説明

ベッド位置決めシステム及びベッド位置決め方法

【課題】放射線治療に要する時間を短縮できるベッド位置決めシステムおよびベッド位置決め方法を提供することにある。
【解決手段】
断層画像情報算出手段401Aは、治療計画に用いられる第1の断層画像情報を規定値で抽出し、第2の断層画像情報を得る。透過長算出手段401Bは、記第2の断層画像情報から第1のX線情報取得時の透過長を求める。補正係数算出手段401Cは、透過長からX線のビームハードニング補正係数を導き出す。X線情報算出手段401Dは、第1のX線情報を補正係数により補正して第2のX線情報を生成する。ベッド移動量算出装置311は、第1の断層画像情報と補正係数により再構成された第2の断層画像情報とに基づいてベッド移動量を求める。ベッド制御装置310は、ベッド移動量に基づいて照射対象を支持するベッドの駆動装置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド位置決めシステム及びベッド位置決め方法に係り、特に、X線又は陽子線をはじめとする粒子線等の各種放射線を患部に照射して治療する放射線治療に用いるのに好適なベッド位置決めシステム及びベッド位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
がん細胞を各種放射線を照射することで壊死させることを目的とする放射線治療は、近年広く行われつつある。用いられる放射線としては、最も広く利用されているX線だけでなく、陽子線を始めとする粒子線を使った治療も行われている。
【0003】
放射線治療の重要なプロセスの一つに、放射線治療の直前に実施するベッドの位置決めがある。ベッド位置決めのプロセスは、例えば、特許文献1に記載されている。すなわち、まず、技師(または医師)が、一般に治療計画装置から出力されたディジタル再構成X線(DRR:Digital Reconstructed Radiograph)画像情報と、放射線照射前にX線撮像装置を用いて治療用ベッド(以下、「ベッド」と称する)の上に患者を横たわらせた状態で撮影して得られた単純X線画像情報を比較する。この比較に基づいて、治療計画で決定した照射標的(がんの患部)の位置と現在のベッド上に横たわっている患者の照射標的の位置のずれ量を算出する。算出したずれ量を用いて二種類の画像が一致するようにベッドの移動量を求める。この移動量に基づいてベッドを移動させることにより、ベッドの位置決めが完了する。なお、DRR画像情報とX線画像情報のパターンマッチングにより、ベッドの移動量を求めることは、特許文献2により知られている。
【0004】
DRR画像情報はX線画像を模擬した画像であり、治療計画時に撮影された治療計画用CT画像から生成される。DRR画像の作成は、体内の3次元構造の情報を持つCT画像から得られる体内のCT値を基に、一般的にレイトレーシング法を応用した方法を用いて行う。このDRR画像情報と治療時に撮像されるX線画像DRR画像との比較により位置決めを行うプロセスでは、通常は直交する二方向から撮像されたX線画像と、それに対応するように生成されたDRR画像を用いる。すなわち、二方向からの投影画像同士の比較となるが、直交する二枚の投影画像の情報のみからでは、3次元画像の互いの位置関係を把握することが困難な場合がある。具体的には、投影画像の二つの撮像方向の両者に直交する軸回りでの回転量を、投影画像を用いた位置決めで決めることが難しくなる。例えば、頭部などは首の関節により動きの自由度が比較的多い部位であり、投影画像のみからでは特に位置合わせが難しくなる。その一方で、頭部は放射線を避けるべき重要な部位が多い部位であり、一層慎重な位置決めが要求されるため、位置決めをDRR画像と位置決め用X線画像のみから十分な精度で行うためには多くの時間を要するという課題があった。
【0005】
この課題を解決するものとして、位置決め時にもCT画像を取得する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この方法では、治療計画用のCT画像と、治療時に撮像された位置決め用CT画像とを直接比較し、位置決めを行う。3次元画像情報同士の位置決めであるので、移動量は投影画像を用いた場合よりも容易に定まる。また、DRR画像とX線画像との位置決めでは主に骨同士の位置合わせを行うが、CT画像同士を比較する方法では、体内の臓器の位置まで含めた位置決めが可能になるという利点もある。
【0006】
しかし、位置決め時にCT画像を取得する方法は利点も多い一方で、位置決め時に撮像した画像を位置決め時に再構成を行わなければならない。CT画像の再構成は、単なるX線画像の撮像に比較すると取り扱う画像情報が圧倒的に多く、作成に要する時間が長くなる。また、投影画像から3次元のCT画像を正しく再構成するためには、各種のアーチファクトを抑制するための補正が必須となっている。アーチファクトが発生する代表的な要因に、パーシャルボリューム効果やビームハードニングが挙げられる(例えば、非特許文献2参照)。パーシャルボリューム効果は、一つのピクセルやボクセルが画像再構成の最小単位となるため、そのボクセル内に異なる物質が存在する場合にCT値が平均値で表されることによる効果、ビームハードニングはX線の透過する物質の距離によってX線の線質が変化することにより吸収率と透過長との線形性が崩れる現象である。これらに対する補正を考慮した再構成では、再構成に要する時間はさらに増大する。
