説明

ベッドの在床状況検出方法

【課題】被験者がベッド寝床部上に在床したことを判定できるベッドの在床状況検出方法を提供する。
【解決手段】ベッドの在床検出方法は、ベッド寝床部61の頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重を、それぞれ第1〜第4荷重検出手段21a、21b、21c、21dにより検出する荷重検出工程と、第1〜第4荷重検出手段から出力された荷重値W1、W2、W3及びW4を合計した総荷重値Aを演算する総荷重値演算工程S2と、総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるときに被験者Hがベッド寝床部61上に在床したと判定し、そうでないときに被験者Hはベッド寝床部61上に在床していないと判定する在床判定工程S4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ベッド寝床部上の被験者の在床状況(例:離床、在床、体動)を検出するベッドの在床状況検出方法、在床状況検出装置、及び在床状況監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ベッドの寝床部上に在床している被験者(例:病人、高齢者、被介護者、健康人、乳幼児)の離床、在床(入床)、重心位置等の在床状況を検出するための方法として、例えば次のものが知られている。
【0003】
すなわち、ベッドの頭側右脚部、頭側左脚部、足側右脚部及び足側左脚部の下に、それぞれ第1〜第4荷重検出器を配置する。これら4個の荷重検出器により、ベッド寝床部の頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重を検出する。そして、これら4個の荷重検出器からの出力荷重(荷重値)を用いてベッド寝床部上の被験者の重心位置を演算する。この重心位置の座標(GX,GY)は、次式(101)(102)により算出される。
【0004】
GX=(W1+W2−W3−W4)×(1/WT)×(BX/2) …式(101)
GY=(W1+W3−W2−W4)×(1/WT)×(BY/2) …式(102)
【0005】
ただし、
W1:第1荷重検出器からの出力荷重(荷重値)
W2:第2荷重検出器からの出力荷重(荷重値)
W3:第3荷重検出器からの出力荷重(荷重値)
W4:第4荷重検出器からの出力荷重(荷重値)
BX:ベッドの脚部の長さ方向(即ちX軸方向)の間隔
BY:ベッドの脚部の幅方向(即ちY軸方向)の間隔
WT=W1+W2+W3+W4
である。
【0006】
この重心位置演算式(101)(102)により算出された重心位置に基づいて被験者のベッド寝床部上での移動距離、移動速度等を演算し、その演算結果に基づいて被験者の在床状況を検出する(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0007】
ところで、ベッド寝床部上の被験者の寝姿に対応した値を検出できると、次の点で有益である。すなわち、例えば、被験者の離床を予測できたり、被験者がベッド寝床部上から転落する虞があることを知ることができたりする。したがって、被験者の寝姿の対応した値を検出することは重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3322632号公報
【特許文献2】特許第3093745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の従来の検出方法では、4個の荷重検出器からの出力荷重を用いて上記演算式(101)(102)により算出された被験者の重心位置に基づき、被験者の在床状況が検出されるので、被験者の寝姿の種類によっては寝姿に対応した値を検出することができない場合があった。
【0010】
本発明の好ましい実施形態は、関連技術における上述した及び/又は他の問題点に鑑みてなされたものである。本発明の好ましい実施形態は、既存の方法及び/又は装置を著しく向上させることができるものである。
【0011】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、被験者の様々な寝姿に対応した値を検出できるベッドの在床状況検出方法、該検出方法に用いられるベッドの在床状況検出装置、及び該検出装置を用いたベッドの在床状況監視システムと提供することにある。
【0012】
本発明のその他の目的及び利点は、以下の好ましい実施形態から明らかにされるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下の手段を提供する。
【0014】
[1] ベッド寝床部の頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重を、それぞれ第1〜第4荷重検出手段により検出する荷重検出工程と、
前記第1〜第4荷重検出手段から出力された荷重値をそれぞれW1、W2、W3及びW4とするとき、
W1/(W1+W3)≦n1 …式(1)
ただし、0<n1<0.5(n1:予め設定された値)
の第1判定式(1)を満足しているか否かを判定する第1判定工程と、
W1/(W1+W3)≧n2 …式(2)
ただし、0.5<n2<1(n2:予め設定された値)
の第2判定式(2)を満足しているか否かを判定する第2判定工程と、
W2/(W2+W4)≦n3 …式(3)
ただし、0<n3<0.5(n3:予め設定された値)
の第3判定式(3)を満足しているか否かを判定する第3判定工程と、
W2/(W2+W4)≧n4 …式(4)
ただし、0.5<n4<1(n4:予め設定された値)
の第4判定式(4)を満足しているか否かを判定する第4判定工程と、
W1/(W1+W2)≦n5 …式(5)
ただし、0<n5<0.5(n5:予め設定された値)
の第5判定式(5)を満足しているか否かを判定する第5判定工程と、
W1/(W1+W2)≧n6 …式(6)
ただし、0.5<n6<1(n6:予め設定された値)
の第6判定式(6)を満足しているか否かを判定する第6判定工程と、
W3/(W3+W4)≦n7 …式(7)
ただし、0<n7<0.5(n7:予め設定された値)
の第7判定式(7)を満足しているか否かを判定する第7判定工程と、
W3/(W3+W4)≧n8 …式(8)
ただし、0.5<n8<1(n8:予め設定された値)
の第8判定式(8)を満足しているか否かを判定する第8判定工程と、
前記第1〜第8判定工程のうち少なくとも一つの判定工程の判定結果において判定式を満足していると判定された場合、被験者の在床状況に関する情報を報知する第1報知工程と、
を備えていることを特徴とするベッドの在床状況検出方法。
【0015】
[2] 前記少なくとも一つの判定工程の判定結果において判定式を満足していると判定された場合、被験者の在床状況に関する情報を送信する第1通信工程を備えている前項1記載のベッドの在床状況検出方法。
【0016】
[3] 前記被験者の在床状況に関する情報は、被験者の在床位置がベッド寝床部の端部領域にある旨の情報である前項1又は2記載のベッドの在床状況検出方法。
【0017】
[4] 前記第1〜第4荷重検出手段から出力された4個の荷重値を合計した総荷重値Aを演算する総荷重値演算工程と、
前記総荷重値演算工程で演算された総荷重値Aを記憶する総荷重値記憶工程と、
前記総荷重値演算工程で演算された総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるか否かに応じて、被験者がベッド寝床部上に在床したか否かを判定する在床判定工程と、
前記在床判定工程の判定結果において被験者がベッド寝床部上に在床したと判定された場合、前記所定時間の経過時の総荷重値を、被験者がベッド寝床部上に在床した状態の在床荷重値Bとして記憶する在床荷重値記憶工程と、
A≦B×m1 …式(9)
ただし、0<m1<1(m1:予め設定された値)
の第9判定式(9)を満足しているか否かを判定する第9判定工程と、
前記第9判定工程の判定結果において前記第9判定式を満足していると判定された場合、
A<B×m2 …式(10)
ただし、0<m2<m1(m2:予め設定された値)
の第10判定式(10)を満足しているか否かを判定する第10判定工程と、
前記第10判定工程の判定結果において前記第10判定式を満足していると判定された場合、被験者が離床した旨の情報を報知する第2報知工程と、
を備えている前項1〜3のいずれかに記載のベッドの在床状況検出方法。
【0018】
[5] 前記第10判定工程の判定結果において前記第10判定式を満足していると判定された場合、被験者が離床した旨の情報を送信する第2通信工程を備えている前項4記載のベッドの在床状況検出方法。
【0019】
[6] 前記第1〜第4荷重検出手段から出力された4個の荷重値を合計した総荷重値Aを演算する総荷重値演算工程と、
前記総荷重値演算工程で演算された総荷重値Aを記憶する総荷重値記憶工程と、
前記総荷重値演算工程で演算された総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるか否かに応じて、被験者がベッド寝床部上に在床したか否かを判定する在床判定工程と、
前記在床判定工程の判定結果において被験者がベッド寝床部上に在床したと判定された場合、前記所定時間の経過時の総荷重値を、被験者がベッド寝床部上に在床した状態の在床荷重値Bとして記憶する在床荷重値記憶工程と、
前記総荷重値演算工程で演算された総荷重値Aの所定時間内における最大総荷重値Amax及び最小総荷重値Aminを演算する最大及び最小総荷重値演算工程と、
Amax−Amin≧B×q …式(11)
ただし、0<q(q:予め設定された値)
の第11判定式(11)を満足しているか否かを判定する第11判定工程と、
前記第11判定工程の判定結果において前記第11判定式を満足していると判定された場合、被験者の体動に関する情報を報知する第3報知工程と、
を備えている前項1〜3のいずれかに記載のベッドの在床状況検出方法。
【0020】
[7] 前記第11判定工程の判定結果において前記第11判定式を満足していると判定された場合、被験者の体動に関する情報を送信する第3通信工程を備えている前項6記載のベッドの在床状況検出方法。
【0021】
[8] 前記第1〜第4荷重検出手段から出力された4個の荷重値を合計した総荷重値Aを演算する総荷重値演算工程と、
前記総荷重値演算工程で演算された総荷重値Aを記憶する総荷重値記憶工程と、
前記総荷重値演算工程で演算された総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるか否かに応じて、被験者がベッド寝床部上に在床したか否かを判定する在床判定工程と、
前記在床判定工程の判定結果において被験者がベッド寝床部上に在床したと判定された場合、前記第1荷重検出手段から出力された荷重値W1と前記第2荷重検出手段から出力された荷重値W2とを合計した頭側荷重値Cを演算する頭側荷重値演算工程と、
前記頭側荷重値演算工程で演算された頭側荷重値Cを記憶する頭側荷重値記憶工程と、
前記頭側荷重値演算工程で演算された頭側荷重値Cの所定時間内の減少量ΔCを演算する頭側荷重値減少量演算工程と、
ΔC≧A×s …式(12)
ただし、0<s(s:予め設定された値)
の第12判定式(12)を満足しているか否かを判定する第12判定工程と、
前記第12判定工程の判定結果において前記第12判定式を満足していると判定された場合、被験者が上体を起こした旨の情報を報知する第4報知工程と、
を備えている前項1〜3のいずれかに記載のベッドの在床状況検出方法。
【0022】
