説明

ベッド用ボードカバー

【課題】従来のベッドのボードに容易に取り付けられるベッド用ボードカバーを提供する。
【解決手段】ベッド用ボードカバー1は、フレーム20、ヘッドボード21、フットボード22及び側柵23を有するベッド2のヘッドボード21及びフットボード22のフレーム20よりも上部に取り付けられる。ベッド用ボードカバー1は、基部2aがヘッドボード21及び/又はフットボード22の夫々対向面に取り付けられる。基部1aの側縁からは、側柵23まで延出部1bが延出するように形成されており、基部1aと延出部1bとの間には、上側平面部1c及び下側平面部1dが架設されている。そして、上側平面部1cは、ヘッドボード21及び/又はフットボード22よりも高くなる位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドのヘッドボード及び/又はフットボードに取り付けられ、夫々ヘッドボード及び/又はフットボードと側柵との間の隙間を覆うことにより、この隙間への手足及び首等の挿入を防止するベッド用ボードカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用及び介護用のベッドには、サイドフレームに側柵(サイドレールとも称する)を設置し、ベッド上の使用者がベッドから転落することを防止することが行われている。図6は、従来の側柵を設置したベッドを一例として示す図である。図6に示すベッド2には、ヘッドボード21とフットボード22とが、フレーム20の長手方向の頭部側及び足部側の夫々端部に固定されており、フレーム20の両側部のサイドフレームには、夫々側柵23が設置されている。このように、側柵23が設置されたベッド2においては、図6に示すように、ヘッドボード21と頭部側の側柵23との間の領域A、及び脚部側の側柵23とフットボード22との間の領域Bに隙間が形成されている。
【0003】
図6に示すような従来の側柵付きのベッドにおいては、上記ヘッドボード21及びフットボード22と側柵23とにより形成される領域A及びBの隙間が人の手首、足首及び首の太さに比して大きく、この隙間にベッド使用者等が手足又は首等を挿入することが容易である。近時、医療用及び介護用のベッドとしては、例えばベッド使用者が横たわるボトムをフレーム20に対して傾動可能に構成されたものが使用されるようになってきたが、上記のような領域A及びBの隙間にベッド使用者等が手足又は首等を挿入した状態で背上げ等のベッドの動作を行うと、手足又は首等を挟む虞がある。また、背上げ等したベッド上で、ベッド使用者がバランスを崩した際に、領域A及びBの隙間に手足又は首等を挟む虞もある。
【0004】
本願出願人は、例えば特許文献1において、側柵のボード側上端のコーナー部に取り付ける補助具を提案した。そして、側柵の上端のコーナー部を、曲率半径が小さくなるような補助具によって覆うことにより、隙間の部分に手足等が容易に入り込むことを防止する技術を提案した。しかし、この特許文献1の補助具は、図6のような領域A及びBの隙間を狭めるものではなく、従って、隙間への手足及び首等の挟み込みを完全に防止することは難しい。
【0005】
ヘッドボード21及びフットボード22と側柵23とにより形成される領域A及びBの隙間を狭めるための技術としては、例えば本願出願人が提案した特許文献2乃至4の技術が挙げられる。特許文献2に提案されたスペーサは、ヘッドボード及び/又はフットボードが矩形であると共に、ボードと側柵との高さがほぼ同一である場合に好適に使用されるものであり、ボードの上部と側柵の上部とを連結するように半円等形状の部材を直角に屈曲させて形成されたものである。この特許文献2のスペーサにおいては、ボードに孔を設け、スペーサの支持棒体をボードの孔に差し込むように構成している。また、特許文献3及び4の技術においては、ボードの側部に側柵を支持させる支持体を新たに設け、この支持体の上部に側柵の縁部を固定している。
【0006】
この他にも、ヘッドボード21及びフットボード22と側柵23とにより形成される領域A及びBの隙間を狭めるためには、例えば図7に示すように、ボード21,22の側部に例えば側柵23側に突出するようなスペーサ3を設置することが考えられる。即ち、例えば図7(b)に示すヘッドボード21(又はフットボード22)においては、側柵23側のボード面の上部に溝21aが形成されており、この溝21aに例えばゴム製のスペーサ31の嵌合部31aが嵌合されている。そして、側柵23側のボード面からスペーサ31の突出部31bが突出することにより、側柵23との間の隙間を狭めている。又は、図7(c)に示すように、例えばボード21,22に溝21aが形成されていない場合は、例えばゴム製のスペーサ32をボード21,22に貼り付けて、側柵23との隙間を狭めている。
