説明

ベルトコンベヤ

【課題】 横剛性の弱い薄い無端状ベルトを備えたベルトコンベヤにおいて、全て機械式で、ベルトの偏位に素早く応答して確実に修正することができる蛇行防止機構を備えたベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】 フレームの長手方向両側に配置した折り返し部材に亘って無端状ベルトが巻装され、その無端状ベルトが駆動プーリ等によって回動されるベルトコンベヤにおいて、前記無端状ベルトの進行方向における折り返し部材より上流側近傍で、且つ無端状ベルトの内側面との接触により回転すると共に垂直方向の分力が作用する位置にベルト偏位修正ローラを、その軸芯をベルトの進行方向と直交させて水平旋回自在に配置し、該ベルト偏位修正ローラは、無端状ベルトにおける復路側の幅方向の偏位を検出する偏位検出手段の移動によりベルトの偏位方向と逆方向に揺動傾斜自在とし、無端状ベルトの偏位を解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルトコンベヤに関し、特に横剛性のないベルトを装着したベルトコンベヤにおけるベルトの偏位(蛇行)を防止叉は修正する機構を備えたベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ベルトコンベヤは、フレームの長手方向の両側に、テールローラ叉はナイフエッジ等の折り返し部材が該フレームに対して直角に配置され、その両側の折り返し部材に亘って無端状ベルトが掛け回され、その無端状ベルトは駆動プーリ等で回動されるように構成されている。
そして、このベルトコンベヤはチェーンコンベヤ等と比べてベルトの蛇行という問題点を有している。最近の製造技術の進歩とベルトの材質等の改善により、蛇行の発生は少なくなってきているが、蛇行がベルトコンベヤのウィークポイントであることに変わりはない。
【0003】
このベルトの蛇行発生の原因としては、下記の点が考えられる。
(1)コンベヤの水平が出ていない場合。
(2)プーリ、折り返し部材(テールローラ、ナイフエッジ等)の直角が出ていない場合。
(3)ベルトが損傷叉は摩耗した場合。
(4)プーリ、折り返し部材に異物が付着した場合。
【0004】
上記した発生原因に対する対策としては、(1)についてはコンベヤのレベルを出す、(2)についてはプーリ、折り返し部材を正常な位置に移動する、(3)については程度により補修、交換する、(4)についてはプーリ、折り返し部材の表面を清掃する、等が挙げられる。
しかして、上記した発生原因の殆どは運転前の調整、点検等により解消できるが、運転中に突然、蛇行が発生した場合は瞬時に正常な状態に修正復帰させる必要がある。
【0005】
運転中に発生したベルトの蛇行を正常状態に自動的に修正復帰させる装置としては、ベルトの偏位(蛇行)を検出する電気的センサを設け、そのセンサの検出信号によってアクチュエータを作動させてベルトの偏位を解消するようにした電気的制御装置と、全て機械式でベルトの偏位を修正する装置の二タイプが存在する。
前者の装置は、正常状態への修正復帰を確実に行うことはできるが、他の駆動力を必要とし、そのため構造が複雑大型化し、製作費も高くなるという問題点を有する。
後者の機械式の蛇行防止装置としては、ベルトが片寄りを起こした場合、ベルトの幅方向外側に配置したセンサが押されることを利用して誘導ローラの向きを変え、この誘導ローラの水平旋回によってベルトの片寄りを矯正するようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1で提案されているベルトコンベヤの片寄り矯正装置は、該ベルトコンベヤを構成するベルトの片寄り、即ちベルト幅方向への移動によるベルト端面でのセンサ(一対のローラ)を押すものであるが、ベルト端面とセンサとの接触形態は点接触に近く、しかも誘導ローラを傾斜させるのに相当な力を要し、反応が遅い為、その反力を受けるベルトは横剛性の強いベルトでなければならない。例えば、重量物(タイヤ)を搬送するのに使用されるゴムベルトや、内部にスチールコード等を内蔵した樹脂製ベルト等である。
