説明

ベルトコンベヤの搬送装置及びそれを用いたベルトコンベヤ

【課題】 ベルトを損傷させることなく様々な曲率を持つカーブを含んだ搬送経路で使用することが可能なベルトコンベヤの搬送装置及びそれを用いたベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】本発明に係るベルトコンベヤの搬送装置10及びそれを用いたベルトコンベヤ101は、台座1と、該台座の上方に載置された搬送部2とで構成するとともに、該搬送部が台座1に対してベルト7の搬送方向中心軸線廻りに揺動自在となるよう、台座1に設けられた台座側揺動連結部5,5と搬送部2に設けられた搬送側揺動連結部6,6とを相互連結し、さらに台座1に対する搬送部2の揺動角度を調整する一対の高さ調整機構30a,30bをベルト7の搬送方向中心軸線を挟む対向位置に備える。一対の高さ調整機構30a,30bによってベルト7外周側がベルト7内周側に対して低くなるように調整し、搬送部2を台座1に対して傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な曲率を持つカーブを含んだ搬送経路で使用されるベルトコンベヤの搬送装置及びベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤは、土木や建築の分野で広く使用されてきた運搬機械であり、その運搬対象物としては、骨材、セメント、掘削ずりなど様々な物がある。
【0003】
例えば、ダムの建設現場において骨材やコンクリート又は生コンクリート等をダムサイトまで搬送する搬送手段としてや、トンネル工事において発生した掘削ずりを坑内から坑外へ搬出する搬出手段として使用されている。
【0004】
これら建設現場で使用されるベルトコンベヤは、ベルトを支持するキャリアローラを単に平坦に配置するのではなく、下方に湾曲させるように配置することで、キャリアローラによって搬送されるベルトにトラフ角と呼ばれる湾曲変形を与え、搬送物が側方にこぼれるのを防止するのが一般的であり、近年では、大量の運搬物を長距離搬送可能にするため、長さ数十kmにも及ぶ大型のベルトコンベヤも開発されている。
【0005】
ここで、上述したような様々な建設現場において、長さ数十kmにも及ぶ大型のベルトコンベヤを使用する場合、現場の立地条件や他の装置との関連等によって、ベルトコンベヤを直線に設置する事は困難な場合が少なくない。
【0006】
特に、カーブのあるトンネルを掘削する際には、上述したような大型のベルトコンベヤをトンネルのカーブ部分に設置しなくてはならない。
【0007】
【特許文献1】特開平10−338324
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したようなニーズに応えるため、ベルトコンベヤを様々な曲率を持つカーブを含んだ搬送経路で使用する必要がでてきたが、カーブ部分では、ベルトの内周と外周の周長が異なることやベルトに作用する張力に起因して、ベルトがカーブの中心方向へ引っ張られ、キャリアローラから外れてしまうとともにベルト外周側がめくれ上がるという問題が生じる。
【0009】
また、ベルトがキャリアローラから外れないように、かつベルト外周側のめくり上がりを防止するようにベルトを無理に拘束すると、ベルトの外周側で張力が過大にかかってしまい、ベルトが損傷しまうという問題も併発していた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、ベルトを損傷させることなく様々な曲率を持つカーブを含んだ搬送経路で使用することが可能なベルトコンベヤの搬送装置及びそれを用いたベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るベルトコンベヤの搬送装置は請求項1に記載したように、台座と、該台座の上方に載置された搬送部とで構成するとともに該搬送部が前記台座に対してベルトの搬送方向中心軸線廻りに揺動自在となるように前記台座に設けられた台座側揺動連結部と前記搬送部に設けられた搬送側揺動連結部とを相互連結したベルトコンベヤの搬送装置であって、前記台座に対する前記搬送部の揺動角度を調整する揺動角度調整手段を備えるとともに、搬送方向に移動するベルトを所定のトラフ角で支持する複数のキャリアローラと前記搬送方向とは逆の戻り方向に移動するベルトを支持するリターンローラとを前記搬送部に備え、前記台座の搬送上流側と搬送下流側に上流側連結部と下流側連結部をそれぞれ設けたものである。
【0012】
また、本発明に係るベルトコンベヤの搬送装置は、前記揺動角度調整手段を、ベルトの搬送方向中心軸線を挟む対向位置に設置され前記台座と前記搬送部の離間高さを調整自在な一対の高さ調整機構で構成したものである。