【0007】
この中でも、ビームハードニングに対しては、従来から様々な補正処理が実施されている。代表的な補正方法は、均質な水ファントムの再構成像が正しく均質になるように、検出器のチャンネルごとに測定される投影データに対する補正関数を予め定めておく方法である(例えば、特許文献3参照)。この補正は、撮像する物質が水に近い性質の場合には概ね問題なく機能する。しかし、水と大きくことなる物質の多い部位、例えば骨の多い頭部などでは、この方式の補正では線状、帯状のアーチファクトが生じる場合が多い。このアーチファクトを取り除くためには、一度再構成した画像から、検出器のチャンネルごとに骨とそれ以外の組織との透過長の割合を算出し、その値に応じて補正に用いる係数を調整するという方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2000−510023号公報
【特許文献2】特許第3748433号明細書
【特許文献3】特許第3204701号明細書
【特許文献4】特許第3223195号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】横濱則也 他、「陽子線治療におけるCT−治療共通ベッドを使用した患者位置決めシステムの概要と検討」、日本放射線技術学会誌、第59巻、11号、1432頁〜1436頁、2003年。
【0010】
【非特許文献2】Thorsten M. Buzug ”Computed Tomography From Photon Statistics to Modern Cone-Beam CT”,Springer (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、特許文献4記載の方法は、効率的にビームハードニングによるアーチファクトを除去できるものの、CT画像の再構成のための演算を二度行う必要があるため計算速度が遅くなるという課題がある。位置決め時における計算時間の増大は、患者に負担を与える。すなわち、放射線治療そのものに要する時間は、患部の大きさや照射回数等によっても異なるが、一般的に1,2分であるが、その直前に実施するベッド位置決めに、一般的に、十数分を要する。ベッド位置決めおよび放射線治療の間は、患部の位置がずれないように、患者はベッドに拘束されるため、患者の負担が大きいものである。また、位置決め時における計算時間の増大は、治療施設が年間を通じて治療可能な人数にも影響を与える。
【0012】
本発明の目的は、放射線治療に要する時間を短縮できるベッド位置決めシステムおよびベッド位置決め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、X線を照射するX線源装置と、前記X線に対応する第1のX線情報を取得するX線検出装置と、治療計画に用いられる第1の断層画像情報を規定値で抽出し、第2の断層画像情報を得る断層画像情報算出手段と、前記第2の断層画像情報から前記第1のX線情報取得時の透過長を求める透過長算出手段と、前記透過長から前記X線のビームハードニング補正係数を導き出す補正係数算出手段と、前記第1のX線情報を前記補正係数により補正して第2のX線情報を生成するX線情報算出手段と、前記第2のX線情報から前記第2の断層画像情報を再構成する再構成手段と、前記第1の断層画像情報と前記第2の断層画像情報とに基づいてベッド移動量を求めるベッド移動量算出装置と、該ベッド移動量算出装置により求められたベッド移動量に基づいて照射対象を支持するベッドの駆動装置を制御するベッド制御装置とを備えるようにしたものである。
かかる構成により、放射線治療に要する時間を短縮できるものとなる。
【0014】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記X線検出装置による照射対象のX線撮影処理の終了前に、補正係数を算出するように、補正係数の算出処理の実行開始を指示する入力手段を備えるようにしたものである。
【0015】
(3)また、上記目的を達成するために、本発明は、X線源装置から照射対象に向かって照射されたX線から第1のX線情報を取得し、治療計画に用いられる第1の断層画像情報を規定値で抽出し第2の断層画像情報を生成し、前記第2の断層画像情報から前記第1のX線情報取得時の透過長を求め、前記透過長から前記X線のビームハードニング補正係数を導き出し、前記第1のX線情報を前記補正係数から補正して第2のX線情報を生成し、前記第2のX線情報を再構成することで第2の断層画像情報を生成し、前記第1の断層画像情報と前記第2の断層画像情報とに基づいてベッド移動量を演算し、前記ベッド移動量に基づいて前記照射対象を支持するベッドの駆動装置を制御するようにしたものである。
かかる方法により、放射線治療に要する時間を短縮できるものとなる。
