説明

ベルトコンベヤ蛇行修正方法およびベルトコンベヤ蛇行修正装置

【課題】キャリヤ側ベルトとリターン側ベルトを有する無端の搬送ベルトにおけるリターン側ベルトの蛇行修正力を容易にして確実に改善する修正方法と修正装置の提供。
【解決手段】リターン側ベルト1bの進行方向Qと平行な方向に正逆旋回可能に設置されたリターン側ベルト蛇行修正用ベルト調芯機構30と、キャリヤ側ベルト1aの蛇行でキャリヤ側ベルト1aに押圧されて変位する一対の変位手段41および変位手段41の変位によるキャリヤ側ベルト1aの蛇行方向移動力をベルト調芯機構30に伝達してベルト調芯機構30を独自に旋回させる旋回力伝達手段を有する旋回助勢機構40を具備する。リターン側ベルト蛇行修正のためのベルト調芯機構30の旋回を、キャリヤ側ベルト1aの蛇行力でも行うようにして、ベルト調芯機構30のリターン側ベルト蛇行修正能力を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤのベルト蛇行修正方法および蛇行修正装置で、詳しくは、対向して互いに逆方向に進行するキャリヤ側ベルトとリターン側ベルトを有するベルトコンベヤにおけるリターン側ベルトの蛇行修正方法および蛇行修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土砂やセメントなどの所謂バラ物の搬送装置として使用されるベルトコンベヤの概要を図5に示す。図5のベルトコンベヤは、長尺な無端の搬送ベルト1を備える。搬送ベルト1は、バラ物を積載して略水平な方向Pに進行するキャリヤ側ベルト1aと、キャリヤ側ベルト1aの進行方向Pと180°逆方向Qに進行するリターン側ベルト1bから成る。キャリヤ側ベルト1aとリターン側ベルト1bは、上下でほぼ平行に対向する。上段のキャリヤ側ベルト1aは、その進行方向Pに所望の間隔で並列に並ぶ複数のキャリヤローラ2aで保持されて進行し、進行先のプーリ3で180°下方に方向転換してリターン側ベルト1bになる。リターン側ベルト1bは、その進行方向Qに所望の間隔で並列に並ぶ複数のリターンローラ2bで保持されて進行し、進行先のプーリ4で180°上方に方向転換してキャリヤ側ベルト1aになる。プーリ4近くのキャリヤ側ベルト1a上にバラ物(図示せず)が投入されて、図5で左から右方向の進行方向Pに搬送される。キャリヤ側ベルト1aが進行先のプーリ3に達するまでにキャリヤ側ベルト1a上からバラ物が排出され、空になったキャリヤ側ベルト1aがプーリ3に至る。通常においては、バラ物を積載して搬送するキャリヤ側ベルト1aがベルト張力の大きな張り側ベルトであり、リターン側ベルト1bがベルト張力の小さな緩み側ベルトである。なお、図5の鎖線は、後述するリターン側ベルト蛇行修正用ベルト調芯機構10である。
【0003】
キャリヤ側ベルト1aとリターン側ベルト1bは、進行中に左右いずれかに蛇行することがある。キャリヤ側ベルト1aが蛇行すると、その蛇行がリターン側ベルト1bに波及する。キャリヤ側ベルト1aの蛇行を放置すると、蛇行量が増大して進行に支障が生じ、キャリヤ側ベルト1aから積載物がこぼれ落ちたりすることがある。リターンローラ2b上でのリターン側ベルト1bの蛇行を放置すると、その蛇行量が増大して進行に支障が生じる。また、リターン側ベルト1bの蛇行がそのままキャリヤ側ベルト1aに波及して、キャリヤ側ベルト1aの蛇行を助長することがある。そこで、キャリヤ側ベルト1aとリターン側ベルト1bそれぞれの蛇行量が許容値を超えると、各ベルトそれぞれの蛇行を独自に自動修正するようにした様々なベルト調芯機構が開発され、実用化されている。
【0004】
