説明

ベルトの継手加工方法

【課題】容易な方法で継手部分の強度を確保できる継手加工方法を提供する。
【解決手段】ベルト20の一方の端部21をフィンガー状にすると共に、他方の端部22を一方の端部21に相補的なフィンガー状にする。これら両端部21、22の端面同士を突き合わせる。第1の薄布シート51の一面に、熱可塑性樹脂から形成される接着シート53がラミネートされた接着シート付薄布シート50を用意する。接着シート付薄布シート50を、ベルトの両端部21、22に跨るように、突き合わせ部分Bに重ねる。突き合わせ部分Bを、加熱しかつベルト厚さ方向に加圧することにより、ベルトの両端部21、22を熱融着する。上記加熱加圧により、第1の薄布シート51を、接着シート53を介して突き合わせ部分Bに熱圧着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤベルト等の両端部を継ぎ合わせて継合ベルトを得るために行われるベルトの継手加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送用平ベルトは種々の用途に使用することが知られており、例えばカーブコンベヤやトラフコンベヤ等に使用されることがある。搬送用ベルトがこれら用途で使用されるとき、円弧上に沿って走行させられ、或いは幅方向にU形に曲げられて使用されるため、ベルトの幅方向に大きな引張り荷重が作用されることになる。
【0003】
搬送用平ベルトは、通常、帯状の平ベルトの両端部が継ぎ合わされて、無端状にされて使用される。ベルトの両端部を継ぎ合わせる方法としては、平ベルトの一方の端部をフィンガー状にすると共に、他方の端部を一方の端部に対して相補的なフィンガー状にして、それらフィンガーを嵌め合わせた後、融着接合するフィンガー継手が知られている。フィンガー継手が行われる場合、平ベルトは通常、熱可塑性樹脂層を有しており、ベルト両端部は、加熱溶融された熱可塑性樹脂によって融着接合される。
【0004】
しかし、フィンガー継手でベルトの両端部を継ぎ合わせる場合、その接合面積が小さく、特に幅方向の強度が低下させられているため、カーブコンベヤやトラフコンベヤに使用される場合、強度が不足することがある。従来、その強度不足を補うために、特許文献1に記載されるように、フィンガー継手で継ぎ合わされたベルトの継手部分の一方の面に、補強織布が貼り付けられることが知られている。補強織布には、液状の接着剤が塗布され、その塗布された接着剤によってベルトの継手部分に貼り付けられる。
【特許文献1】特開昭64−64909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法によれば、補強織布に塗布された接着剤は、乾燥されるとき補強織布を収縮させ、補強織布のベルトへの接着性が不安定になるという問題が生じる。特に、ベルトの平面性確保のために、補強織布は薄くしなければならないが、薄い補強織布は、接着剤乾燥時に大きく収縮される。さらに、補強織布に接着剤を十分に含浸させるために、補強織布に下塗処理を施す必要があるが、この下塗りを乾燥させるときにも織布が収縮する虞がある。
【0006】
また、接着剤の塗布・乾燥には作業工数が多くかかると共に、乾燥時間や乾燥条件によって接着強度が大きく変動し、さらには、溶剤系の接着剤を用いた場合には、環境負荷が大きいという問題もある。
【0007】
そこで、本発明はこれら問題点に鑑みてなされたものであり、液状の接着剤を用いずに、補強布の突き合わせ部分への接着性を安定させることができるベルトの継手加工方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る方法は、第1のベルト端部と、第2のベルト端部とを継ぎ合わせて継合ベルトを得る方法において、第1の薄布シートの一面に、熱可塑性樹脂から形成される接着シートがラミネートされた接着シート付薄布シートを用意する第1工程と、第1及び第2のベルト端部の両端面を突き合わせ、その突き合わせ部分のベルトの厚さ方向における一方の面に、第1及び第2のベルト端部を跨ぎ、かつ接着シートがラミネートされた面が上記一方の面に対向するように、接着シート付薄布シートを重ねる第2工程と、突き合わせ部分を、加熱しかつベルト厚さ方向に加圧することにより、第1及び第2のベルト端部の少なくとも一部を熱溶融させてこれらを熱融着させると共に、第1の薄布シートを、接着シートを介して上記一方の面に熱圧着する第3工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
