説明

ベクトル場断層撮影装置およびベクトル場断層像再構成法

【課題】X線等の電磁波や電子線、中性子線等の粒子線を利用し、試料の断層像を撮影するComputerized Tomography Method(CT法)において、密度等のスカラー場ではなく、磁気等のベクトル場の断層像を得る。
【解決手段】試料または入射エネルギー線をφ回転させて測定した強度Iφ(xr)のxr−φ分布から、2Iφ(x)・cos(φ)及び2Iφ(x)・sin(φ)を用いてサイノグラムを再構成し、ベクトル場の成分分離を行い、再構成することでベクトルの断層像を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線等の電磁波や電子線、中性子線等の粒子線を利用し、試料の断層像を撮影するComputerized Tomography Method(CT法)において、スカラー場ではなく、ベクトル場の断層像を得る断層撮影装置および断層像再構成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X−ray Computerized Tomography Method(X線CT法)は、被写体の断層像を非破壊で得るコンピュータを応用した画像処理、計測技術である。医療分野においては、被験者の脳や腹部の断層像が得られるから、医療用X線CT装置が広く普及している。また工業分野においても、半導体デバイスから自動車エンジンや橋脚といった大物まで、多種多様な物体の非破壊内部構造観察に用いられている。最近の産業分野では、より透過力のある放射光X線や中性子線を利用したCT法も検討されている。
【0003】
従来、CT法は対象物体の多方向からの透過像を得る過程と得られた透過像を用いてコンピュータ内で物体の断層像を再構成する過程からなっている。このとき、透過像を得るための入射光源としてX線や中性子、電子線等が用い、検出器としてCCDカメラやイメージングプレート等の2次元検出器が用いられる。この場合、分解能は2次元検出器に依存する。より高い分解能を得る場合は、入射X線、電子線を集光し試料または入射光を2次元走査し、その透過強度から透過像を得る方法がある。この方法の場合、透過強度の代わりに、蛍光X線強度、散乱強度等を用いて透過像の代わりとすることも、近似的に可能である。この場合の分解能は、集光サイズに依存する。
【0004】
CT法による断層像の再構成の詳細は非特許文献1、2に記載されている。ここでは図1を用いて概要を示す。物質によるX線の吸収係数μは、
【0005】
【数1】

【0006】
と表せる。ここでのIは入射X線1強度、Iは透過X線2強度、tはX線が試料を透過した光路長である。μの分布をX軸方向に測定する。測定対象の吸収係数の分布3をf(x、y)とすると、x−y軸の原点を中心に角度φだけ回転させたx−y軸系のy軸に平行にX線を照射し、x軸方向のX線の強度分布を測定する。得られる強度分布は数2で示すラドン変換によるプロジェクション4である。
【0007】
【数2】