しかし、比較的軽量な商品を搬送するベルトコンベヤでは、前記したような横剛性の強いベルトは使用されておらず、横剛性の弱い軟弱な樹脂製ベルトが使用されている。そのため、特許文献1に記載したような片寄り矯正装置は使用できなかった。
叉、特許文献1に記載の片寄り矯正装置における誘導ローラは、復路側のベルト外側面(搬送面)と接触するように配置されており、その為ベルト表面に傷が付きやすいという問題点を有する。
【0007】
【特許文献1】特開2002−145431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、横剛性の弱い薄い無端状ベルトを備えたベルトコンベヤにおいて、全て機械式で、ベルトの偏位に素早く応答して確実に修正することができる蛇行防止機構を備えたベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明が講じた技術的手段は、フレームの長手方向両側に配置した折り返し部材に亘って無端状ベルトが巻装され、その無端状ベルトが駆動プーリ等によって回動されるベルトコンベヤにおいて、前記無端状ベルトの進行方向における折り返し部材より上流側近傍で、且つ無端状ベルトの内側面との接触により回転すると共に垂直方向の分力が作用する位置にベルト偏位修正ローラを、その軸芯をベルトの進行方向と直交させて水平旋回自在に配置し、該ベルト偏位修正ローラは、無端状ベルトにおける復路側の幅方向の偏位を検出する偏位検出手段の移動によりベルトの偏位方向と逆方向に揺動傾斜自在とし、無端状ベルトの偏位を解消することを特徴とする(請求項1)。
上記ベルトコンベヤにおける無端状ベルトは、横剛性の弱い薄い樹脂製ベルト、例えば1プライのウレタンベルト等である。
叉、フレームの長手方向両側に配置される折り返し部材としては、今日のベルトコンベヤで一般的に使用されているナイフエッジ(請求項2)、小径な回転ローラ(テールローラ)(請求項3)等、何れのタイプでもよい。
【0010】
上記手段によれば、駆動回転する無端状ベルトがベルト幅方向の一方に偏位(片寄る)すると、その無端状ベルトの復路側の偏位した側に配置されている偏位検出手段にベルト端縁が衝合し、偏位検出手段がベルト幅方向外方へ移動される。そして、該偏位検出手段の移動はベルト偏位修正ローラをベルトの進行方向に対し直交状態から傾斜状態に水平旋回させる。即ち、正常時はベルト中心線に対しベルト偏位修正ローラの軸芯は直角に交差しているが、無端状ベルトに偏位が生じて偏位検出手段が作動した時、前記ベルト偏位修正ローラの軸芯は正常時の軸芯位置に対し角度θ傾く。その傾きは、ベルト幅方向外側へ偏位した側のローラ端部はベルト進行方向へ、反対側は進行方向と逆方向へ水平回動される。それにより、無端状ベルトは、偏位側とは反対方向に移動され、無端状ベルトの偏位は素早く解消される。しかも、ベルト偏位修正ローラにベルト張力は直接掛かっていないので、横剛性の弱いベルトの偏位による小さな力で該ベルト偏位修正ローラを作動(水平旋回)させることができる。
【0011】
そして、フレームの長手方向両側に配置される折り返し部材がナイフエッジである場合(請求項2)、該ナイフエッジは回転しないため無端状ベルトは偏位(片寄り/蛇行)し易いが、逆に素早く修正できるという利点を有する。叉、折り返し部材がナイフエッジである場合、その上流側に配置するベルト偏位修正ローラを、垂直方向の分力が作用する状態で設置する作業を容易に行うことができる。何故ならば、往路から折り返し部材、叉は復路から折り返し部材に向かうベルト経路は該折り返し部材に向かって斜め(先細り)になる為、その経路内に修正ローラの表面を往路面叉は復路面と略水平になるように配置することで、該修正ローラに垂直方向の分力が作用する状態に配置できる。
【0012】
