説明

ベッド装置

【課題】この発明はシングルクッションタイプとダブルクッションタイプとで主要な部品を共用できるようにしたベッド装置を提供することにある。
【解決手段】ヘッドボード3と、ヘッドボードの幅方向一端部と他端部との内面にそれぞれ一端が連結固定された一対の連結部材21と、幅方向の一端部と他端部の内面に一対の連結部材の他端が連結固定されたフットボード4と、一対の連結部材の上面に幅方向の両端部下面を載置して設けられたボトムマットレス27と、ボトムマットレスの上面に載置された上部マットレス13とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はボトムマットレスの上面に上部マットレスが載置されるダブルクッションタイプのベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベッド装置には上述したダブルクッションタイプの他に、図6に示すシングルクッションタイプのベッド装置1が知られている。このベッド装置1はベッドフレーム2を有する。このベッドフレーム2はヘッドボード3、フットボード4及び一対のサイドフレーム5を備えている。
【0003】
上記ヘッドボード3とフットボード4の内面の幅方向の両端部にはそれぞれインサートナット6が埋め込まれている。上記サイドフレーム5の内面には受け桟7が長手方向に沿って設けられている。上記サイドフレーム5の長手方向の両端には平面形状がL字状をなして連結具8の一辺がねじ止め固定されている。
【0004】
上記連結具8の他辺には、図7に示すように上下一対のフック9が形成されていて、これらのフック9が上記ヘッドボード3とフットボード4の内面のインサートナット6に螺合される連結ねじ11に係合させて連結固定される。つまり、ヘッドボード3とフットボード4が一対のサイドフレーム5によって連結されることで、平面形状が矩形枠状をなした上記ベッドフレーム2が構成される。
【0005】
一対のサイドフレーム5の受け桟7には、ベッドフレーム2の長手方向に対して分割された2枚の床板12が幅方向両端部を係合させて架設される。そして、この床板12上には上記ヘッドボード3、フットボード4と幅寸法が同じに設定されたマットレス13が載置される。
なお、一対のサイドフレーム5は、各サイドフレーム5の内面に設けられた一対の受け桟7に両端を係合させて保持線材14によって外方へ変形するのが阻止される。
【0006】
一方、ダブルクッションタイプのベッド装置は、特許文献1の第15図に示されているように、ボトムマットレスの端面の幅方向両端部にナットが固着された取り付け具が設けられる。
【0007】
一方、ヘッドボードの幅方向両端部には厚さ方向に貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔にはヘッドボードの外面からボルトが挿通されて上記取り付け具のナットに螺合される。それによって、ヘッドボードをボトムマットレスの端面に連結固定するということが行なわれている。
【特許文献1】実願昭54−148584号(実開昭63−50254号)のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した構成のシングルクッションタイプのベッド装置と、上述したダブルクッションタイプのベッド装置とではたとえばクッション性などの性能が異なる。そのため、シングルクッションタイプのベッド装置を使用していた利用者がダブルクッションタイプのベッド装置への交換を希望したり、逆にダブルクッションタイプのベッド装置の利用者がシングルクッションタイプのベッド装置への交換を希望することがある。
【0009】
クッションタイプの異なるベッド装置に交換する場合、各ベッド装置を構成する部品の少なくとも一部を転用することができるようにすれば、資源の節約やコストの低減を図ることができるということがある。とくに、ヘッドボードやフットボードは高価であるから、これらの部品を転用できるようにすることが望まれている。
【0010】
しかしながら、上述したダブルクッションタイプのベッド装置は、ヘッドボードをボトムマットレスに連結固定するために、ヘッドボードの幅方向両端部に貫通孔を形成するようにしている。
【0011】
一方、上述したシングルクッションタイプのベッド装置はヘッドボードとフットボードの内面にインサートナットを埋設し、このインサートナットに螺合される連結ねじによってサイドフレームの長手方向両端に設けられた連結具をヘッドボードとフットボードの内面に連結固定するようにしている。
【0012】
そのため、シングルクッションタイプのベッド装置のヘッドボードやフットボードをダブルクッションタイプのベッド装置に利用しようとしても、各ボードに貫通孔が形成されていないため、転用することができないということがある。
【0013】
逆にダブルクッションタイプのベッド装置のヘッドボードをシングルクッションタイプのベッド装置に利用しようとすると、ヘッドボードに貫通して形成された貫通孔及びこの間通孔に挿通されるねじがヘッドボードの外面に露出するから、外観の低下を招き、好ましくないということがある。
【0014】
この発明は、シングルタイプのベッド装置のヘッドボード及びフットボードをダブルクッションタイプのベッド装置に利用することができるようにしたベッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、ヘッドボードと、
