説明

ベルトコンベヤの柵取付装置及びベルトコンベヤの安全柵

【課題】フック部による柵の吊り下げによらないベルトコンベヤの柵取付装置を提供する。フック部を設置できない複雑な外観形状の場所でも柵を非常に簡単な作業だけで設置できるようにする。
【解決手段】柵11に設けられた取付用穴14と、ボルト26によって機枠に取り付けられる本体部17と、第1面板28と、規制部材31とを有したベルトコンベヤの柵取付装置16である。本体部17は、ボルト26によって機枠に取付けられる取付部18と、取付部18と一体である第2面板19と、第2面板19から突出した突出部21とを有している。第1面板28は突出部21に嵌め込まれる。規制部材31は突出部21に設けた第1開口22に差し込まれて、第1面板28が突出部21から外れることを規制するか、又は第1面板28を柵11及び第2面板19へ押し付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム、支柱、補強部材等といった機枠によって支持されたベルトコンベヤの周囲に柵を設置するためのベルトコンベヤの柵取付装置に関する。また、本発明は、柵とその柵を機枠に取り付けるための柵取付装置とを含んで成る安全柵に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤを備えた搬送装置は任意の物体を搬送するための搬送手段として産業界において広く使用されている。この搬送装置には、ベルトコンベヤそれ自体、ベルトコンベヤを周回移動させるローラ、電動モータ等といった駆動源、ギヤ等といった動力伝達系、等といった可動部分が含まれている。
【0003】
作業者がこれらの可動部分に接触することを防止するために、従来、搬送装置の周囲に柵を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ベルトコンベヤを支持する機枠の一部にフック部を設け、該フック部に金網から成る柵を引掛けるという構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ベルトコンベヤを支持する機枠の一部にフック部を設け、該フック部に金網から成る柵を引掛けて吊り下げるという構成が開示されている。また、特許文献3には、ベルトコンベヤを支持する機枠の一部にフック部を設け、該フック部に金網から成る柵を引掛けて吊り下げると共に、係止リングとコッタとにより柵を機枠に固定するという構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3151281号公報(請求項1、第5頁、図1,2,3)
【特許文献2】特開2008−156069号公報(請求項1、第4,5頁、図1,3,4)
【特許文献3】特開2009−173389号公報(請求項1、第5頁、図1,2,3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示された装置においては、ベルトコンベヤの機枠にフック部を設け、そのフック部に柵を吊り下げるようにしたので、柵が不安定であったり、フック部を設けることができない場所には柵を付設することができなかったり、柵をフック部に吊り下げる作業に手間がかかって面倒であったり、フック部に大きな荷重がかかって損傷し易い、等という問題があった。
【0007】
本発明は、従来の装置における上記の問題点を解消するために成されたものであって、フック部を設けることができないような複雑な外観形状の場所でも柵を設置でき、非常に簡単な作業だけで柵をしっかりと安定状態に設置でき、しかも損傷し難い丈夫な構造の柵取付装置及び安全柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置は、取付用穴を備えた柵を機枠によって支持されたベルトコンベヤの周囲に設置するための柵取付装置であって、前記機枠に取付けられる本体部と、該本体部に着脱される第1挟み部材と、該第1挟み部材の動きを規制する規制部材とを有しており、前記本体部は、固定手段によって前記機枠に固定される取付部と、該取付部と一体であり前記柵と平面的に接触できる接触面を備えた第2挟み部材と、前記第2挟み部材の接触面から突出した突出部とを有しており、前記第1挟み部材は、前記柵と平面的に接触できる接触面を備えており、前記突出部を通すことができる第1開口を有しており、前記突出部に沿って前記本体部の第2挟み部材に近付き又は遠ざかる方向へ移動でき、前記突出部は前記柵の取付用穴を通ることができ、前記第2挟み部材の接触面と交差する方向に延びる第2開口を有しており、前記規制部材は、前記突出部の第2開口に挿入された状態で、前記第1挟み部材が前記第2挟み部材から離れる方向へ移動することを規制することを特徴とする。