[9] 前記第12判定工程の判定結果において前記第12判定式を満足していると判定された場合、被験者が上体を起こした旨の情報を送信する第4通信工程を備えている前項8記載のベッドの在床状況検出方法。
【0023】
[10] 前記第1〜第4荷重検出手段から出力された4個の荷重値を合計した総荷重値Aを演算する総荷重値演算工程と、
前記総荷重値演算工程で演算された総荷重値Aを記憶する総荷重値記憶工程と、
前記総荷重値演算工程で演算された総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるか否かに応じて、被験者がベッド寝床部上に在床したか否かを判定する在床判定工程と、
前記在床判定工程の判定結果において被験者がベッド寝床部上に在床したと判定された場合、前記所定時間の経過時の総荷重値を、被験者がベッド寝床部上に在床した状態の在床荷重値Bとして記憶する在床荷重値記憶工程と、
A≦B×m1 …式(9)
ただし、0<m1<1(m1:予め設定された値)
の第9判定式(9)を満足しているか否かを判定する第9判定工程と、
前記第9判定工程の判定結果において前記第9判定式を満足していると判定された場合、
A<B×m2 …式(10)
ただし、0<m2<m1(m2:予め設定された値)
の第10判定式(10)を満足しているか否かを判定する第10判定工程と、
前記第10判定工程の判定結果において前記第10判定式を満足していると判定された場合、被験者が離床した旨の情報を報知する第2報知工程と、
前記総荷重値演算工程で演算された総荷重値Aの所定時間内における最大総荷重値Amax及び最小総荷重値Aminを演算する最大及び最小総荷重値演算工程と、
Amax−Amin≧B×q …式(11)
ただし、0<q(q:予め設定された値)
の第11判定式(11)を満足しているか否かを判定する第11判定工程と、
前記第11判定工程の判定結果において前記第11判定式を満足していると判定された場合、被験者の体動に関する情報を報知する第3報知工程と、
前記在床判定工程の判定結果において被験者がベッド寝床部上に在床したと判定された場合、前記第1荷重検出手段から出力された荷重値W1と前記第2荷重検出手段から出力された荷重値W2とを合計した頭側荷重値Cを演算する頭側荷重値演算工程と、
前記頭側荷重値演算工程で演算された頭側荷重値Cを記憶する頭側荷重値記憶工程と、
前記頭側荷重値演算工程で演算された頭側荷重値Cの所定時間内の減少量ΔCを演算する頭側荷重値減少量演算工程と、
ΔC≧A×s …式(12)
ただし、0<s(s:予め設定された値)
の第12判定式(12)を満足しているか否かを判定する第12判定工程と、
前記第12判定工程の判定結果において前記第12判定式を満足していると判定された場合、被験者が上体を起こした旨の情報を報知する第4報知工程と、
を備えている前項1〜3のいずれかに記載のベッドの在床状況検出方法。
【0024】
[11] 前記第1〜第8判定工程のうち前記少なくとも一つの判定工程の判定結果において判定式を満足していると判定された場合、被験者の在床状況に関する情報を送信する第1通信工程と、
前記第10判定工程の判定結果において前記第10判定式を満足していると判定された場合、被験者が離床した旨の情報を送信する第2通信工程と、
前記第11判定工程の判定結果において前記第11判定式を満足していると判定された場合、被験者の体動に関する情報を送信する第3通信工程と、
前記第12判定工程の判定結果において前記第12判定式を満足していると判定された場合、被験者が上体を起こした旨の情報を送信する第4通信工程と、
を備えている前項10記載のベッドの在床状況検出方法。
【0025】
[12] ベッド寝床部の頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重を、それぞれ検出する第1〜第4荷重検出手段と、
前記第1〜第4荷重検出手段から出力された荷重値をそれぞれW1、W2、W3及びW4とするとき、
W1/(W1+W3)≦n1 …式(1)
ただし、0<n1<0.5(n1:予め設定された値)
の第1判定式(1)を満足しているか否かを判定する第1判定手段と、
W1/(W1+W3)≧n2 …式(2)
ただし、0.5<n2<1(n2:予め設定された値)
の第2判定式(2)を満足しているか否かを判定する第2判定手段と、
W2/(W2+W4)≦n3 …式(3)
ただし、0<n3<0.5(n3:予め設定された値)
の第3判定式(3)を満足しているか否かを判定する第3判定手段と、
W2/(W2+W4)≧n4 …式(4)
ただし、0.5<n4<1(n4:予め設定された値)
の第4判定式(4)を満足しているか否かを判定する第4判定手段と、
W1/(W1+W2)≦n5 …式(5)
ただし、0<n5<0.5(n5:予め設定された値)
の第5判定式(5)を満足しているか否かを判定する第5判定手段と、
W1/(W1+W2)≧n6 …式(6)
ただし、0.5<n6<1(n6:予め設定された値)
の第6判定式(6)を満足しているか否かを判定する第6判定手段と、
W3/(W3+W4)≦n7 …式(7)
ただし、0<n7<0.5(n7:予め設定された値)
の第7判定式(7)を満足しているか否かを判定する第7判定手段と、
W3/(W3+W4)≧n8 …式(8)
ただし、0.5<n8<1(n8:予め設定された値)
の第8判定式(8)を満足しているか否かを判定する第8判定手段と、
前記第1〜第8判定手段のうち少なくとも一つの判定手段の判定結果において判定式を満足していると判定された場合、被験者の在床状況に関する情報を報知する第1報知手段と、
を備えていることを特徴とするベッドの在床状況検出装置。
【0026】
[13] 前記少なくとも一つの判定手段の判定結果において判定式を満足していると判定された場合、被験者の在床状況に関する情報を送信する第1通信手段を備えている前項12記載のベッドの在床状況検出装置。
【0027】
[14] 前記被験者の在床状況に関する情報は、被験者の在床位置がベッド寝床部の端部領域にある旨の情報である前項12又は13記載のベッドの在床状況検出装置。
【0028】
[15] 前記第1〜第4荷重検出手段から出力された4個の荷重値を合計した総荷重値Aを演算する総荷重値演算手段と、
前記総荷重値演算手段で演算された総荷重値Aを記憶する総荷重値記憶手段と、
前記総荷重値演算手段で演算された総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるか否かに応じて、被験者がベッド寝床部上に在床したか否かを判定する在床判定手段と、
前記在床判定手段の判定結果において被験者がベッド寝床部上に在床したと判定された場合、前記所定時間の経過時の総荷重値を、被験者がベッド寝床部上に在床した状態の在床荷重値Bとして記憶する在床荷重値記憶手段と、
A≦B×m1 …式(9)
ただし、0<m1<1(m1:予め設定された値)
の第9判定式(9)を満足しているか否かを判定する第9判定手段と、
前記第9判定手段の判定結果において前記第9判定式を満足していると判定された場合、
A<B×m2 …式(10)
ただし、0<m2<m1(m2:予め設定された値)
の第10判定式(10)を満足しているか否かを判定する第10判定手段と、
前記第10判定手段の判定結果において前記第10判定式を満足していると判定された場合、被験者が離床した旨の情報を報知する第2報知手段と、
を備えている前項12〜14のいずれかに記載のベッドの在床状況検出装置。
【0029】
[16] 前記第10判定手段の判定結果において前記第10判定式を満足していると判定された場合、被験者が離床した旨の情報を送信する第2通信手段を備えている前項15記載のベッドの在床状況検出装置。
【0030】
[17] 前記第1〜第4荷重検出手段から出力された4個の荷重値を合計した総荷重値Aを演算する総荷重値演算手段と、
前記総荷重値演算手段で演算された総荷重値Aを記憶する総荷重値記憶手段と、
前記総荷重値演算手段で演算された総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるか否かに応じて、被験者がベッド寝床部上に在床したか否かを判定する在床判定手段と、
前記在床判定手段の判定結果において被験者がベッド寝床部上に在床したと判定された場合、前記所定時間の経過時の総荷重値を、被験者がベッド寝床部上に在床した状態の在床荷重値Bとして記憶する在床荷重値記憶手段と、
前記総荷重値演算手段で演算された総荷重値Aの所定時間内における最大総荷重値Amax及び最小総荷重値Aminを演算する最大及び最小総荷重値演算手段と、
Amax−Amin≧B×q …式(11)
ただし、0<q(q:予め設定された値)
の第11判定式(11)を満足しているか否かを判定する第11判定手段と、
前記第11判定手段の判定結果において前記第11判定式を満足していると判定された場合、被験者の体動に関する情報を報知する第3報知手段と、
を備えている前項12〜14のいずれかに記載のベッドの在床状況検出装置。
【0031】
[18] 前記第11判定手段の判定結果において前記第11判定式を満足していると判定された場合、被験者の体動に関する情報を送信する第3通信手段を備えている前項17記載のベッドの在床状況検出装置。
【0032】
[19] 前記第1〜第4荷重検出手段から出力された4個の荷重値を合計した総荷重値Aを演算する総荷重値演算手段と、
前記総荷重値演算手段で演算された総荷重値Aを記憶する総荷重値記憶手段と、
前記総荷重値演算手段で演算された総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるか否かに応じて、被験者がベッド寝床部上に在床したか否かを判定する在床判定手段と、
前記在床判定手段の判定結果において被験者がベッド寝床部上に在床したと判定された場合、前記第1荷重検出手段から出力された荷重値W1と前記第2荷重検出手段から出力された荷重値W2とを合計した頭側荷重値Cを演算する頭側荷重値演算手段と、
前記頭側荷重値演算手段で演算された頭側荷重値Cを記憶する頭側荷重値記憶手段と、
前記頭側荷重値演算手段で演算された頭側荷重値Cの所定時間内の減少量ΔCを演算する頭側荷重値減少量演算手段と、
ΔC≧A×s …式(12)
ただし、0<s(s:予め設定された値)
の第12判定式(12)を満足しているか否かを判定する第12判定手段と、
前記第12判定手段の判定結果において前記第12判定式を満足していると判定された場合、被験者が上体を起こした旨の情報を報知する第4報知手段と、
を備えている前項12〜14のいずれかに記載のベッドの在床状況検出装置。
【0033】
[20] 前記第12判定手段の判定結果において前記第12判定式を満足していると判定された場合、被験者が上体を起こした旨の情報を送信する第4通信手段を備えている前項19記載のベッドの在床状況検出装置。
【0034】
[21] 前記第1〜第4荷重検出手段から出力された4個の荷重値を合計した総荷重値Aを演算する総荷重値演算手段と、
前記総荷重値演算手段で演算された総荷重値Aを記憶する総荷重値記憶手段と、
前記総荷重値演算手段で演算された総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるか否かに応じて、被験者がベッド寝床部上に在床したか否かを判定する在床判定手段と、
前記在床判定手段の判定結果において被験者がベッド寝床部上に在床したと判定された場合、前記所定時間の経過時の総荷重値を、被験者がベッド寝床部上に在床した状態の在床荷重値Bとして記憶する在床荷重値記憶手段と、
A≦B×m1 …式(9)
ただし、0<m1<1(m1:予め設定された値)
の第9判定式(9)を満足しているか否かを判定する第9判定手段と、