叉、横剛性の弱い無端状ベルトのベルト幅方向への偏位を利用してベルト偏位修正ローラを水平旋回させる偏位検出手段は、具体的に、ベルト偏位修正ローラを支持した水平回転板のベルト幅方向両側に回動可能に軸支した前後一対のアームと、その前後一対のアームの先部に水平揺動自在に軸支した偏位検出ブロックと、前記偏位検出ブロックに無端状ベルトの幅方向の端縁が衝合して該ブロックを支持したアームがベルト幅方向外方に回動される時、そのアームの回動を水平回転板に伝達するストッパとからなり、前記水平回転板の回転中心(支点)はベルト偏位修正ローラ(作用点)と偏位検出ブロック(力点)の間に位置させたことを特徴とする(請求項4)。
【0013】
上記手段によれば、無端状ベルトの幅方向端縁が衝合する偏位検出ブロックは、ベルト偏位修正ローラを支持した水平回転板に対して水平回動可能に軸支した前後一対のアーム先端に水平揺動自在に軸支されているため、無端状ベルトの偏位した側に配置された偏位検出ブロックのみが該ベルトに接触し、他方の偏位検出ブロックは無端状ベルトに対し非接触状態を維持する。そして、支点、力点、作用点の距離をある程度とっているので、偏位検出ブロック(力点)に作用する僅かな力にも反応し、素早くベルト偏位修正ローラ(作用点)を傾斜させることができる。
【0014】
そして、前記偏位検出ブロックを、無端状ベルトの幅方向端縁が挟入保持される嵌入溝を有する断面略コ字型に形成した場合、無端状ベルトの幅方向端縁が嵌入溝内に保持される為、該ベルトの端縁は該検出ブロックに対し線接触及びベルトの側部上下面は面接触となり、ベルトの摩耗を防止する(請求項5)。即ち、横剛性の弱いベルトは他物に接触した場合、めくれて上下に逃げる可能性があるが、前記偏位検出ブロックはベルト端縁の逃げを防止するのに効果的に作用する。それにより、横剛性の弱い無端状ベルトの幅方向偏位を適確に捉えてベルト偏位修正ローラを確実にコントロールすることができる。
【0015】
更に、前記ベルト偏位修正ローラ及び偏位検出手段をユニット化し、無端状ベルトの往路側と復路側の間に内蔵するようにする(請求項6)。
その場合は、蛇行防止機構を備えない既存のベルトコンベヤに対して後付けで簡単に取り付けることができる。そして、ベルト偏位修正ローラは無端状ベルトの往路側と復路側の間に内蔵され、ベルトの内側面に接触する為、ベルト上面に傷を付けることがない。また、無端状ベルトの取外し機能に十分対応することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のベルトコンベヤは、請求項1記載の構成により、横剛性のない無端状ベルトを装備したベルトコンベヤでも、該ベルトの偏位を利用してベルト偏位修正ローラを素早く、確実に傾斜コントロールでき、ベルトの偏位を修正することができる。
そして、請求項2記載の構成により、偏位するベルトを瞬時に修正することができる。
叉、請求項4記載の構成により、偏位検出ブロック(力点)に作用する僅かな力にも反応し、素早くベルト偏位修正ローラ(作用点)を傾斜させることができる。
更に、請求項5記載の構成により、ベルトの端縁と偏位検出ブロックとの接触形態を線接触及びベルトの側部上下面は面接触となり、ベルトの摩耗を防止することができると共に、ベルト端縁がめくれて上下に逃げるのを防止できる。それにより、横剛性の弱い無端状ベルトの幅方向偏位を適確に捉えてベルト偏位修正ローラを確実にコントロールすることができる。
また、請求項6記載の構成により、蛇行防止機構の組付を簡単に行うことができる。それにより、蛇行防止機構を備えない既存のベルトコンベヤに対して後付けで簡単に取り付けることができる。そして、ベルト偏位修正ローラは無端状ベルトの往路側と復路側の間に内蔵され、ベルトの内側面に接触する為、無端状ベルトの取外し機能に十分対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るベルトコンベヤの実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るベルト蛇行防止機構を備えたベルトコンベヤAの外観図で、フレーム1の長手方向両側に折り返し部材2,2’が取り付けられ、そのフレーム1の長手方向中程位置に駆動機構3が配置されると共に、その駆動機構3を挟んでフレーム1の左右側部には脚部材4,4’が該フレーム1の後側壁部に片支持構造で垂下固着され、且つ前記折り返し部材2,2’と駆動機構3とに亘って無端状ベルト5が巻装されて構成されている。そして、前記無端状ベルト5の進行方向における折り返し部材2,2’より上流側近傍にベルト蛇行防止機構B、B’が配置されている。
