説明

ベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法

【課題】 塗装面積を増大させて塗装の均一化が図れ、作業効率が高い、ベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法を提供する。
【解決手段】 導電性ローラ1(または導電性エンドレスベルト)の基体部(5)の表面に塗料を塗布する塗装方法において、前記ローラ1を回転させるとともに、該ローラ1の基体部表面に塗装ベルト13を接触させたことにより、塗装ベルト13の面状の塗装面が、導電性ローラ1等の基体部の表面に少なくとも線接触にて接触して塗装を行うので、塗装部が多くなって潤沢な塗料を供給され、塗装の均一化が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ローラまたは導電性ローラを備えた画像形成装置に関し、特に複写機
、プリンタ等の電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置に用いられる導電性ローラ
または導電性エンドレスベルトの塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、潜像を保持した感光ド
ラム等にトナーを供給し、感光ドラムの潜像に該トナーを付着させて潜像を可視化する現
像方法として、加圧現像法が知られている。該加圧現像法においては、例えば、感光ドラ
ムを一定電位に帯電させた後、露光機により感光ドラム上に静電潜像を形成し、さらに、
トナーを担持した現像ローラを、静電潜像を保持した感光ドラムに接触させて、トナーを
感光ドラムの潜像に付着させる現像を行う。また、感光ドラムと現像ローラに一定の間隙
を設け、その間隙にトナーを電気的に飛翔させて現像を行う非接触現像法も提案されてい
る。
【0003】
また、上記感光ドラムの帯電には、従来コロナ放電方式が採用されていたが、コロナ放
電方式では、6〜10kVの高電圧を印加する必要があるため、装置の安全確認の観点か
ら好ましくはなく、さらに、コロナ放電中にオゾン等の有害物質が発生するため、環境面
からも好ましくなかった。これに対し、感光ドラムを帯電させる接触帯電方式が提案され
ている。
【0004】
上記加圧現像法における現像ローラ、ならびに上記接触帯電方式における帯電ローラは
、感光ドラムに密着した状態を確実に保持しながら回転しなければならないため、また、
非接触現像法における現像ローラにおいても、トナーに対するストレスを軽減するために
、金属等の良導電性材料からなるシャフトの外周に、シリコーンゴム、アクリロニトリル
−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エピク
ロロヒドリンゴム(ECO)、ポリウレタン等のエラストマーにカーボンブラックや金属
粉を分散させた半導電性の弾性体やこれらを発泡させた発泡体からなる半導電性弾性層を
形成した構造となっている。また、トナーに対する帯電性や付着性の制御、弾性層による
感光ドラムの汚染防止等を目的として、上記弾性層の表面に、さらに、樹脂被覆層を形成
する場合がある。
【0005】
さらに、上記現像ローラおよび帯電ローラに加えて、現像ローラにトナーを供給するた
めのトナー供給ローラ、感光ドラムの潜像に付着したトナーを記録媒体に転写するための
転写ローラ、転写後に感光ドラム上に残留するトナーを除去するためのクリーニングロー
ラ等にも、上記のようなシャフトの外周に半導電性弾性層を形成し、該弾性層の表面にさ
らに樹脂被覆層を形成した構造の導電性ローラが用いられている。
【0006】
一方、カラープリンターやカラー複写機においても、基本的には前記加圧現像法にした
がってプリントが行われるが、カラー印刷の場合には、マゼンタ、イエロー、シアン、ブ
ラックの4色のトナーを用いて色調を再現するもので、これらのトナーを所定割合で重ね
合わせて必要な色調を得るための工夫が必要であり、この工程を行うためにはいくつかの
方式が提案されている。
【0007】
4つの感光ドラムを設け、各ドラムの潜像をそれぞれマゼンタ、イエロー、シアン、ブ
ラックの4色のトナーで現像することにより、マゼンタによるトナー像、イエローによる
トナー像、シアンによるトナー像、ブラックによるトナー像の4つのトナー像を形成し、
これらトナー像が形成された感光ドラムを1列に並べて各トナー像を紙等の記録媒体に順
次転写して記録媒体上に重ねるとにより、カラー画像を再現するタンデム方式と、感光体
上のトナー像を一旦転写保持するドラムやベルトからなる中間転写部材を設け、この中間
転写部材の周囲にマゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナ
ー像、ブラックによるトナー像を形成した4つの感光体を配置して、4色のトナー像を中
間転写部材上に順次転写することにより、この中間転写部材上にカラー画像を形成し、こ
のカラー画像を紙等の記録媒体上に転写する中間転写方式がある。また、タンデム方式と
中間転写方式とを組み合わせたタンデム中間転写方式もある。これらの方式において、記
録媒体送り機能付与とトナー像形成のために無端状の導電性エンドレスベルトが用いられ
ているのは周知の通りである。
【0008】
これらのベルト表面においてトナー離型性等の機能性を向上させるため、基材層とは別
に表層として樹脂被覆層を形成することが行われている。
【0009】
従来、上記導電性ローラや導電性エンドレスベルトにおいて、上記樹脂被覆層は、シャ
