説明

ベルトコンベアのフレーム更新方法

【課題】高炉へ原料を搬送するベルトコンベアなどのように操業に重要な位置を占めるベルトコンベアにおいて、稼動したままの状態でフレームを交換することができるベルトコンベアのフレーム更新方法を提供する。
【解決手段】それまでの稼働状態から、任意の1スパンについて、既設のフレーム12を包含するように、当該既設のフレーム12よりも一回り大きな新設のフレーム22を据付けて、いったん、新設のフレーム22と既設のフレーム12の両者の荷重を支柱13で支持させた後、新設のフレーム22が据付けられた個所の既設のフレーム12を撤去する手順を、スパン毎に繰り返すことによって、既設のフレーム12を新設のフレーム22に交換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアのフレームを交換するためのベルトコンベアのフレーム更新方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、高炉においては、原料を搬送する際にベルトコンベアが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1、図2は、そのような原料搬送用ベルトコンベアを示すものであり、図1は側面図であり、図2は縦断面図である。
【0004】
図1、図2に示すように、このベルトコンベア10は、コンベアベルト11(搬送ベルト11a、リターンベルト11b)と、そのコンベアベルト11を保持するフレーム(ギャラリーフレーム)12と、フレーム12を支持するために所定の間隔で立設された支柱13とを備えている。そして、支柱13の上端部には受け架台14が設置されており、受け架台14の上に連結部材15を介してフレーム12が搭載されている。なお、支柱13と支柱13の間を1スパンとしており、図1では#1スパンから#5スパンまでの5スパンになっている。
【0005】
このようなベルトコンベア10において、フレーム12が劣化して更新する場合は、これまでは、図6に示すようにして行っていた。
【0006】
すなわち、図6(a)に示すような稼働状態から、図6(b)に示すように、ベルトコンベア10を停止して、コンベアベルトを切断し、既設のフレームを撤去し、支柱を撤去した後、図6(c)に示すように、支柱を据付け、新設のフレームを据付け、コンベアベルトを取り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−310847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図6に示したような従来のフレーム更新方法では、ベルトコンベアが一時的に停止して使用できなくなるため、高炉へ原料を搬送するベルトコンベアなどのように操業に重要な位置を占めるベルトコンベアに適用した場合には、そのまま大きな減産につながってしまう。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、高炉へ原料を搬送するベルトコンベアなどのように操業に重要な位置を占めるベルトコンベアにおいて、稼動したままの状態でフレームを交換することができるベルトコンベアのフレーム更新方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0011】
[1]コンベアベルトと該コンベアベルトを保持するフレームと該フレームを支持する支柱と備えたベルトコンベアにおいて、既設のフレームを新設のフレームに交換するためのフレーム更新方法であって、既設のフレームを包含するように当該既設のフレームよりも大きな新設のフレームを据付けて、いったん、前記新設のフレームと前記既設のフレームの両者の荷重を前記支柱で支持させた後、前記既設のフレームを撤去することによって、既設のフレームを新設のフレームに交換することを特徴とするベルトコンベアのフレーム更新方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、高炉へ原料を搬送するベルトコンベアなどのように操業に重要な位置を占めるベルトコンベアにおいて、稼動したままの状態でフレームを交換することができる。その結果、従来のような当該ベルトコンベアの停止による減産を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】高炉へ原料を搬送するベルトコンベアを示す側面図である。
【図2】高炉へ原料を搬送するベルトコンベアを示す縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるフレーム更新方法を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態における詳細なフレーム更新手順を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態における詳細なフレーム更新手順を示す図である。
【図6】従来のフレーム更新方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
本発明の一実施形態において対象とするベルトコンベアは、前述の図1、図2に示した高炉へ原料を搬送するベルトコンベア10である。
【0016】