【0013】
また、本発明に係るベルトコンベヤの搬送装置は、前記高さ調整機構を、前記台座及び前記搬送部の側方側のうち、ベルト搬送方向に対して一方の側にて前記台座に突設形成された第1の台座側ブラケット及び前記搬送部に突設形成された第1の搬送側ブラケットと、他方の側にて前記台座に突設形成された第2の台座側ブラケット及び前記搬送部に突設形成された第2の搬送側ブラケットと、前記第1の搬送側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通されるとともに前記第1の台座側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通される第1の高さ調整ボルトと、該第1の高さ調整ボルトに螺合される第1のナットと、前記第2の搬送側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通されるとともに前記第2の台座側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通される第2の高さ調整ボルトと、該第2の高さ調整ボルトに螺合される第2のナットとで構成したものである。
【0014】
また、本発明に係るベルトコンベヤの搬送装置は、前記台座及び前記搬送部の側方側のうち、ベルト搬送方向に対して一方の側に第1の弾性バネを配置してその一端を前記台座に他端を前記搬送部に取り付けるとともに、ベルト搬送方向に対して他方の側に第2の弾性バネを配置してその一端を前記台座に他端を前記搬送部に取り付けたものである。
【0015】
また、本発明に係るベルトコンベヤの搬送装置は、前記キャリアローラのうち、最も外側のキャリアローラの上方位置に設置されベルトの側方縁部を搬送面にて押さえる押さえローラを前記搬送部に備えたものである。
【0016】
また、本発明に係るベルトコンベヤの搬送装置は、前記キャリアローラのうち、最も外側のキャリアローラの側方位置に設置されベルトの側方縁部を端面にて当接されるサイドローラを前記搬送部に備えたものである。
【0017】
また、本発明に係るベルトコンベヤは請求項7に記載したように、請求項1乃至請求項6のいずれか一記載のベルトコンベヤの搬送装置をベルト搬送方向に沿って複数配置するとともに、前記搬送装置のうち、互いに隣接する2つの搬送装置を、搬送上流側に位置する搬送装置の下流側連結部と搬送下流側に位置する搬送装置の上流側連結部とをピン接合することによって相互に連結したものである。
【0018】
本発明に係るベルトコンベヤの搬送装置及びそれを用いたベルトコンベヤを例えばトンネルのカーブ部分に適用するにあたっては、本願発明に係る搬送装置をトンネルのカーブに沿って、言い換えればベルト搬送方向に沿って複数配置するとともに、搬送装置のうち、互いに隣接する2つの搬送装置を、搬送上流側に位置する搬送装置の下流側連結部と搬送下流側に位置する搬送装置の上流側連結部とをピン接合して、相互に連結する。
【0019】
ここで、搬送部が台座に対してベルトの搬送方向中心軸線廻りに揺動自在となるように構成するとともに搬送部の揺動角度を調整する揺動角度調整手段を備えてあり、掘削ずり等の搬送物を搬送するにあたっては、揺動角度調整手段を用いてベルト外周側が低くなるように搬送部を台座に対して傾斜させる。
【0020】
このようにすると、搬送部に設けられているキャリアローラ、ひいては該キャリアローラに支持されているベルトも同様に傾斜することとなり、その結果、ベルト断面に生じている引張応力は、ベルトの外側と内側、すなわちカーブの外側と内側とで応力差が縮小し、従来のようにカーブの外側で過剰な引張応力が発生しベルトを損傷させたり、めくれ上がりが生じたりといった事態や、カーブの内側で逆にたるみが生じるといった事態を未然に防止することができる。
【0021】
また、ベルトがカーブの中心方向へ移動しようとする力は、キャリアローラのうち、カーブ内側に位置するキャリアローラで支持されるため、ベルトがカーブの内側に移動するといった事態も防止することが可能となる。
【0022】
このように、本発明によれば、ベルト外周側の過剰な張力に起因するベルトの損傷を防止するとともにベルト外周側縁部のめくれを防止することが可能となり、トンネルのカーブ部分、つまり様々な曲率を持つカーブを含んだ搬送経路に本発明に係るベルトコンベヤの搬送装置及びそれを用いたベルトコンベヤを使用することが可能となる。
【0023】
ちなみに、搬送経路の直線部においては、揺動角度調整手段を用いて搬送部の台座に対する傾きをなくす、つまり搬送部を台座に対して平行にすればよい。