第3工程の前に、突き合わせ部分に重ねられる接着シート付薄布シートは、接着シートが部分的に熱溶融され、その熱溶融された部分が、第1及び第2のベルト端部それぞれに仮接着されていても良い。
【0010】
第1及び第2のベルト端部それぞれは、帆布を含み、帆布が上記一方の面を構成していても良い。また、第1の薄布シートは、帆布よりも薄いことが好ましい。また、第1及び第2のベルト端部それぞれは、熱可塑性樹脂層を含み、第3工程において熱可塑性樹脂層が熱溶融されることによって、これら両端部が熱融着されることが好ましい。熱可塑性樹脂層は、例えば、ベルトの厚さ方向における他方の面を構成する。接着シートの融点は、熱可塑性樹脂層の融点よりも低いことが好ましい。また、第1の薄布シートは例えば紗である。
【0011】
突き合わせ部分のベルトの厚さ方向における他方の面に、第2の薄布シートと、熱可塑性樹脂シートを順に重ねても良い。この場合、上記第3工程において熱可塑性樹脂シートを熱溶融させて、その熱溶融された熱可塑性樹脂シートと共に第2の薄布シートを他方の面に圧着させる。
【0012】
第1のベルト端部は、例えばフィンガー状に形成されると共に、第2のベルト端部は第1のベルト端部に対して相補的な形状のフィンガー状に形成される。第1のベルト端部はベルトの一方の端部であって、第2のベルト端部はベルトの他方の端部であって、これら両端部が継ぎ合わされることにより、無端状ベルトが得られることが好ましい。
【0013】
本発明に係る継合ベルトは、第1のベルト端部と、第2のベルト端部が継ぎ合わせて形成された継合ベルトにおいて、第1及び第2のベルト端部は、それらの端面同士が突き合わされて熱融着されており、その突き合わせ部分のベルトの厚さ方向における一方の面に、第1及び第2のベルト端部を跨ぐように、熱可塑性樹脂から形成される接着シートを介して薄布シートが熱圧着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接着シートによって薄布シートを、ベルトの突き合わせ部分に接着させることにより、薄布シートが収縮することを防止するので、接着シートの接着性を安定させることができる。また、液状の接着剤を用いないことにより、環境負荷を抑え、接着作業の工数も低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明を図面を参照しながら説明する。本発明の第1の実施形態においては、帯状の平ベルトの一方の端部と、他方の端部が突き合わされた後、これら両端部が熱融着されて継ぎ合わされて無端状のベルトが製造される。以下、図1〜図4を用いて本実施形態について詳細に説明する。
【0016】
まず、図1、2を用いて両端部が継ぎ合わされる前の帯状の平ベルト20の構造を説明する。図1に示すように、平ベルト20は、芯体帆布と熱可塑性樹脂層が交互に密着積層されて構成される。すなわち、平ベルト20は、第1の芯体帆布31の一面に、第1の熱可塑性樹脂層41、第2の芯体帆布32、及び第2の熱可塑性樹脂層42がこの順に密着積層されて構成される。
【0017】
第1の芯体帆布31の他面は、ベルト20の厚さ方向における一方の面(図1では下面20D)であって、無端状ベルトにおいてベルトの内周面を形成し、例えばベルト20がプーリに掛け回されたときにプーリに接触する面となる。一方、第2の熱可塑性樹脂層42の第2の帆布32に密着積層される面とは反対側の面は、平ベルト20の厚さ方向における他方の面(図1では上面20U)であって、無端状ベルトにおいてベルトの外周面を形成し、例えば搬送物が載せられるための搬送面となる。
【0018】
第1及び第2の熱可塑性樹脂層41、42は、例えば融点150〜180℃程度のポリウレタン、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂で形成される。第1及び第2の熱可塑性樹脂層41、42の厚さは、例えば0.5〜6.0mm程度である。
【0019】