【0008】
各角度φで得られたプロジェクションの集まりをサイノグラムと呼ぶ。サイノグラムを測定する事で断面を再構成可能となる。
【0009】
再構成の原理は非特許文献1、2に記載されているが、x−y軸空間において、Pφ(x)はyに関して不変であることから、各角度φで得られたプロジェクションを投影方向のy=0に戻して、φに関して総和(積分)をとるバックプロジェクションと呼ぶ操作により、断面像が再構成される。
【0010】
一方、医学、工学の分野では、従来の測定法で得られる密度差、元素濃度差等のスカラー場の計測から、更に高度な液体/気体の流れ、歪/磁気といった大きさと方向をもつベクトル場の計測が重要になっている。流れのような時間微分により得られるベクトル場は測定の高速化により、可視化が可能であるが、歪、磁気は空間的な測定が必要である。歪に関しては、X線や電子線、中性子線による回折を測定することで、散乱ベクトル方向の歪の大きさが測定できる。また最近では、円偏光X線や偏極中性子線を用いる事で、光路方向の磁気の大きさが測定できる、X線磁気円二色性測定や偏極中性子散乱測定がある。歪や磁気を測定する場合でも得られるのはスカラー量のプロジェクションである。
【0011】
電子顕微鏡による磁気計測では、ローレンツ力を用いた顕微鏡法がある。このローレンツ顕微鏡は電子線の入射方向と直交する2次元方向(x−y平面)の磁気の大きさが得られるが、電子線の進行方向の磁気に関する情報は積分され、プロジェクションとなる。非特許文献3はx−y方向の値とφ回転により光路(z)方向の磁気情報を得る理論である。基本的な考え方は、φ回転により、z方向に投影される磁気の大きさが変化する事を利用し、x−y方向のベクトル場の変化からz方向の値を得る方法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】H. H. Barrett、 W. Swindell、 Radiological Imaging、 Vol. 1、 Appendix C、 (Academic Press、 1981)
【非特許文献2】H. H. Barrett、 W. Swindell、 Radiological Imaging、 Vol. 2、 Chap. 7、 (Academic Press、 1981)
【非特許文献3】C. Phatak、 M. Beleggia and M. De Graef: Ultramicroscopy、 108 (2008)、 503−513
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記の歪や磁気を測定する場合で得られるのはスカラー量のプロジェクションであるため、これに、入射方向と検出方向で決まる感度方向が実験条件として追加される。そこで試料をφ回転させてプロジェクションを測定し、CT再構成をすることで、ベクトル場の断層像が得られるように考えられる。しかし、φ=0゜とφ=180゜では符号が反転した同じ値が得られるため、バックプロジェクション操作において、和が0になる。このため、φ=0〜360゜のデータを用いて再構成を試みても、ベクトル場の断層像は得られない。
【0014】
また、非特許文献3の方法は、X線磁気円二色性測定や偏極中性子散乱測定、偏極電子線エネルギー損失法や、X線回折、中性子回折のような1方向の情報しか得られない計測系には適用できない。
【0015】
そこで、本発明は、磁気、歪等空間的なベクトル場をもつ試料のベクトル場断層像を得る装置および解析方法を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
量子ビームを発生する発生源と、量子ビームを試料に照射する入射光学系と、試料からの出射ビームを測定する測定器と、記試料と前記発生源との相対角度を変化させる角度変化機構とを有する撮像装置で、下記の計算を行う計算機を設けることとする。
【0017】
試料位置(x、y)におけるx方向成分の分布をA(x、y)と、y方向成分の分布をb(x、y)とする。x−y軸の原点を中心に角度φだけ回転させたx−y軸系のy軸に平行にX線を照射し、y方向に射影されるベクトル成分は数3で表される。
【0018】
【数3】

【0019】
このときのラドン変換(プロジェクション)は数4で表すことができる。
【0020】
【数4】

【0021】
数4はスカラーCTで用いられるラドン変換と三角関数との積の和となっている。数2を用いて数4を書き直すと数5−1となる。Pφ、Pφはそれぞれ、A(x、y)、b(x、y)のラドン変換を表している。
【0022】
【数5−1】

【0023】
実際には数5−1にバックグラウンド項cが加算された強度分布が測定される(数5−2)。
【0024】
【数5−2】

【0025】
次に数5−2に2cosφを積算すると
【0026】
【数6】

【0027】
が得られる。同様に数5−2にsinφを積算すると
【0028】
【数7】

【0029】
となる。サイノグラムを従来の断層像再構成原理に従い、バックプロジェクションするということは、φで積分することと等価である。数6および数7で計算したサイノグラムの場合、三角関数部分はφ積分によりキャンセルされる。つまり、数6および数7で計算したサイノグラムを、断層像再構成原理に従いバックプロジェクションすることで、A(x、y)とb(x、y)が計算できる。以上のように、測定されたIφ(x)とφから、数6の左辺2Iφ(x)・cos(φ)、数7の左辺2Iφ(x)・sin(φ)を算出し,バックプロジェクションすることにより、A(x、y),b(x、y)を求めることができる。
【0030】
また、試料位置を回転中心付近に限定した場合、即ち、回転軸の中心と測定するベクトル場試料の中心をほぼ一致させて測定した場合は、次のような解析が利用できる。数5−2をφで微分し、数8を得る。
【0031】
【数8】

