説明

ベルトコンベヤ乗り継ぎ構造

【課題】ベルトコンベヤ乗り継ぎ部分で、搬送物の落下エネルギーを有効に使用する。
【解決手段】上流側ベルトコンベヤ1の搬出端部1a下方に、下流側ベルトコンベヤ6の上流端部6aを配置して、上記搬出端部1aから落下した搬送物を上記上流端部6aに乗り継がせる。上記搬出端部1aと上流端部6aとの間に配置されて、上記搬出端部1aから落下する搬送物の落下エネルギーによって所定回転軸P周りに回転する回転体7と、その回転体7の回転軸Pに連結する発電機9とを備える。発電機9が発電した電力はコンベヤの駆動エネルギーとして回生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側ベルトコンベヤから下流側ベルトコンベヤに搬送物の乗り継ぎを行うベルトコンベヤ乗り継ぎ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤ乗り継ぎ部分では、レイアウトの制約で、上流側ベルトコンベヤから下流側ベルトコンベヤまでの落差が大きいことが多い。この場合、上流側ベルトコンベヤから搬出されるバラ物や粉体などの搬送物の持つ水平方向の運動エネルギーに加え、重力による位置エネルギーも大きいことから、そのまま若しくはシュートを使用して、搬送物をそのまま下流側のベルトコンベヤに落とすと、上記エネルギーによってベルトコンベヤを摩耗させたり、うまく乗り継げなくて零れたりする等の問題がある。
【0003】
このため、従来にあっては、上記エネルギーを緩和するために、シュートを階段状にしたり、落下途中に羽根車を配置したりして上記エネルギーを分散し、ベルト摩耗や乗り継ぎ時の零れ防止を図っている(特許文献1,特許文献2参照)
【特許文献1】実願昭56-80323号公報
【特許文献2】実願昭56-107723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術では、羽根車等のエネルギー分散用構造物は、単に落下してくる搬送物の落下エネルギーを分散しているに過ぎない。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、搬送物の落下エネルギーを有効に使用することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、上流側のベルトコンベヤの搬出端部の下方に、下流側のベルトコンベヤの上流端部を配置して、上記搬出端部から落下した搬送物を上記上流端部に乗り継がせるベルトコンベヤ乗り継ぎ構造において、
上記搬出端部と上流端部との間に配置されて、上記搬出端部から落下する搬送物の落下エネルギーによって所定回転軸周りに回転する回転体と、その回転体の回転軸に接続する発電機とを備えることを特徴とするものである。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の構成に対し、上記発電機で発電された電力は、上流側のベルトコンベヤ及び下流側のベルトコンベヤの少なくとも一方のコンベヤ駆動装置の給電部に供給されることを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、上記回転体は、回転体本体と、その回転体本体から放射状に延びる複数の羽根部とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、搬送物の乗り継ぎの際の落下エネルギーを有効に利用して電力を発生することが可能となる。ここで、コンベヤの搬送物でエネルギー回収を行うという発想は、従来ないものと思われる。
このとき、請求項2に記載の発明では、発電した電力がベルトコンベヤ駆動のために回生されて省電力化を図ることができる。
また、請求項3の発明では、搬送物の落下エネルギーを有効に利用して回転体を可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のベルトコンベヤ乗り継ぎ部分の概要構成図である。
上流側のベルトコンベヤ1の搬出端部1aの下方に、下流側のベルトコンベヤ6の上流端部6aが配置されている。符号2は、上流側ベルトコンベヤ1の搬出端部1aに配置されたドライブプーリで、電動機4によって減速機3を介して駆動される。電動機4は、給電装置13から供給される電力で駆動される。また、符号5は、下流側ベルトコンベヤ6の上流端部6aに配置されたテールプーリである。
【0008】