第1及び第2の芯体帆布31、32はベルトの張力を保持するための抗張部材である。第1及び第2の芯体帆布31、32は、例えばベルトの長手方向に伸縮性を有し、幅方向に実質的に非伸縮である。この場合、第1及び第2の芯体帆布31、32は、例えばベルトの長手方向に延在し、伸縮性糸である第1の糸(例えば経糸)と、ベルトの幅方向に延在し、非伸縮性糸である第2の糸(例えば緯糸)とによって織られた織布である。また、例えば非伸縮性の経糸と緯糸から形成され、長手方向に伸縮するように織られた織布であっても良い。第1及び第2の芯体帆布31、32は、ベルト剛性を確保するために例えば0.5〜1mm程度の比較的肉厚な厚さを有する。
【0020】
図2に示すように、帯状の平ベルト20の一方の端部21には、ベルトの長手方向に突出する二等辺三角形の凸部23が複数形成されている。凸部23はベルト幅方向に連続して複数並べられ、一方の端部21はフィンガー状に形成される。ベルト20の他方の端部22には、凸部23と相補的に同じ形状を有する複数の凹部24がベルト幅方向に連続的に並べられ、他方の端部22は一方の端部21に相補的なフィンガー状に形成される。すなわち、両端部21、22は相補的であり、各凸部23が各凹部24に嵌め込まれると、両端部21、22の端面が突き合わされることとなる。ベルトの両端部21、22は、公知の切断手段によって切断されることにより、それぞれフィンガー状に形成される。
【0021】
次に第1の実施形態に係る両端部の継合方法を説明する。本実施形態では、まず図1に示すように、第1の薄布シート51の一面に、接着シート53がラミネートされて形成された接着シート付薄布シート50が用意される。
【0022】
第1の薄布シート51は、厚さが0.05〜0.3mm程度の薄布であって、その厚さが第1及び第2の芯体帆布31、32それぞれの厚さより薄く、かつ透き目がある布であって、好ましくはスクリーン印刷等で使用される紗が用いられる。第1の薄布シート51は、例えばナイロン66等のナイロン糸が織られて形成される。第1の薄布シート51は、接着シート付薄布シート50の幅方向及び長手方向それぞれに延在し、非伸縮性糸である第1及び第2の糸(例えば、経糸と緯糸)で織られ、その幅方向及び長手方向には実質的に伸縮することができない。第1の薄布シートを織る糸としては、例えばモノフィラメントが使用され、また第1の薄布シートの織り密度は、経糸及び緯糸それぞれ50〜150本/インチ程度である。
【0023】
接着シート53は、熱可塑性樹脂から形成され、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、EVA(エチレン酢酸ビニル)、ポリオレフィン等の樹脂が使用されるが、好ましくはポリウレタンが使用される。接着シート53の厚さは例えば0.03〜0.2mm程度であり、第1及び第2の熱可塑性樹脂層41、42の厚さよりも薄い。接着シート53の融点は、80〜120℃程度であって、第1及び第2の熱可塑性樹脂層41、42それぞれの融点よりも低くなる。第1の薄布シート51は、融点が熱可塑性樹脂層41、42より低くされることによって、熱可塑性樹脂層41、42がプレス熱板等によって溶融されるとき、確実に溶融されることとなる。接着シート付薄布シート50は、例えば、接着シート53が第1の薄布シート51の一方の面に重ねられた後加熱加圧され、熱溶融した接着シート53が第1の薄布シート51に熱圧着されて作製される。
【0024】
次いで、図3に示すように、各凸部23が対応する各凹部24に嵌め込まれ、ベルトの両端部21、22の両端面(すなわち、凸部23の外周壁23Aと凹部24の内周壁24A)が突き合わさる。そして、その突き合わせ部分Bのベルトの厚さ方向における一方の面(ベルトの下面20D)には、図4に示すように、接着シート付薄布シート50が、ベルトの両端部21、22を跨ぎ、かつ接着シート53がラミネートされた面が下面20Dに対向するように重ねられる。
【0025】
接着シート付薄布シート50は、その幅方向及び長手方向が、ベルトの幅方向及び長手方向に一致するように重ねられる。接着シート付薄布シート50は、その幅方向における長さが、ベルト幅に略等しく、またその長手方向における長さが、凸部23の高さ(或いは凹部24の深さ)、すなわち突き合わせ部分Bのベルト長手方向における長さLよりも長い。したがって、突き合わせ部分Bは第1の薄布シート51によって完全に覆われることになる。