【0018】
ベルトコンベヤAを構成するフレーム1は、金属製帯板の幅方向両側を直角下向きに折り曲げて断面略コ字型に形成され、上面板1a部分には上面を走行する無端状ベルト5との接触抵抗を軽減し、且つ該フレーム1の補強を目的にエンボス加工が施されて。
叉、該フレーム1の長手方向両側における前後側板1b,1cには折り返し部材2,2’を取り付けるための支持杆6,6’、7,7’がそれぞれフレーム外方に向けて固着突設され、支持杆6,6’に亘って折り返し部材2が前方下向き傾斜状に、支持杆7,7’に亘って折り返し部材2’が水平状にそれぞれ固着されている。
【0019】
前記折り返し部材2は、金属製平板で構成され、無端状ベルト5の進行方向と対向する側縁は略半円形に切削加工され、前後側板1b,1cの高さ方向下側に固着した支持杆6,6’に対して下向き傾斜状に取り付けることで先端形状が略三角形状を呈し、ベルトコンベヤの端部構造として一般的なナイフエッジの形態に構成されている。
【0020】
折り返し部材2’は、前記折り返し部材2と同様、金属製平板で構成されると共に無端状ベルト5の進行方向と対向する側縁は略半円形に切削加工され、その折り返し部材2’はフレーム1の上面板1aの上面より僅か上方に突出するよう前後側板1b,1cに固着した支持板7,7’に対して水平状に取り付けられている。
【0021】
駆動機構3は、駆動プーリ3aと、モータ3bと、モータ3bの回転力を駆動プーリ3aに伝達する動力伝達手段3cと、前記駆動プーリ3aと左右の折り返し部材2,2’とに亘って掛け回す無端状ベルト5に常に適正な張力を与える自動ベルト張力装置8とで構成され、前記駆動プーリ3aはフレーム1の前後側板1b,1cに垂下固着した取付板9間に軸架されている。
【0022】
自動ベルト張力装置8は、前記駆動プーリ3aの外周面に掛け回し折り返される無端状ベルト5の復路側を、該駆動プーリ3aの外周面側に押し付ける左右一対のピンチローラ8aと、そのピンチローラ8aを前記駆動プーリ3aの外周面に対して接近/離反を切り替え操作するハンドル8bとで構成されている。
上記ピンチローラ8aは、前記取付板9間に横架した支軸に嵌合した回転軸8cに支持体8dを介して駆動プーリ3aの軸芯と平行に支持され、前記支軸の一側端部にはハンドル8bの基端部を回動可能に軸支し、且つ前記回転軸8cにはトーションバネ8eが嵌装され、そのトーションバネ8eの一端は回転軸に固着したバネ取付片に止着し、トーションバネ8eの他端はハンドル8bに止着されている。それにより、ハンドル8bの回動はトーションバネ8eを介して回転軸に伝達され、該回転軸8cの回動でピンチローラ8aが駆動プーリ3aの外周面に対し接近/離反される。尚、この自動ベルト張力装置の詳細な説明は特開2003−285916号公報を参照のこと。
【0023】
ベルト蛇行防止装置Bは、ベルトの幅方向に片寄り、蛇行した無端状ベルト5を片寄った側と反対の方向に案内移動するベルト偏位修正ローラ10と、該無端状ベルトの片寄り、蛇行による無端状ベルト5の幅方向移動を検出し、且つそのベルトの移動を利用して前記ベルト偏位修正ローラ10をベルトの片寄り、蛇行が修正される方向に移動させる偏位検出手段11とで構成され、両者は対になって組み付けられユニット化されている。
【0024】
以下、折り返し部材2側に配置したベルト蛇行防止装置Bについて詳細に説明する。