フトと弾性層とからなる導電性ローラ基材本体または無端状の導電性エンドレスベルト基
材本体を溶剤系もしくは水系の塗工液中にディップ(浸漬)するか、または該塗工液を導
電性ローラ基材本体もしくは導電性エンドレスベルト基材本体にスプレーした後、熱もし
くは熱風で乾燥・硬化して形成される。導電性エンドレスベルトをディップ塗装するもの
としては下記特許文献1に開示されたものがあり、導電性エンドレスベルトをスプレー塗
装するものとしては下記特許文献2に開示されたものがある。また、導電性ローラをディ
ップ塗装するものとしては下記特許文献3に開示されたものがある。
【特許文献1】特開2001−42658号公報(段落0032参照)
【特許文献2】特開平11−15295号公報(段落0056参照)
【特許文献3】特開2003−76089号公報(全文)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来のディップ塗装やスプレー塗装方法では、長時間の乾燥
が必要なため、量産には長い乾燥ラインが必要であった。また、塗装された塗膜層は、そ
の用途から微妙な導電性および表面状態が要求されるが、乾燥ライン内の温度分布および
風量等のばらつきが樹脂被覆層の性能に大きく影響するため、品質上の問題があった。
【0011】
そこで本発明は、このような従来の塗装の諸課題を解決して、塗装の均一化が図れ、作
業効率が高い、ベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法を
提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため本発明は、導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの基体部の表面に塗料
を塗布する塗装方法において、前記ローラまたはエンドレスベルトを回転させるとともに
、該ローラまたはエンドレスベルトの基体部表面に塗料が供給されたベルトを接触もしく
は近接する姿勢で前記ローラまたはエンドレスベルトの表面に前記塗料を塗布し、表面層
を形成することを特徴とする。また本発明は、前記ローラまたはエンドレスベルトの回転
軸と塗装ベルトの回転軸とを平行に配置するとともに、ローラまたはエンドレスベルトと
塗装ベルトとを軸方向に相対移動させることを特徴とする。また本発明は、前記塗装ベル
トの回転軸とローラまたはエンドレスベルトの回転軸に所定の角度を設けたことを特徴と
する。また本発明は、前記塗装ベルトのガイドローラが、中間部が径大な太鼓形状に構成
されたことを特徴とする。また本発明は、前記ローラまたはエンドレスベルトと塗装ベル
トとが面接触することを特徴とする。また本発明は、前記塗装ベルトが前記ローラまたは
エンドレスベルトの円周上に所定角度の範囲内にて摺接することを特徴とする。また本発
明は、前記塗装ベルトの一部が塗液タンク内に浸されて塗料が供給されることを特徴とす
る。また本発明は、前記塗装ベルトの塗装面にグラビア状の凹凸パターンが刻設されたこ
とを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの基体部の表面に塗料を
塗布する塗装方法において、前記ローラまたはエンドレスベルトを回転させるとともに、
該ローラまたはエンドレスベルトの基体部表面に塗料が供給されたベルトを接触もしくは
近接する姿勢で前記塗料を塗布し、表面層を形成することにより、塗装ベルトの面状の塗
装面が、導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの基体部の表面に少なくとも線接触
もしくは近接して塗装を行うので、塗装部が多くなって潤沢な塗料を供給され、塗装の均
一化が図れる。
【0014】
また、前記ローラまたはエンドレスベルトの回転軸と塗装ベルトの回転軸とを平行に配
置するとともに、ローラまたはエンドレスベルトと塗装ベルトとを軸方向に相対移動させ
る場合は、ローラまたはエンドレスベルトと塗装ベルトとが接触する塗装部が少なくとも
線接触となり、相対回転するローラまたはエンドレスベルトの基体部の表面の円周面の全
周を塗装しつつ軸方向に走査されて、長い塗装部により潤沢な塗料の供給を受けて、全て
の塗装面で塗装の均一化がなされる。
【0015】
また、前記塗装ベルトの回転軸とローラまたはエンドレスベルトの回転軸に所定の角度
を設けた場合は、導電性ローラまたはエンドレスベルトと塗装ベルトとの接触部若しくは
近接部が増大して軸方向の走査量が少なくて済み、さらに長い塗装部により潤沢な塗料の
供給を受けて、全ての塗装面で塗装の均一化がなされる。
【0016】
さらに、前記塗装ベルトのガイドローラが、中間部が径大な太鼓形状に構成された場合
は、被塗装面である導電性ローラの基体部の表面への塗装ベルトの接触部の両側縁部が触
れないように構成することができ、塗装ベルトの移動時に、該ベルトの両側縁部によって
ローラ表面の塗装面を傷つけることが防止される。さらにまた、前記ローラまたはエンド
レスベルトと塗装ベルトとが面接触する場合は、さらに塗装面積が増大して、より潤沢な
塗料の供給を受けて、さらなる塗装の均一化がなされる。
【0017】
また、前記塗装ベルトが前記ローラまたはエンドレスベルトの円周上に所定角度の範囲
内にて摺接する場合は、該所定角度を調整することで、塗装面の面積を調整して塗装均一
化の制御が可能となる。さらに、前記塗装ベルトの一部が塗液タンク内に浸されて塗料が
供給される場合は、格別の塗料供給手段を設置しなくても、塗装ベルトの一部を塗液タン
