説明

ベルトまたはチェーン駆動部

【課題】本発明は、駆動または方向転換ディスク(2,3)を介して導かれるベルト形状またはチェーン形状の駆動部材(1)を少なくとも1つ備えたベルトまたはチェーン駆動部に関する。
【解決手段】部品の移動を精確に検出するために、または、部品を正確に搬送するために、移動可能な追従部材(7)が、ベルト形状またはチェーン形状の駆動部材(1)中に、駆動部材(1)の移動方向に対して横断方向に、引っ込み位置と外に張り出した追従位置との間で位置づけられ、作動装置(11)が駆動部材(1)に割り当てられ、この作動装置(11)により、駆動部材(1)の湾曲していない領域では、追従部材(7)が追従位置へ移動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動または方向転換ディスクにより導かれるベルト形状またはチェーン形状の駆動部材を少なくとも1つ備えた請求項1の前提部に記載のベルトまたはチェーン駆動部に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べた様式のベルトまたはチェーンは、通常、互いに大きな距離を隔てたシャフト間で力を伝達するために用いられる。しかし、この種のベルトまたはチェーン駆動部は、木製角材、ボード、プレートまたはこれ以外のロープ材料を加工するための、組み立てシステムまたはこれ以外の加工機械での搬送または測定機器としても用いられうる。このようにして、例えば、木製角材は、ベルトまたはチェーン駆動部を介して搬送されうるが、搬送される木製角材の移動を加工時に検出することもできる。木製角材の動きを検出するために、例えば、ベルト形状またはチェーン形状の駆動部材の下端または上端が、長手方向に搬送される木製角材の長手側のうちの1つの側にあたり、その結果、駆動部材が、角材の変位に追従(追動)するように、ベルトまたはチェーン駆動部を配置することもできる。このようにして、ベルトまたはチェーン駆動部の1つまたは複数の駆動ディスクの回転運動を検出することにより、木製角材の移動を検出することができる。
【0003】
しかし、この種の測定機器では、木製角材とベルトまたはチェーン駆動部との間に緩みが発生する可能性があり、これにより測定が不正確になる結果が生じる問題がある。この緩みは、固定マンドレル、ピンまたはこれ以外の外側方向に突出する追従部材(同行部材、entraining elements)をベルトまたはチェーン上に設けて、これらが、動かされる部品中に形状締結的なやり方で噛み合い、この部品中に固定的に置かれることにより、防ぐことができる。これにより、ベルトまたはチェーンと動かされる部品との相対的な移動を防ぐことができる。しかし、ベルトまたはチェーン上にこのように固定された追従部を配置し、これを駆動または方向転換ディスクを介して導くことにより、ベルトまたはチェーンの外側に突出する追従部材間の距離が、駆動または方向転換ディスクの領域において変化するという問題がある。この問題は、この地点におけるベルトまたはチェーンの湾曲により生じる。追従部材の端部または先端は、ベルトまたはチェーンの外側で外側方向に突出し、ベルトまたはチェーンが、外側で駆動または方向転換ディスクを介して方向転換する間は、ベルトまたはチェーンが湾曲していない領域中にある場合よりも、この追従部材の端部または先端の速度が速くなる。駆動ベルトまたはチェーンが湾曲していない場合のみ、ベルトの外側で突出している追従部材が、有効径に対応する移動を行う。しかし、追従部材は、通常、駆動部材が完全に伸張する前に、すでに駆動ディスクの領域中で動かされる部品と噛み合うので、測定時に不正確さが生じうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、冒頭に言及した様式のベルトまたはチェーン駆動部であって、移動の精確な検出、または、部品の正確な搬送に適したベルトまたはチェーン駆動部を作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を備えたベルトまたはチェーン駆動部により達成される。本発明の適切な改良および有利な実施形態は、従属請求項の対象物である。
【0006】
本発明のベルトまたはチェーン駆動部では、移動可能な追従部材が、ベルト形状またはチェーン形状の駆動部材中に、駆動部材の移動方向に対して横断方向に、引っ込み位置と外に張り出した追従位置との間に設けられている。作動装置も駆動部材に割り当てられていて、この作動装置により、駆動部材の湾曲していない領域では、追従部材が追従位置中に動くことができる。本発明によるこの解決方法では、駆動部材が完全に伸張し、すなわち、もはや湾曲していない位置に移動した時にのみ、ベルトまたはチェーンに設けられた追従部材が、外に張り出した追従位置に達することが保証される。この位置においてのみ、駆動部材の外側から突出した追従部材間が、一定の規定の距離をとると保証することができ、これにしたがって、このベルトまたはチェーン駆動部を測定または搬送機器として用いた際の誤った測定または不正確な搬送を回避することができる。
【0007】
本発明の特に好都合な実施形態においては、作動装置は、駆動または方向転換ディスク間に位置づけられ、これにより、追従部材が、駆動部材の移動によってよみ、例えば、動かされる角材またはこれ以外の部品に隣接する駆動部材の一方の端部においてのみ、その追従位置中に押し込まれるようになり、ここで、追従部材は、他方の端部中、および、駆動部材の方向転換により駆動ディスクの周りで湾曲する駆動部材の領域中では、引っ込み位置にとどまる。