【0024】
台座側揺動連結部は、例えばフレーム状に構成された台座のうち、搬送上流側と搬送下流側にて立設されかつピン孔が形成された台座側連結部で構成するとともに、搬送側揺動連結部は、例えば同じくフレーム状に構成された搬送部のうち、搬送上流側と搬送下流側にて垂設されかつピン孔が形成された搬送側連結部で構成することができる。
【0025】
揺動角度調整手段は、搬送部の揺動角度を調整することができるのであれば、その構造あるいは機構は任意であるが、例えば、ベルトの搬送方向中心軸線を挟む対向位置に設置され台座と搬送部の離間高さを調整自在な一対の高さ調整機構で構成することができる。
【0026】
かかる構成においては、上述した一対の高さ調整機構によってベルト外周側が低くなるように搬送部を台座に対して傾斜させればよい。
【0027】
一方、搬送経路の直線部においては、高さ調整機構によって搬送部を台座に対して平行にすればよい。
【0028】
ここで、上述した一対の高さ調整機構は、台座及び搬送部の各側方位置における該台座と該搬送部との離間高さを調整することができるのであれば、その構造あるいは機構は任意であるが、例えば、台座及び搬送部の側方側のうち、ベルト搬送方向に対して一方の側にて台座に突設形成された第1の台座側ブラケット及び搬送部に突設形成された第1の搬送側ブラケットと、他方の側にて台座に突設形成された第2の台座側ブラケット及び搬送部に突設形成された第2の搬送側ブラケットと、第1の搬送側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通されるとともに第1の台座側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通される第1の高さ調整ボルトと、該第1の高さ調整ボルトに螺合される第1のナットと、第2の搬送側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通されるとともに第2の台座側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通される第2の高さ調整ボルトと、該第2の高さ調整ボルトに螺合される第2のナットとで構成することができる。
【0029】
かかる構成においては、一方の側をカーブ内側、他方の側をカーブ外側とすると、第1の搬送側ブラケットに対して第2の搬送側ブラケットが低くなるように第1のナットや第2のナットの螺合位置を調整することにより、搬送部を台座に対して傾斜させればよい。
【0030】
なお、搬送経路の直線部においては、第1のナットや第2のナットの螺合位置を調整し、搬送部を台座に対して平行にすればよい。
【0031】
ここで、第1の高さ調整ボルト及び第1のナットや第2の高さ調整ボルト及び第2のナットを用いて台座及び搬送部の各側方側の離間高さを調整するにあたっては、第1の高さ調整ボルトや第2の高さ調整ボルトを第1の搬送側ブラケットや第2の搬送側ブラケットに形成されたボルト孔にそれぞれ挿通した後、その先端に第1のナットや第2のナットをそれぞれ先行してねじ込んでおき、次いで、これら第1の高さ調整ボルトや第2の高さ調整ボルトを第1の台座側ブラケットや第2の台座側ブラケットに形成されたボルト孔にそれぞれ差し込み、かかる状態で第1のナットや第2のナットの螺合位置を調整することにより、搬送部の傾斜角度を調整する、いわば押下げ方式の調整を行うことができる。
【0032】
これに対し、第1の高さ調整ボルトや第2の高さ調整ボルトを第1の搬送側ブラケットや第2の搬送側ブラケットに形成されたボルト孔にそれぞれ挿通した後、引き続き第1の台座側ブラケットや第2の台座側ブラケットに形成されたボルト孔にそれぞれ差し込み、次いで、第1の高さ調整ボルトや第2の高さ調整ボルトの先端に第1のナットや第2のナットをそれぞれねじ込み、かかる状態で該第1のナットや該第2のナットの螺合位置を調整することにより、搬送部の傾斜角度を調整する、いわば引上げ方式の調整を行うことも可能である。
【0033】
上述したように、搬送経路の直線部においては、揺動角度調整手段によって搬送部を台座に対して平行にすることができるが、例えば、台座及び搬送部の側方側のうち、ベルト搬送方向に対して一方の側に第1の弾性バネを配置してその一端を台座に他端を搬送部に取り付けるとともに、ベルト搬送方向に対して他方の側に第2の弾性バネを配置してその一端を台座に他端を搬送部に取り付けるようにすれば、揺動角度調整手段を作動させずとも搬送部を台座に対して平行にすることができる。
【0034】