その上下にオフセットして配置された、上流側ベルトコンベヤ1の搬出端部1aと下流側ベルトコンベヤ6の上流端部6aとの間の搬送物の落下経路に、回転体7が配置されている。回転体7は、搬送物の搬送方向に直交する方向(ドライブプーリ2の回転軸と平行な方向)に回転軸Pを向けた回転体本体7aと、その回転体本体7aから外径方向に突出し且つ放射状に配置された複数の羽根板7bとから構成されている。なお、回転体7の羽根板7bの上若しくは、羽根板7b間の凹部に搬送物が落下する位置に調整しておく。
【0009】
上記回転体7の回転軸Pは、増速機8若しくは減速機を介して発電機9に接続されている。増速機8若しくは減速機は、後段の発電機9の効率が最大となる回転速度となるように、適宜選択して配置するが、場合によっては省略しても良い。
上記発電機9で発電された電力は、整流装置11で整流され変圧装置12で変圧された後に、上記電動機4の給電装置13に供給される。
【0010】
ここで、発電機8の電流特性は、コンベヤベルトを駆動する電動機4に合わせて交流とすればよい。もっとも、直流でも良くインバータなどで交流に変換して上記給電装置13に供給すればよい。
図1中において、符号10a〜10eによって、コンベヤで搬送される、バラ荷や粉体などの搬送物におけるコンベヤ乗り継ぎ時の搬送路を示す。
【0011】
上記構成によれば、上流側ベルトコンベヤ1の搬出端部1aから落下した搬送物は、回転体7に衝突して落下エネルギーの一部を消費したのちに、下流側のベルトコンベヤ6の上流端部6aに落下し、該下流側ベルトコンベヤ6の上行きベルトによって搬送される。
連続的に落下してくる搬送物によって回転体7は回転し、その回転によって発電機9が発電して電力を発生する。その電力は、上流側ベルトコンベヤ1の駆動エネルギーの一部として回生されることで、コンベヤ駆動の省電力化を図ることができる。なお、上記電力は、下流側ベルトコンベヤ6の駆動装置に給電部に供給しても良い。
【0012】
ここで、上記実施形態では、発電機9の発電した電力を給電装置4に直接供給する構成としているが、途中に蓄電池を設け、該蓄電池に電力を供給するようにしても良い。また、他の電気設備への給電として利用しても良い。
また、図2のように、上記回転体7の軸方向両側に対し、隣り合う羽根板7b間の隙間を塞ぐ(若しくは隣り合う羽根板7b間に架け渡された)、フランジ状の壁部7cを設けてもよい。この構成を採用すると、特に搬送物が粉体や粒体などの場合に、羽根板7b間の凹部空間に落下した搬送物が回転体7の軸方向両側から零れ落ちることを回避できる。
【0013】
また、上記回転体7は、従来と同様に、落下する搬送物の落下エネルギーを分散して下流側ベルトコンベヤ6のベルトの摩耗低減や零れ防止の効果も奏する。
ここで、回転体7は上記構成に限定されない。例えば、上流側ベルトコンベヤ1の搬出端部1aと下流側ベルトコンベヤ6の上流側端部との間の上下距離が大きい場合には、図3に示すようなバケットエレベータの回転部で上記回転体7を構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る概要構成図である。
【図2】回転体を示す図である。
【図3】別の回転体を示す図である。
【符号の説明】
【0015】
1 上流側ベルトコンベヤ
2 ドライブプーリ
4 電動機
6 下流側ベルトコンベヤ
7 回転体
7a 回転体本体
7b 羽根板
9 発電機
P 回転軸
10a〜10e 搬送物の搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側のベルトコンベヤの搬出端部の下方に、下流側のベルトコンベヤの上流端部を配置して、上記搬出端部から落下した搬送物を上記上流端部に乗り継がせるベルトコンベヤ乗り継ぎ構造において、
上記搬出端部と上流端部との間に配置されて、上記搬出端部から落下する搬送物の落下エネルギーによって所定回転軸周りに回転する回転体と、その回転体の回転軸に接続する発電機とを備えることを特徴とするベルトコンベヤ乗り継ぎ構造。
【請求項2】
上記発電機で発電された電力は、上流側のベルトコンベヤ及び下流側のベルトコンベヤの少なくとも一方のコンベヤ駆動装置の給電部に供給されることを特徴とする請求項1に記載したベルトコンベヤ乗り継ぎ構造。
【請求項3】
上記回転体は、回転体本体と、その回転体本体から放射状に延びて落下してきた搬送物を受ける複数の羽根部と、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したベルトコンベヤ乗り継ぎ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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