説明

ヘルスケアサニタリールーム

【課題】ユーザのヘルスケアを支援するために、体重や体温などの健康の指標を自動的に記録することができるヘルスケアサニタリールームを提供する。
【解決手段】鏡12を備える洗面化粧台14が設置された洗面室からなるサニタリールーム10であって、鏡12の裏側から鏡12の前側に居るユーザPを撮影する撮影手段20と、撮影手段20による撮影画像に対する顔認識処理によってユーザPを特定するユーザ特定手段30と、ユーザPの体重と体温を含む生体データを測定する生体データ測定手段40と、生体データ測定手段40により測定した生体データを記憶する記憶手段50と、ヘルスケアに関する情報を表示する情報表示手段60と、記憶手段50に記憶された生体データを外部に送信可能で、外部からの情報を受信可能な送受信手段70とを備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、普段の生活の中で特に意識することなく、体温や体重などの生体データを自動的に記録することができるようにしたヘルスケアサニタリールームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会を迎えた日本において、人々の健康に対する関心は様々な場面でニーズとして表れている。健康で日々健やかに暮らしたいと願う一方で、面倒な作業やエクササイズはなかなか長続きしにくいものでもある。
【0003】
このような健康行動に動機付けを与える良い方法として、日々の健康状態を知らせることが有効であると言われている。その一例として、日々の体重の変化を記録して見せるだけでダイエット法として効果があるとの報告がある。これは、体重の変化状態を見ることで、良い方向に行けば脳が喜び、悪い方向に行けば脳が警戒するという心理を応用したものである。こうしたダイエット法に関する従来の技術として、例えば特許文献1〜3の技術が知られている。
【0004】
しかしながら、たかが体重だけとはいえ、毎日記録を行うというのはこれも作業として継続しがたいものである。変化がすぐに現れれば、上記心理の応用として継続への負担は減るが、逆に、変化がない、悪い方向に行ってしまったなどの場合、往々にしてそのまま記録も止めてしまいがちである。
【0005】
このような問題を解決するために、記録作業を自動的に行う装置の開発が進められている(例えば、特許文献4および5参照)。普段の生活の行動の中で無理なく体重、体温などの健康の指標(以下、「生体データ」ともいう。)が記録できれば、その記録情報を元に、上記のダイエットなどのほかに健康アドバイスなどのサービスへの展開も考えることができる。健康の指標を記録することを家族のいる家庭で行う場合には、個人ごとに記録を行う必要がある。記録の際に個人ごとに申告してもらう方法もあるが、可能であれば、自動的に個人を特定した上で、健康の指標が記録されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−351830号公報
【特許文献2】特開2008−168614号公報
【特許文献3】特開2010−122718号公報
【特許文献4】特開平11−197116号公報
【特許文献5】特開2006−296481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の健康の指標を、洗面所(サニタリールーム)のような毎日使用する環境で自動的に記録することができれば、普段の生活の中で特に意識することがないので好都合である。このため、ユーザのヘルスケアを支援するために、健康の指標を自動的に記録することができるサニタリールームの開発が求められていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザのヘルスケアを支援するために、体重や体温などの健康の指標を自動的に記録することができるヘルスケアサニタリールームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係るヘルスケアサニタリールームは、鏡を備える洗面化粧台が設置された洗面室からなり、前記洗面化粧台を利用するユーザのヘルスケアを支援する機能を有するサニタリールームであって、前記鏡の裏側から前記鏡の前側に居るユーザを撮影する撮影手段と、前記撮影手段による撮影画像に対する顔認識処理によってユーザを特定するユーザ特定手段と、ユーザの体重と体温を含む生体データを測定する生体データ測定手段と、前記生体データ測定手段により測定した生体データを記憶する記憶手段と、前記生体データに基づくユーザのヘルスケアに関する情報を表示する情報表示手段と、前記記憶手段に記憶された前記生体データを外部に送信可能で、外部からの情報を受信可能な送受信手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係るヘルスケアサニタリールームは、上述した請求項1において、前記送受信手段を介して外部から送られてくるユーザのヘルスケアに関する情報を前記情報表示手段に表示するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