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ベニクスノキタケの培養方法
説明

ベニクスノキタケの培養方法

【課題】ベニクスノキタケの子実体の培養方法を提供する。
【解決手段】この方法は、(a)イーストを含有している培地を5〜35℃で3〜30日間、発酵させる工程と、(b)発酵した培地に撹拌によって木粉を加える工程と、(c)木粉および培地を容器の中へ入れる工程と、(d)木粉および培地を収容している容器を滅菌する工程と、(e)木粉および培地を収容している滅菌した容器へベニクスノキタケ菌株を接種し、5〜35℃で培養して、菌糸体を形成させる工程と、(f)ベニクスノキタケ菌糸体を収容している木粉を木材片へ接種する工程と、(g)ベニクスノキタケ菌糸体を接種した木材片を温度が5〜35℃かつ湿度が65〜85%である環境に配置し、一定期間、培養する工程と、(h)木材片に残る木片を除去し、温度が15〜35℃かつ湿度が80〜98%である環境に木材片を配置し、一定期間、培養して、ベニクスノキタケの子実体を形成させる工程とを含む。また、ベニクスノキタケ菌糸体の培養方法、ベニクスノキタケの子実体の培養方法、および同じ方法によって培養したベニクスノキタケの子実体も提供する。本発明の方法によって培養したベニクスノキタケの子実体は、厚く、充実しており、トリテルペノイドの含有量は野生のベニクスノキタケと同等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材片へベニクスノキタケ菌株を接種して、大規模にベニクスノキタケの子実体を培養する工程を含む、ベニクスノキタケの培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛樟芝(Niu Zang Zhi)または牛樟茸(Antrodia cinnamomea)とも呼ばれるベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)は、ヒダナシタケ(Aphyllophorales)目サルノコシカケ(Polyporaceae)科シカタケ(Antrodia)属に属する多年生の茸であり、台湾固有の菌類である。ベニクスノキタケは、台湾の高度200メートルから2000メートルの山岳部における、牛樟(Cinnamomum kanehirai Hay)の樹洞の内壁または牛樟の枯れて腐った幹の湿った表面にしか寄生しない。牛樟における主な芳香はテルペノイドであり、クスノキ(Cinnamomum camphora(Linn.)Presl)に存在する芳香族化合物である樟脳(camphor)ではないので、牛樟に対しかつて用いられた学名Antrodia camphorataは、茸栽培の専門家であるドンチュー・チャン(Dongzhu Zhang)およびウェンネン・ジョウ(Wenneng Zhou)によって、Antrodia cinnamomeaとして訂正された。
【0003】
ベニクスノキタケの子実体は牛樟の樹洞から生長し、初期には平坦な形状を有するが、幹の内面に付着して生長し、次いで、子実体の先の方の縁部が幹から離れて丸まり、上方へ曲がって、蹄鉄形または不規則な形状を形成する。子実体がより長く生長すると、接触はより密になり、徐々に木化またはコルク化する。子実体は板状または鐘形の外観を有し、強い香ばしい匂い(bitter smell)を有する。一年生または多年生の子実体の上面の色は、赤橙色、橙褐色から明るい肉色であり、次いで、茶色へと変化する。表面は平滑で、同心円状である。また、小孔は円または多角形の形状であり、その中に胞子を有する。子実体の小孔の新鮮な表面の色は、赤橙色、橙褐色から明るい肉色であり、古びた表面の色は赤褐色である。
【0004】
食中毒、下痢、嘔吐、農薬中毒などを解毒するため、ベニクスノキタケは優れた解毒剤であり、また、癌または慢性病に対し望ましい効果を有するとも考えられている。一般の菌類が樟脳木上で生長することは不可能であるが、強い芳香を有し、昆虫を撃退することが可能であるので、一般の樟脳木およびクスノキなど同様の樹木ではなく、台湾に固有の牛樟にのみベニクスノキタケが寄生することが可能である。したがって、ベニクスノキタケの生産は不充分である。さらに、ベニクスノキタケの生長する牛樟は第一級保護樹木種であり、付随物としてのベニクスノキタケを採取することは禁止されているため、ベニクスノキタケは不足しており、市場の需要を満たすことは不可能である。したがって、ベニクスノキタケは「台湾のルビー」とも呼ばれ、苗栗縣(Miaoli)の南庄郷(Nanzhuang)や、高雄縣(Gaoxiong)の六亀郷(Liugui)などでしか生産されていない。