【0026】
接着シート付薄布シート50が重ねられた突き合わせ部分Bは、図4に示すように、下面20D側がベース55の上面に対向するように、ベース55の上に載せられる。そして、その突き合わせ部分Bは、加熱されたプレス熱板56によって上面20U(ベルトの他方の面)側からベルトの厚さ方向に加熱される。加熱されたプレス熱板56の温度は、第1及び第2の熱可塑性樹脂層41、42の融点より高い温度であるが、第1の薄布シート51及び第1及び第2の芯体帆布31、32が溶融し或いは分解炭化する温度ではない。
【0027】
上記プレス熱板56の加熱・加圧により、ベルトの両端部21、22において第1及び第2の熱可塑性樹脂層41、42が溶融される。熱可塑性樹脂層が溶融されたベルトの両端部21、22は、ベルトの厚さ方向に加圧されることにより一体化される。プレス熱板56による加熱・加圧が終了した後、ベルトの両端部21、22は、一体化された状態で冷却されて融着され、ベルト両端部21、22が継ぎ合わされる。また、上記プレス熱板56の加熱によって、接着シート53が溶融させられると共に、厚さ方向による加圧によって、第1の薄布シート51が、溶融された接着シート53を介して、突き合わせ部分Bの下面20Dに熱圧着される。
【0028】
なお、本実施形態では、突き合わせ部分Bは、プレス熱板56に加えてベース55側からも加熱されても良い。また、突き合わせ部分Bは、ベルトの上面20U側がベース55の上面に対向するように、ベース55の上に載せられていても良い。
【0029】
以上のように本実施形態では、ベルトの継手部分において、第1の薄布シート51が両端部21、22に跨るように貼り付けられることにより、ベルトの継手部分の強度が向上させられている。また、本実施形態では、第1の薄布シート51は、予めラミネートされた接着シート53によってベルトの継手部分に接着される。したがって、第1の薄布シート51は、薄布であるにもかかわらず、収縮等することがほとんどなく、安定した接着力でベルトの継手部分に貼り付けられることになる。さらに、接着シート53を用いたことによって、接着作業の工数を大幅に軽減でき、かつ環境負荷も低減させることもできる。
【0030】
本実施形態では、第1及び第2の芯体帆布31、32はプレス熱板56の加熱によって溶融せず、その端面同士は第1及び第2の熱可塑性樹脂層41、42の溶融樹脂によって接着されることとなる。したがって、一方の面にしか熱可塑性樹脂層が密着積層されない第1の芯体帆布31の端面間の接着強度は、両面に熱可塑性樹脂層が積層された第2の芯体帆布32の端面同士の接着強度よりも低下する虞がある。しかし、本実施形態では、第1の芯体帆布31の他方の面には第1の薄布シート51が貼り付けられるので、第1の芯体帆布31の端面間の接着は十分に補強される。また、第1の薄布シート51は、幅方向及び長手方向に非伸縮であるので、第1の薄布シート51が貼り付けられたベルトの継手部分は、幅方向及び長手方向の強度が十分に向上する。
【0031】
本実施形態では、接着シート付薄布シート50は、プレス熱板56に加熱されるまで、突き合わせ部分Bに接着されなかったが、プレス熱板56によって加熱される前に部分的に加熱され、一部が突き合わせ部分Bに仮接着されていても良い。この場合、例えば、接着シート付薄布シート50は2箇所加熱され、その加熱された2箇所がベルトの端部21、22それぞれの下面20Dに仮接着されることが好ましい。
【0032】
このような構成によれば、突き合わされたベルトの両端部21、22は、プレス熱板56による加圧前に接着シート付薄布シート50によって予め継ぎ合わされることになる。したがって、両端部21、22が突き合わされてから、プレス熱板によって加熱加圧されるまでの間に、突き合わされたベルトの両端部21、22の間にずれが生じることが防止される。なお、本実施形態では、接着シート53は融点が低いので、例えば熱風、アイロン、半田ごて等で容易に溶融可能である。勿論、接着シート付薄布シート50は、仮接着されるとき、端部21、22の両方に接着されれば、2箇所以上が溶融されても良いし、1箇所のみが溶融されていても良い。
【0033】
図5は、本発明に第2の実施形態を説明するための図である。第1の実施形態では、ベルト継手部分を補強するための薄布シートはベルトの一方の面にしか貼付されなかったが、本実施形態では、ベルトの両面に貼付される。
