説明

ベルトコンベヤ蛇行修正装置

【課題】 連続する3体のベルト蛇行補正用キャリヤローラによるベルト蛇行の修正機能を改善したベルトコンベヤ蛇行修正装置の提供。
【解決手段】 ベルト1の幅方向中央部を保持する中部キャリヤローラ15aと、ベルト1の幅方向両端部を幅方向両端に向け仰角で傾斜させて保持する一対の端部キャリヤローラ15b、15cを、独立した3体のローラスタンド13a〜13cに回転可能に支持し、3体の各ローラスタンド13a〜13cそれぞれを1軸ずつの旋回軸21a〜21cで共通のスタンド支持体12に連結し、各ローラスタンド13a〜13cがそれぞれの旋回軸21a〜21cの中心線を中心に水平方向に正逆旋回可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリヤローラに沿って搬送されるベルトの蛇行を自動修正するベルトコンベヤ蛇行修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土砂やセメントなどの所謂バラ物の搬送装置として使用されるベルトコンベヤは、長尺な無端のベルト(搬送ベルト、コンベヤベルト)をベルト搬送方向に並列させた多数のキャリヤローラで搬送する。キャリヤローラは、ベルト幅方向に横一列で並ぶ中部キャリヤローラとその左右一対の端部キャリヤローラの3体をユニット化したものが一般的である。キャリヤローラに沿ってベルトが搬送されるとき、キャリヤローラ上でベルトが幅方向左右のいずれかに蛇行することがある。このような蛇行を放置すると、蛇行量が増大してベルトからバラ物の積載物がこぼれ落ちたり、キャリヤローラからベルトが外れることがある。そこで、ベルトの蛇行が生じると、この蛇行を自動的に修正するようにした様々な蛇行修正装置が実用化されている。
【0003】
上記蛇行修正装置は、例えばベルト搬送方向に多数並ぶキャリヤローラの内の適宜に選択された横一列のキャリヤローラのユニットを蛇行修正用ローラとして使用する。蛇行修正用キャリヤローラをベルトの蛇行に応じてベルトに沿う面内で旋回させて、ベルトの蛇行を自動修正する(例えば、特許文献1参照)。ベルトの蛇行をキャリヤローラと別に設けたガイドローラで検知して、キャリヤローラをベルトの蛇行を修正する方向に旋回させる蛇行修正装置を図9と図10で説明する。
【0004】
また、他の蛇行修正装置として、ベルトの蛇行をキャリヤローラに同軸に連接した回転式のディスクで検知して、ベルトの蛇行を自動修正する蛇行修正装置を図11と図12で説明する。さらに、ベルトの蛇行をキャリヤローラを支持するローラスタンドに固定した抵抗体で検知して、ベルトの蛇行を自動修正する蛇行修正装置を図13と図14で説明する。
【0005】
図9及び図10に示すベルトコンベヤ蛇行修正装置は、キャリヤローラを旋回させる旋回軸が1本の1軸型である。水平に固定されたスタンド支持体2上にローラスタンド3が、1本の旋回軸4を中心に正逆旋回可能に設置される。ローラスタンド3は、ベルト1の幅方向に延在する1本の剛体で、水平な中央部3aと、ベルト幅方向両端に向け仰角で傾斜する両端部3b、3cを有する。中央部3a上に平行に中部キャリヤローラ5aが軸受6で回転自在に設置され、両端部3b、3c上に平行に端部キャリヤローラ5b、5cが軸受6で回転自在に設置される。ローラスタンド3の両端に、ベルト搬送方向X上流側に延在させて一対のアーム7、7が固定され、各アーム7、7の先端にガイドローラ8a、8bが回転可能に設置される。一対のガイドローラ8a、8bの間隔は、ベルト幅より少し大き目に設定される。
【0006】
ローラスタンド3上に横一列配置された3本のキャリヤローラ5a〜5cに沿ってベルト1が搬送される。このベルト1がベルト幅方向の左右いずれかに蛇行すると、左右一対のガイドローラ8a、8bの一方に当接する。例えば、図10においてベルト1が右方に蛇行すると、図10で右側のガイドローラ8bが蛇行するベルトローラスタンドの側辺で押されて、アーム7を介してローラスタンド3に旋回力を付与し、ベルト蛇行量に応じてローラスタンド3を旋回軸4を中心に反時計方向に旋回させる。この旋回でベルトローラスタンドの蛇行が自動修正されると、ローラスタンド3が元の位置に自動復帰する。