【0005】
慢性病と癌に対するベニクスノキタケの治療効果は昔から認められ、受け入れられていたため、市場のベニクスノキタケの価格はさらに上昇している。実際、ベニクスノキタケがマウスのリンパ腫細胞p−388を死滅させる性能が著しく高いことは、科学的な研究によって示されている。ベニクスノキタケ菌糸体に含まれる温水に可溶な多糖類は、正常な成人の血中のリンパ細胞を刺激してサイトカインを産生させ、ヒトのリンパ腫細胞U−937を死滅させることが可能であり、また、マクロファージの食作用能を増加させ、脾
細胞の増殖およびインターロイキンIL−5の分泌を促進することが可能である。これに加えて、ベニクスノキタケは、黄色ブドウ球菌および白癬菌や、多数の腸内細菌叢の生長を阻害することも可能である。一般に、ベニクスノキタケは、血液浄化、毒性物質の除去、腎臓強壮、肝臓の保護、整腸、強心、血圧の調節、強身、耐感冒、抗細菌、鎮咳、鎮痰、痛みの緩和、鎮静、抗癌、抗腫瘍、毒素放出などの効果を有するため、広汎な効能を有する薬用菌類である。
【0006】
ベニクスノキタケの使用を普及させ、市場の高い価格を安定化させ、牛樟の長期保護を維持する目的において、多くの関連産業によって打破されるべき主な障害は、ベニクスノキタケの大規模な人工培養である。現在、ベニクスノキタケの人工培養方法のほとんどには、液体発酵または固体発酵によって菌糸体を培養し、次いで、スペースバッグ(space bag)中に菌株を接種して、ベニクスノキタケの子実体を生長させることが含まれる。しかしながら、既存の技術によって培養されるとき、菌糸体の成長は充分ではない。また、封入は厳密ではなく、スペースバッグを用いて屋内で子実体を培養するとき、雑多な菌類が生長する可能性がある。これに加えて、野生のベニクスノキタケの子実体と比較して、スペースバッグを用いて培養されたベニクスノキタケの子実体は薄く、野生のベニクスノキタケよりもトリテルペノイドの含有量は相当ひどい。さらに、スペースバッグを土壌中で劣化させることは困難であるため、環境問題を引き起こす。今日では、生物分解性材料製のスペースバッグが利用可能であるが、それらは価格が高いため、菌類および茸の大規模培養において適用する費用に対し負担であることは疑いない。最も重要なことに、木材片を感染させるとき、明白な宿主特異性のため、野生のベニクスノキタケの胞子は牛樟に感染し、そこに寄生して子実体を形成することのみが可能である。既存の技術では、人工培養されたベニクスノキタケ菌糸体が異なる樹木種の木材片に感染することは不可能である。したがって、子実体の培養は、ベニクスノキタケの胞子に感染した野生の牛樟の木材片を用いることによって直接的に実行されている。しかしながら、この人工培養方法は、多くの充実した子実体を有するベニクスノキタケ培養物を成長させるには不適切であり、トリテルペノイドおよび多糖類の含有量も制限されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ほとんどの商業的に入手可能な子実体は、薄い一年生の菌類であり、厚く充実した多年生の子実体は稀少であるため、市場にはベニクスノキタケに対する大きな需要が存在する。しかしながら、天然の野生のベニクスノキタケを入手することは困難であるため、収穫には極端に大きな圧力が存在する。したがって、良質なベニクスノキタケを効率的に供給するように、厚く充実した子実体を有し、トリテルペノイドが豊富である、木材片によるベニクスノキタケの人工培養方法を開発することは、本技術分野においてさらなる研究の価値を有する技術分野である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