ク内に浸すだけで、塗料が潤沢に供給される。さらにまた、前記塗装ベルトの塗装面にグ
ラビア状の凹凸パターンが刻設された場合は、塗料タンクから塗装表面への塗料の移載が
容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法
を図面に基づいて説明する。図1は本発明のベルトを用いた導電性ローラの塗装方法の1
つの実施例を示すもので、図1(A)は平面図、図1(B)は図1(A)のB−B断面図
、図1(C)は図1(B)のD矢視拡大図、図2は導電性エンドレスベルトをワークとす
る塗装例の斜視図、図3は導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの各例の斜視図で
ある。本発明のベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法の
基本的な構成は、図1に示すように、導電性ローラ1の基体部5(図3(A)参照)の表
面に塗料を塗布する塗装方法において、前記ローラ1を回転させるとともに、該ローラ1
の基体部表面に塗装ベルト13を接触させたことを特徴とする。
【0019】
以下、実施例について説明する。図3は導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトと
して使用される各例を示す。図3(A)は弾性ローラ1の例で、金属や合成樹脂製の硬質
の中実棒状体からなる軸6の周囲に弾性体の基体部5が被覆される。該基体部5の周囲に
さらに塗膜層4が塗装される。図3(B)はパイプ型ローラ2の例で、金属や合成樹脂製
の硬質の管状体からなるパイプ軸7の周囲に厚さの薄い弾性体の基体部5が被覆される。
該基体部5の周囲にさらに塗膜層4が塗装される。図3(C)は導電性エンドレスベルト
の例で、ゴムや樹脂等の基体部5が張設される。該基体部5の周囲にさらに塗膜層4が塗
装される。また、ベルト基体部5と表面層との間に弾性層を設けてもよい。
【0020】
これらの導電性ローラの中の弾性ローラ1の塗装工程を例として説明する。図1(A)
に示すように、被塗装体である導電性の弾性ローラ1は、その軸の両端部が軸支されて図
示省略のローラ駆動モータにより回転しつつ、軸方向にトラバース移動する。弾性ローラ
1の基体部の表面に接触する塗装ベルト13により、弾性ローラ1の基体部の表面が塗装
される。図示の例では、塗装ベルト13のガイドローラ15、15(1つはロール駆動モ
ータ14と接続された駆動ローラを構成する)の回転軸と導電性の弾性ローラ1の回転軸
は平行に配置される。塗装ベルト13の回転方向(移動方向)は矢印Cで示され、接触塗
装面で、弾性ローラ1の回転方向(矢印B)と同方向で相対速度差を持たせている。なお
、塗装ベルト13の幅がローラ1の幅より大きい場合には、トラバース移動は不要となる

【0021】
塗装ベルト13と弾性ローラ1との接触塗装部は、少なくとも線接触が維持される。好
適には、図1(B)に示されるように、面接触状態が維持される。塗装ベルト13が前記
ローラ1の円周上に所定角度θの範囲内にて摺接する。該所定角度θを調整することで、
塗装面の面積を調整して塗装均一化の制御が可能である。塗装ベルト13は、5つのガイ
ドローラが内接して案内され、被塗装体であるローラ1に外接する。最下位のガイドロー
ラ15は、塗液タンク12内の塗料に浸される。これにより、格別の塗料供給手段を設置
しなくても、塗料が潤沢に供給される。また、図1(A)に示すように、前記塗装ベルト
13の塗装面にグラビア状の凹凸パターン13bが刻設され、塗料タンク12からローラ
1の塗装表面への塗料の移載を容易にする。なお、本発明では、塗装ベルト13の回転軸
を弾性ローラ1の回転軸と交差(直交まで)させることを排除するものではない。
【0022】
図1(C)に示すように、前記塗装ベルト13のガイドローラ15が、中間部が径大な
太鼓形状に形成して、被塗装面である導電性ローラ1等の基体部の表面への塗装ベルト1
3の接触部の両側縁部が触れないように構成することができる。かくすれば、塗装ベルト
13の軸方向への移動時(実際は導電性ローラ1等のA方向への移動)に、該ベルト13
の両側縁部によってローラ1表面の塗装面を傷つけることが防止される。なお、設計上許
容されるなら、弾性ローラ1側を回転のみとしてトラバース移動を不可とし、塗装ベルト
13側をトラバース移動可能に構成してもよい。
【0023】
かくして、塗装ベルト13の面状の塗装面が、導電性ローラ1の基体部の表面に少なく
とも線接触にて接触して塗装を行うので、塗装部が多くなって潤沢な塗料を供給され、塗
装の均一化が図れる。また、前記ローラ1の回転軸と塗装ベルト13の回転軸とが平行に
配置されて、ローラ1と塗装ベルト13とを軸方向に相対移動させる場合は、ローラ1と
塗装ベルト13とが接触する塗装部が少なくとも線接触となり、相対回転するローラ1の
基体部の表面の円周面の全周を塗装しつつ軸方向に走査されて、長い塗装部により潤沢な
塗料の供給を受けて、全ての塗装面で塗装の均一化がなされる。さらに、前記ローラ1と
塗装ベルト13とが面接触する場合は、さらに塗装面積が増大して、より潤沢な塗料の供
給を受けて、さらなる塗装の均一化がなされる。
【0024】
図2は導電性エンドレスベルトをワークとする塗装例の斜視図である。被塗装体である
導電性エンドレスベルト3は例えば一対のベルト軸8、9の間に張設され、図示省略のロ
ーラ駆動モータにより駆動される前記ベルト軸8、9の回転により回転駆動される。一方
、塗装ベルト13も例えば一対のガイドローラ15、15(1つは駆動ローラを構成する
