説明

ベッド装置

【課題】この発明はベッド本体のサイドフレームに緩衝部材を簡単且つ確実に取り付けることができるようにしたベッド装置を提供することにある。
【解決手段】サイドフレーム17を有するベッド本体と、サイドフレームの外面の長手方向に沿って取り付けられる緩衝部材18を具備し、
サイドフレームには、緩衝部材が取り付けられる外面に突出する複数の係合部21が長手方向に所定間隔でプレス加工されていて、緩衝部材には係合部に係合する係合溝18cが長手方向全長にわたって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はベッド本体のサイドフレームに緩衝部材が設けられるベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベッド装置はベッド本体を有する。このベッド本体は所定間隔で平行に離間した一対のサイドフレームの長手方向一端にヘッドボード、他端にフットボードが連結されて構成されている。
【0003】
身体の不自由な利用者が利用する、たとえば病院用などのベッド装置においては、一対のサイドフレーム間に架設される床板体は複数の床部に分割されている。複数の床部は互いに回動可能に連結されていて、長手方向中央に位置する床部は上記ベッド本体に固定され、他の床部は起伏機構によって起伏駆動させることができるようになっている。それによって、床板体上に載置されるマットレスに仰臥した利用者は、床部を起上駆動させることで、上半身を起こしたり、脚部を屈曲させるなどのことができるようになっている。
【0004】
病院用のベッド装置の場合、病院内の一箇所に固定的に設置されることはなく、治療室や病室などの間を移動させるということが行われることが多くある。ベッド装置を移動させる際、そのベッド装置を治療室や病室などの柱や壁、或いは種々の設置物などにぶつけることがあり、そのような場合にはそれらを損傷させるということがある。
【0005】
そこで、ベッド装置のサイドフレームの外面に、合成樹脂やゴムなどの弾性材料で形成された帯状の緩衝部材を取り付け、ベッド本体のサイドフレームが柱や壁、或いは種々の設置物などぶつかったときに、それらに与える衝撃を低減させるようにしている。
【0006】
特許文献1にはベッド装置のサイドフレームに緩衝部材に相当するサイドバンパーを取り付けることが示されている。すなわち、サイドフレームの長手方向に複数の取り付け穴を所定間隔で形成し、各穴には緩衝部材を取り付けるための専用の部品である、支持部材を装着する。支持部材には四角形の頭部が形成され、上記緩衝部材には上記頭部に係合する係合溝が形成されている。
【0007】
したがって、サイドフレームに支持部材を装着した後、その頭部に緩衝部材の係合溝を係合させることで、緩衝部材をサイドフレームに取り付けるようにしている。
【特許文献1】特開2000−157577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記緩衝部材は、通常、上記サイドフレームのほぼ全長にわたって設けられる。サイドフレームは長尺であり、しかも弾性材料によって形成されている。そのため、サイドフレームに取り付けられた緩衝部材が変形したり、脱落しないよう確実に取り付けるためには、上記支持部材を上記サイドフレームの長手方向に対して比較的狭い間隔、たとえば15〜20cm程度の間隔で設けなければならない。それによって、1つのサイドフレームに対し、たくさんの支持部材、たとえば10〜15個程度設けなければならなくなる。
【0009】
しかしながら、サイドフレームにたくさんの支持部材を取り付けるようにすると、支持部材の数が多くなることでコストアップを招いたり、上記支持部材の取り付け作業に手間が掛かるということがあった。
【0010】
この発明は、サイドフレームに緩衝部材を取り付けるために、専用の部品を用いずにすむようにしたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、サイドフレームを有するベッド本体と、
上記サイドフレームの外面の長手方向に沿って取り付けられる緩衝部材を具備し、
上記サイドフレームには、上記緩衝部材が取り付けられる外面に突出する複数の係合部が長手方向に所定間隔でプレス加工されていて、
上記緩衝部材には上記係合部に係合する係合溝が長手方向全長にわたって形成されていることを特徴とするベッド装置にある。
【0012】
上記サイドフレームは帯状板材を角筒状に成形加工されていて、
上記係合部は上記帯状板材を角筒状に成形加工する前にプレス加工されることが好ましい。
【0013】
上記係合部は、上記緩衝部材に形成された係合溝の幅寸法とほぼ同径の外径寸法の円形部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、サイドフレームに緩衝部材を係合保持する係合部をプレス加工して形成するため、緩衝部材を取り付けるための専用の部品が不要となり、コストの低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は病院などで用いられるベッド装置の側面図であって、このベッド装置はベッド本体1を備えている。ベッド本体1はベースフレーム2を有する。このベースフレーム2は矩形枠状に形成されていて、その四隅部にはストッパ付のキャスタ3が設けられている。それによって、ベースフレーム2は走行可能となっている。
【0016】
上記ベースフレーム2には上下駆動機構4によって載置フレーム5が上下動可能、つまり高さ調整可能に設けられている。上記上下駆動機構4は、駆動源6を有する。上記ベースフレーム2の四隅部には連動アーム7(4つのうちの2つを図示)の一端が枢着されている。各連動アーム7の他端は上記載置フレーム5の長手方向両端部の両側内面にそれぞれ枢着されている。載置フレーム5の長手方向の両端部に設けられた左右一対の連動アーム7は図示しない連結杆によって連結されている。
【0017】
上記駆動源6は上記連動アーム7を図示しない動力伝達機構を介して揺動駆動する。それによって、上記載置フレーム5が上下方向に駆動されるようになっている。載置フレーム5の長手方向一端にはヘッドボード8、他端にはフットボード9がほぼ垂直に設けられている。
