説明

ベルトコンベヤ用プーリ

【課題】ベルトに付着して堆積した搬送物の残渣或いはダストなどが極めて有効に掻き取られて強制的に剥離すると共に、掻き取った残渣或いはダストを強制的に外側に排出するようにしたプーリを提供する。
【解決手段】シャフト1と、このシャフトの両端部に前記シャフトと共に回転するように設けた端板3と、この両端板の全周縁等間隔位置に両端を支持させて多数並列状に配置したバー材4と、上記端板に設けた排出窓と、上記バー材間から落下した掻取落下物を上記排出窓から排出するように設けた排出手段7とからなる篭型プーリにおいて、上記プーリの外周面中央から両端に一方が左巻きに対し他方が右巻きの螺旋状の掻取移送突出条8を設けた構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベルトコンベヤ用のプーリに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤを構成するベルトの反転部を支承するプーリとベルトとの接触を極力少なくし、かつベルトの裏面に付着して堆積した搬送物の残渣或いはダストなどが剥離し、この剥離物をプーリ内に落下させて排出するようにしたプーリ(篭型プーリ)は、既に知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−194425号公報
【特許文献2】実開平04−19511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のプーリは、円筒型の胴部と、この胴部を支える軸部とから構成され、胴部には、外周面から内周面まで貫通する複数のスリットが軸方向に形成されている。また、特許文献2のプーリは、外周部に多数の横桟を架設して形成されている。
【0005】
上記のような構成のプーリにあっては、ベルトに付着して堆積した搬送物の残渣或いはダストなどをスリットの開放縁や並列する横桟の縁で掻き取る方式のため、スリットの開放縁や横桟の縁に対する接触部位や非接触部位ができ、良好な掻き取りができないと共に、掻き取りながらサイド(両サイド方向)方向への移送ができない問題があった。すなわち、積極的な掻き取り作用がない。
【0006】
また、横桟の間隙からプーリ内に落下したベルトの付着搬送物の水滴や、残渣或いはダストが落下して、シャフトの外周面や端板の内側面に付着するので、錆の発生や腐食の発生原因となる。すると、長期運転に耐久性がない問題が発生した。
【0007】
特に、端板に篭型プーリ内の搬送物の残渣或いはダストの落下物の排出窓(貫孔)を設けてあると、ベルトの張力や搬送物の重量が作用して破損するので、長期運転に対する耐久性がない。
【0008】
勿論、上記の問題は、防錆手段がないため、錆が発生して腐食による問題も起因し、さらに、内部に落下する粒状体の衝撃により、特に上記の問題は、シャフトにも発生する。
【0009】
そこで、この発明は、上述の問題を解決したベルトコンベヤ用プーリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、シャフトと、このシャフトの両端部に前記シャフトと共に回転するように設けた端板と、この両端板の全周縁等間隔位置に両端を支持させて多数並列状に配置したバー材と、上記端板に設けた排出窓と、上記バー材間から落下した掻取落下物を上記排出窓から排出するように設けた排出手段とからなる篭型プーリにおいて、上記プーリの外周面中央から両端に一方が左巻きに対し他方が右巻きの螺旋状の掻取移送突出条を設けた構成を採用する。
【0011】
また、シャフトと、このシャフトの両端部に前記シャフトと共に回転するように設けた無孔の端板と、この両端板の全周縁等間隔位置に両端を支持させて多数並列状に配置したバー材とからなる篭型のプーリにおいて、このプーリの外周面中央から両端に一方が左巻きに対し他方が右巻きの螺旋状の掻取移送突出条を設け、また上記シャフトの外側及び両端板の内側面に共に回転する前記シャフト及び端板の防御カバーを設けた構成を採用する。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、この発明のプーリによれば、並列バー材の外周に設けてある螺旋状の掻取移送突出条とベルトとの接触によりベルトに付着して堆積した搬送物の残渣或いはダストなどが極めて有効に掻き取られて強制的に剥離すると共に、掻取移送突出状を、一方左巻きに対し他方右巻きのスパイラルとしたため、プーリの中央からプーリの両端に向け上記掻き取った搬送物の残渣或いはダストを強制的に外側へ移送しながら排出することができ、かつ、掻取移送突出条によってベルトとプーリとの接触面積を大幅に減少させることもできる。
【0013】
また、排出窓のない無孔の端板(鏡板)を用いているので、端板の強度低下がないため端板の破損原因がなく長期の運転に耐えることができ、そしてカバーによりシャフトや端板の内側面を被っているので、錆の発生原因はもとよりプーリ内への落下粒状体による衝撃もなく大幅な耐久性の向上をはかって、安定した運転を保障することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明の第1の実施プーリを示す正面図である。
【図2】図2は、同上の縦断正面図である。
【図3】図3は、同縦断側面図である。
【図4】図4は、第2の実施プーリを示す一部切欠正面図である。
【図5】図5は、同上の側面図である。
【図6】図6は、カバーの他の例を示す一部切欠正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の第1の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1から図3に示すAは、篭型のプーリである。
上記のプーリAは、シャフト1と、このシャフト1の両端部にシャフト1と共に回転するように(図示の場合シャフト1にキー2止めして)設けた端板3,3と、この両端板3,3の全周縁等間隔位置に両端を溶接などで支持させて多数並列状に配置したバー材4とで構成されている。
上記のバー材4に図示の場合は板状体を用いたが、鋼棒などであってもよい。