【0032】
数5−2および数8より数9が得られる。
【0033】
【数9】

【0034】
数9はx方向成分Aのサイノグラムと、y方向成分bのサイノグラムを独立に計算できることを示している。またバックグラウンド項であるcは断層像再構成原理のバックプロジェクションによりキャンセルされる。数9に従い計算されたサイノグラムを、断層像再構成原理に従いバックプロジェクションすることにより、A(x、y)とb(x、y)が得られる。このようにして、試料位置が回転中心付近にある場合には、数10を用いてA(x、y)とb(x、y)が得られることとなる。
【0035】
【数10】

【0036】
以上のように、本発明の数6乃至数9を用いることにより、測定されたサイノグラムからベクトル場の断層像を再構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、追加の回転軸を用いた測定等をすることなく、得られたサイノグラムに数6、7を用いることにより、ベクトル場の断層像を得る事が可能となる。さらに本発明によれば、回転軸の中心と測定するベクトル場試料の中心を一致させて測定したサイノグラムに数9を用いることにより、偽像の少ないベクトル場の断層像を得る事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ラドン変換の説明図
【図2】実施例1の構成を説明する図
【図3】実施例1でのスカラー場/ベクトル場の断層像再構成例
【図4】実施例2の構成を説明する図
【図5】実施例2での断層像再構成例
【図6】実施例3の構成を説明する図
【図7】実施例3での断層像再構成例
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0039】
本発明の実施例を図にしたがって説明する。図2に本発明の実施例を示す。X線源(プレーナ型アンジュレータ)で発生したX線は,分光器を用いて、磁性元素の吸収端近くのエネルギーに単色化する。単色化したX線をダイヤモンド単結晶製の位相子で構成されている円偏光形成装置に入射し、円偏光X線を形成する。円偏光形成装置は位相子の角度を調整することで右回円偏光と左回円偏光の切り換えが可能である。
【0040】
このようにして得られた円偏光X線を入射光学系に配置した,スリットと反射鏡で集光、成形、微小ビーム化した後、試料に入射する。入射X線1のエネルギーは着目磁性元素の磁気円二色性吸収が最も大きくなる吸収端近傍のエネルギーに固定し、入射強度は入射X線強度モニタで測定する。X−Y−Zステージ上にφ回転ステージがある試料台9に固定された試料5に入射X線1を照射する。試料5を透過した透過X線2の強度をX線検出器6で測定する。または、着目元素から発生した2次X線(蛍光X線)7の強度をエネルギー分析型X線検出器8で測定する。このとき、右回円偏光と左回円偏光を切り替えて、左右円偏光それぞれでX線強度を測定し、入射強度で規格化する。左右円偏光の平均から、試料5でのX線吸収を、左右円偏光の差分から磁気吸収をそれぞれ計算する。試料をX−Z走査しながら、左右円偏光を切り換え、X線吸収と磁気吸収を繰り返し測定することで、X線吸収像と磁気吸収像が得られる。この像測定をφ=0〜360゜まで繰り返し測定することで、試料のサイノグラムが得られる。制御/解析用計算機10は、試料台9の駆動、左右円偏光の切り換え、X線検出器および入射X線強度モニタからのデータ取得、データ解析を行う。
【0041】
Niの磁性粒子とCr非磁性粒子を樹脂中に分散させた試料を用いて測定した結果を示す。前述の方法により試料のX線吸収像のサイノグラムを得る。図3はスカラー場/ベクトル場の断層像再構成例である。X線吸収像のサイノグラムから再構成した試料のX線吸収係数に関するスカラー場断層像11中の黒い部分がNi粒子であり、灰色の部分がCr非磁性粒子である。同じ断面におけるNi磁気吸収のサイノグラムは、数5−1に対応する結果である。数6、7に従い、磁気吸収ベクトル成分のサイノグラムを得る。得られたベクトル成分のサイノグラムを通常の断層像再構成アルゴリズムであるフィルタードバックプロジェクションで再構成することで、数6で計算したサイノグラムからはNi原子の磁気のX成分の断層像12を、数7で計算したサイノグラムからはNi原子の磁気のY成分の断層像13がそれぞれ得られる。得られた磁気に関する磁気のX成分の断層像12、磁気のY成分の断層像13とスカラー場断層像11と合わせて磁気のベクトル表示した断層像14である。このように本発明を用いれば、元素選択したベクトル場の断層像の撮影が可能になる。