【0034】
本実施形態では、ベルトが継ぎ合わされるとき、ベルトの突き合わせ部分Bの下面20Dには、第1の実施形態と同様に、接着シート付薄布シート50が重ねられる。一方、突き合わせ部分Bの上面20Uには、接着シートがラミネートされていない第2の薄布シート52と、熱可塑性樹脂シート59とが第2の熱可塑性樹脂層42側から順に重ねられる。
【0035】
第2の薄布シート52は第1の薄布シート51と同様の構成を有し、突き合わせ部分Bは第2の薄布シート52によって完全に覆われることになる。また、熱可塑性樹脂シート59は、ベルト幅方向における長さがベルト幅に略等しく、かつベルト長手方向における長さが薄布シート52より長いため、第2の薄布シート52は、熱可塑性樹脂シート59によって完全に覆われることになる。なお、熱可塑性樹脂シートは、第1及び第2の熱可塑性樹脂層41,42と同様の樹脂で形成される。
【0036】
接着シート付薄布シート50、第2の薄布シート52、及び熱可塑性樹脂シート59が重ねられた突き合わせ部分Bは、第1の実施形態と同様に、プレス熱板56によって加熱され、かつベルトの厚さ方向に加圧される。この加熱・加圧により、ベルトの両端部21、22が、継ぎ合わされると共に、突き合わせ部分Bの下面には第1の薄布シート51が貼付される。一方、突き合わせ部分Bの上面では、熱可塑性樹脂シート59が加熱溶融され、第2の薄布シート52は、その加熱溶融された熱可塑性樹脂シート59と共に、突き合わせ部分Bの上面に圧着されることとなる。
【0037】
以上のように、本実施形態では、突き合わせ部分Bの両面に、第1及び第2の薄布シート51、52が貼付され、ベルトの継手部分の強度がさらに高められる。なお、第2の薄布シート52は、接着シートが用いられずにベルトに貼付されるが、熱溶融された第2の熱可塑性樹脂層42と熱可塑性樹脂シート59に挟まれた状態で上面20Uに接着されるので、十分な接着強度で上面20Uに接着される。
【0038】
本実施形態では、ベルト20の継手部分において、第1及び第2の熱可塑性樹脂層41、42は、加熱・加圧されることによって、第1及び第2の芯体帆布31、32の内部に染み込まれてその厚さが薄くなる。しかし、本実施形態では、熱可塑性樹脂シート59が貼り付けられることによって、継手部分の厚さが薄くなることが防止される。なお、第1の実施形態のように、第2の薄布シート52がベルトの上面20Uに貼り付けられないような場合でも、継手部分のベルト厚さが薄くなることを防止するために、突き合わせ部分Bの上面に熱可塑性樹脂シート59が貼り付けられても良い。
【0039】
上記各実施形態では、同一のベルトの両端部20A、20Bが継ぎ合わされて無端状ベルトが得られるときの態様を示した。しかし、例えば第1のベルトの端部と、第1のベルトと別体の第2のベルトの端部が継ぎ合わされるときに適用されても良い。また、フィンガーを形成する凸部23の形状は、二等辺三角形に限定されず、矩形や、その他の三角形であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の実施形態において、ベルト両端部が継ぎ合わされるときのベルトの両端部を示す側面図である。
【図2】第1の実施形態における帯状ベルトの両端部を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態において、ベルトの両端部が突き合わされたときのベルトの両端部を示す上面図である。
【図4】第1の実施形態において、ベルト両端部が加熱加圧されるときのベルト両端部を示す側面図である。
【図5】第2の実施形態において、ベルト両端部が継ぎ合わされるときのベルトの両端部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0041】
20 ベルト
20D ベルトの下面
20U ベルトの上面
21 ベルトの一方の端部(第1のベルト端部)
22 ベルトの他方の端部(第2のベルト端部)
31、32 第1及び第2の芯体帆布
41、42 第1及び第2の樹脂
50 接着シート付薄布シート
51、52 第1及び第2の薄布シート
53 接着シート
59 熱可塑性樹脂シート