)の間に張設され、最下位のガイドローラ15が塗液タンク12内の塗料に浸される。こ
れにより、格別の塗料供給手段を設置しなくても、ベルト状の塗装体により塗料が潤沢に
供給されて効率的に塗装ができる。なお、塗装ベルト13の幅は少なくとも導電性エンド
レスベルト3の幅と等しく構成される。塗装ベルト13はトラバース移動することなく、
大きな塗装面積により均一な塗装が可能となる。
【0025】
本発明の導電性ローラの弾性層は、エラストマーに導電剤を含むものであって、、必要
に応じて添加剤等の他の成分を含む。該弾性層に用いるエラストマーとしては、シリコー
ンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエ
ンゴム(NBR)、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、クロ
ロプレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体(EVA)、ポリウレタンおよびこれらの混合物等が挙げられ、これらの中で
も、シリコーンゴム、EPDM、ECOおよびポリウレタンが好ましい。上記弾性層には
、上記エラストマーを発泡剤を用いて化学的に発泡させたり、ポリウレタンフォームのよ
うに空気を機械的に巻き込んで発泡させる等して、上記エラストマーを発泡体として用い
てもよい。
【0026】
上記シャフトと弾性層とは、反応射出成形法(RIM成形法)を用いて一体化してもよ
い。すなわち、弾性層の原料成分を構成する2種類の液を筒状型内に混合射出し、反応硬
化させてシャフトと弾性層とを一体化することができる。これにより、原料の注入から脱
型までの所要時間を短縮し、生産コストを大幅に削減することができる。
【0027】
また、上記弾性層にシリコーンゴムを用いる場合、該シリコーンゴムは、一般的なミラ
ブル型シリコーンゴム(HCR)でも液状シリコーンゴム(LSR)でもよい。なお、液
状シリコーンゴムを用いる場合、液状射出成形(LIM:Liquid injecti
on Molding)で弾性層を形成するのが好ましい。上記液状シリコーンゴムは、
ビニル基含有ポリオルガノシロキサンに対して、オルガノハイドロジェンポリシロキサン
、シリカ等の補強性充填剤、導電剤、白金系触媒、反応抑制剤、シリコーンオイル、その
他の各種添加剤を配合してなり、所定の形状のモールドに注入された後、加熱硬化によっ
て成形される。
【0028】
上記ビニル基含有ポリオルガノシロキサンは、分子中に2個以上の反応基を有し、該反
応基としてはアルケニル基および水酸基が挙げられる。該ビニル基含有ポリオルガノシロ
キサンとしては、下記式1
【数1】

(式1中、R1 は、それぞれ独立して一価の炭化水素基であり、nは100〜10000
の整数である)で表される化合物が好ましい。ここで、R1 における一価の炭化水素基と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基およびペンチル基等のアルキル基、
ビニル基およびアリル基等のアルケニル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フ
ェニル基等のアリール基、ベンジル等のアルキル基等が挙げられる。
【0029】
また、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記式2
【数2】

(式2中、R2 は、それぞれ独立して水素または一価の炭化水素基であり、mは10〜1
000の整数である)で表され、分子中に2個以上の珪素−水素結合を有する化合物が好
ましい。ここで、R2 おける一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基およびペンチル基等のアルキル基、ビニル基およびアリル基等のアルケニル
基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル等の
アルキル基等が挙げられる。
【0030】
また、液状シリコーンゴムに含まれる導電剤としては、前記弾性層に一般に用いられる
導電剤を使用することができる。白金系触媒としては、塩化第二白金、塩化白金酸、アル
コール変性塩化白金等が挙げられ、反応抑制剤としては、メチルビニルシクロテトラシロ
キサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパー
オキサイド等が挙げられる。
【0031】
上記弾性層に用いる導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤等が挙げられる。電子
導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF
、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック
、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラフ
ァイト、人造グラファイト、アンチモンドープ酸化スズ、ITO、酸化スズ、酸化チタン
、酸化亜鉛等の金属化合物、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、ポリアニリン、
ポリビニール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウィスカー、黒鉛ウィスカ
ー、炭化チタンウィスカー、導電性チタン酸カリウムウィスカー、導電性チタン酸バリウ