【0016】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記X線検出装置による照射対象のX線撮影処理の終了前に、補正係数を算出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、放射線治療に要する時間を短縮できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムが適用される、放射線治療システムであるX線治療システムの正面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムが適用されるX線治療システムの側面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムが適用されるX線治療システムのシステム構成図である。
【図4】本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムが適用されるX線治療システムに用いられるX線撮像システムのシステム構成図である。
【図5】本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムに用いられる位置決め装置のシステム構成図である。
【図6】本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムに用いる画像処理演算装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムにおける位置決め方法の内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムにおける位置決め方法の説明図である。
【図9】本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムにおける位置決め方法の説明図である。
【図10】本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムにおける位置決め方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図9を用いて、本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムの構成および動作について説明する。
最初に、図1〜図5を用いて、本実施形態によるベッド位置決めシステムが適用される、放射線治療システムであるX線治療システムの構成について説明する。なお、本実施形態では、X線治療システムへの適用について述べるが、本発明は陽子線や炭素線を用いた粒子線治療システムに対応した位置決めシステムとしても適用可能である。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムが適用される、放射線治療システムであるX線治療システムの正面図である。図2は、本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムが適用されるX線治療システムの側面図である。図3は、本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムが適用されるX線治療システムのシステム構成図である。図4は、本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムが適用されるX線治療システムに用いられるX線撮像システムのシステム構成図である。図5は、本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムに用いられる位置決め装置のシステム構成図である。
【0021】
図1に示すように、X線治療システム101は、治療装置102およびベッド位置決めシステム301を備えている。ベッド位置決めシステム301は、X線撮像システム304と、位置決め装置305とを備えている。
【0022】
治療装置102は、回転ガントリー103と、支柱104と、照射ヘッド(照射ノズル,照射装置)105と、X線発生装置106と、ベッド107を備えている。回転ガントリー103は、床面に据え付けられる支柱104に回転可能に取り付けられる。回転ガントリー103は、回転中心軸123の方向に延びるアーム部110を有し、支柱104に取り付けられた第1回転機構(図示せず)によって駆動されて回転中心軸123を中心に回転する。X線撮像システム304および位置決め装置305からなるベッド位置決めシステム301は、図3に示すように、ネットワークを通して治療計画装置302及びデータサーバ303と接続されている。
【0023】
次に、図1および図2を用いて、治療装置102の構成について説明する。ベッド107は、治療台109、及び治療台109の上端部に設置される天板108を有する。治療台109は、床面に据え付けられた、第2回転機構(図示せず)を有するターンテーブル(図示せず)上に設置されている。天板108は、一方向に細長く伸びている。治療台109は、天板108を三つの方向に移動させる三つの駆動装置(図示せず)を備えている。天板108は、第1駆動装置によって、回転中心軸123に沿った水平方向(Y軸方向)への移動を行う。天板108は、第2駆動装置によって、回転中心軸123と直交する水平方向(X方向)への移動を行う。天板108は、第3駆動装置によって、高さ方向(鉛直方向)(Z方向)への移動を行う。天板108は、第2回転機構の駆動によって、ベッド回転軸125を中心に回転する。さらに、治療台109は、図示されていないが、天板108を回転中心軸123の周りに移動させる(ローリングさせる)第4駆動装置、及び天板108の先端部の上げ下げを行う(ピッチングさせる)第5駆動装置を備える。第4及び第5駆動装置は、ベッド107、すなわち天板108の位置決めの微調整に使用される。天板108の長手方向に伸びる軸が、回転中心軸123と、水平方向及び鉛直方向で共に平行になった状態(図1及び図2に示す天板108の状態)を、ベッド回転軸123回りにおけるベッド107の回転角度がゼロ度と定義する。