前記第9判定手段の判定結果において前記第9判定式を満足していると判定された場合、
A<B×m2 …式(10)
ただし、0<m2<m1(m2:予め設定された値)
の第10判定式(10)を満足しているか否かを判定する第10判定手段と、
前記第10判定手段の判定結果において前記第10判定式を満足していると判定された場合、被験者が離床した旨の情報を報知する第2報知手段と、
前記総荷重値演算手段で演算された総荷重値Aの所定時間内における最大総荷重値Amax及び最小総荷重値Aminを演算する最大及び最小総荷重値演算手段と、
Amax−Amin≧B×q …式(11)
ただし、0<q(q:予め設定された値)
の第11判定式(11)を満足しているか否かを判定する第11判定手段と、
前記第11判定手段の判定結果において前記第11判定式を満足していると判定された場合、被験者の体動に関する情報を報知する第3報知手段と、
前記在床判定手段の判定結果において被験者がベッド寝床部上に在床したと判定された場合、前記第1荷重検出手段から出力された荷重値W1と前記第2荷重検出手段から出力された荷重値W2とを合計した頭側荷重値Cを演算する頭側荷重値演算手段と、
前記頭側荷重値演算手段で演算された頭側荷重値Cを記憶する頭側荷重値記憶手段と、
前記頭側荷重値演算手段で演算された頭側荷重値Cの所定時間内の減少量ΔCを演算する頭側荷重値減少量演算手段と、
ΔC≧A×s …式(12)
ただし、0<s(s:予め設定された値)
の第12判定式(12)を満足しているか否かを判定する第12判定手段と、
前記第12判定手段の判定結果において前記第12判定式を満足していると判定された場合、被験者が上体を起こした旨の情報を報知する第4報知手段と、
を備えている前項12〜14のいずれかに記載のベッドの在床状況検出装置。
【0035】
[22] 前記第1〜第8判定手段のうち前記少なくとも一つの判定手段の判定結果において判定式を満足していると判定された場合、被験者の在床状況に関する情報を送信する第1通信手段と、
前記第10判定手段の判定結果において前記第10判定式を満足していると判定された場合、被験者が離床した旨の情報を送信する第2通信手段と、
前記第11判定手段の判定結果において前記第11判定式を満足していると判定された場合、被験者の体動に関する情報を送信する第3通信手段と、
前記第12判定手段の判定結果において前記第12判定式を満足していると判定された場合、被験者が上体を起こした旨の情報を送信する第4通信手段と、
を備えている前項21記載のベッドの在床状況検出装置。
【0036】
[23] ベッド寝床部の頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重を、それぞれ検出する第1〜第4荷重検出手段と、
前記第1〜第4荷重検出手段から出力された荷重値をそれぞれW1、W2、W3及びW4とするとき、
W1/(W1+W3)≦n1 …式(1)
ただし、0<n1<0.5(n1:予め設定された値)
の第1判定式(1)を満足しているか否かを判定する第1判定手段と、
W1/(W1+W3)≧n2 …式(2)
ただし、0.5<n2<1(n2:予め設定された値)
の第2判定式(2)を満足しているか否かを判定する第2判定手段と、
W2/(W2+W4)≦n3 …式(3)
ただし、0<n3<0.5(n3:予め設定された値)
の第3判定式(3)を満足しているか否かを判定する第3判定手段と、
W2/(W2+W4)≧n4 …式(4)
ただし、0.5<n4<1(n4:予め設定された値)
の第4判定式(4)を満足しているか否かを判定する第4判定手段と、
W1/(W1+W2)≦n5 …式(5)
ただし、0<n5<0.5(n5:予め設定された値)
の第5判定式(5)を満足しているか否かを判定する第5判定手段と、
W1/(W1+W2)≧n6 …式(6)
ただし、0.5<n6<1(n6:予め設定された値)
の第6判定式(6)を満足しているか否かを判定する第6判定手段と、
W3/(W3+W4)≦n7 …式(7)
ただし、0<n7<0.5(n7:予め設定された値)
の第7判定式(7)を満足しているか否かを判定する第7判定手段と、
W3/(W3+W4)≧n8 …式(8)
ただし、0.5<n8<1(n8:予め設定された値)
の第8判定式(8)を満足しているか否かを判定する第8判定手段と、
前記第1〜第8判定手段のうち少なくとも一つの判定手段の判定結果において判定式を満足していると判定された場合、被験者の在床状況に関する情報を報知する報知手段と、
を備えていることを特徴とするベッドの在床状況監視システム。
【発明の効果】
【0037】
本発明は以下の効果を奏する。
【0038】
[1]の発明では、第1〜第8判定工程を備えているので、被験者の様々な寝姿に対応した値を検出できる。
【0039】
さらに、各判定工程の判定式はベッド寝床部の長さ寸法及び幅寸法を含んでいない式なので、ベッド寝床部の長さ寸法及び幅寸法によらないで、即ちベッド寝床部の大きさによらないで、判定を行うことができる。そのため、例えば、被験者の在床状況の検出を行う際に、ベッド寝床部の大きさ(即ち長さや幅)に関する寸法を予め設定しておく必要がない。したがって、様々な大きさのベッドに対して被験者の在床状況の検出を容易に行うことができる。
【0040】
さらに、第1報知工程を備えているので、被験者の在床状況に関する情報を、報知対象者として、看護師、介護者、監視者等に対して報知できる。
【0041】
[2]の発明では、被験者の在床状況に関する情報を送信できる。
【0042】
[3]の発明では、被験者の在床位置がベッド寝床部の端部領域である旨の情報を報知したり又は送信したりすることができる。
【0043】
[4]の発明では、第9判定工程と第10判定工程を備えているので、被験者の在床状況に関する情報として、被験者が離床したか否かを判定できる。
【0044】
さらに、第2報知工程を備えているので、被験者が離床した旨の情報を看護師、介護者、監視者等に対して報知できる。
【0045】
[5]の発明では、被験者が離床した旨の情報を送信できる。
【0046】
[6]の発明では、第11判定工程を備えているので、被験者の在床状況に関する情報として、被験者の体動があるかないかを判定できる。
【0047】
さらに、検出方法は、第3報知工程を備えているので、被験者の体動に関する情報を看護師、介護者、監視者等に対して報知できる。
【0048】
[7]の発明では、被験者の体動に関する情報を送信できる。
【0049】
[8]の発明では、第12判定工程を備えているので、被験者の在床状況に関する情報として、被験者が上体を起こしたか否かを判定できる。
【0050】
さらに、第4報知工程を備えているので、被験者が上体を起こした旨の情報を看護師、介護者、監視者等に対して報知できる。
【0051】
[9]の発明では、被験者が上体を起こした旨の情報を送信できる。
【0052】
[10]の発明では、上記[1]、[4]、[6]及び[8]の発明の効果を奏する。
【0053】
[11]の発明では、上記[2]、[5]、[7]及び[9]の発明の効果を奏する。
【0054】
[12]〜[22]の発明では、それぞれ、上記[1]〜[11]の発明に係るベッドの在床状況検出方法に好適に用いられるベッドの在床状況検出装置を提供できる。
【0055】
[23]の発明では、被験者の在床状況を確実に監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るベッドの在床状況検出装置の概略図である。
【図2】図2は、ベッドの寝床部の概略平面図である。
【図3】図3は、同検出装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、同検出装置を用いた在床状況検出方法のフローチャートである。
【図5】図5は、図4の続きのフローチャートである。
【図6】図6は、図4の続きのフローチャートである。
【図7】図7は、図4の続きのフローチャートである。
【図8】図8は、図4の続きのフローチャートである。
【図9】図9は、ベッド寝床部の座標を示すベッド寝床部の平面図である。
【図10】図10は、検証例1における被験者の寝姿を示すベッド寝床部の平面図である。
【図11】図11は、検証例2における被験者の寝姿を示すベッド寝床部の平面図である。
【図12】図12は、検証例3における被験者の寝姿を示すベッド寝床部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0058】
図1において、(20)は、本発明の一実施形態に係るベッドの在床状況検出装置、(60)はベッドである。
【0059】
ベッド(60)は、医療施設(例:病院)、高齢者施設、介護施設、養護施設、ホテル、一般家庭等で使用されるものである。このベッド(60)の寝床部(61)は、図2に示すように平面視長方形状に形成されている。このベッド(60)は、図1に示すように、病室、検査室、診察室、宿泊室、寝室等における床面からなるベッド設置面(64)上に設置されるものである。
【0060】
ここで本明細書では、説明の便宜上、図1及び図2に示すように、ベッド寝床部(61)上に被験者(H)が仰臥姿勢(即ち仰向き姿勢)で就寝する状態において、被験者(H)の頭側を「ベッド寝床部(61)の頭側」、被験者(H)の足側を「ベッド寝床部(61)の足側」、被験者(H)の右側を「ベッド寝床部(61)の右側」、及び、被験者(H)の左側を「ベッド寝床部(61)の左側」という。
【0061】
ベッド(60)は、図1に示すように、その寝床部(61)を所定高さ位置に略水平状に支持する4個の脚部、すなわち頭側右脚部(62a)、頭側左脚部(62b)、足側右脚部(62c)及び足側左脚部(62d)を有している。さらに、各脚部(62a)(62b)(62c)(62d)の下端部には、回転自在なベッド移動用キャスタ(63)が設けられている。なお本発明では、各脚部(62a)(62b)(62c)(62d)の下端部には必ずしもキャスタ(63)は設けられていなくても良い。
【0062】
このベッド寝床部(61)上には、被験者(H)として、例えば、病人、認知症患者、高齢者、健康人、乳幼児、宿泊客等が睡眠、休息、療養、診察、検査等のために様々な姿勢(例:仰臥姿勢、側臥姿勢、伏臥姿勢)で在床する。
【0063】
なお本発明では、ベッド(60)としては、睡眠用や休息用ベッドであることに限定されるものではなく、その他に、例えば、診察台、検査台、ストレッチャー、ソファー等であっても良い。
【0064】
本実施形態のベッドの在床状況検出装置(20)は、ベッド寝床部(61)上の被験者(H)の在床状況として、寝姿に対応した値、離床、在床(入床)、体動の有無、被験者(H)が上体を起こしたか否かなどを検出するものである。
【0065】
この検出装置(20)は、図1及び図3に示すように、第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)と、制御装置(22)と、第1通信装置(23)と、演算装置(30)と、第2通信装置(40)と、報知装置(50)とを備えている。
【0066】
第1荷重検出手段(21a)は、ベッド寝床部(61)の頭側右部(詳述すると頭側右端部)に掛かる荷重を時間的(即ち所定時間毎)に連続して検出するものである。この第1荷重検出手段(21a)は、ベッド(60)の頭側右脚部(62a)のキャスタ(63)とベッド設置面(64)との間に介在配置されている。
【0067】
第2荷重検出手段(21b)は、ベッド寝床部(61)の頭側左部(詳述すると頭側左端部)に掛かる荷重を時間的に連続して検出するものである。この第2荷重検出手段(21b)は、ベッド(60)の頭側左脚部(62b)のキャスタ(63)とベッド設置面(64)との間に介在配置されている。
