説明

ベルトコンベヤのプーリ

【課題】ベルトの蛇行を効果的に防止ないしは抑制することのできるベルトコンベヤ用のプーリを提供する。
【解決手段】ベルトコンベヤにおけるプーリ10は、高弾性材料からなるベルト18が巻き掛けられるものであって、ベルト18の縁部のそれぞれが通る部分に周溝20を形成し、ベルト18の縁部が対応の周溝20の側面に密接するように構成したことを特徴としている。ベルトが高弾性であるため、その縁部が周溝20の側面に密接する。このため、ベルトの縁部には各周溝20において横方向内向きの張力が作用する。ベルトを循環駆動した際に、ベルトが横方向にずれると、ずれた側の縁部に作用する張力が他方よりも大きくなるため、自動的にベルトが調心される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤにおけるプーリに関し、特に、ゴムやウレタン等の高弾性材料からなるベルトの蛇行を防止ないしは抑制することのできるプーリに関するものである。なお、本明細書及び特許請求の範囲において用いている「プーリ」なる語はローラも含むものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、アキュムレーションコンベヤや切出しコンベヤのような短機長のコンベヤにおいてはベルトコンベヤが用いられている。また、そのベルトには、ウレタンやゴム等の、荷が滑りにくい材質のものが使用されていることが一般的である。
【0003】
このようなベルトコンベヤにおいては、ベルトの蛇行を防止ないしは抑制するために、種々の策が採られている。例えば、下記の特許文献1には、有効な手段として、クラウン型プーリを用いることが記載されている(特許文献1の図4参照)。
【特許文献1】特開平8−277011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クラウン型プーリとは、プーリの幅方向中央部を円筒形とし、その両側部分を先細りとなるようテーパ加工したものである。このようなクラウン型プーリは、金属製のパイプに絞り加工を施したり、パイプ自体を油圧等でクラウン形状に膨らませるバルジ加工を施したりすることで製作される。
【0005】
しかしながら、この絞り加工やバルジ加工は手間がかかり、製造コストが嵩むという問題点がある。
【0006】
また、クラウン型プーリは両端部の径が細くなっているため、ベルトコンベヤをつなげた場合、隣接するベルトコンベヤ間の間隙が大きくなり、小型の荷がその間隙から落下するおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、簡易な構成であるが、ベルトの蛇行を効果的に防止ないしは抑制することのできるプーリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明者らは種々検討した結果、高弾性材料からなるベルトに対しては、次のような形態のプーリが有効であることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明によるベルトコンベヤにおけるプーリは、高弾性材料からなるベルトが巻き掛けられるものであって、ベルトの縁部のそれぞれが通る部分に周溝を形成し、ベルトの縁部が対応の周溝の側面に密接するように構成したことを特徴としている。特に、ベルトは、芯体を持たず、材質がウレタンである場合に、本構成は有効である。
【発明の効果】
【0010】
前記構成においては、高弾性材料からなるベルトの縁部が周溝の側面に密接するため、ベルトには各周溝において横方向内向きの張力が作用する。ベルトを循環駆動した際に、ベルトが横方向にずれると、ずれた側の縁部に作用する張力が他方よりも大きくなるため、自動的にベルトが調心されることとなり、ベルトの蛇行が防止ないしは抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を付することとする。
【0012】
図1は、本発明によるプーリ10が適用されたベルトコンベヤ12の一例を示している。図示のベルトコンベヤ12は、ローラコンベヤ14の一部に形成されたものである。このローラコンベヤ14は、多数本の金属製ローラ16を並設して構成されたものであり、複数のゾーンZに区分されている。各ゾーンZには、1本のモータ内蔵ローラ又はDCモータ(図示しない)が設けられており、ゾーンZ毎の駆動を制御することが可能となっている。
【0013】
かかるローラコンベヤ14はアキュムレーションコンベヤや切出しコンベヤ等として使用することが有効であるが、搬送する荷によってはローラ16上を滑って、所望の位置で荷を停止させることができない場合がある。また、小さな荷の場合、ローラ16間に挟まったり、落下したりすることも考えられる。
【0014】
そこで、図1に示すように、必要なゾーンZに無端状のベルト18を取り付けてベルトコンベヤ12とする場合がある。このような目的で用いられるベルトコンベヤ12においては、そのベルト18は、ウレタンやゴム等の高摩擦・高弾性の材料から構成することが好適である。また、コストや取扱いの面から、芯体を有しないベルト18が有効である。