図1、図2に示すように、このベルトコンベア10は、コンベアベルト11(搬送ベルト11a、リターンベルト11b)と、そのコンベアベルト11を保持するフレーム(ギャラリーフレーム)12と、フレーム12を支持するために所定の間隔で立設された支柱13とを備えている。そして、支柱13の上端部には受け架台14が設置されており、受け架台14の上に連結部材15を介してフレーム12が搭載されている。なお、支柱13と支柱13の間を1スパンとしており、図1では#1スパンから#5スパンまでの5スパンになっている。
【0017】
そして、この実施形態においては、ベルトコンベア10のフレーム12が劣化して更新する場合は、図3に示すようにして、稼動状態のままで行うようにしている。
【0018】
すなわち、図3(a)に示すようなそれまでの稼働状態から、図3(b)に示すように、任意の1スパンについて、既設のフレーム12を包含するように、当該既設のフレーム12よりも一回り大きな新設のフレーム22を据付けて、いったん、新設のフレーム22と既設のフレーム12の両者の荷重を支柱13で支持させた後、図3(c)に示すように、新設のフレーム22が据付けられた個所の既設のフレーム12を撤去する。以下、スパン毎に、上記の図3(b)、(c)を繰り返すことによって、既設のフレーム12を新設のフレーム22に交換する。
【0019】
図4、図5に、上述したこの実施形態におけるフレーム更新方法における詳細なフレーム更新手順を示す。
【0020】
(S0)まず、図4(a)は、フレーム更新前の稼働状態を示す図である。図3(a)に該当している。
【0021】
(S1)次に、図4(b)に示すように、作業の安全を図るために、既設のフレーム12の上端部に、コンベアベルト11上からの落下物を受け止める落骸防止板20を設置する。
【0022】
(S2)次に、図4(c)に示すように、一回り大きな新設のフレーム22用の受け架台24を受け架台14の外側に設置する。
【0023】
(S3)次に、図5(d)に示すように、既設のフレーム12を包含するように、既設のフレーム12よりも一回り大きな新設のフレーム22を据付ける。その際には、既設のフレーム12に新設のフレーム22を部材毎に取り付ける。これによって、新設のフレーム22と既設のフレーム12とが一体となり、新設のフレーム22と既設のフレーム12は、連結部材25と受け架台24および連結部材15と受け架台14を介して支柱13で支持される。したがって、新設のフレーム22と既設のフレーム12の両者の荷重を支柱13が支持することになる。ちなみに、この状態は、図3(b)に該当している。
【0024】
(S4)次に、図5(e)に示すように、既設のフレーム12用の連結部材15を撤去する。したがって、新設のフレーム22に既設のフレーム12の荷重が掛かるようになるとともに、新設のフレーム22と既設のフレーム12の両者の荷重は連結部材25と受け架台24を介して支柱13が支持することになる。
【0025】
(S5)そして、図5(f)に示すように、既設のフレーム12を撤去する。ちなみに、この状態は、図3(c)に該当している。
【0026】
(S6)以下、スパン毎に(S1)〜(S6)を繰り返すことによって、既設のフレーム12全体を新設のフレーム22に交換する。
【0027】
なお、上記においては、一時的に、新設のフレーム22に既設のフレーム12の荷重が掛かり、連結部材25と受け架台24と支柱13に新設のフレーム22と既設のフレーム12の両者の荷重が掛かるので、それらに耐えられる構造としておく。また、支柱13の基礎も新設のフレーム22と既設のフレーム12の両者の荷重に耐えられる構造としておく。
【0028】
このようにして、この実施形態においては、高炉へ原料を搬送するベルトコンベア10のフレーム(ギャラリーフレーム)12を交換するに際して、当該ベルトコンベア10を稼動したままの状態で既設フレーム12を新設フレーム22に交換することができる。その結果、従来のような当該ベルトコンベア10の停止による減産を回避することができる。
【0029】
なお、この実施形態では、高炉へ原料を搬送するベルトコンベアを対象にしたが、本発明は、他の同様なベルトコンベアに適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 高炉へ原料を搬送するベルトコンベア
11 コンベアベルト
11a 搬送ベルト
11b リターンベルト
12 既設のフレーム
13 支柱
14 受け架台
15 連結部材
20 落骸防止板
22 新設のフレーム
24 受け架台
25 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルトと該コンベアベルトを保持するフレームと該フレームを支持する支柱と備えたベルトコンベアにおいて、既設のフレームを新設のフレームに交換するためのフレーム更新方法であって、既設のフレームを包含するように当該既設のフレームよりも大きな新設のフレームを据付けて、いったん、前記新設のフレームと前記既設のフレームの両者の荷重を前記支柱で支持させた後、前記既設のフレームを撤去することによって、既設のフレームを新設のフレームに交換することを特徴とするベルトコンベアのフレーム更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−35618(P2013−35618A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170609(P2011−170609)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)