【0018】
上記載置フレーム5の上面には床フレーム11が載置されている。この床フレーム11の上面には床板体12が設けられている。床板体12は背床部13a,腰床部13b,固定床部13c、第1の脚床部13d及び第2の脚床部13eの5つの床部に分割されている。
【0019】
5つの床部13a〜13eは互いに回動可能に連結されていて、上記固定床部13cは上記床フレーム11に固定されている。この床フレーム11には起伏駆動機構15が設けられ、この起伏駆動機構15によって上記背床部13a,腰床部13b、第1の脚床部13d及び第2の脚床部13eが起伏駆動されるようになっている。
【0020】
上記載置フレーム5は矩形枠状に形成されていて、幅方向両側に位置する一対のサイドフレーム17(1つのみ図示)の外面には長手方向全長にわたって合成樹脂などの弾性材料によって形成された緩衝部材18が取り付けられている。
【0021】
上記サイドフレーム17は帯状板材19(図3(a)に示す)の一方の面を塗装してから、その塗装面が外側になるよう図4に示すように角筒状に成形される。上記帯状板材19には、その一方の面に塗装を施す前に、サイドフレーム17の外面となる部分にプレス加工によって複数の係合部21(図3(a)に2つ示す)が所定間隔で形成される。複数の係合部21はたとえば15〜20cm間隔で形成されていて、上記サイドフレーム17の外面には10〜15個の係合部21が形成される。
【0022】
なお、複数の係合部21は一度のプレス加工で形成してもよいが、金型を小型化するめには一度のプレス加工によって1〜2個の係合部21を形成するようにすることが好ましい。
【0023】
上記係合部21は、上記帯状部材19の一部を外面側に突出させた帯部21a及びこの帯部21aの長手方向中央に形成された帯部21aの幅寸法よりも大径な円形部21bによって形成されている。
【0024】
上記緩衝部材18は図2と図4に示すように外面が幅方向に沿って凸状に湾曲した湾曲部18a及びこの湾曲部18aの両端に幅方向内方に向かって折り曲げられた係合片18bによって一対の係合溝18cを有する形状に形成されている。図4にWで示す一対の係合溝18cの幅寸法は、上記係合部21の円形部21bの直径Dとほぼ同じに設定されている。
【0025】
そして、緩衝部材18の一対の係合溝18cを、図4に鎖線で示すようにサイドフレーム17の長手方向一端部に位置する係合部21の円形部21bに係合させたのち、その緩衝部材18をサイドフレーム17の長手方向に沿ってスライドさせてその係合溝18cに複数の円形部21bを係合させれば、上記緩衝部材18をサイドフレーム17の外面に取り付けることができる。
【0026】
このような構成のベッド装置によれば、サイドフレーム17に緩衝部材18を取り付けるための複数の係合部21を、帯状板材19から上記サイドフレーム17を成形する前に、プレス加工して形成するようにした。つまり、サイドフレーム17を構成する帯状部材19の一部を外面側に突出させて上記係合部21として利用するようにした。
【0027】
そのため、サイドフレーム17に緩衝部材18を取り付けるために、専用の部品を用いずにすむから、使用する部品点数を減少してコストの低減を図ることができる。
【0028】
上記係合部21に円形部21bを形成し、この円形部21bに緩衝部材18の係合溝18cを係合させるようにした。係合溝18cの内面に対して円形部21bの外周面は一部だけがほぼ点接触状態で接触する。そのため、円形部21bに係合溝18cを係合させたときに、これら両者の摩擦抵抗を低減できるから、たくさんの係合部21の円形部21bに対して緩衝部材18を円滑にスライドさせて取り付けることができる。
【0029】
さらに、上記係合部21は、サイドフレーム17を角筒状に成形加工する前にプレス加工するようにした。そのため、上記係合部21の加工を容易に、しかも確実に行うことが可能となる。
【0030】
上記一実施の形態では係合部は円形部を有する形状としたが、円形部に代わってしか矩形状や四角以上の多角形状などであってもよく、要は緩衝部材の係合溝に係合させることができるよう、帯部よりも幅寸法が大きな形状であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の位置実施の形態を示すベッド装置の側面図。
【図2】緩衝部材の斜視図。
【図3】(a)はサイドフレームの一部を示す正面図、(b)はサイドフレームの係合部が形成された部分の長手方向に沿う断面図。
【図4】サイドフレームの係合部が形成された部分の長手方向と直交する方向の断面図。
【符号の説明】
【0032】
1…ベッド本体、17…サイドフレーム、18…緩衝部材、18a…湾曲部、18b…係合片、18c…係合溝、21…係合部、21a…帯部、21b…円形部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドフレームを有するベッド本体と、
上記サイドフレームの外面の長手方向に沿って取り付けられる緩衝部材を具備し、
上記サイドフレームには、上記緩衝部材が取り付けられる外面に突出する複数の係合部が長手方向に所定間隔でプレス加工されていて、
上記緩衝部材には上記係合部に係合する係合溝が長手方向全長にわたって形成されていることを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
上記サイドフレームは帯状板材を角筒状に成形加工されていて、
上記係合部は上記帯状板材を角筒状に成形加工する前にプレス加工されることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項3】
上記係合部は、上記緩衝部材に形成された係合溝の幅寸法とほぼ同径の外径寸法の円形部を有することを特徴とする請求項1記載のベッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−112730(P2009−112730A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292373(P2007−292373)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)