【0007】
図11及び図12に示すベルトコンベヤ蛇行修正装置は、図9の蛇行修正装置における一対の端部キャリヤローラ5b、5cの外側端面に同軸にディスク9a、9bを回転可能に連接したものに相当する。従って、図9と同一または相当部分には、同一符号を付して説明の重複を避ける。左右一対のディスク9a、9bの外周面は、端部キャリヤローラ5b、5cの外側端外周から拡径する円錐面である。一対のディスク9a、9bそれぞれは対応する端部キャリヤローラ5b、5cに所定の摩擦抵抗を持たせて回転可能に連接される。
【0008】
図12の鎖線で示すベルト1が、例えば図12で右方に蛇行すると、図12で右側のディスク9bの外周面に当接してディスク9bを回転させる。この回転時の摩擦抵抗でローラスタンド3に旋回力が付与され、ベルト蛇行量に応じてローラスタンド3が旋回軸4を中心に反時計方向に旋回し、ベルト1の蛇行が自動修正される。
【0009】
図13及び図14に示すベルトコンベヤ蛇行修正装置は、図9の蛇行修正装置におけるローラスタンド3の両端側にシューと通称される抵抗体9c、9dを固定している。一対の抵抗体9c、9dは、ベルト1に高摩擦抵抗で摺接する鋳物製品などで、端部キャリヤローラ5b、5cの外側端部の近くで、搬送されるベルト1の幅方向両端部に接近させて配置される。ベルト1が左右いずれかに許容量を超えて蛇行すると、ベルト1の幅方向両端部分が左右一対の抵抗体9c、9dいずれかに摺接する。例えば、ベルト1が図14で右方に蛇行すると、右側の抵抗体9dにベルト1が接触し、このときの摩擦抵抗で右側の抵抗体9dがローラスタンド3に旋回力を付与して、ベルト1の蛇行が自動修正される。
【0010】
なお、図示しないが、ベルト蛇行修正用ローラとして使用されるキャリヤローラの内の中部キャリヤローラを旋回させず、左右一対の端部キャリヤローラのみをそれぞれ1軸の旋回軸で旋回させる2軸型のベルトコンベヤ蛇行修正装置がある。この2軸型も1軸型と同様に、左右一対の逆ハ字状に傾斜した端部キャリヤローラを共にベルトに沿う面内で旋回させることで、ベルトの蛇行を自動的に修正する。
【特許文献1】特開平09−020415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の1軸型の蛇行修正装置は、蛇行修正用キャリヤローラの中部キャリヤローラと左右一対の端部キャリヤローラが一体的に旋回することで、3体のキャリヤローラがベルトの幅方向に対して斜め一直線上に並び、ベルトに蛇行を修正する方向に摩擦抵抗力を作用させて、ベルトの蛇行を自動修正する。このようなベルト蛇行の修正機能は、ベルト幅が大きくなるほど安定的に発揮させることが難しくなる。実際、屋外で土砂などのバラ物を運搬する幅が1mを超える大型重量物のベルトコンベヤにおいては、ベルト蛇行の修正機能不足となり、この機能不足は構造上に仕方ないものとされている。特に、左右一対の端部キャリヤローラのみを旋回させる2軸型蛇行修正装置においては、ベルトの蛇行修正時に中部キャリヤローラがベルトとの摩擦でブレーキとなり、円滑な蛇行修正を困難にすることがある。
【0012】
また、ベルト蛇行の修正機能を上げる方策として、ベルトの蛇行をセンサーで検知して、端部キャリヤローラをモータやシリンダで積極的に旋回させることが行われている。しかし、この場合も、大型重量物のベルトコンベヤにおいては機能不足であり、構造上に仕方ないものとされているのが現状である。
【0013】