ムウィスカー、導電性酸化チタンウィスカー、導電性酸化亜鉛ウィスカー等の導電性ウィ
スカー等が挙げられる。上記電子導電剤の配合量は、上記エラストマー100質量部に対
して1〜50質量部の範囲が好ましく、5〜40質量部の範囲がさらに好ましい。
【0032】
また、上記イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニ
ウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジ
ルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩
素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、
カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カ
ルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、
塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸
塩、スルホン酸塩等が挙げられる。上記イオン導電剤の配合量は、上記エラストマー10
0質量部に対して0.01〜10質量部の範囲が好ましく、0.05〜5質量部の範囲が
さらに好ましい。上記導電剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用
いてもよく、電子導電剤とイオン導電剤とを組み合わせてもよい。
【0033】
上記弾性層は、上記導電剤の配合により、その抵抗値を103 〜1010Ωcmとするこ
とが好ましく、104 〜108 Ωcmとすることが好ましい。弾性層の抵抗値が103 Ω
cm未満では、電荷が感光ドラム等にリークしたり、電圧により導電性ローラ自体が破壊
する場合があり、1010Ωcmを超えると、地かぶりが発生し易くなる。
【0034】
上記弾性層は、必要に応じて上記エラストマーをゴム状物質とするために、有機過酸化
物等の架橋剤、硫黄等の加硫剤を含有してもよく、さらに、加硫促進剤、加硫促進助剤、
加硫遅延剤等を含有してもよい。また、上記弾性層は、さらに充填剤、しゃく解剤、発泡
剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等のゴ
ム用配合剤を含有してもよい。
【0035】
また、ポリウレタンまたはEPDMを基材として上記弾性層を形成する場合、表面上の
トナー帯電量をコントロールするために、ニグロシン、トリアミノフェニルメタン、カチ
オン染料等の各種荷電制御剤、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ナイロン等の微粉体を
添加してもよい。ここで、上記荷電制御剤の添加量は、上記ポリウレタンまたはEPDM
100質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましく、上記微粉体の添加量は、上記ポリ
ウレタンまたはEPDM100質量部に対して1〜10質量部の範囲が好ましい。
【0036】
上記弾性層の硬度は、特に限定されるものではないが、アスカーC硬度で80度以下で
あるのが好ましく、20〜70度であるのがさらに好ましい。弾性層のアスカーC硬度が
80ど超えると、導電性ローラと感光ドラム等との接触面積が小さくなり、良好な現像が
行えなくなる虞れがあり、また、導電性ローラを現像ローラとして用いた場合、トナーに
損傷を与え、感光ドラムや成層ブレードへのトナー固着等が発生して画像不良が起こり易
い。一方、弾性層が低硬度過ぎると、導電性ローラを現像ローラとして用いた場合、感光
ドラムや成層ブレードとの摩擦力が大きくなり、ジッター等の画像不足が発生する虞れが
ある。なお、上記弾性層は、感光ドラムや成層ブレード等に当接して使用されるため、硬
度を低硬度に設定する場合でも、圧縮永久歪みをなるべく小さくすることが好ましく、具
体的には20%以下とすることが好ましい。
【0037】
本発明の導電性エンドレスベルトにおいて、基材に用いる熱可塑性樹脂としては、特に
制限されるものではないが、例えば、熱可塑性ポリアミド(PA)、アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、熱可塑性ポリアセタール(POM)、熱可塑性ポ
リアリレート(PAR)、熱可塑性ポリカーボネート(PC)等を好適に挙げることがで
きる。また、かかる熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイ、またはポ
リマーブレンドとして用いることもでき、これらのうちのいずれかを基材として用いるこ
とにより、良好な強度、特には良好な屈曲耐久性を備えたベルトを得ることができる。
【0038】
また、本発明に用いる高分子イオン導電材料としては、例えば、特開平9−22771
7号公報、特開平10−120924号公報および特開2000−327922号公報に
記載されているものを用いることができるが、特に限定されるものではない。
【0039】
具体的には、(A)有機ポリマー材料、(B)イオン導電可能なポリマーまたはコポリ
マーおよび(C)無機または低分子量有機塩からなる混合物を挙げることができ、ここで
、成分(A)は、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニ
トリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリウレタンまた
