説明

ベチバー抽出液の抽出方法並びにそれを含有する食品の製造方法

【課題】ベチバーの根から消臭効果の高い透明な油分だけを抽出し、それを食品に添加しても安全な食品を製造することができるようにすること。
【解決手段】本発明では、ベチバー(学名:Vetiveria zizanioides)の根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出液を抽出することにした。また、ベチバーの根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出した抽出液を飴やガムなどの口内に留める食品に添加することで飴やガムなどの口内に留める食品を製造することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベチバー抽出液及びその抽出方法並びにそれを含有する食品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、インドネシアなどで原産されるイネ科のベチバー(学名:Vetiveria zizanioides、ウサルとも言われる。)は、根に消臭成分が含まれており、乾燥させたベチバーの根を消臭剤として利用していた(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−243095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、乾燥させたベチバーは、根の内部に消臭成分が含有されているために、そのままでは消臭剤としての消臭効果が低いものであった。
【0005】
そして、乾燥させたベチバーの根を水蒸気蒸留してベチバー抽出液を抽出しても、白濁色に着色した水分と油分との混合液が得られ、そのままでは着色の問題があることに加えて、水分と油分との分離に労力や時間やコストを要するとともに水分と油分との分離に使用する薬品の問題があり、食品に添加して使用することができないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、ベチバーの根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出液を抽出することを特徴とするベチバー抽出液の抽出方法を提供するものである。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、ベチバーの根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出したことを特徴とするベチバー抽出液を提供するものである。
【0008】
また、請求項3に係る本発明では、ベチバーの根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出した抽出液を飴やガムなどの口内に留める食品に添加することを特徴とする飴やガムなどの口内に留める食品の製造方法を提供するものである。
【0009】
さらに、請求項4に係る本発明では、ベチバーの根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出した抽出液を含有することを特徴とする飴やガムなどの口内に留める食品を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、ベチバーの根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出液を抽出することにしているために、消臭効果の高い透明な油分だけを抽出することができ、食品に添加しても安全な食品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るベチバー抽出液の抽出方法を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るベチバー抽出液について図面を参照しながら説明する。
【0014】
本発明に係るベチバー抽出液は、ベチバーの根を加熱して生成した蒸気を用いて乾燥したベチバーの根を蒸留することにより、乾燥したベチバーの根から抽出した液体である。
【0015】
抽出方法としては、たとえば、図1に示す水蒸気蒸留で利用される蒸留装置1を用いることができる。
【0016】
図1に示す蒸留装置1は、ヒータ2の上部に蒸気発生器3を載置するとともに、蒸気発生器3の上部に材料容器4を接続し、材料容器4に冷却器5を接続している。
【0017】
そして、材料容器4の網6の上部に乾燥したベチバーの根7を載置し、蒸気発生器3で発生させた蒸気によってベチバーの根7に含有される油分を蒸発させ、その蒸気を冷却器5で冷却し、冷却器5の冷却管8の出口から液状の油分を取出す。なお、冷却器5は、冷却水入口9から冷却水出口10に冷却水を循環供給して冷却管8の内部を通過する蒸気を液体に凝縮させている。
【0018】
ここで、蒸気発生器3では、ベチバーの根7を加熱して蒸気を生成している。このベチバーの根7を加熱して蒸気を生成する方法としては、ベチバーの根7を直接加熱してもよく、また、図1に示すようにベチバーの根7を浸漬させた水11を加熱してもよく、破砕してベチバーの根7を煎じた液体を加熱してもよく、さらには、ベチバー抽出液を加熱してもよい。
【0019】
このように、ベチバーの根を加熱して生成した蒸気を用いて乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根からベチバー抽出液を抽出すると、透明の油分だけからなる液体としてベチバー抽出液を抽出することができる。
【0020】
そして、抽出されたベチバー抽出液は、ベチバーの根に含有される消臭成分を多く含んでおり、ベチバーの根よりも大きな消臭効果を有することが確認された。
【0021】
また、抽出されたベチバー抽出液は、油分だけからなる液体であるために、水分との分離や水分の除去のための操作や薬処理などの必要がないことが確認された。
【0022】
また、抽出されたベチバー抽出液は、透明な液体であるために、被服や食材などへの色の付着がないことが確認された。
【0023】
さらに、抽出されたベチバー抽出液は、自然材料のみからなり、薬品の添加がなく、着色もないことから、そのまま身体に消臭剤として塗ることもでき、また、食品に添加しても安全で体臭予防に効果があり、特に、飴やガムなどの口内に留める食品に添加した場合には口臭予防に効果があることが確認された。
【0024】
以上に説明したように、本発明では、ベチバーの根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出液を抽出することにしているために、消臭効果の高い透明な油分だけを抽出することができ、食品に添加しても安全な食品を製造することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 蒸留装置
2 ヒータ
3 蒸気発生器
4 材料容器
5 冷却器
6 網
7 ベチバーの根
8 冷却管
9 冷却水入口
10 冷却水出口
11 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベチバー(学名:Vetiveria zizanioides)の根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出液を抽出することを特徴とするベチバー抽出液の抽出方法。
【請求項2】
ベチバー(学名:Vetiveria zizanioides)の根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出したことを特徴とするベチバー抽出液。
【請求項3】
ベチバー(学名:Vetiveria zizanioides)の根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出した抽出液を飴やガムなどの口内に留める食品に添加することを特徴とする飴やガムなどの口内に留める食品の製造方法。
【請求項4】
ベチバー(学名:Vetiveria zizanioides)の根を加熱して生成した蒸気で乾燥したベチバーの根を蒸留することにより乾燥したベチバーの根から抽出した抽出液を含有することを特徴とする飴やガムなどの口内に留める食品。

【図1】
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【公開番号】特開2010−248109(P2010−248109A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98260(P2009−98260)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【特許番号】特許第4399646号(P4399646)
【特許公報発行日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(509107264)
【Fターム(参考)】