すなわち、第1の弾性バネと第2の弾性バネによって搬送部を台座に対して平行に保持することが可能となるため、搬送経路の直線部においてわざわざ揺動角度調整手段を作動させる必要はなくなる。
【0035】
特に、請求項3に係る本願発明においては、搬送経路の直線部において、第1の高さ調整ボルト及び第2の高さ調整ボルトをそれぞれ搬送装置から取り外すだけで、第1の弾性バネ及び第2の弾性バネによって、搬送部と台座との平行を保持することが可能となる。
【0036】
また、キャリアローラのうち、最も外側のキャリアローラの上方位置に設置されベルトの側方縁部を搬送面にて押さえる押さえローラを搬送部に備えたならば、より確実にベルト側縁部のめくれを防止することが可能となる。
【0037】
また、キャリアローラのうち、最も外側のキャリアローラの側方位置に設置されベルトの側方縁部を端面にて当接されるサイドローラを搬送部に備えたならば、ベルトの側方縁部を傷つけずにより確実にカーブ中心方向へ移動しようとするベルトの側方向へのずれを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明に係るベルトコンベヤの搬送装置及びそれを用いたベルトコンベヤの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図1及び図2は、本実施形態に係るベルトコンベヤ101を示した平面図及びA−A線方向から見た矢視図である。これらの図でわかるように、本実施形態に係るベルトコンベヤ101は、本実施形態に係るベルトコンベヤの搬送装置10を複数連結して構成してある。
【0040】
図3及び図4は、本実施形態に係るベルトの搬送装置10を示した側面図及び正面図、図5は、図1のB−B線方向から見た矢視図である。
【0041】
図3及び図4からわかるように、本実施形態に係るベルトコンベヤの搬送装置10は、台座1と、該台座の上方に載置された搬送部2とで構成するとともに、該搬送部が台座1に対してベルト7の搬送方向中心軸線廻りに揺動自在となるよう、台座1に設けられた台座側揺動連結部5,5と搬送部2に設けられた搬送側揺動連結部6,6とを相互連結して構成してある。
【0042】
すなわち、図3でよくわかるように、台座1の搬送上流側と搬送下流側には、ピン孔が形成された台座側揺動連結部5,5がそれぞれ立設してあるとともに、搬送部2の搬送上流側と搬送下流側には、ピン孔が形成された搬送側揺動連結部6,6がそれぞれ垂設してあり、これら台座側揺動連結部5,5と搬送側揺動連結部6,6とをそれぞれピン接合することによって、台座1と搬送部2とを相互に連結してある。
【0043】
また、本実施形態に係る搬送装置10は、台座1に対する搬送部2の揺動角度を調整する揺動角度調整手段としての一対の高さ調整機構30a,30bをベルト7の搬送方向中心軸線を挟む対向位置に備えてあり、台座1と搬送部2との離間高さを調整できるようになっている。
【0044】
一方、搬送部2には、搬送方向に移動するベルト7を所定のトラフ角で支持する二組のキャリアローラ8a、8b及び8cと、搬送方向とは逆の戻り方向に移動するベルト7を支持する二組のリターンローラ9と、キャリアローラ8a、8b及び8cのうち、最も外側のキャリアローラ8a及び8cの上方位置に設置されベルト7の側方縁部を搬送面にて押さえる二組の押さえローラ40a,40bと、キャリアローラ8a、8b及び8cのうち、最も外側のキャリアローラ8a及び8cの側方位置に設置されベルト7の側方縁部を端面にて当接される二組のサイドローラ11a,11bとを設けてある。
【0045】
ここで、搬送部2を構成するフレーム16の上面のうち、ベルト搬送方向中心軸線を挟む対向位置にローラ支持部材22a,22bと、ローラ支持部材23a,23bとがそれぞれ立設してあり、上述した押さえローラ40a,40bは、ローラ支持部材22a,22bの各頂部近傍とローラ支持部材23a,23bの各頂部近傍に取り付けてあるとともに、二組のサイドローラ11a,11aは、ローラ支持部材23a,23aの各頂部近傍に取り付けてある。
【0046】
一対の高さ調整機構30a,30bのうち、高さ調整機構30aは、第1の台座側ブラケット14aと第1の搬送側ブラケット12aと第1の高さ調整ボルト20aと第1のナット21aとで構成してあるとともに、高さ調整機構30bは、第2の台座側ブラケット14bと第2の搬送側ブラケット12bと第2の高さ調整ボルト20bと第2のナット21bとで構成してある。
【0047】
第1の台座側ブラケット14a及び第1の搬送側ブラケット12aは、台座1及び搬送部2の側方側のうち、ベルト7搬送方向に対して一方の側にて台座1及び搬送部2の側面中央近傍にそれぞれ突設形成されてあり、第2の台座側ブラケット14bと第2の搬送側ブラケット12bは、他方の側にて台座1及び搬送部2の側面中央近傍にそれぞれ突設形成されてある。