【0009】
上記の機枠は、例えばベルトコンベヤを構成している各種の機器要素を支持するための構造要素であり、位置移動しない要素である。一般には、フレーム、支柱、梁、補強部材、その他の構造要素である。ベルトコンベヤは任意の物体を1つの場所から他の場所へ搬送するために周回移動するベルトである。柵は、少なくとも人体の一部が通過することを阻止できる部材であり、金属製の網部材、樹脂製の網部材、金属製又は樹脂製で板状の部材、等とすることができる。
【0010】
上記の第1挟み部材及び第2挟み部材は、柵を挟んで保持できる部材であり、形状及び構造は任意である。例えば、平面的な部材(いわゆる、面状部材、面板等)を用いることができる。
【0011】
上記の固定手段は任意の機械構造を採用できる。例えば、ボルトを用いた着脱可能な構造が望ましいが、場合によっては溶接等のような容易には取り外しできない固定構造であっても良い。上記の規制部材は、基本的には第2面部材が第1面部材から離れることを阻止できる部材であるが、望ましくは第2面部材を第1面部材へ向けて押し付ける部材である。
【0012】
本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置において、前記柵は、環状の線材によって囲まれた領域内に複数の直線状の線材を直交2方向へ互いに間隔を空けて配置して成る網部材とすることができる。この場合には、前記取付用穴は、前記環状の線材と前記直線状の線材とによって囲まれる開口領域(すなわち網目空間)、又は前記複数の直線状の線材のうちの隣接するもの同士によって囲まれる開口領域(すなわち網目空間)とすることができる。
【0013】
柵を網部材によって形成した場合、複数の線材によって多数の開口領域、すなわち取付用穴が形成される。フック部を用いた吊り下げ構造においては、網部材の上端部分に存在する開口領域だけを実質的に吊り下げ用の取付用穴として使用できるだけである。本発明では、網部材の上端部分だけでなく、ほとんど全ての開口領域を取付用穴として利用できる。従って、本発明によれば、本体部を種々の位置に配置させることにより、複数の開口領域を広い領域から選択して取付用穴として利用できる。
【0014】
本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置において、前記第1挟み部材及び前記第2挟み部材の少なくとも一方は、前記柵に設けられた1つの取付用穴の全領域を覆うことができる形状であることが望ましい。第1挟み部材及び第2挟み部材の面積は、1つの取付用穴の面積よりも小さくすることもできるし、その面積よりも大きくすることもできる。しかしながら、第1及び第2の挟み部材によって柵を安定して支持したい場合には、1つの取付用穴の周囲の全部を挟み部材によって覆うことが望ましい。このことを実現するためにも、第1及び第2挟み部材は1つの取付用穴の全領域を覆うものであることが望ましい。
【0015】
本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置において、前記規制部材は、前記第1挟み部材が前記第2挟み部材から離れる方向へ移動することを規制するだけの部材ではなく、前記第1挟み部材を前記第2挟み部材の方向へ押し付ける部材であることが望ましい。これにより、柵をより安定状態で支持することができる。
【0016】
本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置において、前記規制部材は、短辺と長辺とが互いに対向して成る楔部材であり、該楔部材は短辺側から前記突出部の第2開口へ挿入され、長辺側の部分で前記第1挟み部材を前記第2挟み部材の方向へ押し付けることが望ましい。
【0017】
この構成の場合、規制部材は楔形状に形成されることになる。この構成によれば、作業者は規制部材を突出部の第2開口へ差し込むだけで第1挟み部材によって柵を第2挟み部材へ押し付けることができ、その結果、第1挟み部材と第2挟み部材とによって柵を望ましい強い力で挟持することができる。
【0018】
本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置において、前記ベルトコンベヤは物体を搬送する走行部分であるキャリヤ側部分と、物体を受け取る位置へ戻る走行部分であるリターン側部分と、前記キャリヤ側部分を覆うカバーとを有することができ、前記機枠は前記ベルトコンベヤのリターン側部分の周囲に配置された複数のフレームとすることができる。ベルトコンベヤのリターン側部分の周囲には、ローラ、モータ、その他の可動部分が数多く含まれることがある。このようなベルトコンベヤのリターン側部分の周囲に柵を配置すれば、作業者の安全を確保できる。キャリヤ側部分はカバーによって安全が確保される。