このヘッドボードの幅方向一端部と他端部との内面にそれぞれ一端が連結固定された一対の連結部材と、
幅方向の一端部と他端部の内面に上記一対の連結部材の他端が連結固定されたフットボードと、
一対の連結部材の上面に幅方向の両端部下面を載置して設けられたボトムマットレスと、
このボトムマットレスの上面に載置された上部マットレスと
を具備したことを特徴とするベッド装置にある。
【0016】
上記ボトムマットレスは下面に枠体が設けられ、
上記連結部材には上記枠体の内面に係合して上記ボトムマットレスが上記連結部材上でずれ動くのを規制する係合部材が設けられていることが好ましい。
【0017】
上記連結部材は、杆状部材と、この杆状部材の一端と他端とに幅方向の一端部が連結固定された板状部材とを有し、
上記板状部材は杆状部材が連結された幅方向の一端部を上記ヘッドボード及びフットボードの幅方向の内方に位置させて上記ヘッドボード及びフットボードの内面に連結固定されることが好ましい。
【0018】
上記ヘッドボードとフットボードの幅方向両端部の内面にはインサートナットが埋め込まれていて、上記連結部材の板状部材には上記インサートナットに螺合してその板状部材を上記各ボードに連結固定するためのねじを挿通する挿通孔が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、シングルタイプのベッド装置のヘッドボードとフットボードの内面の幅方向の両端部に、一対の連結部材の一端と他端を連結し、これら連結部材の上面にボトムマットレスを載置するようにした。
そのため、シングルタイプのベッド装置のヘッドボードとフットボードを利用して、ダブルタイプのベッド装置に変更することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の一実施の形態を図1乃至図4を参照しながら説明する。
図1は図6に示すシングルタイプのベッド装置1のヘッドボード3、フットボード4及びマットレス13が転用されるダブルクッションタイプのベッド装置1Aの分解斜視図である。上記ヘッドボード3とフットボード4は一対の連結部材21によって連結される。この連結部材21は角パイプからなる所定長さの杆状部材22を有し、この杆状部材22の一端と他端にはそれぞれ台形状の板状部材23が幅方向の一端部を固着して設けられている。
【0021】
上記板状部材23の幅方向他端には、図3に示すように一対の挿通孔24が上下方向に所定間隔で穿設されている。上記杆状部材22の長手方向の両端部の上記板状部材23の幅方向他端側を向いた側面には逆L字状をなした係合部材25の一辺が固着されている。この係合部材25の他辺は杆状部材22の上面から所定寸法上方へ突出している。
【0022】
一対の連結部材21は、杆状部材22の一端に設けられた一方の板状部材23がヘッドボード3に連結固定され、他端に設けられた他方の板状部材23がフットボード4に連結固定される。
【0023】
つまり、各板状部材23の幅方向他端に設けられた一対の挿通孔24に連結ねじ11を挿通し、その連結ねじ11をヘッドボード3とフットボード4の内面の幅方向両端部に設けられたインサートナット6に螺合する。それによって、ヘッドボード3、フットボード4及び一対の連結部材21によってベッドフレーム2Aが構成される。
【0024】
上記連結ねじ11が挿通される挿通孔24は上記板状部材23の幅方向他端に形成されている。したがって、板状部材23の挿通孔24を介して連結部材21をヘッドボード3とフットボード4に連結すると、板状部材23の幅方向一端に設けられた杆状部材22は各ボード3,4の幅方向両端面から図2にSで示す寸法だけないほうに位置することになる。
【0025】
上記ベッドフレーム2Aの一対の連結部材21上にはボトムマットレス27が載置される。このボトムマットレス27は図2と図4に示すように枠体28を有し、この枠体28の上面にスプリングユニット29が設けられている。このスプリングユニット29の上面にはクッション材31が設けられ、このクッション材31及び上記スプリングユニット29の外周面が外装地32によって被覆されている。
【0026】
上記ボトムマットレス27を連結部材21の上面に載置すると、図2に示すようにこのボトムマットレス27の下面に設けられた枠体28の幅方向両端に位置する縦桟28aの内側面が上記連結部材21の杆状部材22に設けられた係合部材25の他辺に対向する。それによって、ボトムマットレス27の幅方向の動きが上記係合部材25によって制限されるから、ボトムマットレス27が連結部材21上からずれ落ちるのが防止される。
【0027】
上記ボトムマットレス27の上面にはシングルクッションタイプのベッド装置1に用いられて上部マットレスとなるマットレス13が載置される。
【0028】
このような構成のダブルクッションタイプのベッド装置1Aによれば、ヘッドボード3とフットボード4を一対の連結部材21によって連結してベッドフレーム2Aとし、連結部材21の上面にボトムマットレス27及び上部マットレス13順次を載置するようにした。
【0029】