【0068】
第3荷重検出手段(21c)は、ベッド寝床部(61)の足側右部(詳述すると足側右端部)に掛かる荷重を時間的に連続して検出するものである。この第3荷重検出手段(21c)は、ベッド(60)の足側右脚部(62c)のキャスタ(63)とベッド設置面(64)との間に介在配置されている。
【0069】
第4荷重検出手段(21d)は、ベッド寝床部(61)の足側左部(詳述すると足側左端部)に掛かる荷重を時間的に連続して検出するものである。この第4荷重検出手段(21d)は、ベッド(60)の足側左脚部(62d)のキャスタ(63)とベッド設置面(64)との間に介在配置されている。
【0070】
各荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)は、市販されている荷重検出器からなり、例えば、歪みゲージを有するロードセルからなる。
【0071】
各荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)による1秒間あたりの荷重検出回数は、2回/秒以上に設定されるのが望ましく、特に4回/秒以上で100回/秒以下に設定されるのが望ましい。ただし本発明では、各荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)による1秒間あたりの荷重検出回数は上記の範囲内であることに限定されるものではない。
【0072】
本実施形態では、各荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)からは、ベッド寝床部(61)の各部位に掛かる荷重の大きさに対応した電圧が、荷重値として出力される。
【0073】
図3に示すように、制御装置(22)は、増幅手段(22a)とアナログ−デジタル変換手段(A/D変換手段)(22b)とを有している。この制御装置(22)は、例えば、第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)のうちいずれか1個の荷重検出手段(21b)に付設されている。
【0074】
増幅手段(22a)は、各荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)から出力された荷重値としての電圧を増幅するものである。アナログ−デジタル変換手段(22b)は、増幅手段(22a)で増幅された電圧をアナログ信号からデジタル信号に変換するものである。
【0075】
第1通信装置(23)は、アナログ−デジタル変換手段(22b)で変換された電圧(デジタル信号)を、電話回線網、インターネット、有線LAN、無線LAN等の有線通信網又は無線通信網を介して、演算装置(30)に送信するものである。本実施形態では、第1通信装置(23)は無線通信網を介して演算装置(30)に送信するように構成されている。なお、図1において、(30a)は、第1通信装置(23)から送信された信号を受信する、演算装置(30)の受信アンテナ部である。
【0076】
演算装置(30)は、演算部(31)と記憶部(32)と判定部(33)とを備えている。この演算装置(30)は、ROM、RAMその他のメモリとCPUなどを有するコンピュータにより構成されている。この演算装置(30)は、例えば、ベッド(60)が設置されている部屋内に設置されたり、監視室、ナースステーション、介護者の詰め所等に設置されたり、あるいは、携帯電話機(PHS機を含む。)に搭載されたりするものである。
【0077】
演算部(31)は、荷重値演算手段(31a)と、総荷重値演算手段(31c)と、最大及び最小総荷重値演算手段(31d)と、頭側荷重値演算手段(31e)と、頭側荷重値減少量演算手段(31f)とを有している。
【0078】
記憶部(32)は、総荷重値記憶手段(32a)と、在床荷重値記憶手段(32b)と、頭側荷重値記憶手段(32c)と、設定値記憶手段(32d)とを有している。さらに記憶部(32)は、被験者(H)の在床状況の検出に必要なプログラムや所定の判定式を記憶する記憶手段(図示せず)などを有している。
【0079】
判定部(33)は、第1〜第12判定手段(33a)(33b)(33c)(33d)(33e)(33f)(33g)(33h)(33i)(33j)(33k)(33l)と、在床判定手段(33m)とを有している。
【0080】
荷重値演算手段(31a)は、各荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)から出力された電圧(デジタル信号)に基づいて、ベッド寝床部(61)の各部位に掛かる荷重を、各荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)から出力される荷重値として、時間的に連続して演算するものである。さらに、この荷重値演算手段(31a)は、被験者(H)がベッド寝床部(61)上に在床していない状態のベッド(60)の荷重、即ちベッド(60)のみの荷重を減算する風袋処理についても行えるように構成されている。
【0081】
ここで、第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)から出力された荷重値をそれぞれW1〜W4とし、第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)から出力された電圧をそれぞれV1〜V4とする。このとき、W1、W2、W3及びW4は、それぞれ次式(i)〜(iv)により算出される。
【0082】
W1=a1×V1+b1 …式(i)
W2=a2×V2+b2 …式(ii)
W3=a3×V3+b3 …式(iii)
W4=a4×V4+b4 …式(iv)
【0083】
ただし、
W1:第1荷重検出手段(21a)から出力された荷重値
W2:第2荷重検出手段(21b)から出力された荷重値
W3:第3荷重検出手段(21c)から出力された荷重値
W4:第4荷重検出手段(21d)から出力された荷重値
V1:第1荷重検出手段(21a)から出力された電圧
V2:第2荷重検出手段(21b)から出力された電圧
V3:第3荷重検出手段(21c)から出力された電圧
V4:第4荷重検出手段(21d)から出力された電圧
【0084】
また、a1、a2、a3及びa4は、いずれも予め設定された定数であり、a1≠0、a2≠0、a3≠0及びa4≠0である。また、b1、b2、b3及びb4は、いずれも予め設定された定数である。
【0085】
W1〜W4は、それぞれベッド(60)のみの荷重が減算された値、即ち風袋処理後の値である。ただし本発明では、W1〜W4は、それぞれ風袋処理前の値、即ち、風袋としてのベッド(60)の荷重を含んだ値であっても良い。
【0086】
W1は、ベッド寝床部(61)の頭側右部に掛かる風袋処理後の荷重に対応する。W2は、ベッド寝床部(61)の頭側左部に掛かる風袋処理後の荷重に対応する。W3は、ベッド寝床部(61)の足側右部に掛かる風袋処理後の荷重に対応する。W4は、ベッド寝床部(61)の足側左部に掛かる風袋処理後の荷重に対応する。
【0087】
ただし本発明では、第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)から出力された荷重値として、その他に、例えば、それぞれ第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)から出力された風袋処理後又は風袋処理前の電圧V1、V2、V3及びV4を用いても良い。この場合、V1、V2、V3、V4と、W1、W2、W3、W4との間には、それぞれ上記式(i)〜(iv)の関係が成立する。
【0088】
荷重値演算手段(31a)による1秒間あたりの演算回数は、例えば、各荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)による1秒間あたりの荷重検出回数と同じに設定される。
【0089】
総荷重値演算手段(31c)は、第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)から出力された4個の荷重値を合計した総荷重値Aを時間的に連続して演算するものである。すなわち、総荷重値Aは次式(v)により算出される。
【0090】
A=W1+W2+W3+W4 …式(v)
【0091】
なお、総荷重値演算手段(31c)による1秒間あたりの演算回数は、例えば、各荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)による1秒間あたりの荷重検出回数と同じに設定される。
【0092】
総荷重値記憶手段(32a)は、総荷重値演算手段(31c)で演算された総荷重値Aを時間的に連続して記憶するものである。
【0093】
なお、総荷重値記憶手段(32a)による1秒間あたりの記憶回数は、例えば、総荷重値演算手段(31c)による1秒間あたりの演算回数と同じに設定される。
【0094】
在床判定手段(33m)は、総荷重値演算手段(31c)で演算された総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるか否かに応じて、被験者(H)がベッド寝床部(61)上に在床したか否かを判定するものである。詳述すると、この在床判定手段(33m)は、総荷重値Aが所定時間の間、所定荷重値以上である場合、被験者(H)がベッド寝床部(61)上に在床したと判定するものであり、一方、そうではない場合、被験者(H)はベッド寝床部(61)上に在床していないと判定するものである。
【0095】
この在床判定手段(33m)において、所定時間としては、例えば5〜300秒の範囲が用いられる。また、所定荷重値以上としては、例えば被験者(H)の体重の1/2以上、好ましくは3/4以上が用いられる。なお、所定荷重値の上限は限定されるものではなく、所定荷重値は例えば被験者(H)の体重以下に設定される。ただし本発明では、所定時間及び所定荷重値は上記の範囲内であることに限定されるものではなく、被験者(H)の身体状態、体重、身長とか、検出装置(20)の使用施設などに応じて様々に設定変更可能である。
【0096】
なお、1kgf=9.80665Nであり、概ね1kgf=9.8Nである。
【0097】
在床荷重値記憶手段(32b)は、在床判定手段(33m)の判定結果において被験者(H)がベッド寝床部(61)上に在床したと判定された場合、在床判定手段(33m)における上記所定時間の経過時の総荷重値Aを、被験者(H)がベッド寝床部(61)上に在床した状態の荷重値、即ち在床荷重値Bとして記憶するものである。
【0098】
頭側荷重値演算手段(31e)は、在床判定手段(33m)の判定結果において被験者(H)がベッド寝床部(61)上に在床したと判定された場合、第1荷重検出手段(21a)から出力された荷重値W1と、第2荷重検出手段(21b)から出力された荷重値W2とを合計した荷重値を、頭側荷重値Cとして時間的に連続して演算するものである。すなわち、頭側荷重値Cは次式(vi)により算出される。
【0099】
C=W1+W2 …式(vi)
【0100】
なお、頭側荷重値演算手段(31e)による1秒間あたりの演算回数は、例えば、荷重値演算手段(31a)による1秒間あたりの演算回数と同じに設定される。
【0101】
頭側荷重値記憶手段(32c)は、頭側荷重値演算手段(31e)で演算された頭側荷重値Cを時間的に連続して記憶するものである。
【0102】
なお、頭側荷重値記憶手段(32c)による1秒間あたりの記憶回数は、例えば、頭側荷重値演算手段(31e)による1秒間あたりの演算回数と同じに設定される。
【0103】