Niu Zang茸(Antrodia cinnamomea)とも呼ばれるベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)は、台湾に固有の菌類であり、台湾における保護植物である牛樟にしか生長しない。したがって、牛樟の樹洞において生長したベニクスノキタケを採取することは非常に困難であり、その生産量も非常に少ない。したがって、本発明は、イースト培地および木粉を収容している容器へベニクスノキタケ菌株を接種し、培養してベニクスノキタケ菌糸体を得る工程を含む、ベニクスノキタケ菌糸体の固体培養法を提供することに関する。
【0009】
さらに、本発明は、イースト培地を収容している容器へベニクスノキタケ菌株を接種し、培養してベニクスノキタケ菌糸体を得る工程を含む、ベニクスノキタケ菌糸体の液体培養法を提供することに関する。
【0010】
さらに、本発明は、ベニクスノキタケ菌糸体を収容している基材を木材片へ接種し、一定期間、培養して、ベニクスノキタケの子実体を得る工程を含む、ベニクスノキタケの子実体の培養方法を提供することに関する。
【0011】
さらに、本発明は、トリテルペノイドが豊富であり、有望な生物学的利用能の可能性を有する薬用菌類である、ベニクスノキタケの子実体の培養方法によって培養した、ベニクスノキタケの子実体を提供することに関する。
【0012】
上述の目的のために、本発明では、ベニクスノキタケ菌糸体の固体培養法を提供する。この方法は、(a)イーストを含有している培地を5〜35℃で3〜30日間、発酵させる工程と、(b)発酵した培地に撹拌によって木粉を加える工程と、(c)木粉および培地を容器の中へ入れる工程と、(d)木粉および培地を収容している容器を滅菌する工程と、(e)木粉および培地を収容している滅菌した容器へベニクスノキタケ菌株を接種し、5〜35℃で培養して、ベニクスノキタケ菌糸体を得る工程とを含む。
【0013】
好適には、工程(a)における培地は、1〜8%の糖質、0.06〜1.2%のイースト、0.01〜0.4%の硫酸マグネシウム、および0.01〜0.4%のリン酸二水素カリウムを含む。イーストを含有している培地は、7〜14日間、発酵することが必要である。
【0014】
好適には、工程(c)における培養は、湿度が60〜90%(最も好適には、80%)の容器中で実行される。
好適には、工程(e)におけるベニクスノキタケ菌株は、20〜30℃で培養される。
【0015】
さらに、本発明では、ベニクスノキタケ菌糸体の液体培養法を提供する。この方法は、(a)イーストを含有している培地を5〜35℃で3〜30日間、発酵させる工程と、(b)発酵した培地を容器の中へ入れる工程と、(c)培地を収容している容器を滅菌する工程と、(d)滅菌した培地へベニクスノキタケ菌株を接種し、5〜35℃で培養して、ベニクスノキタケ菌糸体を得る工程とを含む。
【0016】
好適には、工程(a)における培地は、糖質、イースト、硫酸マグネシウム、およびリン酸二水素カリウムを含み、より好適には、1〜8%の糖質、0.06〜1.2%のイースト、0.01〜0.4%の硫酸マグネシウム、および0.01〜0.4%のリン酸二水素カリウムを含む。イーストを含有している培地は、7〜14日間、発酵することが必要である。
【0017】
好適には、工程(d)におけるベニクスノキタケ菌株は、20〜30℃で培養される。
さらに、本発明では、ベニクスノキタケの子実体の培養方法を提供する。この方法は、(a)ベニクスノキタケ菌糸体を収容している基材を木材片へ接種する工程と、(b)ベニクスノキタケ菌糸体を接種した木材片を温度が5〜35℃かつ湿度が65〜85%である環境に配置し、一定期間、培養する工程と、(c)木材片に残る基材を除去し、温度が15〜35℃かつ湿度が80〜98%である環境に木材片を配置し、一定期間、培養して、ベニクスノキタケの子実体を得る工程とを含む。
【0018】
好適には、工程(a)においてベニクスノキタケ菌糸体を収容している基材は、固体基材または液体基材であり、固体基材は木粉であることが可能である。
好適には、工程(b)における木材片は、温度が25〜30℃かつ湿度が75〜85%である環境において、1ヶ月を超える期間、培養される。
【0019】
好適には、工程(c)における培養は、温度が26〜30℃かつ湿度が80〜98%である環境において実行され、培養期間は3ヶ月を超える。
好適には、工程(b)および(c)における培養は、COの濃度が2%未満である環境において実行される。
【0020】