【0007】
上記特許文献1乃至4の他にも、近時、在宅用電動介護用ベッド及び病院用ベッドの安全性についてのJIS規格(非特許文献1,2)が改正となり、ボード21,22と側柵23との間の隙間についての規定が明記され、ベッドの安全性を確保することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−152057号公報
【特許文献2】特開2010−69179号公報
【特許文献3】特開2010−69180号公報
【特許文献4】特開2010−69181号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】JIS T9205(規格名称:病院用ベッド)、1983年6月1日制定、2009年3月20日改正
【非特許文献2】JIS T9254(規格名称:在宅用電動介護用ベッド)、2005年11月21日制定、2009年3月20日改正
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献2のスペーサは、ヘッドボード及び/又はフットボードが矩形であると共に、ボードと側柵との高さがほぼ同一である場合に好適に使用されるものであり、例えば、ボードの両端がその上部に隙間を有する形状に形成されている場合(図8(a)、図8(c)におけるボード210,212)、ボードの高さが側柵23に比して高い場合(図8(b)におけるボード211)においては、使用することができない。また、特許文献2のスペーサは、その設置のために、新たにボードの上部に孔を設ける必要があり、設置が煩雑である。特に、図8(c)に示すようにボード212の枠部が金属製である場合においては、スペーサの係止孔を設置する作業は困難である。
【0011】
近時販売されているベッド及び側柵は、上記改正後のJIS規格を満足するように設計されており、ボード21,22及び側柵23間に形成される隙間は、従来よりも小さく設計されている。しかしながら、市場には、改正前のJIS規格に準じて設計されたベッド及び側柵、並びにJIS規格が制定される前のベッド及び側柵が多数存在しており、現在もなお使用されている。これらの旧来のベッド及び側柵を改正後のJIS規格を満足するものに置き換えることは、ユーザーにとっては多大のコスト負担がかかり、また、多大な時間も要する。従って、旧来のベッド及び側柵において、改正後のJIS規格を満足させるための技術の開発が望まれている。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、従来のベッドのボードに容易に取り付けられるベッド用ボードカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るベッド用ボードカバーは、短辺及び長辺からなる矩形をなす水平のフレームと、このフレームの頭部側及び足部側の前記短辺に取り付けられた夫々ヘッドボード及びフットボードと、前記フレームの側部の前記長辺に取り付けられた側柵と、を有するベッドに使用されるベッド用ボードカバーにおいて、前記ヘッドボード及び/又は前記フットボードの夫々対向面に取り付けられる板状の基部と、この基部の前記側柵側の両側縁から夫々前記側柵まで延出するように形成された延出部と、前記基部の上縁の少なくとも一部と前記延出部の上縁の少なくとも一部との間に架設された上側平面部と、前記基部の下縁の少なくとも一部と前記延出部の下縁の少なくとも一部との間に架設された下側平面部と、を有し、前記上側平面部は、前記ヘッドボード及び/又は前記フットボードよりも高くなる位置に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るベッド用ボードカバーにおいて、例えば前記基部、前記延出部、前記上側平面部及び前記下側平面部は、1枚のダンボールプラスチックの展開図から組み立てられたものである。
【0015】
又は、ベッド用ボードカバーは、前記基部、前記延出部、前記上側平面部及び前記下側平面部の展開図は、各部分に対応する複数枚のダンボールプラスチックにより構成されている。この場合に、例えば前記基部の展開図と、前記延出部、前記上側平面部及び前記下側平面部の展開図とは、相互に別体のダンボールプラスチックにより構成されている。
