説明

ベルトコンベア

【課題】薄手のステンレス板等の金属製ベルトを用いるため、ベルトを取外して洗浄することが容易で常に清潔に保持でき、しかも、搬送面に十分な摩擦抵抗があるため、例えば、魚肉等の加工時における魚肉等の滑動が防止され、以て、効率のよい良好な加工作業を可能ならしめる金属製のベルトコンベアを提供することを課題とする。
【解決手段】搬送ベルト5が、多数の透孔6を、その孔縁に僅かな立上り部を残した状態にて穿設し、前記立上り部が搬送面上に表われるようにして成るステンレス板等の金属製ベルトであることを特徴とするベルトコンベアである。好ましくは、前記ベルトの駆動手段が、下側の復路のベルトを挟圧する上下一対の駆動ロール8、9と、前記駆動ロールを回転駆動するモータとから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルトコンベア、より詳細には、食品工場や薬品工場等における商品搬送用として、あるいは、食品加工機械等に組み込まれる搬送手段等として利用されるベルトコンベアで、特に搬送品の滑り止め機能を有することを特徴とする金属製ベルトコンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種工場において各種商品や部品、加工品等を移送したり、加工中に移動させたりするために、種々のベルトコンベアが用いられている。そのベルトコンベアのベルトにもゴムベルト、樹脂ベルト、ワイヤーベルト等種々のものがあり、用途に応じて使い分けられている。
【0003】
ところで、食品の加工、特に魚肉等の生鮮品をカッティング加工する食品加工機械等において用いられるベルトは、常に清潔に保たれる必要があるところから、洗浄、加熱等が容易であることが求められる。この要求に応えるものとして、薄手のステンレス板等の金属製ベルトが考えられる。
【0004】
しかるに、この金属製ベルトは搬送面が滑らかであるため、搬送物が滑りやすいという欠点がある。即ち、ベルト上において魚肉等に切れ目を入れたり、ベルト間に跨がる魚肉等に刃物を通して切断したりする引切り作業においては、魚肉等が滑動してしまうためにうまくカッティングできないという問題があり、このような用途に用いるベルトとしては不向きと言わざるを得ない。
【0005】
【特許文献1】特開2001−233442号公報
【特許文献2】特開平7−048012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来技術における問題点に鑑みてなされたもので、薄手のステンレス板等の金属製ベルトを用いるため、ベルトを取外して洗浄することが容易で常に清潔に保持でき、しかも、搬送面に十分な摩擦抵抗があるため、例えば、魚肉等の加工時における魚肉等の滑動が防止され、以て、効率のよい良好な加工作業を可能ならしめる金属製のベルトコンベアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、搬送ベルトが、多数の透孔を、その孔縁に僅かな立上り部を残した状態にて穿設し、前記立上り部が搬送面上に表われるようにして成るステンレス板等の金属製ベルトであることを特徴とするベルトコンベアである。
【0008】
好ましくは、前記ベルトの駆動手段は、下側の復路のベルトを挟圧する上下一対の駆動ロールであり、前記一対の駆動ロールのうちの下側の駆動ロールを上下方向に若干移動可能にすると共に、前記下側の駆動ロールを前記上側の駆動ロールに向けて常時付勢する手段を備える。更に好ましくは、前記一対の駆動ロールのうちの下側の駆動ロールを弾性ロールとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記のとおりであって、薄手のステンレス板等の金属製ベルトを用いるため、洗浄することが容易で常に清潔に保持でき、しかも、搬送面に十分な摩擦抵抗があるため、例えば、魚肉等の加工時における魚肉等の滑動が防止され、以て、効率のよい良好な加工作業を可能ならしめる効果がある。
【0010】
特に、請求項2に記載の発明においては、ベルトコンベアにおけるベルトの循環駆動は、一対のロールで下側の復路のベルトを挟圧して行うので、当該ロールを細径とすることでベルトコンベア全体の高さを低く抑えることができ、また、当該ベルトコンベアを連設する際に、ベルト間のギャップを小さなものとすることができ、以て搬送品の乗り移りを衝撃なくスムーズに行わせることができる。
【0011】
更に、請求項3及び4に記載の発明においては、ベルトの挟圧循環駆動を、駆動ロールとベルトとの間においてスリップを起こすことなく、確実に行い得る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態について、添付図面に依拠して説明する。図1は本発明に係るベルトコンベアの一実施形態の斜視図で、それは、一般のベルトコンベアと同様に、側板1、2と、側板1、2の両端部間に軸支される先端プーリ3、4と、先端プーリ3、4間に掛け回されるベルト5と、ベルト駆動手段とを有する。
【0013】
ここで用いるベルト5は、薄手のステンレス板等の金属製無端ベルトで、その搬送面に多数の透孔6が穿設されたもの(パンチングメタル)である。透孔6は全部同じサイズであってもよいし、図示したように大小混在させることとしてもよい。この透孔6の穿設は、通常雌雄の金型を用いた打抜き加工により行われるが、その際、雌型の孔サイズを通常よりも少し大きめに設定すると、打抜き後、孔縁に僅かな立上り部7が生ずる。
【0014】
図2では、理解を助けるために、立上り部7を誇張して大きく表現してあり、また、立上り部7の上端を滑らかに表現しているが、実際には、不規則に凹凸が生ずることが多い。本発明におけるベルト5は、この立上り部7をそのまま残し、搬送品の滑り止めとして利用するもので、立上り部7が表面、即ち、搬送面に表われるようにして無端に構成する。
【0015】
