説明

ベニヤシート積層装置

【課題】ベニヤシートを積層体上に速くかつ正確に配置積層装置を提供する。
【解決手段】積層装置はベニヤシートを積層ポイントへ運搬するコンベア手段と、ベニヤシートを積層体上に配置する手段とから構成される。コンベア手段は、ベニヤシートの対向する面に配置された第1のコンベア要素6と第2のコンベア要素9とを備え、第1のコンベア要素および第2のコンベア要素には磁気要素が設けられ、コンベア要素の間に供給されるベニヤシートは、コンベア要素の間にて所望の力で押圧されるとともに、積層ポイントへ移動され、積層ポイントにはベニヤシートを停止させるための停止手段43と、ベニヤシートをコンベア要素の間から解放して積層体1上へ配置する手段とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベニヤシートを積層ポイントへ運搬するコンベア手段と、ベニヤシートを積層体上に配置する手段とを備えるベニヤシート積層装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベニヤシートの積層を自動的に行うことが望まれるとき、現在の最も一般的な手法は、サクションベルト(suction belt)を備えるように設計されたスタッカを用いることである。例えば手押かんな盤(jointer)などの中に機械スタッカを用いる方法も存在する。この場合、ベニヤが間を進むベルトが備えられており、積層は、下方のベルトを片側へ移動させることにより行う。
【0003】
このようにサクションベルトスタッカは1つの作業手段である。しかしながら、電気モータ駆動のファンによってサクションを発生させなければならないので、大量の電力を消費する。また、空気を回転させることにより、環境破壊を引き起こす可能性もある。そこで、フィルタリングステーションを用いることにより、環境問題を抑制する試みがなされている。一方で、ファンが騒音問題をさらに引き起こす可能性もある。サクションベルトスタッカにおいては、例えば、サクションの調整、およびベニヤをサクションから解放する際にベニヤを破壊する可能性があるという事実の結果として、薄いベニヤを積層するという点で利用が制限される可能性がある。さらに、サクションベルトスタッカにおいては、積層工程中にベニヤは前進し、例えばベニヤの重量が不定であることがベニヤの最終位置に影響するため、積層精度が悪い。積層精度は、積層体とスタッカとの距離によっても影響を受ける。サクションの結果としてベニヤシートがベルトに戻るように浮き上がるのを防止するため、積層体の最上面をサクションベルトから比較的離しておく必要がある。フォトセルによって制限されるにもかかわらず距離は変化し、例えば、積層体の各端部間の距離が異なっている可能性がある。
【0004】
有用な機械スタッカについての知見はない。ベニヤシートがベルトの間にて運搬される現在の機械スタッカの欠点として、遅さ、ベニヤをベルト間にて整列させて保持することの困難性、およびベニヤ積層体に残ろうとするベニヤの下方の空気の取り込みがある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解消するとともに、速くかつ正確な積層を実施できるように改良された積層装置を提供することにある。上記目的を達成するために、本発明の装置は、コンベア手段が、ベニヤシートの対向する面に配置された第1のコンベア要素と第2のコンベア要素とを備え、第1のコンベア要素および/又は第2のコンベア要素には、反対側の面に存在するコンベア要素と協働する磁気要素が設けられ、コンベア要素の間に供給されるベニヤシートは、コンベア要素の間にて所望の力で押圧されるとともに、積層ポイントへ移動可能となっており、積層ポイントには、ベニヤシートを停止させるための停止手段と、ベニヤシートをコンベア要素の間から解放して積層体上へ配置可能にする手段とが設けられているという特徴を有する。
【0006】
好ましくは、第1のコンベア要素は、ベニヤシート上方のコンベア要素として構成されるとともにグリップ部を備え、グリップ部は、無限軌道を周回するとともに磁気表面若しくは磁気表面セグメントを備え、第2のコンベア要素は、ベニヤシート下方のコンベア要素として構成されるとともに磁気要素を備える。磁気コンベアは頭上コンベアであっても良く、あるいは両方のコンベアに磁気要素が設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による装置の原理を示す模式図
【図2】図1の例示的実施形態から1つの部分についての拡大図
【図3A】図1−2の例示的実施形態における、積層工程の各種段階の原理を示す模式図