【0016】
上述のベッド用ボードカバーにおいて、例えば、前記基部、前記延出部及び前記平面部は、展開図から折り曲げられたときに、夫々厚さ方向に前記ダンボールプラスチックが3枚以上重ならないように折り曲げられて組み立てられていることが好ましい。この場合に、例えば前記基部及び前記延出部は、展開図から折り曲げられたときに、全面がその厚さ方向に2枚のダンボールプラスチックが重なり合うように折り曲げられて組み立てられている。
【0017】
前記基部及び前記延出部は、展開図から折り曲げられたときに、前記ダンボールプラスチックの縁部が前記ベッドの内側に露出しないように折り曲げられて組み立てられていることが好ましく、前記上側平面部及び前記下側平面部は、前記ベッドの内側に露出する縁部が鋭利にならないように端縁処理されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るベッド用ボードカバーは、板状の基部がヘッドボード及び/又はフットボードの夫々対向面に取り付けられ、基部の上縁と延出部の上縁との間に架設された上側平面部は、ヘッドボード及び/又はフットボードよりも高くなる位置に設けられている。よって、ボードの大きさ又は形状によらず既存のベッドに容易に取り付けることができる。また、本発明のボードカバーは、基部の側柵側の両側縁から側柵まで延出する延出部が形成されており、延出部により、ボードと側柵との間に形成された隙間を覆うことができる。
【0019】
そして、基部の上縁の少なくとも一部と延出部の上縁の少なくとも一部との間に架設された上側平面部、及び基部の下縁の少なくとも一部と延出部の下縁の少なくとも一部との間に架設された下側平面部により、ベッド用ボードカバーの強度を高く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係るベッド用ボードカバーをベッドに取り付けた状態を示す斜視図であり、図1(a)はベッドの内側から見た図、図1(b)はベッドの外側から見た図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るベッド用ボードカバーの展開図である。
【図3】(a)乃至(c)は、本発明の第1実施形態に係るベッド用ボードカバーにおいて、延出部及び上側平面部を組み立てる工程の一部をその工程順に示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るベッド用ボードカバーにおいて、ダンボールプラスチックの合わせ目を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るベッド用ボードカバーの展開図である。
【図6】従来の側柵付きのベッドを示す側面図である。
【図7】(a)乃至(c)は、ベッドのボードに取り付けるスペーサを示す図である。
【図8】(a)乃至(c)は、従来の側柵付きベッドにおける種々のボード形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願発明者等は、旧来のベッド及び側柵において、改正後のJIS規格を満足させるための技術を種々検討し、本発明のベッド用ボードカバーを開発するに至った。即ち、旧来の種々のベッド及び側柵の組み合わせにおいても、本発明のベッド用ボードカバーを取り付けることにより、ヘッドボード及び/又はフットボードと側柵との間に形成される隙間を覆うことができ、隙間への手足及び首等の挟み込みを防止することができる。
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るベッド用ボードカバーについて、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るベッド用ボードカバーをベッドに取り付けた状態を示す斜視図であり、図1(a)はベッドの内側から見た図、図1(b)はベッドの外側から見た図である。図1に示すように、本発明のベッド用ボードカバー1は、図6及び図8に示すような従来のベッド2に取り付けられるものである。即ち、ベッド2には、ヘッドボード21とフットボード22とが、水平のフレーム20の長手方向の頭部側及び足部側の夫々端部に固定されている。ヘッドボード21及びフットボード22は、例えば平板状に形成されたものであるか、又は金属製若しくは樹脂製の複数本のパイプを連結することにより形成されたものであり、これらがフレーム20の長手方向の夫々端部に固定されることにより、ベッド2の前後からの利用者の転落を防止している。