本発明の目的は、ベルト蛇行の修正機能を上げ、かつ、安定させた3体のキャリヤローラを使用したベルトコンベヤ蛇行修正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するため、ベルトの幅方向中央部を保持する中部キャリヤローラと、ベルトの幅方向両端部を幅方向両端に向け仰角で傾斜させて保持する一対の端部キャリヤローラを横一列配置したベルトコンベヤ蛇行修正装置において、中部キャリヤローラを回転自在に支持する中部ローラスタンドと、一対の各端部キャリヤローラそれぞれを回転自在に支持する一対の端部ローラスタンドと、3台の各ローラスタンドそれぞれに1軸ずつの旋回軸で連結され、各ローラスタンドをそれぞれの旋回軸でベルトに沿う面内で正逆旋回可能に支持するスタンド支持体とを有し、ベルトの蛇行に応じて3台の各ローラスタンドそれぞれをベルトの蛇行を修正する方向に旋回させることを特徴とする。
【0015】
ここで、端部キャリヤローラは、外周が円錐状のテーパーローラの場合も含む。左右一対の端部キャリヤローラでベルトの幅方向両端部を所定角度上向きに傾斜させて保持する。中部キャリヤローラは、略水平に設置されてベルトの幅方向中央部を略水平に保持する。中部キャリヤローラは、ベルトの幅方向中央部の幅に合わせて単数または複数で構成することができる。この中部キャリヤローラと端部キャリヤローラのそれぞれが独立したスタンドに回転可能に支持され、独立した各スタンドが共通のスタンド支持体に1軸ずつの旋回軸で連結される。中部キャリヤローラを支持する中部ローラスタンドと、一対の端部キャリヤローラそれぞれを支持する一対の端部ローラスタンドの計3体が1軸ずつの計3軸の旋回軸で独立的に旋回することで、本発明の蛇行修正装置を、以下、必要に応じて3軸型と称する。この3軸型蛇行修正装置は、3体の各ローラスタンドそれぞれの計3軸の旋回軸がベルト幅方向に一直線上に並び、この各旋回軸を中心に3体のローラスタンドがベルトの蛇行に応じて旋回するため、ベルトの蛇行修正が安定した機能、一段と高い機能力で行うことができる。
【0016】
本発明においては、中部ローラスタンドはその中央に1軸の旋回軸を有し、一対の端部ローラスタンドそれぞれは中部ローラスタンド側の内側端部に1軸ずつの旋回軸を有する構造とすることができる。このようにすると、中部ローラスタンドと中部キャリヤローラは、それぞれの中央を中心に水平に旋回し、傾斜した端部ローラスタンドと端部キャリヤローラがその内側端部を中心に水平方向に旋回して、ベルトの蛇行を効果的に修正する。
【0017】
また、一対の端部ローラスタンドそれぞれを、その内側端部の旋回軸にヒンジを介して連結し、かつ、内側端部と反対の外側端部に、当該端部ローラスタンドが旋回するときの旋回力でヒンジを支点に端部ローラスタンドを上下揺動させる上下揺動機構を付設することができる。
【0018】
ここでの上下揺動機構は、端部ローラスタンドとスタンド支持体の一方にローラスタンドの旋回方向に対して傾斜するガイド面を設け、他方にローラスタンド旋回力で前記ガイド面を倣う倣いローラを設置して構成すればよい。この上下揺動機構を付設した端部ローラスタンドは、水平方向に旋回しながら垂直方向に上下揺動して、端部キャリヤローラによるベルト修正の機能を高くする。
【0019】
また、本発明においては、中部ローラスタンドと一対の端部ローラスタンドそれぞれの旋回軸に、それぞれの旋回軸を同期して同方向に回転させる回転力伝達機構を連接することができる。
【0020】
ここでの回転力伝達機構は、ベルト幅方向の一直線上に並ぶ3軸の各旋回軸を平行リンクで連結したリンク機構や、3軸の各旋回軸に固定したギヤを介してチェーンベルトを架け渡した動力伝達機構などが適用できる。回転力伝達機構は、3軸の旋回軸の少なくとも1軸に外部から回転力が付与されると、この回転力を他の2軸の旋回軸に直接に伝達して、3軸を同時に同方向に同角速度で回転させるため、ベルト蛇行修正時の中部キャリヤローラと端部キャリヤローラの旋回が安定して確実に行われる。
【0021】
このような回転力伝達機構を具備した蛇行修正装置においては、一対の端部ローラスタンドそれぞれに、蛇行するベルトとの当接で変位して対応する端部ローラスタンドに旋回力を付与するベルト蛇行検知用ガイドローラを連接し、一対の端部ローラスタンドの一方が対応するガイドローラで旋回力を付与されると、この旋回力で回転力伝達機構を介して他の各ローラスタンドを旋回させる構造とすることができる。