頭側荷重値減少量演算手段(31f)は、頭側荷重値演算手段(31e)で演算された頭側荷重値Cの所定時間内の減少量ΔCを時間的に連続して演算するものである。所定時間としては、例えば3〜180秒の範囲が用いられる。ただし本発明では、所定時間は上記の範囲内であることに限定されるものではなく、被験者(H)の身体状態、体重、身長とか、検出装置(20)の使用施設などに応じて様々に設定変更可能である。
【0104】
現在の頭側荷重値CをC(t0)、現在からT秒前の頭側荷重値CをC(t0−T)とするとき、ΔCは次式(vii)により算出される。
【0105】
ΔC=C(t0−T)−C(T0) …式(vii)
【0106】
なお、頭側荷重値減少量演算手段(31f)による1秒間あたりの演算回数は、例えば、頭側荷重値演算手段(31e)による1秒間あたりの演算回数と同じに設定される。
【0107】
最大及び最小総荷重値演算手段(31d)は、総荷重値演算手段(31c)で演算された総荷重値Aの所定時間内における最大総荷重値Amax及び最小総荷重値Aminを時間的に連続して演算するものである。所定時間としては、例えば3〜180秒の範囲が用いられる。ただし本発明では、所定時間は上記の範囲内であることに限定されるものではなく、被験者(H)の身体状態、体重、身長とか、検出装置(20)の使用施設などに応じて様々に設定変更可能である。
【0108】
なお、最大及び最小総荷重値演算手段(31d)による1秒間あたりの演算回数は、例えば荷重値演算手段(31a)による1秒間あたりの演算回数と同じに設定される。
【0109】
第1判定手段(33a)は、第1荷重検出手段(21a)から出力された荷重値W1と、第3荷重検出手段(21c)から出力された荷重値W3とに基づいて、次の第1判定式(1)を満足しているか否かを判定するものである。
【0110】
W1/(W1+W3)≦n1 …式(1)
【0111】
ただし、n1は予め設定された値(第1閾値)であり、且つ、0<n1<0.5である。詳述すると、例えば0<n1<0.25である。
【0112】
第2判定手段(33b)は、第1荷重検出手段(21a)から出力された荷重値W1と、第3荷重検出手段(21c)から出力された荷重値W3とに基づいて、次の第2判定式(2)を満足しているか否かを判定するものである。
【0113】
W1/(W1+W3)≧n2 …式(2)
【0114】
ただし、n2は予め設定された値(第2閾値)であり、且つ、0.5<n2<1である。詳述すると、例えば0.75<n2<1である。
【0115】
第3判定手段(33c)は、第2荷重検出手段(21b)から出力された荷重値W2と、第4荷重検出手段(21d)から出力された荷重値W4とに基づいて、次の第3判定式(3)を満足しているか否かを判定するものである。
【0116】
W2/(W2+W4)≦n3 …式(3)
【0117】
ただし、n3は予め設定された値(第3閾値)であり、且つ、0<n3<0.5である。詳述すると、例えば0<n3<0.25である。
【0118】
第4判定手段(33d)は、第2荷重検出手段(21b)から出力された荷重値W2と、第4荷重検出手段(21d)から出力された荷重値W4とに基づいて、次の第4判定式(4)を満足しているか否かを判定するものである。
【0119】
W2/(W2+W4)≧n4 …式(4)
【0120】
ただし、n4は予め設定された値(第4閾値)であり、且つ、0.5<n4<1である。詳述すると、例えば0.75<n4<1である。
【0121】
第5判定手段(33e)は、第1荷重検出手段(21a)から出力された荷重値W1と、第2荷重検出手段(21b)から出力された荷重値W2とに基づいて、次の第5判定式(5)を満足しているか否かを判定するものである。
【0122】
W1/(W1+W2)≦n5 …式(5)
【0123】
ただし、n5は予め設定された値(第5閾値)であり、且つ、0<n5<0.5である。詳述すると、例えば0<n5<0.25である。
【0124】
第6判定手段(33f)は、第1荷重検出手段(21a)から出力された荷重値W1と、第2荷重検出手段(21b)から出力された荷重値W2とに基づいて、次の第6判定式(6)を満足しているか否かを判定するものである。
【0125】
W1/(W1+W2)≧n6 …式(6)
【0126】
ただし、n6は予め設定された値(第6閾値)であり、且つ、0.5<n6<1である。詳述すると、例えば0.75<n6<1である。
【0127】
第7判定手段(33g)は、第3荷重検出手段(21c)から出力された荷重値W3と、第4荷重検出手段(21d)から出力された荷重値W4とに基づいて、次の第7判定式(7)を満足しているか否かを判定するものである。
【0128】
W3/(W3+W4)≦n7 …式(7)
【0129】
ただし、n7は予め設定された値(第7閾値)であり、且つ、0<n7<0.5である。詳述すると、例えば0<n7<0.25である。
【0130】
第8判定手段(33h)は、第3荷重検出手段(21c)から出力された荷重値W3と、第4荷重検出手段(21d)から出力された荷重値W4とに基づいて、次の第8判定式(8)を満足しているか否かを判定するものである。
【0131】
W3/(W3+W4)≧n8 …式(8)
【0132】
ただし、n8は予め設定された値(第8閾値)であり、且つ、0.5<n8<1である。詳述すると、例えば0.75<n8<1である。
【0133】
なお本発明では、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7及びn8は上記の範囲内であることに限定されるものではなく、被験者(H)の身体状態、体重、身長とか、ベッド寝床部(61)の大きさとか、検出装置(20)の使用施設などに応じて様々に設定変更可能である。
【0134】
第9判定手段(33i)は、総荷重値演算手段(31c)で演算された総荷重値Aと、在床荷重値記憶手段(32b)に記憶された在床荷重値Bとに基づいて、次の第9判定式(9)を満足しているか否かを判定するものである。
【0135】
A≦B×m1 …式(9)
【0136】
ただし、m1は予め設定された値であり、且つ、0<m1<1である。詳述すると、例えば0.5<m1<0.9である。
【0137】
第10判定手段(33j)は、総荷重値演算手段(31c)で演算された総荷重値Aと、在床荷重値記憶手段(32b)に記憶された在床荷重値Bとに基づいて、次の第10判定式(10)を満足しているか否かを判定するものである。
【0138】
A<B×m2 …式(10)
【0139】
ただし、m2は予め設定された値であり、且つ、0<m2<m1である。詳述すると、例えば0<m2≦0.5である。
【0140】
なお本発明では、m1及びm2は上記の範囲内であることに限定されるものではなく、被験者(H)の身体状態、体重、身長とか、ベッド寝床部(61)の大きさとか、検出装置(20)の使用施設などに応じて様々に設定変更可能である。
【0141】
第11判定手段(33k)は、最大及び最小総荷重値演算手段(31d)で演算された最大総荷重値Amax及び最小総荷重値Aminと、在床荷重値記憶手段(32b)に記憶された在床荷重値Bとに基づいて、次の第11判定式(11)を満足しているか否かを判定するものである。
【0142】
Amax−Amin≧B×q …式(11)
【0143】
ただし、qは予め設定された値であり、且つ、0<qである。詳述すると、例えば0.05<q<0.2である。
【0144】
なお本発明では、qは上記の範囲内であることに限定されるものではなく、被験者(H)の身体状態、体重、身長とか、ベッド寝床部(61)の大きさとか、検出装置(20)の使用施設などに応じて様々に設定変更可能である。
【0145】
第12判定手段(33l)は、総荷重値演算手段(31c)で演算された総荷重値Aと、頭側荷重値減少量演算手段(31f)で演算された頭側荷重値の減少量ΔCとに基づいて、次の第12判定式(12)を満足しているか否かを判定するものである。
【0146】
ΔC≧A×s …式(12)
【0147】
ただし、sは予め設定された値であり、且つ、0<sである。詳述すると、例えば0.05<s<0.2である。
【0148】
なお本発明では、sは上記の範囲内であることに限定されるものではなく、被験者(H)の身体状態、体重、身長とか、ベッド寝床部(61)の大きさとか、検出装置(20)の使用施設などに応じて様々に設定変更可能である。
【0149】
また、各判定手段(33a〜33l)による1秒間あたりの判定回数は、例えば荷重値演算手段(31a)による1秒間あたりの演算回数と同じに設定される。
【0150】
設定値記憶手段(32d)は、n1〜n8、m1、m2、q、s、a1〜a4、b1〜b4等の所定の値を予め設定記憶するものである。さらに、演算装置(30)は、この設定値記憶手段(32d)に所定の値を記憶させるために所定の値を入力する入力手段を有している。
【0151】
報知装置(50)は、第1〜第4報知手段(50a)(50b)(50c)(50d)を備えている。この報知装置(50)は、例えば、監視室、ナースステーション、介護者の詰め所等に設置されたり、あるいは携帯電話機(PHS機を含む。)等に搭載されるものである。
【0152】
第1報知手段(50a)は、第1〜第8判定手段(33a)(33b)(33c)(33d)(33e)(33f)(33g)(33h)のうち少なくとも一つの判定手段の判定結果において判定式を満足していると判定された場合、被験者(H)の在床状況に関する情報を、報知対象者として、看護師、介護者、監視者等に対して報知するものである。本実施形態では、第1報知手段(50a)は、被験者(H)の在床状況を関する情報として、被験者(H)の在床位置がベッド寝床部(61)の端部領域である旨の情報を報知する。
【0153】
なお、ベッド寝床部(61)の端部領域としては、例えば、ベッド寝床部(61)の右端部領域、左端部領域、頭側端部領域及び足側端部領域がある。また、ベッド寝床部(61)の右端部領域は、例えば、ベッド寝床部(61)の右側縁から100〜250mmの幅領域に設定され、ベッド寝床部(61)の左端部領域は、例えば、ベッド寝床部(61)の左側縁から100〜250mmの幅領域に設定される。また、ベッド寝床部(61)の頭側端部領域は、例えば、ベッド寝床部(61)の頭側端縁から100〜500mmの幅領域に設定され、ベッド寝床部(61)の足側端部領域は、例えば、ベッド寝床部(61)の足側端縁から100〜500mmの幅領域に設定される。ただし本発明では、ベッド寝床部(61)の端部領域は上記の領域であることに限定されるものではなく、被験者(H)の身体状態、体重、身長とか、ベッド寝床部(61)の大きさとか、検出装置(20)の使用施設などに応じて様々に設定変更可能である。
【0154】
第2報知手段(50b)は、第10判定手段(33j)の判定結果において第10判定式(10)を満足していると判定された場合、被験者(H)が離床した旨の情報を、報知対象者として、監視者、看護師、介護者等に対して報知するものである。
【0155】
第3報知手段(50c)は、第11判定手段(33k)の判定結果において第11判定式(11)を満足していると判定された場合、被験者(H)の体動に関する情報を、報知対象者として、看護師、介護者、監視者等に対して報知するものである。本実施形態では、第3報知手段(50c)は、被験者(H)の体動に関する情報として、被験者(H)の体動がある旨の情報を報知する。
【0156】
第4報知手段(50d)は、第12判定手段(33l)の判定結果において第12判定式(12)を満足していると判定された場合、被験者(H)が上体を起こした旨の情報を、報知対象者として、看護師、介護者、監視者等に対して報知するものである。
【0157】