【0048】
第1の高さ調整ボルト20aは、第1の搬送側ブラケット12aに形成されたボルト孔に挿通した上、その先端に第1のナット21aを螺合してから第1の台座側ブラケット14aに形成されたボルト孔に挿通してある。
【0049】
一方、第2の高さ調整ボルト20bは、第2の搬送側ブラケット12bに形成されたボルト孔に挿通した上、その先端に第2のナット21bを螺合してから第2の台座側ブラケット14bに形成されたボルト孔に挿通してある。
【0050】
また、台座1及び搬送部2の側方側のうち、一方の側には、台座1の側面搬送上流側に第1の台座側フック15aを取り付けてあるとともに、搬送部2の側面搬送上流側に第1の搬送側フック13aをそれぞれ取り付けてあり、かかる第1の台座側フック15aと第1の搬送側フック13aとの間に第1の弾性バネ19aの各端を取り付けてある。さらに、搬送下流側においても、台座1の側面搬送下流側に設けられた第1の台座側フック15aと搬送部2の側面搬送下流側に設けられた第1の搬送側フック13aとの間に第1の弾性バネ19aの各端を取り付けてある。
【0051】
一方、台座1及び搬送部2の他方の側も同様であり、台座1の側面搬送上流側に第2の台座側フック15bを取り付けてあるとともに、搬送部2の側面搬送上流側に第2の搬送側フック13bをそれぞれ取り付けてあり、かかる第2の台座側フック15bと第2の搬送側フック13bとの間に第2の弾性バネ19bの各端を取り付けてある。さらに、搬送下流側においても、台座1の側面搬送下流側に設けられた第2の台座側フック15bと搬送部2の側面搬送下流側に設けられた第2の搬送側フック13bとの間に第2の弾性バネ19bの各端を取り付けてある。
【0052】
なお、搬送装置10は、該搬送装置を構成する台座1の搬送上流側及び搬送下流側の上面にてそれぞれ突設された上流側連結部3及び下流側連結部4を備えてあり、搬送装置10のうち、互いに隣接する2つの搬送装置10を、搬送上流側に位置する搬送装置10の下流側連結部4と搬送下流側に位置する搬送装置10の上流側連結部3とをピン接合して、相互に連結することによって、本実施形態に係るベルトコンベヤ101を構成してある。
【0053】
本実施形態に係るベルトコンベヤの搬送装置10をトンネルのカーブ部分に適用するにあたっては、図5でわかるように、台座1及び搬送部2のベルト搬送方向に対して一方の側をカーブ外側、他方の側をカーブ内側とすると、まず、第1の高さ調整ボルト20aを第1の搬送側ブラケット12aに形成されたボルト孔に挿通した上、その先端に第1のナット21aを螺合し、しかる後、第1の台座側ブラケット14aに形成されたボルト孔に挿通する。
【0054】
同様に、第2の高さ調整ボルト20bを第2の搬送側ブラケット12bに形成されたボルト孔に挿通した上、その先端に第2のナット21bを螺合し、しかる後、第2の台座側ブラケット14bに形成されたボルト孔に挿通する。
【0055】
次に、第1の搬送側ブラケット12aが第2の搬送側ブラケット12bに対して低くなるように、すなわち、ベルト外周側がベルト内周側に対して低くなるように第1のナット21aや第2のナット21bの螺合位置を調整することにより、搬送部2を台座1に対して傾斜させればよい。
【0056】
このようにすると、搬送部2のキャリアローラ8a、8b及び8c、ひいては該キャリアローラに支持されているベルト7も同様に傾斜することとなり、その結果、ベルト7断面に生じている引張応力は、ベルト7の外側と内側、すなわちカーブの外側と内側とで応力差が縮小する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係るベルトコンベヤの搬送装置10及びそれを用いたベルトコンベヤ101によれば、台座1と、該台座の上方に載置された搬送部2とで構成するとともに、該搬送部が台座1に対してベルト7の搬送方向中心軸線廻りに揺動自在となるよう、台座1に設けられた台座側揺動連結部5,5と搬送部2に設けられた搬送側揺動連結部6,6とを相互連結し、さらに台座1に対する搬送部2の揺動角度を調整する一対の高さ調整機構30a,30bをベルト7の搬送方向中心軸線を挟む対向位置に備えるようにしたので、台座1と搬送部2との離間高さを調整することが可能となり、かくしてベルト7断面に生じている引張応力は、ベルト7の外側と内側、すなわちカーブの外側と内側とで応力差が縮小し、従来のようにカーブの外側で過剰な引張応力が発生しベルト7を損傷させたり、めくれ上がりが生じたりといった事態や、カーブの内側で逆にたるみが生じるといった事態を未然に防止することができる。