【0008】
木製部品での使用に関して、追従部材は、例えば追従ロッドとして形成され、この追従ロッドは、駆動部材の内側にある頭部と、追従位置で、駆動部材の外側に対して外側方向に突出する追従先端とを備えることができる。追従先端は、追従位置において、木製部品中に押し込まれ、駆動部材と木製角材との間を、滑ることがないように連結する。しかし、追従部材は、可動支持パッドまたはこれ以外の適切な様式で設計することもできる。
【0009】
追従部材は、適切なリセット部材により、単純な方法で引っ込み位置へと押し込まれる。このリセット部材は、例えば、ゴムまたはこれ以外の弾性を有する柔軟な材料からなるリングとして設計されている。しかし、このリセット部材は、バネなどでもありうる。
【0010】
引っ込み位置と外に張り出した追従位置との間で、追従部材を動かすための作動装置は、単純な構成のモデルにおいては、互いに対してある距離を隔てた2つのガイドトラックからなりえる。追従部材のディスク形状の頭部は、2つのガイドトラック間でガイドされる。
【0011】
回転運動の検出をするためのセンサーまたはこれ以外の適切な機器を、駆動または方向転換ディスクのうちの少なくとも1つに割り当てることができる。駆動部材の移動は、直接、またはテンションローラまたは方向転換ローラを介して検出することもできる。
【0012】
本発明のこれ以外の特徴および利点は、図面を用いて例示される好適な実施形態に関する以下の説明より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のベルト駆動部の側面図である。
【図2】図1のベルト駆動部の部分図である。
【図3】図2をB−Bの線に沿って切った断面図である。
【図4】図2をA−Aの線に沿って切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に概略図示したベルト駆動部は、この場合には歯付きベルトとして設計されているベルト駆動部材1を有し、このベルト駆動部材1が、この場合には歯付きディスクとして構成された、2つの駆動または方向転換ディスク2・3を介して導かれる。このベルト駆動部は、ベルト形状の駆動部材1の上端4が自由になっており、ベルト形状の駆動部材1の下端5は、その外側で、長手方向へ搬送される木製角材またはこれ以外の動かされる部品6の長手側と直面するように置かれている。
【0015】
この図示した例示的な実施形態では、ベルト駆動部は、長手方向に動かされる部品6の動きを検出するための測定機器の一部分であり、ここで、2つの駆動部または方向転換ディスク2又は3のうちの1つは、駆動または方向転換ディスク2と3の回転運動を検出するための不図示のセンサーまたは別の適切な機器と接続されている。駆動部材1は、長手方向に動かされる部品6に隣接していて、その結果、この駆動部材1は、例えば支持体上で搬送される部品6の変位により追従させられる。2つの駆動または方向転換ディスク2又は3のうちの1つの回転運動を検出することにより、これにしたがって、部品4の移動を検出することができる。
【0016】
図1〜4からわかるように、いくつかの追従部材7は、駆動部材1の移動方向に対して横断方向に可動であり、ベルト形状の駆動部材1中に設けられている。追従部材7は、駆動部材1内を、図3に示した引っ込み位置と図4に示した追従位置との間で動くことができる。ここで図示した例示的な実施形態では、駆動部材1中で変位可能なように導かれる追従部材7は、追従ロッドとして構成されていて、ベルト形状の駆動部材1の内側にあるディスク形状の頭部8と、追従位置中では駆動部材1の外側に向かって外側に突出している先端を備えたロッド9とを備えている。ロッド形状の追従部材7は、リセット部材10によって引き込み位置へと押し込まれる。図面に示した実施形態では、リセット部材10は、ゴムまたはその他の弾性を有する柔軟な材料からなる。このリセット部材10は、追従部材7の頭部8と、ベルト形状の駆動部材1の内側との間に置かれている。
【0017】
追従部材7を追従位置へと移動させるために、作動装置11が駆動部材1に割り当てられる。この作動装置により、追従部材5が追従位置に動かされる。駆動部材1が部品4に隣接した、より下方の端部5の湾曲していない領域にある場合のみ、追従部材7は追従位置中に押し込まれ、部品6に隣接していない自由端部4中と、駆動部材1の湾曲領域(これは、駆動または方向転換ディスク2・3の周りでの駆動部材1の方向転換によりもたらされる)とでは、追従部材7は引っ込み位置に留まるように、作動装置11は設計され、かつ位置づけられている。
【0018】
作動装置11は、より下方の端部5の領域中の2つの駆動または方向転換ディスク2と3間に位置づけられていて、上方ガイドトラック12と、これに対して平行である下方ガイドトラック13とからなり、この2つのガイドトラックの間で、追従部材7のディスク形状の頭部8が、図3に示した引っ込み位置と図4に示した追従位置との間で変位可能なようにガイドされる。この2つのガイドトラック12と13は、方向転換領域14と15を有し、これらの領域は、両端で上方に曲がり、かつ駆動ディスク2と3に近接するように位置づけられている。
【0019】
図3からわかるように、矩形の溝16は、追従部材7の頭部8とリセット部材10とを収容するように、歯付きディスクとして構成されている2つの駆動ディスク2と3中の外側に設けられている。先端を備えたロッド9を介して、追従部材7は、ベルト形状の駆動部材1の対応する通路中を変位可能にガイドされる。