各報知手段(50a)(50b)(50c)(50d)は、報知スピーカ、報知ランプ、表示手段等を有している。報知スピーカは、所定の情報を音声やブザー音等の音で報知対象者に対して報知するものである。報知ランプは、所定の情報をランプの点灯や点滅等で報知対象者に対して報知するものである。表示手段は、液晶ディスプレイ、CRT等により構成されており、所定の情報を文字、図等の表示により報知対象者に対して報知するものである。
【0158】
第2通信装置(40)は、第1〜第4通信手段(40a)(40b)(40c)(40d)を備えている。この第2通信装置(40)は、例えば演算装置(30)に付設される。
【0159】
第1通信手段(40a)は、第1〜第8判定手段(33a)(33b)(33c)(33d)(33e)(33f)(33g)(33h)のうち前記少なくとも一つの判定手段の判定結果において判定式を満足していると判定された場合、被験者(H)の在床状況に関する情報を、電話回線網、インターネット、有線LAN、無線LAN等の無線通信網又は有線通信網を介して第1報知手段(50a)に送信するものである。本実施形態では、第1通信手段(40a)は、被験者(H)の在床状況に関する情報として、被験者(H)の在床位置がベッド寝床部(61)の端部領域である旨の情報を送信する。
【0160】
第2通信手段(40b)は、第10判定手段(33j)の判定結果において第10判定式(10)を満足していると判定された場合、被験者(H)が離床した旨の情報を、無線通信網又は有線通信網を介して第2報知手段(50b)に送信するものである。
【0161】
第3通信手段(40c)は、第11判定手段(33k)の判定結果において第11判定式(11)を満足していると判定された場合、被験者(H)の体動に関する情報を、無線通信網又は有線通信網を介して第3報知手段(50c)に送信するものである。本実施形態では、第3通信手段(40c)は、被験者(H)の体動に関する情報として、被験者(H)の体動がある旨の情報を送信する。
【0162】
第4通信手段(40d)は、第12判定手段(33l)の判定結果において第12判定式(12)を満足していると判定された場合、被験者(H)が上体を起こした旨の情報を、無線通信網又は有線通信網を介して第4報知手段(50d)に送信するものである。
【0163】
なお、各通信手段(40a)(40b)(40c)(40d)において、電話回線網としては、携帯電話(PHSを含む。)の回線網や、固定電話の回線網などが用いられる。
【0164】
次に、上記検出装置(20)を用いたベッドの在床状況検出方法について、図4〜8に示したフローチャートに基づいて以下に説明する。
【0165】
図4に示すように、ステップS1では、ベッド寝床部(61)の頭側右部、頭側左部、足側右部及び足側左部に掛かる荷重を、それぞれ第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)により検出する[荷重検出工程]。この際に、第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)から出力された荷重値を風袋処理する。これにより、ベッド寝床部(61)上に被験者(H)が在床していない状態におけるベッド寝床部(61)の各部位に掛かる荷重値として、第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)から出力される荷重値W1、W2、W3及びW4が、いずれも0kgfに設定される。
【0166】
このステップS1では、各荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)からは、ベッド寝床部(61)の各部位に掛かる荷重の大きさに対応した電圧が出力される。そして、この電圧は制御装置(22)に送信される。送信された電圧は、制御装置(22)の増幅手段(22a)により増幅され、次いでアナログ−デジタル変換手段(22b)によりアナログ信号からデジタル信号に変換され、その後、第1通信装置(23)により無線通信網(又は有線通信網)を介して演算装置(30)に送信される。この送信された電圧に基づいて、演算装置(30)の荷重値演算手段(31a)により、ベッド寝床部(61)の各部位に掛かる荷重値W1、W2、W3及びW4が演算される。なお、電圧と荷重値との間には、上記式(i)〜(iv)の関係が成立している。次いで、ステップS2へ進む。
【0167】
ステップS2では、第1〜第4荷重検出手段(21a)(21b)(21c)(21d)からそれぞれ出力された4個の荷重値W1、W2、W3及びW4を合計した総荷重値Aを、総荷重値演算手段(31c)により時間的(即ち所定時間毎)に連続して演算する[総荷重値演算工程]。なお、総荷重値Aは上記式(v)により算出される。そして、総荷重値Aが所定荷重値として例えば20kgf以上であるか否かを、演算装置(30)の判定部(33)に備えられた所定の判定手段(図示せず)により判定する。もし、総荷重値Aが20kgf以上である(即ちA≧20kgf)と判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS3へ進む。一方、総荷重値Aが20kgf未満である(即ちA<20kgf)と判定された場合(「NO」の場合)には、本ステップS2に戻る。
【0168】
なお本発明では、ステップS2の所定荷重値は20kgfであることに限定されるものではない。所定荷重値以上として、例えば被験者(H)の体重の1/2以上、好ましくは3/4以上が用いられる。なお、所定荷重値の上限は限定されるものではなく、所定荷重値は例えば被験者(H)の体重以下に設定される。ただし本発明では、所定荷重値は上記の範囲内であることに限定されるものではなく、例えば、被験者(H)の身体状態、体重などに応じて様々に設定変更可能である。
【0169】
ステップS3では、総荷重値Aを総荷重値記憶手段(32a)に時間的に連続して記憶することを開始する[総荷重値記憶工程]。次いで、ステップS4へ進む。
【0170】
ステップS4では、総荷重値Aが所定時間の間、所定荷重値以上であるか否かを在床判定手段(33m)により判定する[在床判定工程]。本実施形態では、所定時間として例えば30秒、所定荷重値として例えば20kgfが用いられている。もし、総荷重値Aが所定時間(即ち30秒)の間、所定荷重値(即ち20kgf)以上であると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS5へ進む。一方、そうではないと判定された場合(「NO」の場合)には、本ステップS4に戻る。なお本発明では、所定時間は30秒であることに限定されるものではなく、例えば、被験者(H)の身体状態、体重などに応じて様々に設定変更可能であり、また所定荷重値は20kgfであることに限定されるものではなく、例えば、被験者(H)の身体状態、体重などに応じて様々に設定変更可能である。
【0171】
ステップS5では、ステップS4の在床判定工程における所定時間(即ち30秒)の経過時の総荷重値Aを、被験者(H)がベッド寝床部(61)上に在床した状態の荷重値、即ち在床荷重値Bとして、在床荷重値記憶手段(32b)に記憶する[在床荷重値記憶工程]。本実施家形態では、在床荷重値Bとして、30秒の経過時の総荷重値Aが記憶される。次いで、ステップS6へ進む。
【0172】
ステップS6では、被験者(H)がベッド寝床部(61)上に在床したと判定する。次いで、ステップS7へ進む。
【0173】
ステップS7では、第1荷重検出手段(21a)から出力された荷重値W1と、第2荷重検出手段(21b)から出力された荷重値W2とを合計した荷重値を、頭側荷重値Cとして頭側荷重値演算手段(31e)により時間的に連続して演算する[頭側荷重値演算工程]。なお、頭側荷重値Cは上記式(vi)により算出される。そして、この頭側荷重値演算手段(31e)により演算された頭側荷重値Cを頭側荷重値記憶手段(32c)に時間的に連続して記憶することを開始する[頭側荷重値記憶工程]。次いで、ステップS11、S31、S41及びS51へそれぞれ進む。
【0174】
図5に示すように、ステップS11では、上記第1判定式(1)を満足しているか否かを第1判定手段(33a)により判定する[第1判定工程]。この判定結果において、もし第1判定式(1)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS19へ進む。一方、もし第1判定式(1)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS11へ進む。
【0175】
ステップS12では、上記第2判定式(2)を満足しているか否かを第2判定手段(33b)により判定する[第2判定工程]。この判定結果において、もし第2判定式(2)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS19へ進む。一方、もし第2判定式(2)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS13へ進む。
【0176】
ステップS13では、上記第3判定式(3)を満足しているか否かを第3判定手段(33c)により判定する[第3判定工程]。この判定結果において、もし第3判定式(3)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS19へ進む。一方、もし第3判定式(3)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS14へ進む。
【0177】
ステップS14では、上記第4判定式(4)を満足しているか否かを第4判定手段(33d)により判定する[第4判定工程]。この判定結果において、もし第4判定式(4)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS19へ進む。一方、もし第4判定式(4)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS15へ進む。
【0178】
ステップS15では、上記第5判定式(5)を満足しているか否かを第5判定手段(33e)により判定する[第5判定工程]。この判定結果において、もし第5判定式(5)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS19へ進む。一方、もし第5判定式(5)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS16へ進む。
【0179】
ステップS16では、上記第6判定式(6)を満足しているか否かを第6判定手段(33f)により判定する[第6判定工程]。この判定結果において、もし第6判定式(6)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS19へ進む。一方、もし第6判定式(6)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS17へ進む。
【0180】
ステップS17では、上記第7判定式(7)を満足しているか否かを第7判定手段(33g)により判定する[第7判定工程]。この判定結果において、もし第7判定式(7)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS19へ進む。一方、もし第7判定式(7)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS18へ進む。
【0181】