はポリエステルであり、成分(B)は、オリゴエトキシ化アクリレートもしくはメタクリ
レート、芳香族環についてオリゴエトキシ化されたスチレン、ポリエーテルウレタン、ポ
リエーテル尿素、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミドまたはポリエーテル
エステルであり、また成分(C)は、無機または低分子量有機プロトン酸のアルカリ金属
、アルカリ土類金属、亜鉛またはアンモニウム塩であり、好ましくは、LiClo4 、L
iCF3 SO3 、NaClo4 、LiBF4 、NaBF4 、KBF4 、NaCF4 SO3
、KClO4 、KPF6 、KCF3 SO3 、KC4 9 SO3 、Ca(ClO4 2 、C
a(PF6)2 、Mg(ClO4)2 、Mg(CF3 SO3 2 、Zn(ClO4)2 、Zn(
PF6)2 、またはCaCF3 SO3 2 等である。
【0040】
これらの中でも、成分(B)として、ポリエーテルアミド成分またはポリエーテルエス
テルアミド成分を含有する高分子イオン導電剤が好適であり、さらにこれに加えて成分(
C)として低分子イオン導電剤成分を含有することが好ましい。また、かかるポリエーテ
ルアミド成分およびポリエーテルエステルアミド成分としては、ポリエーテル成分が(C
−H2 −CH2 −O)含有し、ポリアミド成分がナイロン12またはナイロン6を含有す
るものが特に好ましく、これを成分(B)として含有し、さらに成分(C)の低分子イオ
ン導電剤成分としてNaClO4 を含有する高分子イオン導電剤が特に好適である。かか
る好適な高分子イオン導電剤は、市場においてIrgastat(登録商標)P18およ
びIrgastat(登録商標)P22(共に、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・イ
ンコーポレーテッド製)、ペレスタットNC6321(三洋化成(株)製)として入手す
ることができる。
【0041】
また、本発明においては、基材に対して、機能性成分として他の導電性材料を添加して
、補助的に導電性の付与、調整を行うこともできる。かかる導電性材料としては、特に限
定されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オク
タデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリ
メチルアンモニウム、変性脂肪酸、ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩
、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、ハロゲン化ベンジル塩(臭化ベル
ジル塩、塩化ベンジル塩等)等の第4級アンモニウム等の陽イオン界面活性剤:脂肪族ス
ルホン酸、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸
塩、高級アルコール燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;各種ベタイン等の両性イオ
ン界面活性剤;高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エス
テル、多価アコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤、LiCF
2 SO2 、NaClo4 、LiBF4 、NaCl等の周期律表第1族の金属塩;Ca)C
lO4 2 等の周期律表第2族の金属塩;およびこれらの帯電防止剤がイソシアネートと
反応する活性水素を有する基(水素基、カルボキシル基、一級乃至二級アミン等)を1個
以上有するもの等が挙げられる。さらに、これらと多価アルコール(1、4−ブタジエン
オール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等)また
はその誘導体との錯体、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリ
コールモノエチルエーテル等との錯体等のイオン導電剤;ケッチェンブラック、アセチレ
ンブラック等の導電性カーブン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、
FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したカラーインク用カーボン、熱分解カー
ボン、天然グラファイト、人造グラファイト等;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッ
ケル、銅等の金属および金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の
導電性ポリマー等を例示することができる。
【0042】
これら他の導電性材料の添加量は、基材100重量部に対して好ましくは0.01〜3
0重量部、より好ましくは0.1〜20重量部程度である。本発明においては、本発明の
効果を損なわない範囲で、上述の成分に加えて他の機能性成分を適宜添加することも可能
であり、例えば、各種充填材、カップリング剤、酸化防止剤、滑剤、表面処理剤、顔料、
紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤等を適宜配合することがで
きる。さらに、着色剤を添加して、ベルトに着色を施してもよい。