さらに、本発明では、ベニクスノキタケの培養方法を提供する。この方法は、(a)イーストを含有している培地を5〜35℃で3〜30日間、発酵させる工程と、(b)発酵した培地に撹拌によって木粉を加える工程と、(c)木粉および培地を容器の中へ入れる工程と、(d)木粉および培地を収容している容器を滅菌する工程と、(e)木粉および培地を収容している滅菌した容器へベニクスノキタケ菌株を接種し、5〜35℃で培養して、ベニクスノキタケ菌糸体を得る工程と、(f)ベニクスノキタケ菌糸体を収容している木粉を木材片へ接種する工程と、(g)ベニクスノキタケ菌糸体を接種した木材片を温度が5〜35℃かつ湿度が65〜85%である環境に配置し、一定期間、培養する工程と、(h)木材片に残る木片を除去し、温度が15〜35℃かつ湿度が80〜98%である環境に木材片を配置し、一定期間、培養して、ベニクスノキタケの子実体を形成させる工程とを含む。
【0021】
好適には、工程(c)における容器中の湿度は60〜90%であり、より好適には80%である。
好適には、工程(g)における木材片は、温度が25〜30℃、湿度が75〜85%、かつCOの濃度が2%未満である環境において培養される。
【0022】
好適には、工程(h)における木材片は、温度が26〜30℃、湿度が90〜98%、かつCOの濃度が2%未満である環境において培養される。
好適には、工程(g)における木材片の培養期間は1ヶ月を超える。
【0023】
好適には、工程(h)におけるベニクスノキタケの子実体の培養期間は3ヶ月を超える。
さらに、本発明では、ベニクスノキタケの培養方法によって培養したベニクスノキタケの子実体を提供する。
【0024】
上述の記載から、本発明のベニクスノキタケの培養方法によって、人工発酵した培地を用いることによって培養したベニクスノキタケ菌糸体を多数の樹木種の木材片へ接種して、寄生宿主特異性を破り、ベニクスノキタケの子実体の大量培養の目的を達成することによって、市場におけるベニクスノキタケの切なる需要は満たされ、生物工学および医薬分野における適用範囲が拡大される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明では、野生のベニクスノキタケと同等かまたは野生のベニクスノキタケより優れた活性および成分を有する、厚く充実した子実体を大規模に培養するように、ベニクスノキタケ菌糸体を木材片へ人工的に接種することにより、木材片上で結実させる機会を改良する。天然のベニクスノキタケは牛樟上でのみ生長するので、ベニクスノキタケ菌株を異なる樹木種の木材片へ接種することに成功した場合、人工木材片培養技術において相当な進歩が得られる。
【0026】
本発明では、ベニクスノキタケ菌糸体の培養方法は、イーストを含有している培地を5〜35℃で3〜30日間、発酵させる工程を含む。培地中の微生物は発酵中に変換され、これは続くベニクスノキタケ培養物の栄養成分摂取に有益である。また、その後、発酵した培地に撹拌によって木粉を加える工程と、次に、木粉および培地を容器の中へ入れる工程と、次いで、木粉および培地を収容している容器を滅菌する工程と、最後に、木粉およ
び培地を収容している滅菌した容器へベニクスノキタケ菌株を接種し、5〜35℃で培養して、高活性の菌糸体を得る工程とを含む。
【0027】
本発明では、ベニクスノキタケの子実体の培養方法は、最初に、ベニクスノキタケ菌糸体を収容している基材を木材片へ接種する工程と、次に、ベニクスノキタケ菌糸体を接種した木材片を、温度が5〜35℃、湿度が65〜85%、かつCOの濃度が2%未満である環境に配置し、一定期間、培養する工程と、その後、木材片に残る基材を除去し、温度が15〜35℃、湿度が80〜98%、かつCOの濃度が2%未満である環境に木材片を配置し、一定期間、培養して、ベニクスノキタケの子実体を得る工程とを含む。ベニクスノキタケ菌糸体を収容している基材は、固体基材であることも、あるいは液体基材であることも可能である。
【0028】
本発明では、ベニクスノキタケの子実体の培養方法は、最初に、イーストを含有している培地を5〜35℃で3〜30日間、発酵させる工程と、発酵した培地に撹拌によって木粉を加える工程と、木粉および培地を容器の中へ入れる工程と、木粉および培地を収容している容器を滅菌する工程と、木粉および培地を収容している滅菌した容器へベニクスノキタケ菌株を接種し、5〜35℃で培養して、高活性の菌糸体を得る工程と、ベニクスノキタケ菌糸体を収容している木粉を木材片へ接種する工程と、ベニクスノキタケ菌糸体を接種した木材片を温度が5〜35℃、湿度が65〜85%、かつCOの濃度が2%未満である環境に配置し、一定期間、培養する工程と、木材片に残る基材を除去し、温度が15〜35℃、湿度が80〜98%、かつCOの含有量が2%未満である環境に木材片を配置し、一定期間、培養して、ベニクスノキタケの子実体を得る工程とを含む。