ステップS18では、上記第8判定式(8)を満足しているか否かを第8判定手段(33h)により判定する[第8判定工程]。この判定結果において、もし第8判定式(8)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS19へ進む。一方、もし第8判定式(8)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS11に戻る。
【0182】
ステップS19では、被験者(H)の在床状況に関する情報として、被験者(H)の在床位置がベッド寝床部(61)の端部領域にあると判定する。次いで、ステップS20へ進む。
【0183】
ステップS20では、被験者(H)の在床状況に関する情報として、被験者(H)の在床位置がベッド寝床部(61)の端部領域である旨の情報を、第1通信手段(40a)により無線通信網又は有線通信網を介して第1報知手段(50a)に送信する[第1通信工程]。次いで、ステップS21へ進む。
【0184】
ステップS21では、被験者(H)の在床状況に関する情報として、被験者(H)の在床位置がベッド寝床部(61)の端部領域にある旨の情報を、第1報知手段(50a)により看護師、介護者、監視者等に対して報知する[第1報知工程]。これにより、看護師等は、被験者(H)の在床位置がベッド寝床部(61)の端部領域にある旨の情報を知ることができる。この情報を知った看護師等は、例えば、被験者(H)に対して必要な処置を講じることができる。被験者(H)に対して講じる処置とは、例えば、被験者(H)のベッド寝床部(61)上からの転落防止処置とか、離床しようとする被験者(H)の介護(介助)が挙げられる。
【0185】
図6に示すように、ステップS31では、上記第9判定式(9)を満足しているか否かを第9判定手段(33i)により判定する[第9判定工程]。この判定結果において、もし第9判定式(9)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS32へ進む。一方、もし第9判定式(9)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、本ステップS31に戻る。
【0186】
ステップS32では、上記第10判定式(10)を満足しているか否かを第10判定手段(33j)により判定する[第10判定工程]。この判定結果において、もし第10判定式(10)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS33へ進む。一方、もし第10判定式(10)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS34へ進む。
【0187】
ステップS33では、被験者(H)が離床したと判定する。次いで、ステップS35へ進む。
【0188】
ステップS34では、総荷重値A(総荷重)が減少したと判定する。なお、このステップS34では、例えば、被験者(H)の姿勢が端座位であるとか、その他の姿勢が判定される。
【0189】
ステップS35では、被験者(H)が離床した旨の情報、又は総荷重値Aが減少した旨の情報を、第2通信手段(40b)により無線通信網又は有線通信網を介して第2報知手段(50b)に送信する[第2通信工程]。次いで、ステップS36へ進む。
【0190】
ステップS36では、被験者(H)が離床した旨の情報、又は総荷重値Aが減少した旨の情報を、第2報知手段(50b)により看護師、介護者、監視者等に対して報知する[第2報知工程]。これにより、看護師等は、被験者(H)が離床した旨の情報、又は総荷重値Aが減少した旨の情報を知ることができる。この情報を知った看護師等は、被験者(H)に対して必要な処置を講じることができる。なお、被験者(H)に対して講じる処置とは、例えば、離床した被験者(H)の介護(介助)が挙げられる。
【0191】
図7に示すように、ステップS41では、総荷重値演算手段(31c)で演算された総荷重値Aの所定時間内(例えば3秒間)における最大総荷重値Amax及び最小総荷重値Aminを、最大及び最小総荷重値演算手段(31d)により時間的に連続して演算する[最大及び最小総荷重値演算工程]。次いで、ステップS42へ進む。
【0192】
ステップS42では、上記第11判定式(11)を満足しているか否かを第11判定手段(33k)により判定する[第11判定工程]。この判定結果において、もし第11判定式(11)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS43へ進む。一方、もし第11判定式(11)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS41に戻る。
【0193】
ステップS43では、被験者(H)の体動があると判定する。次いで、ステップS44へ進む。
【0194】
ステップS44では、被験者(H)の体動に関する情報として、被験者(H)の体動がある旨の情報を、第3通信手段(40c)により無線通信網又は有線通信網を介して第3報知手段(50c)に送信する[第3通信工程]。次いで、ステップS45へ進む。
【0195】
ステップS45では、被験者(H)の体動に関する情報として、被験者(H)の体動がある旨の情報を、第3報知手段(50c)により看護師、介護者、監視者等に対して報知する[第3報知工程]。
【0196】
図8に示すように、ステップS51では、頭側荷重値演算手段(31e)で演算された頭側荷重値Cの所定時間内(例えば3秒間)の減少量ΔCを、頭側荷重値減少量演算手段(31f)により時間的に連続して演算する[頭側荷重値減少量演算工程]。次いで、ステップS52へ進む。
【0197】
ステップS52では、上記第12判定式(12)を満足しているか否かを第12判定手段(33l)により判定する[第12判定工程]。この判定結果において、もし第12判定式(12)を満足していると判定された場合(「YES」の場合)には、ステップS53へ進む。一方、もし第12判定式(12)を満足していないと判定された場合(「NO」の場合)には、ステップS51に戻る。
【0198】
ステップS53では、被験者(H)が上体を起こしたと判定する。次いで、ステップS54へ進む。
【0199】
ステップS54では、被験者(H)が上体を起こした旨の情報を、第4通信手段(40d)により無線通信網又は有線通信網を介して第4報知手段(50d)に送信する[第4通信工程]。次いで、ステップS55へ進む。
【0200】
ステップS55では、被験者(H)が上体を起こした旨の情報を、第4報知手段(50d)により看護師、介護者、監視者等に対して報知する[第4報知工程]。これにより、看護師等は、被験者(H)が上体を起こしたことを知ることができる。
【0201】
而して、本実施形態のベッドの在床状況検出方法は次の利点がある。
【0202】
本実施形態のベッドの在床状況検出方法は、第1〜第8判定工程を備えているので、被験者(H)の様々な寝姿に対応した値を検出できる(後述する検証例1〜3参照)。
【0203】
さらに、各判定工程の判定式(1〜12)はベッド寝床部(61)の長さ寸法及び幅寸法を含んでいない式なので、ベッド寝床部(61)の長さ寸法及び幅寸法によらないで、即ちベッド寝床部(61)の大きさによらないで、判定を行うことができる。そのため、例えば、被験者(H)の在床状況の検出を行う際に、ベッド寝床部(61)の大きさ(即ち長さや幅等)に関する寸法を予め設定しておく必要がない。したがって、様々な大きさのベッド(60)に対して被験者(H)の在床状況の検出を容易に行うことができる。
【0204】
さらに、この検出方法は、第1報知工程を備えているので、被験者(H)の在床状況に関する情報を看護師、介護者、監視者等に対して報知できる。
【0205】
さらに、この検出方法は、第1通信工程を備えているので、被験者(H)の在床状況に関する情報を送信できる。
【0206】
また、この検出方法では、被験者(H)の在床状況に関する情報は、被験者(H)の在床位置がベッド寝床部(61)の端部領域である旨の情報であるから、被験者(H)の在床位置がベッド寝床部(61)の端部領域である旨の情報を報知したり送信したりすることができる。
【0207】
さらに、この検出方法は、第9判定工程と第10判定工程を備えているので、被験者(H)の在床状況に関する情報として、被験者(H)が離床したか否かを判定できる。
【0208】
さらに、この検出方法は、第2報知工程を備えているので、被験者(H)が離床した旨の情報を看護師、介護者、監視者等に対して報知できる。
【0209】
さらに、この検出方法は、第2通信工程を備えているので、被験者(H)が離床した旨の情報を送信できる。
【0210】
さらに、この検出方法は、第11判定工程を備えているので、被験者(H)の在床状況に関する情報として、被験者(H)の体動があるかないかを判定できる。
【0211】
さらに、この検出方法は、第3報知工程を備えているので、被験者(H)の体動に関する情報を看護師、介護者、監視者等に対して報知できる。
【0212】
さらに、この検出方法は、第3通信工程を備えているので、被験者(H)の体動に関する情報を送信できる。
【0213】
さらに、この検出方法は、第12判定工程を備えているので、被験者(H)の在床状況に関する情報として、被験者(H)が上体を起こしたか否かを判定できる。
【0214】
さらに、この検出方法は、第4報知工程を備えているので、被験者(H)が上体を起こした旨の情報を看護師、介護者、監視者等に対して報知できる。
【0215】
さらに、この検出方法は、第4通信工程を備えているので、被験者(H)が上体を起こした旨の情報を送信できる。
【0216】
また、本実施形態のベッドの在床状況検出装置(20)は、上記検出方法と同様の利点がある。
【0217】
本発明の一実施形態に係るベッドの在床状況監視システム(70)は、本実施形態の上記検出装置(20)を備えている。したがって、この監視システム(70)は被験者(H)の在床状況を確実に監視できる。
【0218】
以上で本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に示したものに限定されるものではなく、様々に設定変更可能である。
【0219】
例えば、本発明に係るベッドの在床状況検出装置は、被験者(H)の在床状況はもとより、更に、被験者(H)の生体情報(例:呼吸数、心拍数)をも計測可能なものであっても良いし、被験者(H)の生体情報を計測する装置と組み合わせて構成されたものであっても良い。
【0220】
また、上記実施形態では、W1、W2、W3及びW4は風袋処理後の値であるが、本発明では、W1、W2、W3及びW4は風袋処理前の値、即ち、風袋としてのベッド(60)の荷重を含んだ値であっても良い。
【実施例】
【0221】
次に、本発明の具体的な検証例を以下に示す。
【0222】
ベッド(60)として、図9に示すように、ベッド寝床部(61)の脚部の長さ方向の間隔BXが2000mm、ベッド寝床部(61)の脚部の幅方向の間隔BYが800mmのものを準備した。なお、ベッド寝床部(61)の長さ方向をX軸方向、ベッド寝床部(61)の幅方向をY軸方向とする。また、被験者(H)の体重は100kgfである。
【0223】
また、ベッド寝床部(61)の右側縁からベッド寝床部(61)の幅方向中央部側に向かってBYに対して1/4の領域をベッド寝床部(61)の右端部領域とし、また、ベッド寝床部(61)の左側縁からベッド寝床部(61)の幅方向中央部側に向かってBYに対して1/4の領域をベッド寝床部(61)の左端部領域とする。ここで、BYは800mmであることから、ベッド寝床部(61)の右端部領域は、ベッド寝床部(61)の右側縁からベッド寝床部(61)の幅方向中央部側に向かって200mmの幅領域であり、ベッド寝床部(61)の左端部領域は、ベッド寝床部(61)の左側縁からベッド寝床部(61)の幅方向中央部側に向かって200mmの幅領域である。ただし本発明では、ベッド寝床部(61)の端部領域は上記の領域であることに限定されるものではない。