【0043】
本発明の樹脂被覆層は、紫外線または電子線硬化型樹脂および/または化合物が好適に
用いられるが、非紫外線または非電子線硬化型樹脂を含んでもよい。一般に、弾性層の外
表面に樹脂被覆層を設けることで、抵抗値を調整したり、トナー帯電量およびトナー搬送
量を制御することができるが、樹脂被覆層に非紫外線または非電子線硬化型樹脂および/
または化合物と紫外線または電子線硬化型樹脂とを含ませることで、樹脂被覆層のトナー
付着を大幅に低減して、ローラ等の耐久性を大幅に向上させることできる。ここで、上記
塗工液は、反応性希釈剤、導電剤を含んでもよい。また、紫外線硬化型樹脂または紫外線
硬化型化合物の場合には、光重合開始剤、光重合促進剤を含むのが好ましい。その他、必
要に応じて公知の添加剤を含んでもよく、また、溶剤を含まないのが好ましい。
【0044】
上記樹脂被覆層に用いる紫外線または電子線硬化型樹脂としては、ポリエステル樹脂、
ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル
樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミ
ン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ビニルエーテル系樹脂
、ビニルエステル系樹脂およびこれら樹脂に特定の官能基を導入した変性樹脂等が挙げら
れ、これら樹脂は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
上記紫外線または電子線硬化型樹脂は、紫外線または電子線により重合可能な樹脂およ
び/または化合物、好ましくは、紫外線または電子線により重合可能な炭素原子間二重結
合を有する樹脂および/または化合物を紫外線または電子線照射により硬化させてなる。
上記紫外線または電子線により重合可能な樹脂および/または化合物は、(メタ)アクリ
レートモノマーおよびオリゴマーが好ましい。ここで、(メタ)アクリレートモノマーお
よびオリゴマーとしては、ウレタン系(メタ)アクリレート、エポキシ系(メタ)アクリ
レート、エーテル系(メタ)アクリレート、エステル系(メタ)アクリレート、ポリカー
ボネート系(メタ)アクリレート、シリコーン系(メタ)アクリレート等のモノマーおよ
びオリゴマーが挙げられる。
【0046】
上記樹脂被覆層の形成に用いる塗工液には、さらに必要に応じて重合性二重結合を有す
る反応性希釈剤、導電剤等の各種添加剤を配合してもよい。塗工液に重合性二重結合を有
する反応性希釈剤を配合することで、塗工液の粘度を調整することができる。該反応性希
釈剤としては、アミノ酸や水酸基を含む化合物に、(メタ)アクリル酸がエステル化反応
およびアミド化反応で結合した構造の単官能、2官能または多官能の重合性化合物を使用
することができる。上記反応性希釈剤の配量は、上記紫外線により重合可能な樹脂およ
び化合物の合計100質量部に対して10〜200質量部の範囲が好ましい。
【0047】
また、上記塗工液に用いる導電剤としては、上記弾性層用導電剤として例示したものと同
様のものを例示することができる。それらの中でも、カーボン系電子導電剤、イオン導電
剤および透明導電剤が好ましい。
【0048】
上記樹脂被覆層の形成に用いる塗工液には、紫外線を照射して硬化させる場合には光重
合開始剤を配合するのが好ましい。該光重合開始剤としては、公知のものを使用すること
ができる。例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル
、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール
、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよび3,3
−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4、4−ジメトキシベンゾフェノン、4、4
−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビ
ス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジルメチルケタール等
のベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導
体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントンおよびチオ
キサントン誘導体、フルオレン、2,4,6トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィン
オキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾオイル)−2,4.4−トリメチルペンチル
ホスフィンオキシド、ビス(2,4,66−トリメチリルベンゾオイル)フェニルホスソ
フィンオキシド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプ
ロパン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)−ブタン
−1等が挙げられる。これら光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を
併用してもよい。
【0049】
上記樹脂被覆層の形成に用いる塗工液に光重合開始剤を配合する場合、光重合開始剤に