【0024】
照射ヘッド105が、天板108と向き合うように、回転ガントリー103の水平方向に伸びた部分、すなわち、アーム部110の先端部に設置される。アーム部110は、回転ガントリー103の回転に伴って天板108の周囲を旋回する。X線発生装置106がアーム部110内に設置されている。照射ヘッド107は、X線発生装置106から入射されたX線を照射標的(例えば、患者内に存在するがんの患部)に向かって照射する。回転ガントリー103の回転によって周方向における照射ヘッド105の向きが変えられるので、X線を、照射標的に対し、回転中心軸123の周囲で360度の範囲でどの方向からでも照射することができる。また、照射ヘッド105の軸心を通る、X線が照射される方向である照射中心線124と回転中心軸123の交点を、照射中心点(アイソセンター)126と呼ぶ。
【0025】
ここで、図3および図4を用いて、本実施形態によるベッド位置決めシステム301の構成について説明する。
【0026】
図4に示すように、ベッド位置決めシステム301のX線撮像システム304は、X線源(X線源装置)308、X線受像器(X線入射器)309、撮像制御装置307を有する。図2に示したように、X線源308及びX線受像器309は、間に天板108を挟むようにして対向して、回転ガントリー103に取り付けられる。X線受像器309は、放射線検出器である半導体放射線検出器(図示せず)(以下、半導体検出器という)を複数個有する。放射線検出器としてシンチレータを用いてもよい。本例で用いるX線受像器309は、複数の半導体検出器を有するフラットパネルディテクタ(FPD)である。シンチレータ及び複数のフォトダイオードを有するFPD、イメージインテンシファイア及びCCDのいずれかをX線受像器309に用いることも可能である。
【0027】
図4に示すように、X線源308及びX線受像器309は、撮像制御装置307に接続される。撮像制御装置307は、通信装置402を通じて撮像操作卓306に接続される。撮像操作卓306は、画像処理演算装置401と、通信装置402と、メモリ403と、記憶装置404と、入力手段405とを有する。入力手段405は、キーボードやマウスなどの入力インターフェイスや、ディスプレイなどの表示装置(図示せず)からなり、これらにより、撮像操作卓306では、操作者が動作を指示することが可能である。
【0028】
図3に示すように、位置決め装置305は、ベッド制御装置310と、移動量算出装置311とから構成される。移動量算出装置311は、図5に示すように、移動量演算装置501と、通信装置502と、メモリ503と、記憶装置504とからなる。X線撮像システム304で得られた位置決め用CT画像と、治療計画用CT画像とを比較することで移動量算出装置311が位置決めのためのベッドの移動量を算出し、その結果に基づきベッド制御装置310がベッドを移動させ、位置決めが完了する。
【0029】
次に、図6〜図10を用いて、治療計画開始から放射線を照射するまでの治療の流れを説明する。
【0030】
図6は、本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムに用いる画像処理演算装置の構成を示すブロック図である。図7は、本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムにおける位置決め方法の内容を示すフローチャートである。図8〜図10は、本発明の一実施形態によるベッド位置決めシステムにおける位置決め方法の説明図である。
【0031】
図6に示すように、画像処理演算装置401は、断層画像情報算出手段401Aと、透過長算出手段401Bと、補正係数算出手段401Cと、X線情報生成手段401Dと、再構成手段104Eとを備えている。
【0032】
断層画像情報算出手段401Aは、治療計画に用いられる第1の断層画像情報を規定値で抽出し、第2の断層画像情報を得る。透過長算出手段401Bは、第2の断層画像情報から位置決め時に取得される第1のX線情報取得時の透過長を求める。補正係数算出手段401Cは、透過長から前記X線のビームハードニング補正係数を導き出す。X線情報生成手段401Dは、第1のX線情報を前記補正係数から補正し、第2のX線情報を生成する。再構成手段104Eは、第2のX線情報から第2の断層画像情報を再構成する。
【0033】
なお、各手段の詳細動作については、図7を用いて後述する。
【0034】
初めに治療を行うための治療計画が立案される。患者はまず、CT装置(図示せず)を用いて治療計画用CT画像を撮像する。撮像された治療用CT画像は、データサーバ303に保存される。続いて技師(または医師)が治療計画装置302を用いて、治療計画用CT画像に基づき患者の照射標的の位置および大きさや照射方向等が設定される。治療計画の結果もネットワークを通じてデータサーバ303に保存される。
【0035】