本実施形態においては、図1(b)に示すように、ベッドのボード21,22は、上方の幅が下方よりも狭く、枠体の側縁部は上方から下方へと傾斜して設けられている。そして、ボード21,22下部の最も幅広の部分は、その幅がフレーム20と等しいか、又はフレーム20よりも若干小さく形成されている。枠体の内側には、例えば木製の平板が取り付けられており、枠体と平板との間には、所定の隙間が形成されている。従って、本実施形態のボード21,22においては、例えば図7に示すような従来のスペーサを取り付けることができない。フレーム20の両側部のサイドフレームには、夫々複数個の転落防止用の側柵23が2個設置されており、ベッド2の左右からの利用者の転落を防止している。この側柵23は、例えば平板状に形成されているか、又は金属製若しくは樹脂製の複数本のパイプが連結されたものである。本実施形態においては、複数本のパイプを連結することにより形成された側柵23が、フレームの夫々の側部に取り付けられている。側柵23は、枠状に曲成された1本以上のパイプ及びその中央の隙間に配置されて枠体部分を補強する複数本のパイプと、これを支持するようにフレームに固定された2本の支持パイプと、により構成されている。
【0023】
このような側柵23が設置されたベッド2においては、図6に示すように、ヘッドボード21と頭部側の側柵23との間の領域A、及び脚部側の側柵23とフットボード22との間の領域Bに隙間が形成されている。図1に示すように、本発明のベッド用ボードカバー1は、基部1aがヘッドボード21及び/又はフットボード22の夫々対向面に取り付けられる。そして、基部1aの側柵23側の両側縁から延出するように形成された延出部1bにより領域A及びBの隙間を覆う。
【0024】
本実施形態においては、各ベッド用ボードカバー1は、図1に示すように、ボード21,22の夫々対峙面に取り付けられる板状の基部1aと、基部1aの側柵23側の両側縁から夫々側柵の位置まで延出するように形成された延出部1bと、基部1aの上縁と延出部1bの上縁との間に架設された上側平面部1cと、基部1aの下縁と延出部1bの下縁との間に架設された下側平面部1dと、により構成されている。そして、ボードカバー1は、基部1aの裏面に設けられた例えば複数本のポリエステル又はレーヨン等からなる紐1eにより、ボード21,22の対向面に、夫々その高さ方向及び幅方向に結びつけられて固定されている。
【0025】
基部1aは、例えば図8に示すようなボード210乃至212よりも大きい高さ及び幅を有しており、いずれのボードに取りつけた場合においても、その上縁部はボードよりも高い位置となるように構成されている。従って、ボード21,22の両端が例えば図8(a),図8(c)に示すような隙間を有する場合、及びボード21,22の高さが例えば図8(c)に示すように側柵23に比して高い場合においても、基部1aの上縁部は、ボード21,22よりも高い位置に突出して配置される。また、本実施形態のように、例えばボード21,22の枠体部分が金属製である場合においても、基部1aを例えば紐によりボード21に結びつけて固定することにより、容易に既存のボード21,22に固定することができる。なお、基部1aの幅は、フレーム20とほぼ等しいか、又は若干フレーム20よりも大きい。従って、ボード21,22に基部1aを取り付けたときに、基部1aの両側縁は、フレーム20の両側部の上方、又はフレーム20よりも若干外側に配置される。
【0026】
基部1aの両側縁から延出している延出部1bは、その高さが例えば基部1aと等しく、従って、その上縁部はボード21,22よりも高い位置に配置される。また、基部1aをボード21,22に取り付けたときに、延出部1bの夫々は、フレーム20の両側面の上方に位置するか、フレーム20よりも若干外方に突出した位置となる。本発明においては、延出部1bは、側柵23のボード側の側縁部の少なくとも一部を覆う長さで延出するように形成されている。図6に示すような従来のボード21,22と側柵23との間の領域A及びBの隙間は、例えば49乃至53mmであるが、本発明においては、例えば延出部1bの延出長さは、例えば60乃至70mmである。これにより、延出部1bにより、ボード21,22と側柵23との隙間を十分に覆うことができる。
【0027】