【0224】
また、以下に示す検証例1〜3において、判定の際に用いたn1〜n8は次のとおりである。
【0225】
第1判定式(1):n1=0.2
第2判定式(2):n2=0.8
第3判定式(3):n3=0.2
第4判定式(4):n4=0.8
第5判定式(5):n5=0.2
第6判定式(6):n6=0.8
第7判定式(7):n7=0.2
第8判定式(8):n8=0.8
【0226】
<検証例1>
図10に示すように、被験者(H)がベッド寝床部(61)の幅方向中央部にベッド寝床部(61)の長さ方向に沿うように仰臥姿勢で在床している場合、W1、W2、W3及びW4は次のとおりであった。
【0227】
W1=28kgf
W2=29kgf
W3=20kgf
W4=23kgf
【0228】
上記の場合について、従来の検出方法により被験者(H)の重心位置(G)の座標(GX,GY)を算出した。すなわち、重心位置(G)の座標を上記式(101)及び(102)により算出した。その結果は次のとおりである。
【0229】
GX=140mm
GY=−16mm
【0230】
したがって、被験者(H)の重心位置(G)はベッド寝床部(61)の略中央部領域にある。
【0231】
一方、上記の場合について、各判定式(1〜8)を満足しているか否かを判定した。その結果、どの判定式も満足していない。
【0232】
<検証例2>
図11に示すように、被験者(H)がベッド寝床部(61)の右端部にベッド寝床部(61)の長さ方向に沿うように仰臥姿勢で在床している場合、W1、W2、W3及びW4は次のとおりであった。
【0233】
W1=46kgf
W2=9kgf
W3=37kgf
W4=8kgf
【0234】
上記の場合について、従来の検出方法により被験者(H)の重心位置(G)の座標(GX,GY)を算出した。その結果は次のとおりである。
【0235】
GX=100mm
GY=264mm
【0236】
したがって、被験者(H)の重心位置(G)はベッド寝床部(61)の右端部領域にある。
【0237】
一方、上記の場合について、各判定式(1〜8)を満足しているか否かを判定した。その結果、第6判定式(6)と第8判定式(8)が満足している。
【0238】
したがって、被験者(H)が図10に示した寝姿のままで、図11に示すようにベッド寝床部(61)の長さ方向に対して平行にベッド寝床部(61)の幅方向に移動する場合には、従来の検出方法及び本発明の検出方法のいずれの方法でも、被験者(H)の在床位置がベッド寝床部(61)の端部領域内に到達したことを検出できる。
【0239】
<検証例3>
図12に示すように、被験者(H)が、その頭部をベッド寝床部(61)の左端部に位置させ、その足部をベッド寝床部(61)の幅方向略中央部に位置させた側臥姿勢で在床している場合、W1、W2、W3及びW4は次のとおりであった。なお、この寝姿では、被験者(H)の頭部の一部はベッド寝床部(61)の左端部よりも外側にはみ出している。そのため、被験者(H)がベッド寝床部(61)上から転落する虞がある。また、被験者(H)が離床しようとする際にこの寝姿になることがしばしばある。
【0240】
W1=10kgf
W2=42kgf
W3=36kgf
W4=12kgf
【0241】
上記の場合について、従来の検出方法により被験者(H)の重心位置(G)の座標(GX,GY)を算出した。その結果は次のとおりである。
【0242】
GX=40mm
GY=−32mm
【0243】
したがって、被験者(H)の重心位置(G)はベッド寝床部(61)の略中央部領域にある。
【0244】
一方、上記の場合について、各判定式(1〜8)を満足しているか否かを判定した。その結果、第5判定式(5)を満足している。
【0245】
したがって、被験者(H)の寝姿が図12に示した状態である場合、従来の検出方法では、被験者(H)の在床位置がベッド寝床部(61)の端部領域にあることを判定できないが、本発明の検出方法では、それを判定できる。
【0246】
すなわち、被験者(H)の寝姿が図10に示した状態から図12に示した状態に変化した場合には、従来の検出方法では、被験者(H)の寝姿の変化を検出できないが、本発明の検出方法では、被験者(H)の寝姿の変化を検出できる。したがって、本発明の検出方法によれば、従来の検出方法では検出できなかった被験者の寝姿に対応した値を検出でき、すなわち被験者の様々な寝姿に対応した値を検出できる。
【0247】
本願は、2006年6月19日付で出願された日本国特許出願の特願2006−168484号の優先権主張を伴うものであり、その開示内容は、そのまま本願の一部を構成するものである。
【0248】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではなく、ここに示され且つ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、この発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。
【0249】
本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものであるが、この開示は本発明の原理の実施例を提供するものと見なされるべきであって、それら実施例は、本発明をここに記載しかつ/または図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、多くの図示実施形態がここに記載されている。
【0250】
本発明の図示実施形態を幾つかここに記載したが、本発明は、ここに記載した各種の好ましい実施形態に限定されるものではなく、この開示に基づいていわゆる当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良及び/又は変更を有するありとあらゆる実施形態をも包含するものである。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施例に限定されるべきではなく、そのような実施例は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、この開示において、「preferably」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味するものである。この開示および本願のプロセキューション中において、ミーンズ・プラス・ファンクションあるいはステップ・プラス・ファンクションの限定事項は、特定クレームの限定事項に関し、a)「means for」あるいは「step for」と明確に記載されており、かつb)それに対応する機能が明確に記載されており、かつc)その構成を裏付ける構成、材料あるいは行為が言及されていない、という条件の全てがその限定事項に存在する場合にのみ適用される。この開示および本願のプロセキューション中において、「present invention」または「invention」という用語は、この開示範囲内における1または複数の側面に言及するものとして使用されている場合がある。このpresent inventionまたはinventionという用語は、臨界を識別するものとして不適切に解釈されるべきではなく、全ての側面すなわち全ての実施形態に亘って適用するものとして不適切に解釈されるべきではなく(すなわち、本発明は多数の側面および実施形態を有していると理解されなければならない)、本願ないしはクレームの範囲を限定するように不適切に解釈されるべきではない。この開示および本願のプロセキューション中において、「embodiment」という用語は、任意の側面、特徴、プロセスあるいはステップ、それらの任意の組み合わせ、及び/又はそれらの任意の部分等を記載する場合にも用いられる。幾つかの実施例においては、各種実施形態は重複する特徴を含む場合がある。この開示および本願のプロセキューション中において、「e.g.,」、「NB」という略字を用いることがあり、それぞれ「たとえば」、「注意せよ」を意味するものである。
【産業上の利用可能性】
【0251】
本発明は、例えば、ベッド寝床部上の被験者の在床状況(例:被験者の寝姿に対応した値、離床、在床、体動)を検出するベッドの在床状況検出方法、在床状況検出装置、及び在床状況監視システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0252】
20…ベッドの在床状況検出装置
21a…第1荷重検出手段
21b…第2荷重検出手段
21c…第3荷重検出手段
21d…第4荷重検出手段
22…制御装置
30…演算装置
31…演算部
31a…荷重値演算手段
31c…総荷重値演算手段
31d…最大及び最小総荷重値演算手段
31e…頭側荷重値演算手段
31f…頭側荷重値減少量演算手段
32…記憶部
32a…総荷重値記憶手段
32b…在床荷重値記憶手段
32c…頭側荷重値記憶手段
32d…設定値記憶手段
33…判定部
33a…第1判定手段
33b…第2判定手段
33c…第3判定手段
33d…第4判定手段
33e…第5判定手段
33f…第6判定手段
33g…第7判定手段
33h…第8判定手段
33i…第9判定手段
33j…第10判定手段
33k…第11判定手段
33l…第12判定手段
33m…在床判定手段
40…第2通信装置
40a…第1通信手段
40b…第2通信手段
40c…第3通信手段
40d…第4通信手段
50…報知装置
50a…第1報知手段
50b…第2報知手段
50c…第3報知手段
50d…第4報知手段
60…ベッド
61…ベッド寝床部
70…ベッドの在床状況監視システム
H…被験者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド寝床部(61)の頭側右部に掛かる荷重を第1荷重検出手段(21a)により、ベッド寝床部(61)の頭側左部に掛かる荷重を第2荷重検出手段(21b)により、ベッド寝床部(61)の足側右部に掛かる荷重を第3荷重検出手段(21c)により、及び、ベッド寝床部(61)の足側左部に掛かる荷重を第4荷重検出手段(21d)により検出する荷重検出工程と、
前記第1荷重検出手段(21a)から出力された荷重値をW1、前記第2荷重検出手段(21b)から出力された荷重値をW2、前記第3荷重検出手段(21c)から出力された荷重値をW3、及び、前記第4荷重検出手段(21d)から出力された荷重値をW4とするとき、これらの荷重値(W1、W2、W3、W4)を合計した総荷重値Aを演算する総荷重値演算工程(S2)と、
前記総荷重値演算工程(S2)で演算された総荷重値Aが、所定時間の間、所定荷重値以上であるときに被験者(H)がベッド寝床部(61)上に在床したと判定し、そうでないときに被験者(H)はベッド寝床部(61)上に在床していないと判定する在床判定工程(S4)と、
を備えていることを特徴とするベッドの在床状況検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−250046(P2012−250046A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−164547(P2012−164547)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【分割の表示】特願2008−522441(P2008−522441)の分割
【原出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】