【0022】
ここでのガイドローラは、図9と同様のものが適用できる。左右一対のガイドローラの一方がベルトの蛇行で変位して対応する端部ローラスタンドの1軸の旋回軸を回転させると、この回転力が他の2軸の旋回軸に伝達されて、3体のローラスタンドとそのキャリヤローラが同期して同方向に旋回する。この場合、ベルトの蛇行力を利用して3体のローラスタンドを自動的に旋回させるので、旋回させるためのモータなどの特別な動力源を不要にする。
【0023】
また、回転力伝達機構を具備した蛇行修正装置においては、一対の端部ローラスタンドそれぞれに、蛇行するベルトとの当接による摩擦抵抗で端部ローラスタンドに旋回力を付与する抵抗体を設置することができる。ここでの抵抗体は、図13と同様のものが適用できる。
【0024】
さらに、回転力伝達機構を具備した蛇行修正装置においては、ベルトの蛇行方向と蛇行量を検出して電気信号で出力するセンサー機構と、当該センサー機構の蛇行検出信号に基づいて回転力伝達機構を駆動させる駆動源を備えた構造とすることができる。
【0025】
ここでのセンサー機構は、ベルトの幅方向両端の蛇行時の移動量を複数の投受光素子で検出する光学センサー機構や、ベルトの幅方向両端に接触してその移動量を検出するタッチセンサー機構、端部キャリヤローラの外側端面に同軸に連接したディスクが蛇行したベルトの側辺に当接して回転するときの回転角を検出して蛇行方向と蛇行量を検出する回転角センサー機構が適用できる。このセンサー機構からの蛇行検出信号で回転力伝達機構を駆動させる駆動源は、電動モータや油圧シリンダ、水圧シリンダが適用できる。この駆動源で回転力伝達機構を介して3軸の旋回軸を強制的に回転させることで、大型重量物のベルトでも確実性よく蛇行修正することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のベルトコンベヤ蛇行修正装置によれば、3体のベルト蛇行修正用キャリヤローラである中部キャリヤローラと端部キャリヤローラそれぞれを支持する3体の各ローラスタンドが、それぞれ1軸の計3軸の旋回軸でスタンド支持体上に独自に旋回可能に設置され、3体の蛇行修正用キャリヤローラが対応するベルトの幅方向の中央部とその両側の両端部で独自に旋回してベルトの蛇行修正を行うので、ベルトが大型重量物であっても、安定した高い機能でベルトの蛇行修正を行い、蛇行修正の信頼性が増すという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の各種の実施形態を図1〜図8を参照して説明する。
【0028】
図1〜図5は、第一の実施の形態のベルトコンベヤ蛇行修正装置を示す。同図の蛇行修正装置は、ベルト1の幅方向中央部を保持する中部キャリヤローラ15aと、ベルト1の幅方向両端部を幅方向両端に向け仰角で傾斜させて保持する一対の端部キャリヤローラ15b、15cを横一列配置で有する。各キャリヤローラ15a〜15cは、独立した3体のローラスタンド13a〜13cに回転可能に支持され、3体の各ローラスタンド13a〜13cが水平なスタンド支持体12上に水平方向に正逆旋回可能に設置される。3体の各ローラスタンド13a〜13cは、それぞれ1軸の旋回軸21a〜21cで共通のスタンド支持体12に連結され、それぞれ旋回軸21a〜21cの中心線を中心に水平方向に正逆旋回する。
【0029】
中部キャリヤローラ15aは、対応する逆門形フレームの中部ローラスタンド13aに水平に支持される。中部ローラスタンド13aの下面の中央部に1軸の中部旋回軸21aが連結される。中部旋回軸21aがスタンド支持体12の中央部に連結されて、中部ローラスタンド13aがスタンド支持体12の中央部上でベルト幅方向中央部のベルト面に沿って水平方向に正逆旋回する。
【0030】
