説明

ヘルメット用補強具

【課題】外径寸法の異なる複数種類のヘルメットにそれぞれ適正に装着することのできるヘルメット用補強具を提供する。
【解決手段】環状に連結した補強具本体2をヘルメットHに装着することにより、補強具本体2によってヘルメットHが径方向に補強され、横方向からの衝撃や圧迫に対するヘルメットHの強度が高められる。この場合、補強具本体2の両端側に設けた一対の連結部3を互いに補強具本体2の周方向任意の位置で連結可能に形成したので、ヘルメットHの外径寸法に応じて補強具本体2の連結時の周長を任意に調整することができる。従って、外径寸法の異なる複数種類のヘルメットにそれぞれ適正に装着することができ、汎用性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場等において作業者のヘルメットに装着して用いられるヘルメット用補強具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、工事現場等において使用されるヘルメットは、硬質の素材によって略半球状に形成され、作業現場の落下物から作業者の頭部を保護するようになっている。しかしながら、工事現場では上方からの落下物のみならず、例えば旋回する重機や、クレーンで吊り下げられた資材等が横方向から作業者の頭部に衝突するおそれもある。そこで、ヘルメットの周方向に延びる帯状の補強材をヘルメットの周縁部に装着することにより、ヘルメットを径方向に補強するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平5−10423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記ヘルメットの外径寸法は製造業者によって異なり、その周長も統一されているわけではない。しかしながら、前記従来例では、所定長さの帯状の補強材の両端部を互いに連結するようにしているため、環状に連結したときの周長と異なる外径寸法を有するヘルメットには装着することができず、汎用性に劣るという問題点があった。
【0004】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外径寸法の異なる複数種類のヘルメットにそれぞれ適正に装着することのできるヘルメット用補強具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するために、ヘルメットの周方向に延びる補強具本体と、補強具本体の両端側を互いにヘルメットの周方向への移動が規制されるように連結する連結部とを備え、環状に連結した補強具本体をヘルメットの外周面に装着して使用するヘルメット用補強具において、前記各連結部を互いに補強具本体の周方向任意の位置で連結可能に形成している。
【0006】
これにより、各連結部が互いに補強具本体の周方向任意の位置で連結可能に形成されていることから、ヘルメットの外径寸法に応じて補強具本体の連結時の周長を調整することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のヘルメット用補強具によれば、ヘルメットの外径寸法に応じて補強具本体の連結時の周長を任意に調整することができるので、外径寸法の異なる複数種類のヘルメットにそれぞれ適正に装着することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図6は本発明の一実施形態を示すもので、図1は補強具及びヘルメットの斜視図、図2はヘルメットに装着された補強具の斜視図、図3はその側面断面図、図4及び図5は補強具本体の斜視図、図6は連結部の側面図である。
【0009】
同図に示す補強具1は、ヘルメットHの周方向に延びるように形成された補強具本体2と、補強具本体2の両端側にそれぞれ設けられた連結部3と、各連結部3を係合状態に保持する保持部材4と、補強具本体2をヘルメットHに取付けるための一対の固定部材5とから構成されている。
【0010】
補強具本体2は断面四角形状の帯状部材からなり、例えば繊維強化プラスチック、合成樹脂、金属等、高強度の素材によって形成されている。また、補強具本体2は、図3に示すようにその内周面がヘルメットHの外周面の傾斜に沿ってテーパ状をなすように形成されている。
【0011】
各連結部3は、互いに補強具本体2の周方向に直交する方向(上下方向)に係合する複数の凹部3a及び複数の凸部3bからなり、各凹部3a及び各凸部3bは補強具本体2の周方向に交互に設けられている。また、一方の連結部3には保持部材4の移動を規制するための一対の突起3cが設けられ、各突起3cは互いに補強具本体2の周方向に保持部材4よりもやや長い間隔をおいて配置されている。
【0012】
保持部材4は係合状態の各連結部3に外側から覆うように筒状(環状)に形成され、補強具本体2に周方向に移動自在に嵌挿されている。
【0013】
各固定部材5は、ヘルメットHの縁部に係止可能な略L字状の部材からなり、補強具本体2の周方向二箇所に設けられている。
【0014】
以上のように構成された補強具1は、各連結部3を互いに連結することにより補強具本体2が環状に連結される。その際、各連結部3の各凹部3a及び各凸部3bが互いに補強具本体2の長手方向に直交する方向に係合することにより、各連結部3がヘルメットHの周方向への移動を規制されるように連結される。環状に連結された補強具1は、図1に示すようにヘルメットHに上方から被せることにより、図2に示すようにヘルメットHの下端側の外周面に装着され、各固定部材5をヘルメットHの縁部に係止することによりヘルメットHに固定される。これにより、補強具本体2によってヘルメットHが径方向に補強されることから、横方向からの衝撃や圧迫に対するヘルメットHの強度が高められる。