【図3B】図1−2の例示的実施形態における、積層工程の各種段階の原理を示す模式図
【図3C】図1−2の例示的実施形態における、積層工程の各種段階の原理を示す模式図
【図3D】図1−2の例示的実施形態における、積層工程の各種段階の原理を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、添付の図面を参照することによってより詳細に表される。
【0009】
図1は、本発明の積層装置11の一実施形態を示す模式斜視図である。装置のパーツのうち図示されているものは、本発明の理解に不可欠なもののみである。その理由は、操作の観点から必要な他の構造や部品が当業者による従来の知識の範囲内にあるからである。図1に示されるように、参照符号10はコンベアベルトであり、積層されるべきベニヤシート2がコンベアベルトによって積層装置11へと運ばれる。積層装置11は、滑車5の周囲を取り囲んでいる頭上コンベアベルト6を備える。さらに、コンベアベルト6は、ベルトの輪の中に配置される囲い部材7の略平坦な上面に沿って進むとともに、積層すべきベニヤシートに向かって向けられた弓形形状の底面に沿って進む。コンベアベルト6は例えば、磁気表面を有する平坦な若しくは歯付のベルトや、積層チェーンであっても良い。図示された実施形態において、下部のコンベア要素は磁気コンベアで構成され、囲い9を有する。参照符号1はベニヤ積層体を指す。図示された実施形態において、積層装置は、連続する2つの積層ポイントを有する。参照番号3は、第1の積層ポイントにて現在積層されているベニヤシートを指し、参照番号4は、第2の積層ポイントに現在運ばれているベニヤシートを指す。
【0010】
図2は、本発明の積層装置において用いられるコンベアシステムの詳細図である。参照符号6は頭上コンベアを指し、頭上コンベア6は磁気表面若しくは磁気表面セグメント32を有する。下部の磁気コンベアはフレーム部36を備え、フレーム部36は、取付けスタッド34を用いてフレーム部36に固定された永久磁石33を有する。永久磁石はそれ自体が知られている有効なネオジム・鉄・ホウ素磁石であることが好ましい。磁気要素として電磁石を用いることも考えられる。このような磁石を用いることにより、頭上ベルト6と磁石33の間にベニヤシート35を効果的に押圧することが可能となる。磁気コンベアは、図1で示されるように略水平な平面に配置することが好ましいが、当然ながら、例えば垂直な平面に配置することもできる。さらに、磁気コンベアは、ベニヤシートの進行方向を横断する方向への移動にも適する。
【0011】
図3A−3Dは、積層すべきベニヤシート35の一端における、本発明の積層装置の動作の原理を詳細に示す図である。反対側の一端においても同様の配置であることが好ましい。図3Aは、前のベニヤシートが積層体1上の所定位置に配置されるとともに、次のベニヤシート35が積層ポイントへの途中でコンベア要素の間に存在している段階を示す。ベニヤシート35が積層ポイントへ到着すると、最初に、図3Bで示されるように磁石33および磁石33の囲い9が前進し、空気圧で操作される積層アーム43と整列する。積層アーム43の底面は磁気材料で形成される。ベニヤの進行方向において積層アームが静止したままであることにより、ベニヤシートは全体の幅にわたってブレーキをかけられて、急速にスピードを緩め、止まることとなる。このことは、ベニヤシートの各端部において端部全体にわたって磁石が配置されるとともに、各磁石がブレーキ効果を有するという事実に基づく。この解決法によれば、ベニヤシートを急速かつ正確に留めることができる。
【0012】
図3Cは、磁気コンベアによる外側への移動を示しており、磁石は積層アーム43から離れている。図3Dに示されるように、磁気コンベアはその全体が積層体1の端部よりも外側にあり、シリンダ41によって駆動される積層アーム43がベニヤシート35を積層体1に押圧する。
【0013】
その後、装置は図3Aの位置に戻る。それと同時に、ばね42によってともに載せられた積層用の横整列器(side aligner)8および押圧部材44は、整列させるようにベニヤシートの端部を操作するとともに、ベニヤの静止状態を維持するために積層操作中においてベニヤの積層体を押圧する。
【0014】
積層アーム43は、長手方向の中間部分が同方向の先端部および後端部よりもベニヤシートの上面に近くなるように、例えば懸垂曲線などの弓形であることが好ましい。この形状が有利であるのは、積層アームの中間部分が積層体からわずかな距離であり、積層にかかる時間ができるだけ小さくなるからである。一方で、端部においては積層距離が大きいため、ベニヤシートの下部から空気が逃げる時間がある。このスタッカによれば、サクションベルトコンベアにおいて危険である、コンベア要素に戻るようにシートが浮き上がるというおそれがないため、積層体を近くに置くことが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベニヤシートを積層ポイントへ運搬するコンベア手段と、ベニヤシートを積層体上に配置する手段とを備える、ベニヤシートを積層するための装置(11)であって、