上記ベルト調芯機構は、ベルト進行方向に平行な方向に正逆旋回可能なベルト調芯用旋回ローラ(調芯ローラ)をベルト(キャリヤ側ベルトまたはリターン側ベルト)にベルト幅方向で接触させて、ベルトが蛇行するとその蛇行を修正する方向に旋回ローラを旋回させるものが一般的である。この旋回ローラの旋回は、ベルトが幅方向に蛇行して移動する際の移動力(蛇行力)を直接的に利用して行うものと、ベルトの蛇行をセンサなどで検出してシリンダなどの動力源を使用して行うものがある。また、旋回ローラは、キャリヤローラやリターンローラと同様な円柱ローラや、外周が円錐状のテーパ型ローラが適用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図5の鎖線で示すベルト調芯機構10は、ベルトコンベヤにおけるリターン側ベルト1bの蛇行を自動修正する既知のベルト調芯機構で、その概要を図6及び図7に示す。同図のベルト調芯機構10は、サイドローラレス型自動調芯リターン調整方式のもので、一対のテーパ型旋回ローラ11を備える(例えば、特許文献2参照)。進行方向Qに平行に固定された一対のフレーム17に直交方向にスタンド支持体12を固定し、スタンド支持体12下にローラスタンド13を旋回軸14を中心に進行方向Qと平行な方向に正逆旋回可能に設置する。ローラスタンド13は、リターン側ベルト1bの幅方向に延在する剛体である。ローラスタンド13の長さ方向両端部分に一対のテーパ型旋回ローラ11を軸受15で回転自在に設置する。一対の旋回ローラ11の外周下部にリターン側ベルト1bの上面が押し当てられた状態で、リターン側ベルト1bが進行方向Qに進行する。
【0006】
なお、リターン側ベルト1bは、図示しないテンションローラなどで旋回ローラ11に押し当てられて進行する。図6に示すキャリヤ側ベルト1aは、幅方向中央部と両端部が対応するキャリヤローラ2aで保持されて進行する。
【0007】
図7の平面図で示すように、キャリヤ側ベルト1aの進行方向Pとリターン側ベルト1bの進行方向Qは180°逆になる。図6と図7は、キャリヤ側ベルト1aとリターン側ベルト1bが左右いずれにもほとんど蛇行しないときのものである。キャリヤ側ベルト1aが進行方向Pに対して図7で右側に蛇行すると、リターン側ベルト1bが進行方向Qに対して左側(図7では右側)に蛇行する。リターン側ベルト1bがほとんど蛇行しない場合、一対の旋回ローラ11が旋回せずに、リターン側ベルト1bの上面の幅方向両端部にほぼ等しい長さで接触し、リターン側ベルト1bの進行で従動回転する。リターン側ベルト1bが進行方向Qに対して左右何れかの方向に蛇行すると、接触する一対のテーパ型旋回ローラ11の外周のローラ径の差で生じるベルト左右での周速度差と、摩擦抵抗のアンバランスにより一対の旋回ローラ11がリターン側ベルト1bの蛇行を修正する方向に旋回する。例えば、図8に示すように、リターン側ベルト1bが進行方向Qに対して左方向(図8で右側)に蛇行すると、一対の旋回ローラ11が図8で時計方向に旋回する。この旋回でリターン側ベルト1bが進行方向Qに対して右方向(図8で左側)に移動して、リターン側ベルト1bの蛇行が自動修正される。リターン側ベルト1bが蛇行修正されるに従って一対の旋回ローラ11が元の位置へと反時計方向に逆旋回する。
【特許文献1】特開平09−020415号公報(図1)
【特許文献2】特開平08−0225131号公報(図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図5に示すキャリヤ側ベルト1aの上面は、積載物で濡れる等する汚れ側ベルト表面であり、下面は積載物が付着しない綺麗側ベルト裏面である。上記リターン側ベルト蛇行修正用旋回ローラ11は、リターン側ベルト1bの上面の綺麗側ベルト裏面に接触して、この裏面との摩擦抵抗の作用で比較的安定して旋回し、リターン側ベルト1bの蛇行を自動修正する。ところが、リターン側ベルト1bは、ベルト張力がキャリヤ側ベルト1aより小さい緩み側ベルトであるため、旋回ローラ11に接触する上面が綺麗なベルト裏面であっても旋回ローラ11との摩擦抵抗が小さくて、リターン側ベルト1bの蛇行で旋回ローラ11が旋回し難い。そのため、旋回ローラ11によるリターン側ベルト1bの蛇行修正力を改善することが難しい。特に、旋回ローラ11と接触するリターン側ベルト1bの上面が風雨によって濡れた場合、旋回ローラ11とリターン側ベルト1bの間の摩擦抵抗力が極端に低下して、旋回ローラ11の旋回機能が作用せず、リターン側ベルト1bの蛇行修正が事実上できないことがある。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、リターン側ベルトの蛇行修正力を容易にして確実に改善することのできる蛇行修正方法及び修正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明方法は、対向して互いに逆方向に進行するキャリヤ側ベルトとリターン側ベルトを有するベルトコンベヤにおけるリターン側ベルトの蛇行修正方法であって、リターン側ベルトの進行方向と平行な方向に正逆旋回可能に設置され、リターン側ベルトの蛇行に応じて正逆いずれかの方向に旋回してリターン側ベルトの蛇行を修正するベルト調芯機構を、キャリヤ側ベルトが蛇行する際のキャリヤ側ベルトの蛇行方向移動力で旋回させることを特徴とする。