図2及び図3に示すように、フレーム1の前後側板1b,1cの内側面にネジ止め固定した支持杆6,6’に亘って台板12が水平に架設固定され、その台板12のベルト幅方向の中心位置に取付軸13が起立固定され、その取付軸13に前記台板12と略同形の水平回転板14がその中心をベアリング15を介して水平旋回可能に取り付けられている。
そして、前記水平回転板14の上面には前記取付軸13を中心として幅方向等距離の位置にローラ支持板16,16’が折り返し部材2側に向けて固着突設され、そのローラ支持板16,16’の先部間にベルト偏位修正ローラ10が回転自在に横架支持されている。 ベルト偏位修正ローラ10の位置は、無端状ベルトの往路側(搬送面)の内側面との接触により回転すると共に垂直方向の分力が作用する位置(図1参照)で、具体的にはフレーム1の上面部1aの長手方向の端部と折り返し部材2との間で、フレーム1の上面部1a上から折り返し部材2の先端に向けて搬送面が下向きに移行する箇所が好適である。
【0025】
上記ベルト偏位修正ローラ10を移動させる偏位検出手段11は、前記水平回転板14上におけるローラ支持板16,16’より外側位置に基端側を軸支し、先端を前記折り返し部材2と反対の方向に向けて水平回動可能に取り付けた前後一対のアーム17,17’と、その各アーム17,17’の先部に水平揺動自在に垂下取り付けた偏位検出ブロック18,18’と、前記水平回転板14上でアーム17,17’の外側と当接する位置に起立固定したストッパ19,19’とで構成されている。尚、アーム17,17’はストッパ19,19’から離反するベルト幅方向内側へは遊びがあり、ベルト幅方向内側への片寄りには追従しないように構成されている。
【0026】
上記偏位検出ブロック18,18’は、合成樹脂材により無端状ベルト5の幅方向端縁が挟入保持される嵌入溝20を有する断面略コ字型に形成されている。そして、嵌入溝20の溝高さは無端状ベルト5のベルト厚みの2〜3倍とし、横剛性の弱いベルトで端縁が上下方向にめくれる(折れる)素材であっても、めくれを許容するスペース(空間)が存在せず、それにより無端状ベルト5のめくれを防止し、結果、移動を確実に検出することができるように構成されている。
【0027】
又、上記嵌入溝20を構成する上側片20aと下側片20bの入口側方向への張り出し長さは同じ長さでも良いが、図4に示すように下側片20bを上側片20aより長くし、その長く張り出した部分の上面に球面状の凸部21を無端状ベルト5の走行方向に沿って複数個(図示は2個)設け、無端状ベルト5の下側を2点で支持し、接触抵抗を軽減するように構成されている。前記球面状の凸部21は、球面状の頭部を有した金属製のネジを用いて簡便に構成することが出来る。
【0028】
上記の如く構成した偏位検出ブロック18,18’は、折り返し部材2で折り返された無端状ベルト5の復路側を支持するため、前記アーム17,17’の先部に軸22で水平に垂下支持されている。この構成により、前記ベルト偏位修正ローラ10と偏位検出手段11における偏位検出ブロック18,18’は、両者を支持する水平回転板14の回転中心の取付軸13(支点)からそれぞれ距離を置いて配置され、その結果偏位検出ブロック18,18’に作用する僅かな力(無端状ベルト5の幅方向への移動)にも適確に反応し、ベルト偏位修正ローラ10を素早く傾斜させることができる。
【0029】
次に、上記した折り返し部材2側のベルト蛇行防止装置Bの動作を図5に基づいて説明する。
先ず、図5(a)は無端状ベルト5が正常な状態で回動している場合を示し、この時ベルト偏位修正ローラ10の軸芯は無端状ベルト5の幅方向中心線と直交しており、偏位検出手段11の偏位検出ブロック18,18’における嵌入溝20の底部と無端状ベルト5の復路側5bの幅方向端縁とは僅かに隙間Sだけあいて、非接触の状態にある。尚、無端状ベルト5の復路側は、前記偏位検出ブロック18,18’における嵌入溝20の下側片20b上面に形成した凸部21と接触するが、略点接触に近い為無端状ベルト5の走行には抵抗とならない。ベルト偏位修正ローラ10は無端状ベルト5の往路側5aの内面と接触し、回転されている。