【0029】
本発明のベニクスノキタケの子実体の培養方法に適切な木材片の種類には、以下に限定されないが、牛樟、クスノキおよびCinnamomum parthenoxylon(Jack)Neesなどの樟脳木、中国の樟脳木、または、例えば、ソウシジュ(Acacia confusa Merr)、Cinnamomum osmophloeum Kaneh、コウヨウザン(Cunninghamia Lanceolata)、オオバタブ(Machilus kusanoi)、カエデ(Maple)、グアバ(Psidium guajava L.)、カバノキ(Betulaceae)、マンサク(Hamamelidaceae)、およびブナ(Fagaceae)など雑多な樹木が含まれ、木質の硬い種類が特に好適である。
【0030】
本発明の方法は、例えば、登録番号BCRC 35396、BCRC 35716、BCRC 35398、またはBCRC 36401にて、食品科学研究所(Institute of Food Science)に寄託されているものなど、任意の種類のベニクスノキタケ菌株に適用可能である。これらは無料で入手可能である。
【0031】
実施例
実施例1:クスノキの木材片を用いることによるベニクスノキタケの子実体の培養
イーストを含有している培地を28℃で14日間、発酵させた。培地中の微生物は発酵中に変換され、これは続くベニクスノキタケの栄養成分摂取に有益である。次に、発酵した培地に撹拌によって木粉を加えた。次いで、木粉および培地をフラスコの中に入れ、木粉および培地を充填したフラスコを高温で滅菌した。最後に、木粉および培地を収容している滅菌したフラスコにベニクスノキタケ菌株を接種させ、28℃で2.5ヶ月間、培養し、菌糸体を得た。
【0032】
ベニクスノキタケ菌糸体を収容している培養した木粉をクスノキの木材片に接種させ、温度が5〜35℃、湿度が65〜85%、かつCOの濃度が2%未満である環境に配置し、2.5ヶ月間、培養した。木材片にベニクスノキタケ菌糸体を感染させた後、木材片
に残る木粉を除去した。次いで、温度が15〜35℃、湿度が80〜98%、かつCOの濃度が2%未満である環境に木材片を配置し、7ヶ月間、培養して、図1に示すような、ベニクスノキタケの子実体を得た。図1から、本発明の培養方法によって培養したベニクスノキタケの子実体が厚く、充実しており、野生のベニクスノキタケの子実体と同様の形態を有することが明らかに分かる。トリテルペノイド成分の含有量の分析については、以下に詳細に記載する。
【0033】
実施例2:ソウシジュの木材片を用いることによるベニクスノキタケの子実体の培養
イーストを含有している培地を28℃で14日間、発酵させた。培地中の微生物は発酵中に変換され、これは続くベニクスノキタケの栄養成分摂取に有益である。次に、発酵した培地に撹拌によって木粉を加えた。その後、木粉および培地をフラスコへ充填し、高温で滅菌した。最後に、木粉および培地を収容している滅菌したフラスコにベニクスノキタケ菌株を接種させ、5〜35℃で3ヶ月間、培養し、ベニクスノキタケ菌糸体を得た。
【0034】
ベニクスノキタケ菌糸体を収容している培養した木粉をソウシジュの木材片に接種させ、温度が5〜35℃、湿度が65〜85%、かつCOの濃度が2%未満である環境に配置し、3ヶ月間、培養した。木材片にベニクスノキタケ菌糸体を感染させた後、木材片に残る木粉を除去した。次いで、温度が15〜35℃、湿度が80〜98%、かつCOの含有量が2%未満である環境に木材片を配置し、6ヶ月間、培養して、図2に示すようなベニクスノキタケの子実体を得た。図2から、本発明の培養方法によって培養したベニクスノキタケの子実体が厚く、充実しており、野生のベニクスノキタケの子実体と同様の形態を有することが明らかに分かる。トリテルペノイド成分の含有量の分析については、以下に詳細に記載する。
【0035】
実施例3:牛樟の木材片を用いることによるベニクスノキタケの子実体の培養