コンベア手段は、ベニヤシート(35)の対向する面に配置された第1のコンベア要素(6)と第2のコンベア要素(9、33、34、36)とを備え、
第1のコンベア要素および/又は第2のコンベア要素には、反対側の面に存在するコンベア要素(5−7)と協働する磁気要素(33)が設けられ、
コンベア要素の間に供給されるベニヤシート(35)は、コンベア要素の間にて所望の力で押圧されるとともに、積層ポイントへ移動可能となっており、
積層ポイントには、ベニヤシートを停止させるための停止手段(43)と、ベニヤシートをコンベア要素の間から解放して積層体(1)上へ配置可能にする手段とが設けられている、装置。
【請求項2】
第1のコンベア要素は、ベニヤシート(35)上方のコンベア要素として構成されるとともに係合部(6)を備え、係合部(6)は、無限軌道を周回するとともに磁気表面若しくは磁気表面セグメント(32)を備え、
第2のコンベア要素(9、33、34、36)は、ベニヤシート(35)下方のコンベア要素として構成されるとともに磁気要素(33)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
下方のコンベア要素(9、33、34、36)は、積層ポイントにおいてベニヤシートの進行方向に対して横方向へ移動し、
磁気要素(33)は、頭上のコンベア要素から離れ、ベニヤシートを制御された方法により停止させるための停止手段(43)上に形成された磁気表面若しくは磁気表面セグメントに付着する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
下方のコンベア要素(9、33、34、36)がベニヤシートの進行方向に対して横方向へベニヤシートの外側に移動することにより、磁気要素(33)は停止手段(43)から離れ、最終的に下方のコンベア要素がベニヤシート(35)の下部から出ると、ベニヤシートを積層体(1)上へ落として配置することができる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
下方のコンベア要素(9、33、34、36)は係合表面を有し、係合表面は、無限軌道を周回するとともに磁気要素(33)を備える、請求項2から4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
ベニヤシート積層アーム(43)をさらに備える請求項1から5のいずれか1つに記載の装置であって、
ベニヤシート積層アーム(43)は、伸長体であり、ベニヤシートの進行方向に向かって延びるとともに、弓形形状を有し、
ベニヤシート積層アーム(43)の長手方向における中間部分は同方向の先端部および後端部よりもベニヤシートの上面に近くなっており、
ベニヤシート積層アーム(43)は、積層ポイントにおいてベニヤシートを下方へ押圧する、装置。
【請求項7】
積層アーム(43)は停止手段としても機能する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
ベニヤシート(35)の端部を整列させる要素(8、44)をさらに備える請求項1から7のいずれか1つに記載の装置であって、
要素(8、44)は、進行方向に対して横方向に存在するとともに、積層体(1)中に含まれる他のベニヤシートと一致させるように整列を行い、さらに積層工程中において積層体の最上部のベニヤを停止させ続ける、装置。
【請求項9】
第1のコンベア要素は、ベニヤシート上方のコンベア要素として構成されるとともに係合部を備え、係合部は、無限軌道を周回するとともに磁気要素を備え、
第2のコンベア要素は、ベニヤシート下方のコンベア要素として構成されるとともに磁気表面若しくは磁気表面セグメントを備える、請求項1に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公開番号】特開2012−111638(P2012−111638A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−252986(P2011−252986)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(510243573)
【氏名又は名称原語表記】Raute Oyj
【Fターム(参考)】