一対の端部ローラスタンド13b、13cは同一構造で、ベルト幅方向両端側に向けて所定の仰角(トラフ角)で傾斜させてスタンド支持体12の両端部上に設置される。各端部ローラスタンド13b、13cの下面の最も下位に傾斜した内側端部に1軸ずつの端部旋回軸21b、21cが連結される。この両側の端部旋回軸21b、21cがスタンド支持体12に連結されて、一対の端部ローラスタンド13b、13cのそれぞれがスタンド支持体12の両端部上でベルト幅方向両端部の傾斜面に沿って水平方向に正逆旋回する。
【0031】
3体のローラスタンド13a〜13cの各旋回軸21a〜21cに、任意の旋回軸の回転力を他の旋回軸に伝達する回転力伝達機構40が連接される。回転力伝達機構40は、例えば図1及び図4に示すような平行リンク機構で、各旋回軸21a〜21cの下端部から軸半径方向に延びる3本平行な横リンク42と、この横リンク42の先端部に枢着された縦リンク41を備える。縦リンク41は、スタンド支持体12の長さ方向に平行である。この長さ方向は、3軸の旋回軸21a〜21cの並び方向と平行である。縦リンク41に長さ方向に外力を作用させると、3本平行な横リンク42が同時に同方向、同速度で回転して、対応する3軸の旋回軸21a〜21cが同時に同方向、同速度で回転する。
【0032】
図1の実施の形態は、図9と同様な一対のガイドローラ18a、18bでベルト1の蛇行を検知し、ベルト1の蛇行力で3体のローラスタンド13a〜13cを正逆旋回させる。一対のガイドローラ18a、18bは、図2及び図3に示すように、一対の端部ローラスタンド13b、13cの外側端面に連結されたアーム17の先端部に枢着される。一対のガイドローラ18a、18bは、端部ローラスタンド13b、13cよりベルト搬送方向Xで上流側に配置される。各ガイドローラ18a、18bの間隔は、ベルト幅より少し大き目に設定され、ベルト1が左右いずれかの方向に蛇行すると一対のガイドローラ18a、18bのいずれかに当接するようにしてある。このことは図9の場合と同様で、詳細説明は省略する。
【0033】
また、図1の実施の形態は、左右一対の端部ローラスタンド13b、13cを旋回方向と直交する上下方向に揺動させる上下揺動機構30を備える。一対の端部ローラスタンド13b、13cのそれぞれは、対応する端部旋回軸21b、21cの上端部にヒンジ22を介して連結される。各端部ローラスタンド13b、13cは、対応する端部旋回軸21b、21cの中心線を中心として水平方向に旋回揺動すると共に、このときの旋回力で旋回しながらヒンジ22を支点にトラフ角方向の上下方向に揺動するようにしてある。上下揺動機構30は、スタンド支持体12の左右両端部上の所定の高さに設置された一対の倣いローラ31と、左右一対の端部ローラスタンド13b、13cの下面中央部に固定されたガイド板32を備える。ガイド板32の下面は、ベルト搬送方向Xに傾斜したテーパガイド面にしてある。ベルト1の蛇行量が許容値内にあるとき、ガイド板32の下面中央部が倣いローラ31に当接して支持される。ベルト1が許容値を超える蛇行をして、端部ローラスタンド13b、13cのいずれかが正逆旋回すると、図5(A)(B)に示すように、傾斜したガイド板32の下面が定位置の倣いローラ31を転動させながら移動して、対応する端部ローラスタンド13b、13cを上下いずれかに揺動させる。このような上下揺動機構30は、傾斜させた端部ローラスタンド13b、13cの姿勢を安定したものにし、端部ローラスタンド13b、13cの水平方向旋回や上下揺動を安定したものにする。
【0034】
以上の実施の形態のコンベヤ蛇行修正装置は、搬送されるベルト1が蛇行せず、蛇行しても許容値以下の場合は、一対のガイドローラ18a、18bが変位せず、3体のキャリヤローラ15a〜15cはいずれも旋回せず、図4の破線で示すように平面視で直列状態にある。この3体のキャリヤローラ15a〜15cで、ベルト1が図4の矢印方向Xに搬送される。ベルト1が、図4で例えば右方に許容値を超えて蛇行すると、図4で右側のガイドローラ18bがベルト1の右側辺で押されて変位し、対応する端部ローラスタンド13cに図4で反時計方向に旋回力を付与する。