【0030】
そして、図5(b)に示すように、無端状ベルト5の往路側5a及び復路側5bが矢印方向へ片寄り移動すると、該無端状ベルト5の復路側5bの幅方向端縁は移動方向側に配置された偏位検出ブロック18’の嵌入溝20底面と接触する。
無端状ベルト5が矢印方向に更に片寄り移動すると、該無端状ベルト5の幅方向端縁によって偏位検出ブロック18’は図5(c)に示すようにベルト幅方向外方(矢印方向)に押し出される。
【0031】
偏位検出ブロック18’が図5(c)に示すように白抜き矢印方向に押し出されると、該偏位検出ブロック18’を支持するアーム17’も一緒に移動される。この時、アーム17’は該アーム17’の基端側を軸支する水平回転板14に起立固定したストッパ19’に当接係合しているため、アーム17’の移動はストッパ19’に係合して水平回転板14を斜線矢印方向(反時計回り方向)に水平回動させる。この水平回転板14の水平回動により、該回転板14にローラ支持板16,16’で支持されたベルト偏位修正ローラ10は水平回転板14の回動方向に水平回動され、該ベルト偏位修正ローラ10の軸芯は平面視で図5(a)の正常状態から角度θだけ傾斜される。このベルト偏位修正ローラ10の傾斜により、偏位していた無端状ベルト5の往路側5aは破線矢印方向(片寄り方向と逆の方向)へ移動する。それにより、無端状ベルト5の偏位(片寄り)は、瞬時に正常状態に修正される。
【0032】
尚、無端状ベルト5の偏位方向とは反対の方向に配置された偏位検出ブロック18は、該偏位検出ブロック18を支持するアーム17が水平回転板14に対して回動可能に軸支され、且つアーム17に対して偏位検出ブロック18も水平揺動自在に支持されているため、ベルト幅方向外側への偏位に対して同側に配置された偏位検出ブロック18は対応するが、反対側のベルト幅方向内側への偏位に対して同側に配置された偏位検出ブロック18は追従せず、反応(機能)しない。その為、偏位検出ブロックとベルトとの余分な接触が避けられ、常に接触するタイプと比較するとベルト表面の摩耗は格段に異なり、無端状ベルトの長期使用を可能にする。
【0033】
図6は上記した折り返し部材2側と反対側(ベルト走行方向上流側)の折り返し部材2’側に配置したベルト蛇行防止装置B’を示し、前記したベルト蛇行防止装置Bとはベルト偏位修正ローラ10’を移動させる偏位検出手段11’の位置が相違する。
即ち、無端状ベルト5の走行方向において折り返し部材2’より上流側に位置するベルト偏位修正ローラ10’に対し偏位検出手段11’は上流側に配置されている。そして、ベルト偏位修正ローラ10’は、無端状ベルト5の復路側5bを折り返し部材2’に向けて案内するため、該ベルト偏位修正ローラ10’には垂直方向の分力が作用し、そのベルト偏位修正ローラ10’が前記偏位検出手段11と同様、偏位検出手段11’の作動によって無端状ベルトの偏位方向と逆の方向に傾斜移動され、それにより偏位した無端状ベルト5は瞬時に正常状態に修正される。尚、偏位検出手段11’は前記した偏位検出手段11と同様の構成である為、同一部材には同一符号を付し説明は省略する。但し、ベルト偏位修正ローラ10’は無端状ベルト5で該ベルト偏位修正ローラ10’支持するローラ支持板16,16’側に付勢されている為、ローラ支持板16,16’に対するベルト偏位修正ローラ10’の支持構造は図示するような溝にローラ軸を嵌める構造でよく、従ってベルト偏位修正ローラ10’は簡単に着脱できる
【0034】