イーストを含有している培地を5〜35℃で3〜30日間、発酵させた。培地中の微生物は発酵中に変換され、これは続くベニクスノキタケの栄養成分摂取に有益である。次に、発酵した培地に撹拌によって木粉を加えた。その後、木粉および培地をフラスコへ充填し、高温で滅菌した。最後に、木粉および培地を収容している滅菌したフラスコにベニクスノキタケ菌株を接種させ、5〜35℃で2.5ヶ月間、培養し、菌糸体を得た。
【0036】
ベニクスノキタケ菌糸体を収容している培養した木粉を牛樟の木材片に接種させ、温度が5〜35℃、湿度が65〜85%、かつCOの濃度が2%未満である環境に配置し、2.5ヶ月間、培養した。木材片にベニクスノキタケ菌糸体を感染させた後、木材片に残る木粉を除去した。次に、温度が15〜35℃、湿度が80〜98%、かつCOの濃度が2%未満である環境に木材片を配置し、8ヶ月間、培養して、図3に示すようなベニクスノキタケの子実体を得た。図3から、本発明の培養方法によって培養したベニクスノキタケの子実体が厚く、充実しており、野生のベニクスノキタケの子実体と同様の形態を有することが明らかに分かる。トリテルペノイド成分の濃度の分析については、以下に詳細に記載する。
【0037】
実施例4:本発明によって培養したベニクスノキタケ、野生のベニクスノキタケ、および商業的に入手可能なベニクスノキタケの成分含有量の比較
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)による各試料の指紋スペクトルは、同じ種類の成分は同じであるという原理に基づき分析される。指紋スペクトルは、各試料の品質を評価するように、試料間の相同性を比較し、成分の全含有量を分析、比較するために用いられる。
【0038】
試料溶液の調製
この実験では、野生のベニクスノキタケの子実体、ベニクスノキタケの商業的に入手可
能なカプセルの粉末内容物、ならびに3つの異なる木材片、すなわち、牛樟、クスノキ、およびソウシジュ(実施例1〜3)上で本発明の培養方法によって培養したベニクスノキタケの人工子実体を含む、5つの試料を分析した。まず、これらの5つの試料をファインカットまたは粉体へと粉砕し、60℃の定温オーブンに配置して、20時間連続的に乾燥し、次いで、取り出して、乾燥機中で冷却した。次に、各試料を正確に800mg秤量し、25mLの秤量フラスコへ入れ、次いで、メタノール15mlを正確に加え、しっかりと蓋をした。その後、この秤量フラスコを超音波振とう器中で3時間、振とうさせ、吸引した。吸引した溶液を0.45μmの濾過膜によって濾過し、分析用の試料溶液として用いる透明な液体を得た。
【0039】
高圧液体クロマトグラフィー:
分析に用いる高圧液体クロマトグラフは、HITACHI D−7000シリーズであり、ポンプ(L−7100)、検出器(L−7420)、およびオートサンプラ(L−7200)を備える。ここで、HPLCカラムRP−18の長さは250mm、内径は4.6mm(粒径5μm)である。
【0040】
分析条件には、流量:1mL/min、検出吸収波長:UV 210nm、注入体積:25μL、分析時間:190分、が含まれる。勾配溶出法では、移動相として、移動相A:10%のアセトニトリル(1%のリン酸を含有)と、移動相B:100%のアセトニトリル(1%のリン酸を含有)との、2溶媒系を用いる。勾配溶出条件をテーブル1に示す。
【0041】
【表1】

吸収ピーク面積は組込ソフトウェアによって自動的に計算される。ここで、ピーク棄却水準は200,000に設定され、200,000未満の吸収ピーク面積を有するものはノイズであると見なされ、計算されずに棄却される。また、200,000に達する吸収ピーク面積を有するが不規則である吸収ピークも、手動のふるい分けによって棄却される。最後に、分析における各試料溶液の高信頼性の吸収ピーク面積が加えられ、相互に比較されて、品質評価が行われる。
【0042】
以下のテーブル2に示すように、野生のベニクスノキタケの子実体に対する全吸収ピーク面積を総合すると、139,983,370である。ソウシジュの木材片上で培養したベニクスノキタケの子実体に対する全面積を総合すると、76,165,715である。クスノキの木材片上で培養したベニクスノキタケの子実体に対する全面積を総合すると、111,356,206である。牛樟の木材片上で培養したベニクスノキタケの子実体に対する全面積を総合すると、152,760,267である。また、ベニクスノキタケの商業的に入手可能なカプセルに対する全面積を総合すると、21,126,138であり、これは4つの試料よりはるかに低い。