治療計画立案後、実際の治療が行われる。治療計画に基づき照射標的へ治療放射線を照射する前に、天板108上に横たわっている患者内の照射標的と照射中心点126を一致させる必要がある。このため、ベッド107、すなわち、天板108の位置決めが実施される。
【0036】
ここで、図7を用いて、本実施形態によるベッド位置決め方法の内容について説明する。
【0037】
図7に示す本実施形態によるベッド位置決め方法の特徴としては、第1に、図7のステップS20に示すように、治療計画用CT画像を取込み、ステップS30〜ステップS90に示すようにして、補正係数を算出する点にある。
【0038】
特許文献4記載のものでは、CT画像再構成のための演算を二度行う必要があるが、上記の本実施形態の方法では、図7のステップS20で取り込まれる治療計画用CT画像は既に再構成のための演算の終了しているものであるため、図7のステップS130における撮影X線情報取得時に一度再構成をするだけでよくなる。
【0039】
一般に、CT画像再構成のための演算には、1,2分を要するため、再構成を一度にできることで、ベッド位置決めに要する時間を1,2分短縮できる。
【0040】
また、第2に、図7のステップS110〜ステップS130における照射対象のX線撮影のための処理と並行して、ステップS20〜ステップS90の補正係数の算出処理を実行することにある。換言すると、照射対象のX線撮影処理の終了前に、補正係数を算出するようにしている。
【0041】
特許文献4記載の方法を用いて位置決めを行った場合、図7を参照して説明すると、ステップS110〜S130の処理の後、ステップS130で取得されたX線情報を用いて、ステップS30〜ステップS90の処理を実行し、その後、ステップS140〜ステップS160の処理というように、シーケンシャルに実行している。ここで、ステップS110〜S130の処理に、数分程度を要し、ステップS30〜ステップS90の処理に数分程度を要し、さらに、ステップS140〜ステップS160の処理に数分程度を要するため、特許文献4記載のように全体をシーケンシャルに実行すると、ベッド位置決めのために、十数分を要している。それに対して、照射対象のX線撮影処理の終了前に、補正係数を算出することで、ベッド位置決めに要する時間を10分程度まで短縮できるものである。それだけ、患者の負担を少なくすることができる。
【0042】
以下、図7のステップS10〜ステップ160により、本実施形態によるベッド位置決め処理の詳細について説明する。
【0043】
位置決めが開始されると、ステップS10において、操作者は、図4の入力手段405から患者IDを入力する。
【0044】
図4の撮像操作卓306の画像処理演算装置401は、患者IDの入力をトリガーとして、図3に示したデータサーバ303に保存されている治療計画用CT画像を、ネットワークを通じてX線撮像装置システム304にコピーする(ステップS20)。具体的には、図6に示した断層画像情報算出手段401Aは、治療計画用CT画像を取り込む。なお、ステップS10では、患者IDを入力し、ステップS20では、患者IDの入力をトリガーとして、治療計画用CT画像を取り込むようにしているが、治療計画用CT画像の取込を指示したり、補正係数の算出を指示するようにしてもよいものである。すなわち、補正係数の算出処理の実行開始を指示する入力手段を備えればよいものである。
【0045】
治療計画用CT画像は、撮像操作卓306内の記憶装置404に保存される。X線撮像システムは、こうして保存された治療用CT画像を用いて、位置決め用CTの再構成時に用いるためのビームハードニング補正用データを作成する。
【0046】
ここで、ビームハードニング補正について説明する。通常、CT画像情報の再構成のプロセスでは、アーチファクトの発生を抑制するための複数の補正処理が必須となるが、ビームハードニング補正はその中の代表的な補正項目である。ここでは単色の(すなわち単一の波長を持つ)X線の場合を想定する。強度I0の入射X線が厚みLの均質な物質を透過後の強度Isは、式(1)で表される。
【0047】
【数1】

【0048】

ここで、μは物質に特有の係数であり、減弱係数と呼ばれる。
【0049】
式(1)の入射X線の強度I0と、透過X線の強度Isから、式(2)で定義される投影データpを計算すれば、投影データpが透過長Lに比例することが分かる。
【0050】
【数2】

【0051】
ここで、図8は、式(2)の様子をグラフに表したものである。直線701で示すように、単色X線に対して、投影データpは透過長Lに比例している。ところが、通常のX線源から照射される入射X線は単色ではなく、エネルギースペクトルにある程度の幅を持つ。これを連続X線と呼ぶ。入射X線のエネルギーEごとの強度を、I0(E)と表す。この場合、厚みLの物質を通過したX線の強度Ic(L)は、単色X線の場合の式(1)とは異なり、式(3)のようにエネルギーに関して積分しなければならない。減弱係数μもエネルギーに依存して値を変える。
【0052】
【数3】

【0053】
ここで、Emaxは、入射X線の成分の中の最大エネルギーを表している。
【0054】