【0015】
このような高弾性材料からなり、芯体がないベルト18を用いたベルトコンベヤ12における本発明によるプーリ(ベルト18が巻き掛けられる両端部のローラ)10は、図2に明示するように、その周面に2本の周溝20が形成されている。周溝20は、ベルト18を所定の位置(ベルト18の中心線と左右の周溝20間の中心とが一致する位置)に配置した場合に、ベルト18の左右の各縁部の直下となる位置に形成されている。周溝20の形状としては、図示の略半円形の溝でも、略V字状の溝でもよい。また、左右の周溝20の寸法は実質的に同一である。なお、この周溝20は、ローラ16間の伝動を行うための伝動ベルト22を受ける周溝24と同等の寸法及び形状であることが好適である。これにより、伝動用の周溝24を形成する際に、併せてこの周溝20を同様な方法、例えば絞り加工により形成することができ、クラウン型のプーリを形成する場合に比して、極めて容易に本発明によるプーリ10を作製することが可能となる。
【0016】
また、プーリ10は、全体的には実質的に円柱形であるので、このプーリ10に隣接するコンベヤとの間に、クラウン型プーリを使用した場合に生ずるような無用な間隙が形成されることはない。したがって、小型の荷が挟まったり落下したりすることが防止される。
【0017】
前述したように、ベルト18は芯体がなく、高弾性であるため、ベルトコンベヤ12に装着すると、図2に示すように、ベルト18の各縁部は、対応の周溝20に落とし込まれ、周溝20の中心側となる側面に密接する。この状態では、左右の周溝20間の中心とベルト18の中心線とが一致しており、ベルト18の各縁部には、同一の横方向内向きの張力が作用する。今、図3に示すように、ベルト18の位置を右側にずらすと、ベルト18の右側の縁部に作用する横方向の張力Fは左側の縁部に作用する横方向の張力Fよりも大きくなる。したがって、図3の状態でベルト18を循環駆動した場合には、ベルト18の左右の縁部に作用する力が平衡するよう、ベルト18は図3において左方に移動し、やがて図2の状態となって安定する。ベルト18の位置が左側にずれた場合も同様である。したがって、本発明のプーリ10によれば、ベルト18は自動調心され、蛇行が防止ないしは抑制されることとなる。
【0018】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0019】
例えば、上記実施形態では、芯体を有していないベルトとしたが、縁部が周溝に嵌ることのできるベルトであれば、本発明のプーリを適用することが可能である。
【0020】
また、幅の狭いベルトにおいては、ベルト蛇行防止の効果はより顕著となるため、図4に示すように、複数の幅狭のベルト18を巻き掛ける構成とすることもできる。この場合は、各ベルト18に対応して周溝20が形成されることは勿論である。
【0021】
更に、上記実施形態は、ベルトコンベヤの両端部のプーリに本発明を適用したものであるが、一方のプーリにのみ、或いは、他の部分のプーリやローラに本発明を適用できる場合があり、例えばテンションプーリを有するベルトコンベヤでは、そのテンションプーリに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のプーリが適用されたベルトコンベヤを示す斜視図である。
【図2】図1のベルトコンベヤにおけるプーリを詳細に示す断面図である。
【図3】ベルトが位置ずれを生じた場合の拡大断面図である。
【図4】本発明によるプーリの他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
10…プーリ、12…ベルトコンベヤ、14…ローラコンベヤ、16…ローラ、18…ベルト、20…周溝、22…伝動ベルト、24…周溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高弾性材料からなるベルト(18)を備えるベルトコンベヤ(12)に用いられる、前記ベルト(18)が巻き掛けられるプーリ(10)であって、前記ベルト(18)の縁部のそれぞれが通る部分に周溝(20)が形成され、前記ベルト(18)の縁部が対応の前記周溝(20)の側面に密接するように構成されたことを特徴とする、ベルトコンベヤのプーリ。
【請求項2】
前記ベルト(18)は芯体を持たず、材質がウレタンである、請求項1に記載のベルトコンベヤのプーリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−126267(P2010−126267A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299824(P2008−299824)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(502380361)トーヨーカネツソリューションズ株式会社 (50)
【Fターム(参考)】