【0043】
【表2】

結果
これらの5つの試料のスペクトルは、同じ吸収強度(1300mV)および同じ保持時間(180min)にて分析される。クスノキ、ソウシジュ、および牛樟のそれぞれのHPLCスペクトルを、図4,5,6に示す。
【0044】
これに加えて、これらの5つの試料を用いることによって、図7に示すように、ベニクスノキタケの市販製品(カプセル)、野生のベニクスノキタケの子実体、ならびに3つの異なる木材片、すなわち、クスノキ、ソウシジュ、および牛樟によって培養したベニクスノキタケの人工子実体の指紋スペクトルが、重ねて比較される。重ねた図から、3つの人工培養したベニクスノキタケの子実体の指紋スペクトルは、吸収強度に幾らか差が存在する以外、広いベニクスノキタケの子実体と同じ位置に(すなわち、同じ保持時間に)同じ吸収グループを有すること、また、ベニクスノキタケの商業的に入手可能な製品の指紋スペクトルは、3つの試料のものとは著しく異なり、吸収強度は非常に弱いことが観察される。重ねた図の比較および分析により得られる結果によって、牛樟、クスノキ、ソウシジュによって培養したベニクスノキタケの人工子実体は、野生のベニクスノキタケの子実体と一致することが明らかに示される。このことは、異なる木材片によって培養した本発明のベニクスノキタケの子実体が同様のトリテルペノイド成分を有し、野生のベニクスノキタケの子実体と同じ生理学活性および利用を有することを示している。
【0045】
分析結果から、本発明によって、大規模のベニクスノキタケの子実体の人工培養方法が
提供されることが観察される。この培養したベニクスノキタケの子実体は厚く、充実しており、野生のまたは商業的に入手可能な人工培養されたベニクスノキタケのものと同等またはより優れた活性成分を有する。したがって、本発明は、ベニクスノキタケの子実体の人工培養の技術における相当な進歩である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によってクスノキの木材片を用いることにより培養したベニクスノキタケの子実体の画像。
【図2】本発明によってソウシジュの木材片を用いることにより培養したベニクスノキタケの子実体の画像。
【図3】本発明によって牛樟の木材片を用いることにより培養したベニクスノキタケの子実体の画像。
【図4】本発明によってクスノキの木材片を用いることにより培養したベニクスノキタケの子実体のHPLCスペクトルの図。
【図5】本発明によってソウシジュの木材片を用いることにより培養したベニクスノキタケの子実体のHPLCスペクトルの図。
【図6】本発明によって牛樟の木材片を用いることにより培養したベニクスノキタケの子実体のHPLCスペクトルの図。
【図7】ベニクスノキタケの市販製品(カプセル)、野生のベニクスノキタケの子実体、ならびに本発明によってクスノキ、ソウシジュ、および牛樟により培養したベニクスノキタケの子実体のHPLCスペクトルを重ねた比較の図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベニクスノキタケ菌糸体の培養方法であって、
(a)イーストを含有している培地を5〜35℃で3〜30日間、発酵させる工程と、
(b)発酵した培地に撹拌によって木粉を加える工程と、
(c)木粉および培地を容器の中へ入れる工程と、
(d)木粉および培地を収容している容器を滅菌する工程と、
(e)木粉および培地を収容している滅菌した容器へベニクスノキタケ菌株を接種し、5〜35℃で培養して、ベニクスノキタケ菌糸体を得る工程と、からなる培養方法。
【請求項2】
固体培養法である請求項1に記載の培養方法。
【請求項3】
工程(c)における容器中の湿度は60〜90%である請求項1に記載の培養方法。
【請求項4】
培地は、糖質、イースト、硫酸マグネシウム、およびリン酸二水素カリウムを含む請求項1に記載の培養方法。
【請求項5】
培地は、1〜8%の糖質、0.06〜1.2%のイースト、0.01〜0.4%の硫酸マグネシウム、および0.01〜0.4%のリン酸二水素カリウムを含む請求項4に記載の培養方法。