図1(a)に示すように、上側平面部1c、下側平面部1dは、夫々板状に形成されており、基部1aの上縁と延出部1bの上縁との間、及び基部1aの下縁と延出部1bの下縁との間に夫々架設されている。本実施形態においては、上側平面部1cは、基部1a側と延出部1b側とに夫々1辺を有する直角三角形状に形成されており、下側平面部1dは、基部1a側と延出部1b側とに夫々1辺を有する直角三角形を基部1a側で一部切り欠いた形状に形成されている。そして、上側平面部1cと下側平面部1dとが互いに向かい合うように形成されており、この1対の平面部1c,1d間に側柵23の縁部が配置される。そして、下側平面部1dは、下面がフレーム20上か、又はボード21,22をフレーム20に連結している部材の上に載置される。即ち、本実施形態においては、ボード21,22に取り付けたボードカバー1の基部1a、延出部1b及び1対の平面部1c,1dにより、側柵23のボード21,22側の側縁をその上方、下方、ボード側及び外方から取り囲むように構成されている。そして、本実施形態のように、上側平面部1c及び下側平面部1dが基部1a及び延出部1bの双方に対して垂直に形成されていることにより、ボードカバー1の強度を向上させている。なお、本実施形態の平面部1c,1dの形状は、一例であり、本発明のボードカバー1は、平面部1c,1dの形状により限定されるものではない。
【0028】
本実施形態においては、ボードカバー1は、図2に示すような1枚のダンボールプラスチック10が折り曲げられて組み立てられることにより、基部1a、延出部1b、上側平面部1c及び下側平面部1dが組み立てられている。即ち、図2に示すように、ダンボールプラスチック板10は、基部1aとなる面10a乃至10cと、延出部1bとなる面10d及び10eと、上側平面部1cとなる面10gと、下側平面部1dとなる面10iと、接着面10f,10h,10jと、により構成されており、図2に破線及び一点鎖線で示すような折り線で折り曲げ、少なくとも接着面10f,10h,10jを合わせ面に接着することにより、本実施形態のような立体形状のボードカバー1を形成することができる。
【0029】
図3に示すように、各接着面の接着においては、各接着面10f,10h,10jが互いに重なり合わないような形状で形成されており、また、各接着面同士が互いにその縁部で隣接するように形成されていることが好ましい。即ち、本実施形態においては、図2に示す展開図において、基部1aとなる面のうち、折り返し面となる面10b及び10cが互いに隣接するように面10bと面10cの縦方向の寸法の和が、面10aの寸法と等しくなる大きさで形成されており、また、接着面10f,10h,10jは、図3(a)乃至図3(c)に示すように、折り返し面10b及び10dの幅方向の側部に隣接するように、また、相互間が隣接するように折り返されて、面10aに接着される。これにより、本実施形態においては、図2に示すような展開図から組み立てられたときに、基部1aの表面には、ダンボールプラスチックの縁部は露出しておらず、図4に示すように、各折り返し面の合わせ目100だけが基部1aの裏面に露出した状態となる。また、基部1aの裏面の全面に隙間が形成されないように折り曲げられて組み立てられ、基部1aは、全面がその厚さ方向に2枚のダンボールプラスチックが重なり合った構造となる。そして、これらの合わせ目100上に例えばテープ等を貼り付けることにより、ダンボールプラスチックの縁部は、基部1aの裏面に露出することはなく、ボードカバー1を例えば縁部が若干鋭利な材質により構成した場合においても、その縁部に人が接触することはなく、安全に取り扱うことができる。
【0030】
本実施形態においては、図2に示すようなダンボールプラスチック板10が折り曲げられて、各合わせ面同士が接着されると、上側平面部1c及び下側平面部1dとなる面10g,10iの縁部の一部がベッドの内側に露出することになるが、この場合には、縁部が鋭利にならないように端縁処理されていることが好ましい。例えば、縁部に柔軟性を有する部材、例えば綿テープ等を貼り付けたり、例えば加熱による縁部の平滑化処理を施すことが好ましい。これにより、ベッドの内側に露出した縁部に人が接触した場合においても、ボードカバー1により傷つくことを防止することができる。
【0031】
このように、本実施形態においては、ボードカバー1を安価なダンボールプラスチックにより低コストで形成することができ、また、ボード21,22と側柵23との間の隙間を延出部1bにより確実に覆うことができる。そして、板状の基部1aがヘッドボード21及び/又はフットボード22の夫々対向面に取り付けられ、基部1aの上縁と延出部1bの上縁との間に架設された上側平面部1cは、ヘッドボード21及び/又はフットボード22よりも高くなる位置に設けられている。よって、本実施形態のボードカバー1は、ボードの大きさ又は形状によらず、ボード21,22に容易に取り付けることができる。
