお、この実施例2において、橋梁70の強度をさらに増す場合には、この平面部材10に代えて積層可能な平面部材40,41,50を用いればよい(第9図〜第17図参照)。また、かかる平面部材40,41,50を用いる場合において、接合片47による積層構造(図10参照)は、平面部材40,41,50同士を面接触状態にて、確実に保持する。これにより、橋梁70の強度をより高められる利点がある。また、平面部材10を構成するデッキ材11は、アルミニウム製に限られず、用途に応じて、材質を当業者自明の範囲内にて適宜変更して良い。
この実施例2にかかる橋梁70によれば、任意の河川に対して手作業により簡易的に橋梁を設置できるので、特に、有事の場合にて有益である。また、平面部材71および浮体構造物20は、いずれもデッキ材11やトラス材等の小さな資材から成る。したがって、これらを分割してトラックで搬送することにより、任意の河川に簡易に橋梁を設置できる利点がある。また、この橋梁70の橋板は、単一の略板状構造を有する平面部材71から成るので、単に浮体構造物20上に板材を設置して橋梁を構成する場合と比較して、強固である。橋梁70の橋板は、デッキ材11を継ぎ足すことにより延長できるので、河幅に応じてその長さを自在に調整できる利点がある。
【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明にかかるヘリポートおよび建築土木部材は、簡易な浮体構造物上に設置可能であると共に、特有の衝撃荷重および集中荷重に耐えうる強度を有するので、かかる用途において有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のデッキ材を複数並べて接合した構造を有する平面部材と、当該平面部材を支持すると共に水面上に浮かぶ浮体構造物とを含み、且つ、
前記平面部材の上面にヘリポート面を構成し、若しくは、前記平面部材によりヘリポートの土台を構成して成るヘリポート。
【請求項2】
長尺のデッキ材を複数並べて接合して成ると共に略平面構造を有し、ヘリポート面もしくはヘリポートの土台を構成する平面部材と、
当該平面部材を支持する支持構造物とを含み、且つ、
前記平面部材が、その底面を前記支持構造物に対して接合片により結合されて成るヘリポート。
【請求項3】
長尺のデッキ材を複数並べて接合して成ると共に略平面構造を有し、骨組構造物上に設置されて底面を支持される平面部材を含み、且つ、
前記平面部材の上面にヘリポート面を構成し、若しくは、前記平面部材によりヘリポートの土台を構成して成るヘリポート。
【請求項4】
長尺のデッキ材を複数並べて接合して成ると共に略平面構造を有し、所定の設置面上に設置される平面部材を含み、且つ、
前記平面部材の上面にヘリポート面を構成し、若しくは、前記平面部材によりヘリポートの土台を構成して成るヘリポート。
【請求項5】
前記デッキ材は、幅方向の側部に嵌合部を設けられると共に、前記嵌合部にて嵌め合わされて直接的に、若しくは、前記嵌合部に差し込まれる中間部材を介して間接的に、隣接する前記デッキ材に接合される請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1つに記載のヘリポート。
【請求項6】
前記デッキ材は、両端開放の中空構造を有すると共にその中空部の一端側から補強部材を挿入され、且つ、当該補強部材の開放側の端部を前記デッキ材の長手方向に隣接する他のデッキ材の中空部に挿入されて、当該他のデッキ材に継ぎ合わされる請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1つに記載のヘリポート。
【請求項7】
前記デッキ材は、長手方向への押出成形により一体成形される請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1つに記載のヘリポート。
【請求項8】
前記平面部材は、複数積層されて当該平面部材同士が面接触状態となる請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1つに記載のヘリポート。
【請求項9】
長尺のデッキ材を平面方向に複数並べると共に、これらのデッキ材を相互に継ぎ合わせて接合して成り、単一の略板状構造を有すると共に、支持手段上に設置されて平面を構成する建築土木部材。
【請求項10】
前記デッキ材は、幅方向の側部に嵌合部を設けられると共に、前記嵌合部にて嵌め合わされて直接的に、若しくは、前記嵌合部に差し込まれる中間部材を介して間接的に、隣接する前記デッキ材に接合される請求の範囲第9項に記載の建築土木部材。
【請求項11】
前記デッキ材は、両端開放の中空構造を有すると共にその中空部の一端側から補強部材を挿入され、且つ、当該補強部材の開放側の端部を前記デッキ材の長手方向に隣接する他のデッキ材の中空部に挿入されて、当該他のデッキ材に継ぎ合わされる請求の範囲第9項または第10項に記載の建築土木部材。
【請求項12】
長尺構造を有すると共に、平面方向に複数並べられて相互に継ぎ合わされて接合され、単一の略板状構造を有する平面部材を構成する建築土木部材。

【国際公開番号】WO2004/053233
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【発行日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558377(P2004−558377)
【国際出願番号】PCT/JP2002/012979
【国際出願日】平成14年12月11日(2002.12.11)
【出願人】(597114384)エアロファシリティー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】