また、ベルト7がカーブの中心方向へ移動しようとする力は、キャリアローラ8a、8b及び8cのうち、カーブ内側に位置するキャリアローラ8cで支持されるため、ベルト7がカーブの内側に移動するといった事態も防止することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤの搬送装置10及びそれを用いたベルトコンベヤ101によれば、キャリアローラ8a、8b及び8cのうち、最も外側のキャリアローラ8a及び8cの上方位置に設置されベルト7の側方縁部を搬送面にて押さえる二組の押さえローラ40a,40bを搬送部2に設けるようにしたので、ベルト7側縁部のめくれをより確実に防止することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤの搬送装置10及びそれを用いたベルトコンベヤ101によれば、キャリアローラ8a、8b及び8cのうち、最も外側のキャリアローラ8a及び8cの側方位置に設置されベルト7の側方縁部を端面にて当接される二組のサイドローラ11a,11bを搬送部2に設けるようにしたので、ベルト7の側方縁部を傷つけることなく、より確実にベルト7のカーブ中心方向へのずれを防止することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態に係るベルトコンベヤの搬送装置10及びそれを用いたベルトコンベヤ101によれば、台座1と搬送部2の間に第1の弾性バネ19a及び第2の弾性バネ19bを架け渡すようにしたので、搬送経路の直線部においては、第1の高さ調整ボルト20a及び第2の高さ調整ボルト20bをそれぞれ搬送装置10から取り外し、第1の弾性バネ19a及び第2の弾性バネ19bによって、搬送部2と台座1との平行を保持することができる。
【0061】
本実施形態では、台座1及び搬送部2の両側方に第1の弾性バネ19a及び第2の弾性バネ19bを設けるようにしたが、これらを省略し、第1のナット21aの第1の高さ調整ボルト20aでの螺合位置と第2のナット21bの第2の高さ調整ボルト20bでの螺合位置とを適宜調整することにより、搬送部2を台座1に対して平行にしてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、ベルト7の側方縁部を搬送面にて押さえる押さえローラ40a,40bを設けたが、上述したように該押さえローラは、ベルト7側縁部のめくれをより確実に防止するために設けたものであり、場合によってはこれを省略してもかまわない。
【0063】
また、本実施形態では、サイドローラ11a,11bを設けるようにしたが、かかるサイドローラは上述したように、カーブ中心方向へ移動しようとするベルト7の側方向へのずれをより確実に防止するために設けたものであり、場合によってはこれを省略してもかまわない。
【0064】
また、本実施形態では、一対の高さ調整機構30a,30bを、上述したような押下げ方式の調整機構としたが、第1の高さ調整ボルト20aや第2の高さ調整ボルト20bを第1の搬送側ブラケット12aや第2の搬送側ブラケット12bのボルト孔にそれぞれ挿通し、引き続き、第1の台座側ブラケット14aや第2の台座側ブラケット14bのボルト孔にそれぞれ挿通してから、それらの先端に第1のナット21aや第2のナット21bをそれぞれねじ込み、かかる状態で該第1のナットや該第2のナットの螺合位置を調整する、いわば引上げ方式の調整機構としてもよい。
【0065】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、本発明に係る高さ調整機構をどのように構成するかは任意であり、例えば、第1の台座側ブラケット14a及び第2の台座側ブラケット14bにそれぞれ雌ネジ孔を形成し、第1の高さ調整ボルト20aを第1の搬送側ブラケット12bのボルト孔に挿通してからその先端を第1の台座側ブラケット14aの雌ネジ孔に螺合するとともに、第2の高さ調整ボルト20bを第2の搬送側ブラケット12bのボルト孔に挿通してからその先端を第2の台座側ブラケット14bの雌ネジ孔に螺合するようにしてもかまわない。
【0066】
加えて、第1の台座側ブラケット及び第1の搬送側ブラケットの両側方にターンバックルの両端をそれぞれ接合するようにしてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1実施形態に係るベルトコンベヤの平面図。
【図2】第1実施形態に係るベルトコンベヤのA−A線に沿う矢視図。
【図3】第1実施形態に係るベルトコンベヤの搬送装置の側面図。
【図4】第1実施形態に係るベルトコンベヤの搬送装置の正面図。