【0011】
ここで、キャリヤ側ベルトは積載物を搬送する張り側ベルトであり、リターン側ベルトは積載物を積載しない空の緩み側ベルトであることが望ましい。キャリヤ側ベルトとリターン側ベルトが無端の軌道を進行して、無端の搬送ベルトを備えたベルトコンベヤを構成する。リターン側ベルトの蛇行を修正するベルト調芯機構は、リターン側ベルトの表裏いずれかの片面にベルト幅方向で接触する円柱状やテーパ型の旋回ローラ(調芯ローラ)を備える。このリターン側ベルト専用のベルト調芯機構は、既存設備をそのまま適用することができる。リターン側ベルト専用のベルト調芯機構で独自にリターン側ベルトの蛇行を自動修正する際に、リターン側ベルトの蛇行時に蛇行するキャリヤ側ベルトの蛇行方向移動力(蛇行力)でベルト調芯機構を積極的に旋回させる。リターン側ベルトよりベルト張力の大きな張り側ベルトのキャリヤ側ベルトは、蛇行したときの蛇行力が強力であり、この強力な蛇行力で直接的にリターン側ベルト専用のベルト調芯機構を旋回させることで、ベルト調芯機構の旋回による蛇行修正力が大きくかつ安定したものとなり、緩み側ベルトのリターン側ベルトの蛇行修正機能が増す。
【0012】
上記目的を達成する本発明装置は、対向して互いに逆方向に進行するキャリヤ側ベルトとリターン側ベルトを有するベルトコンベヤにおけるリターン側ベルトの蛇行修正装置であって、リターン側ベルトの進行方向と平行な方向に正逆旋回可能に設置され、リターン側ベルトの蛇行に応じて正逆いずれかの方向に旋回してリターン側ベルトの蛇行を修正するベルト調芯機構と、キャリヤ側ベルトの両側方に設置され、キャリヤ側ベルトが蛇行する際のキャリヤ側ベルトの蛇行方向移動力で変位する一対の変位手段、および、変位手段の変位によるキャリヤ側ベルトの蛇行方向移動力をベルト調芯機構に伝達してベルト調芯機構を旋回させる旋回力伝達手段を有する旋回助勢機構とを具備したことを特徴とする。
【0013】
ここでの旋回助勢機構における一対の変位手段は、蛇行しないキャリヤ側ベルトの両側方に配置され、キャリヤ側ベルトが所定の許容値を超えて蛇行すると、キャリヤ側ベルトの側端で押圧されてベルト幅外方向へと変位するローラやレバー、リンク類が適用できる。キャリヤ側ベルトが左右いずれかに許容値を超えて蛇行すると、一対の変位手段のベルト蛇行方向側の一方がベルト移動時の蛇行力を受けて変位する。この変位によるキャリヤ側ベルトの蛇行方向移動力が、旋回力伝達手段でベルト調芯機構に直接に伝達されて、ベルト調芯機構がキャリヤ側ベルトの蛇行を修正する方向に積極的に旋回する。旋回力伝達手段は、一対の変位手段の変位力を減じることなく機械的にベルト調芯機構に伝達するリンク機構が適用できる。このリンク機構は、一対の変位手段に共通に配備して一方の変位手段の変位で他方の変位手段を逆方向に変位させるものや、一対の変位手段それぞれに独立的に配備して一方の変位手段が変位しても他方は変位させないものが適用できる。
【0014】
また、本発明においては、上記旋回力伝達手段は、リターン側ベルトの幅方向に往復移動可能に配置されて両端が一対の変位手段に連接されたリンク機構と、当該リンク機構とベルト調芯機構を連接してリンク機構の往復移動力でベルト調芯機構を旋回させる旋回部材を有する構成とすることができる。
【0015】