式(3)では、式(2)に対応する連続X線に対応する投影データpの値を計算しても、この値は透過長Lに完全に比例することはない。具体的には、投影データpと透過長Lは、図8の曲線702で示すような関係となる。すなわち、透過長Lの物質を透過したX線の強度は、理想的な単色X線の場合と連続X線の場合で異なる。式(1)および式(3)で定義した通り、透過X線の強度をそれぞれIs(L),Ic(L)とした場合、これらの比、BH(L)を式(4)で定める。
【0055】
【数4】

【0056】
これを硬化度と呼ぶ。
【0057】
この値が分かれば、測定された透過X強度を理想的な単色X線の場合に変換し、透過長Lに比例する投影データpを求めることが可能となる。
【0058】
以上は、均質な物質を透過した場合であるが、人間の体内は様々な物質から成る。減弱係数μの大きさは物質に依存し、特に骨とそれ以外の軟部組織で大きく異なる。そのため、式(3)および式(4)は、骨と軟部組織に分離して表現されるべきである。骨の透過長をLb、軟部組織の透過長をLsとしたとき、式(1),式(3),式(4)は、それぞれ次の式(5),式(6),式(7)に拡張される。
【0059】
【数5】

【0060】
【数6】

【0061】
【数7】

【0062】
ここで、μb、μsは、それぞれ骨と軟部組織の減弱係数である。BHは、入射X線の強度分布I0(E)であり、減弱係数μb,μs、透過長Lb,Lsに依存する。入射X線の強度分布I0(E)と減弱係数μb,μsの代表的な値はあらかじめ知ることができる。しかし、通常は透過長Lb,Lsの値は事前には分からないため、この方法でビームハードニング補正を行うためには、特許文献4のように一度再構成した上で補正係数BHを求めるという方法がとられる。
【0063】
本実施形態の位置決め装置においては、透過長Lb,Lsを求めるために治療計画用CT画像を利用することができる。すなわち、図7において、データサーバ303から読み込まれた治療計画用CT画像は、画像処理演算装置401の断層画像情報算出手段401AによりCT値を基に骨領域とそれ以外の領域に分離される(ステップS30)。骨のCT値はそれ以外の組織と大きく異なるため、ある閾値を設定すれば、CT値がそれ以上の領域とそれ以下の領域とに容易に分離できる。この閾値はあらかじめ設定されていてもよいし、操作者が毎回指定してもよい。
【0064】
図9は、閾値で分離する様子を示している。画像処理装置401は、記憶装置404に保存された治療計画用CT画像801をメモリ403上に展開する。続いて治療計画用CT画像801を、骨の部分801aと軟部組織の部分801bに分離する。設定された閾値を読み出し、CT画像801の中でCT値が閾値以上の画素のみを抜き出したCT画像を骨CT画像802、閾値より小さい画素のみを抜き出したCT画像を軟部組織CT画像803として生成し、記憶装置404に保存する。この結果、骨CT画像802と、軟部組織CT画像803の2つの画像が得られる。
【0065】
続いて、この二つのCT画像から透過長を計算する。初めに画像処理演算装置401は、先に生成した骨CT画像802を記憶装置404から読み出し、メモリ403上に展開した後、このCT画像802が位置決め時に目標とする位置にあると仮定する。画像を利用した位置決め前の段階での患者位置は、目標とする位置に完全に合致していないが、後述するステップS110の操作により数mmの範囲までは一致すると考えてよい。
【0066】
位置決め用CT画像は、X線源308及びX線受像器309により、回転ガントリー103を回転させることで複数の角度から撮像される。これらの角度、またX線源308及びX線受像器309の間の距離などの位置情報は、撮像操作卓306の記憶装置404に保持されている。
【0067】
図10(a)に示すように、まず、画像処理演算装置401の透過長算出手段401Bは、初めにこれらの値を読み出し、回転ガントリーの角度を設定する。その後、仮想的なX線源308の位置と、X線受像器309の複数の検出器チャンネルから一つのチャンネル901を選択する(ステップS40)。X線源308と選択されたチャンネル901の位置を直線で結び、この経路902に沿って骨CT画像802のCT値を積算する。積算されたCT値を、骨の代表的なCT値で割ることで、このチャンネル901に到達するX線の経路である902に沿った骨の透過長Lb が得られる(ステップS50)。この代表的なCT値は、予め用意されていてもよいし、毎回操作者が指定することもできる。
【0068】
一つのチャンネルに対する透過長が得られた後、他のチャンネルに関しても同様の操作を行う(ステップS60)。なお、以上のように検出器の各チャンネル位置に対して透過長の算出を行ってもよいが、X線受像機309上の複数の任意の点に対して透過長の計算を行った後、あるチャンネルに対応する透過長を、周辺の計算を実行した点における透過長の値から補間することで求めてもよい。すべての検出器のチャンネルでの透過長の計算が終わった後、仮想的な回転ガントリーの角度を、次の撮像角度に移動させ、同じ操作を行う(ステップS70)。こうして、すべてのチャンネル、すべての角度ごとに透過長Lbが得られる。これらの値はテーブルとして、記憶装置404に保存される。軟部組織CT画像803に関しても同様の操作を行い、Lsの値を保持したテーブルが得られる(図10(b)参照)。
【0069】