【実施例2】
【0042】
本発明の別の実施例を図4に示す。X線源と円偏光形成装置としてヘリカルアンジュレーターを用いることで円偏光X線が得られる。円偏光X線は分光器を用いて、磁性元素の吸収端近くのエネルギーに単色化する。ヘリカルアンジュレーターは右回円偏光と左回円偏光の切り換えが可能である。
【0043】
このようにして得られた円偏光X線を入射光学系に配置した、分光器、スリットと反射鏡で集光、成形、微小ビームした後、試料に入射する。入射X線のエネルギーは100keV以上の高エネルギーX線とし、入射強度は入射X線強度モニタで測定する。試料5はRX−RY試料ステージ16上に固定されている。RX−RY試料ステージ16は、X−Y−Zステージ上にφ回転ステージがある試料台9の上に固定されている。入射X線1を試料5に照射し、後方散乱した散乱X線15をエネルギー分析型X線検出器8で測定する。また試料5を透過した透過X線2の強度をX線検出器6で測定する。このとき、右回円偏光と左回円偏光でそれぞれ試料をX−Z走査し散乱強度像を得る。右回円偏光と左回円偏光の散乱強度像の差分をとることで磁気散乱強度像を、透過X線強度からX線吸収像を得る。この像測定をφ=0〜360゜まで繰り返し測定することで、試料のサイノグラムが得られる。制御/解析用計算機19は、試料台9の駆動、左右円偏光の切り換え、X線検出器および入射X線強度モニタからのデータ取得、データ解析を行う。
【0044】
Niの磁性粒子とCr非磁性粒子を樹脂中に分散させた試料を用いて測定した結果を示す。前述の方法により試料のX線吸収像のサイノグラムを得る。図5は本実施例での断層像再構成例である。X線吸収像から再構成した試料のスカラー場断層像11において、灰色の部分がCr非磁性粒子であり、着目するNi粒子は黒い部分である。この結果を元に着目するNi磁性粒子を試料台9のφ回転ステージの回転中心とほぼ一致するようにRX−RY試料ステージ16で位置を合わせる。再度、φ=0〜360゜まで測定し、X線吸収像のサイノグラムから再構成したのが、回転中心調整後のスカラー場の断層像17である。試料の同じ断面において、左右円偏光の差分を求めて、数5−1に対応する磁気吸収像のサイノグラムを得る。磁気吸収像のサイノグラムをφで微分し、数9に従い、試料のX方向とY方向の磁気成分サイノグラムを計算する。得られた磁気吸収のサイノグラムを通常の断層像再構成アルゴリズムであるフィルタードバックプロジェクションで再構成することで、磁気のX成分の断層像12と磁気のY成分の断層像13がそれぞれ得られる。磁気のX成分の断層像12、磁気のY成分の断層像13と回転中心調整後のスカラー場の断層像17から磁気のベクトル表示した断層像14も得られる。このように本発明の別の実施例を用いれば、回転中心に合わせた物体のベクトル場の断層像が高い精度で撮影可能になる。
【実施例3】
【0045】
図6に更に本発明の別の実施例を示す。中性子源で発生した中性子線を、偏極中性子分離装置(スピンフィルター:6重極磁場レンズ)を用い、アップスピンの偏極中性子とダウンスピンの偏極中性子に分ける。中性子線の極性は偏極中性子分離装置で切り換え可能である。中性子線等の粒子線のエネルギー分離は飛行時間(TOF : Time of Fly)で分離する。
【0046】
このようにして得られた偏極中性子X線を入射光学系に配置した、スリットと反射鏡で集光、成形した後、入射中性子線18として試料5に照射する。入射強度は入射強度モニタで測定する。X−Y−Zステージ上にφ回転ステージがある試料台9に固定された試料5に入射中性子線18を照射する。試料5を透過した透過中性子線19をTOF型検出器20で測定する。このとき、中性子線の極性を切り替えて試料をX−Z走査し、中性子散乱像を得る。偏極中性子線の散乱像の差分をとることで磁気散乱像を得る。
【0047】