B 突き合わせ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のベルト端部と、第2のベルト端部とを継ぎ合わせて継合ベルトを得る方法において、
第1の薄布シートの一面に、熱可塑性樹脂から形成される接着シートがラミネートされた接着シート付薄布シートを用意する第1工程と、
前記第1及び第2のベルト端部の両端面を突き合わせ、その突き合わせ部分のベルトの厚さ方向における一方の面に、前記第1及び第2のベルト端部を跨ぎ、かつ前記接着シートがラミネートされた面が前記一方の面に対向するように、前記接着シート付薄布シートを重ねる第2工程と、
前記突き合わせ部分を、加熱しかつベルト厚さ方向に加圧することにより、前記第1及び第2のベルト端部の少なくとも一部を熱溶融させてこれらを熱融着させると共に、前記第1の薄布シートを、前記接着シートを介して前記一方の面に熱圧着する第3工程と
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第3工程の前に、前記突き合わせ部分に重ねられる前記接着シート付薄布シートは、前記接着シートが部分的に熱溶融され、その熱溶融された部分が、前記第1及び第2のベルト端部それぞれに仮接着されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1及び第2のベルト端部それぞれは、帆布を含み、前記帆布が前記一方の面を構成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の薄布シートは、前記帆布よりも薄いことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1及び第2のベルト端部それぞれは、熱可塑性樹脂層を含み、
前記第3工程において熱可塑性樹脂層が熱溶融されることによって、前記第1及び第2のベルト端部が熱融着されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂層が、ベルトの厚さ方向における他方の面を構成することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接着シートの融点は、前記熱可塑性樹脂層の融点よりも低いことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の薄布シートは紗であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記突き合わせ部分のベルトの厚さ方向における他方の面に、第2の薄布シートと、熱可塑性樹脂シートを順に重ね、
前記第3工程において前記熱可塑性樹脂シートを熱溶融させて、その熱溶融された前記熱可塑性樹脂シートと共に前記第2の薄布シートを前記他方の面に圧着することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のベルト端部は、フィンガー状に形成されると共に、前記第2のベルト端部は前記第1のベルト端部に対して相補的な形状のフィンガー状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のベルト端部はベルトの一方の端部であって、前記第2のベルト端部は前記ベルトの他方の端部であって、前記継合ベルトは無端状ベルトであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第1のベルト端部と、第2のベルト端部が継ぎ合わせて形成された継合ベルトにおいて、
前記第1及び第2のベルト端部は、それらの端面同士が突き合わされて熱融着されており、
その突き合わせ部分のベルトの厚さ方向における一方の面に、前記第1及び第2のベルト端部を跨ぐように、熱可塑性樹脂から形成される接着シートを介して薄布シートが熱圧着されていることを特徴とする継合ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−202990(P2009−202990A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46026(P2008−46026)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】