鏡を備える洗面化粧台が設置された洗面室からなり、前記洗面化粧台を利用するユーザのヘルスケアを支援する機能を有するサニタリールームであって、前記鏡の裏側から前記鏡の前側に居るユーザを撮影する撮影手段と、前記撮影手段による撮影画像に対する顔認識処理によってユーザを特定するユーザ特定手段と、ユーザの体重と体温を含む生体データを測定する生体データ測定手段と、前記生体データ測定手段により測定した生体データを記憶する記憶手段と、前記生体データに基づくユーザのヘルスケアに関する情報を表示する情報表示手段と、前記記憶手段に記憶された前記生体データを外部に送信可能で、外部からの情報を受信可能な送受信手段とを備えるので、ユーザは普段の生活の中で特に意識することなく、体重や体温などの自身の健康の指標(生体データ)を自動的に記録することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係るヘルスケアサニタリールームの実施例を示す図である。
【図2】図2は、本発明に係るヘルスケアサニタリールームの概略ブロック図である。
【図3】図3は、本発明に係るヘルスケアサニタリールームの利用例の概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
サニタリールームは、通常の生活を営む限り人がほぼ毎日使用する設備であり、特に、洗面化粧台は基本的に一人が一定時間占有して使うことが多い。そのため、個人ごとの情報を収集するには理想的な場所といえる。本発明は、この場所において下記の機能を実装することで、健康維持のために必要な情報(ヘルスケアに関する情報)を自動的に記録・収集するものである。
【0014】
以下に、本発明に係るヘルスケアサニタリールームの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
図1および図2に示すように、本発明に係るヘルスケアサニタリールーム10は、鏡12を備える洗面化粧台14が設置された洗面室からなり、洗面化粧台14を利用するユーザPのヘルスケアを支援する機能を有するサニタリールームである。
【0016】
このヘルスケアサニタリールーム10は、撮影手段20と、ユーザ特定手段30と、生体データ測定手段40と、記憶手段50と、情報表示手段60と、送受信手段70とを備えている。
【0017】
撮影手段20は、鏡12の裏側から鏡12の前側に居るユーザPを撮影するカメラにより構成することができる。鏡12はハーフミラー等の透光性の鏡を用いることができる。ユーザ特定手段30は、撮影手段20による撮影画像に対する顔認識処理によってユーザPを特定するためのものである。生体データ測定手段40は、ユーザPの体重と体温を含む健康の指標(生体データ)を測定するためのものであり、放射温度計16や体重計(図示せず)などから構成される。
【0018】
記憶手段50は、生体データ測定手段40により測定した生体データを記憶するデータベースにより構成することができる。情報表示手段60は、ユーザPの生体データやこれに基づくヘルスケアに関する情報を表示するためのものであり、洗面化粧台14に設けたディスプレイなどから構成することができる。送受信手段70は、記憶手段50に記憶された生体データを、ネットワークを介してサニタリールームの外部に送信可能で、かつ、この外部からの情報を受信可能に構成されるものである。
【0019】
次に、上記構成の動作について説明する。まず、鏡12の裏側の撮影手段20によって鏡12の前側に居るユーザPが撮影される。この撮影画像に対するユーザ特定手段30の顔認識処理によってユーザ個人が特定される。最近の顔認識処理による個人認証は正答率が高く、家族などの利用においても正確な判定が期待できる。鏡に顔を向けるのも自然な行為なので認証にも向いている。
【0020】
ユーザ個人の特定の際に顔の位置を特定できるので、鏡12の近傍に設けた放射温度計16によってその位置でのユーザPからの放射温度を計測することにより、体温が測定される。ただし、ここで測定される体温は体表面温度であり、医学上の体温ではないため直接医療・診察行為には使用できないが、スクリーニング用途であれば十分活用できるものである。
【0021】
一方、洗面化粧台14の床に設置した体重計(図示せず)によってユーザPの体重が測定される。ここで、体重と同時に体脂肪率や心拍などを測定するようにしてもよい。この場合には、体脂肪率や心拍などを同時測定する機能が備わる市販の高機能体重計を利用することができる。
【0022】
こうして測定された体重や体温などの生体データは、ユーザ(家族を構成する各人)が洗面化粧台14を使用する毎に(毎日)、各人それぞれの情報として自動的に記憶手段50に記録される。
【0023】
このように、本発明によれば、ユーザは普段の生活の中で特に意識することなく、自身の健康の指標を毎日自動的に記録することができる。これにより、ユーザの健康状態を判断するための基本情報(生体データ)を収集・蓄積することができる。
【0024】
記憶手段50に収集・蓄積された生体データは、トレンドグラフなどに加工処理されて情報表示手段60(ディスプレイ)に表示することができる。これにより、上述のダイエット法に例示したような健康管理への動機付けを自然に導くことが可能になる。