式(5)に従えば、回転ガントリーの角度、検出器のチャンネル、ごとに得られた骨と軟部組織の透過長Lb,Lsから、ビームハードニング補正に必要な係数、硬化度BHが得られる。そこで、補正係数算出手段401Cは、記憶装置404に保存された実測に基づいた変換テーブルを用いて、透過長Lb,Lsから硬化度BHに変換する(ステップS80)。また、テーブルでなく、適切な近似式が用意されていてもよい。なお、硬化度BHは入射X線のエネルギースペクトルI0(E)にも依存するので、検出器の位置、すなわちチャンネルごとにエネルギースペクトルI0(E)が異なる場合には、チャンネルごとに変換テーブルが必要になる。あるいは変換テーブルは一つだけ用意し、チャンネルの位置ごとに変換テーブルを補正するための補正テーブルを用意してもよい。
【0070】
透過長Lb、Lsから硬化度BHへの変換は、図6のようにすべての透過長が計算し終わってから一括で行われてもよいし、あるチャンネルごとに透過長Lb、Lsを計算しながら毎回変換してもよい。得られた硬化度BHの値は、透過長と同じく対応するガントリー角度、検出器チャンネルの情報と共に、硬化度テーブルとして記憶装置404に収められる(ステップS90)。
【0071】
以上の硬化度BHのテーブルを計算する操作は、撮像操作卓306の画像処理演算装置401により実行されるが、これと並行して操作者によりベッドの移動が実施される(ステップS110)。X線を照射する照射標的は、照射対象である患者内に存在するがんの患部(以下、患部という)である。患者が天板108上に横たわった後、患部が照射中心点126の近くに位置するように、天板108が移動される。この天板108の移動は、ベッド制御装置310が入力装置(図示せず)から移動指令を入力することによって行われる。ベッド制御装置310は、撮像操作卓306から入力した移動指令に基づいた駆動制御指令を第1、第2及び第3駆動装置に出力し、これらの駆動装置を駆動させる。これによって、天板108に対する移動120,121,122が行われ、対象標的が照射中心点126の近くに達する。なお、ベッド制御装置310が移動指令に基づいて第2回転機構を駆動させると、天板108がベッド回転軸125を中心に所定角度だけ旋回する。天板108の、対象標的の照射中心点126近くへの移動は、レーザーマーカ等の光学的装置を目印にして行われる。天板108の移動は、光学的装置を用いずに患者の表面に貼られた(または描かれた)シール及び十字線等のマーカを目印に目測で行う場合もある。
【0072】
操作者は、照射対象のX線撮影を実行する(ステップS120)。ガントリー制御装置(図示せず)は、ガントリー操作卓(図示せず)から入力された回転指令に基づいて第1回転機構を駆動させる。回転ガントリー103は回転中心軸123を中心に回転する。撮像制御装置307は、回転ガントリー103が回転している状態で、回転ガントリー103の回転角度が予め設定された各撮影角度になったとき、X線源308からX線をパルス的に照射対象に照射させる。患者の患部を透過したX線は、X線源308と対向しているX線受像器309の各半導体検出器によって設定された撮影角度毎に検出される。複数の設定された撮影角度(または撮影間隔)は、撮像操作卓306の入力装置(図示せず)からの操作者の入力によって、記憶装置404に予め記憶されている。画像処理演算装置401は、それらの撮影角度の情報を、通信装置402を介して撮像制御装置307に伝える。撮像制御装置307は、各撮影角度(または撮影間隔)の情報を保持し、X線源308の動作及びX線源308のX線管電圧及び電流等の撮影条件を制御する。撮像制御装置307は撮像操作卓306と通信するための通信装置を備える。検出されたX線検出信号が、撮像操作卓306に入力される。X線受像器309の各半導体検出器から出力されたX線検出信号は、電圧信号であり、X線受像器309内でA/D変換されてディジタル信号(以下、X線データという)になる。X線データ(X線情報)は、撮像制御装置307を介して通信装置402に伝えられ、画像処理演算装置401に入力される(ステップS130)。
【0073】
入力されたX線データは、記憶装置404に保存される。画像処理演算装置401により、X線データに対し必要があればノイズ除去などの前処理が行われる。続いて画像処理演算装置401のX線情報生成手段401Dは、ビームハードニング補正用の硬化度テーブルが作成されていることを確認し、作成が終了していれば、それをメモリ403上に読み込む。X線データに含まれる検出器ごとの値は、式(4)に相当する透過X線強度である。データの得られたガントリー角度情報と、検出器チャンネルの位置とに対応する硬化度を、読み込んだテーブルから抽出し、その値を乗ずる。この操作により、連続X線による図7に示すような線形性の乖離が補正され、アーチファクトの発生を抑制できる。この操作を、すべてのガントリー角度のすべてのチャンネルに対して行う(ステップS140)。この操作は、すべての設定ガントリー角度に対する撮像の終了後に行ってもよいが、硬化度テーブルが予め作成できていれば、撮像を行いながら補正を順次実施することでさらに時間を短縮できる。
【0074】
ハードニング補正実施後、必要があれば他の補正も行う。すべての補正済みX線データが揃ったところで、再構成手段104Eは、位置決め用CT画像の再構成を行う(ステップS150)。補正後の再構成方法は、通常のCT画像の再構成と同じである。例えば、非特許文献2にあるような逆投影法を用いる。作成された位置決め用CT画像は、記憶装置404に保存される。