よる重合反応を促進するために、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級ア
ミン系光重合促進剤、トリフェニルホスフィン等のホスフィン系光重合促進剤。チオジグ
リコール等のチオエーテル系光重合促進剤等をさらに添加してもよい。これら光重合促進
剤の添加量は、紫外線により重合可能な樹脂および化合物の合計100質量部に対して0
.01〜10質量部の範囲が好ましい。
【0050】
上記樹脂被覆層の厚さは、1から100μmの範囲がさらに好ましく、5〜100μm
の範囲がより一層好ましい。樹脂被覆層の厚さが1μm未満では、長期使用時の摩擦によ
りローラ等の表面の電気性能を充分に確保することができない場合があり、100μmを
超えると、表面が硬くなり、トナーにダメージを与えて感光ドラムへのトナーの固着が発
生して、画像不良を引き起こす場合がある。
【0051】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、塗装ベルト
の形状(幅等、塗装ベルトの幅が導電性ローラの幅よりも大きい場合はトラバース移動不
要)、形式およびその張設形態ならびに材質、ガイドローラの形状(実施例の太鼓形状
の他、通常の円柱状も可)、数、配置形態、ローラと塗装ベルトとの面接触形態(円周上
の所定角度)および相対速度、塗装ベルトの一部の塗料タンク内での浸潤形態、塗装ベル
トの塗装面の凹凸パターンの形状、導電性ローラ等の種類(帯電ローラ、現像ローラ等)
、層状形態を含む形状、形式(弾性ローラ、パイプ型ローラ、ベルト型ローラ等)、トラ
バース塗装形態(好適には被塗装体である導電性ローラ側を軸移動させるが、塗装ベルト
側を軸移動させてもよい)、導電性ローラの回転形態、トラバースおよび回転駆動のため
のアクチュエータの形態(電動、流体、磁気等の駆動源の種類およびラックとピニオン、
ピストンとシリンダ等)、導電性ローラ等の基体部の軸あるいはパイプ軸への固着形態、
基体部の材質および導電剤の含有量等の添加形態、電子線硬化型樹脂あるいは紫外線硬化
型樹脂等の塗料への含有量等の添加形態等については適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法の1つの実施例を示すもので、図1(A)は平面図、図1(B)は図1(A)のB−B断面図、図1(C)は図1(B)のD矢視拡大図である。
【図2】同、導電性エンドレスベルトをワークとする塗装例の斜視図である。
【図3】同、導電性ローラの各例の斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 導電性ローラ(弾性ローラ等)
4 塗膜層
5 基体部
6 軸(中軸)
13 塗装ベルト
12 塗料タンク
14 ベルト駆動モータ
15 ガイドローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの基体部の表面に塗料を塗布する塗装方法において、前記ローラまたはエンドレスベルトを回転させるとともに、該ローラまたはエンドレスベルトの基体部表面に塗料が供給されたベルトを接触もしくは近接する姿勢で前記塗料を塗布し、表面層を形成することを特徴とするベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法。
【請求項2】
前記ローラまたはエンドレスベルトの回転軸と塗装ベルトの回転軸とを平行に配置するとともに、ローラまたはエンドレスベルトと塗装ベルトとを軸方向に相対移動させることを特徴とする請求項1に記載のベルトを用いた導電性ローラの塗装方法。
【請求項3】
前記塗装ベルトの回転軸とローラまたはエンドレスベルトの回転軸に所定の角度を設けたことを特徴とする請求項1に記載のベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法。
【請求項4】
前記塗装ベルトのガイドローラが、中間部が径大な太鼓形状に構成されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法。
【請求項5】
前記ローラまたはエンドレスベルトと塗装ベルトとが面接触することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法。
【請求項6】
前記塗装ベルトが前記ローラまたはエンドレスベルトの円周上に所定角度の範囲内にて摺接することを特徴とする請求項5に記載のベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法。
【請求項7】
前記塗装ベルトの一部が塗液タンク内に浸されて塗料が供給されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法。
【請求項8】
前記塗装ベルトの塗装面にグラビア状の凹凸パターンが刻設されたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のベルトを用いた導電性ローラまたは導電性エンドレスベルトの塗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−154031(P2006−154031A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−341722(P2004−341722)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】