【0019】
本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置において、前記ベルトコンベヤは物体を搬送する走行部分であるキャリヤ側部分と、物体を受け取る位置へ戻る走行部分であるリターン側部分とを有することができ、前記機枠は前記ベルトコンベヤのキャリヤ側部分及びリターン側部分の周囲に配置された複数のフレームとすることができる。そして、前記柵は前記ベルトコンベヤのキャリヤ側部分及びリターン側部分の両方の周囲に設けることができる。この実施態様に係る発明では、ベルトコンベヤのキャリヤ側部分及びリターン側部分の両方が柵によって安全を確保される。
【0020】
次に、本発明に係るベルトコンベヤの安全柵は、機枠によって支持されたベルトコンベヤの周囲に設置される安全柵であって、取付用穴を備えた柵と、該柵を前記機枠に取り付けるための柵取付装置とを有する安全柵において、柵取付装置は上記構成の各柵取付装置によって構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置によれば、フック部を用いた吊り下げ構造でなく、一対の挟み部材(例えば面板)を用いて柵を挟んで支持する構造であるので、フック部を設けることができないような複雑な外観形状の場所でも柵を設置できる。
【0022】
また、フック部を用いた構造では、柵を吊り下げるだけなので柵自体はフック部を中心として自由に揺動できる状態であり、それ故、柵を安定してしっかりと設置することができない。例えば風が強い場合には柵が揺動して吊り下げ部分に過剰な荷重がかかり、フック部や柵に損傷が生じ易い。これに対し、本発明では、一対の挟み部材で柵を挟んで支持するので、柵を安定してしっかりと支持でき、柵自身や柵の支持部分に損傷が生じることがほとんど無い。
【0023】
また、フック部を用いた吊り下げ構造では、柵の安定性を確保するために、係止リングとそれに差し込まれる係止部材等を用いた別の構造物が必要であった。そのため、吊り下げ作業及び係止作業の2つの作業が必要となり、作業が非常に面倒であった。さらに、2つの構造を用意しなければならずコストも高かった。これに対し、本発明では、一対の挟み部材だけで柵を確実に支持できるので、柵設置の作業が楽であり、コストも低く抑えることができるようになった。
【0024】
柵を設置すべきベルトコンベヤの長さは非常に長くなる場合がある。例えば、鉱山における鉱石搬送システムにおいてはベルトコンベヤが数十メートルから数百メートルにわたるような場合がある。このような場合には、特に本発明の柵取付装置を用いることが、作業を楽にする上及びコストを低く抑える上で非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)はベルトコンベヤを使った搬送装置を示す図であり、(b)はその搬送装置に本発明に係る柵取付装置及び安全柵のそれぞれの一実施形態を付設した状態を示す図である。
【図2】図1(b)のB−B線に従ったベルトコンベヤ搬送装置の断面図である。
【図3】ベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵の主要部を拡大して示す正面図である。
【図4】本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置の一実施形態の分解斜視図である。
【図5】図4に示すベルトコンベヤの柵取付装置を組み立てた状態を示す側面図である。
【図6】本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵の他の実施形態を用いたベルトコンベヤ搬送装置の断面図である。
【図7】(a)はベルトコンベヤを使った搬送装置の他の例を示す図であり、(b)はその搬送装置に本発明に係る柵取付装置及び安全柵のさらに他の実施形態を付設した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(ベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵の第1の実施形態)
以下、本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0027】
図1(a)は、本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵が付設されるベルトコンベヤ搬送装置の全体を、搬送方向Aの側方から見た状態を示している。また、図1(b)はそのベルトコンベヤ搬送装置に本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵の一実施形態を付設した状態を示している。