この付与で右側端部ローラスタンド13cが旋回軸21の中心線を中心にして反時計方向に旋回して、右方に蛇行しようとするベルト1を左方に移動させるように蛇行修正動作をする。同時に、図4で右側の端部ローラスタンド13cの1軸の旋回軸21cの回転力が回転力伝達機構40を介して他のローラスタンド13a、13bの各旋回軸21a、21bに伝達されて、旋回軸21cと同期して同方向、同速度で回転する。その結果、中部ローラスタンド13aと端部ローラスタンド13bのキャリヤローラ15a、15bが、図4の実線で示すように端部ローラスタンド13cのキャリヤローラ15cと同時に同方向、同速度で旋回して、それぞれが独自にベルト1の蛇行修正動作をする。この3体のキャリヤローラ15a〜15cがベルト1の中央部と両端部の異なる部分で同時に旋回して、それぞれが独自に蛇行修正動作をすることで、蛇行修正が常に安定した高い機能で行うことができる。特に、中部ローラスタンド13aには、ベルト1の幅方向中央部が重くのしかかっているため、中部ローラスタンド13aが旋回することでベルト1の中央部の蛇行修正が直接的にして効果的に行われる。
【0035】
また、3体の各キャリヤローラ15a〜15cが同時に同方向に旋回するとき、図5(A)(B)に示すように左右一対の端部ローラスタンド13b、13cとその端部キャリヤローラ15b、15cが水平方向に旋回しながら上下揺動する。ベルト1が蛇行する方向にある図4で右側の端部キャリヤローラ15cは、旋回しながら上昇する揺動をして、右方に蛇行しようとするベルト1を左方へと積極的に移動させ、旋回する端部キャリヤローラ15cによるベルト蛇行修正動作を助勢する。また、ベルト1が蛇行する方向と反対側にある図4で左側の端部ローラスタンド13bとそのキャリヤローラ15bは、旋回しながら下降する揺動をして、左方へと蛇行修正されるベルト1の左方への移動をし易いものにし、旋回する端部キャリヤローラ15bによるベルト蛇行修正動作を助勢する。
【0036】
ベルト1の蛇行が修正されると、3体の各スタンド15a〜15cとそのキャリヤローラ15a〜15cは、旋回前及び上下揺動前の元の状態に自動復帰する。この自動復帰は、図示しない復帰用ばね材を介して行うことができる。
【0037】
図6の実施の形態に示すコンベヤ蛇行修正装置は、図1の蛇行修正装置のガイドローラに代わり一対の抵抗体19a、19bを使用して、ベルト1の蛇行力で3体のローラスタンド13a〜13cを正逆旋回させる。一対の抵抗体19a、19bは、左右一対の端部ローラスタンド13b、13cの外側端部に取り付けられる。各抵抗体19a、19bは、図13と同様のもので、ベルト1に高摩擦抵抗で摺接する鋳物製品などが使用される。各抵抗体19a、19bを、搬送されるベルト1の幅方向両端部に接近させて設置する。
【0038】
図6の蛇行修正装置において、ベルト1が左右いずれかに許容量を超えて蛇行すると、ベルト1の幅方向両端部分が左右一対の抵抗体19c、19dいずれかに摺接する。ベルト1が図6で例えば右方に蛇行すると、右側の抵抗体19dにベルト1が接触し、このときの摩擦抵抗で右側の抵抗体19dが対応する端部ローラスタンド13cに反時計方向に旋回力を付与する。この付与で右側端部ローラスタンド13cが旋回軸21の中心線を中心にして反時計方向に旋回して、右方に蛇行しようとするベルト1を左方に移動させるように蛇行修正動作をする。同時に、図6で右側の端部ローラスタンド13cの1軸の旋回軸21cの回転力が回転力伝達機構40を介して他のローラスタンド13a、13bの各旋回軸21a、21bに伝達されて、旋回軸21cと同期して同方向、同速度で回転する。この3軸の回転で、3体のローラスタンド13a〜13cと3体のキャリヤローラ15a〜15cが同時に同方向、同速度で旋回して、それぞれが独自にベルト1の蛇行修正動作をし、ベルト1の蛇行が自動修正される。
【0039】