【請求項6】
ベニクスノキタケ菌糸体の培養方法であって、
(a)イーストを含有している培地を5〜35℃で3〜30日間、発酵させる工程と、
(b)発酵した培地を容器の中へ入れる工程と、
(c)培地を収容している容器を滅菌する工程と、
(d)滅菌した培地へベニクスノキタケ菌株を接種し、5〜35℃で培養して、ベニクスノキタケ菌糸体を得る工程と、からなる培養方法。
【請求項7】
液体培養法である請求項4に記載の培養方法。
【請求項8】
培地は、糖質、イースト、硫酸マグネシウム、およびリン酸二水素カリウムを含む請求項4に記載の培養方法。
【請求項9】
培地は、1〜8%の糖質、0.06〜1.2%のイースト、0.01〜0.4%の硫酸マグネシウム、および0.01〜0.4%のリン酸二水素カリウムを含む請求項8に記載の培養方法。
【請求項10】
ベニクスノキタケの子実体の培養方法であって、
(a)ベニクスノキタケ菌糸体を収容している基材を木材片へ接種する工程と、
(b)接種した木材片を温度が5〜35℃かつ湿度が65〜85%である環境に配置し、一定期間、培養する工程と、
(c)木材片に残る基材を除去し、温度が15〜35℃かつ湿度が80〜98%である環境に木材片を配置し、一定期間、培養して、ベニクスノキタケの子実体を得る工程と、からなる培養方法。
【請求項11】
工程(a)においてベニクスノキタケ菌糸体を収容している基材は、固体基材または液体基材である請求項10に記載の培養方法。
【請求項12】
固体基材は木粉である請求項11に記載の培養方法。
【請求項13】
工程(b)における木材片は、温度が25〜30℃かつ湿度が75〜85%である環境において培養される請求項10に記載の培養方法。
【請求項14】
工程(c)における木材片は、温度が26〜30℃かつ湿度が90〜98%である環境において培養される請求項10に記載の培養方法。
【請求項15】
工程(b)における培養期間は1ヶ月を超える請求項10に記載の培養方法。
【請求項16】
工程(c)におけるベニクスノキタケの子実体の培養期間は3ヶ月を超える請求項10に記載の培養方法。
【請求項17】
ベニクスノキタケの子実体の培養方法であって、
(a)イーストを含有している培地を5〜35℃で3〜30日間、発酵させる工程と、
(b)発酵した培地に撹拌によって木粉を加える工程と、
(c)木粉および培地を容器の中へ入れる工程と、
(d)木粉および培地を収容している容器を滅菌する工程と、
(e)木粉および培地を収容している滅菌した容器へベニクスノキタケ菌株を接種し、5〜35℃で培養して、ベニクスノキタケ菌糸体を得る工程と、
(f)ベニクスノキタケ菌糸体を収容している木粉を木材片へ接種する工程と、
(g)ベニクスノキタケ菌糸体を接種した木材片を温度が5〜35℃かつ湿度が65〜85%である環境に配置し、一定期間、培養する工程と、
(h)木材片に残る木片を除去し、温度が15〜35℃かつ湿度が80〜98%である環境に木材片を配置し、一定期間、培養して、ベニクスノキタケの子実体を得る工程と、からなる培養方法。
【請求項18】
工程(c)における容器中の湿度は60〜90%である請求項17に記載の培養方法。
【請求項19】
工程(g)における木材片は、温度が25〜30℃かつ湿度が75〜85%である環境において培養される請求項17に記載の培養方法。
【請求項20】
工程(h)における木材片は、温度が26〜30℃かつ湿度が90〜98%である環境において培養される請求項17に記載の培養方法。
【請求項21】
工程(g)における培養期間は1ヶ月を超える請求項17に記載の培養方法。
【請求項22】
工程(h)におけるベニクスノキタケの子実体の培養期間は3ヶ月を超える請求項17に記載の培養方法。
【請求項23】
請求項17に記載の培養方法によって培養されたベニクスノキタケの子実体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−109929(P2008−109929A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−276310(P2007−276310)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(507352433)
【Fターム(参考)】