Niの磁性粒子とCr非磁性粒子を樹脂中に分散させた試料を用いて測定した結果を示す。偏極中性子線の散乱像の和から、試料の中性子線吸収像のサイノグラムを得る。図7はスカラー場/ベクトル場の断層像再構成例である。中性子線吸収像のサイノグラムから再構成した試料の中性子線吸収係数に関するスカラー場断層像11中の薄い灰色部分がNi粒子であり、濃い灰色の部分がCr非磁性粒子である。同じ断面における磁気吸収のサイノグラムは、数5−1に対応する結果である。数6、7に従い、磁気吸収ベクトル成分のサイノグラムを得る。得られたベクトル成分のサイノグラムを通常の断層像再構成アルゴリズムであるフィルタードバックプロジェクションで再構成することで、数6で計算したサイノグラムからは磁気のX成分の断層像12を、数7で計算したサイノグラムからは磁気のY成分の断層像13がそれぞれ得られる。得られた磁気に関する磁気のX成分の断層像12、磁気のY成分の断層像13とスカラー場断層像11と合わせて磁気のベクトル表示した断層像14である。実施例3は、中性子線の透過力を利用できるため、X線を用いた場合より、大きな試料のベクトル場の断層像を得る可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1:入射X線
2:透過X線
3:吸収係数の分布
4:ラドン変換によるプロジェクション
5:試料
6:X線検出器
7:2次X線(蛍光X線)
8:エネルギー分析型X線検出器
9:試料台
10:制御/解析用計算機
11:スカラー場の断層像
12:磁気のX成分の断層像
13:磁気のY成分の断層像
14:ベクトル表示した断層像
15:散乱X線
16:試料ステージ
17:回転中心調整後のスカラー場の断層像
18:入射中性子線
19:透過中性子線
20:TOF型検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ビームを発生する発生源と、
前記量子ビームを試料に照射する入射光学系と、
前記試料からの出射ビームを測定する測定器と、
前記試料と前記入射光学系における入射光との相対角度を変化させる角度変化機構と、
前記角度変化機構を用いて角度φを変化させて、前記出射ビームの強度分布I(xr)を測定して得られたxr−φ場での強度分布から、2Iφ(x)・cos(φ)及び2Iφ(x)・sin(φ)を用いて計算したサイノグラムを再構成し、ベクトル場の成分分離した断層像を得る計算機とを有することを特徴とする、ベクトル場断層像撮影装置。
【請求項2】
前記発生源はX線源であり、前記入射光学系には円偏光形成装置を含むことを特徴とする請求項1記載のベクトル場断層像撮影装置。
【請求項3】
前記発生源は粒子線発生装置であり、前記入射光学系には偏極粒子線分離装置含むことを特徴とする請求項1記載のベクトル場断層像撮影装置。
【請求項4】
前記サイノグラムは、
【数6】

及び
【数7】

からベクトル場成分のサイノグラムを求めることにより、計算されることを特徴とする請求項1記載のベクトル場断層像撮影装置。
【請求項5】
量子ビームを発生する発生源と、
前記量子ビームを試料に照射する入射光学系と、
前記試料からの出射ビームを測定する測定器と、
前記試料と前記入射光学系における入射光との相対角度を変化させる角度変化機構と、
断層像を得る前記試料部位を、前記角度変化機構の回転中心に合わせる手段と、
前記角度変化機構を用いて角度φを変化させて、前記出射ビームの強度分布I(xr)を測定して得られたxr−φ場での強度分布から、
【数10】

を用いてベクトル場の成分分離した断層像を得る計算機とを有することを特徴とする、ベクトル場断層像撮影装置。
【請求項6】
試料に角度φでX線または粒子線を照射し、前記試料からの出射ビームの強度分布I(xr)を測定し、前記測定したxr−φ場での強度分布から、2Iφ(x)・cos(φ)及び2Iφ(x)・sin(φ)を用いてサイノグラムを再構成し、ベクトル場の成分分離した断層像を得ることを特徴とするベクトル場断層像再構成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−83454(P2013−83454A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221490(P2011−221490)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】