ベルト駆動手段は、上下ベルト間に配置される上側駆動ロール8と、下側の復路ベルト5を挟んで上側駆動ロール8の下に配置される下側駆動ロール9とで構成され、両駆動ロール8、9は、両側板1、2間に軸支される(図3参照)。両駆動ロール8、9の一端部は一方の側板2から突出し、そこに、互いに噛合し合うギア10、11が固定され、一方のギア10に、そのギア軸を図示せぬモータその他の入力手段の入力軸に連結するためのカップリング12が設置される。
【0016】
かくして入力手段からの回転入力は、カップリング12を介してギア10に伝達されると同時に、ギア10からギア11に伝達され、以て、上側駆動ロール8と下側駆動ロール9で復路のベルト5を挟圧してこれを循環駆動する。
【0017】
この挟圧循環駆動に際しては、各ロール8、9とベルト5間のスリップを防止するために、上側駆動ロール8に対して下側駆動ロール9が、ベルト5を介して常に圧接状態となっている必要がある。そのために本発明に係るベルトコンベアにおいては、下側駆動ロール9を常時上方に付勢し、上側駆動ロール8に密着させる板バネ13が配備される。
【0018】
板バネ13は、例えばくの字形で、中間部が側板1、2間に渡された底板14に支持され、両端部に上方からかかる負荷に対し、反発するよう作用する(図3参照)。板バネ13の両端は、側板1、2に形成された開口15内に収められていて、下側駆動ロール9の軸を軸支する軸支板16に係止される。即ち、板バネ13の端部に形成された係止孔17内に、軸支板16の底面凸部18を係合する(図5、図6参照)。軸支板16は、開口15内において、開口15の側面によって横方向の動きは規制されるが、上下方向へは若干可動に保持され、側板1、2に取り付けられた抜止め19によって抜けが防止される。
【0019】
かくして下側駆動ロール9に何らかの負荷がかかって下方に移動するようなことがあっても(軸支板16が下方に移動しても)、板バネ13の作用で直ちに軸支板16が押し上げられ、下側駆動ロール9は適圧にてベルト5を挟んで上側駆動ロール8に密着するに至るので、両駆動ロール8、9によるベルト5の挟圧循環駆動に支障を来たすことはない。
【0020】
上記スリップを防止するために、好ましくは更に、少なくとも復路のベルト5の搬送面側に当接することになる下側駆動ロール9を、ゴムロール、適宜柔軟性を備えた樹脂ロール等の弾性ロールとする。これは、当該弾性ロールの周面に、搬送面に表われる立上り部7を引掛けたり、喰い込ませたりして係わり合いを持たせるためで、それにより、当接時のスリップが確実に防止される。
【0021】
21は一方の側板2に設置されたハンドルで、洗浄等に際してベルトコンベアを移動したりする際に握持する。22は、復路のコンベア5を下から支える支持ローラ、25は、側板1、2の端部に配置されて先端プーリ3の軸を軸支するテンションアジャスターで、これを調整ボルト26の操作で横方向に移動させることにより、ベルトの張り具合を調整することができる。
【0022】
上記構成のベルトコンベアにおいては、搬送面に多数形成された透孔6の孔縁に僅かな立上り部7が存するため、搬送面全体にザラつきが生じ、以て搬送品が滑動することが防止されるので、例えば搬送面上における魚肉のカッティング作業等を良好に行なうことが可能となる。
【0023】
ベルト5の駆動は、下側の復路ベルト5を一対の駆動ローラ8、9で挟圧して行うので、駆動ローラ8、9を細径とすることにより、特に高さ方向のサイズを抑えることができる。また、同時に、先端プーリ3、4も細径にすることで、ベルトコンベアを連設した際のベルトコンベア間の隙間を極力少なくすることができ、以て搬送品の乗り移りを衝撃なくスムーズに行なわせることが可能となる。
【0024】
なお、洗浄等に際してベルト5を外すときは、ボルトを外して側板1を取り外した後、調整ボルト26を操作してテンションを緩めて引き抜けばよい。
【0025】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態の斜視図である。
【図2】ベルト搬送面に形成される透孔の立上り部を説明するための図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】図1におけるB−B線断面図である。
【図5】本発明の一実施形態の部分下方斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態の図5と反対側から見た部分下方斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1、2 側板
3、4 先端プーリ
5 ベルト
6 透孔
7 立上り部
8 上側駆動ロール
9 下側駆動ロール
10、11 ギア
12 カップリング
13 板バネ
14 底板
15 開口
16 軸支板
17 係止孔
18 底面凸部
19 抜止め
21 ハンドル
22 支持ローラ
25 テンションアジャスター
26 調整ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルトが、多数の透孔を、その孔縁に僅かな立上り部を残した状態にて穿設し、前記立上り部が搬送面上に表われるようにして成るステンレス板等の金属製ベルトであることを特徴とするベルトコンベア。
【請求項2】
前記ベルトの駆動手段は、下側の復路のベルトを挟圧する上下一対の駆動ロールである請求項1に記載のベルトコンベア。
【請求項3】
前記一対の駆動ロールのうちの下側の駆動ロールを上下方向に若干移動可能にすると共に、前記下側の駆動ロールを前記上側の駆動ロールに向けて常時付勢する手段を備えた請求項2に記載のベルトコンベア。
【請求項4】
前記一対の駆動ロールのうちの下側の駆動ロールは弾性ロールである請求項2又は3に記載のベルトコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−210789(P2007−210789A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35573(P2006−35573)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(501405247)
【Fターム(参考)】