【0032】
また、上側平面部1c及び下側平面部1dを基部1a及び延出部1bの双方に対して垂直となるように設け、ボードカバー1を立体形状に構成することにより、ボードカバー1の強度を高く確保することができる。
【0033】
次に、本実施形態のボードカバー1の組み立て方の一例について説明する。先ず、図2に示すダンボールプラスチック板10において、基部1aとなる面10aに対して、面10aと面10b,10cとの境界線を(図2における紙面前方に)谷折りし、面10aと、面10b及び10cとを貼り合わせる。このとき、面10bと面10cの縦方向の寸法の和は、面10aの寸法と等しいため、折り返した面10bと面10cとが互いに重なり合うことなく、双方の縁部が互いに隣接する。次に、面10aと面10dとが直角をなすように、面10aに対して、面10aと面10dとの境界線を(図2における紙面後方に)山折りする。その後、面10dと面10eとの境界線を谷折りして、面10dと面10eとを貼り合わせる。このとき、面10dの幅と面10eの幅とが等しく、互いに全面を貼り合わせる。これにより、ダンボールプラスチック板10は、図3(a)に示す状態となる。
【0034】
次に、面10eと面10fとの境界線を折り曲げて、面10fを面10aに貼り合わせる。これにより、図3(b)に示すように、面10fと面10bとがその縁部で互いに隣接する。面10fの下方においては、面10fと面10cとがその縁部で互いに隣接する。また、面10dと面10gとの境界線を直角に内側に折り曲げることにより、面10gと面10hとの境界線は面10aの上縁部に接触するように配置される。そして、面10gと面10hとの境界線を直角に折り曲げることにより、面10hを面10aの裏面に貼り合わせる。これにより、面10aの裏面上方の面10bと面10fとの間に形成された隙間に面10hが収容され、図3(c)に示すように、各折り返し面同士の縁部が互いに隣接するように配置される。同様に、面10dと面10iとの境界線を直角に内側に折り曲げることにより、面10iと面10jとの境界線は、面10aの下側の縁部に接触するように配置され、面10iと面10jとの境界線を直角に折り曲げて面10jを面10aの裏面下方の面10cと面10fとの間の隙間に収容することにより、各折り返し面同士の縁部を互いに隣接するように配置する。以上により、図2に示すダンボールプラスチック板10は、図4に示すようなボードカバー1に組み立てられ、各折り返し面の合わせ目100だけが露出した状態となり、基部1aの裏面の全面に隙間が形成されないように、基部1a及び延出部1cは、全面がその厚さ方向に2枚のダンボールプラスチックが重ね合わせられた構造になる。そして、合わせ目100上に例えばテープ等を貼り付けることにより、ダンボールプラスチックの縁部を覆う。これにより、ボードカバー1を例えば縁部が若干鋭利な材質により構成した場合においても、その縁部に人が接触することはなく、安全に取り扱うことができる。
【0035】
また、本実施形態においては、上側平面部1cとなる面10g及び下側平面部10dとなる面10iの縁部の一部は、ベッドの内側に露出するように折り曲げられるが、この縁部に柔軟性を有する部材、例えば綿テープ等を貼り付けたり、熱処理による端縁処理を施す。その他の露出した縁部にも同様の端縁処理を行う。これにより、ベッドの内側に露出した縁部に人が接触した場合においても、ボードカバー1により傷つくことを防止することができる。
【0036】
最後に、ボードカバー1の裏面に、ボード21,22への固定用の部材、例えばポリエステル又はレーヨン等からなる紐1eを複数本取り付ける。これにより、図1に示すようなボードカバー1が組み立てられる。
【0037】
次に、本実施形態のベッド用ボードカバー1の動作について説明する。上記のように組み立てられたボードカバー1をベッドに取り付ける際には、ボードカバー1を下側平面部1dからボード21,22と側柵23との間の隙間に挿入していき、ボードカバー1の位置をその幅方向に調整し、図1(a)に示すように、下側平面部1dをフレーム20上か、又はボード21,22をフレーム20に連結している部材上に載置する。これにより、ボード21,22のフレーム20よりも上方の部分は、基部1aにより覆われる。次に、図1(b)に示すように、ボードカバー1の裏面の紐1eをボード21,22の高さ方向及び幅方向に結びつけて、基部1aをボード21,22に固定する。これにより、ボードカバー1の上側平面部1cは、ボード21,22よりも高い位置に配置される。