【0017】
なお、端板3の周縁等間隔位置に切欠き5を設けて、この切欠き5にバー材4の端を嵌め込むことで、各バー材4を正確に、かつ安定よく配置することができる。
【0018】
また、端板3には、複数の排出窓6が設けてある。
そして、バー材4間からプーリA内に落下した落下物の排出手段は、図示のプーリA内のシャフト1の外側に両端間の中央の大径部がプーリAの中央に位置し、かつ両端の小径部が端板3の排出窓6のシャフト1側縁に合致させた筒状の傾斜案内部7を配置しておくことにより、バー材4間の間隙を通過してプーリA内に落下した搬送物の残渣或いはダストなどを排出窓6に向け案内して、排出窓6からプーリA外にスムーズに排出することができる。
【0019】
なお、上記傾斜案内部材7の排出手段に代えて、特許文献1(特開平10−194425号公報)に記載のスクリュー羽根を設けて落下物を排出するようにしてもよい。
【0020】
さらに、プーリAの外周には、プーリAの両端間中央から一端迄に左巻きの、プーリAの両端間中央から他端迄に右巻きの螺旋状の掻取移送突出条8,8が設けてある。
【0021】
上記のように構成すると、ベルトaと掻取移送突出条8との接触にともないベルトaに付着している堆積した搬送物の残渣或いはダストを有効に掻き取って、バー材4間からプーリA内に落下させると共に、上記の掻取移送突出条8を、プーリAの中間(両端間の)から一端迄を左巻き、プーリAの中間から他端迄を右巻きの螺旋状としてあるので、掻き取った残渣やダストをベルトの両側方向に順次移送しながらスムーズに排出することもできる。
【0022】
次に、この発明の第2の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図4から図6に示すA´は、篭型のプーリである。
上記のプーリA´は、シャフト11と、このシャフト11の両端部にシャフト11と共にキー2´止めにより回転するように設けた無孔、無窓の端板(鏡板)13,13と、この端板13,13の全周縁等間隔位置に両端を溶接などで支持させて多数並列状に配置したバー材14とで構成されている。
上記のバー材14は、図示の場合板状体を用いたが、鋼棒などであってもよい。
【0024】
なお、端板13の周縁等間隔位置に第1の実施形態と同様に切欠き15を設けて、この切欠き15にバー材14の端を嵌め込むことで、各バー材14を正確に、かつ安定よく配置することができる。
【0025】
また、プーリA´内には、シャフト11の外周面及び両端板13,13の内側面の防御カバーBが設けてある。
【0026】
上記の防御カバーBは、図4に示すようにシャフト11の両端部外側に嵌装した筒状部21と、この筒状部21の両端縁から連なって(一体的に設けるか、或いは筒状部21の端縁に溶接などにより接続して)端板13の内側面を被うように、端板13の周縁部内側面に開放縁を溶接などにより取り付けた漏斗状部22とで構成したが、限定されず、例えば小径端縁を連結対の漏斗状部により構成することもある。要するに、シャフト11の外周面と端板13の内面を被って防御する。
【0027】
さらに、プーリA´の外周には、プーリA´の両端間中央から一端迄に左巻きの、プーリA´の両端間中央から他端迄に右巻きの螺旋状の掻取移送突出条18,18が設けてある。
【0028】
上記のように構成すると、シャフト11の外周と端板13の内側面をカバーBにより被ってあるので、並列バー材14の間隙からプーリA´内に落下した水滴や搬送物の残渣或いはダストによりシャフト11及び端板13の防錆に効果があり、防錆や付着物による腐食を防止して耐久性を著しく向上すると共に、プーリ内に落下した粒状体のシャフトや端板への衝撃をカバーにより防止する以外に、端板に貫孔や貫窓がないため強度の低下にともなう故障原因を回避する。
【0029】
そして、バー材14の外周に設けてある掻取移送突出条18により第1の実施形態と同様のベルトaに付着した残渣やダストを掻き取ると共に、掻き取った残渣やダストとベルトの側縁に送り出して排出することができる。そしてベルトaの張力は、端板13からシャフト11に伝わり、端板13が無孔のため破損などがない。
【0030】
なお、 前述の掻取移送突出条8,8,18,18は、バー材4,14に溶接により固定してある。
【符号の説明】
【0031】
A、A´ プーリ
B カバー
a ベルト
1、11 シャフト
2 キー
3、13 端板
4、14 バー材
5、15 切欠き
6 排出窓
7 傾斜案内部材
8、18 掻取移送突出条
21 筒状部
22 漏斗状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、このシャフトの両端部に前記シャフトと共に回転するように設けた端板と、この両端板の全周縁等間隔位置に両端を支持させて多数並列状に配置したバー材と、上記端板に設けた排出窓と、上記バー材間から落下した掻取落下物を上記排出窓から排出するように設けた排出手段とからなる篭型プーリにおいて、上記プーリの外周面中央から両端に一方が左巻きに対し他方が右巻きの螺旋状の掻取移送突出条を設けたことを特徴とするプーリ。
【請求項2】
シャフトと、このシャフトの両端部に前記シャフトと共に回転するように設けた無孔の端板と、この両端板の全周縁等間隔位置に両端を支持させて多数並列状に配置したバー材とからなる篭型のプーリにおいて、このプーリの外周面中央から両端に一方が左巻きに対し他方が右巻きの螺旋状の掻取移送突出条を設け、また上記シャフトの外側及び両端板の内側面に共に回転する前記シャフト及び端板の防御カバーを設けたことを特徴とするプーリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−173661(P2011−173661A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34234(P2010−34234)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(504385982)株式会社JRC (17)
【Fターム(参考)】