【0020】
例えば、図1に示した部品6が、長手方向へ左に動くと、ベルト形状の搬送部材1はこれに追従し、2つの駆動または方向転換ディスク2と3を時計回り方向に駆動する。駆動または方向転換ディスクの回転運動を検知することにより、部品の移動を測定することが可能になる。搬送ベルト1がもはや湾曲しておらず、かつ部品6上に平坦に横たわっている領域では、リセット部材10がより強く押されている力に抗して、ガイドトラック12と13の方向転換領域14と15(これは、右側の駆動ディスク3の横に位置づけられている領域である)により、追従部材7は、追従位置中へと下向きに押し込まれる。ここで、ロッド9の先端は、ベルト形状の駆動部材1の外側に突出し、部品6中に押し込まれ、駆動部材1と部品6との間を、滑ることがないように連結する。左側の駆動ディスクの隣に位置づけられたガイドトラック12と13の方向転換領域14と15により、リセット部材10により追従部材7が引っ込み位置に移動させられ、このリセット部材10は、その時に再び緩和されうる。
【0021】
上述のベルト形状の駆動部材に代えて、チェーン形状の駆動部材を用いることも可能である。ベルトまたはチェーン駆動部は、ここで説明した、加工のために搬送される木製の部品などの移動の検出のための測定機器としての用途に限定されるのではない。本発明のベルトまたはチェーン駆動部は、例えば、ベルトまたはチェーン駆動部が、駆動モータにより駆動され、ベルトまたはチェーン駆動部が加工品を搬送するために用いられる搬送機器としても用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動または方向転換ディスク(2,3)を介して導かれるベルト形状またはチェーン形状の駆動部材(1)を少なくとも1つ備えたベルトまたはチェーン駆動部において、
移動可能な追従部材(7)が、前記ベルト形状またはチェーン形状の駆動部材(1)中に、前記駆動部材(1)の移動方向に対して横断方向に、引っ込み位置と外に張り出した追従位置との間に設けられ、
作動装置(11)が前記駆動部材(1)に割り当てられ、前記作動装置(11)により、前記駆動部材(1)の湾曲していない領域では、前記追従部材(7)が前記追従位置へ移動可能なことを特徴とするベルトまたはチェーン駆動部。
【請求項2】
前記追従部材(7)が、前記駆動部材(1)の移動によって、前記駆動部材(1)の一方の端部(5)においてのみ前記追従位置中に押し込まれ、
一方、前記追従部材(7)は、他方の端部(6)、および前記駆動部材(1)の方向転換により前記駆動または方向転換ディスク(2,3)の周りで湾曲する前記駆動部材(1)の領域においては、前記引っ込み位置にとどまるように、前記作動装置(11)が、前記駆動または方向転換ディスク(2,3)間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のベルトまたはチェーン駆動部。
【請求項3】
前記追従部材(7)は、追従ロッドとして形成され、
前記追従ロッドは、前記駆動部材(1)の内側にある頭部(8)と、前記追従位置で、前記駆動部材(1)の外側に対して外側方向に突出するロッド(9)とを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルトまたはチェーン駆動部。
【請求項4】
前記追従部材(7)は、リセット部材(10)により前記引っ込み位置へと押し込まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のベルトまたはチェーン駆動部。
【請求項5】
前記リセット部材(10)は、弾性を有する柔軟な材料からなるリングとして設計されていることを特徴とする請求項4に記載のベルトまたはチェーン駆動。
【請求項6】
前記作動装置(11)は、互いに離間した2つのガイドトラック(12,l3)からなり、前記ガイドトラック(12,13)間で、前記追従部材(7)の前記頭部(8)がガイドされることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のベルトまたはチェーン駆動部。
【請求項7】
前記ガイドトラック(12,13)は、その2つの端部に方向転換領域(14,15)を有することを特徴とする請求項6に記載のベルトまたはチェーン駆動部。
【請求項8】
前記駆動または方向転換ディスク(2,3)は、前記追従部材(7)の前記頭部(8)と前記リセット部材(10)とを収容する溝(16)を有することを特徴とする請求項3から7のいずれか1項に記載のベルトまたはチェーン駆動部。
【請求項9】
少なくとも1つの前記駆動もしくは方向転換ディスク(2,3)、
または、前記駆動もしくは方向転換ディスク(2,3)の回転運動を検出するための、もしくは、前記駆動部材(1)の移動を検出するための機器が、前記駆動部材(1)に割り当てられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のベルトまたはチェーン駆動部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−2632(P2013−2632A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−124010(P2012−124010)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(512143017)