【0028】
ベルトコンベヤ搬送装置は、図1(a)に示すように、駆動ローラ1と従動ローラ2とによって支持されたベルトコンベヤ3と、駆動ローラ1やその他の種々の構造部材を支持している機枠4と、ベルトコンベヤ3のキャリヤ側(すなわち、上走側)を覆っているカバー6とを有している。このベルトコンベヤ搬送装置は、例えば鉱山において産出される鉱石を搬送するために用いられる。この場合には、ベルトコンベヤ3は数十メートルから数百メートルといった非常に長い距離にわたって施設されることがある。
【0029】
搬送対象物、例えば鉱石、はベルトコンベヤ3のキャリヤ側3aに乗って矢印Aで示す方向へ搬送される。搬送後のベルトコンベヤ3は駆動ローラ1を迂回して下走側3bとなり、搬送対象物を受け取る位置である元の位置へ戻る。このようなベルトコンベヤ3の下走側3bをリターン側と呼ぶことがある。
【0030】
図1(b)のB−B線に従った断面図である図2において、ベルトコンベヤ3の上走行体であるキャリヤ側部分3aは、中央の水平ローラ5と、その両側に設けられた傾斜ローラ10,10とによって受けられて、図2の紙面奥側から紙面手前側へ向かう方向へ走行する。他方、ベルトコンベヤ3の下走行体であるリターン部分3bは水平ローラ15によって受けられて、図2の紙面手前側から紙面奥側へ向かう方向へ走行する。キャリヤ側の水平ローラ5及び傾斜ローラ10,10並びにリターン側の水平ローラ15は、図2の紙面と直交する方向へ複数個が互いに間隔を空けて設けられている。各傾斜ローラ10は、機枠であるコンベヤフレーム8上に固定された支柱20によって支持されている。支柱20も機枠の1つである。
【0031】
図1(a)において、機枠4は、地面等といった基準面上に置かれた基台フレーム7と、基台フレーム7の上方に設置されていてベルトコンベヤ3を支持しているコンベヤフレーム8と、基台フレーム7とコンベヤフレーム8との間に設けられた支柱である縦フレーム9とを含んでいる。駆動ローラ1の下側の一部分、従動ローラ2の下側の一部分、及びベルトコンベヤ3のリターン側(下走側)3bは、機枠4によって囲まれる空間の内部に納められている。
【0032】
機枠4の側面には、図1(b)に示すように、柵としての長方形状の網部材11が複数個、略隙間無く連続して並べて設けられている。図1(b)では機枠4の手前側側面に設けられた網部材11が図示されているが、図2に示すように、機枠4の後方側側面(図2の左側側面)にも同様の複数の網部材11が設けられている。
【0033】
網部材11は、図3に示すように、長方形状でリング状(すなわち、環状又は枠状)の比較的太い線材12の縦辺及び横辺の両方の内側に複数の細い線材13を張り渡すことによって形成されている。環状線材12とそれに隣接する縦及び横の線材13とによって囲まれる長方形状の開口領域(すなわち網目空間)の1つずつ、並びに縦方向及び横方向で互いに隣接する線材13によって囲まれる長方形状の開口領域(すなわち網目空間)の1つずつ、は後述する本体部の突出部を挿通させるための取付用穴14を構成している。取付用穴14は複数個が縦横に行列状に並んでいる。線材12及び線材13は金属製又は樹脂製の線材である。
【0034】
縦フレーム9は基板部9aの両側に起立部9b,9bが形成されて成る断面コ字形状に形成されている。網部材11は、縦フレーム9の起立部9bに取り付けられた柵取付装置16によって支持されている。柵取付装置16は、図4に示すように、本体部17を有している。本体部17は、縦フレーム9の一方の起立部9b(図3参照)に固定状態で取り付けられるための取付部18と、取付部18と一体な第2挟み部材としての第2面板19と、第2面板19から突出した突出部21とを有している。突出部21は長方形又は正方形の矩形状の板状であり、その幅Wは柵である網部材11に設けられた取付用穴14を通過できる大きさとなっている。また、突出部21の略中央部には第2面板19に対して交差する方向、実施形態では略直角方向に延びる長穴である第2開口22が設けられている。
【0035】
取付部18の中央部には溝23が設けられている。溝23を形成している取付部18の側壁にはネジ穴24が設けられている。このネジ穴24にボルト26がねじ込まれる。符号27a,27bはボルト26を固定するためのナットである。溝23内に縦フレーム9の起立部9bを挿入した上で、ボルト26を締め込むことにより、本体部17を縦フレーム9に固定できる。
【0036】
本実施形態では、ボルト26の緩み止めのためにダブルナット27a及び27bを用いたが、これに代えて、1つのナットを用いたシングルナット構造を採用することもできる。
【0037】