ここでのリンク機構は、一対の変位手段に共通に配備されて、一方の変位手段の変位で他方の変位手段を逆方向に変位させる。このリンク機構は、一対の変位手段間に配備される一本のリンクロッドを備えた構造とすることができる。旋回部材は、ベルト調芯機構から延びて、先端部がリンクロッドの中央部に回転自在に枢支された旋回アームが適用できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、リターン側ベルト蛇行修正のためのベルト調芯機構の旋回が、リターン側ベルト蛇行時のリターン側ベルトとの摩擦抵抗による旋回と、リターン側ベルトと共に蛇行するキャリヤ側ベルトの蛇行方向移動力による旋回とで行われるため、ベルト調芯機構の旋回によるリターン側ベルト蛇行修正力が大きくかつ安定したものとなり、リターン側ベルトが緩み側ベルトであっても高い信頼度で蛇行修正することができるという優れた効果を奏し得る。また、リターン側ベルトの蛇行を自動修正するベルト調芯機構に既存設備がそのまま適用できるため、実施が容易で設備投資的にも有利なベルトコンベヤ蛇行修正装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4を参照して説明する。
【0018】
図1に示すベルトコンベヤは、図5のベルトコンベヤと同様なものである。図1のベルトコンベヤにおいて、図5と同一または相当部分には同一符号を付して説明の重複を避ける。
【0019】
図1に示すベルトコンベヤ蛇行修正装置20は、リターン側ベルト1bの蛇行を修正するベルト調芯機構30と、キャリヤ側ベルト1aの蛇行力でベルト調芯機構30を旋回させる旋回助勢機構40を備える。長尺な無端の搬送ベルト1は、バラ物を積載して略水平な方向Pに進行するキャリヤ側ベルト1aと、進行方向Pと180°逆方向Qに進行するリターン側ベルト1bから成り、キャリヤ側ベルト1aとリターン側ベルト1bが上下でほぼ平行に対向する。上段のキャリヤ側ベルト1aは、複数のキャリヤローラ2aで保持されて進行し、プーリ3で180°下方に方向転換してリターン側ベルト1bになる。リターン側ベルト1bは、複数のリターンローラ2bで保持されて進行し、プーリ4で180°上方に方向転換してキャリヤ側ベルト1aになる。バラ物を積載して搬送するキャリヤ側ベルト1aがベルト張力の大きな張り側ベルトであり、リターン側ベルト1bがベルト張力の小さな緩み側ベルトである。このリターン側ベルト1bの1箇所あるいは複数箇所にリターン側ベルト蛇行修正用ベルト調芯機構30を配備し、ベルト調芯機構30に接近させて旋回助勢機構40を配備する。
【0020】
ベルト調芯機構30は、図5〜図8のベルト調芯機構10と同様のものでよい。ベルト調芯機構30の具体例を、図2および図3(A)、(B)に示す。同図のベルト調芯機構30は、サイドローラレス型自動調芯リターン調整方式のもので、図5〜図8のベルト調芯機構と同様な一対のテーパ型旋回ローラ11を備える。リターン側ベルト1bの進行方向Qに固定された一対のフレーム17にスタンド支持体12が固定され、スタンド支持体12にベルト調芯機構30が進行方向Qと平行な方向に正逆旋回可能に設置される。
【0021】
ベルト調芯機構30は、水平に固定されたスタンド支持体12下に旋回軸14を中心に進行方向Qと平行な方向に正逆旋回可能に設置されたローラスタンド13と、ローラスタンド13の長さ方向両端部分に軸受15で回転(自転)可能に設置された一対のテーパ型旋回ローラ11を備える。一対の旋回ローラ11の外周下部にリターン側ベルト1bの上面が押し当てられた状態で、リターン側ベルト1bが進行方向Qに進行する。リターン側ベルト1bが左右いずれかに蛇行すると、この蛇行に応じて旋回ローラ11とローラスタンド13のユニットが正逆いずれかの方向に旋回して、リターン側ベルト1bの蛇行を自動修正する。この蛇行修正の動作は、図7および図8の場合と同様であることから、詳細説明を省略する。
【0022】
旋回助勢機構40は、キャリヤ側ベルト1aとリターン側ベルト1bの双方間に配置され、キャリヤ側ベルト1aの蛇行方向移動力でベルト調芯機構30をリターン側ベルト1bの蛇行を修正する方向に旋回させる。旋回助勢機構40は、キャリヤ側ベルト1aの両側方に設置された一対の変位手段41と、一対の変位手段41のいずれか一方の変位によるキャリヤ側ベルト1aの蛇行方向移動力をベルト調芯機構30に伝達してベルト調芯機構30を旋回させる旋回力伝達手段42を備える。
【0023】