【0075】
位置決め用CT画像の作成が完了すると、操作者の指示により位置決め装置305による位置決めを行う。移動量算出装置501は、通信装置502とネットワークを介してデータサーバ303から治療計画用CT画像を、X線撮像システム304から位置決め用CT画像を取得する。記憶装置504から移動量算出用のプログラムをメモリ503に読み出し、これら二つのCT画像からベッド移動量を算出する。
【0076】
ベッドの位置決めが終了した後、ガントリー制御装置は、ガントリー操作卓(図示せず)から入力されたX線発生装置106及び第1回転機構の各駆動指令に基づいて、X線発生装置106及び第1回転機構を駆動させる(ステップS160)。第1回転機構の駆動によって回転ガントリー103が回転し、アーム部110が天板108に横たわっている患者の周囲を旋回する。X線発生装置106は、ガントリー制御装置からの制御指令に基づいて、設定された各回転角度になったとき所定のエネルギーのX線を患者の患部に向かって照射する。このようにして、がんの患部にX線が照射される。
【0077】
以上説明したように、本実施形態によれば、放射線治療に要する時間を短縮できる。すなわち、位置決め用CT画像の再構成時に必要となるビームハードニング補正を、治療計画用CT画像を用いて撮像前に算出することで位置決め用CT画像の再構成に要する時間を短縮し、患者への負担を低減することができる。
【0078】
また、照射対象のX線撮影処理の終了前に、補正係数を算出することで、ベッド位置決めに要する時間を短縮でき、患者の負担を少なくすることができる。
【0079】
なお、補正係数の算出処理は、照射対象のX線撮影処理の終了に行われていれば良いものであるため、例えば、治療計画装置302により治療計画用CT画像を取得した後、直ちに、実行しておいてもよいものである。

【符号の説明】
【0080】
101…X線治療システム
102…治療装置
103…回転ガントリー
104…支柱
105…照射ヘッド
106…X線発生装置
107…ベッド
108…天板
109…治療台
110…アーム部
301…ベッド位置決めシステム
302…治療計画装置
303…データサーバ
304…X線撮像システム
305…位置決め装置
306…撮像操作卓
307…撮像制御装置
308…X線源
309…X線受像器
310…ベッド制御装置
311…移動量算出装置
401…画像処理演算装置
401A…断層画像情報算出手段
401B…透過長算出手段
401C…補正係数算出手段
401D…X線情報生成手段
401E…再構成手段
402,502…通信装置
403,503…メモリ
404,504…記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線源装置と、
前記X線に対応する第1のX線情報を取得するX線検出装置と、
治療計画に用いられる第1の断層画像情報を規定値で抽出し、第2の断層画像情報を得る断層画像情報算出手段と、
前記第2の断層画像情報から前記第1のX線情報取得時の透過長を求める透過長算出手段と、
前記透過長から前記X線のビームハードニング補正係数を導き出す補正係数算出手段と、
前記第1のX線情報を前記補正係数により補正して第2のX線情報を生成するX線情報算出手段と、
前記第2のX線情報から前記第2の断層画像情報を再構成する再構成手段と、
前記第1の断層画像情報と前記第2の断層画像情報とに基づいてベッド移動量を求めるベッド移動量算出装置と、
該ベッド移動量算出装置により求められたベッド移動量に基づいて照射対象を支持するベッドの駆動装置を制御するベッド制御装置とを備えることを特徴とするベッド位置決めシステム。
【請求項2】
請求項1記載のベッド位置決めシステムにおいて、
前記X線検出装置による照射対象のX線撮影処理の終了前に、補正係数を算出するように、補正係数の算出処理の実行開始を指示する入力手段を備えることを特徴とするベッド位置決めシステム。
【請求項3】
X線源装置から照射対象に向かって照射されたX線から第1のX線情報を取得し、
治療計画に用いられる第1の断層画像情報を規定値で抽出し第2の断層画像情報を生成し、
前記第2の断層画像情報から前記第1のX線情報取得時の透過長を求め、
前記透過長から前記X線のビームハードニング補正係数を導き出し、
前記第1のX線情報を前記補正係数から補正して第2のX線情報を生成し、
前記第2のX線情報を再構成することで第2の断層画像情報を生成し、
前記第1の断層画像情報と前記第2の断層画像情報とに基づいてベッド移動量を演算し、
前記ベッド移動量に基づいて前記照射対象を支持するベッドの駆動装置を制御することを特徴とするベッド位置決め方法。
【請求項4】
請求項3記載のベッド位置決め方法において、
前記X線検出装置による照射対象のX線撮影処理の終了前に、補正係数を算出することを特徴とするベッド位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−10885(P2011−10885A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157873(P2009−157873)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】