【0015】
また、補強具1をヘルメットHに装着する際、補強具本体2の周長がヘルメットHの周長と合致しない場合は、補強具1の各連結部3によって補強具本体2の周長を調整する。即ち、図6(a) に示すように保持部材4を各連結部3の係合が解除可能な位置まで移動するとともに、図6(b) に示すように各連結部3の係合を解除し、各連結部3を互いに補強具本体2の周方向にずらして任意の位置で再び係合する。その際、各連結部3は凹部3a及び凸部3bの1ピッチPずつ多段階にずらすことができる。そして、各連結部3を新たな位置で係合した後、図6(c) に示すように保持部材4を各連結部3を覆う位置まで移動する。これにより、各連結部3の係合解除が保持部材4によって規制される。その際、保持部材4は一方の突起3cを強制的に乗り越えて各連結部3の保持位置(各突起3cの間)に移動され、各連結部3の保持位置に移動した後は、各突起3cとの当接により各連結部3の保持位置からの移動を規制される。
【0016】
このように、本実施形態のヘルメット用補強具によれば、補強具本体2の両端側に設けた一対の連結部3を互いに補強具本体2の周方向任意の位置で連結可能に形成したので、ヘルメットHの外径寸法に応じて補強具本体2の連結時の周長を任意に調整することができる。従って、外径寸法の異なる複数種類のヘルメットにそれぞれ適正に装着することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【0017】
また、各連結部3を補強具本体2の周方向に等間隔で配列された複数の凹部3a及び複数の凸部3bによって形成し、各凹部3a及び各凸部3bを互いに補強具本体2の長手方向に直交する方向に係合するようにしたので、各連結部3の連結位置を凹部3a及び凸部3bの1ピッチPずつ多段階にずらすことができ、補強具本体2の周長を的確に調整することができる。この場合、各凹部3aと各凸部3bとの係合により、各連結部3を補強具本体2の周方向に移動しないように確実に連結することができ、補強具本体2の連結強度を高めることができる。
【0018】
更に、各連結部3を係合状態で保持可能な保持部材4を備えているので、各連結部3が意図せずに外れることがなく、補強具本体2の両端部を確実に連結することができる。
【0019】
また、前記保持部材4を、係合状態の各連結部3を外側から覆うように環状に形成するとともに、各連結部3の係合状態を解除可能な位置まで補強具本体2の周方向に移動可能に設けたので、保持部材4の移動によって各連結部3の係合状態の保持及び解除を容易に行うことができ、保持部材4の操作性を向上させることができる。
【0020】
更に、補強具本体2の周方向所定位置に設けた一対の固定部材5をヘルメットHの縁部に係止することにより、補強具本体2をヘルメットHに固定するようにしたので、補強具本体2をヘルメットHに確実に取付けることができ、補強具本体2の着脱も容易に行うことができる。
【0021】
尚、前記実施形態では、各連結部3を複数の凹部3a及び複数の凸部3bが係合するようにしたものを示したが、他の構造として、例えばネジの螺合によって連結するとともに、ネジの回動によって連結位置が補強具本体2の周方向に変わるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す補強具及びヘルメットの斜視図
【図2】ヘルメットに装着された補強具の斜視図
【図3】ヘルメットに装着された補強具の側面断面図
【図4】補強具本体の斜視図
【図5】補強具本体の斜視図
【図6】連結部の側面図
【符号の説明】
【0023】
1…補強具、2…補強具本体、3…連結部、3a…凹部、3b…凸部、4…保持部材、5…固定部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメットの周方向に延びる補強具本体と、補強具本体の両端側を互いにヘルメットの周方向への移動が規制されるように連結する連結部とを備え、環状に連結した補強具本体をヘルメットの外周面に装着して使用するヘルメット用補強具において、
前記各連結部を互いに補強具本体の周方向任意の位置で連結可能に形成した
ことを特徴とするヘルメット用補強具。
【請求項2】
前記各連結部を互いに補強具本体の長手方向に直交する方向に係合する複数の凹部及び複数の凸部によって形成し、各凹部及び各凸部を補強具本体の周方向に等間隔に配列した
ことを特徴とする請求項1記載のヘルメット用補強具。
【請求項3】
前記各連結部を係合状態で保持可能な保持部材を備えた
ことを特徴とする請求項2記載のヘルメット用補強具。
【請求項4】
前記保持部材を、係合状態の各連結部を外側から覆うように環状に形成するとともに、各連結部の係合状態を解除可能な位置まで補強具本体の周方向に移動可能に設けた
ことを特徴とする請求項3記載のヘルメット用補強具。
【請求項5】
前記補強具本体の周方向所定位置に設けられ、ヘルメットの縁部に係止することにより補強具本体をヘルメットに固定可能な固定部材を備えた
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のヘルメット用補強具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−336172(P2006−336172A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165268(P2005−165268)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(591199741)株式会社プロップ (26)
【Fターム(参考)】