一対の変位手段41は、キャリヤ側ベルト1aが左右いずれかに許容値を超えて蛇行するとキャリヤ側ベルト1aの側端で押圧されてベルト蛇行方向に変位する可動式サイドローラである。以下、必要に応じ変位手段41をサイドローラ41と称する。一対のサイドローラ41は、一対のフレーム17上に立設した一対のレバー支持体43に旋回力伝達手段42を介して支持される。旋回力伝達手段42は、一対のサイドローラ41を両端に連結した一連のリンク機構50と、リンク機構50とベルト調芯機構30を連結する旋回部材51を備える。リンク機構50は、次の一対の揺動レバー52と一本のリンクロッド53を備える。
【0024】
一対の揺動レバー52は、図3(B)に示すような上下に延在するく字状の剛体で、中央部が支軸54でレバー支持体43に連結される。揺動レバー52は、支軸54を支点にベルト幅方向に揺動する。各揺動レバー52の上端部にサイドローラ41が回転自在に連結され、各揺動レバー52の下端部に一本のリンクロッド53の両端部がピン56で回転可能に連結される。リンクロッド53は、一対の揺動レバー52にベルト幅方向に往復移動可能に支持される。リックロッド53とベルト調芯機構30のローラスタンド13が旋回部材51で連接される。旋回部材51は、ローラスタンド13の中央部から進行方向Qに延在する鋼板製のアームで、先端部がリンクロッド53の中央部にピン55で回転可能に連結される。
【0025】
図3(A)の平面図で示すように、キャリヤ側ベルト1aの進行方向Pとリターン側ベルト1bの進行方向Qは180°逆になる。キャリヤ側ベルト1aとリターン側ベルト1bが共に左右いずれにもほとんど蛇行しない場合、図3(A)、(B)に示すように、ベルト調芯機構30が旋回しない定常位置にあり、一対のサイドローラ41がキャリヤ側ベルト1aの両側端からほぼ等距離の定常位置にある。この図3の状態でキャリヤ側ベルト1aが進行方向Pに対して、例えば図3(A)で右側に蛇行すると、リターン側ベルト1bが進行方向Qに対して左側[図3(A)では右側]に蛇行する。このときの蛇行量が修正の必要のない許容値以下であれば、キャリヤ側ベルト1aとリターン側ベルト1bが蛇行してもキャリヤ側ベルト1aの側端がサイドローラ41に当接せず、旋回助勢機構40は作動しない。キャリヤ側ベルト1aとリターン側ベルト1bが許容値を超える蛇行をすると、キャリヤ側ベルト1aの蛇行を独自に修正するキャリヤ側ベルト専用のベルト調芯機構(図示せず)が旋回などしてキャリヤ側ベルト1aの蛇行を修正する。同時に、リターン側ベルト1bと旋回ローラ11との摩擦抵抗によりベルト調芯機構30が旋回してリターン側ベルト1bの蛇行を修正すると共に、同時進行的に旋回助勢機構40が作動してベルト調芯機構30を積極的に旋回させる。
【0026】
即ち、図3の状態でキャリヤ側ベルト1aとリターン側ベルト1bが図3で右側に許容値を超える蛇行をすると、図4(A)、(B)に示すように旋回助勢機構40が作動する。キャリヤ側ベルト1aが図4で右側に許容値を超える蛇行をすると、蛇行方向にある一方のサイドローラ41にキャリヤ側ベルト1aの側端が当接してサイドローラ41を蛇行方向に押圧し、蛇行量に応じた距離だけサイドローラ41を蛇行方向に移動(変位)させる。この移動で蛇行方向側の揺動レバー52が図4(B)で時計方向に回転揺動し、揺動レバー52の下端でリンクロッド53が図4で左側に押圧されて移動する。このリンクロッド53の図4で左側移動で他方の揺動レバー52が押圧されて図4(B)で時計方向に揺動回転すると共に、リンクロッド53の中央部に連結された旋回部材51が図4(A)で時計方向に揺動する。この旋回部材51の揺動により旋回部材51と一体のローラスタンド13が図4(A)で時計方向に旋回し、ローラスタンド13と一対の旋回ローラ11のユニットとしてのベルト調芯機構30が図4(A)で時計方向に旋回する。この旋回でリターン側ベルト1bの蛇行が自動修正される。
【0027】