【0025】
ここで、情報表示手段60の構成としては、洗面化粧台14に設けたディスプレイを用いる他に、鏡12にディスプレイを内蔵させて鏡面に情報を表示させる方式や、居室に設けたパーソナルコンピュータのディスプレイに情報を表示させる方式、あるいはこれらを併用した方式を用いることができる。
【0026】
また、記憶手段50に収集・蓄積された生体データは、送受信手段70によってインターネットやLANなどのネットワーク経由での参照や分析が可能である。このため、生体データを外部の健康サービスセンターなどに送信することで、このセンターから送られてくる健康アドバイスなどのユーザPのヘルスケアに関する情報を情報表示手段60に表示することも可能である。
【0027】
例えば、図3に示すように、家庭内のお父さん、お母さん、お爺ちゃん、お婆ちゃん、子供たちそれぞれ(ユーザP)について記録された生体データを分析して外部の健康サービスセンターなどで作成された健康アドバイスや分析結果を情報表示手段60に表示することが可能である。このように、ユーザPは情報表示手段60を通じてその健康管理効果を随時確認することができ、特別な作業をせずに健康管理の意識を高めることができる。
【0028】
また、こうした健康アドバイスサービスに加えて他の様々なサービスをヘルスケアサニタリールームなどにおいて享受することも可能である。例えば、外気温や湿度を取得しておき、体重の変化や外気温・湿度の変化あるいは天気予報の傾向などを参考にして、いわば健康予報的な体調予測やこの予測に基づいたユーザへのアドバイスを情報表示手段60に表示するようにしてもよい。さらに、ネットワーク経由での例えば占いなどの娯楽コンテンツを複合的に組み合わせた内容を表示することで、ユーザの興味を喚起し、利用継続の維持を図るようにようにしてもよい。
【0029】
健康的側面だけではなく、美容的側面でのアドバイスとして顔色の評価や肌荒れ状態を顔の画像から評価するようにしてもよい。また、二重等の判断から疲労度の判断まで加えることができる。
【0030】
以上説明したように、本発明によれば、鏡を備える洗面化粧台が設置された洗面室からなり、前記洗面化粧台を利用するユーザのヘルスケアを支援する機能を有するサニタリールームであって、前記鏡の裏側から前記鏡の前側に居るユーザを撮影する撮影手段と、前記撮影手段による撮影画像に対する顔認識処理によってユーザを特定するユーザ特定手段と、ユーザの体重と体温を含む生体データを測定する生体データ測定手段と、前記生体データ測定手段により測定した生体データを記憶する記憶手段と、前記生体データに基づくユーザのヘルスケアに関する情報を表示する情報表示手段と、前記記憶手段に記憶された前記生体データを外部に送信可能で、外部からの情報を受信可能な送受信手段とを備えるので、ユーザは普段の生活の中で特に意識することなく、体重や体温などの自身の健康の指標(生体データ)を自動的に記録することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明に係るヘルスケアサニタリールームは、体重や体温などの健康の指標(生体データ)を自動的に記録するのに有用であり、特に、普段の生活の中で特に意識することなく記録するのに適している。
【符号の説明】
【0032】
10 ヘルスケアサニタリールーム
12 鏡
14 洗面化粧台
20 撮影手段
30 ユーザ特定手段
40 生体データ測定手段
50 記憶手段
60 情報表示手段
70 送受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡を備える洗面化粧台が設置された洗面室からなり、前記洗面化粧台を利用するユーザのヘルスケアを支援する機能を有するサニタリールームであって、
前記鏡の裏側から前記鏡の前側に居るユーザを撮影する撮影手段と、前記撮影手段による撮影画像に対する顔認識処理によってユーザを特定するユーザ特定手段と、ユーザの体重と体温を含む生体データを測定する生体データ測定手段と、前記生体データ測定手段により測定した生体データを記憶する記憶手段と、前記生体データに基づくユーザのヘルスケアに関する情報を表示する情報表示手段と、前記記憶手段に記憶された前記生体データを外部に送信可能で、外部からの情報を受信可能な送受信手段とを備えることを特徴とするヘルスケアサニタリールーム。
【請求項2】
前記送受信手段を介して外部から送られてくるユーザのヘルスケアに関する情報を前記情報表示手段に表示するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のヘルスケアサニタリールーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−130520(P2012−130520A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285053(P2010−285053)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】