そのため、シングルクッションタイプのベッド装置1の利用者がダブルクッションタイプのベッド装置1Aに変更したい場合、シングルクッションタイプのヘッドボード3、フットボード4及び上部マットレス13をダブルクッションタイプのベッド装置1Aに転用することがきるから、部品の有効利用が図れるばかりか、コスト的にも有利である。
【0030】
しかも、ヘッドボード3とフットボード4を、従来のようにボトムマットレス27に連結せず、ヘッドボード3とフットボード4の内面に設けられたインサートナット6を利用して一対の連結部材21によって連結するようにした。
【0031】
そのため、ヘッドボード3とフットボード4に、これらボード3,4をボトムマットレス27に連結するための貫通孔を形成せずにすむから、各ボード3,4の外面に貫通孔や連結ねじが露出して外観の低下を招くということがない。
【0032】
ボトムマットレス27が載置される連結部材21には、ボトムマットレス27の下面の枠体28と係合する係合部材25を設けるようにした。そのため、ボトムマットレス27を連結部材21上に載置してダブルクッションタイプのベッド装置1Aとしても、ボトムマットレス27が連結部材21上でずれ動いて安定性が低下するということもない。
【0033】
さらに、連結部材21の板状部材23には、幅方向一端に杆状部材22が連結され、他端に板状部材23を各ボード3,4に連結するための挿通孔24を形成したから、各ボード3,4を連結部材21によって連結すると、連結部材21の杆状部材22は各ボード3,4の幅方向の端面から図2にSで示す所定寸法内方に位置する。
【0034】
そのため、杆状部材22にボトムマットレス27を載置すると、杆状部材22はボトムマットレス27の側面よりも所定寸法Sだけ幅方向内方に位置して外部からほとんど見えないから、杆状部材22がベッド装置1aの外観を損なうということもない。
【0035】
図5はダブルサイズのベッド装置1Aに並べて使用される2つのボトムマットレス27下面側から見た状態を示している。並設された2つのボトムマットレス27の下面には、それぞれの枠体28の隣接する幅方向の一端部の長手方向一端部と他端部にそれぞれ取付け部材35がねじ止め固定される。各取付け部材35には脚部材36が取り付けられる。
【0036】
それによって、一対のボトムマットレス27は、幅方向の一端部が上記脚部材36によって支持され、他端部がヘッドボード3とフットボード4を連結した連結部材21に杆状部材22によって支持されるから、並設される2つのボトムマットレス27を水平な状態で安定性よく支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の一実施の形態を示すベッド装置の分解斜視図。
【図2】ボトムマットレスをベッドフレームに載置した状態をボトムマットレスの一部を断面して示す図。
【図3】連結部材の一端部を示す斜視図。
【図4】ボトムマットレスの下面図。
【図5】2つのボトムマットレスを並設して使用するときの説明図。
【図6】従来のシングルクッションタイプのベッド装置の分解斜視図。
【図7】サイドフレームとヘッドボード及びフットボードの連結構造を示す分解斜視図。
【符号の説明】
【0038】
2A…ベッドフレーム、3…ヘッドボード、4…フットボード、11…連結ねじ、13…マットレス(上部)、21…連結部材、22…杆状部材、23…板状部材、24…挿通孔、25…係合部材、27…ボトムマットレス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボードと、
このヘッドボードの幅方向一端部と他端部との内面にそれぞれ一端が連結固定された一対の連結部材と、
幅方向の一端部と他端部の内面に上記一対の連結部材の他端が連結固定されたフットボードと、
一対の連結部材の上面に幅方向の両端部下面を載置して設けられたボトムマットレスと、
このボトムマットレスの上面に載置された上部マットレスと
を具備したことを特徴とするベッド装置。
【請求項2】
上記ボトムマットレスは下面に枠体が設けられ、
上記連結部材には上記枠体の内面に係合して上記ボトムマットレスが上記連結部材上でずれ動くのを規制する係合部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項3】
上記連結部材は、杆状部材と、この杆状部材の一端と他端とに幅方向の一端部が連結固定された板状部材とを有し、
上記板状部材は杆状部材が連結された幅方向の一端部を上記ヘッドボード及びフットボードの幅方向の内方に位置させて上記ヘッドボード及びフットボードの内面に連結固定されることを特徴とする請求項1記載のベッド装置。
【請求項4】
上記ヘッドボードとフットボードの幅方向両端部の内面にはインサートナットが埋め込まれていて、上記連結部材の板状部材には上記インサートナットに螺合してその板状部材を上記各ボードに連結固定するための連結ねじを挿通する挿通孔が形成されていることを特徴とする請求項3記載のベッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−28240(P2009−28240A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194925(P2007−194925)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)