【図5】第1実施形態に係るベルトコンベヤの搬送装置のB−B線に沿う矢視図。
【符号の説明】
【0068】
1 台座
2 搬送部
3 上流側連結部
4 下流側連結部
5 台座側揺動連結部
6 搬送側揺動連結部
7 ベルト
8a,8b,8c キャリアローラ
9 リターンローラ
10 ベルトコンベヤの搬送装置
11a,11b サイドローラ
12a 第1の搬送側ブラケット
12b 第2の搬送側ブラケット
14a 第1の台座側ブラケット
14b 第2の台座側ブラケット
19a 第1の弾性バネ
19b 第2の弾性バネ
20a 第1の高さ調整ボルト
20b 第2の高さ調整ボルト
21a 第1のナット
21b 第2のナット
30a,30b 高さ調整機構
40a,40b 押さえローラ
101 ベルトコンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、該台座の上方に載置された搬送部とで構成するとともに該搬送部が前記台座に対してベルトの搬送方向中心軸線廻りに揺動自在となるように前記台座に設けられた台座側揺動連結部と前記搬送部に設けられた搬送側揺動連結部とを相互連結したベルトコンベヤの搬送装置であって、前記台座に対する前記搬送部の揺動角度を調整する揺動角度調整手段を備えるとともに、搬送方向に移動するベルトを所定のトラフ角で支持する複数のキャリアローラと前記搬送方向とは逆の戻り方向に移動するベルトを支持するリターンローラとを前記搬送部に備え、前記台座の搬送上流側と搬送下流側に上流側連結部と下流側連結部をそれぞれ設けたことを特徴とするベルトコンベヤの搬送装置。
【請求項2】
前記揺動角度調整手段を、ベルトの搬送方向中心軸線を挟む対向位置に設置され前記台座と前記搬送部の離間高さを調整自在な一対の高さ調整機構で構成した請求項1記載のベルトコンベヤの搬送装置。
【請求項3】
前記高さ調整機構を、前記台座及び前記搬送部の側方側のうち、ベルト搬送方向に対して一方の側にて前記台座に突設形成された第1の台座側ブラケット及び前記搬送部に突設形成された第1の搬送側ブラケットと、他方の側にて前記台座に突設形成された第2の台座側ブラケット及び前記搬送部に突設形成された第2の搬送側ブラケットと、前記第1の搬送側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通されるとともに前記第1の台座側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通される第1の高さ調整ボルトと、該第1の高さ調整ボルトに螺合される第1のナットと、前記第2の搬送側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通されるとともに前記第2の台座側ブラケットに形成されたボルト孔に挿通される第2の高さ調整ボルトと、該第2の高さ調整ボルトに螺合される第2のナットとで構成した請求項2記載のベルトコンベヤの搬送装置。
【請求項4】
前記台座及び前記搬送部の側方側のうち、ベルト搬送方向に対して一方の側に第1の弾性バネを配置してその一端を前記台座に他端を前記搬送部に取り付けるとともに、ベルト搬送方向に対して他方の側に第2の弾性バネを配置してその一端を前記台座に他端を前記搬送部に取り付けた請求項3記載のベルトコンベヤの搬送装置。
【請求項5】
前記キャリアローラのうち、最も外側のキャリアローラの上方位置に設置されベルトの側方縁部を搬送面にて押さえる押さえローラを前記搬送部に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一記載のベルトコンベヤの搬送装置。
【請求項6】
前記キャリアローラのうち、最も外側のキャリアローラの側方位置に設置されベルトの側方縁部を端面にて当接されるサイドローラを前記搬送部に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一記載のベルトコンベヤの搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一記載のベルトコンベヤの搬送装置をベルト搬送方向に沿って複数配置するとともに、前記搬送装置のうち、互いに隣接する2つの搬送装置を、搬送上流側に位置する搬送装置の下流側連結部と搬送下流側に位置する搬送装置の上流側連結部とをピン接合することによって相互に連結したことを特徴とするベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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