【0038】
このように、本実施形態のボードカバー1は、ボード21,22の下方が上方よりも幅広な場合等、図7に示すようなスペーサを取りつけられない従来のボード21,22においても、ボードの大きさ又は形状によらず容易に取り付けることができる。ボードカバー1の固定の際には、作業者等が基部1aの裏面に接触する場合が考えられるが、本実施形態においては、基部1aの裏面には、ダンボールプラスチックの縁部は露出しないように構成されている。従って、ボードカバー1を例えば縁部が若干鋭利な材質により構成した場合においても、その縁部に人が接触することはなく、安全に取り扱うことができる。又は、本実施形態においては、上側平面部1cとなる面10g及び下側平面部1dとなる面10iの縁部の一部は、ベッドの内側に露出することになるが、これらの縁部には、例えば綿テープ等が貼り付けられたり、例えば熱処理等の端縁処理が施されている。従って、ベッドの内側に露出した縁部に人が接触した場合においても、ボードカバー1により傷つくことを防止することができる。
【0039】
ボード21,22への基部1aの固定により、基部1aの両側縁から延出するように形成された延出部1bは、側柵23の縁部の一部を覆うように配置される。これにより、本実施形態のボードカバー1により、ボード21,22と側柵23との間の隙間を延出部1cにより確実に覆うことができ、この隙間への手足及び首等の挿入を防止し、ベッドの安全性を十分に確保することができる。
【0040】
なお、縁部が鋭利でない材質によりボードカバー1を構成する場合においては、本実施形態のように、ボードカバー1の各部分を重ね合わせ構造にしたり、各折り返し面の縁部を互いに隣接するように構成したり、縁部に綿テープを貼り付けたりする縁部処理を行わなくてもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、基部1aのボード21,22への固定を複数本の紐1eにより行っているが、本発明においては、基部1aのボードへの固定は紐1eによるものでなくてもよく、例えば、基部1aをボード21,22との接触面に接着することにより固定してもよい。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態に係るベッド用ボードカバーについて説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係るベッド用ボードカバーの展開図である。第1実施形態においては、1枚のダンボールプラスチックを折り曲げ、各合わせ面同士を接着することにより、ボードカバー1を形成したが、本実施形態においては、ボードカバー1は、図5に示すように、基部1aとなる部分の展開図と、延出部1b、上側平面部1c及び下側平面部1dとなる部分の展開図とが、相互に別体のダンボールプラスチック板11により構成されている。なお、図5における各面11a乃至11iは、第1実施形態の図2における面10a乃至10iに夫々対応している。
【0043】
図6乃至図8に示すような従来のベッド2においては、ボトム幅が例えば780mm、830mm及び910mmのものが多く使用されている。そこで、本実施形態においては、基部1aとなる部分のみを相互に別体のダンボールプラスチック板11で構成することにより、例えばボトム幅が異なる複数種類のベッド2において、基部1aとなる部分のみをベッド2のボトム幅に合わせて取り替え、延出部1b、上側平面部1c及び下側平面部1dとなる部分については、全てのベッドに共用の部材とすることができる。即ち、基部1aとなる面11aの幅を例えば上記ボトム幅の夫々に合わせて、例えば900乃至930mm(ボトム幅:780mm)、950乃至980mm(ボトム幅:830mm)、1030乃至1060mm(ボトム幅:910mm)とする。
【0044】
本実施形態においては、ボードカバー1の材質となるダンボールプラスチック板11の一部を全てのベッド2に共用することにより、第1実施形態における効果に加えて、ボードカバー1の製造コストを低減することができる。
【0045】