図7はフレーム1の長手方向両側に取り付けられる折り返し部材として小径テールローラ23を取り付けたベルトコンベヤA’を示し、無端状ベルト5の走行方向における小径テールローラ23より上流側に前記実施例で示したと同様のベルト蛇行防止装置B”が配置されている。このベルトコンベヤの場合は、折り返し部材が回転する小径テールローラ23であることで、折り返し部材が回転しないナイフエッジタイプに比べて偏位修正の応答性は遅くなる。本実施例におけるベルト蛇行防止装置B”は上記したようにベルト蛇行防止装置Bと同様の構成である為、同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係るベルトコンベヤは、無端状ベルトととして横剛性の弱い薄い樹脂製ベルトを備えたコンベヤに対応できる為、軽量の商品(菓子類)を搬送するベルトコンベヤに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るベルトコンベヤの一例を示す正面図。
【図2】図1の折り返し部材2側に配置したベルト蛇行防止装置を示す一部切欠拡大平面図。
【図3】(a)は図2の(X)−(X)線に沿える拡大断面図、(b)は図2の(Y)−(Y)線に沿える拡大断面図。
【図4】図2の(Z)−(Z)線に沿える拡大断面図。
【図5】ベルト蛇行防止装置の動作を示す説明図で、(a)はベルトに偏りがない正常状態、(b)はベルトが片寄り偏位検出ブロックに当接した状態、(c)は偏位検出ブロックが移動されベルト偏位修正ローラが傾いた状態。
【図6】図1のベルトコンベヤにおける折り返し部材2’側のベルト蛇行防止装置を示す拡大断面図。
【図7】折り返し部材を小径テールローラとしたベルトコンベヤの拡大断面図。
【符号の説明】
【0037】
A、A’…ベルトコンベヤ B、B’、B”…ベルト蛇行防止装置
1…フレーム 2,2’…折り返し部材
5…無端状ベルト 10、10’…ベルト偏位修正ローラ
11,11’…偏位検出手段 14…水平回転板
17,17’…アーム 18,18’…偏位検出ブロック
19,19’…ストッパ 20…嵌入溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームの長手方向両側に配置した折り返し部材に亘って無端状ベルトが巻装され、その無端状ベルトが駆動プーリ等によって回動されるベルトコンベヤにおいて、前記無端状ベルトの進行方向における折り返し部材より上流側近傍で、且つ無端状ベルトの内側面との接触により回転すると共に垂直方向の分力が作用する位置にベルト偏位修正ローラを、その軸芯をベルトの進行方向と直交させて水平旋回自在に配置し、該ベルト偏位修正ローラは、無端状ベルトにおける復路側の幅方向の偏位を検出する偏位検出手段の移動によりベルトの偏位方向と逆方向に揺動傾斜自在とし、無端状ベルトの偏位を解消することを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記折り返し部材が、平板のナイフエッジである請求項1記載のベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記折り返し部材が、ローラである請求項1記載のベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記偏位検出手段は、前記ベルト偏位修正ローラを支持した水平回転板のベルト幅方向両側に回動可能に軸支した前後一対のアームと、その前後一対のアームの先部に水平揺動自在に軸支した偏位検出ブロックと、前記偏位検出ブロックに無端状ベルトの幅方向の端縁が衝合して該ブロックを支持したアームがベルト幅方向外方に回動される時、そのアームの回動を水平回転板に伝達するストッパとからなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記偏位検出ブロックは、無端状ベルトの幅方向端縁が挟入保持される嵌入溝を有する断面略コ字型に形成されていることを特徴とする請求項4記載のベルトコンベヤ。
【請求項6】
前記ベルト偏位修正ローラ及び偏位検出手段はユニット化され、無端状ベルトの往路側と復路側の間に内蔵されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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