旋回助勢機構40によるベルト調芯機構30の旋回は、キャリヤ側ベルト1aの蛇行方向移動力がサイドローラ41とリンク機構50、旋回部材51を介してベルト調芯機構30に伝達されて直接的に行われる。キャリヤ側ベルト1aはベルト張力の大きな張り側ベルトであるため、蛇行したときの蛇行方向移動力が強力であり、この強力な移動力がサイドローラ41の強力な変位力となり、リンク機構50を介することで直接的にベルト調芯機構30に伝達される。従って、旋回助勢機構40によるベルト調芯機構30の旋回は、リターン側ベルト1bと旋回ローラ11との摩擦抵抗の大小有無に関係なく、常に強力にして確実に行われる。リターン側ベルト1bの綺麗側ベルト裏面が風雨で濡れて旋回ローラ11との摩擦抵抗が極端に低下して、旋回ローラ11の旋回機能が作用しない状態にあっても、リターン側ベルト1bと共に蛇行するキャリヤ側ベルト1aの強力な蛇行力でベルト調芯機構30が確実性よく旋回して、リターン側ベルト1bの蛇行を自動修正する。
【0028】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態を説明するためのベルトコンベヤの概要的な正面図である。
【図2】図1のベルトコンベヤに配備された蛇行修正装置の部分の拡大正面図である。
【図3】(A)は図2の部分の平面図、(B)は断面図である。
【図4】(A)は図2の部分のベルト蛇行時の平面図、(B)は断面図である。
【図5】一般的なベルトコンベヤの概要を示す正面図である。
【図6】図5のベルトコンベヤに配備されたリターン側ベルト専用のベルト調芯機構の部分の断面図である。
【図7】図6の部分の平面図である。
【図8】図6の部分のベルト蛇行時の平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 搬送ベルト
1a キャリヤ側ベルト
1b リターン側ベルト
2a キャリヤローラ
2b リターンローラ
11 テーパ型旋回ローラ
12 スタンド支持体
13 ローラスタンド
14 旋回軸
20 ベルトコンベヤ蛇行修正装置
30 ベルト調芯機構
40 旋回助勢機構
41 変位手段、サイドローラ
42 旋回力伝達手段
50 リンク機構
51 旋回部材
52 揺動レバー
53 リックロッド
P キャリヤ側ベルトの進行方向
Q リターン側ベルトの進行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して互いに逆方向に進行するキャリヤ側ベルトとリターン側ベルトを有するベルトコンベヤにおける前記リターン側ベルトの蛇行修正方法であって、
前記リターン側ベルトの進行方向と平行な方向に正逆旋回可能に設置され、前記リターン側ベルトの蛇行に応じて正逆いずれかの方向に旋回して前記リターン側ベルトの蛇行を修正するベルト調芯機構を、前記キャリヤ側ベルトが蛇行する際のキャリヤ側ベルトの蛇行方向移動力で旋回させることを特徴とするベルトコンベヤ蛇行修正方法。
【請求項2】
対向して互いに逆方向に進行するキャリヤ側ベルトとリターン側ベルトを有するベルトコンベヤにおける前記リターン側ベルトの蛇行修正装置であって、
前記リターン側ベルトの進行方向と平行な方向に正逆旋回可能に設置され、前記リターン側ベルトの蛇行に応じて正逆いずれかの方向に旋回して前記リターン側ベルトの蛇行を修正するベルト調芯機構と、
前記キャリヤ側ベルトの両側方に設置され、前記キャリヤ側ベルトが蛇行する際のキャリヤ側ベルトの蛇行方向移動力で変位する一対の変位手段、および、前記変位手段の変位による前記キャリヤ側ベルトの蛇行方向移動力を前記ベルト調芯機構に伝達して当該ベルト調芯機構を旋回させる旋回力伝達手段を有する旋回助勢機構と、
を具備したことを特徴とするベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項3】
前記旋回力伝達手段は、前記リターン側ベルトの幅方向に往復移動可能に配置されて両端が前記一対の変位手段に連接されたリンク機構と、当該リンク機構と前記ベルト調芯機構を連接して前記リンク機構の移動力で前記ベルト調芯機構を旋回させる旋回部材を有することを特徴とする請求項2に記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−308252(P2008−308252A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155368(P2007−155368)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(504385982)株式会社JRC (17)
【Fターム(参考)】