なお、本実施形態のボードカバー1においては、延出部1b、上側平面部1c及び下側平面部1dとなる部分は、接着面11dにて面11aに接着されるが、この接着面11dは、面11e側に設けられている。即ち、本実施形態においては、基部1aとなる面11aは、側方に縁部を有するように構成されているため、接着面11dを面11f側に設けた場合においては、面11aの縁部と面11eの縁部とが互いに隣接するような配置となり、材質によっては、部材同士の組み立て性が低下する場合がある。しかし、接着面11dを面11e側に設け、面11eと接着面11dとを折り返した位置に面11aの縁部を配置することにより、組み立て性の低下を防止することができる。
【符号の説明】
【0046】
1:(ベッド用)ボードカバー、1a:基部、1b:延出部、1c:上側平面部、1d:下側平面部、1e:紐、10,11:ダンボールプラスチック板、100:合わせ目、2:ベッド、20:フレーム、21:(ヘッド)ボード、22:(フット)ボード、210,211,212:ボード(ヘッドボード又はフットボード)、21a:溝、23:側柵、3,31,32:スペーサ、31a:嵌合部、31b:突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短辺及び長辺からなる矩形をなす水平のフレームと、このフレームの頭部側及び足部側の前記短辺に取り付けられた夫々ヘッドボード及びフットボードと、前記フレームの側部の前記長辺に取り付けられた側柵と、を有するベッドに使用されるベッド用ボードカバーにおいて、前記ヘッドボード及び/又は前記フットボードの夫々対向面に取り付けられる板状の基部と、この基部の前記側柵側の両側縁から夫々前記側柵まで延出するように形成された延出部と、前記基部の上縁の少なくとも一部と前記延出部の上縁の少なくとも一部との間に架設された上側平面部と、前記基部の下縁の少なくとも一部と前記延出部の下縁の少なくとも一部との間に架設された下側平面部と、を有し、前記上側平面部は、前記ヘッドボード及び/又は前記フットボードよりも高くなる位置に設けられていることを特徴とするベッド用ボードカバー。
【請求項2】
前記基部、前記延出部、前記上側平面部及び前記下側平面部は、1枚のダンボールプラスチックの展開図から組み立てられたものであることを特徴とする請求項1に記載のベッド用ボードカバー。
【請求項3】
前記基部、前記延出部、前記上側平面部及び前記下側平面部の展開図は、各部分に対応する複数枚のダンボールプラスチックにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のベッド用ボードカバー。
【請求項4】
前記基部の展開図と、前記延出部、前記上側平面部及び前記下側平面部の展開図とは、相互に別体のダンボールプラスチックにより構成されていることを特徴とする請求項3に記載のベッド用ボードカバー。
【請求項5】
前記基部、前記延出部及び前記平面部は、展開図から折り曲げられたときに、夫々厚さ方向に前記ダンボールプラスチックが3枚以上重ならないように折り曲げられて組み立てられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のベッド用ボードカバー。
【請求項6】
前記基部及び前記延出部は、展開図から折り曲げられたときに、全面がその厚さ方向に2枚のダンボールプラスチックが重なり合うように折り曲げられて組み立てられていることを特徴とする請求項5に記載のベッド用ボードカバー。
【請求項7】
前記基部及び前記延出部は、展開図から折り曲げられたときに、前記ダンボールプラスチックの縁部が前記ベッドの内側に露出しないように折り曲げられて組み立てられていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のベッド用ボードカバー。
【請求項8】
前記上側平面部及び前記下側平面部は、前記ベッドの内側に露出する縁部が鋭利にならないように端縁処理されていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載のベッド用ボードカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−80962(P2012−80962A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227829(P2010−227829)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(390039985)パラマウントベッド株式会社 (165)