柵取付装置16は、さらに、第1挟み部材としての第1面板28を有している。第1面板28は本体部17の構成要素である第2面板19と略同じ形状に形成されている。また、第1面板28の略中央部には、本体部17の構成要素である突出部21の厚さよりも大きい幅であり、且つ突出部21の幅Wよりも大きい長さの長穴である第1開口29が設けられている。
【0038】
本体部17の構成要素である突出部21は網部材11の取付用穴14を貫通できる。第2面板19は、網部材11の縦横の細い線材13又はリング状の外枠の線材12に面接触できる。そして、第2面板19が線材12又は13に面接触しているときに、突出部21に第1面板28を挿入して、該第1面板28を第2面板19の反対側から線材12又は13に面接触させれば、第1面板28と第2面板19とによって網部材11を挟み付けることができる。
【0039】
第1面板28及び第2面板19の平面形状は、1つの取付用穴14の面積よりも小さくても良いが、望ましくは1つの取付用穴14の開口面積よりも大きくする。こうすれば、1つの取付用穴14を形成しているリング状線材12又は内部の直線状線材13の全周を第1面板28と第2面板19とによって挟み付けることができる。
【0040】
柵取付装置16は、さらに、規制部材31を有している。規制部材31の下側の一辺31aは長さが短く、その対辺31bはそれよりも長い長さとなっている。つまり、規制部材31の全体形状は楔形状となっている。規制部材31の長手側の一辺31cと上側の一辺31bとは略直角を成している。そして、長手側の他の一辺31dと上側の一辺31bとは直角よりも小さい角度、すなわち鋭角になっている。
【0041】
また、上側の一辺31bの長さは、第1面板28と第2面板19との両方を線材12又は13に面接触させたときに、突出部21の第2開口22のうちの第1面板28の外側に張り出している部分の長さよりも長く形成されている。このため、第1面板28及び第2面板19の両方が線材12又は13に面接触しているときに、突出部21の第2開口22に規制部材31を短い辺31a側から挿入すれば、規制部材31は第2開口22を貫通することなく、途中で止まって、第1面板28を第2面板19の方向へ押し付ける。これにより、第1面板28と第2面板19とによって線材12,13、すなわち網部材11をしっかりと挟み付けて支持できる。
【0042】
規制部材31の上端部には小孔32が設けられている。そして、この小孔32に連結用線部材としてのワイヤ33の一端が連結されている。ワイヤ33は、金属製、樹脂製、又は糸製である。そして、ワイヤ33の他端に引掛け用部材、例えば金属製又は樹脂製でS字状の引掛け用部材34が取り付けられている。引掛け用部材34は線材12,13に引掛けることができる。こうして引掛け用部材34を線材12,13に引掛けておくことにより、規制部材31を本体部17から取り外した後、その規制部材31が紛失することを防止できる。
【0043】
本実施形態に係るベルトコンベヤの柵取付装置16は以上のように構成されているので、これによって柵11をベルトコンベヤに付設する際には、まず、図4の本体部17の取付部18を、図5(a)に示すように、ボルト26及びナット27a,27bによって縦フレーム9の起立部9bに固定する。次に、図4において、柵としての網部材11の取付用穴14(複数の網目空間のいずれか1つ)を本体部17の突出部21に差し入れ、線材12又は13を第2面板19に面接触させる。第2面板19の平面形状が1つの取付用穴14の開口面積よりも大きい場合には、1つの取付用穴14を形成している線材12又は13の全周を第2面板19に面接触させることができる。
【0044】
次に、第1面板28の第1開口29を本体部17の突出部21に差し込み、第1面板28を線材12又は13に押し付ける。さらに、図5に示すように、規制部材31を本体部17の突出部21の第2開口22に差し込む。すると、規制部材31によって第1面板28が第2面板19の方向へ押し付けられ、そのため、第1面板28と第2面板19とが柵である綱部材11の線材12又は13をしっかりと挟持する。こうして、図1(b)に示すように、ベルトコンベヤ3の周囲、特に機枠4の内部に設置されたベルトコンベヤ3のリターン側3bの周囲に、複数の網部材11を容易には取り外せないように連続して設けることができる。これにより、作業者がベルトコンベヤ3の可動要素、例えばローラ、モータ等に触れることを柵11によって防止できる。つまり、柵11は安全柵として機能する。
【0045】
(ベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵の第2の実施形態)