次に、図7と図8に示す実施の形態のコンベヤ蛇行修正装置は、ガイドローラや抵抗体を使用しないでベルトの蛇行を自動で検出し、各キャリヤローラ15a〜15cをモータなどの駆動源60を利用して強制的に旋回させる。同図の蛇行修正装置は、3体のキャリヤローラ15a〜15cで搬送されるベルト1の蛇行の方向と蛇行量を検出して電気信号を出力するセンサー機構50と、センサー機構50からの出力信号を演算処理する駆動制御回路61と、駆動制御回路61で演算処理された出力信号に基づいて回転力伝達機構40を駆動する駆動源60を備える。図7に示す駆動源60は正逆回転式電動モータで、回転力伝達機構40の縦リンク41に連結された操作リンク43を縦リンク41と平行な方向に往復駆動させる。
【0040】
センサー機構50は、ベルト1の幅方向両端の側辺の真上に、側辺と直交する方向で固定された一対のセンサー支持体51と、センサー支持体51をスタンド支持体12に固定する支柱52を備える。左右一対のセンサー支持体51のそれぞれは、下面に投光素子と受光素子を組み合わせた複数の光学センサー53を所定間隔で一列に有する。各センサー支持体51は、3体のキャリヤローラ15a〜15cより上流側にあるベルト1の両側辺の真上の定位置に設置される。各センサー支持体51の光学センサー53は、ベルト1の側辺の内外近傍に向けて投光して、ベルト1からの反射光を受光することでベルト有りを検出し、反射光を受光しないことでベルト無しを検出する。左右一対のセンサー支持体51における複数の光学センサー53からのベルト有無の検出信号を演算することで、ベルト1が左右いずれの方向に蛇行したかが検知され、蛇行量が検出される。
【0041】
駆動制御回路61はセンサー機構50からのベルト蛇行の検出信号を演算して、ベルト1が蛇行して修正が必要な場合に、ベルト1を修正するように電動モータ60に正逆いずれかの回転方向指令信号と、回転数信号を出力して電動モータ60を作動させる。電動モータ60の作動で、回転力伝達機構40の縦リンク41が左右いずれかの方向に駆動制御され、3軸の旋回軸21a〜21cが正逆いずれかの方向に回転駆動して、3体のキャリヤローラ15a〜15cが正逆いずれかの方向に旋回し、ベルト1の蛇行が強制的に修正される。
【0042】
図7の蛇行修正装置は、キャリヤローラの上方でベルトが浮き上がることのあるベルトコンベヤに有効である。即ち、ベルトコンベヤの用途によっては、ベルト搬送専用のキャリヤローラや蛇行補正用キャリヤローラからベルトが浮き上がることがある。このような場合、図7の蛇行修正装置の端部キャリヤローラ15b、15cとセンサー支持体51の間隔を、ベルト1が浮き上がる最大量以上に設定して、ベルト1の浮き上がりにセンサー支持体51が邪魔しないようにする。このようにすることでベルトの浮き上がりが円滑に行われ、ベルトコンベヤの多様な用途が可能になる。
【0043】
なお、本発明のベルトコンベヤ蛇行修正装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図2】図1装置の側面図である。
【図3】図1装置におけるガイドローラ部分の側面図である。
【図4】図1装置における要部の平面図である。
【図5】(A)は図1装置における端部ローラスタンドの動作時の正面図、(B)はその側面図である。
【図6】他の実施の形態を示すベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図7】他の実施の形態を示すベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図8】図7装置の要部の平面図である。
【図9】従来のベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図10】図9装置の要部の平面図である。
【図11】従来の他のベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図12】図11装置の要部の平面図である。
【図13】従来の他のベルトコンベヤ蛇行修正装置の正面図である。
【図14】図13装置の要部の平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ベルト