図6は、本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵の他の実施形態をベルトコンベヤ搬送装置に付設した状態を示している。この実施形態で使用するベルトコンベヤ搬送装置は、ベルトコンベヤ3のキャリヤ側部分3aを覆うカバー6を有していないことにおいて、図2のベルトコンベヤ搬送装置と異なっている。それ以外の構成は図2のベルトコンベヤ搬送装置と同じである。
【0046】
本実施形態ではベルトコンベヤ3のキャリヤ側部分3aが外部に露出している。そして、傾斜ローラ10を支持している機枠としての支柱20の適所に柵取付装置16が固定されており、その柵取付装置16によって柵としての網部材11aが支持されている。網部材11aはベルトコンベヤ3のキャリヤ側部分3aの側方部分を外部から覆っている。網部材11aは複数個が図6の紙面と直角方向の方向、すなわちベルトコンベヤ3による物体の搬送方向、に沿って連続して並べて設けられている。
【0047】
以上のように、本実施形態では、ベルトコンベヤ3のキャリヤ側部分3aの側方が網部材11aによって覆われ、さらに、ベルトコンベヤ3のリターン側部分3bの側方が網部材11によって覆われている。この構成により、ベルトコンベヤ3に付属する可動部分(例えば、ローラ、モータ、プーリ、ギヤ、動力伝達ベルト等)に作業者が誤って触れることを網部材11及び11aによって防止できる。
【0048】
(ベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵の第3の実施形態)
図7(b)は本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵のさらに他の実施形態をベルトコンベヤ搬送装置に付設した状態を示している。図7(a)は、図7(b)の装置からベルトコンベヤの安全柵を取り外した状態のベルトコンベヤ搬送装置の全体を示している。
【0049】
図7(a)に示すベルトコンベヤ搬送装置が図1(a)に示したベルトコンベヤ搬送装置と異なる点は、図7(a)において機枠4が補強構造要素である斜めフレーム25を含んでいることである。斜めフレーム25それ自体は、縦フレーム9と同様に、基板部及び起立部を有する断面コ字形状に形成されている。
【0050】
図1(b)に示したベルトコンベヤの安全柵においては、柵取付装置16の全てが縦フレーム9の起立部9bに固定され、それらの柵取付装置16によって柵としての網部材11が支持されている。これに対し、図7(b)に示す本実施形態のベルトコンベヤの安全柵においては、一部の柵取付装置16が縦フレーム9ではなくて斜めフレーム25の起立部に固定されている。そして、縦フレーム9に固定された柵取付装置16と斜めフレーム25に固定された柵取付装置16とによって1つの網部材11が支持されている。このように、柵取付装置16は任意の機枠に固定することができる。
【0051】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0052】
例えば、上記の実施形態では鉱山で使用される鉱石搬送用のベルトコンベヤ搬送装置に本発明に係るベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵を付設したが、本発明のベルトコンベヤの柵取付装置及び安全柵は鉱石搬送用のベルトコンベヤ搬送装置に限られず、その他の任意のベルトコンベヤ搬送装置にも適用できる。
【0053】
上記の実施形態では柵として網部材11を用いたが、柵は網部材以外の任意の部材、例えば板状の部材、板状のフェンス等とすることができる。この場合、取付用穴は板状部材の適所に、例えば長穴等として形成される。
【0054】
上記実施形態では、図4に示したように、規制部材31の上端部(楔形状の長辺側の端部)にワイヤ33を連結した。これに加えて、第1面板28の適所、例えば図4の上側左角部に、引掛け用部材34を備えた同様のワイヤ33を連結することもできる。こうすれば、第1面板28も柵11の線材12,13に吊り下げることができ、第1面板28の紛失を防止できる。
【符号の説明】
【0055】
1.駆動ローラ、 2.従動ローラ、 3.ベルトコンベヤ、 3a.キャリヤ側部分、
3b.リターン側部分、 4.機枠、 5.水平ローラ、 6.カバー、 7.基台フレーム、 8.コンベヤフレーム、 9.縦フレーム(支柱)、 9a.基板部、 9b.起立部、 10.傾斜ローラ、 11.網部材(柵)、 11a.網部材(柵)、 12.リング状(環状)線材、 13.細い線材、 14.取付用穴、 15.水平ローラ、 16.柵取付装置、 17.本体部、 18.取付部、 19.第2面板(第2挟み部材)、 20.支柱(機枠)、 21.突出部、 22.第2開口、 23.溝、 24.ネジ穴、 25.斜めフレーム(機枠)、 26.ボルト、 27a,27b.ナット、 28.第1面板(第1挟み部材)、 29.第1開口、 31.規制部材、 31a,31b,31c,31d.規制部材の辺、 32.小孔、 33.ワイヤ、 34.S字状部材(引掛け用部材)、 A.ベルトコンベヤの搬送方向、 W.幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付用穴を備えた柵を機枠によって支持されたベルトコンベヤの周囲に設置するための柵取付装置であって、
前記機枠に取付けられる本体部と、該本体部に着脱される第1挟み部材と、該第1挟み部材の動きを規制する規制部材とを有しており、
前記本体部は、
固定手段によって前記機枠に固定される取付部と、
該取付部と一体であり前記柵と平面的に接触できる接触面を備えた第2挟み部材と、
前記第2挟み部材の接触面から突出した突出部と、を有しており、
前記第1挟み部材は、前記柵と平面的に接触できる接触面を備えており、前記突出部を通すことができる第1開口を有しており、前記突出部に沿って前記本体部の第2挟み部材に近付き又は遠ざかる方向へ移動でき、
前記突出部は前記柵の取付用穴を通ることができ、前記第2挟み部材の接触面と交差する方向に延びる第2開口を有しており、
前記規制部材は、前記突出部の第2開口に挿入された状態で、前記第1挟み部材が前記第2挟み部材から離れる方向へ移動することを規制する
ことを特徴とするベルトコンベヤの柵取付装置。
【請求項2】
前記柵は、環状の線材によって囲まれた領域内に複数の直線状の線材を直交2方向へ互いに間隔を空けて配置して成る網部材であり、
前記取付用穴は、前記環状の線材と前記直線状の線材とによって囲まれる開口領域、又は前記複数の直線状の線材のうちの隣接するもの同士によって囲まれる開口領域である、
ことを特徴とする請求項1記載のベルトコンベヤの柵取付装置。
【請求項3】
前記第1挟み部材及び前記第2挟み部材の少なくとも一方は、前記柵に設けられた取付用穴の全領域を覆うことができる形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のベルトコンベヤの柵取付装置。
【請求項4】
前記規制部材は前記第1挟み部材を前記第2挟み部材の方向へ押し付ける部材であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のベルトコンベヤの柵取付装置。
【請求項5】
前記規制部材は、短辺と長辺とが互いに対向して成る楔部材であり、該楔部材は短辺側から前記突出部の第2開口へ挿入され、前記第1挟み部材を前記第2挟み部材の方向へ押し付けることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のベルトコンベヤの柵取付装置。
【請求項6】
前記ベルトコンベヤは物体を搬送する走行部分であるキャリヤ側部分と、物体を受け取る位置へ戻る走行部分であるリターン側部分と、前記キャリヤ側部分を覆うカバーとを有しており、
前記機枠は前記ベルトコンベヤのリターン側部分の周囲に配置された複数のフレームであり、
前記柵は前記ベルトコンベヤのリターン側部分の周囲に設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のベルトコンベヤの柵取付装置。
【請求項7】
前記ベルトコンベヤは物体を搬送する走行部分であるキャリヤ側部分と、物体を受け取る位置へ戻る走行部分であるリターン側部分とを有しており、
前記機枠は前記ベルトコンベヤのキャリヤ側部分及びリターン側部分の周囲に配置された複数のフレームであり、
前記柵は前記ベルトコンベヤのキャリヤ側部分及びリターン側部分の周囲に設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のベルトコンベヤの柵取付装置。
【請求項8】
機枠によって支持されたベルトコンベヤの周囲に設置される安全柵であって、
取付用穴を備えた柵と、該柵を前記機枠に取り付けるための柵取付装置とを有する安全柵において、
前記柵取付装置は請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の柵取付装置であることを特徴とするベルトコンベヤの安全柵。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−184193(P2011−184193A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54773(P2010−54773)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(000227250)日鉄鉱業株式会社 (82)