12 スタンド支持体
13a〜13c ローラスタンド
15a〜15c キャリヤローラ
18a、18b ガイドローラ
19a、19b 抵抗体
21a〜21c 旋回軸
22 ヒンジ
30 上下揺動機構
31 倣いローラ
32 ガイド板
40 回転力伝達機構
41 縦リンク
42 横リンク
50 センサー機構
51 センサー支持体
53 光学センサー
60 駆動源、電動モータ
61 駆動制御回路
X ベルト搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトの幅方向中央部を保持する中部キャリヤローラと、前記ベルトの幅方向両端部を幅方向両端に向け仰角で傾斜させて保持する一対の端部キャリヤローラを横一列配置したベルトコンベヤ蛇行修正装置において、
前記中部キャリヤローラを回転自在に支持する中部ローラスタンドと、前記一対の各端部キャリヤローラそれぞれを回転自在に支持する一対の端部ローラスタンドと、3台の前記ローラスタンドそれぞれに1軸ずつの旋回軸で連結され、前記各ローラスタンドをそれぞれ対応する前記旋回軸でベルトに沿う面内で正逆旋回可能に支持するスタンド支持体とを有し、
前記ベルトの蛇行に応じて前記3台の各ローラスタンドそれぞれをベルトの蛇行を修正する方向に旋回させることを特徴とするベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項2】
前記中部ローラスタンドはその中央に1軸の前記旋回軸を有し、前記一対の端部ローラスタンドそれぞれは前記中部ローラスタンド側の内側端部に1軸ずつ前記旋回軸を有することを特徴とする請求項1記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項3】
前記一対の端部ローラスタンドそれぞれを、前記内側端部の前記旋回軸にヒンジを介して連結し、かつ、前記内側端部と反対の外側端部に、当該端部ローラスタンドが旋回するときの旋回力で前記ヒンジを支点に端部ローラスタンドを上下揺動させる上下揺動機構を付設したことを特徴とする請求項2記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項4】
前記中部ローラスタンドと一対の端部ローラスタンドそれぞれの前記旋回軸に、当該それぞれの旋回軸を同期して同方向に回転させる回転力伝達機構を連接したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項5】
前記一対の端部ローラスタンドそれぞれに、蛇行する前記ベルトとの当接で変位して対応する端部ローラスタンドに旋回力を付与するベルト蛇行検知用ガイドローラを連接し、前記一対の端部ローラスタンドの一方が対応する前記ガイドローラで旋回力を付与されると、この旋回力で前記回転力伝達機構を介して他の各ローラスタンドを旋回させることを特徴とする請求項4記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項6】
前記一対の端部ローラスタンドそれぞれに、蛇行する前記ベルトとの当接による摩擦抵抗で対応する端部ローラスタンドに旋回力を付与する抵抗体を設置し、前記一対の端部ローラスタンドの一方が対応する前記抵抗体で旋回力を付与されると、この旋回力で前記回転力伝達機構を介して他の各ローラスタンドを旋回させることを特徴とする請求項4記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。
【請求項7】
前記ベルトの蛇行方向と蛇行量を検出して電気信号で出力するセンサー機構と、当該センサー機構の蛇行検出信号に基づいて前記回転力伝達機構を駆動させる駆動源を備えたことを特徴とする請求項4記載のベルトコンベヤ蛇行修正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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